(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G02B 30/56 20200101AFI20240501BHJP
G02B 5/08 20060101ALI20240501BHJP
A47K 1/02 20060101ALI20240501BHJP
A47G 1/00 20060101ALI20240501BHJP
G06F 3/041 20060101ALI20240501BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20240501BHJP
G06F 3/042 20060101ALN20240501BHJP
【FI】
G02B30/56
G02B5/08 D
A47K1/02 B
A47G1/00 D
A47G1/00 F
G06F3/041 580
G09F9/00 354
G09F9/00 313
G06F3/042 470
(21)【出願番号】P 2019191546
(22)【出願日】2019-10-18
【審査請求日】2022-08-17
(31)【優先権主張番号】P 2018197889
(32)【優先日】2018-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】篠原 正幸
(72)【発明者】
【氏名】田上 靖宏
(72)【発明者】
【氏名】宮本 寛之
【審査官】鈴木 俊光
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-206831(JP,A)
【文献】特開2002-199995(JP,A)
【文献】特開2016-130832(JP,A)
【文献】実開昭58-144304(JP,U)
【文献】特開平07-237496(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0281061(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 30/56
G02B 5/08
G06F 3/041
G06F 3/042
G06F 3/048
A47K 1/02
A47G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミラー部と、前記ミラー部より大きい透過率を含むハーフミラー部とを、有する反射部と、
光源と、前記光源からの光を反射することによって所定のパターンを表示可能に構成される導光板と、を有する表示部と、
赤外線波長の光を用いて、前記所定のパターンに接近する物体を、検知するセンサ部と、
を備え、
前記ミラー部は、可視光波長において90%以下の範囲のミラー反射率を有し、
前記ハーフミラー部は、前記前記ミラー部及び前記導光板のいずれか一方に設けられ、前記可視光波長におい
て前記ミラー反射率より小さい第1反射率を有する、
表示装置。
【請求項2】
前記第1反射率は、前記可視光波長において、75%以上且つ95%以下の範囲である、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記ハーフミラー部は、前記赤外線波長において70%以下の範囲の第2反射率を、さらに有する、
請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記ハーフミラー部は、ミラー部と一体的に構成される、
請求項1から3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記ハーフミラー部は、前記ミラー部と別体に構成される、
請求項1から3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記ハーフミラー部は、前記導光板に反射材を蒸着することによって、前記導光板と一体に構成される、
請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記導光板は、前記ハーフミラー部及び前記センサ部の間に配置される、
請求項1から5のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記第1反射率は、前記可視光波長における95%以下の所定の基準反射率と、前記可視光波長に含まれるRGB波長のRGB反射率とを、有し、
前記RGB反射率は、前記基準反射率より小さい、
請求項1から7のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項9】
前記ハーフミラー部及び前記ミラー部の境界における前記第1反射率は、前記ハーフミラー部の中央部における前記第1反射率より大きい、
請求項1から8のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項10】
前記導光板は、複数の導光部を、有し、
複数の前記導光部によって反射された前記光源からの光は、複数の前記導光部のそれぞれに対応する複数の定点で収束し、
複数の前記定点で収束した光の集まりによって、所定の前記パターンが空間上に結像される、
請求項1から9のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項11】
ミラー部と、前記ミラー部より大きい透過率を含むハーフミラー部とを、有する反射部と、
光源と、前記光源からの光を反射することによって所定のパターンを表示可能に構成される導光板とを、有する表示部と、
赤外線波長の光を用いて、前記所定のパターンに接近する物体を、検知するセンサ部と、
を備え、
前記ハーフミラー部は、前記前記ミラー部及び前記導光板のいずれか一方に設けられ、
可視光波長における前記ハーフミラー部の第1反射率が、赤外線波長における前記ハーフミラー部の第2反射率と異なり、
前記第2反射率は、前記赤外線波長における前記ミラー部の反射率より大きい、
表示装置。
【請求項12】
前記第1反射率は、前記第2反射率より大きい、
請求項11に記載の表示装置。
【請求項13】
前記第1反射率から前記第2反射率を減算した差は、5%以上且つ95%未満の範囲に設定される、
請求項12に記載の表示装置。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか1項に記載の表示装置、
を備える機器。
【請求項15】
前記機器は、洗面台又は化粧台であり、
前記機器は、本体部と、前記本体部に取り付けられ前記表示装置を有する鏡面部とを、有する、
請求項14に記載の機器。
【請求項16】
前記機器は、家電であり、
前記機器は、ハウジングと、前記ハウジングに設けられる前記表示装置とを、有する、
請求項14に記載の機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置及び機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の表示装置では、ハーフミラー部と、液晶表示器(表示部)とが、開示されている(特許文献1を参照)。この表示装置では、鏡面部の一部が、ハーフミラー部から構成されている。すなわち、鏡面部は、ミラー部と、ハーフミラー部とから、構成されている。液晶表示器は、ハーフミラー部の背面において、ハーフミラー部に密着して配置されている。この構成によって、ユーザは、液晶表示器に表示された情報を、ハーフミラー部を介して、鏡面部の前方から視認することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の表示装置では、液晶表示器の情報を鏡面部の前方からユーザに視認させるために、鏡面部には、ハーフミラー部が用いられている。しかしながら、この場合、ミラー部の反射率(透過率)及びハーフミラー部の反射率(透過率)が異なるので、ミラー部及びハーフミラー部の境界線が、ユーザに視認されるという問題がある。すなわち、鏡面部に映った対象及び上記の境界線の両方が、ユーザに視認されるという問題がある。
【0005】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、対象を好適に反射部に表示可能な表示装置及び機器を、提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様に係る表示装置は、反射部と、表示部と、センサ部とを、備える。反射部は、ミラー部と、ミラー部より大きい透過率を含むハーフミラー部とを、有する。表示部は、ハーフミラー部と並べて配置される。表示部は、ハーフミラー部と並べて配置される。表示部は、光源と、光源からの光を反射することによって所定のパターンを表示可能に構成される導光板とを、有する。センサ部は、赤外線波長の光を用いて、所定のパターンに接近する物体を、検知する。ここで、ハーフミラー部は、可視光波長において95%以下の第1反射率を、有する。
【0007】
本態様に係る表示装置では、ハーフミラー部が、可視光波長において95%以下の範囲の第1反射率を、有するので、ミラー部の反射率及びハーフミラー部の反射率の差を小さくすることができる。
【0008】
これにより、反射部がミラー部とハーフミラー部とを有していても、ミラー部及びハーフミラー部の境界線をユーザに視認させることなく、反射部に映る対象をユーザに好適に視認させることができる。すなわち、対象を好適に反射部に表示することができる。
【0009】
第1反射率は、可視光波長において、75%以上且つ95%以下の範囲であってもよい。これにより、対象をより好適に反射部に表示することができる。
【0010】
ハーフミラー部は、赤外線波長において70%以下の第2反射率を、さらに有していてもよい。このように第2反射率を設定することによって、センサ部の赤外線がハーフミラー部を透過しやすくなる。これにより、所定のパターンに接近する物体を、センサ部によって容易に検知することができる。
【0011】
ハーフミラー部は、ミラー部と一体的に構成されてもよい。これにより、対象をより好適に反射部に表示することができる。
【0012】
ハーフミラー部は、ミラー部と別体に構成されてもよい。これにより、特性が異なる2つの部分、すなわちミラー部及びハーフミラー部を、個別に製造することができるので、表示装置の製造コストを低減することができる。
【0013】
ハーフミラー部は、導光板に反射材を蒸着することによって、導光板と一体に構成されてもよい。このように、ハーフミラー部を導光板と一体に構成することによって、部品点数を減らすことができる。すなわち、表示装置の製造コストを低減することができる。また、導光板をハーフミラー部の基材として用いることによって、ハーフミラー部の厚みを薄くすることができる。
【0014】
導光板は、ハーフミラー部及びセンサ部の間に配置されてもよい。この場合、表示装置の各構成は、ミラー部、ハーフミラー部、導光板、センサ部の順に、並べて配置される。このため、導光板及びセンサ部をミラー部に沿って配置する場合と比較して、ハーフミラー部の大きさを小さく形成することができる。すなわち、表示装置の製造コストを低減することができる。
【0015】
第1反射率は、可視光波長における基準反射率と、可視光波長内のRGB波長において基準反射率より小さいRGB反射率とを、有していてもよい。
【0016】
ここで、ミラー部の反射率及びハーフミラー部の反射率の差を小さくするために、第1反射率として基準反射率だけが用いられると、所定のパターンの明るさ、例えば表示部によって表示される映像の明るさが、低下するおそれがある。しかし、本態様に係る表示装置では、第1反射率が、基準反射率だけでなく、上記のRGB反射率を有しているので、所定のパターンを好適に表示することができる。
【0017】
ハーフミラー部及びミラー部の境界における第1反射率は、ハーフミラー部の中央部における第1反射率より小さくしてもよい。
【0018】
これにより、ハーフミラー部及びミラー部の境界において、ミラー部及びハーフミラー部の境界線をユーザに視認させることなく、対象だけを反射部においてユーザに視認させることができる。また、ハーフミラー部の中央部では、所定のパターンを好適に表示することができる。
【0019】
導光板は、複数の導光部を有していてもよい。この場合、複数の導光部によって反射された光源からの光は、複数の導光部のそれぞれに対応する複数の定点で収束する。複数の定点で収束した光の集まりによって、所定のパターンが空間上に結像される。これにより、所定のパターンを好適に表示することができる。
【0020】
一態様に係る表示装置は、反射部と、表示部と、センサ部とを、備える。反射部は、ミラー部と、ミラー部より大きい透過率を含むハーフミラー部とを、有する。表示部は、ハーフミラー部と並べて配置される。表示部は、光源と、光源からの光を反射することによって所定のパターンを表示可能に構成される導光板とを、有する。センサ部は、赤外線波長の光を用いて、所定のパターンに接近する物体を、検知する。ここで、ハーフミラー部において、可視光波長における第1反射率は、赤外線波長における第2反射率と異なる。
【0021】
本態様にかかる表示装置では、ハーフミラー部において、第1反射率は第2反射率と異なるので、光源が非点灯になった場合に、導光板をユーザに視認されないようにすることができる。
【0022】
第1反射率は、前記第2反射率より大きくてもよい。これにより、光源が非点灯になった場合に、導光板を好適にユーザに視認されないようにすることができる。
【0023】
第1反射率から第2反射率を減算した差は、5%以上且つ95%未満の範囲に設定されてもよい。これにより、光源が非点灯になった場合に、導光板をより好適にユーザに視認されないようにすることができる。
【0024】
一態様に係る機器は、上述した表示装置を、備える。このように上記の表示装置を機器に用いることによって、機器は、上述した効果と同様の効果を得ることができる。
【0025】
機器は、洗面台又は化粧台であってもよい。この場合、機器は、本体部と、鏡面部とを、有する。鏡面部は、本体部に取り付けられる。鏡面部は、表示装置を有する。これにより、洗面台又は化粧台は、鏡面部の表示装置によって、上述した効果と同様の効果を得ることができる。
【0026】
機器は、家電であってもよい。この場合、機器は、ハウジングと、表示装置とを、有する。表示装置は、ハウジングに設けられる。これにより、家電は、ハウジングの表示装置によって、上述した効果と同様の効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、表示装置及び機器において、対象を好適に反射部に表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】第1実施形態に係る機器の構成を示す模式図。
【
図2】
図1の切断線II-IIにおける表示装置の模式図。
【
図5A】プリズムの形状を説明するための導光板の断面図。
【
図8】第2実施形態に係る機器において反射部の反射特性を説明するための特性図。
【
図9A】第3実施形態に係る機器における表示装置の構成を示す模式図。
【
図9B】第3実施形態に係る機器における表示装置の構成を示す模式図。
【
図10】第4実施形態に係る機器における表示装置の構成を示す模式図。
【
図11】第5実施形態に係る機器における表示装置の構成を示す模式図。
【
図12】第6実施形態に係る機器において反射部の反射特性を説明するための特性図。
【
図13】他の実施形態に係る機器の構成を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
<第1実施形態>
以下、第1実施形態にかかる表示装置102について説明する。
図1は、表示装置102が適用される機器100を示す模式図である。機器100は、例えば、洗面台である。
図1に示すように、機器100は、本体部101と、表示装置102とを、有する。
【0030】
(本体部)
図1に示すように、本体部101は、第1本体部101aと、第2本体部101bとを、有する。第1本体部101aは、床面上に設置される。第2本体部101bは、第1本体部101aの上部に設けられる。第2本体部101bは、第1本体部101aと一体に形成されてもよいし、第1本体部101aと別体に形成されてもよい。
【0031】
(表示装置)
図1に示すように、表示装置102は、本体部101に設けられる。例えば、表示装置102は、第2本体部101bに取り付けられる。表示装置102は、機器100に関する情報を表示する。
図2に示すように、表示装置102は、導光板ディスプレイ1(表示部の一例)と、センサ部2と、反射部3とを、備える。
【0032】
-導光板ディスプレイ-
図2に示すように、導光板ディスプレイ1は、反射部3と並べて配置される。例えば、導光板ディスプレイ1は、ハーフミラー部32(後述する)と並べて配置される。より具体的には、導光板ディスプレイ1は、第1側にハーフミラー部32と並べて配置される。
【0033】
導光板ディスプレイ1は、ハーフミラー部32を介して、第1側と反対の第2側に所定のパターン30を表示する。なお、第1側は、反射部3のハーフミラー部32の背面側に対応する。第2側は、反射部3のハーフミラー部32の前面側(前方)に対応する。
【0034】
すなわち、導光板ディスプレイ1は、ハーフミラー部32の背面側において、ハーフミラー部32と並べて配置される。導光板ディスプレイ1は、ハーフミラー部32を介して、ハーフミラー部32の前方に所定のパターン30を表示する。
【0035】
図3に示すように、導光板ディスプレイ1は、導光板10と、光源11とを、有する。
図4Aに示すように、導光板ディスプレイ1は、コントローラ13と、信号出力装置14とを、さらに有する。
【0036】
導光板10は、光源11からの光を反射することによって、所定のパターン30をハーフミラー部32の前方に表示可能に構成される。本実施形態では、
図6A及び
図6Bに示すように、所定のパターン30は、第1のパターン30aと、第2のパターン30bとを、有する。
【0037】
第1のパターン30a及び第2のパターン30bは、互いに別のパターンとして表示されてもよいし、第1のパターン30a及び第2のパターン30bのいずれか一方を修正することによって表示されてもよい。
【0038】
なお、本実施形態では、所定のパターン30が、第1のパターン30aと、第2のパターン30bとを有する場合の例を示すが、パターンの数は、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
【0039】
図2に示すように、導光板10は、ハーフミラー部32の背面側に配置される。導光板10は、透光性材料で形成される。導光板10は、例えばポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート、又はシクロオレフィンポリマー等の透明な樹脂、及びガラスなどの材料によって、形成されることが好ましい。
【0040】
図3に示すように、光源11は、導光板10の端面から導光板10の内部に向かって光を照射する。光源11は、コントローラ13(後述する)からの制御信号に基づいて、制御される。光源11は、例えばLED(Light Emitting Diode)である。ただし、光源11は、LEDに限らず、OLED(Organic Light Emitting Diode)などの他の光源であってもよい。
【0041】
詳細には、上記の構成を有する導光板ディスプレイ1では、導光板10は、光源11からの光を導いて、ハーフミラー部32の前方の空間に、所定のパターン30を結像させる。すなわち、導光板10は、ユーザにより視認される所定のパターン30を、スクリーンのない空間に投影する。
【0042】
導光板10は、出射面10aと、背面10bと、端面10c-10fとを、有する。出射面10aは、光源11からの光を出射する。背面10bは、出射面10aの反対側に位置する。端面10cには、光源11からの光が入射される。光源11からの光は、他の端面10d-10fに入射されてもよい。
【0043】
出射面10aの前面には、結露等を防止するために、親水性のコーティング又は吸水性のコーティングが施されてもよい。また、出射面10aの前面は、図示しないヒータによって、温められてもよい。
【0044】
なお、
図3では、出射面10aが鉛直方向に平行になるように、導光板10が配置される場合の例が、示されている。しかし、出射面10aが鉛直方向に対して、0度を含まない所定の角度をなすように導光板10が設置されてもよい。
【0045】
導光板10は、複数のプリズム20を、有する。
図5Aに示すように、プリズム20は、導光板10の背面10bに設けられる。例えば、プリズム20は、光源11からの光を、導光板10の出射面10aに向けて反射する。
図2及び
図3に示すように、プリズム20によって反射された反射光は、ハーフミラー部32を通過し、各導光部12(後述する)に対応する定点で収束する。すなわち、反射光が、各導光部12に対応する定点で収束するように、プリズム20は、導光板10の背面10bに配列される。
【0046】
例えば、
図5Aに示すように、プリズム20は、導光板10の背面10bから凹んだディンプルによって形成されている。例えば、
図5B(a)に示すように、プリズム20は、三角錐の形状を、有する。また、プリズム20は、
図5B(b)に示すように、三角柱の形状を、有してもよい。また、
図5B(c)に示すように、プリズム20は、曲面を有する形状であってもよい。
【0047】
図3に示すように、導光板10は、複数の導光部12を、さらに有する。複数の導光部12それぞれは、所定のパターン30に含まれる複数の定点に対応するように、設けられる。
【0048】
例えば、複数の導光部12は、第1導光部12aと、第2導光部12bと、第3導光部12cとを、有する。第1導光部12aは、所定のパターン30に含まれる第1定点A1に対応している。第2導光部12bは、所定のパターン30に含まれる第2定点A2に対応している。第3導光部12cは、所定のパターン30に含まれる第3定点A3に対応している。
【0049】
第1導光部12aに入射した光は、第1定点A1に収束するように、第1導光部12aに含まれる複数のプリズム20によって、反射される。また、第2導光部12bに入射した光は、第2定点A2に収束するように、第2導光部12bに含まれる複数のプリズム20によって、反射される。さらに、第3導光部12cに入射した光は、第3定点A3に収束するように、第3導光部12cに含まれる複数のプリズム20によって、反射される。
【0050】
これにより、第1導光部12a、第2導光部12b、及び第3導光部12cそれぞれからの光の波面は、第1定点A1、第2定点A2、及び第3定点A3それぞれから発するような光の波面となる。
【0051】
このように、光源11からの光は、複数の導光部12によって反射されることで、複数の導光部12のそれぞれに対応する複数の定点で収束する。これにより、複数の定点から光が発するような光の波面が、形成される。これらの複数の定点で収束した光の集まりによって、ユーザによって認識可能な所定のパターン30が、空間上に結像される。
【0052】
図4Aに示すように、コントローラ13は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサ51と、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等のメモリ52とを、有する。メモリ52は、プロセッサ51によって実行されるコンピュータ指令、及び導光板ディスプレイ1を制御するためのデータを記憶している。コントローラ13は、光源11と信号出力装置14とを制御する。コントローラ13は、センサ部2から検出信号を受信する。
【0053】
信号出力装置14は、信号線61を介して、コントローラ13からの指令に応じた信号を出力する。信号線61は、外部の機器に接続される。信号出力装置14は、例えばアナログ出力回路を含む。なお、信号出力装置14は、デジタル出力回路を含んでもよい。信号出力装置14からの信号は、指令値を有する。指令値は、例えば電圧値である。ただし、指令値は電流値であってもよい。
【0054】
-センサ部-
センサ部2は、非接触で物体を検出する近接センサである。ここでは、センサ部2は、赤外線波長の光を用いて、所定のパターン30に接近する物体を、検知する。例えば、センサ部2は、第1及び第2のパターン30a,30bの結像空間に接近する物体を、非接触で検知する。
【0055】
図2に示すように、センサ部2は、例えば、光電センサである。センサ部2は、投光素子2aと、受光素子2bとを、有する。投光素子2aは、ハーフミラー部32に向かって赤外線を照射する。受光素子2bは、物体によって反射された赤外線を受ける。センサ部2は、検出結果を示す信号をコントローラ13に出力する。なお、投光素子2aと受光素子2bとは、互いに別体のユニットに分かれて設けられてもよい。
【0056】
詳細には、センサ部2は、限定反射センサである。限定反射センサは、所定の検出位置Pに物体が位置した場合に、物体の存在を検出する。限定反射センサは、複数の所定の検出位置Pの少なくともいずれか1つに物体が位置した場合に、物体の存在を検出してもよい。所定の検出位置Pは、第1のパターン30aの結像空間及び第2のパターン30bの結像空間の内部に、含まれる。
【0057】
例えば、所定の検出位置Pは、第1のパターン30aのボタン部に含まれる。詳細には、所定の検出位置Pは、ボタン押圧面(
図3、
図6A、及び
図6Bを参照)に含まれる。これにより、センサ部2は、ユーザの指がボタン部の位置にあることを、検出する。すなわち、センサ部2は、ボタン部に対するユーザの入力動作を、検出する。
【0058】
なお、センサ部2は、限定反射センサに限らず、TOF(time of flight)方式などの他の光電センサであってもよい。或いは、センサ部2は、光電センサに限らず、電波、磁界、或いは熱等の他の媒体を介して物体を検出するものであってもよい。
【0059】
ここで、機器100が洗面台である場合、反射部3の前方には、霧や湯気等が発生することがある。この場合、センサ部2が、霧や湯気等を、所定のパターン30に接近する物体として、検知してしまうおそれがある。このため、センサ部2がコントローラ13に出力する検出信号、例えば電圧値を、次のように設定することが好ましい。
【0060】
例えば、センサ部2が物体を検知する電圧VS(物体検知電圧)が、所定の閾値以上に、設定される。この場合、
図4Bに示すように、物体検知電圧VSは、センサ部2が標準反射板(白反射板)を検知する電圧の最大値V0(基準電圧)の1/10以上に、設定される。ここでは、「V0/10」が、所定の閾値に対応する。
【0061】
図4Bでは、センサ部2が霧や湯気等を検知する電圧の最大値が、異物検知電圧V1として、示されている。異物検知電圧V1は、例えば、基準電圧V0の1/10未満である。このように、物体検知電圧VSを基準電圧V0の1/10以上に設定することによって、霧や湯気等に対するセンサ部2の検知を、回避することができる。すなわち、反射部3の前方に霧や湯気等が発生したとしても、センサ部2に接近する物体のみを、センサ部2に検知させることができる。
【0062】
なお、本実施形態では、センサ部2の検出位置Pは、センサ部2の検出範囲の中央部に設定されている。このように、センサ部2の検出位置Pを設定することによって、物体の検出を好適に行うことができる。
【0063】
センサ部2は、反射部3のハーフミラー部32の背面側において、ハーフミラー部32と並べて配置される。センサ部2は、ハーフミラー部32を介して、ハーフミラー部32の前方に表示された所定のパターン30(第1のパターン30a又は第2のパターン30b)に接近する物体を、検知する。また、センサ部2及び導光板ディスプレイ1は、ハーフミラー部32に沿って、並べて配置される。詳細には、センサ部2及び導光板10は、ハーフミラー部32に沿って、並べて配置される。
【0064】
本実施形態では、コントローラ13は、センサ部2によって物体が検出された場合に、所定のパターン30に対する入力動作を、検出する。コントローラ13は、所定のパターン30に対応する入力動作に応じて、検出信号を信号出力装置14から出力する。これにより、コントローラ13は、センサ部2からの検出信号に基づいて、ユーザによる入力動作を、認識する。
【0065】
例えば、
図6Aに示すように、第1のパターン30aが表示された状態において、センサ部2が物体を認識すると、コントローラ13は、第2のパターン30bを表示する(
図6Bを参照)。一方で、
図6Bに示すように、第2のパターン30bが表示された状態において、センサ部2が物体を認識すると、コントローラ13は、第1のパターン30aを表示する(
図6Aを参照)。
【0066】
このように、コントローラ13は、センサ部2の検出信号に応じて、第1のパターン30a及び第2のパターン30bのいずれか一方を、第1のパターン30a及び第2のパターン30bのいずれか他方に、切り換える。
【0067】
なお、本実施形態では、第1のパターン30aは、例えば、洗面台のスイッチがオフであることを示す映像である。第1のパターン30aが表示されている場合は、例えば、洗面台のライト(図示しない)がオフ状態になる。第2のパターン30bは、洗面台のスイッチがオンであることを示す映像である。第2のパターン30bが表示されている場合は、例えば、洗面台のライトがオン状態になる。このオンオフ制御は、コントローラ13によって実行される。
【0068】
-反射部-
図2に示すように、反射部3は、ミラー部31と、ハーフミラー部32とを、有する。ミラー部31は、基材31aに第1反射材31bを重ねることによって形成される。基材31aは、透光性材料によって形成される。例えば、基材31aは、ガラス及び透明フィルム等の透光性材料によって、形成される。基材31aの前面には、水滴等の付着を防止するために、親水性のコーティング又は吸水性のコーティングが施されてもよい。また、基材31aの前面は、図示しないヒータによって、温められてもよい。これにより、基材31aの前面の曇り止めが、実現される。第1反射材31bは、例えば、銀等の金属材によって、形成される。
【0069】
ミラー部31は、銀鏡反応を用いた銅銀引き製鏡によって、形成される。この場合、まず、ハーフミラー部32を形成する部分には、基材31aにマスキング処理が施される。なお、基板においてマスキング処理が施された部分には、ハーフミラー部32の第2反射材32b(後述する)が重ねられる。
【0070】
この状態において、錫溶液等の表面活性材が、基材31aに吹き付けられる。次に、硝酸銀溶液及び水酸化ナトリュゥム等の還元材が、基材31aに吹き付けられる。これにより、第1反射材31bとしての銀膜が、基材31aに形成される。最後に、銀膜が形成された後には、銅溶液を銀膜に吹き付けることによって、保護膜が銀膜の上に形成される。この保護膜によって、銀膜の劣化が防止される。さらに、保護膜には、裏面保護膜塗装が施される。
【0071】
ミラー部31は、真空蒸着メッキを用いた真空蒸着製鏡によって、形成されてもよい。この場合、まず、ハーフミラー部32を形成する部分には、基材31aにマスキング処理が施される。なお、基材31aにおいてマスキング処理が施された部分には、ハーフミラー部32の第2反射材32b(後述する)が重ねられる。
【0072】
この状態において、基材31aを蒸着真空装置に配置することによって、基材31aに対して真空蒸着メッキが施される。これにより、第1反射材31bとしての銀膜が、基材31aに形成される。最後に、銀膜が形成された後には、エポキシ変性アミノアリキッド等のような有機系の無鉛樹脂塗料によって、保護膜が形成される。
【0073】
このように形成されたミラー部31は、例えば、第1反射材31bの厚みを調整することによって、以下の特性を有する。
【0074】
図7に示すように、ミラー部31は、可視光波長における第1反射率M1と、赤外線波長における第2反射率M2とを、有する。第1反射率M1は、例えば、80%以上且つ90%以下の範囲に設定される。
【0075】
なお、本実施形態では、紫外線波長におけるミラー部31の反射率M3は、第1反射率M1と実質的に同じである。
【0076】
図2に示すように、ハーフミラー部32は、ミラー部31と一体的に構成される。ハーフミラー部32は、基材31aに第2反射材32bを重ねることによって形成される。
【0077】
例えば、上記のマスキング処理が、基材31aから取り除かれる。第2反射材32bは、基材31aにおいてマスキング処理が取り除かれた部分に、形成される。第2反射材32bは、例えば、屈曲率の異なる材料を層状に重ねることによって、形成される。ハーフミラー部32の形成形態は、材料を層状に重ねる点を除いて、上述したミラー部31の形成と実質的に同じであるので、ここでは説明を省略する。
【0078】
このように形成されたハーフミラー部32は、例えば、第2反射材32bの各層の厚みを調整することによって、以下の特性を有する。
【0079】
図7に示すように、ハーフミラー部32は、可視光波長における第3反射率H1と、赤外線波長における第4反射率H2とを、有する。第3反射率H1は、第4反射率H2と異なる。例えば、第3反射率H1は、第4反射率H2より大きい。詳細には、第3反射率H1から第4反射率H2を減算した差は、5%以上且つ95%未満の範囲に設定される。
【0080】
第3反射率H1は、可視光波長において75%以上且つ95%以下の範囲に設定される。第4反射率H2は、赤外線波長において70%以下の範囲に設定される。本実施形態では、紫外線波長におけるハーフミラー部32の反射率H3は、第3反射率H1と実質的に同じである。
【0081】
なお、第3反射率H1は、請求項に記載の第1反射率の一例である。第4反射率H2は、請求項に記載の第2反射率の一例である。
【0082】
ハーフミラー部32の透過率は、ミラー部31の透過率より大きい。本実施形態では、ミラー部31の透過率は、実質的にゼロである。ミラー部31の透過率は、ゼロ以外の値であってもよい。ハーフミラー部32の透過率は、ミラー部31の透過率より大きければ、どのような値に設定されていてもよい。
【0083】
上記の構成を有する表示装置102では、ミラー部31の第1反射率M1が、可視光波長において、80%以上且つ90%以下の範囲に設定される。ハーフミラー部32の第3反射率H1は、可視光波長において、75%以上且つ95%以下の範囲に設定される。このように、第1反射率M1及び第3反射率H1を設定することによって、ミラー部31の反射率及びハーフミラー部32の反射率の差を小さくすることができる。
【0084】
これにより、反射部3がミラー部31とハーフミラー部32とを有していても、ミラー部31及びハーフミラー部32の境界線をユーザに視認させることなく、反射部3に映る対象だけをユーザに視認させることができる。すなわち、対象を好適に反射部3に表示することができる。
【0085】
また、ハーフミラー部32は、赤外線波長において、70%以下の範囲に設定される。これにより、センサ部2の赤外線がハーフミラー部32を透過しやすくなるので、第1のパターン30a及び第2のパターン30bに接近する物体を、センサ部2によって容易に検知することができる。さらに、ハーフミラー部32が、ミラー部31と一体的に構成されているので、対象を好適に反射部3に表示することができる。
【0086】
<第2実施形態>
第2実施形態の構成は、反射部3の特性を除いて、第1実施形態の構成と実質的に同じである。このため、第2実施形態では、第1実施形態と異なる構成のみを、説明する。なお、ここで省略された構成は、第1実施形態の構成に準ずる。
【0087】
図2に示すように、反射部3は、ミラー部31と、ハーフミラー部32とを、有する。ミラー部31の構成は第1実施形態と同じであるので、ミラー部31の説明は省略する。
【0088】
ハーフミラー部32は、基材31aに第2反射材32bを重ねることによって形成される。例えば、第2反射材32bの各層の厚みを調整することによって、ハーフミラー部32が、以下の特性を有するように、形成される。
【0089】
図8に示すように、ハーフミラー部32は、可視光波長における第5反射率H4を、有する。第5反射率H4は、請求項における第1反射率の一例である。
【0090】
第5反射率H4は、基準反射率H41と、RGB反射率H42とを、有する。RGBは、三原色(Red、Green、Blue)の頭文字である。
【0091】
基準反射率H41は、第1実施形態の第1反射率M1に対応する反射率である。RGB反射率H42は、可視光波長内のRGB波長における反射率である。RGB反射率H42は、基準反射率H41より小さくなるように、設定される。
【0092】
例えば、RGB反射率H42は、R反射率H42aと、G反射率H42bと、B反射率H42cとを、有する。R反射率H42a、G反射率H42b、及びB反射率H42cは、可視光波長内のB波長において、30%以上且つ90%以下の範囲に設定される。
【0093】
上記の構成を有する表示装置102では、RGB反射率H42が基準反射率H41より小さく設定されるので、ミラー部31の第1反射率M1及びハーフミラー部32の基準反射率H41の差を小さくしたとしても、第1のパターン30a及び第2のパターン30bの明るさを低下させることなく、第1のパターン30a及び第2のパターン30bを好適に表示することができる。
【0094】
<第3実施形態>
第3実施形態の構成は、反射部3の構成を除いて、第1実施形態の構成と実質的に同じである。このため、第3実施形態では、第1実施形態と異なる構成のみを、説明する。なお、ここで省略された構成は、第1実施形態の構成に準ずる。
【0095】
図9A及び
図9Bに示すように、反射部3は、ミラー部31と、ハーフミラー部32とを、有する。ミラー部31の構成は第1実施形態と同じであるので、ミラー部31の説明は省略する。
【0096】
ハーフミラー部32は、ミラー部31と別体に構成される。ハーフミラー部32は、基材32aに第2反射材32bを重ねることによって形成される。ハーフミラー部32の基材32aは、ミラー部31の基材31aとは別部材である。ハーフミラー部32の基材32aは、ガラス及び透明フィルム等の透光性材料によって、形成される。基材32aの前面には、水滴等の付着を防止するために、親水性のコーティング又は吸水性のコーティングが施されてもよい。また、基材32aの前面は、図示しないヒータによって、温められてもよい。これにより、基材32aの前面の曇り止めが、実現される。
【0097】
ハーフミラー部32は、基材32aに対して、第1実施形態と同様の処理を施すことによって、第2反射材32bとしての銀膜が、基材32aに形成される。
【0098】
ハーフミラー部32は、ミラー部31の背面側において、ミラー部31と並べて配置される。詳細には、ハーフミラー部32は、ミラー部31の基材31aにおいてマスキング処理が取り除かれた部分を、覆うように、ミラー部31の背面に配置される。
【0099】
詳細には、ハーフミラー部32の基材31aが厚い場合、例えばハーフミラー部32の基材32aの厚みが0.5mm以上である場合、
図9Aに示すように、ハーフミラー部32の第2反射材32bが、ミラー部31の第1反射材31b側に、配置される。
【0100】
一方で、ハーフミラー部32の基材31aが薄い場合、例えばハーフミラー部32の基材32aの厚みが0.5mm未満である場合、
図9Bに示すように、ハーフミラー部32の基材32aが、ミラー部31の第1反射材31b側に、配置される。
【0101】
上記の構成を有する表示装置102では、ハーフミラー部32がミラー部31と別体に構成されるので、ミラー部31及びハーフミラー部32を、個別に製造することができる。これにより、表示装置102の製造コストを低減することができる。
【0102】
また、ハーフミラー部32の基材32aが厚い場合にハーフミラー部32の第2反射材32bをミラー部31の第1反射材31b側に配置することによって、ミラー部31及びハーフミラー部32の境界線がユーザに視認されにくくなる。これにより、反射部3に映る対象だけをユーザに視認させることができる。すなわち、対象を好適に反射部3に表示することができる。
【0103】
<第4実施形態>
第4実施形態の構成は、導光板ディスプレイ1の構成を除いて、第3実施形態の構成と実質的に同じである。このため、第4実施形態では、第3実施形態と異なる構成のみを、説明する。なお、ここで省略された構成は、第3実施形態の構成に準ずる。
【0104】
図10に示すように、ハーフミラー部32は、ミラー部31と別体に構成される。導光板ディスプレイ1は、ハーフミラー部32及びセンサ部2の間に配置される。例えば、導光板10は、ハーフミラー部32から離れる方向において、ハーフミラー部32及びセンサ部2の間に配置される。この場合、センサ部2は、ハーフミラー部32及び導光板10を介して、第1のパターン30a及び第2のパターン30bに接近する物体を、検知する。
【0105】
詳細には、ミラー部31、ハーフミラー部32、導光板10、及びセンサ部2は、ハーフミラー部32から離れる方向において、ミラー部31、ハーフミラー部32、導光板10、センサ部2の順に、並べて配置される。センサ部2の赤外線は、ハーフミラー部32、導光板10、及びミラー部31の基材31aにおいてマスキング処理が取り除かれた部分を、通過する。これにより、センサ部2は、所定のパターン30に接近する物体を、検知する。
【0106】
上記の構成を有する表示装置102では、第1から第3実施形態のように、センサ部2及び導光板10が、ハーフミラー部32に沿って、並べて配置される場合(
図2、
図9A、及び
図9Bを参照)と比較して、ミラー部31の基材31aにおいてマスキング処理が取り除かれた部分の領域RGを、小さくすることができる。すなわち、ハーフミラー部32の大きさを小さく形成することができる。すなわち、表示装置102の製造コストを低減することができる。
【0107】
<第5実施形態>
第5実施形態の構成は、反射部3及び導光板ディスプレイ1の構成を除いて、第4実施形態の構成と実質的に同じである。このため、第5実施形態では、第4実施形態と異なる構成のみを、説明する。なお、ここで省略された構成は、第4実施形態の構成に準ずる。
【0108】
図11に示すように、ハーフミラー部32は、ミラー部31と別体に構成される。ハーフミラー部32は、導光板ディスプレイ1と一体に構成される。詳細には、ハーフミラー部32は、導光板10と一体に構成される。ハーフミラー部32は、導光板10に第2反射材32bを形成することによって、導光板10と一体に構成される。例えば、ハーフミラー部32は、導光板10に第2反射材32bを蒸着することによって、導光板10と一体に構成される。導光板10に対する第2反射材32bの蒸着は、第1実施形態に示した蒸着方法によって、実現される。
【0109】
上記の構成を有する表示装置102では、導光板10は、第1のパターン30a及び第2のパターン30bを表示するための部材としてだけでなく、第2反射材32bの基材32aとしても機能する。これにより、表示装置102の製造コストを低減することができ、ハーフミラー部32の厚みを好適に薄くすることができる。
【0110】
<第6実施形態>
第6実施形態の構成は、反射部3の特性を除いて、第1から第5実施形態の構成に適用可能な構成である。第6実施形態では、第1から第5実施形態の構成と異なる構成のみを、説明する。なお、ここで省略された構成は、第3から第5実施形態の構成に準ずる。
【0111】
図12に示すように、ハーフミラー部32は、可視光波長における第6反射率H5を、有する。第6反射率H5は、請求項における第1反射率の一例である。なお、本実施形態では、ハーフミラー部32がミラー部31と別体に構成される場合の例を用いて説明するが、ハーフミラー部32はミラー部31と一体的に構成されてもよい。
【0112】
第6反射率H5は、ミラー部31及びハーフミラー部32の境界におけるハーフミラー部32の反射率H51が、ハーフミラー部32の中央部における反射率H52より小さくなるように、設定される。例えば、第6反射率H5は、ミラー部31及びハーフミラー部32の境界からハーフミラー部32の中央部に向けて徐々に小さくなるように、設定される。
【0113】
第6反射率H5の特性は、第2反射材32bの各層の厚みを調整することによって、設定される。例えば、第6反射率H5は、ミラー部31及びハーフミラー部32の境界からハーフミラー部32の中央部に向けて、曲線的に変化させてもよいし、線形的に変化させてもよい。また、第6反射率H5は、ミラー部31及びハーフミラー部32の境界からハーフミラー部32の中央部に向けて、段階的に変化させてもよい。
【0114】
上記の構成を有する表示装置102では、ミラー部31及びハーフミラー部32の境界では、第1から第5実施形態と同様に、ミラー部31の第1反射率M1及びハーフミラー部32の第6反射率H51の差が、小さくなる。このため、ミラー部31及びハーフミラー部32の境界線がユーザに視認されにくくなり、対象を好適に反射部3に表示することができる。
【0115】
一方で、ハーフミラー部32の中央部では、ミラー部31及びハーフミラー部32の境界線が生じることがないので、ミラー部31の第1反射率M1及びハーフミラー部32の第6反射率H52の差を大きくすることができる。すなわち、第1のパターン30a及び第2のパターン30bの明るさを低下させることなく、第1のパターン30a及び第2のパターン30bを好適に表示することができる。
【0116】
<他の実施形態>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0117】
(A)前記実施形態では、表示装置102が洗面台(機器100)に適用される場合の例を示したが、表示装置102は、洗面台以外にも様々な機器に適用することができる。例えば、表示装置102は、化粧台に適用されてもよい。このように、表示装置102が化粧台に適用されたとしても、表示装置102によって、上述した効果と同様の効果を得ることができる。
【0118】
(B)前記実施形態では、表示装置102が洗面台(機器100)に適用される場合の例を示したが、表示装置102は、洗面台以外にも様々な機器に適用することができる。例えば、表示装置102は、家電に適用されてもよい。
【0119】
例えば、
図13に示すように、表示装置102が洗濯機等の機器200に適用される場合、機器200は、ハウジング200aと、扉部200bと、前記実施形態の表示装置102とを、有する。この場合、表示装置102は、例えば、操作パネルとして機能する。なお、表示装置102は、オーディオ機器等の機器200の操作パネルに適用してもよい。このように構成しても、上述した効果と同様の効果を得ることができる。
【0120】
(C)表示装置102の構成は、前記実施形態に限定されず、他の構成に変更されてもよい。例えば、導光板ディスプレイ1におけるプリズムの形状は、前記実施形態の形状に限定されず、他の形状であってもよい。また、複数の光源の配置は、上述した配置に限定されず、他の配置に変更されてもよい。
【0121】
(D)前記実施形態では、導光板ディスプレイ1が、導光板10と光源11とを有する場合の例を、示したが、導光板ディスプレイ1は、光源からの光を所定方向に平行化するコリメートレンズを、さらに有していてもよい。
【0122】
(E)前記実施形態では、第1のパターン30a及び/又は第2のパターン30bが、ハーフミラー部32の前方に表示される場合の例を示したが、第1のパターン30a及び/又は第2のパターン30bは、ハーフミラー部32の表面に表示されてもよい。また、第1のパターン30a及び/又は第2のパターン30bは、ハーフミラー部32の表面及び導光板10(プリズム20)の間に、表示されてもよい。
【0123】
(F)前記実施形態では、表示装置102が、表示部の一例としての導光板ディスプレイ1を、有する場合の例を示したが、導光板ディスプレイ1に代えて、LCDディスプレイや有機ELディスプレイ等が用いられてもよい。この場合、第1のパターン30a及び/又は第2のパターン30bは、LCDディスプレイ及び有機ELディスプレイの表面に、表示される。
【0124】
(G)前記実施形態では、導光板10によって点状の光を所定位置で集積させることで所定のパターン30を空間上に結像する場合の例が、示された。所定のパターン30を空間上に結像するための導光板10の構成は、前記実施形態に限定されず、どのように構成してもよい。例えば、導光板10は、線状又は面状の光を所定位置で集積させることで、所定のパターン30を空間上に結像してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0125】
本発明によれば、表示装置102及び機器100,200において、対象を好適に反射部3に表示することができる。
【符号の説明】
【0126】
100,200 機器
102 表示装置
3 反射部
1 導光板ディスプレイ
2 センサ部2
31 ミラー部
32 ハーフミラー部
30,30a,30b 所定のパターン
H1 第3反射率
H4 第5反射率
H5,H51,H52 第6反射率