(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】ポンプ監視装置および真空ポンプ
(51)【国際特許分類】
F04B 49/10 20060101AFI20240501BHJP
F04C 25/02 20060101ALI20240501BHJP
F04D 19/04 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
F04B49/10 331J
F04B49/10 331L
F04C25/02 B
F04D19/04 H
(21)【出願番号】P 2020023800
(22)【出願日】2020-02-14
【審査請求日】2022-06-03
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100149962
【氏名又は名称】阿久津 好二
(74)【代理人】
【識別番号】100170988
【氏名又は名称】妹尾 明展
(74)【代理人】
【識別番号】100189566
【氏名又は名称】岸本 雅之
(74)【代理人】
【識別番号】100102037
【氏名又は名称】江口 裕之
(72)【発明者】
【氏名】廣田 聖典
【審査官】田谷 宗隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-283056(JP,A)
【文献】特開2007-064773(JP,A)
【文献】国際公開第2019/146025(WO,A1)
【文献】特開平07-208369(JP,A)
【文献】特開2017-194040(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 49/10
F04C 25/02
F04D 19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一のプロセスが時系列的に複数回繰り返し行われるプロセスチャンバを排気する真空ポンプのポンプ監視装置であって、
前記真空ポンプの運転状態を表す物理量を取得する取得部と、
取得した前記物理量に基づいて、物理量の時系列変化を表す実測波形データを生成する演算部と、
複数の前記プロセスに関して、前記プロセスの開始から終了までの1プロセス期間内に設定された所定期間の実測波形データに基づく実測波形画像をそれぞれ形成し、その複数の実測波形画像を予め設定された表示形式で表示装置の一表示画面に表示させる表示制御部と、を備え、
前記表示装置に表示させる表示形式は、
複数の前記プロセスに関する複数の実測波形画像を、前記表示装置の一表示画面に複数並べて表示する第1の表示形式、
複数の前記プロセスに関する複数の実測波形画像を、前記表示装置の一表示画面に共通の時間軸で複数重ね合わせて表示する第2の表示形式、
および、前記プロセスに関する実測波形画像とその実測波形画像に対する比較基準としての基準波形画像とを、前記表示装置の一表示画面に共通の時間軸で複数重ね合わせて表示する第3の表示形式のいずれかであり、
前記演算部は、複数の前記プロセスに関して、1プロセス期間内の同一時刻における複数の前記物理量の内の最大値の物理量を1プロセス期間に亘って抽出して得られるピークホールド波形データを取得し、
前記表示制御部は、前記ピークホールド波形データに基づいて前記基準波形画像を表示させる、ポンプ監視装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプ監視装置および真空ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体や液晶パネルの製造におけるドライエッチングやCVD等の工程では、プロセスチャンバを真空ポンプにより排気しつつプロセスガスを導入して、所定のプロセス圧力に維持して処理を行う。ドライエッチングやCVD等のプロセスチャンバ内のガスを排気する場合、ガスの排気に伴ってポンプ内に反応生成物が堆積する。
【0003】
このような反応生成物の堆積に関して、特許文献1には、ポンプ内に堆積した生成物を検知する堆積物検知装置が開示されている。特許文献1に開示されている堆積物検知装置では、以下のような処理を行って警告を発するようにしている。すなわち、初期処理における所定時間内にモータ電流値を複数回読み込み、それらの合計値を読み込み回数で除算してモータ電流初期値を求める。同様に、事後処理における所定時間内にモータ電流値を複数回読み込み、それらの合計値を読み込み回数で除算してモータ電流現在値を求める。モータ電流現在値からモータ電流初期値を減算したモータ電流変化量を、警告レベル値と比較することにより警告を発する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、実際には、単一のプロセス内においても排気されるガス流量は大きく変動するので、ガス流量の変動に伴って回転体を回転駆動するモータの電流値も大きく変動することになる。そのため、誤判定が避けられない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様によるポンプ監視装置は、同一のプロセスが時系列的に複数回繰り返し行われるプロセスチャンバを排気する真空ポンプのポンプ監視装置であって、前記真空ポンプの運転状態を表す物理量を取得する取得部と、取得した前記物理量に基づいて、物理量の時系列変化を表す実測波形データを生成する演算部と、複数の前記プロセスに関して、前記プロセスの開始から終了までの1プロセス期間内に設定された所定期間の実測波形データに基づく実測波形画像をそれぞれ形成し、その複数の実測波形画像を予め設定された表示形式で表示装置の一表示画面に表示させる表示制御部と、を備える。
本発明の態様による真空ポンプは、ロータ、ステータ、およびロータを回転駆動するモータを有するポンプ本体と、前記ポンプ監視装置を含み、前記モータを駆動制御するポンプコントローラと、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、真空ポンプの異常を判定する際の誤判定を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施の形態におけるポンプ監視装置を搭載する真空処理装置の概略構成を示す図である。
【
図2】
図2は、ポンプ本体の詳細を示す断面図である。
【
図3】
図3は、真空ポンプの構成と監視装置の構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、モータ電流値の時系列波形の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、データ生成処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、表示制御処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、表示形式Aによる画像表示を示す図である。
【
図8】
図8は、表示形式Bによる画像表示を示す図である。
【
図9】
図9は、表示形式Cによる画像表示を示す図である。
【
図10】
図10は、表示形式Cによる画像表示を示す図である。
【
図13】
図13は、監視機能をポンプコントローラに担わせた場合の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図を参照して本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、実施の形態におけるポンプ監視装置を搭載する真空処理装置10の概略構成を示す図である。真空処理装置10は、たとえばエッチング処理装置や成膜処理装置である。真空ポンプ1はバルブ3を介してプロセスチャンバ2に取り付けられている。真空ポンプ1は、ポンプ本体11と、ポンプ本体11を駆動制御するポンプコントローラ12とを備えている。ポンプコントローラ12には、真空ポンプ1の状態を監視する監視装置5が接続されている。なお、
図1に示す例では、監視装置5には1台のポンプコントローラ12に接続されているが、複数台のポンプコントローラ12に接続して複数の真空ポンプ1を監視するようにしても良い。
【0010】
真空処理装置10は、真空ポンプ1およびバルブ3を含む真空処理装置10全体を制御するメインコントローラ100を備える。真空ポンプ1のポンプコントローラ12、バルブ3、および監視装置5は、通信ライン40を介してメインコントローラ100に接続されている。監視装置5は、真空ポンプ1が異常か否かを監視している。本明細書におけるポンプ異常の例としては、ポンプ本体11の内部に堆積する反応生成物の量が許容量を超えた場合である。
【0011】
図2は、ポンプ本体11の詳細を示す断面図である。本実施の形態における真空ポンプ1は磁気軸受式のターボ分子ポンプであり、ポンプ本体11には磁気軸受により磁気浮上支持される回転体Rが設けられている。回転体Rは、ポンプロータ14と、ポンプロータ14に締結されたロータシャフト15とを備えている。
【0012】
ポンプロータ14には、上流側に回転翼14aが複数段形成され、下流側にネジ溝ポンプを構成する円筒部14bが形成されている。これらに対応して、固定側には複数段の固定翼ステータ62と、円筒状のネジステータ64とが設けられている。ネジステータ64の内周面にネジ溝が形成される形式と、円筒部4bの外周面にネジ溝を形成する形式がある。各固定翼ステータ62は、スペーサリング63を介してベース60上に載置される。
【0013】
ロータシャフト15は、ベース60に設けられたラジアル磁気軸受17A,17Bとアキシャル磁気軸受17Cとによって磁気浮上支持され、モータ16により回転駆動される。各磁気軸受17A~17Cは電磁石と変位センサとを備えおり、変位センサによりロータシャフト15の浮上位置が検出される。ロータシャフト15の回転数は回転数センサ18により検出される。磁気軸受17A~17Cが作動していない場合には、ロータシャフト15は非常用のメカニカルベアリング66a,66bによって支持される。なお、本実施の形態における磁気軸受17A~17Cでは専用の変位センサによりロータシャフト15の浮上位置を検出する方式としたが、専用の変位センサに代えて電磁石電流にセンサキャリア成分を重畳して変位を検出する、セルフセンシング方式(センサレス方式とも呼ばれる)の磁気軸受としても良い。
【0014】
ベース60には、吸気口61aが形成されたポンプケーシング61がボルト固定されている。ベース60の排気口60aには排気ポート65が設けられ、この排気ポート65に補助ポンプが接続される。ポンプロータ14が締結されたロータシャフト15をモータ16により高速回転すると、吸気口61a側の気体分子は排気ポート65側へと排気される。
【0015】
ベース60には、ヒータ19と、冷却水などの冷媒が流れる冷媒配管20とが設けられている。冷媒配管20に不図示の冷媒供給配管が接続され、冷媒供給配管に設置した電磁開閉弁の開閉制御により、冷媒配管20への冷媒流量を調整することができる。反応生成物の堆積しやすいガスを排気する場合には、ネジ溝ポンプ部分や下流側の回転翼14aへの生成物堆積を抑制するために、ヒータ19をオンオフすること、および冷媒配管20を流れる冷媒の流量をオンオフすることにより、例えばネジステータ固定部付近のベース温度が所定温度となるように温度調整を行う。
【0016】
図3は、真空ポンプ1の構成と監視装置5の構成を示すブロック図である。
図2にも示したように、真空ポンプ1のポンプ本体11は、モータ16,磁気軸受(MB)17および回転数センサ18を備える。ポンプコントローラ12は、磁気軸受制御部(MB制御部)22およびモータ制御部23を備える。なお、
図3では、
図2のラジアル磁気軸受17A,17Bおよびアキシャル磁気軸受17Cを、まとめて磁気軸受17と記載した。
【0017】
モータ制御部23は、回転数センサ18で検出した回転信号に基づいてロータシャフト15の回転数を推定し、推定された回転数に基づいてモータ16を所定目標回転数にフィードバック制御する。ガス流量が大きくなるとポンプロータ14の負荷が増加するので、モータ16の回転数が低下する。モータ制御部23は、回転数センサ18で検出された回転数と所定目標回転数との差がゼロとなるようにモータ電流を制御することにより、所定目標回転数(定格回転数)を維持するようにしている。このように、一連のプロセスが行われている状態では、モータ制御部23は回転速度を定格回転速度に維持する定常運転制御を行っている。磁気軸受17は、軸受電磁石と、ロータシャフト15の浮上位置を検出するための変位センサとを備えている。
【0018】
監視装置5は、プロセスチャンバ2に取り付けられた真空ポンプ1の状態を監視する装置である。監視装置5は、データ取得部51と、演算部52と、表示部54と、表示制御部53と、監視装置5にユーザが指令を入力するための操作部55と、記憶部56とを備えている。監視装置5は、CPUと、記憶部56を構成するRAMやROM等のメモリおよびハードディスク等の記録媒体と、を備えている。CPUは、記憶部56に格納されているプログラムに従い、データ取得部51、演算部52および表示制御部53として機能する。
【0019】
なお、表示部54は、監視装置5とは別に設けられていても良い。また、
図13のようにデータ取得部51、演算部52、表示制御部53、操作部55および記憶部56をポンプコントローラ12に組み込み、監視装置5の機能をポンプコントローラ12に担わせても良い。さらにまた、監視装置5から波形画像データ等をメインコントローラ100に出力して、メインコントローラ100の表示部に波形画像を表示しても良いし、メインコントローラ100が監視装置5を含む構成としても良い。
【0020】
本実施の形態では、真空ポンプ1を監視するための物理量として、真空ポンプ1のモータ電流値を用いる場合について説明する。データ取得部51は、モータ制御部23で検出されているモータ電流値をポンプコントローラ12から取得する。モータ電流値は、予め設定された所定のサンプリング間隔で取得される。演算部52は、データ取得部51で取得したモータ電流値に基づいて、後述するモータ電流値の実測波形データ、基準波形データおよびピークホールド波形データ等を生成する。表示制御部53は、演算部52で生成されたデータに基づく画像を、操作部55を介して入力されたユーザ指令に基づく表示形式で表示部54に表示する。記憶部56には、データ取得部51で取得したデータ、演算部52で生成したデータ、上述したプログラム等が記憶される。
【0021】
図4は、真空処理装置10において同一真空処理プロセス、たとえば複数枚の基板に対してエッチングプロセスを連続して繰り返し行っているときのモータ電流値の時系列波形の一例を示す図である。時刻t1~t2の期間P1において1枚目の基板に対するプロセスが行われ、時刻t2~t3の期間P2において2枚目の基板に対するプロセスが行われ、時刻t3~t4の期間P3において3枚目の基板に対するプロセスが行われる。同一プロセスが繰り返し行われるので、各期間P1~P3のモータ電流値の時系列波形はほぼ同じ波形になっている。以下では、この期間のことをプロセス期間と呼ぶことにする。
【0022】
時刻t1において、プロセスチャンバ2に1枚目の基板が搬入され、プロセスチャンバ2が真空ポンプ1により排気されるとモータ電流値が急上昇し、モータ電流値は時刻t1aで最大値となり時刻t1bまで低下する。その後、時刻t1bからプロセスガスが導入されてモータ電流値は上昇して時刻t1cで最大値となる。時刻t1cから時刻t1dまでは、一定のプロセス圧力によりプロセス処理が行われるので、一定のモータ電流値となる。時刻t1dで1枚目の基板に対するプロセス処理が終了し、プロセスガスの導入が停止されるとモータ電流値は急激に低下し、時刻t1eの位置まで低下する。その後、モータ電流値は時刻t1f、t1gに2つのピークをとり、時刻t1gのピークから急激に低下して時刻t2の値まで低下する。この間に1枚目の基板が搬出され、2枚目の基板が搬入される。時刻t2から始まる2枚目の基板に対するプロセス期間P2、および時刻t3から始まる3枚目の基板に対するプロセス期間P3でも、モータ電流値はプロセス期間P1と同様の変化を示す。
【0023】
図4において、実線L1で示す波形は実測したモータ電流値の波形(以下、実測波形と呼ぶ)であり、破線L2で示す波形は比較の基準となるモータ電流値の波形(以下、基準波形と呼ぶ)である。プロセス処理は、真空ポンプ1が起動されて定格回転数に達した後に開始される。後述するように、基準波形は、ポンプ運転開始後の所定期間内における複数回のプロセス処理において取得されたモータ電流値に基づいて設定される。所定期間は、生成物堆積がほぼ生じていないポンプ運転開始後の初期期間において設定される。
【0024】
(基準波形データと実測波形データの生成)
図5は、監視装置5の演算部52におけるデータ生成処理の一例を示すフローチャートである。この手順は、記憶部56に記憶されているデータ生成処理プログラムを、監視装置5の起動に伴って起動することにより実行される。なお、演算部52で生成されるデータとしては、例えば、計測されたモータ電流値に基づく実測波形データ(
図4のL1)と、その実測波形データに基づいて加工生成される波形データがある。加工生成される波形データとしては、平均化処理を施して生成される基準波形データ(
図4のL2)や、逐次生成される実測波形データのピークホールド波形を示すデータ(後述する
図11(a),
図11(b)のLph)などがある。
図5では、実測波形データおよび基準波形データを生成する場合を例に示した。
【0025】
真空処理装置10のメインコントローラ100からの指令により真空ポンプ1が起動すると、真空ポンプ1の起動に伴って監視装置5も起動する。監視装置5が起動すると、
図5の処置のプログラムが実行される。ステップS1では、真空ポンプ1のロータ回転駆動が開始されたか否か、すなわち、真空ポンプ1がスタートされたか否かを判定する。ステップS1でロータ回転駆動が開始されたと判定されると、ステップS2に進んでモータ電流値のサンプリングが開始される。サンプリングされたモータ電流値は、記憶部56に蓄積される。ステップS3では、モータ電流値のサンプリングを開始してからN個のプロセス期間が経過したか否かを判定する。すなわち、基準波形データの生成に必要なNプロセス期間分のモータ電流値が、サンプリングされたか否かを判定する。
【0026】
図4において、真空ポンプ1の回転がスタートされて、t=t1に最初のプロセスが開始されると仮定する。プロセス期間中、モータ電流値には複数の極小値が生じるが、時刻t1、t2、t3、t4・・・において最も値の小さな極小値(I≒I
0)が生じる。この極小値I≒I
0は、
図4に示すように各プロセス期間の開始時に取得されるので、極小値I≒I
0が3回得られた時点ではプロセス期間2つ分のモータ電流値データがサンプリングされたことになる。例えば、基準波形データ生成にプロセスN回分のモータ電流値データが必要であると仮定した場合、極小値I≒I
0が(N+1)回得られるまでにサンプリングされたモータ電流値データを基準波形データ生成に使用する。すなわち、ステップS3では、サンプリングされた複数のモータ電流値データにおいて電流値I≒I
0のものが(N+1)個になった時点で、yesと判定される。
【0027】
ステップS3でNプロセス期間分のモータ電流値データが取得されたと判定されると、ステップS4に進んで1プロセス期間の時間Δtを決定する。具体的には、電流値I≒I0であるモータ電流値データの取得時間間隔が1プロセス期間の時間Δtに相当するので、(N+1)番目の電流値I≒I0のサンプリング時刻と1番目の電流値I≒I0のサンプリング時刻との差分値に1/Nを乗算することで、1プロセス期間の時間Δtが算出される。算出された1プロセス期間の時間Δtは、記憶部56に記憶される。
【0028】
ステップS5では、記憶部56に蓄積されたNプロセス期間分のモータ電流値データに基づいて、基準波形データを生成する。まず、Nプロセス期間分のモータ電流値データを、1プロセス期間毎のモータ電流値データにグループ化する。すなわち、電流値I≒I0が取得された時刻から1プロセス期間の時間Δtが経過するまでに取得された複数のモータ電流値データを、1プロセス期間のモータ電流値データとしてグループ化する。そして、Nプロセス期間分のN個のモータ電流値データ群に対して、例えば、プロセス期間内の同一サンプリングタイミングのモータ電流値得データの間で平均値をとることで、平均化された1プロセス期間分のモータ電流値データ群が得られる。この1プロセス期間分のモータ電流値データ群が基準波形データに相当する。算出された基準波形データは、記憶部56に記憶される。
【0029】
ステップS6では、サンプリングされて記憶部56に蓄積された複数のモータ電流値データを、1プロセス期間毎のモータ電流値データ群にグループ化することで、実測波形データを生成する。すなわち、電流値I≒I0のモータ電流値データのサンプリング時刻から1プロセス期間の時間Δtが経過するまでに取得された複数のモータ電流値データを、1プロセス期間のモータ電流値データ群としてグループ化する。このグループ化されたモータ電流値データ群が実測波形データに相当する。
【0030】
ステップS7では真空ポンプ1が停止されたか否かを判定する。ステップS7において、真空ポンプ1が停止していないと判定されるとステップS6へ戻り、ポンプ停止と判定されると一連のデータ処理を終了する。すなわち、真空処理装置10における一連のプロセス処理が停止されて真空ポンプが停止されるまで、実測波形データ生成処理が繰り返し実行される。そして、1プロセス期間分のモータ電流値データ群が新たに取得される度に、新たな1プロセス期間分の実測波形データが算出され、記憶部56に蓄積される。
【0031】
なお、真空ポンプ1が停止されたか否かの判定は、例えば、サンプリングされたモータ電流値がゼロとなったことを検出することでポンプ停止と判断する。また、ポンプスタートおよびポンプ停止の信号がメインコントローラ100から入力されるような構成とし、ポンプ停止信号の受信でポンプ停止と判断しても良い。
【0032】
(表示部54への画像表示の説明)
監視装置5の表示制御部53(
図3参照)は、生成された監視用画像データに基づく表示画像の表示部54への表示を制御する。表示制御部53は、ユーザが操作部55を操作して入力された表示指令に基づく表示形式により、表示画像を表示部54に表示する。
【0033】
図6は、表示制御部53による表示制御処理の一例を示すフローチャートである。この手順は、記憶部56に記憶されている表示制御プログラムを、監視装置5の起動に伴って起動することにより実行される。なお、
図6では、3種類の表示形式A,B,Cがある場合を例に示した。
【0034】
ステップS10では、入力された表示指令が表示形式Aか否かを判定する。ステップS10で表示指令が表示形式Aであると判定されると、ステップS11へ進んで表示形式Aで波形画像を表示する。ステップS10で表示指令が表示形式A以外であると判定されると、ステップS12へ進んで表示指令が表示形式Bか否かを判定する。ステップS12で表示指令が表示形式Bであると判定されると、ステップS13へ進んで表示形式Bで波形画像を表示する。ステップS12で表示指令が表示形式B以外であると判定されると、ステップS14へ進んで表示形式Cで波形画像を表示する。
【0035】
なお、
図6に示す例では、操作部55からの表示指令に基づいて、複数の表示形式A~Cからいずれか一つを選択して表示する構成としたが、いずれか一つの表示形式でのみ表示する構成としても良い。例えば、表示形式Aによる表示のみ可能な監視装置でもよい。
【0036】
図7は、表示形式Aによる画像表示を示す図である。表示形式Aでは、現在から過去に遡る3枚の実測波形L13、L12,L11が、波形画像No.1~No.3として表示部54の表示領域である表示画面54aの左右方向に並べて表示されている。波形画像No.1は直近に得られた最新の実測波形L13あって、1サイクル過去の実測波形L12は左隣に波形画像No.2として表示され、2サイクル過去の実測波形L11はさらに左隣に波形画像No.3として表示される。
図7に示す状態から、実測波形L13の1サイクル後の実測波形(実測波形L14と表す)が新たに得られた場合には、波形画像No.1として実測波形L14が表示され、波形画像No.2,No.3として実測波形L13,L12がそれぞれ表示される。
【0037】
図7において、実測波形L11,L13はほぼ同一の波形形状であるが、実測波形L12では符号543で示す部分の形状が他の実測波形L11と異なっている。ユーザは、3枚の実測波形L13、L12,L11を観察して比較することにより、実測波形の相違からポンプに異常が生じているか否かを判定する。例えば、生成物堆積が許容範囲内か否かを判定する。このような表示画像から波形の異常を判断する場合、プロセス期間の波形全体を目視で比較することができるので、波形形状の相違がプロセス期間のいずれの領域にある場合でも、その相違点を容易に見つけることができる。そのため、ポンプ異常の見落としを防止することができる。
【0038】
一方、特許文献1に記載の従来の技術では、初期処理および事後処理の各々において、プロセス期間の所定時間内に複数回取得されるモータ電流値の平均値を求め、それらの差であるモータ電流変化量と警告レベル値と比較することにより警告を発している。そのため、所定時間以外の期間においてモータ電流変化量が大きくなる状況が生じても、見落とされてしまうことになるが、本実施の形態では、上述のようにプロセス期間の波形全体を画像として比較することができ、従来のような見落としによる誤判定を防止することができる。
【0039】
図7において、表示画面54a内の下部領域には、操作部55として、タッチパネル式の操作ボタン55a,55b,55cが表示されている。操作ボタン55aは、表示状態を1サイクル分だけ戻す操作ボタンである。
図7の表示状態で操作ボタン55aを1回押すと、波形画像No.1~No.3として1サイクル分だけ過去の実測波形、すなわち、実測波形L12,L11と実測波形L11よりも1サイクル前に得られた実測波形とが波形画像No.1,No.2,No.3として順に表示される。その状態から、実測波形を1サイクル分だけ進める操作ボタン55cを操作すると、
図7の表示状態に戻る。
【0040】
なお、
図7の最新の表示状態では、その状態から先の(未来の)表示状態は表示不可能なので、操作ボタン55cが破線で示されていて操作不可であることを示している。また、操作ボタン55bは、最新の表示状態に戻す操作ボタンである。操作ボタン55aまたは55cを操作して表示状態を変更した後、操作ボタン55bを押すと最新の表示状態(
図7の表示状態)に戻る。
【0041】
図8は、表示形式Bによる画像表示を示す図である。表示形式Bでは、現在から過去に遡る3枚の波形画像No.1,NO.2,No.3を同一表示領域に重ねて表示するようにした。なお、
図8では、重複表示されている波形画像No.1~No.3が認識できるように、それらをずらして表示している。波形画像No.1には実測波形L13が表示され、波形画像No.2には実測波形L12が表示され、波形画像No.3には実測波形L11が表示されている。この場合、比較すべき複数の実測波形L11~L13が重ねて表示されているので、
図7のように左右に並べて表示する場合に比べて波形形状の相違が見分け易くなる。
図8の表示状態において操作ボタン55aを押すと表示が1サイクル分だけ過去に遡り、実測波形L13,L12,L11に代えて、実測波形L12,L11と実測波形L11よりも1サイクル前の実測波形が、波形画像No.1~No.3として表示される。
【0042】
図9は、表示形式Cによる画像表示を示す図である。表示形式Cでは、実測波形が表示された波形画像No.1と、基準波形L2が表示された波形画像No.2とを重ねて表示するようにした。
図9に示す例では、波形画像No.1には直近の実測波形L13が表示されている。表示形式Cでは、実測波形を、生成物堆積がほとんどないポンプ使用初期状態の基準波形L2と比較表示するようにしているので、実測波形の基準波形L2からの乖離によって生成物堆積状態の状況や推移を容易に認識することができる。
図9の表示状態において操作ボタン55aを押すと、
図10のように1サイクル前の実測波形L12が波形画像No.1として表示される。波形画像No.2は基準波形L2のままである。
【0043】
図10では、操作ボタン55cは実線で表示されていて、操作可能であることを示している。なお、
図9、10に示す例では、実測波形が表示された一つの波形画像No.1に対して基準波形L2が表示された波形画像No.2を重ねて表示したが、
図8のような実測波形が表示された複数の波形画像に対して、基準波形L2が表示された波形画像を重ねて表示しても良い。
【0044】
表示部54における複数の波形画像を表示する表示形式は、上述した表示形式A~Cに限定されず、種々の形態が可能である。例えば、
図8のように複数の波形画像を同時に重ねて表示する代わりに、複数の波形画像を目視で比較しやすい所定時間間隔(例えば、1秒間隔)で順に表示するようにしても良い。その際に、
図9,10のように基準波形L2も合わせて表示しても良い。
【0045】
また、
図11に示すようなピークホールド波形Lphが表示された波形画像を、基準波形画像の一つとして表示するようにしても良い。なお、ピークホールド波形Lphのデータであるピークホールド波形データは、演算部52で生成される。
図11(a)では、ピークホールド波形Lphが表示された波形画像No.1と、実測波形L11が表示された波形画像No.2と、基準波形L2が表示された波形画像No.3とが重ねて表示されている。
図11(b)では、ピークホールド波形Lphが表示された波形画像No.1と、実測波形L12が表示された波形画像No.2と、基準波形L2が表示された波形画像No.3とが重ねて表示されている。
図11(a)は実測波形L11が取得された時刻tのときの表示であり、
図11(b)は1サイクル後の実測波形L12が取得された時刻t+Δtにおける表示である。
【0046】
図11(a)では、実測波形L11の符号p10で示す部分の値(電流値)は、実測波形L11が得られる前のピークホールド波形の値よりも大きくなっている場合を示した。そのため、実測波形L11が得られたことにより、ピークホールド波形Lphは符号p10で示す領域の値が実測波形L11の値に更新されている。さらに、
図11(b)の実測波形L12が得られると、実測波形L12のp11で示す領域の値は、
図11(a)のピークホールド波形Lphの同一領域における値よりも大きい。そのため、
図11(b)のピークホールド波形Lphでは、
図11(a)に示すピークホールド波形Lphに対して符号p11で示す領域の値(波形)が更新されている。
【0047】
このように、ピークホールド波形Lphは、計測開始から現在までの実測波形の各時刻におけるプロセス期間における各時刻のピーク値で構成される波形である。ピークホールド波形Lphを表示することにより、生成物堆積によるモータ電流値の増加の推移を容易に認識することができる。
【0048】
(変形例1)
図12に示す表示形式は、
図7に示す表示形式Aの変形例である。
図12に示す表示形式では、直近の実測波形L20から過去に遡った実測波形L11までの10の実測波形L11~L20を、
図12(a)~
図12(c)に示すように表示する。
図12(a)が表示されてから所定時間(例えば、1秒)が経過すると、
図12(b)の表示に切り替わり、さらに所定時間が経過すると
図12(c)の表示に切り替わる。
図12(a)では、実測波形L20,L19,L18が図示右側から順に波形画像No.1,No.2,No.3として表示されている。
図12(b)では、実測波形L20,L19,L18のそれぞれに対して1サイクル分だけ前の実測波形L19,L18,L17が、波形画像No.1,No.2,No.3として表示されている。さらに、
図12(c)では、実測波形L19,L18,L17のそれぞれに対して1サイクル分だけ前の実測波形L18,L17,L16が、波形画像No.1,No.2,No.3として表示されている。
【0049】
図12に示す表示形式では、所定時間が経過する度に、1サイクル分だけ前の実測波形が波形画像No.1,No.2,No.3として表示され、最終的に、
図12(a)が表示されてから(所定時間)×7だけの時間が経過すると、実測波形L13,L12,L11が波形画像No.1,No.2,No.3として表示されることになる。その結果、20の実測波形L11~L20を目視で比較することができる。
【0050】
なお、
図8に示す表示形式Bについても、その変形例として、複数の実測波形L11,L12,L13を所定時間間隔で時系列に表示するようにしても良い。
【0051】
上述した実施の形態では、表示部54に表示された複数の波形画像を目視により観察してポンプ異常を判断した。しかし、監視装置5にポンプ異常判断部を設けて、そのポンプ異常判断部においてプロセス期間全域における波形画像の波形形状(例えば、実測波形データの波形形状と基準波形データの波形形状)を比較し、波形形状の相違からポンプ異常判断を行っても良い。
【0052】
(変形例2)
真空ポンプ1を監視するための物理量としては、上述したモータ電流値に限らず、モータ回転数、磁気軸受け制御の制御電流値なども使用することができる。これらの物理量は、生成物堆積によるポンプ負荷の変化を示す指標として利用することができる。
【0053】
(変形例3)
上述した実施の形態では、プロセスが開始された後に得られるNプロセス期間分のモータ電流値データに基づいて基準波形データを生成して記憶部56に格納し、その基準波形データに基づいて基準波形L2を表示するようにした。この基準波形L2は、次回のポンプメンテナンス後のプロセス開始後の基準波形L2として利用することができる。すなわち、ポンプメンテナンス後にプロセスを開始したならば、記憶部56に記憶されている基準波形データにより基準波形L2を表示して実測波形との比較を行う。
【0054】
上述した例示的な実施の形態および変形例は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0055】
[1]一態様に係るポンプ監視装置は、同一のプロセスが時系列的に複数回繰り返し行われるプロセスチャンバを排気する真空ポンプのポンプ監視装置であって、前記真空ポンプの運転状態を表す物理量を取得する取得部と、取得した前記物理量に基づいて、物理量の時系列変化を表す実測波形データを生成する演算部と、複数の前記プロセスに関して、前記プロセスの開始から終了までの1プロセス期間内に設定された所定期間の実測波形データに基づく実測波形画像をそれぞれ形成し、その複数の実測波形画像を予め設定された表示形式で表示装置の一表示画面に表示させる表示制御部と、を備える。
【0056】
例えば、監視装置5においては、データ取得部51、演算部52および表示制御部53が取得部、演算部、表示制御部に相当する。表示制御部53は、
図7に示すような複数の波形画像No.1~No.3を表示部54の表示画面54aに表示させるので、波形全体を観察して複数の波形画像を比較することができる。その結果、波形形状の相違がプロセス期間のいずれの領域にある場合でも、その相違点を容易に見つけることができ、ポンプ異常の見落としを防止することができる。
【0057】
なお、上述した実施形態では、1プロセス期間内に設定された所定期間として、1プロセス期間(
図4の期間P1,P2,P3など)そのものを用いたが、例えば、
図4の1プロセス期間内の時刻t1から時刻t1eまでに相当する期間を所定期間としても良い。
【0058】
[2]上記[1]に記載のポンプ監視装置において、前記表示制御部は前記予め設定された表示形式として複数の表示形式を有し、前記複数の表示形式の内の一つを、前記表示装置の一表示画面に表示させる表示形式として設定する設定部を備える。例えば、
図6に示すように、表示指令に応じて表示形式A~Cのいずれかを表示可能な構成とすることで、より比較しやすい表示形式を選択することができる。
【0059】
[3]上記[1]または[2]に記載のポンプ監視装置において、前記表示装置に表示させる表示形式は、複数の前記プロセスに関する複数の実測波形画像を、前記表示装置の一表示画面に複数並べて表示する第1の表示形式、複数の前記プロセスに関する複数の実測波形画像を、前記表示装置の一表示画面に共通の時間軸で複数重ね合わせて表示する第2の表示形式、および、前記プロセスに関する実測波形画像とその実測波形画像に対する比較基準としての基準波形画像とを、前記表示装置の一表示画面に共通の時間軸で複数重ね合わせて表示する第3の表示形式のいずれかである。
【0060】
例えば、
図7に示す表示形式Aが第1の表示形式に、
図8に示す表示形式Bが第2の表示形式に、
図9に示す表示形式Cが第3の表示形式にそれぞれ相当する。
図7の表示形式Aでは、それぞれ1プロセス期間に取得されたモータ電流値に基づく実測波形L13,L12,L3が一つの表示画面54aに並べて表示されている。そのため、同じプロセスタイミングにおけるモータ電流値の比較が容易であり、相違点を見つけやすい。さらに、
図8の示す表示形式Bのように、複数の波形画像No.1~No.3を一つの表示画面54aに共通の時間軸で重ね合わせて表示することで、波形の相違が際立って見える。また、
図9の表示形式Cのように、実測波形L13が表示された波形画像No.1と基準波形L2が表示された波形画像No.2とを一つの表示画面54aに共通の時間軸で重ねて表示することで、実測波形の基準波形L2からの乖離にから、生成物堆積状態の状況や推移を容易に認識することができる。もちろん、1プロセス期間の全てではなく、1プロセス期間の内のモータ電流値の相違が発生し易い期間の波形を表示しても良い。
【0061】
[4]上記[3]に記載のポンプ監視装置において、前記演算部は、予め定めた所定期間内の複数のプロセス期間の実測波形データに基づいて、1プロセス期間における基準波形データをさらに生成し、前記表示制御部は、前記基準波形データに基づいて前記基準波形画像を表示させる。複数のプロセス期間の実測波形データに基づいて基準波形データを演算し、その基準波形データに基づいて前記基準波形画像を表示させるので、基準波形画像を予め設定しておく必要がない。
【0062】
[5]上記[3]に記載のポンプ監視装置において、前記演算部は、複数の異なるプロセス期間の実測波形データから、同一プロセスタイミングにおける複数の物理量から最大値の物理量を抽出して得られるピークホールド波形データをさらに生成し、前記表示制御部は、前記ピークホールド波形データに基づいて前記基準波形画像を表示させる。例えば、
図11(a)に示すように、ピークホールド波形Lphが表示された波形画像No.1と、実測波形L11が表示された波形画像No.2とを重ねて表示することで、生成物堆積によるモータ電流値の増加の推移を容易に認識することができる。
【0063】
[6]上記[1]から[5]までのいずれか一項に記載のポンプ監視装置において、前記物理量は、前記真空ポンプのロータを回転駆動するモータの電流値、または、前記ロータを支持する磁気軸受におけるロータ変位計測値である。生成物堆積によりモータの電流値は変化するので、物理量としてモータ電流値を使用することにより、生成物堆積の状況を適切に把握することができる。また、生成物堆積によるロータ位置の変化を、磁気軸受17A~17Cにおけるロータ変位計測値を用いて検出し、そのロータ変位計測値をモータ電流値に代えて物理量として使用しても良い。
【0064】
[7]一態様に係る真空ポンプは、ロータ、ステータ、およびロータを回転駆動するモータを有するポンプ本体と、前記ポンプ監視装置を含み、前記モータを駆動制御するポンプコントローラと、を備える。
【0065】
以上では、プロセスガスの不純物成分がロータなどに付着して起こるポンプ負荷の増大を一例として説明した。しかし、本発明のように、基準波形と実測波形の比較からポンプ負荷増大に伴うポンプ異常を監視する装置は、生成物堆積に起因するポンプ負荷の増大に限らず、他の要因によるポンプ負荷が増大する事象を監視する場合にも適用することができる。
【0066】
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0067】
1…真空ポンプ、2…プロセスチャンバ、5…監視装置、10…真空処理装置、11…ポンプ本体、12…ポンプコントローラ、14…ポンプロータ、16…モータ、51…データ取得部、52…演算部、53…表示制御部、54…表示部、54a…表示画面、55…操作部、56…記憶部、62…固定翼ステータ、64…ネジステータ、100…メインコントローラ