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  • 特許-記録装置、記録方法及びプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】記録装置、記録方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/76 20060101AFI20240501BHJP
   G11B 20/10 20060101ALI20240501BHJP
   G11B 27/00 20060101ALI20240501BHJP
   G07C 5/00 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
H04N5/76
G11B20/10 301Z
G11B27/00 D
G07C5/00 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019230078
(22)【出願日】2019-12-20
(65)【公開番号】P2021100160
(43)【公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 貴之
(72)【発明者】
【氏名】塚本 富光夫
(72)【発明者】
【氏名】安江 弘彦
(72)【発明者】
【氏名】山口 雄介
(72)【発明者】
【氏名】山根 正大
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 将
(72)【発明者】
【氏名】糟谷 純一
【審査官】川中 龍太
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-220803(JP,A)
【文献】特開2019-200777(JP,A)
【文献】特開2019-191639(JP,A)
【文献】特開2019-028761(JP,A)
【文献】特開2019-082812(JP,A)
【文献】特開2019-012466(JP,A)
【文献】特開2013-182573(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/76 - 5/956
G11B 20/10 - 20/16
G11B 27/00 - 27/34
G07C 1/00 - 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の情報を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記所定の情報をファイルとして記録する記録部と、
前記記録部に記録された複数のファイルのうちで指定されたものを再生する再生部と、
前記複数のファイルのうちから再生中のファイルと実質的に時系列に連続した期間である前記記録の開始から前記記録の終了までの一連の記録に含まれ、前記再生中のファイルとは異なる他のファイルを抽出し、抽出された前記他のファイルを上書き禁止に設定するファイル管理部と、を備える、記録装置。
【請求項2】
前記取得部は車両に搭載され前記車両の周辺を撮影する画像取得部を含み、前記所定の情報は前記画像取得部によって撮影された画像を含むものである、請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記取得部は、現在走行している道路の種別を示す情報を取得する道路種別情報取得部を含み、
前記ファイル管理部は、前記抽出されたファイルのうちで、前記再生中のファイルに記録された道路種別情報と、記録された前記道路種別情報が同じファイルは上書き禁止に設定し、記録された前記道路種別情報が異なるファイルは上書き可能に設定する、請求項1または2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記取得部は、走行している道路の渋滞状況を取得する渋滞状況取得部を含み、
前記ファイル管理部は、前記抽出されたファイルのうちで、前記再生中のファイルに記録された前記渋滞状況と、記録された前記渋滞状況が同じファイルは上書き禁止に設定し、記録された前記渋滞状況が異なるファイルは上書き可能に設定する、請求項1から3のいずれか一項に記載の記録装置。
【請求項5】
前記取得部は、走行している位置の地名を示す情報を取得する地名情報取得部を含み、
前記ファイル管理部は、前記抽出されたファイルのうちで、前記再生中のファイルに記録された地名情報と、記録された前記地名情報が同じファイルは上書き禁止に設定し、記録された前記地名情報が異なるファイルは上書き可能に設定する、請求項1から4のいずれか一項に記載の記録装置。
【請求項6】
前記取得部は、現在走行している道路の規制情報を取得する規制情報取得部を含み、
前記ファイル管理部は、前記抽出されたファイルのうちで、前記再生中のファイルに記録された前記規制情報と、記録された前記規制情報が同じファイルは上書き禁止に設定し、記録された前記規制情報が異なるファイルは上書き可能に設定する、請求項1から5のいずれか一項に記載の記録装置。
【請求項7】
前記再生中のファイルには前記画像取得部によって撮影された画像から抽出された他車両情報が含まれ、
前記ファイル管理部は、前記抽出されたファイルのうちで、前記再生中のファイルに記録された前記他車両情報と、記録された前記他車両情報が同じファイルは上書き禁止に設定し、前記他車両情報が異なるファイルは上書き可能に設定する、請求項2に記載の記録装置。
【請求項8】
前記画像取得部は複数のカメラからなり、各カメラはそれぞれ前記車両の周辺の互いに異なる方向を撮影し、
前記ファイル管理部は、前記抽出されたファイルのうちで、前記再生中のファイルと、同じカメラで撮影されたファイルは上書き禁止に設定し、異なるカメラで撮影されたファイルは上書き可能に設定する、請求項2に記載の記録装置。
【請求項9】
所定の情報を取得するステップと、
取得された前記所定の情報を複数のファイルに分割して記録するステップと、
記録された前記複数のファイルのうちで指定されたものを再生するステップと、
前記複数のファイルのうちから再生中のファイルと実質的に時系列に連続した期間である前記記録の開始から前記記録の終了までの一連の記録に含まれ、前記再生中のファイルとは異なる他のファイルを抽出し、抽出された前記他のファイルを上書き禁止に設定するステップと、を備える、記録方法。
【請求項10】
所定の情報を取得するステップと、
取得された前記所定の情報を複数のファイルに分割して記録するステップと、
記録された前記複数のファイルのうちで指定されたものを再生するステップと、
前記複数のファイルのうちから再生中のファイルと実質的に時系列に連続した期間である前記記録の開始から前記記録の終了までの一連の記録に含まれ、前記再生中のファイルとは異なる他のファイルを抽出し、抽出された前記他のファイルを上書き禁止に設定するステップと、をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置、記録方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
記録装置において所定のデータの上書きを禁止する技術が知られている。特許文献1には、自車両に対するイベントの発生を示すイベント信号を取得した場合に、イベント信号を取得した時点から予め定められた条件を満たすことを検出した時点までの画像データを、上書きされないようにメモリに書き込む記録装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-169191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
記録装置において、記録を継続しつつ、記録されたファイルを再生したいというニーズがある。記憶部の容量がなくなったときに古いファイルが上書き記録される形態の記録装置では、再生中のファイルと関連するファイル(再生中のファイルも含まれる)が上書きされないようにする必要があった。
【0005】
本発明は、以上の背景に鑑みなされたものであり、再生中のファイルと関連するファイルが上書きされないようにすることができる記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施態様に係る記録装置は、所定の情報を取得する取得部と、前記取得部によって取得された前記所定の情報をファイルとして記録する記録部と、前記記録部に記録された複数のファイルのうちで指定されたものを再生する再生部と、前記複数のファイルのうちから再生中のファイルと実質的に時系列に連続した期間に記録されたファイルを抽出し、抽出されたファイルを上書き禁止に設定するファイル管理部と、を備える。
【0007】
本発明の一実施態様に係る記録方法は、所定の情報を取得するステップと、取得された前記所定の情報を複数のファイルに分割して記録するステップと、記録された前記複数のファイルのうちで指定されたものを再生するステップと、前記複数のファイルのうちから再生中のファイルと実質的に時系列に連続した期間に記録されたファイルを抽出し、抽出されたファイルを上書き禁止に設定するステップと、を備える。
【0008】
本発明の一実施態様に係るプログラムは、所定の情報を取得するステップと、取得された前記所定の情報を複数のファイルに分割して記録するステップと、記録された前記複数のファイルのうちで指定されたものを再生するステップと、前記複数のファイルのうちから再生中のファイルと実質的に時系列に連続した期間に記録されたファイルを抽出し、抽出されたファイルを上書き禁止に設定するステップと、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、再生中のファイル、及び、再生中のファイルと関連するファイルが上書きされないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1に係る記録装置の構成について示すブロック図である。
図2】実施の形態1に係る記録装置のファイル管理部における処理について説明する模式図である。
図3】実施の形態1に係る記録装置の処理の流れを示すフローチャートである。
図4】実施の形態2に係る記録装置の構成について示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、特許請求の範囲に係る発明を以下の実施形態に限定するものではない。また、実施形態で説明する構成の全てが課題を解決するための手段として必須であるとは限らない。
【0012】
[実施の形態1]
まず、実施の形態1に係る記録装置の構成について説明する。ここで、記録装置は、例えば、ドライブレコーダである。
図1は、実施の形態1に係る記録装置10の構成について示すブロック図である。図1に示すように、記録装置10は、取得部11と、記録部12と、再生部13と、ファイル管理部14と、を備えている。
【0013】
取得部11は、所定の情報を取得する。取得部11は、車両の周囲を撮像した画像(撮像画像)を取得するカメラなどの画像取得部11aを含んでもよく、別体のカメラなどからの画像を入力する画像入力部であってもよい。このとき所定の情報は、画像取得部11aによって撮影された画像を含むものである。取得部11は、マイクロホンなどの収音部から音声情報を取得してもよい。記録部12は、取得部11によって取得された所定の情報をファイルとして記録する。再生部13は、記録部12に記録された複数のファイルのうちで指定されたものを再生する。ファイル管理部14は、複数のファイルのうちから再生中のファイルと時系列に連続した期間に記録されたファイルを抽出し、抽出されたファイルを上書き禁止に設定する。
【0014】
図2は、ファイル管理部14における処理について説明する模式図である。図2に示すように、記録部12が記憶容量Wの記憶媒体であるとする。ドライブレコーダにおいて、取得部11が取得した画像は、たとえば1分ごと、3分ごとなどに分割された画像ファイルとして記録される。記録部12において、ファイルf1からファイルf9は記録済みで、現在、ファイルf10を記録中であるとする。また、現在、ファイルf6を再生しているとする。
【0015】
記録装置10は、電源がONとなった時点や、手動の記録スイッチがONとなった時点から所定の情報の記録を開始し、電源がOFFとなった時点や、手動の記録スイッチがOFFとなった時点で記録を終了する。この一連の記録が行われる期間T1において、記録開始のときのファイルはファイルf4で、記録終了のときのファイルはファイルf8である。すなわち、再生中のファイルf6と時系列に連続した期間に記録されたファイルは、ファイルf4~f8である。また期間T0において、ファイルf1~f3は時系列に連続した期間に記録されたファイルであり、期間T2において、ファイルf9~f10は時系列に連続した期間に記録されたファイルである。このとき、ファイルf3とファイルf4、ファイルf8とファイルf9は時系列的に連続していない記録である。一例として、期間T0は前日の夕刻であり、ファイルf1~f3はその際に撮影された画像ファイルである。期間T1は当日の午前中であり、ファイルf4~f8はその際に撮影された画像ファイルである。期間T2は当日の夕刻であり、ファイルf9~f10はその際に撮影された画像ファイルである。
【0016】
よって、ファイル管理部14(図1参照)は、ファイルf4~f8を抽出し、抽出したこれらのファイルを上書き禁止に設定する。これにより、再生中のファイルf6及び再生中のファイルf6と関連するファイルf4、f5、f7、f8については上書きされないようにすることができる。このようにすることで、現在再生中のファイルと時系列的に連続するファイルが上書されて消去されることを防止することができ、再生している画像の続きとなる画像を保護することができる。一方、ファイルf1~f3、ファイルf9f10については上書き可能に設定されている。これにより、ファイルf10の記録が完了した後、ファイルf1、f2、f3、f9、f10については順次上書きされる。このようにすることで、記録部12における記憶容量を有効に活用することができる。


【0017】
ドライブレコーダは、車両に搭載されるため、できるだけ軽量化する必要があり、記憶容量をあまり大きくできないのが一般的である。このため、記録装置10がドライブレコーダである場合、上述したようにして記録部12における記憶容量を有効に活用することは非常に有利である。
【0018】
取得部11は、現在走行している道路の種別を示す情報を取得する、道路種別情報取得部を有してもよい。記録部12は、取得部11が取得した情報のひとつとして道路の種別情報をファイルに記録し、ファイル管理部14は、上記抽出されたファイルのうちで、再生中のファイルに記録された道路種別情報と、記録された道路種別情報が一致するファイルは上書き禁止に設定し、道路種別情報が異なるファイルは上書き可能に設定するようにしてもよい。道路の種別とは、例えば、高速自動車国道、一般国道、都道府県道、市町村道一般道、といった、道路法上の道路の種別である。道路の種別は、例えば、取得部11によって、カーナビゲーションから取得された情報、GNSS(Global Navigation Satellite System)から取得された情報、CAN(Controller Area Network)を介して車両から取得された車両の運行に関する情報、画像を解析した情報、などから判定することができる。
【0019】
図2に示す例において、再生中のファイルf6と道路種別情報が同じものが、ファイルf5、f7であるとすると、ファイル管理部14(図1参照)によって抽出されたファイルf4~f8のうち、ファイルf5~f7を上書き禁止に設定される。例えば、一連のあおり運転のシーンは、高速道路や幹線道路などで継続され、高速道路を降りた後や幹線道路から細街路に逸れた後には継続されないケースが多いと考えられることから、道路の種別が同じである状態のファイルを上書き禁止に設定することで、当該シーンを抜けなく再生することができる。例えば、ファイルf7を記録中に高速道路を降りた場合など、ファイルに記録された道路種別情報が複数ある場合には、複数の道路種別情報のどちらかが再生中のファイルに記録された道路種別情報と一致している場合には上書き禁止に設定されることが好ましい。
【0020】
一方、抽出されたファイルf4~f8のうち、ファイルf4、f8は道路種別情報が異なるので、上書き可能に設定される。このようにすることで、記録部12における記憶容量をより有効に活用することができる。
【0021】
取得部11は、現在走行している道路の渋滞状況を示す情報を取得する、渋滞状況取得部を有してもよい。記録部12は、取得部11が取得した情報のひとつとして渋滞状況をファイルに記録し、ファイル管理部14は、上記抽出されたファイルのうちで、再生中のファイルに記録された道路の渋滞レベルが一致するファイルは上書き禁止に設定し、道路の渋滞レベルが異なるファイルは上書き可能に設定するようにしてもよい。渋滞状況取得部は、渋滞の状況に応じて渋滞程度のレベル分けをし、渋滞レベルの情報としてもよい。道路の渋滞状況は、例えば、取得部11によって、カーナビゲーションから取得された情報、GNSSから取得された情報、CANから取得された車両の運行に関する情報、画像を解析した情報、などから判定することができる。
【0022】
図2に示す例において、再生中のファイルf6と道路の渋滞レベルが一致するものが、ファイルf5、f7であるとすると、ファイル管理部14(図1参照)によって抽出されたファイルf4~f8のうち、ファイルf5~f7を上書き禁止に設定される。例えば、ファイルf7を記録中に渋滞状況が変化した場合など、ファイルに記録された渋滞レベルが複数ある場合には、複数の渋滞レベルのどちらかが再生中のファイルに記録された渋滞レベルと一致している場合には上書き禁止に設定されることが好ましい。一方、抽出されたファイルf4~f8のうち、ファイルf4、f8は道路の渋滞状況が異なるので、上書き可能に設定される。このようにすることで、記録部12における記憶容量をより有効に活用することができる。
【0023】
取得部11は、現在走行している位置の地名を示す情報を取得する、地名情報取得部を有してもよい。記録部12は、取得部11が取得した情報のひとつとして地名情報をファイルに記録し、ファイル管理部14は、上記抽出されたファイルのうちで、再生中のファイルに記録された車両が走行している場所の地名情報が一致するファイルは上書き禁止に設定し、地名情報が異なるファイルは上書き可能に設定するようにしてもよい。車両が走行している場所の地名は、例えば、取得部11によって、カーナビゲーションから取得された情報、GNSSから取得された情報、CANから取得された車両の運行に関する情報、画像を解析した情報、などから判定することができる。
【0024】
図2に示す例において、再生中のファイルf6と地名情報が一致するファイルが、ファイルf5、f7であるとすると、ファイル管理部14(図1参照)によって抽出されたファイルf4~f8のうち、ファイルf5~f7を上書き禁止に設定される。例えば、ファイルf7を記録中に県境や市境を超えて地名情報が変化した場合など、ファイルに記録された地名情報が複数ある場合には、複数の地名情報のどちらかが再生中のファイルに記録された地名情報と一致している場合には上書き禁止に設定されることが好ましい。一方、抽出されたファイルf4~f8のうち、ファイルf4、f8は地名が異なるので、上書き可能に設定される。このようにすることで、記録部12における記憶容量をより有効に活用することができる。
【0025】
取得部11は、現在走行している道路の規制状態を示す情報を取得する、規制情報取得部を有してもよい。記録部12は、取得部11が取得した情報のひとつとして規制情報をファイルに記録し、。ファイル管理部14は、上記抽出されたファイルのうちで、再生中のファイルに記録された車両が走行している道路の規制情報が一致するファイルは上書き禁止に設定し、規制情報が異なるファイルは上書き可能に設定するようにしてもよい。走行している道路の規制情報とは、例えば走行している道路に掲示された道路標識に示された情報である。車両が走行している道路の規制情報は、例えば、取得部11によって、カーナビゲーションから取得された情報、GNSSから取得された情報、CANから取得された車両の運行に関する情報、画像を解析した情報、などから判定することができる。
【0026】
図2に示す例において、再生中のファイルf6と規制情報が同じものが、ファイルf5、f7であるとすると、ファイル管理部14(図1参照)によって抽出されたファイルf4~f8のうち、ファイルf5~f7を上書き禁止に設定される。例えば、ファイルf7を記録中に規制情報が変化した場合など、ファイルに記録された規制情報が複数ある場合には、複数の規制情報のどちらかが再生中のファイルに記録された規制情報と一致している場合には上書き禁止に設定されることが好ましい。一方、抽出されたファイルf4~f8のうち、ファイルf4、f8は規制情報が異なるので、上書き可能に設定される。このようにすることで、記録部12における記憶容量をより有効に活用することができる。
【0027】
取得部11は、取得した画像を認識し、自車両周囲を走行している他車両に関する情報を取得する、他車両情報取得部を有してもよい。記録部12は、取得部11が取得した情報のひとつとして他車両情報をファイルに記録し、ファイル管理部14は、上記抽出されたファイルのうちで、再生中のファイルに記録された他車両の情報が一致するファイルは上書き禁止に設定し、他車両の情報が異なるファイルは上書き可能に設定するようにしてもよい。このようにする場合、再生中のファイルには画像取得部11aによって撮影された画像から抽出された他車両の情報が含まれる。画像から他車両を抽出する方法には、一般的な画像認識技術を用いることができる。
【0028】
図2に示す例において、再生中のファイルf6と他車両の情報が同じものが、ファイルf5、f7であるとすると、ファイル管理部14(図1参照)によって抽出されたファイルf4~f8のうち、ファイルf5~f7を上書き禁止に設定される。一方、抽出されたファイルf4~f8のうち、ファイルf4、f8は他車両の情報が異なるので、上書き可能に設定される。このようにすることで、記録部12における記憶容量をより有効に活用することができる。
【0029】
次に、記録装置10の処理の流れについて説明する。なお、以下の説明では、図1についても適宜参照する。
【0030】
図3は、記録装置10の処理の流れを示すフローチャートである。図3に示すように、まず、所定の情報を取得する(ステップS1)。続いて、取得された所定の情報を複数のファイルに分割して記録する(ステップS2)。続いて、記録された複数のファイルのうちで指定されたものを再生する(ステップS3)。続いて、複数のファイルのうちから再生中のファイルと連続した期間に記録されたファイルを抽出し、抽出されたファイルを上書き禁止に設定する(ステップS4)。
【0031】
以上より、本実施の形態に係る記録装置10によれば、再生中のファイルと関連するファイルが上書きされないようにすることができる。また、上書き禁止に設定するファイルを必要最低限のものとすることで、記録部12における記憶容量を有効に活用することができる。
【0032】
[実施の形態2]
図4は、実施の形態2に係る記録装置110の構成を示すブロック図である。図4に示すように、記録装置110は、取得部111と、記録部12と、再生部13と、ファイル管理部114と、を備えている。
【0033】
実施の形態1に係る記録装置10は、取得部11の画像取得部11aにおいて、車両の前方(進行方向)を撮像する形態であった。これに対し、実施の形態2に係る記録装置110では、取得部111の画像取得部111aは、それぞれ車両の周辺の互いに異なる方向を撮影する複数のカメラから構成されている。すなわち、画像取得部111aは、車両の前方を撮像する前方カメラ111aA、後方を撮像する後方カメラ111aB、右側方を撮像する右側方カメラ111aC、左側方を撮像する左側方カメラ111aDから構成されている。
【0034】
ファイル管理部114は、複数のファイルのうちから再生中のファイルと時系列に連続した期間に記録されたファイルを抽出する。ファイル管理部114は、抽出されたファイル抽出されたファイルのうちで、再生中のファイルと、同じカメラで撮影されたものは上書き禁止に設定し、異なるカメラで撮影されたものは上書き可能に設定するようにする。
【0035】
上記抽出したファイルには、前方カメラ111aA、後方カメラ111aB、右側方カメラ111aC及び左側方カメラ111aDで撮影されたファイルが含まれる。例えば、前方カメラ111aAで撮影されたファイルを再生しているとすると、再生中のファイルと時系列に連続した期間に記録されたファイルのうち前方カメラ111aAで撮影されたものを上書き禁止に設定する。再生中のファイルと時系列に連続した期間に記録されたファイルであっても、後方カメラ111aB、右側方カメラ111aC及び左側方カメラ111aDで撮影されたものについては上書き可能に設定する。
【0036】
以上より、本実施の形態に係る記録装置110は、再生中のファイルと時系列に連続した期間に記録されたファイルの同じカメラで撮影されたものが上書きされないようにすることができる。また、記録部12における記憶容量をより有効に活用することができる。
【0037】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。以上で説明した複数の例は、適宜組み合わせて実施されることもできる。例えば、上記実施の形態では、記録装置がドライブレコーダであるとして説明したが、これに限るものではない。記録装置は、例えば、監視カメラ、ライフログカメラ、ウェアラブルカメラなど、記憶部の容量がなくなったときに古いファイルを消して上書き記録を行うものであれば何でもよい。記録装置は、例えば、音声を記録するものであってもよく、車両の走行情報や車両の制御情報を記録するEDR(Event Data Recorder)であってもよい。
【0038】
例えば、ファイル管理部14は、時系列に連続した期間に記録されたファイルを抽出するものとして説明したが、実質的に時系列に連続した期間であると見做すことができる場合に、実質的に時系列に連続した期間に記録されたファイルを抽出するものであってもよい。具体的には、走行中に立ち寄り地に数分間立ち寄った際に、車両のエンジンを停止することによって記録が途切れることがある。このとき、立ち寄る前のファイルと、立寄った後のファイルとを、実質的に連続した期間に記録されたファイルであるとしてもよい。言い換えると、時系列に連続していない場合であっても、途切れた期間があらかじめ設定された期間よりも短い場合に、実質的に時系列に連続した期間であるとしてもよい。
【0039】
ファイル管理部14は、時系列に連続した期間に記録されたファイルとして抽出されたファイルの容量が、記録部12の記憶容量Wに比してあらかじめ定めた割合よりも大きくなった場合、抽出するファイルの数またはサイズを制限する機能を有してもよい。このようにすることで、記録部12において新しいファイルを記録する容量を確保することができ、記録部12における記憶容量を有効に活用することができる。
【0040】
本発明にかかる記録装置の各部における処理は、コンピュータなどにプログラムを実行させることによって実現できる。より具体的には、プログラムメモリに格納された、危険回避装置の各部における処理を実行させるためのプログラムを主記憶装置にロードし、CPUの制御によって当該プログラムを実行して実現する。ここで、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。また、ナビゲーション装置の各部における処理は、プログラムによるソフトウェアで実現することに限ることなく、ハードウェア、ファームウェア、及びソフトウェアのうちのいずれかの組み合わせ等により実現しても良い。
【符号の説明】
【0041】
10、110 記録装置
11、111 取得部
11a、111a 画像取得部
12 記録部
13 再生部
14、114 ファイル管理部
111aA 前方カメラ
111aB 後方カメラ
111aC 右側方カメラ
111aD 左側方カメラ
図1
図2
図3
図4