(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】光半導体素子及び受信器
(51)【国際特許分類】
G02B 6/125 20060101AFI20240501BHJP
G02B 6/122 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
G02B6/125 301
G02B6/122 311
(21)【出願番号】P 2019183665
(22)【出願日】2019-10-04
【審査請求日】2022-06-09
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】309015134
【氏名又は名称】富士通オプティカルコンポーネンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】蘇武 洋平
【審査官】野口 晃一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-215526(JP,A)
【文献】国際公開第2014/017154(WO,A1)
【文献】特開2013-007808(JP,A)
【文献】国際公開第2016/051698(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/104309(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0049665(US,A1)
【文献】米国特許第10126498(US,B1)
【文献】国際公開第2009/098829(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/086846(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第109375316(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0041726(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/12-6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の入力ポート、第2の入力ポート、第1の出力ポート及び第2の出力ポートを備えた第1の光結合器と、
第3の入力ポート、第4の入力ポート、第3の出力ポート及び第4の出力ポートを備えた第1の光分岐器と、
第5の入力ポート、第6の入力ポート、第5の出力ポート及び第6の出力ポートを備えた第2の光結合器と、
第7の入力ポート、第7の出力ポート及び第8の出力ポートを備えた第2の光分岐器と、
前記第2の入力ポートと前記第3の出力ポートとを光学的に接続するリブ型の第1のシングルモード導波路と、
前記第4の出力ポートと前記第5の入力ポートとを光学的に接続するリブ型の第2のシングルモード導波路と、
前記第6の入力ポートと前記第7の出力ポートとを光学的に接続するリブ型の第3のシングルモード導波路と、
前記第8の出力ポートと前記第1の入力ポートとを光学的に接続するリブ型の第4のシングルモード導波路と、
を有
し、
前記第1のシングルモード導波路、前記第2のシングルモード導波路、前記第3のシングルモード導波路及び前記第4のシングルモード導波路は、共通の平面に設けられ、
前記第1のシングルモード導波路は、
第1のコア部と、
前記第1のコア部から前記平面に平行な方向に延出する第1のスラブ部と、
を有し、
前記第2のシングルモード導波路は、
第2のコア部と、
前記第2のコア部から前記平面に平行な方向に延出する第2のスラブ部と、
を有し、
前記第3のシングルモード導波路は、
第3のコア部と、
前記第3のコア部から前記平面に平行な方向に延出する第3のスラブ部と、
を有し、
前記第4のシングルモード導波路は、
第4のコア部と、
前記第4のコア部から前記平面に平行な方向に延出する第4のスラブ部と、
を有し、
前記第1のコア部は、
前記第2の入力ポートに直接接続され、前記第2の入力ポートから離間するほど幅が狭くなる第1のコアテーパ部と、
前記第3の出力ポートに直接接続され、前記第3の出力ポートから離間するほど幅が狭くなる第2のコアテーパ部と、
を有し、
前記第2のコア部は、
前記第4の出力ポートに直接接続され、前記第4の出力ポートから離間するほど幅が
狭くなる第3のコアテーパ部と、
前記第5の入力ポートに直接接続され、前記第5の入力ポートから離間するほど幅が狭くなる第4のコアテーパ部と、
を有し、
前記第3のコア部は、
前記第6の入力ポートに直接接続され、前記第6の入力ポートから離間するほど幅が狭くなる第5のコアテーパ部と、
前記第7の出力ポートに直接接続され、前記第7の出力ポートから離間するほど幅が狭くなる第6のコアテーパ部と、
を有し、
前記第4のコア部は、
前記第8の出力ポートに直接接続され、前記第8の出力ポートから離間するほど幅が狭くなる第7のコアテーパ部と、
前記第1の入力ポートに直接接続され、前記第1の入力ポートから離間するほど幅が狭くなる第8のコアテーパ部と、
を有し、
前記平面に平行な方向において、前記第1のスラブ部と、前記第2のスラブ部と、前記第3のスラブ部と、前記第4のスラブ部とが、互いから離間し、
前記第1のスラブ部は、
前記第1のコアテーパ部の側方に位置し、前記第2の入力ポートから離間するほど幅が広くなる第1のスラブテーパ部と、
前記第2のコアテーパ部の側方に位置し、前記第3の出力ポートから離間するほど幅が広くなる第2のスラブテーパ部と、
を有し、
前記第2のスラブ部は、
前記第3のコアテーパ部の側方に位置し、前記第4の出力ポートから離間するほど幅が広くなる第3のスラブテーパ部と、
前記第4のコアテーパ部の側方に位置し、前記第5の入力ポートから離間するほど幅が広くなる第4のスラブテーパ部と、
を有し、
前記第3のスラブ部は、
前記第5のコアテーパ部の側方に位置し、前記第6の入力ポートから離間するほど幅が広くなる第5のスラブテーパ部と、
前記第6のコアテーパ部の側方に位置し、前記第7の出力ポートから離間するほど幅が広くなる第6のスラブテーパ部と、
を有し、
前記第4のスラブ部は、
前記第7のコアテーパ部の側方に位置し、前記第8の出力ポートから離間するほど幅が広くなる第7のスラブテーパ部と、
前記第8のコアテーパ部の側方に位置し、前記第1の入力ポートから離間するほど幅が広くなる第8のスラブテーパ部と、
を有することを特徴とする光半導体素子。
【請求項2】
前記第1の光結合器は、チャネル型の第1のマルチモード導波路を有し、
前記第1の光分岐器は、チャネル型の第2のマルチモード導波路を有し、
前記第2の光結合器は、チャネル型の第3のマルチモード導波路を有し、
前記第2の光分岐器は、チャネル型の第4のマルチモード導波路を有することを特徴とする請求項1に記載の光半導体素子。
【請求項3】
前記第1の出力ポートに光学的に接続されたリブ型の第5のシングルモード導波路と、
前記第2の出力ポートに光学的に接続されたリブ型の第6のシングルモード導波路と、
前記第3の入力ポートに光学的に接続されたリブ型の第7のシングルモード導波路と、
前記第4の入力ポートに光学的に接続されたリブ型の第8のシングルモード導波路と、
前記第5の出力ポートに光学的に接続されたリブ型の第9のシングルモード導波路と、
前記第6の出力ポートに光学的に接続されたリブ型の第10のシングルモード導波路と、
前記第7の入力ポートに光学的に接続されたリブ型の第11のシングルモード導波路と、
を有することを特徴とする請求項1
又は2に記載の光半導体素子。
【請求項4】
請求項1乃至
3のいずれか1項に記載の光半導体素子を有することを特徴とする受信器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光半導体素子及び受信器に関する。
【背景技術】
【0002】
90度ハイブリッド回路は、位相変調された信号光と局部発振(Local Oscillator:LO)光とを干渉させることにより、信号光を複素平面上のI軸とQ軸とに分離し、復調する回路である。位相変調の方式としては、4位相偏移変調(Quadrature Phase shift Keying:QPSK)、直交振幅変調(Quadrature Amplitude Modulation:QAM)等が挙げられる。
【0003】
従来、4つの光カプラ及びチャネル型の曲げ導波路を用いた90度ハイブリッド回路が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第10126498号明細書
【文献】特開2011-257513号公報
【文献】国際公開第2016/051698号
【文献】国際公開第2009/098829号
【文献】特開2012-27211号公報
【文献】特開2012-191302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の4つの光カプラ及びチャネル型の曲げ導波路を用いた90度ハイブリッド回路の特性は、曲げ導波路の断面構造の変動による位相誤差の影響を極めて受けやすい。このため、従来の90度ハイブリッド回路の特性は、製造ばらつきの影響を極めて受けやすい。
【0006】
本開示の目的は、製造ばらつきの影響を受けにくくすることができる光半導体素子及び受信器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一形態によれば、第1の入力ポート、第2の入力ポート、第1の出力ポート及び第2の出力ポートを備えた第1の光結合器と、第3の入力ポート、第4の入力ポート、第3の出力ポート及び第4の出力ポートを備えた第1の光分岐器と、第5の入力ポート、第6の入力ポート、第5の出力ポート及び第6の出力ポートを備えた第2の光結合器と、第7の入力ポート、第7の出力ポート及び第8の出力ポートを備えた第2の光分岐器と、前記第2の入力ポートと前記第3の出力ポートとを光学的に接続するリブ型の第1のシングルモード導波路と、前記第4の出力ポートと前記第5の入力ポートとを光学的に接続するリブ型の第2のシングルモード導波路と、前記第6の入力ポートと前記第7の出力ポートとを光学的に接続するリブ型の第3のシングルモード導波路と、前記第8の出力ポートと前記第1の入力ポートとを光学的に接続するリブ型の第4のシングルモード導波路と、を有し、前記第1のシングルモード導波路、前記第2のシングルモード導波路、前記第3のシングルモード導波路及び前記第4のシングルモード導波路は、共通の平面に設けられ、前記第1のシングルモード導波路は、第1のコア部と、前記第1のコア部から前記平面に平行な方向に延出する第1のスラブ部と、を有し、前記第2のシングルモード導波路は、第2のコア部と、前記第2のコア部から前記平面に平行な方向に延出する第2のスラブ部と、を有し、前記第3のシングルモード導波路は、第3のコア部と、前記第3のコア部から前記平面に平行な方向に延出する第3のスラブ部と、を有し、前記第4のシングルモード導波路は、第4のコア部と、前記第4のコア部から前記平面に平行な方向に延出する第4のスラブ部と、を有し、前記第1のコア部は、前記第2の入力ポートに直接接続され、前記第2の入力ポートから離間するほど幅が狭くなる第1のコアテーパ部と、前記第3の出力ポートに直接接続され、前記第3の出力ポートから離間するほど幅が狭くなる第2のコアテーパ部と、を有し、前記第2のコア部は、前記第4の出力ポートに直接接続され、前記第4の出力ポートから離間するほど幅が狭くなる第3のコアテーパ部と、前記第5の入力ポートに直接接続され、前記第5の入力ポートから離間するほど幅が狭くなる第4のコアテーパ部と、を有し、前記第3のコア部は、前記第6の入力ポートに直接接続され、前記第6の入力ポートから離間するほど幅が狭くなる第5のコアテーパ部と、前記第7の出力ポートに直接接続され、前記第7の出力ポートから離間するほど幅が狭くなる第6のコアテーパ部と、を有し、前記第4のコア部は、前記第8の出力ポートに直接接続され、前記第8の出力ポートから離間するほど幅が狭くなる第7のコアテーパ部と、前記第1の入力ポートに直接接続され、前記第1の入力ポートから離間するほど幅が狭くなる第8のコアテーパ部と、を有し、前記平面に平行な方向において、前記第1のスラブ部と、前記第2のスラブ部と、前記第3のスラブ部と、前記第4のスラブ部とが、互いから離間し、前記第1のスラブ部は、前記第1のコアテーパ部の側方に位置し、前記第2の入力ポートから離間するほど幅が広くなる第1のスラブテーパ部と、前記第2のコアテーパ部の側方に位置し、前記第3の出力ポートから離間するほど幅が広くなる第2のスラブテーパ部と、を有し、前記第2のスラブ部は、前記第3のコアテーパ部の側方に位置し、前記第4の出力ポートから離間するほど幅が広くなる第3のスラブテーパ部と、前記第4のコアテーパ部の側方に位置し、前記第5の入力ポートから離間するほど幅が広くなる第4のスラブテーパ部と、を有し、前記第3のスラブ部は、前記第5のコアテーパ部の側方に位置し、前記第6の入力ポートから離間するほど幅が広くなる第5のスラブテーパ部と、前記第6のコアテーパ部の側方に位置し、前記第7の出力ポートから離間するほど幅が広くなる第6のスラブテーパ部と、を有し、前記第4のスラブ部は、前記第7のコアテーパ部の側方に位置し、前記第8の出力ポートから離間するほど幅が広くなる第7のスラブテーパ部と、前記第8のコアテーパ部の側方に位置し、前記第1の入力ポートから離間するほど幅が広くなる第8のスラブテーパ部と、を有する光半導体素子が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、製造ばらつきの影響を受けにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施形態に係る光半導体素子を透視で示す平面図である。
【
図2】第1の実施形態に係る光半導体素子を示す断面図(その1)である。
【
図3】第1の実施形態に係る光半導体素子を示す断面図(その2)である。
【
図4】第1の実施形態に係る光半導体素子を示す断面図(その3)である。
【
図5】第1の実施形態に係る光半導体素子を示す断面図(その4)である。
【
図6A】リブ型のシングルモード導波路の一例を示す断面図である。
【
図6B】
図6Aに示すシングルモード導波路のモード分布のシミュレーション結果を示す図である。
【
図7A】チャネル型のシングルモード導波路の一例を示す断面図である。
【
図7B】
図7Aに示すシングルモード導波路のモード分布のシミュレーション結果を示す図である。
【
図8】コア部の幅と実効屈折率との関係を示す図である。
【
図9】第2の実施形態に係る光半導体素子を透視で示す平面図である。
【
図10A】チャネル型のシングルモード導波路が接続された場合の電界分布を示す図である。
【
図10B】チャネル型のシングルモード導波路が接続された場合のモード分布を示す図である。
【
図11A】第2の実施形態に関し、スラブ部の厚さが50nmのリブ型のシングルモード導波路が接続された場合の電界分布を示す図である。
【
図11B】第2の実施形態に関し、スラブ部の厚さが50nmのリブ型のシングルモード導波路が接続された場合のモード分布を示す図である。
【
図12A】第2の実施形態に関し、スラブ部の厚さが110nmのリブ型のシングルモード導波路が接続された場合の電界分布を示す図である。
【
図12B】第2の実施形態に関し、スラブ部の厚さが110nmのリブ型のシングルモード導波路が接続された場合のモード分布を示す図である。
【
図13A】第2の実施形態に関し、スラブ部の厚さが150nmのリブ型のシングルモード導波路が接続された場合の電界分布を示す図である。
【
図13B】第2の実施形態に関し、スラブ部の厚さが150nmのリブ型のシングルモード導波路が接続された場合のモード分布を示す図である。
【
図14】スラブ部の厚さと透過率との間の関係を示す図である。
【
図15】第3の実施形態に係る光半導体素子を透視で示す平面図である。
【
図16A】第3の実施形態に関し、スラブ部の厚さが150nmのリブ型のシングルモード導波路が接続された場合の電界分布を示す図である。
【
図16B】第3の実施形態に関し、スラブ部の厚さが150nmのリブ型のシングルモード導波路が接続された場合のモード分布を示す図である。
【
図17】第4の実施形態に係る光半導体素子を透視で示す平面図である。
【
図19A】第4の実施形態に関し、スラブ部の厚さ2が150nmのリブ型のシングルモード導波路が接続された場合の電界分布を示す図である。
【
図19B】第4の実施形態に関し、スラブ部の厚さ2が150nmのリブ型のシングルモード導波路が接続された場合のモード分布を示す図である。
【
図20】第5の実施形態に係る光半導体素子を透視で示す平面図である。
【
図21】第6の実施形態に係る光半導体素子を透視で示す平面図である。
【
図22】第7の実施形態に係る受信器を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態について添付の図面を参照しながら具体的に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省くことがある。
【0011】
(第1の実施形態)
先ず、第1の実施形態について説明する。第1の実施形態は、90度ハイブリッド回路を含む光半導体素子に関する。
図1は、第1の実施形態に係る光半導体素子を透視で示す平面図である。
図2~
図5は、第1の実施形態に係る光半導体素子を示す断面図である。
図2は、
図1中のII-II線に沿った断面図を示す。
図3は、
図1中のIII-III線に沿った断面図を示す。
図4は、
図1中のIV-IV線に沿った断面図を示す。
図5は、
図1中のV-V線に沿った断面図を示す。第1の実施形態に係る光半導体素子は、例えば、SOI(Silicon On Insulator)基板とSOI基板上のクラッド層とを用いて構成される。SOI基板は、シリコン基板と、シリコン基板上の絶縁層と、絶縁層上のシリコン層とを備える。
【0012】
図1に示すように、第1の実施形態に係る光半導体素子100は、2×2マルチモード干渉(Multi-Mode Interference MMI)カプラ110と、2×2MMIカプラ120と、2×2MMIカプラ130と、1×2MMIカプラ140とを有する。2×2MMIカプラ110は第1の光結合器の一例であり、2×2MMIカプラ120は第1の光分岐器の一例であり、2×2MMIカプラ130は第2の光結合器の一例であり、1×2MMIカプラ140は第1の光分岐器の一例である。
【0013】
2×2MMIカプラ110は、入力ポート111と、入力ポート112と、出力ポート113と、出力ポート114とを有する。入力ポート111は第1の入力ポートの一例であり、入力ポート112は第2の入力ポートの一例であり、出力ポート113は第1の出力ポートの一例であり、出力ポート114は第2の出力ポートの一例である。
【0014】
2×2MMIカプラ120は、入力ポート121と、入力ポート122と、出力ポート123と、出力ポート124とを有する。入力ポート121は第3の入力ポートの一例であり、入力ポート122は第4の入力ポートの一例であり、出力ポート123は第3の出力ポートの一例であり、出力ポート124は第4の出力ポートの一例である。
【0015】
2×2MMIカプラ130は、入力ポート131と、入力ポート132と、出力ポート133と、出力ポート134とを有する。入力ポート131は第5の入力ポートの一例であり、入力ポート132は第6の入力ポートの一例であり、出力ポート133は第5の出力ポートの一例であり、出力ポート134は第6の出力ポートの一例である。
【0016】
1×2MMIカプラ140は、入力ポート141と、出力ポート143と、出力ポート144とを有する。入力ポート141は第7の入力ポートの一例であり、出力ポート143は第7の出力ポートの一例であり、出力ポート144は第8の出力ポートの一例である。
【0017】
2×2MMIカプラ110は、チャネル型のマルチモード導波路115を有する。
図2に示すように、マルチモード導波路115は、例えば、SOI基板104と、SOI基板104上のクラッド層105とを用いて構成される。SOI基板104は、シリコン基板101と、シリコン基板101上の絶縁層102と、絶縁層102上のシリコン層103とを備える。例えば、絶縁層102及びクラッド層105は、例えば酸化シリコン層である。シリコン層103の加工により、マルチモード導波路115のコア部115Aが形成されている。マルチモード導波路115は第1のマルチモード導波路の一例である。
【0018】
2×2MMIカプラ120は、チャネル型のマルチモード導波路125を有する。マルチモード導波路125も、例えば、SOI基板104と、クラッド層105とを用いて構成される。シリコン層103の加工により、マルチモード導波路125のコア部125Aが形成されている。マルチモード導波路125は第2のマルチモード導波路の一例である。
【0019】
2×2MMIカプラ130は、チャネル型のマルチモード導波路135を有する。マルチモード導波路135も、例えば、SOI基板104と、クラッド層105とを用いて構成される。シリコン層103の加工により、マルチモード導波路135のコア部135Aが形成されている。マルチモード導波路135は第3のマルチモード導波路の一例である。
【0020】
1×2MMIカプラ140は、チャネル型のマルチモード導波路145を有する。マルチモード導波路145も、例えば、SOI基板104と、クラッド層105とを用いて構成される。シリコン層103の加工により、マルチモード導波路145のコア部145Aが形成されている。マルチモード導波路145は第4のマルチモード導波路の一例である。
【0021】
光半導体素子100は、更に、入力ポート112と出力ポート123とを光学的に接続するリブ型のシングルモード導波路150と、出力ポート124と入力ポート131とを光学的に接続するリブ型のシングルモード導波路160と、入力ポート132と出力ポート143とを光学的に接続するリブ型のシングルモード導波路170と、出力ポート144と入力ポート111とを光学的に接続するリブ型のシングルモード導波路180とを有する。シングルモード導波路150は第1のシングルモード導波路の一例であり、シングルモード導波路160は第2のシングルモード導波路の一例であり、シングルモード導波路170は第3のシングルモード導波路の一例であり、シングルモード導波路180は第4のシングルモード導波路の一例である。シングルモード導波路150、160、170及び180は、曲げ導波路であってもよい。シングルモード導波路150、160、170及び180は、絶縁層102の上面102Aの上に形成されていてもよい。上面102Aは共通の平面の一例である。
【0022】
シングルモード導波路150は、例えば、コア部151と、コア部151から上面102Aに平行な方向に延出するスラブ部152及び192とを有する。シングルモード導波路160は、例えば、コア部161と、コア部161から上面102Aに平行な方向に延出するスラブ部162及び192とを有する。シングルモード導波路170は、例えば、コア部171と、コア部171から上面102Aに平行な方向に延出するスラブ部172及び192とを有する。シングルモード導波路180は、例えば、コア部181と、コア部181から上面102Aに平行な方向に延出するスラブ部182及び192とを有する。スラブ部192はシングルモード導波路150、160、170及び180に共有されてもよい。コア部151は第1のコア部の一例であり、スラブ部152及び192は第1のスラブ部の一例である。コア部161は第2のコア部の一例であり、スラブ部162及び192は第2のスラブ部の一例である。コア部171は第3のコア部の一例であり、スラブ部172及び192は第3のスラブ部の一例である。コア部181は第4のコア部の一例であり、スラブ部182及び192は第4のスラブ部の一例である。
【0023】
図3に示すように、シングルモード導波路150及び180は、例えば、SOI基板104と、クラッド層105とを用いて構成される。シリコン層103の加工により、コア部151及び181と、スラブ部152、182及び192とが形成されている。同様に、シリコン層103の加工により、コア部161及び171と、スラブ部162及び172とが形成されている。
【0024】
SOI基板104の上面に垂直な方向からの平面視で、2×2MMIカプラ110、2×2MMIカプラ120、2×2MMIカプラ130及び1×2MMIカプラ140は、この順で時計回りに配置されている。以下、SOI基板104の上面に垂直な方向からの平面視を、単に「平面視」という。入力ポート111と入力ポート132とが対向していてもよく、入力ポート112と入力ポート131とが対向していてもよい。出力ポート123と出力ポート144とが対向していてもよく、出力ポート124と出力ポート143とが対向していてもよい。平面視で、シングルモード導波路150、160、170及び180は、互いに交差していない。スラブ部192は、平面視で、コア部151、161、171及び181の内側にある。スラブ部152、162、172及び182は、平面視で、コア部151、161、171及び181の外側にある。つまり、スラブ部152、162、172及び182は、コア部151、161、171及び181のスラブ部192の反対側にある。
【0025】
光半導体素子100は、更に、出力ポート113に光学的に接続されたシングルモード導波路116と、出力ポート114に光学的に接続されたシングルモード導波路117と、入力ポート121に光学的に接続されたシングルモード導波路126と、入力ポート122に光学的に接続されたシングルモード導波路127と、出力ポート133に光学的に接続されたシングルモード導波路136と、出力ポート134に光学的に接続されたシングルモード導波路137と、入力ポート141に光学的に接続されたシングルモード導波路146とを有する。シングルモード導波路116、117、126、127、136、137及び146は、例えばチャネル型のシングルモード導波路である。
【0026】
図4に示すように、シングルモード導波路116及び117は、例えば、SOI基板104と、クラッド層105とを用いて構成される。シリコン層103の加工により、シングルモード導波路116のコア部116Aと、シングルモード導波路117のコア部117Aとが形成されている。同様に、シリコン層103の加工により、シングルモード導波路126のコア部126Aと、シングルモード導波路127のコア部127Aと、シングルモード導波路136のコア部136Aと、シングルモード導波路137のコア部137Aとが形成されている。
【0027】
図5に示すように、シングルモード導波路146は、例えば、SOI基板104と、クラッド層105とを用いて構成される。シリコン層103の加工により、シングルモード導波路146のコア部146Aが形成されている。
【0028】
光半導体素子100においては、例えば、QPSK信号などの位相変調信号(信号光)がシングルモード導波路126又は127から2×2MMIカプラ120の入力ポート122に入力される。また、局部発振(Local Oscillator:LO)光がシングルモード導波路146から1×2MMIカプラ140の入力ポート141に入力される。例えば、信号光及びLO光の波長は1.55μmである。信号光は2×2MMIカプラ120により2分岐され、出力ポート123及び124から出力される。出力ポート123から出力された信号光はシングルモード導波路150を介して2×2MMIカプラ110の入力ポート112に入力され、出力ポート124から出力された信号光はシングルモード導波路160を介して2×2MMIカプラ130の入力ポート131に入力される。LO光は1×2MMIカプラ140により2分岐され、出力ポート143及び144から出力される。出力ポート143から出力されたLO光はシングルモード導波路170を介して2×2MMIカプラ130の入力ポート132に入力され、出力ポート144から出力されたLO光はシングルモード導波路180を介して2×2MMIカプラ110の入力ポート111に入力される。2×2MMIカプラ110は、入力ポート111に入力されたLO光と入力ポート112に入力された信号光とを結合して合成し、位相が180度異なるQ成分の信号光を出力ポート113及び114からシングルモード導波路116及び117に出力する。2×2MMIカプラ130は、入力ポート132に入力されたLO光と入力ポート131に入力された信号光とを結合して合成し、位相が180度異なるI成分の信号光を出力ポート133及び134からシングルモード導波路136及び137に出力する。このようにして、位相が90度ずれた4つの信号光が光半導体素子100から出力される。
【0029】
ここで、シングルモード導波路の特性について説明する。
図6Aは、リブ型のシングルモード導波路の一例を示す断面図であり、
図6Bは、
図6Aに示すシングルモード導波路のモード分布のシミュレーション結果を示す図である。
図7Aは、チャネル型のシングルモード導波路の一例を示す断面図であり、
図7Bは、
図7Aに示すシングルモード導波路のモード分布のシミュレーション結果を示す図である。シミュレーションは、ビーム伝搬法により行った。なお、
図6B及び
図7B中の数値(0.1、0.3、0.5、0.7及び0.9)は、最大強度を1.0としたときの相対的な強度を示す。以降のモード分布、電界分布のシミュレーション結果を示す図中の数値も同様である。
【0030】
図6Aに示すリブ型のシングルモード導波路10は、SOI基板104と、クラッド層105とを用いて構成される。シリコン層103の加工により、コア部11とスラブ部12とが形成されている。
図7Aに示すシングルモード導波路20は、SOI基板104と、クラッド層105とを用いて構成される。シリコン層103の加工により、コア部21が形成されている。
【0031】
図6B及び
図7Bに示すように、一般的に、リブ型のシングルモード導波路10では、チャネル型のシングルモード導波路20と比較して、クラッド層105への光モードの漏れが少ない。また、シングルモード導波路10では、シングルモード導波路20と比較して、側壁面でのモードの存在割合が小さいため、導波路のリブ幅、側壁面と絶縁層の上面とのなす角の大きさの変動、及び側壁面の粗さ(側壁ラフネス)の影響を受けにくい。
【0032】
シングルモード導波路10及び20の各実効屈折率に関するシミュレーション結果について説明する。このシミュレーションでは、シングルモード導波路10のコア部11の厚さT11は220nmであり、一方のスラブ部12の縁から他方のスラブ部12の縁までの距離(以下、「スラブ部12の幅」ということがある)W12は1μmであり、シングルモード導波路20のコア部21の厚さT21は220nmである。
【0033】
シングルモード導波路10については、スラブ部12の厚さT12を50nm、110nm又は150nmとし、コア部11の幅W11と実効屈折率との関係を計算した。シングルモード導波路20については、コア部21の幅W21と実効屈折率との関係を計算した。これらの結果を
図8に示す。
図8は、コア部の幅W11、W21と実効屈折率との関係を示す図である。
【0034】
図8に示すように、スラブ部12の厚さT12(残し厚さ)が大きいほど、実効屈折率のコア部11の幅W11への依存性が低い。例えば、420nm~460nmの幅W11、W21の範囲において、シングルモード導波路20の実効屈折率の変化の割合に対し、厚さT12が50nmの場合の実効屈折率の変化の割合は約0.8倍である。420nm~460nmの幅W11、W21の範囲において、シングルモード導波路20の実効屈折率の変化の割合に対し、厚さT12が100nmの場合の実効屈折率の変化の割合は約0.48倍であり、厚さT12が150nmの場合の実効屈折率の変化の割合は約0.26倍である。実効屈折率の変化の割合は位相変動の割合に対応するため、厚さT12が大きいほど位相変動の割合が小さくなる。
【0035】
第1の実施形態においては、シングルモード導波路150、160、170及び180がリブ型のシングルモード導波路であるため、これらの実効屈折率は、コア部151、161、171及び181の幅、厚さ、側壁面と絶縁層102の上面102Aとのなす角の大きさの変動の影響を受けにくい。また、シングルモード導波路150、160、170及び180では、コア部151、161、171及び181の側壁面の粗さ(側壁ラフネス)の影響も受けにくい。従って、製造ばらつきの影響を受けにくくし、位相誤差を大きく低減することができる。
【0036】
また、上記のシミュレーションの結果において、スラブ部12の幅W12が1μmの場合でも比較的製造ばらつきに強い特性が得られている。また、スラブ部の幅が1μmのリブ型の導波路を曲げ導波路に適用する場合、曲げ導波路の曲げ半径を10μm~20μmとすることも可能である。従って、シングルモード導波路150、160、170及び180の曲げ半径を10μm~20μmとしても、製造ばらつきに強い特性を得ることができる。
【0037】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は、主に、リブ型のシングルモード導波路のコア部の構成の点で第1の実施形態と相違する。
図9は、第2の実施形態に係る光半導体素子を透視で示す平面図である。
【0038】
図9に示すように、第2の実施形態に係る光半導体素子200は、第1の実施形態のシングルモード導波路150、160、170及び180に代えて、シングルモード導波路250、260、270及び280を有する。シングルモード導波路250は、入力ポート112と出力ポート123とを光学的に接続するリブ型のシングルモード導波路である。シングルモード導波路260は、出力ポート124と入力ポート131とを光学的に接続するリブ型のシングルモード導波路である。シングルモード導波路270は、入力ポート132と出力ポート143とを光学的に接続するリブ型のシングルモード導波路である。シングルモード導波路280は、出力ポート144と入力ポート111とを光学的に接続するリブ型のシングルモード導波路である。シングルモード導波路250は第1のシングルモード導波路の一例であり、シングルモード導波路260は第2のシングルモード導波路の一例であり、シングルモード導波路270は第3のシングルモード導波路の一例であり、シングルモード導波路280は第4のシングルモード導波路の一例である。シングルモード導波路250、260、270及び280は、絶縁層102の上面102Aの上に形成されていてもよい。
【0039】
シングルモード導波路250は、例えば、コア部251と、コア部251から上面102Aに平行な方向に延出するスラブ部252及び292とを有する。シングルモード導波路260は、例えば、コア部261と、コア部261から上面102Aに平行な方向に延出するスラブ部262及び292とを有する。シングルモード導波路270は、例えば、コア部271と、コア部271から上面102Aに平行な方向に延出するスラブ部272及び292とを有する。シングルモード導波路280は、例えば、コア部281と、コア部281から上面102Aに平行な方向に延出するスラブ部282及び292とを有する。スラブ部292はシングルモード導波路250、260、270及び280に共有されてもよい。コア部251は第1のコア部の一例であり、スラブ部252及び292は第1のスラブ部の一例である。コア部261は第2のコア部の一例であり、スラブ部262及び292は第2のスラブ部の一例である。コア部271は第3のコア部の一例であり、スラブ部272及び292は第3のスラブ部の一例である。コア部281は第4のコア部の一例であり、スラブ部282及び292は第4のスラブ部の一例である。
【0040】
コア部251は、入力ポート112に直接接続され、入力ポート112から離間するほど幅が狭くなるコアテーパ部251Aと、出力ポート123に直接接続され、出力ポート123から離間するほど幅が狭くなるコアテーパ部251Bとを有する。コア部251は、コアテーパ部251Aに直接接続された直線部251Cと、コアテーパ部251Bに直接接続された直線部251Dと、直線部251C及び251Dに直接接続された曲線部251Eとを有してもよい。コアテーパ部251Aは第1のコアテーパ部の一例であり、コアテーパ部251Bは第2のコアテーパ部の一例である。
【0041】
コア部261は、出力ポート124に直接接続され、出力ポート124から離間するほど幅が狭くなるコアテーパ部261Aと、入力ポート131に直接接続され、入力ポート131から離間するほど幅が狭くなるコアテーパ部261Bとを有する。コア部261は、コアテーパ部261Aに直接接続された直線部261Cと、コアテーパ部261Bに直接接続された直線部261Dと、直線部261C及び261Dに直接接続された曲線部261Eとを有してもよい。コアテーパ部261Aは第3のコアテーパ部の一例であり、コアテーパ部261Bは第4のコアテーパ部の一例である。
【0042】
コア部271は、入力ポート132に直接接続され、入力ポート132から離間するほど幅が狭くなるコアテーパ部271Aと、出力ポート143に直接接続され、出力ポート143から離間するほど幅が狭くなるコアテーパ部271Bとを有する。コア部271は、コアテーパ部271Aに直接接続された直線部271Cと、コアテーパ部271Bに直接接続された直線部271Dと、直線部271C及び271Dに直接接続された曲線部271Eとを有してもよい。コアテーパ部271Aは第5のコアテーパ部の一例であり、コアテーパ部271Bは第6のコアテーパ部の一例である。
【0043】
コア部281は、出力ポート144に直接接続され、出力ポート144から離間するほど幅が狭くなるコアテーパ部281Aと、入力ポート111に直接接続され、入力ポート111から離間するほど幅が狭くなるコアテーパ部281Bとを有する。コア部281は、コアテーパ部281Aに直接接続された直線部281Cと、コアテーパ部281Bに直接接続された直線部281Dと、直線部281C及び281Dに直接接続された曲線部281Eとを有してもよい。コアテーパ部281Aは第7のコアテーパ部の一例であり、コアテーパ部281Bは第8のコアテーパ部の一例である。
【0044】
平面視で、シングルモード導波路250、260、270及び280は、互いに交差していない。スラブ部292は、平面視で、コア部251、261、271及び281の内側にある。スラブ部252、262、272及び282は、平面視で、コア部251、261、271及び281の外側にある。つまり、スラブ部252、262、272及び282は、コア部251、261、271及び281のスラブ部292の反対側にある。
【0045】
光半導体素子200は、シングルモード導波路116、117、126、127、136、137及び146に代えて、シングルモード導波路216、217、226、227、236、237及び246を有する。シングルモード導波路216、217、226、227、236、237及び246は、例えばチャネル型のシングルモード導波路である。
【0046】
シングルモード導波路216は、コア部216Aを有し、出力ポート113に光学的に接続されている。コア部216Aは、出力ポート113に直接接続され、出力ポート113から離間するほど幅が狭くなるコアテーパ部216Bと、コアテーパ部216Bに直接接続された直線部216Cとを有してもよい。
【0047】
シングルモード導波路217は、コア部217Aを有し、出力ポート114に光学的に接続されている。コア部217Aは、出力ポート114に直接接続され、出力ポート114から離間するほど幅が狭くなるコアテーパ部217Bと、コアテーパ部217Bに直接接続された直線部217Cとを有してもよい。
【0048】
シングルモード導波路226は、コア部226Aを有し、入力ポート121に光学的に接続されている。コア部226Aは、入力ポート121に直接接続され、入力ポート121から離間するほど幅が狭くなるコアテーパ部226Bと、コアテーパ部226Bに直接接続された直線部226Cとを有してもよい。
【0049】
シングルモード導波路227は、コア部227Aを有し、入力ポート122に光学的に接続されている。コア部227Aは、入力ポート122に直接接続され、入力ポート122から離間するほど幅が狭くなるコアテーパ部227Bと、コアテーパ部227Bに直接接続された直線部227Cとを有してもよい。
【0050】
シングルモード導波路236は、コア部236Aを有し、出力ポート133に光学的に接続されている。コア部236Aは、出力ポート133に直接接続され、出力ポート133から離間するほど幅が狭くなるコアテーパ部236Bと、コアテーパ部236Bに直接接続された直線部236Cとを有してもよい。
【0051】
シングルモード導波路237は、コア部237Aを有し、出力ポート134に光学的に接続されている。コア部237Aは、出力ポート134に直接接続され、出力ポート134から離間するほど幅が狭くなるコアテーパ部237Bと、コアテーパ部237Bに直接接続された直線部237Cとを有してもよい。
【0052】
シングルモード導波路246は、コア部246Aを有し、入力ポート141に光学的に接続されている。コア部246Aは、入力ポート141に直接接続され、入力ポート141から離間するほど幅が狭くなるコアテーパ部246Bと、コアテーパ部246Bに直接接続された直線部246Cとを有してもよい。
【0053】
他の構成は第1の実施形態と同様である。
【0054】
光半導体素子200においては、信号光が、例えば、シングルモード導波路226又は227から2×2MMIカプラ120の入力ポート122に入力される。また、LO光がシングルモード導波路246から1×2MMIカプラ140の入力ポート141に入力される。例えば、信号光及びLO光の波長は1.55μmである。信号光は2×2MMIカプラ120により2分岐され、出力ポート123及び124から出力される。出力ポート123から出力された信号光はシングルモード導波路250を介して2×2MMIカプラ110の入力ポート112に入力され、出力ポート124から出力された信号光はシングルモード導波路260を介して2×2MMIカプラ130の入力ポート131に入力される。LO光は1×2MMIカプラ140により2分岐され、出力ポート143及び144から出力される。出力ポート143から出力されたLO光はシングルモード導波路270を介して2×2MMIカプラ130の入力ポート132に入力され、出力ポート144から出力されたLO光はシングルモード導波路280を介して2×2MMIカプラ110の入力ポート111に入力される。2×2MMIカプラ110は、入力ポート111に入力されたLO光と入力ポート112に入力された信号光とを結合して合成し、位相が180度異なるQ成分の信号光を出力ポート113及び114からシングルモード導波路216及び217に出力する。2×2MMIカプラ130は、入力ポート132に入力されたLO光と入力ポート131に入力された信号光とを結合して合成し、位相が180度異なるI成分の信号光を出力ポート133及び134からシングルモード導波路236及び237に出力する。このようにして、位相が90度ずれた4つの信号光が光半導体素子200から出力される。
【0055】
例えば、直線部216C、217C、226C、227C、236C、237C及び246Cの幅は440nmであり、厚さは220nmである。例えば、コアテーパ部216B、217B、226B、227B、236B、237B及び246Bの狭い側の幅は440nmであり、広い側の幅は800nmであり、長さは2μmである。例えば、コア部115A、125A、135A及び145Aの幅は2.6μmであり、厚さは220nmであり、長さは5.65μmである。例えば、コアテーパ部251A、251B、261A、261B、271A、271B、281A及び281Bの広い側の幅は800nmであり、狭い側の幅は440nmであり、長さは2μmである。例えば、入力ポート111と入力ポート112との間の中心間距離、出力ポート123と出力ポート124との間の中心間距離、入力ポート131と入力ポート132との間の中心間距離、及び、出力ポート143と出力ポート144との間の中心間距離は1.3μmである。
【0056】
シングルモード導波路250では、コアテーパ部251A及び251Bにおいてリブチャネル変換が行われる。シングルモード導波路260では、コアテーパ部261A及び261Bにおいてリブチャネル変換が行われる。シングルモード導波路270では、コアテーパ部271A及び271Bにおいてリブチャネル変換が行われる。シングルモード導波路280では、コアテーパ部281A及び281Bにおいてリブチャネル変換が行われる。第2の実施形態は第1の実施形態に対してMMIカプラの入出力部にテーパを付加した構造となっており、一般的に、挿入損失の低減、波長帯域の向上を見込める。また、第2の実施形態は、第1の実施形態に対して、リブチャネル変換の低損失化を見込める。
【0057】
ここで、第2の実施形態に関し、1×2MMIカプラ140を模した1×2MMIカプラ及びその周辺の特性のシミュレーション結果について説明する。
図10A及び
図10Bは、それぞれ、1×2MMIカプラの2つの出力ポートにチャネル型のシングルモード導波路(
図7A参照)が接続された場合の電界分布及びモード分布を示す図である。
図11A及び
図11Bは、それぞれ、1×2MMIカプラの2つの出力ポートに厚さT12が50nmのリブ型のシングルモード導波路(
図6A参照)が接続された場合の電界分布及びモード分布を示す図である。
図12A及び
図12Bは、それぞれ、1×2MMIカプラの2つの出力ポートに厚さT12が110nmのリブ型のシングルモード導波路(
図6A参照)が接続された場合の電界分布及びモード分布を示す図である。
図13A及び
図13Bは、それぞれ、1×2MMIカプラの2つの出力ポートに厚さT12が150nmのリブ型のシングルモード導波路(
図6A参照)が接続された場合の電界分布及びモード分布を示す図である。
図14は、スラブ部の厚さT12と透過率との間の関係を示す図である。なお、厚さT12が0nmのシングルモード導波路は、チャネル型のシングルモード導波路に相当する。シミュレーションは、ビーム伝搬法により行った。
【0058】
図10A~
図13Bに示すように、厚さT12が小さいほど、隣り合うシングルモード導波路の間でのモードの結合が生じにくく、放射損失を抑制することができる。また、
図14に示すように、マルチモード導波路とシングルモード導波路との境界において、厚さT12が150nmのときに91%、厚さT12が110nmのときに97%、厚さT12が50nmのときに99%超の透過率を得ることができる。つまり、リブ型のシングルモード導波路が用いられた場合でも、マルチモード導波路とシングルモード導波路との境界において90%以上の透過率を得ることができる。特に、厚さT12が小さいほど、優れた透過率を得ることができる。ただし、厚さT12が150nmのときは特にモード結合が強く、特性に悪影響がある可能性が高い。
【0059】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。第3の実施形態は、主に、リブ型のシングルモード導波路のスラブ部の構成の点で第2の実施形態と相違する。
図15は、第3の実施形態に係る光半導体素子を透視で示す平面図である。
【0060】
図15に示すように、第3の実施形態に係る光半導体素子300は、第2の実施形態のシングルモード導波路250、260、270及び280に代えて、シングルモード導波路350、360、370及び380を有する。シングルモード導波路350は、入力ポート112と出力ポート123とを光学的に接続するリブ型のシングルモード導波路である。シングルモード導波路360は、出力ポート124と入力ポート131とを光学的に接続するリブ型のシングルモード導波路である。シングルモード導波路370は、入力ポート132と出力ポート143とを光学的に接続するリブ型のシングルモード導波路である。シングルモード導波路380は、出力ポート144と入力ポート111とを光学的に接続するリブ型のシングルモード導波路である。シングルモード導波路350は第1のシングルモード導波路の一例であり、シングルモード導波路360は第2のシングルモード導波路の一例であり、シングルモード導波路370は第3のシングルモード導波路の一例であり、シングルモード導波路380は第4のシングルモード導波路の一例である。シングルモード導波路350、360、370及び380は、絶縁層102の上面102Aの上に形成されていてもよい。
【0061】
平面視で、シングルモード導波路350、360、370及び380は、互いに交差していない。
【0062】
シングルモード導波路350は、例えば、コア部251と、コア部251から上面102Aに平行な方向に延出するスラブ部352A及び352Bとを有する。平面視で、スラブ部352Aは、コア部251のコア部261、271及び281側にあり、スラブ部352Bは、コア部251のスラブ部352Aとは反対側にある。スラブ部352A及び352Bの対がスラブ部352に含まれる。シングルモード導波路350における光の伝搬方向に垂直な方向での、スラブ部352Aの縁からスラブ部352Bの縁までの距離(以下、「スラブ部352の幅」ということがある)は一定である。例えば、スラブ部352の幅は、コアテーパ部251Aの入力ポート112との接続部での幅及びコアテーパ部251Bの出力ポート123との接続部での幅と等しくてもよい。スラブ部352A及び352Bは第1のスラブ部の一例である。
【0063】
シングルモード導波路360は、例えば、コア部261と、コア部261から上面102Aに平行な方向に延出するスラブ部362A及び362Bとを有する。平面視で、スラブ部362Aは、コア部261のコア部271、281及び251側にあり、スラブ部362Bは、コア部261のスラブ部362Aとは反対側にある。スラブ部362A及び362Bの対がスラブ部362に含まれる。シングルモード導波路360における光の伝搬方向に垂直な方向での、スラブ部362Aの縁からスラブ部362Bの縁までの距離(以下、「スラブ部362の幅」ということがある)は一定である。例えば、スラブ部362の幅は、コアテーパ部261Aの出力ポート124との接続部での幅及びコアテーパ部261Bの入力ポート131との接続部での幅と等しくてもよい。スラブ部362A及び362Bは第2のスラブ部の一例である。
【0064】
シングルモード導波路370は、例えば、コア部271と、コア部271から上面102Aに平行な方向に延出するスラブ部372A及び372Bとを有する。平面視で、スラブ部372Aは、コア部271のコア部281、251及び261側にあり、スラブ部372Bは、コア部271のスラブ部372Aとは反対側にある。スラブ部372A及び372Bの対がスラブ部372に含まれる。シングルモード導波路370における光の伝搬方向に垂直な方向での、スラブ部372Aの縁からスラブ部372Bの縁までの距離(以下、「スラブ部372の幅」ということがある)は一定である。例えば、スラブ部372の幅は、コアテーパ部271Aの入力ポート132との接続部での幅及びコアテーパ部271Bの出力ポート143との接続部での幅と等しくてもよい。スラブ部372A及び372Bは第3のスラブ部の一例である。
【0065】
シングルモード導波路380は、例えば、コア部281と、コア部281から上面102Aに平行な方向に延出するスラブ部382A及び382Bとを有する。平面視で、スラブ部382Aは、コア部281のコア部251、261及び271側にあり、スラブ部382Bは、コア部281のスラブ部382Aとは反対側にある。スラブ部382A及び382Bの対がスラブ部382に含まれる。シングルモード導波路380における光の伝搬方向に垂直な方向での、スラブ部382Aの縁からスラブ部382Bの縁までの距離(以下、「スラブ部382の幅」ということがある)は一定である。例えば、スラブ部382の幅は、コアテーパ部281Aの出力ポート144との接続部での幅及びコアテーパ部281Bの入力ポート111との接続部での幅と等しくてもよい。スラブ部382A及び382Bは第4のスラブ部の一例である。
【0066】
スラブ部352A、362A、372A及び382Aは、互いから離間している。つまり、スラブ部352Aと、スラブ部362Aと、スラブ部372Aと、スラブ部382Aとの間には隙間が存在する。例えば、隙間の幅は、最も狭い部分で500nm程度である。
【0067】
他の構成は第2の実施形態と同様である。
【0068】
光半導体素子300においては、信号光がシングルモード導波路226又は227から2×2MMIカプラ120の入力ポート122に入力される。また、LO光がシングルモード導波路246から1×2MMIカプラ140の入力ポート141に入力される。例えば、信号光及びLO光の波長は1.55μmである。信号光は2×2MMIカプラ120により2分岐され、出力ポート123及び124から出力される。出力ポート123から出力された信号光はシングルモード導波路350を介して2×2MMIカプラ110の入力ポート112に入力され、出力ポート124から出力された信号光はシングルモード導波路360を介して2×2MMIカプラ130の入力ポート131に入力される。LO光は1×2MMIカプラ140により2分岐され、出力ポート143及び144から出力される。出力ポート143から出力されたLO光はシングルモード導波路370を介して2×2MMIカプラ130の入力ポート132に入力され、出力ポート144から出力されたLO光はシングルモード導波路380を介して2×2MMIカプラ110の入力ポート111に入力される。2×2MMIカプラ110は、入力ポート111に入力されたLO光と入力ポート112に入力された信号光とを結合して合成し、位相が180度異なるQ成分の信号光を出力ポート113及び114からシングルモード導波路216及び217に出力する。2×2MMIカプラ130は、入力ポート132に入力されたLO光と入力ポート131に入力された信号光とを結合して合成し、位相が180度異なるI成分の信号光を出力ポート133及び134からシングルモード導波路236及び237に出力する。このようにして、位相が90度ずれた4つの信号光が光半導体素子300から出力される。
【0069】
第3の実施形態では、スラブ部352A、362A、372A及び382Aは、互いから離間し、スラブ部352Aと、スラブ部362Aと、スラブ部372Aと、スラブ部382Aとの間には隙間が存在する。したがって、シングルモード導波路350、360、370及び380の間でのモードの結合が極めて生じにくく、放射損失及びモードの結合に起因する特性劣化を更に抑制することができる。
【0070】
ここで、第3の実施形態に関し、1×2MMIカプラ140を模した1×2MMIカプラ及びその周辺の特性のシミュレーション結果について説明する。
図16A及び
図16Bは、それぞれ、1×2MMIカプラの2つの出力ポートに厚さT12が150nmのリブ型のシングルモード導波路(
図7A参照)が接続された場合の電界分布及びモード分布を示す図である。シミュレーションは、ビーム伝搬法により行った。
【0071】
図16A及び
図16Bに示すように、厚さT12が150nmのリブ型のシングルモード導波路が用いられた場合でも、隣り合うシングルモード導波路の間でのモードの結合が生じにくく、放射損失を抑制することができる。また、マルチモード導波路とシングルモード導波路との境界において99%以上の透過率を得ることができる。従って、製造ばらつきに伴う位相誤差の低減と、優れた透過率とを両立しやすい。
【0072】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態について説明する。第4の実施形態は、主に、リブ型のシングルモード導波路のスラブ部の構成の点で第3の実施形態と相違する。
図17は、第4の実施形態に係る光半導体素子を透視で示す平面図である。
図18A~
図18Dは、
図17の一部を拡大して示す平面図である。
【0073】
図17に示すように、第4の実施形態に係る光半導体素子400は、第3の実施形態のシングルモード導波路350、360、370及び380に代えて、シングルモード導波路450、460、470及び480を有する。光半導体素子400は、第3の実施形態のスラブ部352A、352B、362A、362B、372A、372B、382A及び382Bに代えて、スラブ部452A、452B、462A、462B、472A、472B、482A及び482Bを有する。
【0074】
シングルモード導波路450は、例えば、コア部251と、コア部251から上面102Aに平行な方向に延出するスラブ部452A及び452Bとを有する。平面視で、スラブ部452Aは、コア部251のコア部261、271及び281側にあり、スラブ部452Bは、コア部251のスラブ部452Aとは反対側にある。スラブ部452A及び452Bの対がスラブ部452に含まれる。スラブ部452A及び452Bは第1のスラブ部の一例である。
【0075】
図18Aに示すように、スラブ部452Aは、コアテーパ部251Aの一部の側方のテーパ部453Aと、コアテーパ部251Bの一部の側方のテーパ部453Bと、直線部251Cの側方の直線部453Cと、直線部251Dの側方の直線部453Dと、曲線部251Eの側方の曲線部453Eとを有する。スラブ部452Bは、コアテーパ部251Aの一部の側方のテーパ部454Aと、コアテーパ部251Bの一部の側方のテーパ部454Bと、直線部251Cの側方の直線部454Cと、直線部251Dの側方の直線部454Dと、曲線部251Eの側方の曲線部454Eとを有する。テーパ部453A及び454Aの対がスラブテーパ部455Aに含まれる。テーパ部453B及び454Bの対がスラブテーパ部455Bに含まれる。直線部453C及び454Cの対と、直線部453D及び454Dの対と、曲線部453E及び454Eの対とが等幅部455Cに含まれる。
【0076】
シングルモード導波路450における光の伝搬方向に垂直な方向での、直線部453C、曲線部453E及び直線部453Dの各縁から直線部454C、曲線部454E及び直線部454Dの各縁までの距離(以下、「等幅部455Cの幅」ということがある)は一定である。例えば、等幅部455Cの幅は、コアテーパ部251Aの入力ポート112との接続部での幅及びコアテーパ部251Bの出力ポート123との接続部での幅と等しくてもよい。
【0077】
シングルモード導波路450における光の伝搬方向に垂直な方向でのテーパ部453Aの縁からテーパ部454Aの縁までの距離(以下、「スラブテーパ部455Aの幅」ということがある)は、等幅部455Cとの境界で等幅部455Cの幅と等しく、等幅部455Cから離間するほど小さくなっている。スラブテーパ部455Aは入力ポート112から離間し、スラブテーパ部455Aの幅は入力ポート112から離間するほど広くなっている。スラブテーパ部455Aは第1のスラブテーパ部の一例である。
【0078】
シングルモード導波路450における光の伝搬方向に垂直な方向でのテーパ部453Bの縁からテーパ部454Bの縁までの距離(以下、「スラブテーパ部455Bの幅」ということがある)は、等幅部455Cとの境界で等幅部455Cの幅と等しく、等幅部455Cから離間するほど小さくなっている。スラブテーパ部455Bは出力ポート123から離間し、スラブテーパ部455Bの幅は出力ポート123から離間するほど広くなっている。スラブテーパ部455Bは第1のスラブテーパ部の一例である。
【0079】
シングルモード導波路460は、例えば、コア部261と、コア部261から上面102Aに平行な方向に延出するスラブ部462A及び462Bとを有する。平面視で、スラブ部462Aは、コア部261のコア部271、281及び251側にあり、スラブ部462Bは、コア部261のスラブ部462Aとは反対側にある。スラブ部462A及び462Bの対がスラブ部462に含まれる。スラブ部462A及び462Bは第2のスラブ部の一例である。
【0080】
図18Bに示すように、スラブ部462Aは、コアテーパ部261Aの一部の側方のテーパ部463Aと、コアテーパ部261Bの一部の側方のテーパ部463Bと、直線部261Cの側方の直線部463Cと、直線部261Dの側方の直線部463Dと、曲線部261Eの側方の曲線部463Eとを有する。スラブ部462Bは、コアテーパ部261Aの一部の側方のテーパ部464Aと、コアテーパ部261Bの一部の側方のテーパ部464Bと、直線部261Cの側方の直線部464Cと、直線部261Dの側方の直線部464Dと、曲線部261Eの側方の曲線部464Eとを有する。テーパ部463A及び464Aの対がスラブテーパ部465Aに含まれる。テーパ部463B及び464Bの対がスラブテーパ部465Bに含まれる。直線部463C及び464Cの対と、直線部463D及び464Dの対と、曲線部463E及び464Eの対とが等幅部465Cに含まれる。
【0081】
シングルモード導波路460における光の伝搬方向に垂直な方向での、直線部463C、曲線部463E及び直線部463Dの各縁から直線部464C、曲線部464E及び直線部464Dの各縁までの距離(以下、「等幅部465Cの幅」ということがある)は一定である。例えば、等幅部465Cの幅は、コアテーパ部261Aの出力ポート124との接続部での幅及びコアテーパ部261Bの入力ポート131との接続部での幅と等しくてもよい。
【0082】
シングルモード導波路460における光の伝搬方向に垂直な方向でのテーパ部463Aの縁からテーパ部464Aの縁までの距離(以下、「スラブテーパ部465Aの幅」ということがある)は、等幅部465Cとの境界で等幅部465Cの幅と等しく、等幅部465Cから離間するほど小さくなっている。スラブテーパ部465Aは出力ポート124から離間し、スラブテーパ部465Aの幅は出力ポート124から離間するほど広くなっている。スラブテーパ部465Aは第3のスラブテーパ部の一例である。
【0083】
シングルモード導波路460における光の伝搬方向に垂直な方向でのテーパ部463Bの縁からテーパ部464Bの縁までの距離(以下、「スラブテーパ部465Bの幅」ということがある)は、等幅部465Cとの境界で等幅部465Cの幅と等しく、等幅部465Cから離間するほど小さくなっている。スラブテーパ部465Bは入力ポート131から離間し、スラブテーパ部465Bの幅は入力ポート131から離間するほど広くなっている。スラブテーパ部465Bは第4のスラブテーパ部の一例である。
【0084】
シングルモード導波路470は、例えば、コア部271と、コア部271から上面102Aに平行な方向に延出するスラブ部472A及び472Bとを有する。平面視で、スラブ部472Aは、コア部271のコア部281、251及び261側にあり、スラブ部472Bは、コア部271のスラブ部472Aとは反対側にある。スラブ部472A及び472Bの対がスラブ部472に含まれる。スラブ部472A及び472Bは第3のスラブ部の一例である。
【0085】
図18Cに示すように、スラブ部472Aは、コアテーパ部271Aの一部の側方のテーパ部473Aと、コアテーパ部271Bの一部の側方のテーパ部473Bと、直線部271Cの側方の直線部473Cと、直線部271Dの側方の直線部473Dと、曲線部271Eの側方の曲線部473Eとを有する。スラブ部472Bは、コアテーパ部271Aの一部の側方のテーパ部474Aと、コアテーパ部271Bの一部の側方のテーパ部474Bと、直線部271Cの側方の直線部474Cと、直線部271Dの側方の直線部474Dと、曲線部271Eの側方の曲線部474Eとを有する。テーパ部473A及び474Aの対がスラブテーパ部475Aに含まれる。テーパ部473B及び474Bの対がスラブテーパ部475Bに含まれる。直線部473C及び474Cの対と、直線部473D及び474Dの対と、曲線部473E及び474Eの対とが等幅部475Cに含まれる。
【0086】
シングルモード導波路470における光の伝搬方向に垂直な方向での、直線部473C、曲線部473E及び直線部473Dの各縁から直線部474C、曲線部474E及び直線部474Dの各縁までの距離(以下、「等幅部475Cの幅」ということがある)は一定である。例えば、等幅部475Cの幅は、コアテーパ部271Aの入力ポート132との接続部での幅及びコアテーパ部271Bの出力ポート143との接続部での幅と等しくてもよい。
【0087】
シングルモード導波路470における光の伝搬方向に垂直な方向でのテーパ部473Aの縁からテーパ部474Aの縁までの距離(以下、「スラブテーパ部475Aの幅」ということがある)は、等幅部475Cとの境界で等幅部475Cの幅と等しく、等幅部475Cから離間するほど小さくなっている。スラブテーパ部475Aは入力ポート132から離間し、スラブテーパ部475Aの幅は入力ポート132から離間するほど広くなっている。スラブテーパ部475Aは第5のスラブテーパ部の一例である。
【0088】
シングルモード導波路470における光の伝搬方向に垂直な方向でのテーパ部473Bの縁からテーパ部474Bの縁までの距離(以下、「スラブテーパ部475Bの幅」ということがある)は、等幅部475Cとの境界で等幅部475Cの幅と等しく、等幅部475Cから離間するほど小さくなっている。スラブテーパ部475Bは出力ポート143から離間し、スラブテーパ部475Bの幅は出力ポート143から離間するほど広くなっている。スラブテーパ部475Bは第6のスラブテーパ部の一例である。
【0089】
シングルモード導波路480は、例えば、コア部281と、コア部281から上面102Aに平行な方向に延出するスラブ部482A及び482Bとを有する。平面視で、スラブ部482Aは、コア部281のコア部251、261及び271側にあり、スラブ部482Bは、コア部281のスラブ部482Aとは反対側にある。スラブ部482A及び482Bの対がスラブ部482に含まれる。スラブ部482A及び482Bは第4のスラブ部の一例である。
【0090】
図18Dに示すように、スラブ部482Aは、コアテーパ部281Aの一部の側方のテーパ部483Aと、コアテーパ部281Bの一部の側方のテーパ部483Bと、直線部281Cの側方の直線部483Cと、直線部281Dの側方の直線部483Dと、曲線部281Eの側方の曲線部483Eとを有する。スラブ部482Bは、コアテーパ部281Aの一部の側方のテーパ部484Aと、コアテーパ部281Bの一部の側方のテーパ部484Bと、直線部281Cの側方の直線部484Cと、直線部281Dの側方の直線部484Dと、曲線部281Eの側方の曲線部484Eとを有する。テーパ部483A及び484Aの対がスラブテーパ部485Aに含まれる。テーパ部483B及び484Bの対がスラブテーパ部485Bに含まれる。直線部483C及び484Cの対と、直線部483D及び484Dの対と、曲線部483E及び484Eの対とが等幅部485Cに含まれる。
【0091】
シングルモード導波路480における光の伝搬方向に垂直な方向での、直線部483C、曲線部483E及び直線部483Dの各縁から直線部484C、曲線部484E及び直線部484Dの各縁までの距離(以下、「等幅部485Cの幅」ということがある)は一定である。例えば、等幅部485Cの幅は、コアテーパ部281Aの出力ポート144との接続部での幅及びコアテーパ部281Bの入力ポート111との接続部での幅と等しくてもよい。
【0092】
シングルモード導波路480における光の伝搬方向に垂直な方向でのテーパ部483Aの縁からテーパ部484Aの縁までの距離(以下、「スラブテーパ部485Aの幅」ということがある)は、等幅部485Cとの境界で等幅部485Cの幅と等しく、等幅部485Cから離間するほど小さくなっている。スラブテーパ部485Aは出力ポート144から離間し、スラブテーパ部485Aの幅は出力ポート144から離間するほど広くなっている。スラブテーパ部485Aは第7のスラブテーパ部の一例である。
【0093】
シングルモード導波路480における光の伝搬方向に垂直な方向でのテーパ部483Bの縁からテーパ部484Bの縁までの距離(以下、「スラブテーパ部485Bの幅」ということがある)は、等幅部485Cとの境界で等幅部485Cの幅と等しく、等幅部485Cから離間するほど小さくなっている。スラブテーパ部485Bは入力ポート111から離間し、スラブテーパ部485Bの幅は入力ポート111から離間するほど広くなっている。スラブテーパ部485Bは第8のスラブテーパ部の一例である。
【0094】
スラブ部452A、462A、472A及び482Aは、互いから離間している。つまり、スラブ部452Aと、スラブ部462Aと、スラブ部472Aと、スラブ部482Aとの間には隙間が存在する。
【0095】
他の構成は第3の実施形態と同様である。
【0096】
第4の実施形態では、シングルモード導波路450にスラブテーパ部455A及び455Bが含まれ、シングルモード導波路460にスラブテーパ部465A及び465Bが含まれ、シングルモード導波路470にスラブテーパ部475A及び475Bが含まれ、シングルモード導波路480にスラブテーパ部485A及び485Bが含まれる。これらスラブテーパ部は、平面視でコアテーパ部と逆向きのテーパ構造を有する。従って、第4の実施形態によれば、マルチモード導波路115、125、135及び145とシングルモード導波路450、460、470及び480との間のモード不一致による損失を低減することができる。すなわち、第4の実施形態によれば、マルチモード導波路115、125、135及び145とシングルモード導波路450、460、470及び480との間でのモードの断熱的な変化により放射損失を低減することができる。
【0097】
ここで、第4の実施形態に関し、1×2MMIカプラ140を模した1×2MMIカプラ及びその周辺の特性のシミュレーション結果について説明する。
図19A及び
図19Bは、それぞれ、1×2MMIカプラの2つの出力ポートに厚さT12が150nmのリブ型のシングルモード導波路(
図7A参照)が接続された場合の電界分布及びモード分布を示す図である。シミュレーションは、ビーム伝搬法により行った。
【0098】
図19A及び
図19Bに示すように、厚さT12が150nmのリブ型のシングルモード導波路が用いられた場合でも、隣り合うシングルモード導波路の間でのモードの結合が生じにくく、放射損失を抑制することができる。また、マルチモード導波路とシングルモード導波路との境界において99%以上の透過率を得ることができる。従って、製造ばらつきに伴う位相誤差の低減と、優れた透過率とを両立しやすい。
【0099】
(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態について説明する。第5の実施形態は、主に、MMIカプラよりも外側のチャネル型のシングルモード導波路のスラブ部の構成の点で第2の実施形態と相違する。
図20は、第5の実施形態に係る光半導体素子を透視で示す平面図である。
【0100】
図20に示すように、第5の実施形態に係る光半導体素子500は、第2の実施形態のシングルモード導波路216、217、226、227、236、237及び246に代えて、リブ型のシングルモード導波路516、517、526、527、536、537及び546を有する。
【0101】
シングルモード導波路516は、例えば、コア部216Aと、コア部216Aから上面102Aに平行な方向に延出するスラブ部516A及び518とを有する。シングルモード導波路517は、例えば、コア部217Aと、コア部217Aから上面102Aに平行な方向に延出するスラブ部517A及び518とを有する。シングルモード導波路526は、例えば、コア部226Aと、コア部226Aから上面102Aに平行な方向に延出するスラブ部526A及び528とを有する。シングルモード導波路527は、例えば、コア部227Aと、コア部227Aから上面102Aに平行な方向に延出するスラブ部527A及び528とを有する。シングルモード導波路536は、例えば、コア部236Aと、コア部236Aから上面102Aに平行な方向に延出するスラブ部536A及び528とを有する。シングルモード導波路537は、例えば、コア部237Aと、コア部237Aから上面102Aに平行な方向に延出するスラブ部537A及び528とを有する。シングルモード導波路546は、例えば、コア部246Aと、コア部246Aから上面102Aに平行な方向に延出するスラブ部546A及び546Bとを有する。スラブ部518はシングルモード導波路516及び517に共有されてもよい。スラブ部528はシングルモード導波路526及び527に共有されてもよい。スラブ部538はシングルモード導波路536及び537に共有されてもよい。スラブ部548はシングルモード導波路546及び547に共有されてもよい。シングルモード導波路516は第5のシングルモード導波路の一例である。シングルモード導波路517は第6のシングルモード導波路の一例である。シングルモード導波路526は第7のシングルモード導波路の一例である。シングルモード導波路527は第8のシングルモード導波路の一例である。シングルモード導波路536は第9のシングルモード導波路の一例である。シングルモード導波路537は第10のシングルモード導波路の一例である。シングルモード導波路546は第11のシングルモード導波路の一例である。
【0102】
リブ型のシングルモード導波路516及び517にリブチャネル変換部519が直接接続され、リブチャネル変換部519にチャネル型のシングルモード導波路116及び117が直接接続されている。リブ型のシングルモード導波路526及び527にリブチャネル変換部529が直接接続され、リブチャネル変換部529にチャネル型のシングルモード導波路126及び127が直接接続されている。リブ型のシングルモード導波路536及び537にリブチャネル変換部539が直接接続され、リブチャネル変換部539にチャネル型のシングルモード導波路136及び137が直接接続されている。リブ型のシングルモード導波路546にリブチャネル変換部549が直接接続され、リブチャネル変換部549にチャネル型のシングルモード導波路146が直接接続されている。
【0103】
他の構成は第2の実施形態と同様である。
【0104】
第5の実施形態によっても第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、第5の実施形態では、2×2MMIカプラ110、2×2MMIカプラ120、2×2MMIカプラ130及び1×2MMIカプラ140のいずれにおいても、入力ポート及び出力ポートにリブ型のシングルモード導波路が接続されている。従って、特性及びトレランスの更なる向上を見込める。
【0105】
(第6の実施形態)
次に、第6の実施形態について説明する。第6の実施形態は、主に、チャネル型のシングルモード導波路のスラブ部の構成の点で第4の実施形態と相違する。
図21は、第6の実施形態に係る光半導体素子を透視で示す平面図である。
【0106】
図21に示すように、第6の実施形態に係る光半導体素子500は、第4の実施形態のシングルモード導波路216、217、226、227、236、237及び246に代えて、リブ型のシングルモード導波路616、617、626、627、636、637及び646を有する。
【0107】
シングルモード導波路616は、例えば、コア部216Aと、コア部216Aから上面102Aに平行な方向に延出するスラブ部616A及び616Dとを有する。スラブ部616Aは、コア部216Aのコア部217A側にあり、スラブ部616Dは、コア部216Aのスラブ部616Aとは反対側にある。スラブ部616Aは、コアテーパ部216Bの側方のテーパ部616Bと、直線部216Cの側方の直線部616Cとを有する。スラブ部616Dは、コアテーパ部216Bの側方のテーパ部616Eと、直線部216Cの側方の直線部616Fとを有する。テーパ部616B、直線部616C、テーパ部616E及び直線部616Fは、それぞれ2×2MMIカプラ110を軸にして、テーパ部483B、直線部483D、テーパ部484B及び直線部484D(
図18D参照)と線対称に配置されている。シングルモード導波路616は第5のシングルモード導波路の一例である。
【0108】
シングルモード導波路617は、例えば、コア部217Aと、コア部217Aから上面102Aに平行な方向に延出するスラブ部617A及び617Dとを有する。スラブ部617Aは、コア部217Aのコア部216A側にあり、スラブ部617Dは、コア部217Aのスラブ部617Aとは反対側にある。スラブ部617Aは、コアテーパ部217Bの側方のテーパ部617Bと、直線部217Cの側方の直線部617Cとを有する。スラブ部617Dは、コアテーパ部217Bの側方のテーパ部617Eと、直線部217Cの側方の直線部617Fとを有する。テーパ部617B、直線部617C、テーパ部617E及び直線部617Fは、それぞれ2×2MMIカプラ110を軸にして、テーパ部453A、直線部453C、テーパ部454A及び直線部454C(
図18A参照)と線対称に配置されている。シングルモード導波路617は第6のシングルモード導波路の一例である。
【0109】
シングルモード導波路626は、例えば、コア部226Aと、コア部226Aから上面102Aに平行な方向に延出するスラブ部626A及び626Dとを有する。スラブ部626Aは、コア部226Aのコア部227A側にあり、スラブ部626Dは、コア部226Aのスラブ部626Aとは反対側にある。スラブ部626Aは、コアテーパ部226Bの側方のテーパ部626Bと、直線部226Cの側方の直線部626Cとを有する。スラブ部626Dは、コアテーパ部226Bの側方のテーパ部626Eと、直線部226Cの側方の直線部626Fとを有する。テーパ部626B、直線部626C、テーパ部626E及び直線部626Fは、それぞれ2×2MMIカプラ120を軸にして、テーパ部453B、直線部453D、テーパ部454B及び直線部454D(
図18A参照)と線対称に配置されている。シングルモード導波路626は第7のシングルモード導波路の一例である。
【0110】
シングルモード導波路627は、例えば、コア部227Aと、コア部227Aから上面102Aに平行な方向に延出するスラブ部627A及び627Dとを有する。スラブ部627Aは、コア部227Aのコア部226A側にあり、スラブ部627Dは、コア部227Aのスラブ部627Aとは反対側にある。スラブ部627Aは、コアテーパ部227Bの側方のテーパ部627Bと、直線部227Cの側方の直線部627Cとを有する。スラブ部627Dは、コアテーパ部227Bの側方のテーパ部627Eと、直線部227Cの側方の直線部627Fとを有する。テーパ部627B、直線部627C、テーパ部627E及び直線部627Fは、それぞれ2×2MMIカプラ120を軸にして、テーパ部463A、直線部463C、テーパ部464A及び直線部464C(
図18B参照)と線対称に配置されている。シングルモード導波路627は第8のシングルモード導波路の一例である。
【0111】
シングルモード導波路636は、例えば、コア部236Aと、コア部236Aから上面102Aに平行な方向に延出するスラブ部636A及び636Dとを有する。スラブ部636Aは、コア部236Aのコア部237A側にあり、スラブ部636Dは、コア部236Aのスラブ部636Aとは反対側にある。スラブ部636Aは、コアテーパ部236Bの側方のテーパ部636Bと、直線部236Cの側方の直線部636Cとを有する。スラブ部636Dは、コアテーパ部236Bの側方のテーパ部636Eと、直線部236Cの側方の直線部636Fとを有する。テーパ部636B、直線部636C、テーパ部636E及び直線部636Fは、それぞれ2×2MMIカプラ130を軸にして、テーパ部463B、直線部463D、テーパ部464B及び直線部464D(
図18B参照)と線対称に配置されている。シングルモード導波路636は第9のシングルモード導波路の一例である。
【0112】
シングルモード導波路637は、例えば、コア部237Aと、コア部237Aから上面102Aに平行な方向に延出するスラブ部637A及び637Dとを有する。スラブ部637Aは、コア部237Aのコア部236A側にあり、スラブ部637Dは、コア部237Aのスラブ部637Aとは反対側にある。スラブ部637Aは、コアテーパ部237Bの側方のテーパ部637Bと、直線部237Cの側方の直線部637Cとを有する。スラブ部637Dは、コアテーパ部237Bの側方のテーパ部637Eと、直線部237Cの側方の直線部637Fとを有する。テーパ部637B、直線部637C、テーパ部637E及び直線部637Fは、それぞれ2×2MMIカプラ130を軸にして、テーパ部473A、直線部473C、テーパ部474A及び直線部474C(
図18C参照)と線対称に配置されている。シングルモード導波路637は第10のシングルモード導波路の一例である。
【0113】
シングルモード導波路646は、例えば、コア部246Aと、コア部246Aから上面102Aに平行な方向に延出するスラブ部646A及び646Dとを有する。スラブ部646Aは、コア部236Aの2×2MMIカプラ130側にあり、スラブ部636Dは、コア部236Aの2×2MMIカプラ110側にある。スラブ部646Aは、コアテーパ部246Bの側方のテーパ部646Bと、直線部246Cの側方の直線部646Cとを有する。スラブ部646Dは、コアテーパ部246Bの側方のテーパ部646Eと、直線部246Cの側方の直線部646Fとを有する。テーパ部646B、直線部646C、テーパ部646E及び直線部646Fは、それぞれ2×2MMIカプラ130を軸にして、テーパ部474B、直線部474D、テーパ部473B及び直線部473D(
図18D参照)と線対称の形状を有する。シングルモード導波路646は第11のシングルモード導波路の一例である。
【0114】
リブ型のシングルモード導波路616及び617にリブチャネル変換部519が直接接続され、リブチャネル変換部519にチャネル型のシングルモード導波路116及び117が直接接続されている。
【0115】
リブ型のシングルモード導波路626及び627にリブチャネル変換部529が直接接続され、リブチャネル変換部529にチャネル型のシングルモード導波路126及び127が直接接続されている。
【0116】
リブ型のシングルモード導波路636及び637にリブチャネル変換部539が直接接続され、リブチャネル変換部539にチャネル型のシングルモード導波路136及び137が直接接続されている。
【0117】
リブ型のシングルモード導波路646にリブチャネル変換部549が直接接続され、リブチャネル変換部549にチャネル型のシングルモード導波路146が直接接続されている。
【0118】
他の構成は第4の実施形態と同様である。
【0119】
第6の実施形態によっても第4の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、第6の実施形態では、2×2MMIカプラ110、2×2MMIカプラ120、2×2MMIカプラ130及び1×2MMIカプラ140のいずれにおいても、入力ポート及び出力ポートにリブ型のシングルモード導波路が接続されている。従って、特性及びトレランスの更なる向上を見込める。
【0120】
なお、第3の実施形態において、第5、第6の実施形態のように、各MMIカプラの入力ポート及び出力ポートにリブ型のシングルモード導波路が接続されていてもよい。
【0121】
いずれの実施形態においても、1×2MMIカプラ140に代えてY分岐を用いてもよい。
【0122】
(第7の実施形態)
次に、第7の実施形態について説明する。第7の実施形態は、第1~第6の実施形態のいずれかに係る光半導体素子を備えた受信器に関する。
図22は、第7の実施形態に係る受信器を示すブロック図である。
【0123】
図22に示すように、第7の実施形態に係る受信器700は、偏波スプリッタ701と、偏波ローテータ702と、スプリッタ703と、90度ハイブリッド回路704及び705と、検出器711~718とを有する。90度ハイブリッド回路704及び705に、第1~第6の実施形態のいずれかに係る光半導体素子が用いられる。検出器711~718は、例えばフォトダイオードである。
【0124】
偏波スプリッタ701は、入力された信号光をTE波とTM波に分波する。偏波ローテータ702は、偏波スプリッタ701から出力されたTM波をTE波に変換する。スプリッタ703は、入力されたLO光を分波する。90度ハイブリッド回路704に、偏波スプリッタ701から出力されたTE波と、スプリッタ703により分波されたLO光とが入力される。90度ハイブリッド回路705に、偏波ローテータ702から出力されたTE波と、スプリッタ703により分波されたLO光とが入力される。90度ハイブリッド回路704は、位相が180度異なるQ成分の信号光と、位相が180度異なるI成分の信号光とを出力する。検出器711及び712は、90度ハイブリッド回路704から出力されたQ成分の信号光を受光し、電気信号に変換する。検出器713及び714は、90度ハイブリッド回路704から出力されたI成分の信号光を受光し、電気信号に変換する。90度ハイブリッド回路705は、位相が180度異なるQ成分の信号光と、位相が180度異なるI成分の信号光とを出力する。検出器715及び716は、90度ハイブリッド回路705から出力されたQ成分の信号光を受光し、電気信号に変換する。検出器717及び718は、90度ハイブリッド回路705から出力されたI成分の信号光を受光し、電気信号に変換する。
【0125】
このような受信器700は、コヒーレントレシーバとして用いることができる。
【0126】
以上、好ましい実施の形態等について詳説したが、上述した実施の形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0127】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0128】
(付記1)
第1の入力ポート、第2の入力ポート、第1の出力ポート及び第2の出力ポートを備えた第1の光結合器と、
第3の入力ポート、第4の入力ポート、第3の出力ポート及び第4の出力ポートを備えた第1の光分岐器と、
第5の入力ポート、第6の入力ポート、第5の出力ポート及び第6の出力ポートを備えた第2の光結合器と、
第7の入力ポート、第7の出力ポート及び第8の出力ポートを備えた第2の光分岐器と、
前記第2の入力ポートと前記第3の出力ポートとを光学的に接続するリブ型の第1のシングルモード導波路と、
前記第4の出力ポートと前記第5の入力ポートとを光学的に接続するリブ型の第2のシングルモード導波路と、
前記第6の入力ポートと前記第7の出力ポートとを光学的に接続するリブ型の第3のシングルモード導波路と、
前記第8の出力ポートと前記第1の入力ポートとを光学的に接続するリブ型の第4のシングルモード導波路と、
を有することを特徴とする光半導体素子。
(付記2)
前記第1の光結合器は、チャネル型の第1のマルチモード導波路を有し、
前記第1の光分岐器は、チャネル型の第2のマルチモード導波路を有し、
前記第2の光結合器は、チャネル型の第3のマルチモード導波路を有し、
前記第2の光分岐器は、チャネル型の第4のマルチモード導波路を有することを特徴とする付記1に記載の光半導体素子。
(付記3)
前記第1のシングルモード導波路、前記第2のシングルモード導波路、前記第3のシングルモード導波路及び前記第4のシングルモード導波路は、共通の平面に設けられていることを特徴とする付記1又は2に記載の光半導体素子。
(付記4)
前記第1のシングルモード導波路は、
第1のコア部と、
前記第1のコア部から前記平面に平行な方向に延出する第1のスラブ部と、
を有し、
前記第2のシングルモード導波路は、
第2のコア部と、
前記第2のコア部から前記平面に平行な方向に延出する第2のスラブ部と、
を有し、
前記第3のシングルモード導波路は、
第3のコア部と、
前記第3のコア部から前記平面に平行な方向に延出する第3のスラブ部と、
を有し、
前記第4のシングルモード導波路は、
第4のコア部と、
前記第4のコア部から前記平面に平行な方向に延出する第4のスラブ部と、
を有し、
前記第1のコア部は、
前記第2の入力ポートに直接接続され、前記第2の入力ポートから離間するほど幅が狭くなる第1のコアテーパ部と、
前記第3の出力ポートに直接接続され、前記第3の出力ポートから離間するほど幅が狭くなる第2のコアテーパ部と、
を有し、
前記第2のコア部は、
前記第4の出力ポートに直接接続され、前記第4の出力ポートから離間するほど幅が狭くなる第3のコアテーパ部と、
前記第5の入力ポートに直接接続され、前記第5の入力ポートから離間するほど幅が狭くなる第4のコアテーパ部と、
を有し、
前記第3のコア部は、
前記第6の入力ポートに直接接続され、前記第6の入力ポートから離間するほど幅が狭くなる第5のコアテーパ部と、
前記第7の出力ポートに直接接続され、前記第7の出力ポートから離間するほど幅が狭くなる第6のコアテーパ部と、
を有し、
前記第4のコア部は、
前記第8の出力ポートに直接接続され、前記第8の出力ポートから離間するほど幅が狭くなる第7のコアテーパ部と、
前記第1の入力ポートに直接接続され、前記第1の入力ポートから離間するほど幅が狭くなる第8のコアテーパ部と、
を有することを特徴とする付記3に記載の光半導体素子。
(付記5)
前記平面に平行な方向において、前記第1のスラブ部と、前記第2のスラブ部と、前記第3のスラブ部と、前記第4のスラブ部とが、互いから離間していることを特徴とする付記4に記載の光半導体素子。
(付記6)
前記第1のスラブ部は、
前記第1のコアテーパ部の側方に位置し、前記第2の入力ポートから離間するほど幅が広くなる第1のスラブテーパ部と、
前記第2のコアテーパ部の側方に位置し、前記第3の出力ポートから離間するほど幅が広くなる第2のスラブテーパ部と、
を有し、
前記第2のスラブ部は、
前記第3のコアテーパ部の側方に位置し、前記第4の出力ポートから離間するほど幅が広くなる第3のスラブテーパ部と、
前記第4のコアテーパ部の側方に位置し、前記第5の入力ポートから離間するほど幅が広くなる第4のスラブテーパ部と、
を有し、
前記第3のスラブ部は、
前記第5のコアテーパ部の側方に位置し、前記第6の入力ポートから離間するほど幅が広くなる第5のスラブテーパ部と、
前記第6のコアテーパ部の側方に位置し、前記第7の出力ポートから離間するほど幅が広くなる第6のスラブテーパ部と、
を有し、
前記第4のスラブ部は、
前記第7のコアテーパ部の側方に位置し、前記第8の出力ポートから離間するほど幅が広くなる第7のスラブテーパ部と、
前記第8のコアテーパ部の側方に位置し、前記第1の入力ポートから離間するほど幅が広くなる第8のスラブテーパ部と、
を有することを特徴とする付記5に記載の光半導体素子。
(付記7)
前記第1の出力ポートに光学的に接続されたリブ型の第5のシングルモード導波路と、
前記第2の出力ポートに光学的に接続されたリブ型の第6のシングルモード導波路と、
前記第3の入力ポートに光学的に接続されたリブ型の第7のシングルモード導波路と、
前記第4の入力ポートに光学的に接続されたリブ型の第8のシングルモード導波路と、
前記第5の出力ポートに光学的に接続されたリブ型の第9のシングルモード導波路と、
前記第6の出力ポートに光学的に接続されたリブ型の第10のシングルモード導波路と、
前記第7の入力ポートに光学的に接続されたリブ型の第11のシングルモード導波路と、
を有することを特徴とする付記1乃至6のいずれか1項に記載の光半導体素子。
(付記8)
付記1乃至7のいずれか1項に記載の光半導体素子を有することを特徴とする受信器。
【符号の説明】
【0129】
100、200、300、400、500、600:光半導体素子
110、120、130:2×2MMIカプラ
111、112、121、122、131、132、141:入力ポート
113、114、123、124、133、134、143、144:出力ポート
115、125、135、145:マルチモード導波路
115A、125A、135A、145A、151、161、171、181、251、261、271、281:コア部
150、160、170、180、250、260、270、280、350、360、370、380、450、460、470、480、516、517、526、527、536、537、546、616、617、626、627、636、637、646:シングルモード導波路
152、162、172、182、192、252、262、272、282、292、352、362、372、382、452、462、472、482:スラブ部
251A、251B、261A、261B、271A、271B、281A、281B:コアテーパ部
455A、455B、465A、465B、475A、475B、485A、485B:スラブテーパ部
700:受信器
704、705:90度ハイブリッド回路