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特許7480520曝射実績合算装置および放射線撮影システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】曝射実績合算装置および放射線撮影システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20240101AFI20240501BHJP
【FI】
A61B6/00 520R
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020028041
(22)【出願日】2020-02-21
(65)【公開番号】P2021129914
(43)【公開日】2021-09-09
【審査請求日】2022-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三宅 信之
(72)【発明者】
【氏名】金森 孝太郎
【審査官】蔵田 真彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-187942(JP,A)
【文献】特開2019-126709(JP,A)
【文献】特開2009-219705(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0066875(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00-6/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線撮影システムにおいて、第1曝射による第1曝射画像と、第2曝射による第2曝射画像とを生成する場合、前記第1曝射画像の第1曝射実績と、前記第2曝射画像の第2曝射実績とを合算する合算部と、
前記第1曝射画像および前記第2曝射画像に基づいて生成される第3曝射画像に、前記合算部により合算された第3曝射実績に関する情報を紐付ける紐付け部と、
を備え、
前記合算部は、前記第1曝射画像と前記第2曝射画像とに基づいて第3曝射画像を生成する場合、前記第1曝射と前記第2曝射との間で放射線の線質が異なるか否かに応じて、前記第1曝射実績と前記第2曝射実績とを合算するか否かについて判定する、
曝射実績合算装置。
【請求項2】
前記紐付け部は、前記第3曝射画像を、前記第3曝射実績に関する情報を紐付けて出力する、
請求項1に記載の曝射実績合算装置。
【請求項3】
前記合算部は、前記放射線の線質が前記第1曝射と前記第2曝射とで同じであり、かつ、前記第1曝射実績および前記第2曝射実績の種類が、照射時間、管電流時間積、および放射線量の少なくとも1つに関する実績である場合、前記第1曝射実績と前記第2曝射実績とを合算すると判定する、
請求項に記載の曝射実績合算装置。
【請求項4】
前記合算部は、前記放射線の線質が前記第1曝射と前記第2曝射とで同じであり、かつ、前記第1曝射実績および前記第2曝射実績の種類が、放射線の管電圧および管電流の少なくとも1つである場合、前記第1曝射実績と前記第2曝射実績とを合算しないと判定する、
請求項に記載の曝射実績合算装置。
【請求項5】
前記合算部は、前記放射線の線質が前記第1曝射と前記第2曝射とで異なる場合、前記第1曝射実績と前記第2曝射実績とを合算しないと判定する、
請求項に記載の曝射実績合算装置。
【請求項6】
前記合算部は、前記第1曝射画像と前記第2曝射画像とを合成しない場合、前記第1曝射実績と前記第2曝射実績とを合算しないと判定する、
請求項1~の何れか1項に記載の曝射実績合算装置。
【請求項7】
前記第1曝射画像と前記第2曝射画像とを合成して前記第3曝射画像とする合成曝射と、前記第1曝射画像と前記第2曝射画像とを合成せず、前記第1曝射画像および前記第2曝射画像の何れかを前記第3曝射画像とする非合成曝射との何れかを選択する選択部を備える、
請求項1~の何れか1項に記載の曝射実績合算装置。
【請求項8】
前記選択部は、前記放射線撮影システムの被写体の体動に関する情報に基づいて前記合成曝射および前記非合成曝射の何れかを選択する、
請求項に記載の曝射実績合算装置。
【請求項9】
ユーザーの操作に基づいて前記合成曝射および前記非合成曝射の何れかの選択指令を前記選択部に出力する操作部を備える、
請求項または請求項に記載の曝射実績合算装置。
【請求項10】
前記紐付け部は、前記合算部により前記第1曝射実績と前記第2曝射実績とを合算すると判定された場合、前記第1曝射実績と前記第2曝射実績とを合算した曝射実績を前記第3曝射実績とする、
請求項1~の何れか1項に記載の曝射実績合算装置。
【請求項11】
前記紐付け部は、前記合算部により前記第1曝射実績と前記第2曝射実績とを合算しないと判定された場合、前記第1曝射実績および前記第2曝射実績の何れかを前記第3曝射画像に紐付ける、
請求項1~10の何れか1項に記載の曝射実績合算装置。
【請求項12】
前記第3曝射実績に基づく情報を表示する表示部を備える、
請求項1~11の何れか1項に記載の曝射実績合算装置。
【請求項13】
前記表示部は、前記第1曝射画像と前記第2曝射画像とが合成された合成曝射画像を表示する場合、前記第1曝射画像と前記第2曝射画像とを表示しない状態で、前記合成曝射画像を表示する、
請求項12に記載の曝射実績合算装置。
【請求項14】
前記表示部は、前記第1曝射画像と前記第2曝射画像とが合成された合成曝射画像を表示する場合、前記第1曝射実績と前記第2曝射実績とを表示しない状態で、前記第3曝射実績を表示する、
請求項12または請求項13に記載の曝射実績合算装置。
【請求項15】
前記表示部は、前記第1曝射画像および前記第2曝射画像の何れか一方を表示する場合、前記第1曝射画像および前記第2曝射画像の何れか他方と、前記第1曝射画像と前記第2曝射画像とを合成した合成曝射画像とを表示しない、
請求項12に記載の曝射実績合算装置。
【請求項16】
前記表示部は、前記第1曝射画像および前記第2曝射画像の何れか一方を表示する場合、前記第1曝射画像および前記第2曝射画像の何れか他方に係る曝射実績と、前記第1曝射画像と前記第2曝射画像とを合成した合成曝射画像に係る曝射実績とを表示しない、
請求項12または請求項15に記載の曝射実績合算装置。
【請求項17】
前記表示部は、前記第1曝射画像と前記第2曝射画像とが合成された合成曝射画像と、前記第2曝射画像とを同時に表示する、
請求項12に記載の曝射実績合算装置。
【請求項18】
前記表示部は、前記合成曝射画像と前記第2曝射画像とを同時に表示した状態で、前記第3曝射実績に基づく情報と、前記第2曝射実績に基づく情報とを表示する、
請求項17に記載の曝射実績合算装置。
【請求項19】
放射線を曝射する放射線照射装置と、
前記放射線の曝射を受けることで曝射画像の画像データを生成する放射線撮影装置と、
請求項1~18の何れか1項に記載の曝射実績合算装置と、
を備える放射線撮影システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、曝射実績合算装置および放射線撮影システムに関する。
【背景技術】
【0002】
放射線撮影システムにおいては、放射線画像を撮影する際、本曝射と、本曝射より前に行うプレ曝射とを行う自動露出制御機能を有するもの等、第1曝射と第2曝射とを含む複数回の曝射を行うものが知られている。例えば、自動露出制御機能においては、本曝射よりも低い線量でプレ曝射を行い、得られたプレ曝射画像および当該プレ曝射画像に紐付けられた付帯情報(例えば、プレ曝射における照射時間)に基づいて、本曝射を行う際の線量等の撮影条件を決定する。
【0003】
例えば、特許文献1には、プレ曝射画像の撮影が適切に行うことができたかをプレ曝射画像の画像解析から判断する構成が開示されている。この技術では、プレ曝射画像と本曝射画像とを合成した曝射画像を生成している。
【0004】
また、画像を合成する技術として、特許文献2には、異なる露出条件で撮像された複数の画像を所定の合成比率で合成した1つの合成画像を生成する技術が開示されている。
【0005】
また、一般的に放射線撮影システムは、放射線の被写体への照射が終了する度に、実際の曝射実績(例えば、管電圧、管電流および照射時間、または、管電圧および管電流時間積)の実績値を取得して、コンソール等において保存または表示等を行う。
【0006】
また、コンソールで曝射画像を管理している場合、上記の実績値が曝射画像に紐付けられて保存されたり、また、外部装置等に出力される。上記の複数回の曝射を行う構成においては、第1曝射による曝射実績を紐付けた第1曝射の曝射画像と、第2曝射による曝射実績を紐付けた第2曝射の曝射画像とが保存、表示、管理等される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2019-126709号公報
【文献】特開2012-227822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の構成のように、2つの曝射画像から1つの合成画像を生成する場合、従来のように、各曝射画像に紐付けた曝射実績毎に管理すると、当該合成画像の保存、表示、および合成画像と各曝射実績との紐付けにおいてユーザーに不都合が生じるおそれがあった。例えば、1つの合成画像に2つの曝射実績と紐付けると、ユーザーが2つの曝射実績の何れか一方が合成画像の曝射実績であると誤認識するおそれがあった。
【0009】
また、特許文献2に記載の構成は、放射線の曝射実績を、合成画像に紐付ける構成ではないので、上記の問題を解決することができない。
【0010】
本発明の目的は、曝射画像と曝射実績との紐付けを適切に行うことが可能な曝射実績合算装置および放射線撮影システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る曝射実績合算装置は、
放射線撮影システムにおいて、第1曝射による第1曝射画像と、第2曝射による第2曝射画像とを生成する場合、前記第1曝射画像の第1曝射実績と、前記第2曝射画像の第2曝射実績とを合算する合算部と、
前記第1曝射画像および前記第2曝射画像に基づいて生成される第3曝射画像に、前記合算部により合算された第3曝射実績に関する情報を紐付ける紐付け部と、
を備え、
前記合算部は、前記第1曝射画像と前記第2曝射画像とに基づいて第3曝射画像を生成する場合、前記第1曝射と前記第2曝射との間で放射線の線質が異なるか否かに応じて、前記第1曝射実績と前記第2曝射実績とを合算するか否かについて判定する。
【0012】
本発明に係る放射線撮影システムは、
放射線を曝射する放射線照射装置と、
前記放射線の曝射を受けることで曝射画像の画像データを生成する放射線撮影装置と、
上記の曝射実績合算装置と、
を備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、曝射画像と曝射実績との紐付けを適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態に係る放射線撮影システムの構成を示すブロック図である。
図2】放射線撮影装置の具体的構成を示すブロック図である。
図3】コンソールの具体的構成を示すブロック図である。
図4】表示部の表示の一例を示す図である。
図5】表示部の表示の一例を示す図である。
図6】表示部の表示の一例を示す図である。
図7】制御部における曝射実績出力制御の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る放射線撮影システム100の構成を示すブロック図である。
【0016】
図1に示すように、本実施の形態に係る放射線撮影システム100は、放射線照射装置1、放射線撮影装置2およびコンソール3を備えて構成されている。また、放射線撮影システム100は、図示しない放射線科情報システム(Radiology Information System:RIS)や画像保存通信システム(Picture Archiving and Communication System:PACS)等と接続可能となっている。
【0017】
放射線照射装置1は、コンソール3と有線または無線で通信可能に接続されている。また、放射線照射装置1は、ジェネレーター11、曝射スイッチ12および放射線源13を備えて構成されている。
【0018】
ジェネレーター11は、曝射スイッチ12が操作されたことに基づいて、予め設定された放射線曝射条件(管電圧や管電流、照射時間、管電流時間積(mAs値)等)に応じた電圧を放射線源13に印加することが可能に構成されている。
【0019】
放射線源13(管球)は、図示しない回転陽極やフィラメント等を有している。ジェネレーター11から電圧が印加されると、フィラメントが印加された電圧に応じた電子ビームを回転陽極に向けて照射し、回転陽極が電子ビームの強度に応じた線量の放射線X(X線等)を発生させるようになっている。
【0020】
なお、図1には、ジェネレーター11、曝射スイッチ12および放射線源13が別々に分かれたものを例示したが、これらは一体に構成されていても良い。また、図1には、曝射スイッチ12がジェネレーター11に接続されたものを例示したが、曝射スイッチ12は他の装置に備えられていても良い。また、放射線照射装置1は、撮影室内に据え付けても良いし、回診車等に組み込むことで移動可能に構成しても良い。
【0021】
放射線撮影装置2は、コンソール3と有線または無線で通信可能に接続されている。また、放射線撮影装置2は、放射線照射装置1から被写体を介して放射線Xの曝射を受けることで当該被写体の曝射画像の画像データを生成することが可能に構成されている。
【0022】
図2に示すように、放射線撮影装置2は、撮影制御部21,放射線検出部22、読出部23、通信部24、記憶部25および、各部を接続するバス26を備えて構成されている。
【0023】
撮影制御部21は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等により構成される。撮影制御部21のCPUは、コンソール3等の外部機器からの制御信号等を受信したことに基づいて、記憶部25に記憶されている各種プログラムを読み出してRAM内に展開し、展開されたプログラムに従って各種処理を実行し、放射線撮影装置2における各部の動作を集中制御する。
【0024】
放射線検出部22は、放射線Xを受けることで線量に応じた電荷を発生させる放射線検出素子やスイッチ素子を備えた画素が2次元状(マトリクス状)に配列された基板によって構成されている。
【0025】
読出部23は、各画素から放出された電荷の量を信号値として読み出し、複数の信号値から画像データを生成することが可能に構成されている。
【0026】
通信部24は、外部機器から各種制御信号や各種データ等を受信したり、各種制御信号や生成した画像データ等を外部機器へ送信したりすることが可能に構成されている。
【0027】
記憶部25は、不揮発性の半導体メモリーやハードディスク等により構成され、撮影制御部21が実行する各種プログラムやプログラムにより処理の実行に必要なパラメーター等を記憶している。また、記憶部25は、読出部23が生成した画像データや、撮影制御部21が処理した各種データを記憶することが可能となっている。
【0028】
このように構成された放射線撮影装置2は、撮影制御部21が放射線検出部22の各スイッチ素子をオフにした状態で放射線の曝射を受けると、各画素に放射線の線量に応じた電荷を蓄積する。撮影制御部21が各スイッチ素子をオンにして各画素から電荷が放出されると、読出部23が各電荷量を信号値に変換し、画像データとして読み出す。
【0029】
なお、放射線撮影装置2は、シンチレーター等を内蔵し、照射された放射線Xをシンチレーターで可視光等の他の波長の光に変換し、変換した光に応じた電荷を発生させるものであっても良いし、シンチレーター等を介さずに放射線Xから直接電荷を発生させるものであっても良い。また、放射線撮影装置2は、撮影台と一体化された専用機型のものでも、可搬型のものであっても良い。
【0030】
コンソール3は、PC、携帯端末、または専用の装置によって構成されており、放射線照射装置1および放射線撮影装置2等と有線または無線で通信可能に接続されている。コンソール3は、外部装置(RIS等)からの撮影オーダーやユーザーによる操作に基づいて、放射線照射装置1および放射線撮影装置2の撮影条件や撮影対象部位などを設定することが可能となっている。コンソール3は、本発明の「曝射実績合算装置」に対応する。
【0031】
図3に示すように、コンソール3は、制御部31、通信部32、記憶部33、表示部34、操作部35および、各部を接続するバス36を備えて構成されている。
【0032】
制御部31は、CPU、RAM等により構成される。制御部31のCPUは、操作部35の操作に応じて記憶部33に記憶されている各種プログラムを読み出してRAM内に展開し、展開されたプログラムに従って各種処理を実行し、コンソール3各部の動作を集中制御する。
【0033】
通信部32は、LANアダプターやモデムやTA(Terminal Adapter)等を備え、通信ネットワークに接続された各装置との間のデータ送受信を制御する。
【0034】
記憶部33は、不揮発性の半導体メモリーやハードディスク等により構成され、制御部31が実行する各種プログラムやプログラムにより処理の実行に必要なパラメーター等を記憶している。また、記憶部33は、放射線撮影装置2から受信した画像データや制御部31が処理した画像データを、付帯情報と紐付けて記憶することが可能となっている。
【0035】
表示部34は、LCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)等のモニターにより構成され、制御部31から入力される表示信号の指示に従って、操作部35からの入力指示やデータ等を表示する。
【0036】
操作部35は、カーソルキー、数字入力キー、および各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスを備えて構成され、キーボードに対するキー操作やマウス操作により入力された指示信号を制御部31に出力する。また、操作部35は、表示部34の表示画面にタッチパネルを備えても良く、この場合、タッチパネルを介して入力された指示信号を制御部31に出力する。
【0037】
次に、制御部31による放射線撮影システム100の制御について説明する。制御部31は、プレ曝射(第1曝射)により得られたプレ曝射画像およびプレ曝射画像に紐付けられた付帯情報に基づいて本曝射(第2曝射)を行う際の撮影条件を決定する自動露出制御を行う。プレ曝射は、本曝射の前において、本曝射よりも低い線量で行われる。
【0038】
制御部31は、当該自動露出制御を行う場合、プレ曝射によるプレ曝射画像(第1曝射画像)と、本曝射による本曝射画像(第2曝射画像)とを生成し、プレ曝射画像と本曝射画像との合成を行う。制御部31は、プレ曝射による第1曝射実績を、プレ曝射画像に紐付けて記憶部33に記憶させる。また、制御部31は、本曝射による第2曝射実績を、本曝射画像に紐付けて記憶部33に記憶させる。
【0039】
第1曝射実績は、プレ曝射画像を生成する際における放射線撮影システム100の曝射実績であり、放射線の管電圧、管電流、照射時間、管電流時間積(管電流と照射時間を掛け合わせたもの)および放射線量(面積線量値や入射表面線量値)等の実績が含まれる。第2曝射実績は、本曝射画像を生成する際における放射線撮影システム100の曝射実績であり、放射線の管電圧、管電流、照射時間、管電流時間積、および放射線量等の実績が含まれる。
【0040】
そして、制御部31は、プレ曝射画像と本曝射画像とを生成する場合、第1曝射実績と第2曝射実績とを合算する。制御部31は、本発明の「合算部」に対応する。
【0041】
具体的には、制御部31は、プレ曝射画像と本曝射画像とを合成する場合、放射線の線質が第1曝射と第2曝射との間で異なるか否かに応じて、第1曝射実績と第2曝射実績とを合算するか否かについて判定する。
【0042】
制御部31は、放射線の線質が第1曝射と第2曝射とで同じであり、かつ、第1曝射実績および第2曝射実績の種類が、照射時間、管電流時間積、および放射線量の少なくとも1つである場合、第1曝射実績と第2曝射実績とを合算すると判定する。また、制御部31は、放射線の線質が第1曝射と第2曝射とで同じであり、かつ、第1曝射実績および第2曝射実績の種類が、放射線の管電圧および管電流の少なくとも1つである場合、第1曝射実績と第2曝射実績とを合算しないと判定する。
【0043】
また、制御部31は、放射線の線質が第1曝射と第2曝射とで異なる場合、第1曝射実績と第2曝射実績とを合算しないと判定する。
【0044】
放射線の線質が同じである場合とは、例えば、放射線の管電圧が同じである場合である。放射線の線質が異なる場合とは、例えば、放射線の管電圧が異なる場合である。
【0045】
制御部31は、プレ曝射画像および本曝射画像に基づいて生成される曝射画像(第3曝射画像)に、第1曝射実績と第2曝射実績との合算の可否の判定結果に基づく第3曝射実績に関する情報を紐付けて記憶部33、表示部34および外部装置の少なくとも1つに出力する。制御部31は、本発明の「紐付け部」に対応する。外部装置は、放射線撮影システム100の外部の装置であり、例えば、上記のRIS、PACS、検像器、被曝線量管理システム等の管理装置、表示装置、記憶装置等である。
【0046】
制御部31は、第1曝射実績と第2曝射実績とを合算すると判定した場合、第1曝射実績と第2曝射実績とを合算した曝射実績を第3曝射実績とする。つまり、プレ曝射画像と本曝射画像とが合成された合成曝射画像に、第1曝射実績と第2曝射実績とを合算した第3曝射実績が紐付けられる。
【0047】
また、制御部31は、第1曝射実績と第2曝射実績とを合算しないと判定した場合であって、本曝射画像を曝射画像として用いる場合、第2曝射実績を第3曝射実績とする。つまり、本曝射画像に第2曝射実績(第3曝射実績)が紐付けられる。
【0048】
また、制御部31は、第1曝射実績と第2曝射実績とを合算しないと判定した場合であって、合成曝射画像を曝射画像として用いる場合、第1曝射実績および第2曝射実績のそれぞれを第3曝射実績とする。つまり、合成曝射画像に、第1曝射実績および第2曝射実績のそれぞれが紐付けられる。
【0049】
記憶部33には、上記の曝射画像と紐付けて第3曝射実績が記憶され、表示部34には、上記の曝射画像と、曝射画像に紐付けられた第3曝射実績とが表示される。また、外部装置には、上記の曝射画像と紐付けて第3曝射実績が出力される。
【0050】
例えば、プレ曝射画像と本曝射画像とを合成する場合であり、かつ、プレ曝射の第1曝射実績が、管電圧120kV、管電流100mA、照射時間4msecであり、本曝射の第2曝射実績が、管電圧120kV、管電流100mA、照射時間16msecであるとする。
【0051】
この場合、管電圧および管電流については、時間あたりの値を示すものであることから、プレ曝射と本曝射とで合算はせずに、プレ曝射および本曝射で用いられる値が第3曝射実績とされる。
【0052】
また、管電圧がプレ曝射と本曝射とで同じであるので、放射線の線質が同じである。そのため、照射時間については、プレ曝射の照射時間と本曝射の照射時間とが合算された時間が第3曝射実績とされる。そのため、第3曝射実績に係る照射時間は、プレ曝射の照射時間である4msecと、本曝射の照射時間である16msecとを合算した20msecとなる。
【0053】
表示部34には、例えば、図4に示すように、プレ曝射画像と本曝射画像とを合成した合成曝射画像と、管電圧として120kV、管電流として100mA、照射時間として20msecとが表示される。図4では、管電圧および管電流がプレ曝射と本曝射とで同一であるので、プレ曝射と本曝射とで区別せずに表示された例が示されている。
【0054】
このように表示部34において、合成曝射画像に第3曝射実績を紐付けて表示させることで、ユーザーが合成曝射画像を確認しながら、第3曝射実績を容易に把握することができる。また、プレ曝射の第1曝射実績と本曝射の第2曝射実績を合算した第3曝射実績を表示しているので、ユーザーは合成曝射画像に要した曝射実績を計算する必要なく把握することができ、ユーザーの負担を少なくすることができる。
【0055】
また、図4では、表示部34が、合成曝射画像を表示する場合、プレ曝射画像と本曝射画像を表示しない状態で、合成曝射画像および第3曝射実績を表示している。こうすることで、ユーザーがプレ曝射画像または本曝射画像に、第3曝射実績が紐付いていると誤認識することを抑制することができる。
【0056】
また、例えば、プレ曝射画像と本曝射画像とを合成する場合であり、かつ、プレ曝射の第1曝射実績が、管電圧120kV、管電流50mA、照射時間8msecであり、本曝射の第2曝射実績が、管電圧120kV、管電流100mA、照射時間16msecであるとする。
【0057】
この場合においても、管電圧および管電流については、プレ曝射と本曝射とで合算はせずに、プレ曝射および本曝射で用いられる値が第3曝射実績とされる。
【0058】
この場合、管電圧がプレ曝射と本曝射とで同じであるので、放射線の線質が同じである。しかし、管電流については、プレ曝射と本曝射とで異なるので、照射時間を単純にプレ曝射と本曝射とで合算することができない。
【0059】
そのため、この場合は、管電流と照射時間の積である管電流時間積を管電流と照射時間の曝射実績のかわりに用いる。第3曝射実績に係る管電流時間積は、プレ曝射の管電流時間積である、50mA×8msecと、本曝射の管電流時間積である、100mA×16msecとの和である2mAsとなる。
【0060】
ところで、1つの曝射画像に対して2つの異なる管電流が存在する場合、これらを管理するためのシステムによっては、1つの曝射画像に対して2つの管電流を受け付けることができないものが存在する。そのため、このような場合は、上記のように管電流時間積として合成曝射画像に紐付けることで、第3曝射実績を正確に管理することができる。
【0061】
なお、記憶部33、表示部34、外部装置には、管電圧、プレ曝射画像の管電流、本曝射の管電流、および、プレ曝射と本曝射とを合算した管電流時間積の全てを合成曝射画像に紐付けて出力しても良いし、管電圧および管電流時間積を合成曝射画像に紐付けて出力しても良い。
【0062】
また、上記のように2つの管電流がある場合であっても、ユーザーによっては照射時間で管理したい場合がある。例えば、照射時間による被写体の体動の影響を把握するため、ユーザーにおいては照射時間で把握したいのに、管電流時間積で管理される場合、ユーザーは照射時間を把握することができない。
【0063】
この場合、例えば図5に示すように、照射時間を、プレ曝射の照射時間である8msecと、本曝射の照射時間である16msecとの和である24msecとして、合成曝射画像に紐付ける。また、プレ曝射の管電流と本曝射の管電流とを平均した平均管電流を合成曝射画像に紐付けても良い。この場合、管電流時間積を照射時間で除算した値(2mAs/24msec=83mA)が合成曝射画像に紐付けられる。
【0064】
また、例えば、プレ曝射画像と本曝射画像とを合成する場合であり、かつ、プレ曝射の第1曝射実績が、管電圧110kV、管電流50mA、照射時間8msecであり、本曝射の第2曝射実績が、管電圧120kV、管電流100mA、照射時間16msecであるとする。
【0065】
この場合、管電圧がプレ曝射と本曝射とで異なるため、プレ曝射における線質と本曝射における線質とが異なる。そのため、照射時間や、管電流時間積をプレ曝射と本曝射とで合算すると、被曝の正確な管理が困難になるので、この場合、第3曝射実績は、第1曝射実績と第2曝射実績とを合算したものではなく、第1曝射実績および第2曝射実績のそれぞれとなる。
【0066】
そのため、この場合は、合成曝射画像に、第1曝射実績および第2曝射実績のそれぞれが紐付けられることとなる。
【0067】
しかし、このようにすると、表示部34における表示項目が多くなり、ユーザビリティが低下する場合があるので、プレ曝射における管電流時間積と、本曝射における管電流時間積とを記憶部33、表示部34等に出力するようにしても良い。
【0068】
また、放射線照射装置1における付加フィルターがプレ曝射と本曝射とで異なる場合がある。付加フィルターがプレ曝射と本曝射とで異なると、プレ曝射の線質と本曝射の線質とが異なることとなる。そのため、この場合、第3曝射実績は、第1曝射実績および第2曝射実績のそれぞれとなり、合成曝射画像に第1曝射実績および第2曝射実績のそれぞれが紐付けられる。
【0069】
また、曝射実績に面積線量や入射表面線量等の放射線量が含まれる場合、面積線量や入射表面線量をプレ曝射と本曝射とで合算する条件としても良い。なお、面積線量は、放射線撮影システム100の各装置の何れかに設けられる面積線量計によって計測された値でも良いし、管電圧、管電流、照射時間、照射野、付加フィルターの有無、付加フィルターの種類に応じて算出された値でも良い。
【0070】
また、曝射実績にEI(Exposure Index)値や感度指標値(S値)が含まれる場合、合成曝射画像に対して、プレ曝射のEI値やS値、または、本曝射のEI値やS値を紐付けると、到達線量を適切に管理できなくなる。しかし、EI値やS値についてはプレ曝射と本曝射とで単純に加算できない場合がある。そのため、曝射実績にEI値やS値が含まれる場合、EI値やS値をプレ曝射と本曝射とで単純に加算せずに、合成曝射画像からEI値やS値を算出するようにする。
【0071】
また、合成曝射画像に第3曝射実績を紐付けて外部装置に出力する場合、プレ曝射の第1曝射実績と、本曝射の第2曝射実績とを合成曝射画像に紐付けて出力しない方が好ましい。これは、第1曝射実績と第2曝射実績とが外部装置で適切に扱われなかった場合、被写体(患者)の被曝線量を適切に管理できなくなる可能性があるためである。被曝線量を適切に管理できなくなる例としては、第3曝射実績と、第2曝射実績とが誤って合算されたような場合である。
【0072】
また、制御部31は、プレ曝射画像と本曝射画像とを合成して曝射画像(第3曝射画像)とする合成曝射と、プレ曝射画像と本曝射画像とを合成せず、本曝射画像を曝射画像(第3曝射画像)とする非合成曝射との何れかを選択するようにしても良い。制御部31は、本発明の「選択部」に対応する。
【0073】
具体的には、制御部31は、放射線撮影システム100の被写体の体動に関する情報に基づいて合成曝射および非合成曝射の何れかを選択する。
【0074】
被写体の体動の有無の判断は、例えばプレ曝射と本曝射との間の時間を基準に行われる。プレ曝射と本曝射との間の時間は、プレ曝射画像の転送時間の遅延などによって、長引く場合がある。当該時間が長引くと、被写体の体動が大きくなると考えられる。
【0075】
そのため、制御部31は、プレ曝射と本曝射との間の時間がある程度長くなった場合、非合成曝射を選択する。制御部31は、非合成曝射、つまり、プレ曝射画像と本曝射画像とを合成しない場合、第1曝射実績と第2曝射実績とを合算しないと判定する。
【0076】
そして、制御部31は、例えば、本曝射画像の曝射実績である第2曝射実績を第3曝射実績とする。こうすることで、合成曝射画像が適切にならないような場合でも、本曝射画像によって代用することができる。
【0077】
また、被写体の体動の有無の判断は、例えばプレ曝射画像と本曝射画像とのずれを基準に行われても良い。プレ曝射画像と本曝射画像とのずれは、例えばプレ曝射画像と本曝射画像とを重ね合わせることによって判断される。このずれが、プレ曝射画像と本曝射画像とを合成できない程度に大きい場合、被写体の体動が大きいと判断可能となる。
【0078】
そのため、制御部31は、プレ曝射画像と本曝射画像とのずれがある程度大きくなった場合、非合成曝射を選択する。こうすることで、合成曝射画像が適切にならないような場合でも、本曝射画像によって代用することができる。
【0079】
また、制御部31は、操作部35の選択指令に基づいて合成曝射および非合成曝射の何れかを選択しても良い。操作部35は、ユーザーの操作に基づいて合成曝射および非合成曝射の何れかの選択指令を制御部31に出力する。
【0080】
例えば、操作部35において、合成曝射および非合成曝射を選択するボタンを設け、ユーザーが、合成曝射および非合成曝射の何れかを選択することが可能となる。例えば、図6に示すように、表示部34は、プレ曝射画像と本曝射画像とを合成した合成曝射画像と、本曝射画像とを同時に表示する。
【0081】
こうすることで、ユーザーが合成曝射画像と本曝射画像とを容易に比較することができる。
【0082】
また、表示部34は、合成曝射画像と本曝射画像とを同時に表示した状態で、第3曝射実績に基づく情報と、第2曝射実績に基づく情報とを表示するようにしても良い。図6には、第3曝射実績および第2曝射実績が管電圧、管電流、照射時間である例が示されている。また、図6では、第3曝射実績および第2曝射実績が合成曝射画像および本曝射画像のそれぞれに重ねて表示されている例が示されている。また、図示していないが、第3曝射実績および第2曝射実績に、S値やEI値を含めてもよい。つまり、合成曝射画像には、前述したように合成曝射画像から算出されたS値やEI値が重ねて表示され、本曝射画像には、本曝射画像から算出されたS値やEI値が重ねて表示される。
【0083】
こうすることで、ユーザーが曝射実績を比較しながら、合成曝射画像と本曝射画像とを容易に比較することができる。
【0084】
また、制御部31によって本曝射画像が選択されて、第2曝射実績が本曝射画像に紐付けられて出力された場合、表示部34には、図4図5等と同様に本曝射画像と第2曝射実績とが表示される。言い換えると、表示部34は、本曝射画像を表示する場合、プレ曝射画像および合成曝射画像を表示しない状態で、本曝射画像および第2曝射実績を表示する。
【0085】
このように、表示部34において、本曝射画像に第2曝射実績を紐付けて表示させることで、ユーザーが本曝射画像を確認しながら、第2曝射実績を容易に把握することができる。
【0086】
以上のように構成された制御部31における曝射実績出力制御の動作例について説明する。図7は、制御部31における曝射実績出力制御の動作例を示すフローチャートである。図7における処理は、例えば、放射線撮影システム100における曝射画像の撮影が完了した際に適宜実行される。
【0087】
図7に示すように、制御部31は、プレ曝射画像と本曝射画像とを合成するか否かについて判定する(ステップS101)。判定の結果、プレ曝射画像と本曝射画像とを合成しない場合(ステップS101、NO)、処理はステップS104に遷移する。
【0088】
一方、プレ曝射画像と本曝射画像とを合成する場合(ステップS101、YES)、制御部31は、放射線の線質がプレ曝射と本曝射とで同じか否かについて判定する(ステップS102)。
【0089】
判定の結果、放射線の線質がプレ曝射と本曝射とで異なる場合(ステップS102、NO)、処理はステップS104に遷移する。一方、放射線の線質がプレ曝射と本曝射とで同じ場合(ステップS102、YES)、制御部31は、第1曝射実績と第2曝射実績とを合算して第3曝射実績とする(ステップS103)。
【0090】
ステップS101でNO、またはステップS102でNOの場合、制御部31は、第1曝射実績と第2曝射実績とを合算しない(ステップS104)。具体的には、ステップS101でNOの場合、本曝射画像の第2曝射実績が第3曝射実績とされる。ステップS102でNOの場合、プレ曝射画像の第1曝射実績および本曝射画像の第2曝射実績のそれぞれが第3曝射実績とされる。
【0091】
ステップS103またはステップS104の後、制御部31は、曝射画像に紐付けた第3曝射実績を出力する(ステップS105)。ステップS105がステップS103の後である場合、曝射画像はプレ曝射画像と本曝射画像とを合成した合成曝射画像である。ステップS105がステップS104の後であり、かつ、ステップS101でNOの場合、曝射画像は本曝射画像である。ステップS105がステップS104の後であり、かつ、ステップS102でNOの場合、曝射画像は合成曝射画像である。ステップS105の後、本制御は終了する。
【0092】
以上のように構成された本実施の形態によれば、プレ曝射画像と本曝射画像とが合成される場合、所定の条件の下、第1曝射実績と第2曝射実績とが合算された第3曝射実績が合成曝射画像に紐付けられて出力される。その結果、合成曝射画像と第3曝射実績との紐付けを適切に行うことができる。
【0093】
また、放射線の線質がプレ曝射と本曝射とで同じである場合、第1曝射実績と第2曝射実績とが合算されるので、合成曝射実績と第3曝射実績とが適切に紐付けられた状態で管理することができる。
【0094】
また、放射線の線質がプレ曝射と本曝射とで異なる場合においては、第1曝射実績と第2曝射実績とが合算されないので、合成曝射画像と第3曝射実績とが不適切な状態で管理されることを抑制することができる。
【0095】
また、被写体の体動や、プレ曝射画像と本曝射画像のずれ等に起因して、プレ曝射画像と本曝射画像とが合成されない場合、第1曝射実績と第2曝射実績とが合算されず、本曝射画像と第2曝射実績(第3曝射実績)とが出力される。そのため、合成曝射画像よりも本曝射画像の方が適切である場合においては本曝射画像を用いることができ、また、本曝射画像に第2曝射実績とした第3曝射実績を紐付けることで、曝射実績と曝射画像との紐付けを適切にすることができる。
【0096】
つまり、出力および表示する曝射画像とその曝射画像に寄与した曝射実績を、画像を合成するか否か、線質が異なるか否かに応じて適切に関係づけることができ、ひいては、ユーザーが曝射画像単位で曝射実績を適切に管理できるようになる。
【0097】
なお、上記実施の形態では、合成曝射と非合成曝射とを選択可能な構成であったが、本発明はこれに限定されず、第1曝射画像と第2曝射画像とを生成して、第1曝射画像および第2曝射画像の何れかを用いる構成であっても良い。
【0098】
この場合、制御部31は、第1曝射画像の第1曝射実績と、第2曝射画像の第2曝射実績とを合算しないと判定する。制御部31は、第1曝射画像および第2曝射画像のうち、曝射画像として用いられる方の曝射実績を第3曝射実績として、曝射画像に紐付けて出力する。
【0099】
また、上記実施の形態では、放射線の線質がプレ曝射と本曝射との間で異なるか否かに応じて、第1曝射実績と第2曝射実績とを合算するか否かについて判定していたが、本発明はこれに限定されない。例えば、プレ曝射画像と本曝射画像との合成の有無に応じて第1曝射実績と第2曝射実績とを合算するか否かについて判定する構成であっても良い。
【0100】
また、上記実施の形態では、放射線の線質が第1曝射と第2曝射との間で異なるか否かを判定するのに、第1曝射実績に含まれる管電圧と第2曝射実績に含まれる管電圧を比較していたが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1曝射実績に含まれる管電圧の代わりに、第1曝射に用いる撮影条件に含まれる管電圧を用いてもよい。また第2曝射実績に含まれる管電圧の代わりに、第2曝射に用いる撮影条件に含まれる管電圧を用いてもよい。また、第1曝射と第2曝射で使用した付加フィルターの差異から線質の差異を判定する場合についても、それぞれの曝射で使用した付加フィルターの実績を用いてもよいが、第1曝射の撮影条件と第2曝射の撮影条件に含まれている使用する付加フィルター情報を用いてもよい。
【0101】
また、放射線の線質が第1曝射と第2曝射との間で異なるか否かを判定するのに、第1曝射実績に含まれる管電圧と第2曝射実績に含まれる管電圧を比較する場合において、2つの管電圧の差が微小な場合は同じであると見なしてもよい。例えば、第1曝射の撮影条件での管電圧と第2曝射の撮影条件での管電圧が共に120kVだとしても、その狙いに対して実績がずれる場合がある。その場合、例えば、第1曝射実績に含まれる管電圧が121kV、第2曝射実績に含まれる管電圧が119kVになったりする。この場合、両者の線質を同等とした方が、曝射実績の把握や管理が容易になると考えるユーザーも多い。その為、差が微小であれば第1曝射と第2曝射の線質が同じであると見なすようにする。具体的には、例えば、第1曝射と第2曝射の管電圧の差の絶対値が予め定めた閾値以下(例えば2kV以下)であった場合は、線量が同じであると判断し、閾値を超える場合は線量が異なると判断するようにする。管電圧の差の絶対値の他に、第1曝射の管電圧に対する第2曝射の管電圧の割合に基づいて判定してもよい。このようにすることでユーザーの使い勝手が向上する。
【0102】
また、第1曝射と第2曝射の線質を異なるようにユーザーが設定できない作りにし、上記の線質が異なるか否かの判定処理を省略してもよい。具体的には第1曝射と第2曝射の撮影条件設定で両者の管電圧を共通の値にしか設定できないようにし、さらに第1曝射と第2曝射の撮影条件設定で両者の付加フィルターの有無および種類を共通の設定にしかできないようにする。その上で、線質が異なるか否かの判定処理を省略し、常に同じ線質である場合の処理のみを行う。すなわち上記のステップS102の処理を行わない。このようにすることで、処理を簡略化でき、第3曝射実績の表示をはやめることができる。通常、撮影者は本曝射終了後に第3曝射画像や第3曝射実績が意図したものであるかを確認してから、次の撮影に移る為、第3曝射実績の表示を早めることは撮影者の無駄な待ち時間削減につながる。
【0103】
上記実施の形態では、合成曝射の場合は、第3曝射画像に第1曝射実績と第2曝射実績を条件に応じて合算した上で紐づけ、出力および表示を行い、非合成曝射の場合は、第3曝射画像に第2曝射実績を紐づけ、出力および表示を行った。これにより、第3曝射画像に対して、画像生成に寄与した曝射実績を適切に紐づけることができた。つまり、画像単位で曝射実績を適切に管理できた。一方で、第1曝射と第2曝射を一連の1つの撮影としてとらえ、撮影単位で曝射実績を管理したいユーザーも存在する。この様なユーザーは、上記の画像単位での曝射実績の管理は都合が悪く、第1曝射画像と第2曝射画像を画像合成したか否かによらず、第1曝射と第2曝射の一連の曝射実績を条件に応じて合算した上で第3曝射画像に紐づけて、出力および表示を行う方が適切である。具体的には、制御部31は、図7におけるステップS101のプレ曝射画像と本曝射画像とを合成するか否かについて判定を行わず、常にプレ曝射画像と本曝射画像とを合成する場合(ステップS101、YES)と同じ処理を行う。その後のステップS102以降については上記実施の形態と同様である。以上のように構成すれば、プレ曝射画像と本曝射画像とが合成される場合でも、合成されない場合でも、所定の条件の下、第1曝射実績と第2曝射実績とが合算された第3曝射実績が第3曝射画像に紐付けられて表示および出力される。その結果、ユーザーは、撮影単位で曝射実績を管理できる。
【0104】
また、上記の撮影単位で曝射実績を管理できる構成と、前述した第1曝射と第2曝射の線質を異なるようにユーザーが設定できない作りにし、上記の線質が異なるか否かの判定処理を省略する構成をあわせた構成にしてもよい。この場合は、ステップS101とステップS102の処理を省略でき、処理をさらに簡略化でき、第3曝射実績の表示をさらにはやめることができる。結果、撮影者の無駄な待ち時間を削減できる。
【0105】
また、上記実施の形態では、制御部31が合算部、紐付け部および選択部を兼用する構成であったが、本発明はこれに限定されず、合算部、紐付け部および選択部のそれぞれが別々に設けられた構成であっても良い。
【0106】
また、上記実施の形態では、曝射実績合算装置としてコンソール3を例示したが、本発明はこれに限定されず、曝射実績合算装置が、放射線撮影システム3の外部に設けられていても良い。
【0107】
その他、上記実施の形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0108】
1 放射線照射装置
2 放射線撮影装置
3 コンソール
11 ジェネレーター
12 曝射スイッチ
13 放射線源
21 撮影制御部
22 放射線検出部
23 読出部
24 通信部
25 記憶部
31 制御部
32 通信部
33 記憶部
34 表示部
35 操作部
100 放射線撮影システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7