(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】予混合装置およびこれを備えた燃焼装置
(51)【国際特許分類】
F23D 14/62 20060101AFI20240501BHJP
F23N 1/00 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
F23D14/62
F23N1/00 102Z
(21)【出願番号】P 2020128184
(22)【出願日】2020-07-29
【審査請求日】2023-06-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100120514
【氏名又は名称】筒井 雅人
(72)【発明者】
【氏名】小川 恭平
(72)【発明者】
【氏名】三浦 敬一
(72)【発明者】
【氏名】船引 恒男
(72)【発明者】
【氏名】唐木 竜也
【審査官】大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0038592(US,A1)
【文献】特開2015-014448(JP,A)
【文献】特開2018-132257(JP,A)
【文献】特開2017-036889(JP,A)
【文献】国際公開第2016/181212(WO,A1)
【文献】特開平09-170730(JP,A)
【文献】実開昭58-088528(JP,U)
【文献】実開昭49-037839(JP,U)
【文献】韓国公開特許第2014-0085792(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23D14/62
F23N1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端側から他端側に向けて空気を流れさせ、かつこの空気に燃料ガスを混合させるための予混合流路を形成している予混合流路形成部材と、
外部から前記燃料ガスの供給を受ける燃料ガス供給口、および前記予混合流路に開口する燃料ガス流出口を有し、かつ前記燃料ガス供給口に供給された前記燃料ガスを前記燃料ガス流出口に導くための燃料ガス流路と、
を備えている、予混合装置であって、
前記予混合流路形成部材に直接または間接的に取付けられ、かつ前記燃料ガス流路の一部を塞ぐことが可能な燃料ガス流路調整部材を、さらに備えており、
前記燃料ガス流路調整部材の取付け態様は、変更可能であり、かつこの取付け態様の変更により、前記燃料ガス流路調整部材が前記燃料ガス流路を塞ぐ位置および/または面積が変更され、前記燃料ガス流路の流路抵抗を変更することが可能とされて
おり、
前記燃料ガスとして、種類が相違する所定の第1および第2の燃料ガスがあり、
前記燃料ガス流路調整部材の取付け態様として、前記燃料ガス流路を前記第1の燃料ガスに対応したものとする第1の取付け態様と、前記第2の燃料ガスに対応したものとする第2の取付け態様と、のいずれか一方を選択的に設定可能とされており、
前記第1および第2の燃料ガスをそれぞれ示す第1および第2のガス種表示部を、さらに備えており、
前記燃料ガス流路調整部材が前記第1の取付け態様に設定された場合には、前記第2のガス種表示部が前記燃料ガス流路調整部材によって覆い隠され、かつ前記第1のガス種表示部は露見した状態となる一方、前記燃料ガス流路調整部材が前記第2の取付け態様に設定された場合には、前記第1のガス種表示部が前記燃料ガス流路調整部材によって覆い隠され、かつ前記第2のガス種表示部は露見した状態となるように構成されていることを特徴とする、予混合装置。
【請求項2】
一端側から他端側に向けて空気を流れさせ、かつこの空気に燃料ガスを混合させるための予混合流路を形成している予混合流路形成部材と、
外部から前記燃料ガスの供給を受ける燃料ガス供給口、および前記予混合流路に開口する燃料ガス流出口を有し、かつ前記燃料ガス供給口に供給された前記燃料ガスを前記燃料ガス流出口に導くための燃料ガス流路と、
を備えている、予混合装置であって、
前記予混合流路形成部材に直接または間接的に取付けられ、かつ前記燃料ガス流路の一部を塞ぐことが可能な燃料ガス流路調整部材を、さらに備えており、
前記燃料ガス流路調整部材の取付け態様は、変更可能であり、かつこの取付け態様の変更により、前記燃料ガス流路調整部材が前記燃料ガス流路を塞ぐ位置および/または面積が変更され、前記燃料ガス流路の流路抵抗を変更することが可能とされており、
前記燃料ガスを供給するガス管を接続するための先端開口状の筒状部を有する管継手部を、さらに備えており、
前記燃料ガス供給口は、前記筒状部内の内側壁部に設けられており、
前記燃料ガス流路調整部材は、前記筒状部内にその先端開口部から挿入され、かつ前記内側壁部に締結部材を用いて取付けられていることを特徴とする、予混合装置。
【請求項3】
一端側から他端側に向けて空気を流れさせ、かつこの空気に燃料ガスを混合させるための予混合流路を形成している予混合流路形成部材と、
外部から前記燃料ガスの供給を受ける燃料ガス供給口、および前記予混合流路に開口する燃料ガス流出口を有し、かつ前記燃料ガス供給口に供給された前記燃料ガスを前記燃料ガス流出口に導くための燃料ガス流路と、
を備えている、予混合装置であって、
前記予混合流路形成部材に直接または間接的に取付けられ、かつ前記燃料ガス流路の一部を塞ぐことが可能な燃料ガス流路調整部材を、さらに備えており、
前記燃料ガス流路調整部材の取付け態様は、変更可能であり、かつこの取付け態様の変更により、前記燃料ガス流路調整部材が前記燃料ガス流路を塞ぐ位置および/または面積が変更され、前記燃料ガス流路の流路抵抗を変更することが可能とされており、
前記燃料ガス流路の前記燃料ガス供給口寄りの部位は、複数の並行流路に分かれ、かつ前記燃料ガス供給口として、前記複数の並行流路に対応する複数の燃料ガス供給口が設けられており、
前記燃料ガス流路調整部材が、前記複数の燃料ガス供給口を塞ぐ位置および/または数は、変更可能とされており、
前記複数の並行流路として、流路面積が互いに相違する第1および第2の並行流路を備え、かつ前記複数の燃料ガス供給口として、前記第1および第2の流路に対応する第1および第2の燃料ガス供給口を備えており、
前記燃料ガス流路調整部材は、前記第1および第2の燃料ガス供給口の一方を選択的に塞ぐことが可能とされていることを特徴とする、予混合装置。
【請求項4】
請求項
1ないし3のいずれかに記載の予混合装置であって、
前記予混合流路における空気流に起因して発生する負圧の作用により、前記燃料ガス流出口から前記予混合流路に前記燃料ガスが流出するように構成されている、予混合装置。
【請求項5】
請求項
3に記載の予混合装置であって、
第1および第2の並行流路のうち、前記第1および第2の燃料ガス供給口寄りの部位は、形状およびサイズが同一に揃えられており、
前記燃料ガス流路調整部材は、前記第1および第2の燃料ガス供給口寄りの部位に嵌入可能なシール用の凸状部を有している、予混合装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の予混合装置
を備えていることを特徴とする、燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予混合装置およびこれを備えた燃焼装置に関する。
ここで、「予混合」とは、予混合燃焼(Premixing combustion)を行なうことを目的として、空気と燃料ガスとを予め混合させ、可燃混合ガスを生成する処理である。
【背景技術】
【0002】
予混合装置の具体例として、特許文献1に記載のものがある。
同文献に記載の予混合装置は、ベンチュリ状の予混合流路を形成している管状部材(予混合流路形成部材)と、この管状部材内に取付けられた縦横2つのブレード部、とを備えている。予混合流路の下流側(終端側)には、ファンの吸気側が接続され、予混合流路には、その上流側(始端側)から空気が流入する。前記ブレード部には、燃料ガス流出口が設けられており、予混合流路に空気が流れて負圧が発生すると、この負圧の作用により、燃料ガス流出口から予混合流路に燃料ガスが流出し、空気と混合される。
【0003】
しかしながら、前記従来技術においては、次に述べるように、改善すべき余地があった。
【0004】
すなわち、予混合装置で用いられる燃料ガスは、1種類ではなく、一般的に、ナチュラルガス、およびLPガスの2種類の燃料ガスのうちのいずれかが用いられる。ただし、これら2種類の燃料ガスは、成分、発熱量が相違するため、予混合装置を燃料ガスの種類に対応したものとする必要がある。
具体的には、予混合装置には、燃料ガスを予混合流路形成部材の外部から燃料ガス流出口まで導くための燃料ガス流路が設けられているが、この燃料ガス流路は、燃料ガスの種類に対応したものとする必要がある。予混合流路内において発生する負圧が同一である場合、発熱量が多い燃料ガスよりも発熱量が少ない燃料ガスの方が、燃料ガス流出口から予混合流路内への流出量が多くなるように設定されなければならず、予混合装置は、そのような仕様にされる必要がある。
【0005】
これに対し、従来においては、前記したようなことに対して、簡易かつ適切に対応する手段は提案されていない。従来においては、燃料ガスの種類に応じた部品を予め製作して準備しておき、予定されている燃料ガスとは異なる種類の燃料ガスが用いられる場合には、部品交換を行ない、または新たな部品を追加するなどの対応措置を採用しているのが実情である。
ところが、これでは交換用または追加用の部品が必要であり、これらの在庫数も多くなるため、そのコストは高価となる。また、部品管理も面倒なものとなる。さらに、部品を交換した場合、交換された元の部品が不用品とされる虞もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであり、燃料ガスの種類に対応して部品の交換や新たな部品の追加を行なうことなく、複数種類の燃料ガスに対して適切に対応することが可能な予混合装置、およびこれを備えた燃焼装置を提供することを、その課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0009】
本発明の第1の側面により提供される予混合装置は、一端側から他端側に向けて空気を流れさせ、かつこの空気に燃料ガスを混合させるための予混合流路を形成している予混合流路形成部材と、外部から前記燃料ガスの供給を受ける燃料ガス供給口、および前記予混合流路に開口する燃料ガス流出口を有し、かつ前記燃料ガス供給口に供給された前記燃料ガスを前記燃料ガス流出口に導くための燃料ガス流路と、を備えている、予混合装置であって、前記予混合流路形成部材に直接または間接的に取付けられ、かつ前記燃料ガス流路の一部を塞ぐことが可能な燃料ガス流路調整部材を、さらに備えており、前記燃料ガス流路調整部材の取付け態様は、変更可能であり、かつこの取付け態様の変更により、前記燃料ガス流路調整部材が前記燃料ガス流路を塞ぐ位置および/または面積が変更され、前記燃料ガス流路の流路抵抗を変更することが可能とされており、前記燃料ガスとして、種類が相違する所定の第1および第2の燃料ガスがあり、前記燃料ガス流路調整部材の取付け態様として、前記燃料ガス流路を前記第1の燃料ガスに対応したものとする第1の取付け態様と、前記第2の燃料ガスに対応したものとする第2の取付け態様と、のいずれか一方を選択的に設定可能とされており、前記第1および第2の燃料ガスをそれぞれ示す第1および第2のガス種表示部を、さらに備えており、前記燃料ガス流路調整部材が前記第1の取付け態様に設定された場合には、前記第2のガス種表示部が前記燃料ガス流路調整部材によって覆い隠され、かつ前記第1のガス種表示部は露見した状態となる一方、前記燃料ガス流路調整部材が前記第2の取付け態様に設定された場合には、前記第1のガス種表示部が前記燃料ガス流路調整部材によって覆い隠され、かつ前記第2のガス種表示部は露見した状態となるように構成されていることを特徴としている。
ここで、「燃料ガス流路調整部材の取付け態様は、変更可能」とは、燃料ガス流路調整部材の取付けの位置、向き、角度、または姿勢のうち、少なくともいずれか1つが変更可能である場合が該当する。
「燃料ガス流路を塞ぐ面積が変更」には、燃料ガス流路を塞ぐ面積がゼロに変更される場合も含まれる。
【0010】
このような構成によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、燃料ガス流路調整部材の取付け態様を変更し、燃料ガス流路調整部材が燃料ガス流路を塞ぐ面積を変更することにより、燃料ガス流路の流路抵抗を変更することが可能である。たとえば、発熱量が多い燃料ガスの場合には、燃料ガス流路を塞ぐ面積を大きくして流路抵抗を大きめに設定し、また発熱量が少ない燃料ガスの場合には、燃料ガス流路を塞ぐ面積を小さくして流路抵抗を小さめに設定することにより、空気と燃料ガスとの混合比を適切なレンジに維持することが可能となる。
このようなことから、本発明によれば、燃料ガスの種類が、予定されていた燃料ガスの種類とは異なる場合に、燃料ガス流路調整部材を他の部材と交換する必要はなく、また新たな部品を別途追加で用いる必要もない。したがって、燃料ガスの種類に対応するための部品の在庫数が多くなる不具合はなく、部品の在庫に要するコストを低減し、また部品管理を容易なものとすることができる。部品交換の場合には、元の部品が不用品とされる場合があるが、本発明によれば、そのような無駄もない。
また、このような構成によれば、予混合に用いられる燃料ガスが、所定の第1および第2の燃料ガスのいずれであるかに応じて、燃料ガス流路調整部材を、第1および第2の取付け態様のうちのいずれか一方の対応する側に設定すればよいこととなる。したがって、燃料ガス流路調整部材の設定作業の容易・適正化を図ることができる。
さらにこのような構成によれば、第1および第2のガス種表示部のうち、燃料ガス流路調整部材によって覆い隠されておらず、露見している側のガス種表示部は、燃料ガス流路調整部材の取付け態様が対応する燃料ガスが、第1および第2の燃料ガスのいずれであるかを示すものとなる。したがって、実際に用いられる燃料ガスの種類と、燃料ガス流路調整部材の取付け態様とが対応しているか否かの確認を容易・迅速に行なうことが可能である。たとえば、燃料ガス流路調整部材が、第1の燃料ガスに対応した取付け態様(第1の取付け態様)とされているにも拘わらず、これを第2の燃料ガスに対応した取付け態様(第2の取付け態様)であると過誤判断されることも適切に解消することができる。
【0011】
本発明において、好ましくは、前記予混合流路における空気流に起因して発生する負圧の作用により、前記燃料ガス流出口から前記予混合流路に前記燃料ガスが流出するように構成されている。
本発明は、このような構成の予混合装置に最適である。
【0016】
本発明の第2の側面により提供される予混合装置は、一端側から他端側に向けて空気を流れさせ、かつこの空気に燃料ガスを混合させるための予混合流路を形成している予混合流路形成部材と、外部から前記燃料ガスの供給を受ける燃料ガス供給口、および前記予混合流路に開口する燃料ガス流出口を有し、かつ前記燃料ガス供給口に供給された前記燃料ガスを前記燃料ガス流出口に導くための燃料ガス流路と、を備えている、予混合装置であって、前記予混合流路形成部材に直接または間接的に取付けられ、かつ前記燃料ガス流路の一部を塞ぐことが可能な燃料ガス流路調整部材を、さらに備えており、前記燃料ガス流路調整部材の取付け態様は、変更可能であり、かつこの取付け態様の変更により、前記燃料ガス流路調整部材が前記燃料ガス流路を塞ぐ位置および/または面積が変更され、前記燃料ガス流路の流路抵抗を変更することが可能とされており、前記燃料ガスを供給するガス管を接続するための先端開口状の筒状部を有する管継手部を、さらに備えており、前記燃料ガス供給口は、前記筒状部内の内側壁部に設けられており、前記燃料ガス流路調整部材は、前記筒状部内にその先端開口部から挿入され、かつ前記内側壁部に締結部材を用いて取付けられていることを特徴としている。
【0017】
このような構成によれば、管継手部の筒状部内の内側壁部に、燃料ガス流路調整部材を、締結部材を用いて取付けた簡易な構造により、燃料ガス供給口を塞ぐ面積を適宜に変更することが可能であり、本発明が意図する作用が得られる。燃料ガス流路調整部材の取付け態様の変更は、管継手部の筒状部にガス管が接続されていない状態において、簡易に行なうことが可能であり、その作業性をよくすることができる。
【0018】
本発明の第3の側面により提供される予混合装置は、一端側から他端側に向けて空気を流れさせ、かつこの空気に燃料ガスを混合させるための予混合流路を形成している予混合流路形成部材と、外部から前記燃料ガスの供給を受ける燃料ガス供給口、および前記予混合流路に開口する燃料ガス流出口を有し、かつ前記燃料ガス供給口に供給された前記燃料ガスを前記燃料ガス流出口に導くための燃料ガス流路と、を備えている、予混合装置であって、前記予混合流路形成部材に直接または間接的に取付けられ、かつ前記燃料ガス流路の一部を塞ぐことが可能な燃料ガス流路調整部材を、さらに備えており、前記燃料ガス流路調整部材の取付け態様は、変更可能であり、かつこの取付け態様の変更により、前記燃料ガス流路調整部材が前記燃料ガス流路を塞ぐ位置および/または面積が変更され、前記燃料ガス流路の流路抵抗を変更することが可能とされており、前記燃料ガス流路の前記燃料ガス供給口寄りの部位は、複数の並行流路に分かれ、かつ前記燃料ガス供給口として、前記複数の並行流路に対応する複数の燃料ガス供給口が設けられており、前記燃料ガス流路調整部材が、前記複数の燃料ガス供給口を塞ぐ位置および/または数は、変更可能とされており、前記複数の並行流路として、流路面積が互いに相違する第1および第2の並行流路を備え、かつ前記複数の燃料ガス供給口として、前記第1および第2の流路に対応する第1および第2の燃料ガス供給口を備えており、前記燃料ガス流路調整部材は、前記第1および第2の燃料ガス供給口の一方を選択的に塞ぐことが可能とされていることを特徴としている。
【0019】
このような構成によれば、燃料ガス流路は、複数の並行流路に分かれて、複数の燃料ガス供給口を有する構成とされているのに対し、燃料ガス流路調整部材は、それら複数の燃料ガス供給口を塞ぐ位置および/または数を変更できるように取付けられていればよい。したがって、全体をシンプルな構成とし、また燃料ガス流路調整部材の取付け態様も容易に変更可能なものとすることができる。
【0021】
またこのような構成によれば、第1および第2の並行流路の流路面積が相違するため、それらに対応する第1および第2の燃料ガス供給口のいずれを、燃料ガス流路調整部材によって塞ぐかにより、燃料ガス流路の流路抵抗は相違したものとなる。したがって、燃料ガス流路の流路抵抗を、燃料ガスの種類に適切に対応させることの一層の容易化ならびに適正化を図ることができる。
【0022】
本発明において、好ましくは、第1および第2の並行流路のうち、前記第1および第2の燃料ガス供給口寄りの部位は、形状およびサイズが同一に揃えられており、前記燃料ガス流路調整部材は、前記第1および第2の燃料ガス供給口寄りの部位に嵌入可能なシール用の凸状部を有している。
【0023】
このような構成によれば、第1および第2の燃料ガス供給口のいずれか一方を塞ぐ場合に、この部分にシール用の凸状部を嵌入することができる。したがって、燃料ガスの漏れ防止を適切に図ることができる。第1および第2の並行流路は、基本的には流路面積が相違する流路であるものの、第1および第2の燃料ガス供給口寄りの部位は、形状およびサイズが同一に揃えられているため、それらのいずれの部位に対しても、シール用の凸状部を気密性が高い状態に適切に嵌入させることが可能である。
【0024】
本発明の第4の側面により提供される燃焼装置は、本発明の第1ないし第3のいずれかの側面により提供される予混合装置を備えていることを特徴としている。
【0025】
このような構成によれば、本発明の第1ないし第3のいずれかの側面により提供される予混合装置について述べたのと同様な効果が得られる。
【0026】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明に係る予混合装置を備えた燃焼装置、およびこれを利用した給湯装置の一例を示す説明図である。
【
図4】(a)は、
図3のIV-IV断面図であり、(b)は、(a)の分解断面図である。
【
図8】燃料ガス流路調整部材を
図6とは異なる態様に設定した例を示す要部正面図である。
【
図9】
図1~
図8に示す予混合装置で用いられている燃料ガス流路調整部材を示し、(a)は、外面側からの斜視図であり、(b)は、内面側からの斜視図である。
【
図10】本発明に係る予混合装置の他の例を示す外観斜視図である。
【
図11】(a)は、
図10のXI-XI断面図であり、(b)は、(a)の要部分解断面図である。
【
図14】燃料ガス流路調整部材を
図12とは異なる態様に設定した例を示す要部正面図である。
【
図15】
図10~
図14に示す予混合装置で用いられている燃料ガス流路調整部材を示す内面側からの斜視図である。
【
図16】本発明に係る予混合装置の他の例を示す要部正面図である。
【
図17】(a)は、
図16のXVII-XVII断面図であり、(b)は、(a)の要部分解断面図である。
【
図19】燃料ガス流路調整部材を
図16とは異なる態様に設定した例を示す要部正面図である。
【
図20】本発明に係る予混合装置の他の例を示す要部分解正面図である。
【
図21】(a),(b)は、
図20に示す構成において燃料ガス流路調整部材を取付けた状態を示す要部正面図である。
【
図22】本発明に係る予混合装置の他の例を示す要部正面図である。
【
図25】燃料ガス流路調整部材を
図22とは異なる態様に設定した例を示し、(a)は、要部正面図であり、(b)は、(a)のXXV-XXV断面図である。
【
図26】本発明に係る予混合装置の他の例を示し、(a)は、要部正面図であり、(b)は、(a)のXXVI-XXVI断面図である。
【
図28】燃料ガス流路調整部材を
図26とは異なる態様に設定した例を示し、(a)は、要部正面図であり、(b)は、(a)のXXVIII-XXVIII断面図である。
【
図29】本発明に係る予混合装置の他の例を示す要部分解断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0029】
図1は、予混合装置A、この予混合装置Aにファン1および燃焼プレート2を組み合わせて構成された燃焼装置B(予混合燃焼装置)、およびこの燃焼装置Bに熱交換器11を組み合わせて構成された給湯装置WHを示している。
【0030】
予混合装置Aの詳細については、後述するが、この予混合装置Aを利用して空気と燃料ガスとの混合ガス(可燃混合ガス)が生成され、かつこの混合ガスが、ファン1を経由して燃焼プレート2に向けて吐出される。燃焼プレート2は、複数の通気孔20を有する多孔状プレートであって、ケース10内に収容されており、前記混合ガスは、燃焼プレート2を通過し、その下方において燃焼する。このことにより発生する燃焼ガスは、熱交換器11に作用し、熱交換器11内を通過する湯水は加熱される。このことにより、温水が生成され、この温水は所望の給湯先に供給される。
【0031】
予混合装置Aは、予混合流路40を形成する管状部41を有する予混合流路形成部材4、この予混合流路形成部材4に取付けられたハウジング部材5、燃料ガス流出口74が設けられている各ブレード部6、燃料ガス流出口74を含む燃料ガス流路7、および
図3~
図9に示す燃料ガス流路調整部材8を備えている。
【0032】
予混合流路形成部材4は、ファン1の吸気側に接続されており、ファン1が駆動されると、予混合流路40内には、その一端側開口部から外部の空気が流入する。予混合流路40は、気体流れ方向上流側領域が、気体流れ方向下流側ほど内径が漸次減少するテーパ状領域とされ、かつこのテーパ状領域よりも下流側領域が、下流側ほど内径が漸次拡大するテーパ状領域とされたベンチュリ状である。
【0033】
各ブレード部6は、燃料ガス流出口74から予混合流路40に燃料ガスを流出させるためのノズルとしての役割を果たす部位であり、
図2に示すように、管状部41の周壁部に、両端部が繋がった橋渡し状とされ、予混合流路40内に位置している。一対のブレード部6は、これらの厚み方向(
図1の左右方向)に適当な間隔を隔てて略平行に並んでいる。
【0034】
各ブレード部6の内部は、燃料ガス流路7の一部をなす空洞部73であり、この空洞部73に燃料ガス流出口74は連通している。一方、予混合流路40における空気流は、燃
料ガス流出口74の付近に負圧を発生させる。この負圧の作用により、燃料ガス流出口74から予混合流路40に燃料ガスが流出し、空気と燃料ガスとの混合が図られる。
なお、ブレード部6の数は2つに限らず、1つのみ、あるいは3以上設けられた構成とすることもできる。
【0035】
ハウジング部材5は、筒状のハウジング本体部50、このハウジング本体部50に一体または別体で設けられた管継手部51、およびボルト挿通用孔52を備えたフランジ部53を備えている。このフランジ部53は、予混合装置Aを所望の部位に簡易かつ適切に接続するのに役立つ。
【0036】
ハウジング本体部50は、予混合流路形成部材4の外周に設けられている段部42a,42bに外嵌し、シール用リング49によって気密シールが図られた状態で予混合流路形成部材4を囲んでいる。予混合流路形成部材4とハウジング本体部50との相互間の領域72は、燃料ガス流路7の一部をなしている。
【0037】
管継手部51は、燃料ガスを供給するガス管9(ホースも含む)が接続される部位であり、ガス管9から管継手部51に供給された燃料ガスは、前記した領域72に流入する。
図2に示すように、予混合流路形成部材4には、各ブレード部6内の空洞部73に連通する開口部43が形成されている。前記した領域72に流入した燃料ガスは、開口部43を通過して各ブレード部6内に流入し、既述したように、燃料ガス流出口74から流出する。
【0038】
管継手部51をより詳細に説明すると、この管継手部51は、先端開口状の筒状部51aを備えており、この筒状部51a内の奥部には、燃料ガス供給口70が設けられた内側壁部51bが設けられている。
燃料ガス流路7は、燃料ガス供給口70から燃料ガス流出口74に燃料ガスを導く流路である。ただし、
図4~
図8に示すように、管継手部51には、燃料ガス流路7の一部をなす第1および第2の並行流路71A,71Bが適当な間隔で並んで設けられており、かつそれらの開口部として、第1および第2の燃料ガス供給口70a,70bが設けられている。
【0039】
第1および第2の並行流路71A,71Bは、
図4に示すように、その内径Da,Dbが相違しており、Da<Dbの関係にある。内径Daは、燃料ガスとして、LPガスを用いる場合に適する流路内径である。内径Dbは、燃料ガスとして、ナチュラルガスを用いる場合に適する流路内径である。
ただし、燃料ガス流路調整部材8の後述するシール用の凸状部83が嵌入される部分(第1および第2の燃料ガス供給口70a,70b寄りの部位)の内径Dcは、前記した内径Da,Dbよりも大きい内径であって、同一の寸法に揃えられている。
【0040】
図7によく表れているように、管継手部51の内側壁部51bには、第1および第2のガス種表示部3a,3b、および2つのネジ孔59も設けられている。第1および第2のガス種表示部3a,3bは、第1および第2の燃料ガス供給口70a,70bのそれぞれの上側または下側の近傍位置に設けられ、それら第1および第2の燃料ガス供給口70a,70bが、LPガス、およびナチュラルガスにそれぞれ対応する旨を示す表示部である。これらは、たとえば「LP」の文字、「NG」の文字とされている。ただし、これとは異なる表示態様とすることもできる。
【0041】
燃料ガス流路調整部材8は、燃料ガスの種類に応じて、第1および第2の燃料ガス供給口70a,70bのいずれか一方を選択的に塞ぐための部材である。この燃料ガス流路調整部材8は、たとえば
図9に示すように、半円プレート状の本体部80を備え、かつこの
本体部80に、摘まみ部81、ネジ体挿通孔82、およびシール用の凸状部83が設けられた構成である。シール用の凸状部83には、
図4および
図5に示すように、シール用Oリング84が外嵌装着される。
【0042】
図4~
図6に示すように、燃料ガス流路調整部材8は、たとえば第1の燃料ガス供給口70aを塞ぐ態様(第1の取付け態様)で、管継手部51の内側壁部51bに取付けられている。この取付けは、ネジ孔59に螺合するビスなどのネジ体98(締結部材)を利用して行なわれている。この第1の取付け態様においては、シール用の凸状部83が第1の燃料ガス供給口70aに嵌入しているとともに、第2のガス種表示部3bは、燃料ガス流路調整部材8によって覆い隠されている。第1のガス種表示部3aは、燃料ガス流路調整部材8によって覆い隠されておらず、管継手部51の正面に露見した状態にある。
【0043】
燃料ガス流路調整部材8は、管継手部51の内側壁部51bに対する取付け態様として、
図8に示すように、第2の燃料ガス供給口70bを塞ぐ態様(第2の取付け態様)に設定することも可能である。第1の取付け態様から第2の取付け態様への変更は、ネジ体98による締結状態を緩めて、燃料ガス流路調整部材8を内側壁部51bから一旦取り外した後に、この燃料ガス流路調整部材8を上下反転させた姿勢で、ネジ体98を利用し、内側壁部51bに再度取付けることにより行なうことができる。第2の取付け態様においては、前記第1の取付け態様とは反対に、シール用の凸状部83が第2の燃料ガス供給口70bに嵌入しており、また第1のガス種表示部3aは、燃料ガス流路調整部材8によって覆い隠されて、第2のガス種表示部3bが管継手部51の正面に露見した状態にある。
【0044】
次に、前記した予混合装置Aの作用について説明する。
【0045】
まず、予混合装置Aが使用される環境として、燃料ガスが、たとえばナチュラルガスである場合、
図3~
図6に示したように、燃料ガス流路調整部材8を第1の取付け態様としておく。このことにより、第1の並行流路71Aは、燃料ガス流路調整部材8によって閉塞された状態となり、第2の並行流路71Bが、燃料ガス流路7の一部をなす有効な流路となる。第2の並行流路71Bの内径Dbは、既述したように、ナチュラルガスに対応している。ナチュラルガスは、LPガスよりも発熱量が少ないため、LPガスが用いられる場合よりも、空気に対するガス量を多くする必要があるが、第1の取付け態様によれば、そのような必要性に適切に対応し得るものとなる。つまり、第2の並行流路71Bは、第1の並行流路71Aよりも内径が大きく、燃料ガス流路7の流路抵抗を小さくできるため、予混合流路40における空気流に起因して発生する負圧作用によって、ナチュラルガスを燃料ガス流出口74から多めに流出させることが可能である。
【0046】
前記とは異なり、燃料ガスが、LPガスである場合、
図8に示したような第2の取付け態様に変更すればよい。第1の取付け態様から第2の取付け態様の変更は、既述したように、ネジ体98を緩めるなどして容易かつ迅速に行なうことが可能である。第2の取付け態様においては、第1の取付け態様とは反対に、第2の並行流路71Bが閉塞され、第1の並行流路71Aが、燃料ガス流路7の一部をなす有効な流路となる。第1の並行流路71Aの内径Daは、既述したように、LPガスに対応している。LPガスは、ナチュラルガスよりも発熱量が多いため、空気に対するガス量を少なくする必要があるが、第2の取付け態様によれば、そのようなことに適切に対応し得ることとなる。
【0047】
以上のように、本実施形態によれば、燃料ガスが、ナチュラルガスおよびLPガスのいずれであっても、部品交換を行なったり、あるいは新たな部品を追加して取付ける必要はなく、燃料ガス流路調整部材8の取付け態様を変更するだけで、燃料ガスの種類に適切に対応することが可能である。したがって、燃料ガスの種類に対応するための部品の在庫数が多くなるといった不具合はなく、部品の在庫に要するコストを低減することができる。
また、部品管理も容易となる。
【0048】
また、本実施形態によれば、燃料ガス流路調整部材8を第1の取付け態様にすると、第2のガス種表示部3bが覆い隠されるものの、第1のガス種表示部3aである「NG」の文字が露見したままとなる。これとは逆に、燃料ガス流路調整部材8を第2の取付け態様にすると、第1のガス種表示部3aが覆い隠された上で、第2のガス種表示部3bである「LP」の文字が露見する。したがって、このような表示を確認することにより、燃料ガス流路調整部材8の取付け態様が、実際の燃料ガスの種類に対応した適切な取付け態様であるか否かを簡単に、かつ正確に判断することが可能である。
その他、燃料ガス流路調整部材8は、全体が小片状に形成され、かつ管継手部51の内部に取付けられているため、燃料ガス流路調整部材8が大きく嵩張ることはなく、予混合装置Aの大型化も抑制することが可能である。
【0049】
図10~
図29は、本発明の他の実施形態を示している。これらの図において、前記実施形態と同一または類似の要素には、前記実施形態と同一の符号を付すこととし、重複説明は省略する。
【0050】
図10~
図14に示す予混合装置Aaにおいては、管継手部51の内側壁部51bに、複数(たとえば、4つ)の並行流路71が設けられ、かつそれらの開口部としての複数の燃料ガス供給口70が同心状に並んでいる。内側壁部51bの中央部には、ネジ孔59が設けられ、かつその周囲には、位置決め用の複数の凹部58が設けられている。
燃料ガス流路調整部材8Aは、
図15によく表れているように、円板状の本体部80に、燃料ガス供給口70と同数の長孔状の開口部85が貫通して設けられ、かつ本体部80の内面側に、位置決め用の複数の凸部86が突設された構成である。位置決め用の複数の凸部86は、燃料ガス流路調整部材8Aを後述する第1および第2の取付け態様に設定する場合に、複数の凹部58に嵌入し、燃料ガス流路調整部材8Aの位置決めを図る役割を果たす部位である。
【0051】
本実施形態の予混合装置Aaは、
図10~
図12に示すように、燃料ガス流路調整部材8Aが、管継手部51の内側壁部51bにネジ体98を用いて取付けられた構成とされる。ただし、燃料ガスが、ナチュラルガスである場合、燃料ガス流路調整部材8Aは、
図12に示す第1の取付け態様とされる。この第1の取付け態様においては、複数の燃料ガス供給口70に、複数の開口部85の全体が重なっており、複数の燃料ガス供給口70の有効開口面積は、複数の開口部85のトータルの面積に等しい状態にある。
【0052】
これに対し、燃料ガスが、LPガスである場合、燃料ガス流路調整部材8Aは、
図14に示す第2の取付け態様とされる。この第2の取付け態様においては、複数の開口部85のそれぞれの一部は、燃料ガス供給口70ではない箇所に重なっており、複数の燃料ガス供給口70に対して複数の開口部85の全体は重なっていない。したがって、この第2の取付け態様においては、
図12に示した第1の取付け態様と比べて、燃料ガス供給口70の有効開口面積は小さくなっており、発熱量が多いLPガスに適切に対応する。
【0053】
図12に示す第1の取付け態様から
図14に示す第2の取付け態様に変更するには、ネジ体98を緩めて燃料ガス流路調整部材8Aを適当な角度だけ回転させればよい。また、その際には、位置決め用の複数の凸部86が凹部58と嵌合する位置に燃料ガス流路調整部材8Aの角度を設定すればよい。したがって、前記した取付け態様の変更作業も容易である。
【0054】
図16~
図19に示す予混合装置Abにおいては、管継手部51の内側壁部51bに、複数の並行流路71が設けられ、かつそれらの開口部としての複数の燃料ガス供給口70
が、同一円上に位置するように並んでいる。並行流路71および燃料ガス供給口70は、先の実施形態の予混合装置Aaの並行流路71および燃料ガス供給口70よりも小面積とされ、かつ設けられている数が多くされている。
燃料ガス流路調整部材8Bは、燃料ガス供給口70と略同一の形状およびサイズの開口部85が、燃料ガス供給口70と同数だけ設けられた構成である。また、管継手部51に設けられた位置決め用の複数の凹部58に対して嵌合可能な複数の凸部86も備えている。
【0055】
本実施形態の予混合装置Abにおいては、燃料ガスが、ナチュラルガスである場合、燃料ガス流路調整部材8Bは、
図16に示す第1の取付け態様に設定される。この第1の取付け態様においては、複数の燃料ガス供給口70に対して複数の開口部85の全体が重なっており、複数の燃料ガス供給口70の全体が大きく開口した状態にある。したがって、発熱量が少ないナチュラルガスに適する。
これに対し、燃料ガスが、LPガスである場合、燃料ガス流路調整部材8Bは、
図19に示す第2の取付け態様に設定される。この第2の取付け態様においては、各燃料ガス供給口70と各開口部85とは完全に一致した状態で重なっておらず、各燃料ガス供給口70の一部は塞がれている。したがって、発熱量が多いLPガスに適する。
【0056】
本実施形態においても、先に述べた予混合装置Aaと同様に、燃料ガス流路調整部材8Bの取付け態様の変更は、ネジ体98を緩めて、燃料ガス流路調整部材8Bを回転させればよく、その作業は容易である。また、その際には、複数の凸部86と凹部58とを嵌合させることにより、燃料ガス流路調整部材8Bの回転角度も正確な角度に規定することができるので便利である。
【0057】
図20および
図21に示す予混合装置Acにおいては、管継手部51の内側壁部51bには、複数の並行流路71が設けられ、かつそれらの開口部としての複数の燃料ガス供給口70が設けられている。複数の燃料ガス供給口70は、同一円上に位置するように並んでいるものの、これらは等間隔配置ではなく、不等間隔部分70’(燃料ガス供給口70が設けられていないやや広めの領域)がある。
燃料ガス流路調整部材8Cは、複数の燃料ガス供給口70と形状、サイズ、配置が略同一の複数の開口部85を備えている。
【0058】
この予混合装置Acにおいては、燃料ガスがナチュラルガスである場合、燃料ガス流路調整部材8Cを、
図21(a)に示す第1の取付け態様とする。この第1の取付け態様においては、複数の燃料ガス供給口70の全てが、開口部85と重なっており、大きく開口した状態にある。これに対し、燃料ガスがLPガスである場合、燃料ガス流路調整部材8Cを、
図21(b)に示す第2の取付け態様とする。この第2の取付け態様においては、1つの開口部85が不等間隔部分70’に位置しており、複数の燃料ガス供給口70のうち、1つの燃料ガス供給口70が燃料ガス流路調整部材8Cによって塞がれている。したがって、本実施形態の場合においても、燃料ガスがナチュラルガスおよびLPガスのいずれの場合であっても適切に対応することが可能である。燃料ガス流路調整部材8Cの取付け態様の変更は、ネジ体98を緩めて燃料ガス流路調整部材8Cを回転させればよいため、その作業はやはり容易である。
【0059】
図22~
図25に示す予混合装置Adにおいては、管継手部51に複数の並行流路は設けられておらず、燃料ガス流路7の一部をなす1つの孔部71Cが設けられている。この孔部71Cの開口部が、燃料ガス供給口70である。この燃料ガス供給口70は、管継手部51の内側壁部51bの中心部から一方向(図面では右側)に偏った配置である。
一方、燃料ガス流路調整部材8Dは、円板状の本体部80に、直径が相違する2つの開口部85a,85b、および2つのネジ体挿通孔82が設けられた構成である。
【0060】
図22および
図23は、燃料ガス流路調整部材8Dの第1の取付け態様を示している。この第1の取付け態様においては、燃料ガス供給口70に、燃料ガス流路調整部材8Dの大径側の開口部85aが重なっている。
これに対し、
図25は、燃料ガス流路調整部材8Dの第2の取付け態様を示している。この第2の取付け態様においては、燃料ガス供給口70に、燃料ガス流路調整部材8Dの小径側の開口部85bが重なっている。
燃料ガス供給口70の有効開口面積は、第1の取付け態様では大きく、かつ第2の取付け態様では小さくなっており、本発明が意図する作用が得られる。第1および第2の取付け態様の切り替えは、ネジ体98を緩めて、燃料ガス流路調整部材8Dを一旦取り外した後に、これを反転させて再度取付ければよく、その作業は、やはり容易である。
本実施形態によれば、複数の並行流路を設ける必要がないため、燃料ガス流路7の簡素化を図ることができる。
【0061】
図26~
図28に示す予混合装置Aeにおいては、管継手部51に、燃料ガス流路7の一部をなす1つの孔部71Dが設けられている。この孔部71Dは、長孔状であり、その開口部は、燃料ガス供給口70である。
一方、燃料ガス流路調整部材8Eは、円板状の本体部80の中心から偏った位置に、円形状の開口部85が設けられた構成である。
【0062】
図26は、燃料ガス流路調整部材8Eの第1の取付け態様を示している。この第1の取付け態様においては、燃料ガス供給口70の一部に、燃料ガス流路調整部材8Eの開口部85の略全体が対向するようにして、燃料ガス供給口70が燃料ガス流路調整部材8Eによって塞がれている。
図28は、燃料ガス流路調整部材8Eの第2の取付け態様を示している。この第2の取付け態様においては、燃料ガス供給口70の一部に、燃料ガス流路調整部材8Eの開口部85の一部のみが対向するようにして、燃料ガス供給口70が燃料ガス流路調整部材8Eによって塞がれている。
【0063】
本実施形態においても、前記した実施形態と同様に、燃料ガス供給口70の有効開口面積は、第1の取付け態様では大きく、かつ第2の取付け態様では小さくなっている。第1の取付け態様は、ナチュラルガスに適し、第2の取付け態様は、LPガスに適する。また、前記した予混合装置Adと同様に、複数の並行流路を設ける必要はなく、燃料ガス流路7をシンプルにすることが可能である。
【0064】
図29に示す予混合装置Afにおいては、予混合流路形成部材4Fが、第1および第2の管状部4b,4cを利用して構成されている。第1の管状部4bの基端部には、空気流入用の開口部40aが設けられおり、第1および第2の管状部4b,4c内は、予混合流路40となっている。第1の管状部4bの先端部と、第2の管状部4cの基端部との相互間には、予混合流路40に開口する隙間としての燃料ガス流出口74aが設けられている。管継手部51に供給された燃料ガスは、第1および第2の管状部4b,4cと、ハウジング部材5Fとの相互間に設けられた領域72を通過して燃料ガス流出口74aに到達する。
ハウジング部材5Fには、管継手部51が設けられているが、この管継手部51には、たとえば
図4に示したのと同様な、2つの並行流路71A,71Bが設けられている。また、それら並行流路71A,71Bの開口部である2つの燃料ガス供給口70(70a,70b)のいずれか一方は、燃料ガス流路調整部材8によって選択的に塞ぐことが可能とされている。
【0065】
本実施形態においては、ベンチュリ状の予混合流路40を空気が流れることに起因して
、燃料ガス流出口74a付近に負圧が発生し、燃料ガス流出口74aから予混合流路40内に燃料ガスが流出する。先に述べた実施形態とは異なり、燃料ガス流出口74が設けられたブレード部6は用いられていないものの、空気と燃料ガスとの混合気を適切に生成することが可能である。本発明における予混合流路、および予混合流路形成部材は、本実施形態のような構成とすることも可能である。
【0066】
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係る予混合装置、および燃焼装置の各部の具体的な構成は、本発明の意図する範囲内において種々に設計変更自在である。
【0067】
上述の実施形態においては、燃料ガス流路調整部材8,8A~8Eが、予混合流路形成部材4,4Fに、ハウジング部材5,5Fを介して間接的に取付けられているが、本発明はこれに限定されない。たとえば、予混合流路形成部材にガス管接続用の管継手部が設けられている場合、この部分に燃料ガス流路調整部材を取付ける構成、つまり燃料ガス流路調整部材を、予混合流路形成部材に直接取付けた構成とすることもできる。
燃料ガス流路調整部材の具体的な形状、サイズ、材質なども限定されない。
燃料ガスは、ナチュラルガスおよびLPガスに限定されず、他の種類の燃料ガスを本発明の適用対象とすることもできる。
本発明に係る燃焼装置は、給湯装置用に限定されず、たとえば暖房用や焼却用などの他の用途の燃焼装置とすることもできる。また、燃焼ガスを下向きに進行させるタイプに限らず、燃料ガスをたとえば上向きに進行させるタイプとすることもできる。
【符号の説明】
【0068】
A,Aa~Af 予混合装置
B 燃焼装置
3a,3b 第1および第2のガス種表示部
4,4F 予混合流路形成部材
40 予混合流路
5,5F ハウジング部材
51 管継手部
51a 筒状部(管継手部の)
51b 内側壁部(管継手部の)
59 ネジ孔
7 燃料ガス流路
70 燃料ガス供給口
71 並行流路
71A,71B 第1および第2の並行流路
74,74a 燃料ガス流出口
8,8A~8E 燃料ガス流路調整部材
83 シール用の凸状部
9 ガス管