(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】搬送装置、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 7/02 20060101AFI20240501BHJP
B65H 7/12 20060101ALI20240501BHJP
B65H 37/04 20060101ALI20240501BHJP
B65H 37/06 20060101ALI20240501BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20240501BHJP
B65H 3/44 20060101ALI20240501BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240501BHJP
B65H 35/02 20060101ALN20240501BHJP
B65H 35/04 20060101ALN20240501BHJP
【FI】
B65H7/02
B65H7/12
B65H37/04 Z
B65H37/06
B65H37/04 D
G03G15/00 480
B65H3/44 Z
G03G15/00 303
G03G21/00 370
B65H35/02
B65H35/04
(21)【出願番号】P 2020032639
(22)【出願日】2020-02-28
【審査請求日】2022-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001900
【氏名又は名称】弁理士法人 ナカジマ知的財産綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 拓
(72)【発明者】
【氏名】野々山 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】舛田 純一
(72)【発明者】
【氏名】神谷 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】酒井 克英
【審査官】鵜飼 博人
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-107041(JP,A)
【文献】特開2019-095486(JP,A)
【文献】特開2020-001850(JP,A)
【文献】特開2015-074532(JP,A)
【文献】特開2012-184093(JP,A)
【文献】特開2019-108218(JP,A)
【文献】特開2002-323828(JP,A)
【文献】特開2008-265973(JP,A)
【文献】特開2008-015149(JP,A)
【文献】特開2007-168928(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 7/00- 7/20
B65H 43/00- 43/08
G03G 13/34
G03G 15/00
G03G 15/36
G03G 21/00
G03G 21/02
G03G 21/14
G03G 21/20
B65H 37/00- 37/06
B65H 41/00
B65H 45/00- 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被印刷媒体を搬送路に沿って印刷部に向けて搬送する搬送装置であって、
搬送中の前記被印刷媒体に超音波を発信し、前記被印刷媒体を介することで減衰した超音波を検出する超音波センサーと、
前記超音波センサーが検出した超音波のレベルが所定の閾値を下回り、且つ、被印刷媒体に対する印刷条件が封筒の印刷に適していない場合、前記被印刷媒体の搬送を中止する制御手段と、
搬送される被印刷媒体の種別を決定する媒体種別決定手段と、
搬送路の上流端に複数の収容トレイ
と、を備え、
前記制御手段が被印刷媒体の搬送を中止するのは、前記印刷条件が、封筒の印刷に適していないもののシートの印刷に適する第1条件に該当する場合であり、
前記媒体種別決定手段は、
i)前記印刷条件が、シート及び封筒の双方の印刷に適している第2印刷条件であること、
ii)前記印刷条件を含むジョブが、被印刷媒体の収容後、未だ1枚の供給も行っていない収容トレイを選択したこと、
iii)前記所定の閾値を下回るレベルの超音波が、前記収容トレイから最初に供給された被印刷媒体に対して検出されたこと、
を要件として、搬送路で搬送される被印刷媒体の種別を封筒とする
ことを特徴とす
る搬送装置。
【請求項2】
前記超音波センサーが検出した超音波のレベルが前記所定の閾値を下回り、且つ、被印刷媒体に対する印刷条件が封筒の印刷に適していない場合、2枚以上のシートが重なった状態の重送が生じたとする
ことを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記超音波センサーが検出した超音波のレベルが前記所定の閾値以上となる場合、前記媒体種別決定手段は、前記印刷条件が、前記封筒の印刷に適するかどうかにかかわらず、前記被印刷媒体の種別を、シートであると決定する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記印刷部は、電子写真方式による印刷を実行し、像担持体上の画像を転写位置で前記被印刷媒体に転写する転写部と、
前記被印刷媒体に転写された画像を被印刷媒体に定着する定着部とを備え、
前記媒体種別決定手段が、搬送路で搬送される被印刷媒体の種別を封筒とした場合、シートに対する転写よりも、高い電圧を用いた転写を行うよう前記転写部に指示し、シートに対する定着よりも、高い定着温度を目標温度とする熱定着を行うよう前記定着部に指示する
ことを特徴とする請求項
1に記載の搬送装置。
【請求項5】
複数の収容トレイのそれぞれに設けられ、対応する収容トレイが被印刷媒体の供給を開始した際、その供給開始のタイミングを検出する供給センサーと、検出された供給開始タイミングから、所定の時間が経過した後に前記超音波センサーの駆動を開始するセンサー駆動手段とを備え、
前記各収容トレイから前記超音波センサーまでの搬送距離が異なり、
前記所定の時間は、被印刷媒体を収容した収容トレイが、何れであるかによって変わる搬送距離の長さに応じて定められている
ことを特徴とする請求項
1~
4の何れかに記載の搬送装置。
【請求項6】
前記印刷部は、電子写真方式による印刷を実行し、像担持体上の画像を転写位置で前記被印刷媒体に転写する転写部を備え、
前記搬送路には、収容トレイに収容された被印刷媒体を繰り出す繰り出しローラーと、繰り出された被印刷媒体を下流側に供給する供給ローラーと、供給された被印刷媒体を前記転写位置に送り出すタイミングをとるタイミングローラーとが設けられており、
前記超音波センサーは、搬送路のうち、前記被印刷媒体の搬送方向において前記供給ローラーよりも下流側、尚且つ、タイミングローラーよりも上流側の位置に設置され、前記超音波センサーにより検出された超音波のレベルが所定の閾値を下回っていて、尚且つ、前記印刷条件が封筒の印刷に適していない場合、前記制御手段は、被印刷媒体がタイミングローラーに到達する前に、被印刷媒体の搬送を中止する
ことを特徴とする請求項1~
3の何れかに記載の搬送装置。
【請求項7】
前記搬送路において前記超音波センサーの設置場所より下流側の位置には、被印刷媒体を更に下流のタイミングローラーに案内するガイド部材があり、
前記超音波センサーの受信素子が発する受信信号のうち、前記被印刷媒体の先端がガイド部材に衝突した時点よりも後の部分波形を抽出し、抽出された部分波形から、前記超音波を算出する
ことを特徴とする請求項
6に記載の搬送装置。
【請求項8】
被印刷媒体を搬送路に沿って印刷部に向けて搬送する搬送装置であって、
搬送中の前記被印刷媒体に超音波を発信し、前記被印刷媒体を介することで減衰した超音波を検出する超音波センサーと、
前記超音波センサーが検出した超音波のレベルが所定の閾値を下回り、且つ、被印刷媒体に対する印刷条件が封筒の印刷に適していない場合、前記被印刷媒体の搬送を中止する制御手段と、
を備え、
前記封筒の印刷に適していない印刷条件は、異なるページの各画像を1枚のシートの一方の面に集約して形成する集約印刷の指示、又は、一枚のシートの両面に画像を形成する両面印刷の指示を含む
ことを特徴とす
る搬送装置。
【請求項9】
被印刷媒体を搬送路に沿って印刷部に向けて搬送する搬送装置であって、
搬送中の前記被印刷媒体に超音波を発信し、前記被印刷媒体を介することで減衰した超音波を検出する超音波センサーと、
前記超音波センサーが検出した超音波のレベルが所定の閾値を下回り、且つ、被印刷媒体に対する印刷条件が封筒の印刷に適していない場合、前記被印刷媒体の搬送を中止する制御手段と、
を備え、
前記封筒の印刷に適していない印刷条件には、1枚のシートに対する印刷の後に、印刷されたシートに対してなすべき後処理の指示が付加されている
ことを特徴とす
る搬送装置。
【請求項10】
前記後処理の指示は、印刷されたシートの端縁を綴じる旨の指示である
ことを特徴とする請求項
9に記載の搬送装置。
【請求項11】
前記後処理の指示は、印刷されたシートの端縁を穿孔する指示である
ことを特徴とする請求項
9に記載の搬送装置。
【請求項12】
前記後処理の指示は、印刷されたシートを、Z折りする旨の指示である
ことを特徴とする請求項
9に記載の搬送装置。
【請求項13】
前記後処理の指示は、シートを中折り、又は、中綴じする旨の指示である
ことを特徴とする請求項
9に記載の搬送装置。
【請求項14】
前記後処理の指示は、印刷対象のシートに、表紙となる別のシートを付加してシート束を作成するカバー付けの指示である
ことを特徴とする請求項
9に記載の搬送装置。
【請求項15】
前記後処理の指示は、印刷要求にかかる画像が形成されたシートの断裁である
ことを特徴とする請求項
9に記載の搬送装置。
【請求項16】
請求項1~
15の何れかに記載の搬送装置と、印刷部とを含む
ことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
超音波センサーが設けられた搬送路でシートを搬送する搬送装置に関し、特に、超音波センサーを用いて被印刷媒体の種別判定を行う場合の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
上記搬送装置における超音波センサーは、搬送路を挟んで対向する発信素子と、受信素子との組により構成される。超音波センサーが設けられた搬送路において、シート搬送中に超音波が発せられると、超音波センサーの受信素子から出力される検出信号には、印刷媒体の通過に伴う減衰が発生する。つまり、搬送路を通過する印刷媒体の厚みが小さいと、受信素子により受信される超音波の減衰は小さく、逆に、搬送路を通過する印刷媒体の厚みが大きいと、受信素子により受信される超音波の減衰は大きくなる。普通紙の通紙時に比べ、封筒の通紙時にはこの受信信号の減衰量が大きくなる。封筒は2枚以上のシートを重なり合わせ、端縁を綴じた構成になっており、そのシート間の空気層の存在により、受信信号に大きな減衰が発生するからである。こうした、検出信号に現れる減衰後の超音波のレベルに基づき、従来の搬送装置は、搬送路を通過した被印刷媒体の種別が、封筒であるか否かを判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、超音波の大きな減衰は、封筒を通紙した場合にのみ検出されるのではない。収容トレイから、2枚以上のシートが重ねて繰り出され、2枚以上のシートが重なった状態(一般に重送と呼ばれる)が生じた場合にも検出される。重送した2枚の普通紙においても、用紙間に空気層が形成されるからである。重送により生ずる受信信号の減衰を、封筒の通紙によるものと検出してしまうと、重送の検出時に必要な処理(特許文献1に記載されているような搬送路における用紙搬送、及び、印刷の停止)を実行することができない。重なり合った2枚以上のシートを搬送しようとすると、以下のような問題が発生する。互いに重なり合った第1、第2のシート間が搬送ローラーを通過するとき、駆動側の搬送ローラーに接する第1シートは搬送されるが、従動側の搬送ローラーと接する第2シートにはローラー部材による搬送力がシートに伝達されず、搬送路にシートが残存することがある。シートの残存が原因で搬送路のジャムが生じると、シートが折れ曲がったり、破れたりすることで、シートが使えなくなり、シートを浪費してしまう。こうした、画像形成装置が媒体種別の判定を誤ることによるシートの浪費は、到底、ユーザーの理解が得られず、画像形成装置の製品品質についての印象を大きく害してしまうという問題がある。
【0005】
別の案として、誤検知の可能性を排するには、特許文献1に記載されているような事前入力技術を応用することが考えられる。特許文献1に開示された画像形成装置は、これから搬送される用紙が、封筒であるか否かの事前入力をユーザーに求め、そうした事前入力があれば、超音波センサーによる空気層の検知を、重送によるものと扱う。しかし、そうした事前入力をユーザーが行う保障はないし、事前入力があったとしても、それが正しいとは限らない。そもそも重送の発生は、画像形成装置、搬送装置の搬送部材の問題であり、ユーザーから事前入力を求めることなどありえないので、上記の誤判定の問題は、特許文献1の応用では解決され得ない。
【0006】
本開示の目的は、被印刷媒体の媒体種別の判定を誤ることによる、用紙のジャム発生を未然に防止することができる搬送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、被印刷媒体を搬送路に沿って印刷部に向けて搬送する搬送装置であって、搬送中の前記被印刷媒体に超音波を発信し、前記被印刷媒体を介することで減衰した超音波を検出する超音波センサーと、前記超音波センサーが検出した超音波のレベルが所定の閾値を下回っていて、且つ、被印刷媒体に対する印刷条件が封筒の印刷に適していない場合、前記被印刷媒体の搬送を中止する制御手段と、搬送される被印刷媒体の種別を決定する媒体種別決定手段と、搬送路の上流端に複数の収容トレイと、を備え、前記制御手段が被印刷媒体の搬送を中止するのは、前記印刷条件が、封筒の印刷に適していないもののシートの印刷に適する第1条件に該当する場合であり、
前記媒体種別決定手段は、
i)前記印刷条件が、シート及び封筒の双方の印刷に適している第2印刷条件であること、
ii)前記印刷条件を含むジョブが、被印刷媒体の収容後、未だ1枚の供給も行っていない収容トレイを選択したこと、
iii)前記所定の閾値を下回るレベルの超音波が、前記収容トレイから最初に供給された被印刷媒体に対して検出されたこと、
を要件として、搬送路で搬送される被印刷媒体の種別を封筒とすることを特徴とする搬送装置により解決される。
【0008】
前記超音波センサーが検出した超音波のレベルが所定の閾値を下回っていて、且つ、被印刷媒体に対する印刷条件が封筒の印刷に適していない場合、2枚以上のシートが重なった状態の重送が生じたととしてもよい。
【0009】
前記超音波センサーが検出した超音波のレベルが前記所定の閾値以上となる場合、前記媒体種別決定手段は、前記印刷条件が、前記封筒の印刷に適するかどうかにかかわらず、前記被印刷媒体の種別を、シートであると決定するとしてもよい。
【0011】
前記印刷部は、電子写真方式による印刷を実行し、像担持体上の画像を転写位置で前記被印刷媒体に転写する転写部と、前記被印刷媒体に転写された画像を被印刷媒体に定着する定着部とを備え、
前記媒体種別決定手段が、搬送路で搬送される被印刷媒体の種別を封筒とした場合、シートに対する転写よりも、高い電圧を用いた転写を行うよう前記転写部に指示し、シートに対する定着よりも、高い定着温度を目標温度とする熱定着を行うよう前記定着部に指示するとしてもよい。
【0012】
複数の収容トレイのそれぞれに設けられ、対応する収容トレイが被印刷媒体の供給を開始した際、その供給開始のタイミングを検出する供給センサーと、検出された供給開始タイミングから、所定の時間が経過した後に前記超音波センサーの駆動を開始するセンサー駆動手段とを備え、前記各収容トレイから前記超音波センサーまでの搬送距離が異なり、前記所定の時間は、被印刷媒体を収容した収容トレイが、何れであるかによって変わる搬送距離の長さに応じて定められているとしてもよい。
【0013】
前記印刷部は、電子写真方式による印刷を実行し、像担持体上の画像を転写位置で前記被印刷媒体に転写する転写部を備え、前記搬送路には、収容トレイに収容された被印刷媒体を繰り出す繰り出しローラーと、繰り出された被印刷媒体を下流側に供給する供給ローラーと、供給された被印刷媒体を前記転写位置に送り出すタイミングをとるタイミングローラーとが設けられており、
前記超音波センサーは、搬送路のうち、前記被印刷媒体の搬送方向において前記供給ローラーよりも下流側、尚且つ、タイミングローラーよりも上流側の位置に設置され、前記超音波センサーにより検出された超音波のレベルが所定の閾値を下回っていて、尚且つ、前記印刷条件が封筒の印刷に適していない場合、前記制御手段は、被印刷媒体がタイミングローラーに到達する前に、被印刷媒体の搬送を中止するとしてもよい。
【0014】
前記搬送路において前記超音波センサーの設置場所より下流側の位置には、被印刷媒体を更に下流のタイミングローラーに案内するガイド部材があり、前記超音波センサーの受信素子が発する受信信号のうち、前記被印刷媒体の先端がガイド部材に衝突した時点よりも後の部分波形を抽出し、抽出された部分波形から、前記超音波を算出するとしてもよい。
【0015】
本開示の別の一形態に係る搬送装置は、被印刷媒体を搬送路に沿って印刷部に向けて搬送する搬送装置であって、搬送中の前記被印刷媒体に超音波を発信し、前記被印刷媒体を介することで減衰した超音波を検出する超音波センサーと、前記超音波センサーが検出した超音波のレベルが所定の閾値を下回り、且つ、被印刷媒体に対する印刷条件が封筒の印刷に適していない場合、前記被印刷媒体の搬送を中止する制御手段と、を備え、前記封筒の印刷に適していない印刷条件は、異なるページの各画像を1枚のシートの一方の面に集約して形成する集約印刷の指示、又は、一枚のシートの両面に画像を形成する両面印刷の指示を含むことを特徴とする。
【0016】
本開示のさらに別の一形態に係る搬送装置は、被印刷媒体を搬送路に沿って印刷部に向けて搬送する搬送装置であって、搬送中の前記被印刷媒体に超音波を発信し、前記被印刷媒体を介することで減衰した超音波を検出する超音波センサーと、前記超音波センサーが検出した超音波のレベルが所定の閾値を下回り、且つ、被印刷媒体に対する印刷条件が封筒の印刷に適していない場合、前記被印刷媒体の搬送を中止する制御手段と、を備え、前記封筒の印刷に適していない印刷条件には、1枚のシートに対する印刷の後に、印刷されたシートに対してなすべき後処理の指示が付加されていることを特徴とする。
【0017】
前記後処理の指示は、印刷されたシートの端縁を綴じる旨の指示であるとしてもよい。
【0018】
前記後処理の指示は、印刷されたシートの端縁を穿孔する指示であるとしてもよい。
【0019】
前記後処理の指示は、印刷されたシートを、Z折りする旨の指示であるとしてもよい。
【0020】
前記後処理の指示は、シートを中折り、又は、中綴じする旨の指示であるとしてもよい。
【0021】
前記後処理の指示は、印刷対象のシートに、表紙となる別のシートを付加してシート束を作成するカバー付けの指示であるとしてもよい。
【0022】
前記後処理の指示は、印刷要求にかかる画像が形成されたシートの断裁であるとしてもよい。
【0023】
前記画像形成装置は、搬送装置と、印刷部とを含むとしてもよい。
【発明の効果】
【0024】
本開示にかかる搬送装置は、超音波センサーが検出した超音波では、搬送路で搬送される被印刷媒体がシートであるか、封筒であるかの区別がつかない場合であっても、被印刷媒体に対する印刷条件が封筒の印刷に適していない場合、重送により重なり合って搬送路に送られる2以上のシートの搬送を停止することができる。そのため、本開示にかかる搬送装置では、媒体種別の誤判定に起因するシートのジャムを未然に防止して、シートが折れ曲がったり、破れたりすることによる破損を防止できるので、シートの浪費を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】プリンターである画像形成装置1000の外観を示す。
【
図3】画像形成装置1000の制御系統の構成を示す。
【
図4】超音波センサー117の内部構成を示すブロック図である。
【
図5】
図5(a)は超音波センサー117の発信素子115による送信波形であり、
図5(b)は発信素子115と、受信素子116との間に、用紙が存在しない場合に受信素子116が出力する受信波形を示す。
図5(c)は少量の減衰116Nが生じた受信波形を示し、
図5(d)は大きな減衰116Eが生じた受信波形を示す。
【
図6】印刷条件適合判定部106、用紙処理決定部107の処理手順を示すフローチャートである。
【
図7】印刷条件適合判定部106による印刷条件の適合判定手順の詳細を示すフローチャートである。
【
図8】
図8(a)~(d)は、給紙カセットに収容された複数用紙の状態を示す。
【
図9】ジョブデータA~Dにおける印刷条件の詳細と、各トレイの状態とを示す。
【
図10】駆動指示部303による超音波センサー117を駆動するタイミングを示すタイミングチャートの一例である。
【
図11】搬送される用紙の先端が、搬送路120のガイド板116Gに衝突する状況を示す。
【
図12】
図12(a)(b)は、綴じを行う後処理装置1003の構成を示す図である。
【
図13】
図13(a)、(b)は、パンチ機能を発揮する後処理装置1003の構成を示す。
【
図14】Z折りを実行する後処理装置1003の構成を示す図である。
【
図15】中綴じ・中折り機能を実行する後処理装置1003の構成を示す図である。
【
図16】断裁を実行する後処理装置1003の構成を示す図である。
【
図17】表紙付けを行う後処理装置1003の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照しながら、本開示にかかる装置の実施形態について説明する。
【0027】
[1]プリンターの構成
図1は、プリンターである画像形成装置1000の外観を示す。
図1に示す画像形成装置1000は、多機能複合機 (Multifunction Peripheral)であり、コピー機、プリンターとして機能する。コピー機として機能する場合、タッチパネルディスプレイ1001によりコピージョブの設定を受け付けた上、スキャナー1004により原稿画像を光学的に読み取り、給紙カセット1002a、b、c、dから繰り出された被印刷媒体に、上記設定に従った画像を形成する。プリンターとして機能する場合、端末1011のメニューによりプリントジョブの設定を受け付けた上、プリンタ記述言語により記述されたデータを有線、無線通信により受け取って、メニューで受け付けた設定に応じた画像を給紙カセット1002a、b、c、dから繰り出された被印刷媒体に形成する。こうして画像が形成された被印刷媒体は後処理装置1003を経て、トレイ1003Tに排出される。コピージョブ、プリンタージョブにより画像が形成される被印刷媒体には、給紙カセット1002a、b、c、dに収容される定型用紙(たとえばA3~A7サイズの用紙、B4~B7サイズの用紙、はがき、封筒等)と、手差しトレイ1002hに積載される不定型用紙とがある。
【0028】
尚、以下の説明では、これら様々な種別の被印刷媒体をまとめて、「用紙」と呼ぶことにする。後処理装置1003は、ユーザーからの要求に応じて、排出される用紙に、綴じ等の後処理を施す。
【0029】
[2]画像形成装置1000における印刷部、搬送装置の構成
画像形成装置1000は、印刷部と、搬送装置とで構成される。印刷部、及び、搬送装置の内部構成を
図2に示す。搬送装置は、搬送路120と、これに設けられた搬送部材と、超音波センサー117(発信素子115、受信素子116を含む)、給紙センサー122S、132S、142S、152Sとを含む。
【0030】
搬送部材としては、第1段目の給紙カセット1002aからピックアップローラー121で繰り出された用紙を更に下流側に送り出す給紙ローラー122と、給紙ローラー122により送り出された用紙を更に、トナー像との転写位置に送り込むタイミングローラー123と、2段目以降の給紙カセット1002b、c、dからピックアップローラー131、141、151により繰り出された用紙を引き継いで搬送路に送り出す給紙ローラー132、142、152と、給紙ローラー132、142、152が送り出した用紙を引き継いでタイミングローラー123に送り出す縦搬送ローラー133、143、153とがある。
【0031】
給紙センサー122S、132S、142S、152Sは、給紙カセット1002a、b、c、dのそれぞれから、用紙が繰り出されたタイミングを検出する。
【0032】
次に印刷部について説明する。印刷部は、電子写真方式によるものであり、感光体112D、露光器110、現像器111、転写部112、定着部113を含む。
【0033】
露光器110は画像データに基づき静電潜像を感光体112Dに形成し、現像器111は、感光体112Dの静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する。転写部112は、感光体112Dに形成されたトナー像を、中間転写ベルト112Nに一次転写する。中間転写ベルト112Nに一次転写されたトナー像は、2次転写位置112Pを通過する用紙に転写される。
【0034】
定着部113は、用紙に転写されたトナー像の熱定着を行う。定着部113による定着がなされた用紙は、排出ローラー118の回転により、排出口119から排出されて後処理装置1003に送り込まれる。
【0035】
また搬送装置は、両面印刷のための搬送路160を有する。両面印刷を行う場合、排出ローラー118を時計周りro1に回転させ、用紙の一部を排出口から装置外部に排出させ、排出ローラーを半時計周りに、回転することでスィッチバックする。スィッチバックがなされた用紙は、両面搬送ローラー161、162、163、164を通じて、タイミングローラー123に送り込まれ、タイミングローラー123を通じて二次転写位置112Pに送り込まれる。
【0036】
[3]画像形成装置1000の制御系統
画像形成装置1000の制御系統の構成を
図3に示す。
図3に示すように、画像形成装置1000は、パネル制御部101、待ち行列メモリ102、ジョブデータ実行部103、メカコントローラー104、トレイ管理部105、印刷条件適合判定部106、用紙処理決定部107、メカコントローラー108を含む。これらのうち、パネル制御部101、待ち行列メモリ102、ジョブデータ実行部103、メカコントローラー104が印刷部の制御系統であり、トレイ管理部105、印刷条件適合判定部106、用紙処理決定部107、メカコントローラー108が搬送装置の制御系統である。
【0037】
(3-1)パネル制御部101
パネル制御部101は、
図1に示すタッチパネルディスプレイ1001を通じてジョブの実行に必要な部数や下地調整、濃度調整、ページ集約、仕上げ等の項目の設定を受け付け、受け付けた設定内容でのジョブ実行を命じるジョブデータを生成して、待ち行列メモリ102に格納する。ジョブデータは、スキャナー1004により読み取られた画像データを含み、プリンター記述言語の構文規則に従って当該画像データの画像形成を命じるデータであり、ジョブデータはトレイ段数の指定、印刷条件を含む。トレイ段数は、1から4までの値をとり、給紙カセット1002a、b、c、dのうち、給紙先として選択されているものを指示する。このトレイ段数により給紙カセット1002aは「トレイ1」、給紙カセット1002bは「トレイ2」、給紙カセット1002cは「トレイ3」、給紙カセット1002dは「トレイ4」として扱われる。また印刷条件は、印刷すべき用紙の部数や下地調整、濃度調整の指定、ページ集約、仕上げの指定を含む。
【0038】
(3-2)待ち行列メモリ102
待ち行列メモリ102は、実行すべきジョブを示す複数のジョブデータを、実行順序に従い格納する。待ち行列メモリ102に格納されるジョブデータには、パネル制御部101が作成したジョブデータの他、
図1に示す端末1011のアプリケーション、デバイスドライバにより作成され、無線、有線ネットワークを通じて、通信制御部101Tが受信したジョブデータがある。端末1011により作成されたジョブデータは、端末1011のアプリケーションが作成した文書データ、端末1011のストレージに格納された画像データの画像形成を命じるデータであり、部数や下地調整、濃度調整、用紙サイズ、ページ集約の指定の他、文書データに含まれる文字コードを活字に展開する旨の指定、印刷すべき印刷範囲の指定を含む。
【0039】
(3-3)ジョブデータ実行部103
ジョブデータ実行部103は、待ち行列メモリ102に格納されたジョブデータを1つずつ取り出し、プリンター記述言語の構文規則に従い、取り出されジョブデータの個々のページを、文字、写真、図形を含む画像データに展開して、画像メモリ103Mに書き込む。そして、画像メモリ103Mに書き込まれた画像データを、印刷出力用の画像データ(露光パターン)に変換する。
【0040】
(3-4)メカコントローラー104
メカコントローラー(以下、メカコンと呼ぶ)104は、露光器110、現像器111、転写部112、定着部113を制御して、画像データの変換で得られた露光パターンに基づく露光走査、露光走査で得られた静電潜像の現像、現像で得られたトナー像の転写(
図2に示す感光体112Dから中間転写ベルト112Nへの一次転写、中間転写ベルト112Nから用紙への2次転写からなる)、トナー像が転写された用紙の定着を順次実行する。転写部112による2次転写、定着部113による定着にあたっては、用紙処理決定部107による紙種の判定結果に応じて転写部112による2次転写の転写電圧や定着部の定着温度を変更する。具体的にいうと、搬送される用紙の紙種が封筒であれば、転写部112による2次転写の転写電圧や定着部113の定着温度をそれぞれ高い値に設定する。
【0041】
(3-5)トレイ管理部105
トレイ管理部105は、トレイ状態表105Tを用いて、各トレイの状態を管理するのと共に、各トレイに収容された用紙サイズを管理する。トレイ状態表105Tに示される状態としては、給紙カセットが引き出されたイジェクト状態、空の給紙カセットが装填されたエンプティ状態、用紙を収容した給紙カセットが装填されたセット状態がある(
図3の一例では、トレイ1~4がセット状態とされている)。セット状態の給紙カセット(
図3におけるトレイ1~3)については、普通紙、封筒の区別が、その用紙サイズと共に明示される。用紙種別が未判定の給紙カセット(
図3におけるトレイ4)については、「未定」である旨が記載される。この用紙種別は、給紙カセットの状態と連動して記載される。つまり給紙カセットがいったん引き出され、その後、セット状態になると、用紙種別は「未定」とされる。給紙カセットがいったん引き出され、その後、セット状態になることで、用紙交換がなされたと推測されるからである。
【0042】
(3-6)印刷条件適合判定部106
印刷条件適合判定部106は、待ち行列メモリ102に格納されているジョブデータのうち先頭順位のものの印刷条件を参照して、当該印刷条件は、封筒及び普通紙の双方の印刷に適合している第2条件であるか、普通紙の印刷に適合し、封筒の印刷に適合しない第1条件であるかを判定する。適合の有無の判定は、当該印刷条件の中に集約出力の指示が含まれているかどうか、両面印刷の指示が含まれているかどうか、印刷条件に後処理の指示が付加されているかどうかを確認することでなされる。これらの指示が含まれているか、付加されている場合、待ち行列メモリ102において先頭順位となるジョブデータの印刷条件は、普通紙の印刷にのみ適合するとの判定結果を下す。一方、これらの指示が何れも含まれていない場合、待ち行列メモリ102において先頭順位となるジョブデータの印刷条件は、封筒及び普通紙の双方の印刷に適合しているとの判定結果を下す。
【0043】
(3-7)用紙処理決定部107
用紙処理決定部107は、
図2の受信素子116の受信信号に示される波高値が所定の閾値を下回っていて、超音波センサー117が空気層の存在を検出した場合、印刷条件適合判定部106による適合性判定の結果に応じて、当該検出結果の扱いを決定する。具体的にいうと、待ち行列メモリ102における最先のジョブデータの印刷条件が普通紙の印刷にのみ適合していると判定した場合、超音波センサー117による空気層の検出は、用紙の重送によるものと扱い印刷部による印刷、搬送路における用紙搬送を中止する。
図2に示したように、超音波センサー117はと、給紙ローラー122よりも用紙搬送方向下流側であり、尚且つ、タイミングローラー123よりも用紙搬送方向上流側に設置されていて、超音波センサー117が検出を行った時点では、給紙カセット1002a、b、c、dからの用紙の繰り出しや、露光器110による感光体ドラム112Dの露光、現像器111による現像が既に完了している場合がある。超音波センサー117による空気層の検出を、用紙の重送によるものと扱う場合、これ以降の転写部112による2次転写、定着部113による定着はなされず、搬送路における用紙搬送は、超音波センサー117の近辺で停止することとなる。
【0044】
待ち行列メモリ102における最先のジョブデータの印刷条件が封筒及び普通紙の双方の印刷に適合していると判定した場合、トレイ状態表105Tに示される各トレイの状態を参照して、超音波センサー117による空気層の検出を封筒として扱うかどうかを決定する。空気層の検出を封筒として扱うかどうかの決定は、給紙カセットにおける用紙積載の具体例を交えて後段で詳しく説明するものとする。
【0045】
(3-8)メカコントローラー108
メカコントローラ(以下、メカコンと呼ぶ)108は、
図2に示した搬送部材を制御することで、給紙カセット1002a、b、c、dから用紙を繰り出して、中間転写ベルト112Nと、2次転写ローラー112R(
図3参照)との間の2次転写位置112Pに供する。用紙搬送にあたっては、用紙処理決定部107による用紙搬送の中止の決定に従い、
図2に示す搬送部材の駆動を停止する。
【0046】
(3-9)駆動指示回路109
駆動指示回路109は、切替時間テーブル109Tを参照して、超音波センサー117をONとするタイミングを切り替える。切替時間テーブル204Tは、給紙カセット1002a、b、c、dのそれぞれに対応する切替時間(D1~D4)が記載されている。これらの切替時間は、給紙カセット1002a、b、c、dのそれぞれに設けられた給紙センサー122S、132S、142S、152Sの位置から、超音波センサー117の設置位置までの搬送路上の距離を、用紙の搬送速度で割った値である。各切替時間の関係はD1<D2<D3<D4であり、給紙カセット1002a、b、c、dのそれぞれから、超音波センサーの設置位置までの搬送経路長の違いを表すようにしている。ジョブデータにより、給紙カセット1002a、b、c、dの何れかが給紙口として選択されれば、選択された給紙口に対応する切替時間を切替時間テーブル109Tから読み出す。そして、給紙口に対応する給紙センサーが用紙の通過を検出すれば、読み出された切替時間が経過するのを待ち、経過すれば、超音波センサー117の駆動を開始し、超音波を発信させる。給紙カセットの選択に応じた切替時間の経過を待って、超音波センサー117をONするので、給紙カセット1002a、b、c、dのそれぞれから用紙を給紙する場合でも、用紙先端が超音波センサー117の設置箇所を通過するタイミングに、超音波を発信することができる。
【0047】
(3-9-1)サンプリング指示部109I
サンプリング指示部109Iは、ジョブデータにより検出されたトレイの給紙センサーが用紙を検出してから、所定のウェイト時間が経過するのを待って、サンプリングを行い、普通紙、封筒通過による減衰部分を抽出するよう超音波センサー117に命じる。このようにウェイト時間の時間経過を待つのは、
図2に示すガイド板116Gと、用紙との接触により生ずる衝撃音を除外するためである。つまり、搬送路で搬送される用紙は、超音波センサー117の設置位置を通過した後、その用紙先端が
図2に示すガイド板116Gと衝突する。そうした衝突による衝突音が信号波形に現れると、判定精度の低下を招いてしまう。そこで給紙センサー122S、132S、142S、152Sにより用紙が検出されてから、用紙先端が上記ガイド部材に到達するまでの所要時間を予め測定しておき、その所要時間に、若干のオフセットを加算した時間をウェイト時間(
図10のSd)として定める。そして、超音波センサー117の受信素子116が受信信号の出力を開始して、所定のウェイト時間が経過した時点から、減衰部分を抽出するよう超音波センサー117に指示する。
【0048】
[4]超音波センサー117の内部構成
図4は、超音波センサー117の内部構成を示すブロック図である。本図に示すように、超音波センサー117は、
図2に示した発信素子115、受信素子116に加えてクロック回路201、バースト波生成回路202、ドライブ回路203、増幅回路204、絶対値回路205、積分回路206、ADコンバーター207、検出波形メモリ208を含む。
【0049】
クロック回路201は、発信素子に固有となる周波数のクロック信号を生成する。
【0050】
バースト波生成回路202は、クロック回路201により生成されたクロック信号をバースト波に変換する。
【0051】
ドライブ回路203は、バースト波生成回路202が生成したバースト波の波高値に従った電圧を発信素子115に印加して、発信素子115に超音波発信を行わせる。こうして、発信素子115により発せられた超音波は、搬送路を通過する用紙を通過して受信素子116により受信される。当該超音波を受信した受信素子116は、超音波の受信に応じて交流信号を出力する。尚、発信素子115、受信素子116は、300KHzの周波数帯の超音波の送受信を行うものとする。
【0052】
増幅回路204は、受信素子116から出力される交流の受信信号を、標準的なロジック回路で処理できる電圧レベルまで増幅する。
【0053】
絶対値回路205は、増幅回路204により増幅がなされた交流の受信信号の正の半波部分を残すことで、受信素子116から出力される受信信号を絶対値化する。受信素子116が出力する受信信号の電圧は、用紙を通過する超音波の波高値を示す。よって用紙が封筒であり、空気層が存在する場合、用紙を通過する超音波の波高値は低くなるので、受信素子116が出力する受信信号の電圧は低くなる。
【0054】
積分回路206は、絶対値回路205により絶対値化がなされた検出信号に対し、積分処理を施し、ADコンバーター207による量子化に適した形態にする。
【0055】
ADコンバーター207は、受信素子116が出力する超音波センサー117の受信信号を所定のサンプリング周波数でサンプリングし、受信信号の波形を離散的な値(サンプリングデータ)に変換して、生成されたサンプリングデータを検出波形メモリ208に書き込む。こうしたサンプリングデータを参照して、受信信号に減衰が発生したかどうかの検出結果を出力する。
【0056】
[5]動作説明
以上のように構成された画像形成装置1000の動作について説明する。
【0057】
(5-1)超音波センサー117による信号の送受信
搬送路120において用紙が搬送される度に、超音波センサー117の発信素子115、受信素子116は
図5(a)~(d)に示す送信信号、受信信号の送受信を行う。
【0058】
図5(a)は、超音波センサー117の発信素子115による送信波形であり、
図5(b)は、発信素子115と、受信素子116との間に、用紙が存在しない場合に受信素子116が出力する受信波形を示す。尚、
図5(a)~(d)のそれぞれは、横軸が時間軸、縦軸が電圧を示す。発信素子115と、受信素子116とは、搬送路を挟んで向かい合っているので、発信素子115が発した超音波の波形は、受信素子116の受信波形にほぼそのまま現れる。本実施形態では、
図5(b)に示すような用紙を通紙していない状態で受信素子116が出力する受信信号の波高値の約半分の値を、閾値Vhとする。
【0059】
図5(c)は、普通紙が搬送されている状態で超音波センサー117により検出される受信信号の波高値を示す。
図5(c)に示すように、受信素子116の受信信号116Wの減衰量116Nが僅かであり、受信信号の波高値116Mが、閾値Vhを上回る場合、受信素子116の受信信号に示される減衰は、普通紙搬送時の減衰であるとの検出結果を出力する。
図5(d)に示すように、受信素子116の受信信号116Wの減衰量116Eが大きくなって、受信素子116の受信信号に示される波高値116Dが、閾値Vhを下回る場合、当該波高値は、封筒搬送によるものとの検出結果を出力する。ところが、封筒の通紙に限らず、重送により互いに重なり合った2枚以上の普通紙が発信素子115と、受信素子116との間を通過すると、超音波センサー117は、重なり合った用紙間の空気層により、大きく減衰した波高値を検出する。
【0060】
重送による受信波形の減衰と、封筒による受信波形の減衰とを区別すべく、印刷条件適合判定部106、用紙処理決定部107は、
図6のフローチャートに示す手順を実行する。
図6は、印刷条件適合判定部106、用紙処理決定部107の処理手順を示すフローチャートである。
【0061】
(5-2)送物種別判定手順
ジョブデータが待ち行列に蓄積しているかどうかを判定し(ステップS101)、蓄積している場合(ステップS101でYes)、最先のジョブデータを取り出す(ステップS102)。取り出された印刷条件において、ユーザーが定めた印刷条件は封筒搬送と適合しているかどうかを判定する(ステップS103)。
【0062】
上述したステップS103の手順は、
図7のサブルーチンに展開される。
図7は、印刷条件適合判定部106による処理手順の詳細を示すフローチャートである。
【0063】
本フローチャートは、ステップS201~S203の順次実行する。ステップS201は、待ち行列メモリ102の最先のジョブデータの印刷条件に、後処理の指示が付加されているかどうかの判定であり、ステップS202は、当該最先のジョブデータの印刷条件は、両面印刷の指示を含むかどうかの判定、ステップS203は、最先のジョブデータの印刷条件は、集約指示を含むかどうかの判定である。ステップS201~S203の何れかがYesであれば、最先のジョブデータの印刷条件は、封筒印刷と適合しないとの判定結果を下して(ステップS204)、
図6のフローチャートにリターンする。
【0064】
ステップS201~S203の何れもがNoであれば、最先のジョブデータの印刷条件は、封筒印刷と適合するとの判定結果を下して(ステップS205)、
図6のフローチャートにリターンする。適合していない場合(
図6のステップS103でNo)、封筒を対象とした処理を禁止し(ステップS104)、超音波センサー117が検出する用紙通過後の超音波の波高値は、閾値Vhを下回っていて、超音波センサー117による検出結果は空気層の存在を示すかどうかを判定する(ステップS105)。空気層の存在を示さない場合(ステップS105でNo)、印刷媒体の種別は普通紙であるとの判定結果を下し(ステップS106)、ステップS101に戻る。
【0065】
超音波センサー117による検出結果が空気層の存在を示す場合(ステップS105でYes)、重送が発生したとの判定結果を下し(ステップS107)、搬送路に沿った用紙搬送、及び、印刷部による印刷を停止する(ステップS108)。
【0066】
取り出された印刷条件において、ユーザーが定めた印刷条件は封筒印刷と適合していると判定した場合(ステップS103でYes)、超音波センサー117が検出する用紙通過後の超音波の波高値は、閾値Vhを下回っていて、空気層の存在を示すかどうかを判定する(ステップS111)。波高値が閾値Vhを上回っており空気層の存在を示さない場合(ステップS111でNo)、ステップS106に移行して、印刷媒体の種別は普通紙であるとの判定結果を下す。
【0067】
超音波センサー117が検出する用紙通過後の超音波の波高値は、閾値Vhを下回っていて、空気層の存在を示す場合(ステップS111でYes)、ステップS112において、ジョブデータによる給紙は、用紙交換後の最初の給紙であるかを判定する。
【0068】
ステップS112は、用紙交換直後の1ページ目の給紙では重送が起こりにくく、用紙S1の下に重なっている用紙S2、及び、用紙S2の下に重なっている用紙S3では重送が起こり易いという過去の経験則の下、超音波センサー117による検出結果の扱いを決定する。
【0069】
以下、この経験則について説明する。用紙交換直後、給紙カセットに収容された用紙束の最上位の用紙の搬送を開始しようとする場合、
図8(a)に示すように、用紙S1と、これの下の用紙S2、S3とでは、搬送方向の先端(用紙先端)が揃っている。この状態でピックアップローラー121が回転を開始すると、
図8(b)に示すように、用紙S1が給紙ローラー122に向かうが、用紙S1に連なって用紙S2が用紙S1に遅れて給紙ローラー122に向かう。しかし、ほとんどの場合、
図8(c)に示すように、次順位の用紙S2は、用紙S1の用紙先端がニップ122Nを通過してからニップ122Nに到達する。用紙S2の搬送は、捌きローラー122rから摩擦力を受けることで阻止され、ニップ122Nを通過しない。用紙S1、S2、S3の用紙先端が揃っている状況では、用紙S1の用紙先端がニップ122Nを通過してから次順位の用紙S2がニップ122Nに至るとの規則性が保たれているので、給紙カセットの交換直後において、用紙の重送が発生することはありえず、超音波センサー117が、超音波の大きな減衰を検出した場合、これを封筒の給紙によるものと扱う。
【0070】
一方、重送が起り易い状況とは、
図8(d)のような状態である。これは、用紙S1が給紙された後、用紙S2と、S3とが重なり合って用紙先端がニップ122Nの近くまで到達し、停止している状況である。用紙S2、S3は重送が発生し易い用紙であり、用紙S1の給紙に伴って、ニップ122Nまで繰り出されている。この状態で、ピックアップローラー121の回転を開始すると、用紙S2と、用紙S3とがほぼ同時にニップ122Nを通過しようとする。用紙S3は、捌きローラー122rにより搬送方向とは逆方向の力(捌き力)を受けるので通常は搬送が阻止される。しかし、
図8(d)の状況下において、ピックアップローラー121の回転は、用紙S2の後端がピックアップローラー121を通過するまで長く継続するので、その途中で捌きローラー122rの捌き力が負けて、用紙S2と、用紙S3とが重なったまま、給紙ローラー122と、捌きローラー122rとのニップ122Nから抜き出ることがある。これにより重送が生じる。これは用紙S3よりも下の用紙の給紙時にも当てはまる。
【0071】
尚、給紙カセット1002a、b、c、dに収容された用紙が
図8(d)の状況になるのは稀なケースである。給紙カセットの用紙を交換した交換直後の状態では、給紙カセットに収容された用紙束が
図8(a)の状態になっており、重送は起こりえないと考えて差し支えない。そういった見込みの下、給紙カセットの交換直後で超音波センサー117が空気層の存在を検出した場合、給紙カセットに収容された用紙は、封筒であるとする。
【0072】
選択されたトレイからの給紙が、2枚目以降の給紙である場合、ステップS112がNoになり、ステップS113に移行する。ステップS113は、ジョブデータにより選択されたトレイの用紙種別が、封筒であるかどうかを判定する。給紙カセット1002a、b、c、dに収容される用紙は、普通紙、封筒のどちらかに統一されている。用紙交換後の最初の給紙で、用紙種別が封筒であると判定された場合、以降の給紙でも用紙種別は封筒であると判定される筈である。用紙交換以降、ジョブデータにより選択されたトレイの用紙種別が、封筒である場合、ステップS113がYesになり、用紙種別は封筒であるとの判定結果を下す(ステップS114)。この際、用紙処理決定部107は、以下の表1に従った転写部112による2次転写電圧の設定、定着部113による定着温度の設定をメカコントローラー104に命じる。
【0073】
【0074】
図6のステップS106において用紙の種別が普通紙であると判定された場合、表1に示すように、転写部112による2次転写電圧をVnとし、定着部113による定着温度を145℃とする。
図6のステップS114において用紙の種別が封筒であると判定された場合、転写部112による2次転写電圧をVn+300Vとし、定着部113による定着温度を160℃とする。
【0075】
ステップS112、ステップS113の何れもがNoであれば、ステップS107に移行して、超音波センサー117による空気層検出は、普通紙の重送であると扱い(ステップS107)、搬送路に沿った用紙搬送、及び、印刷部による印刷を停止する(ステップS108)。
【0076】
(5-3)用紙種別判定、重送判定の具体例
図3の待ち行列メモリ102に蓄積された4つのジョブデータ(ジョブデータA、B、C、D)を対象とした場合の用紙種別判定、重送判定について説明する。
図9は、ジョブデータA~Dにおける印刷条件の詳細を示す。本図では、左段にジョブデータA~Dの印刷条件の詳細、中段に超音波センサー117の検出結果、右段に用紙の扱いを示す。また下段に、トレイ状態表105Tを示す。
【0077】
ジョブデータAは用紙綴じの指示を含むので、超音波センサーが空気層の存在を検出した場合、ステップS103がNo、ステップS105がYesになり、超音波センサーによる検出結果を用紙種別の判定結果とせず、封筒を対象とした処理を禁止して(ステップS104)、超音波センサー117が出力した受信信号の減衰を重送と扱う(ステップS107)。封筒を対象とした処理を禁止するので(ステップS104)、高電圧による2次転写、及び、高温度での定着を実行しない。代わりに、重送に対する処置として、搬送路に沿った用紙搬送、及び、印刷部による印刷を停止する(ステップS108)。
【0078】
ジョブデータBは集約の指示を含み、ジョブデータCは両面の指示を含むので、超音波センサーが空気層の存在を検出した場合、ステップS103がNo、ステップS105がYesになり、超音波センサーによる検出結果を用紙種別の判定結果とせず、封筒を対象とした処理を禁止して(ステップS104)、超音波センサー117が出力した受信信号の減衰を重送と扱う(ステップS107)。封筒を対象とした処理は禁止されているので(ステップS104)、高電圧による2次転写、及び、高温度での定着を実行しない。代わりに、重送に対する処置として、搬送路に沿った用紙搬送、及び、印刷部による印刷を停止する(ステップS108)。
【0079】
給紙カセット1002a、b、c、dのうち、給紙カセット1002dの用紙が普通紙から封筒に入れ替えられたものとする。ジョブデータDは、用紙交換後の給紙カセット1002dを選択したものとする。
【0080】
ジョブデータDは用紙綴じの指示や集約の指示を含まず、両面印刷の指示も有さないので、ステップS103がYesになる。給紙カセット1002bには封筒が収容されているので、一枚目の用紙繰り出し時から、超音波センサーにより空気層の存在が検出される。そのため、ステップS111がYes、ステップS112がYesとなり、給紙カセット1002cから供給される用紙は封筒であるとの判定結果を下す(ステップS114)。
【0081】
(5-4)ジョブデータA~Dを実行する場合の送受信制御
図10は、駆動指示部303による超音波センサー117の駆動タイミング指示を示すタイミングチャートの一例である。
【0082】
本図の横軸は時間軸であり、第1段目は、1段目のトレイ1の給紙センサーによる用紙検出タイミング、第2、3、4段目は、2、3、4段目のトレイ2、3、4の給紙センサーによる用紙検出タイミングを示す。5段目は、駆動指示部303による超音波センサー117の駆動タイミングを示す。時点t1~t4は、1段目~4段目の給紙センサーによる用紙の検出時点を示す。
【0083】
D1~D4は、超音波センサー117を駆動するにあたって、駆動指示部303が用いる切替時間であり、第1段目~第4段目の給紙センサーが、各トレイから繰り出された用紙を検出してから、超音波センサーをONするまでの時間を示す。上述したように、切替時間D1~D4は、各段の給紙センサーの設置位置から、超音波センサーの設置位置までの距離を、用紙の搬送速度で割った値を基に定められているので、各段の給紙センサーが用紙の存在を検出した検出時点(
図10のt1~t4)から、対応する切替時間が経過した時点121Tに、超音波センサー117を駆動すれば、給紙カセット1002a、b、c、dの何れから給紙される場合であっても、超音波センサー117は同じ時点(図中の121T)でONに駆動されることになる。受信波形116Wは、受信素子が受信する受信波形を示す。この受信波形116Wにおけるピーク116Pは、
図11において、搬送される用紙の先端が、搬送路120のガイド板116Gに衝突することで生ずる衝撃音を示す。
図10のサンプリングデータ列116Sは、第6段目の受信波形116Wを量子化することで得られた、サンプリングデータ列を示す。
図10の期間Sdは、受信波形116Wの先頭から、サンプリングデータ列116Sが出現するまでの遅延時間を示す。遅延時間Sdは、ピーク116Pの発生時点以降を指示するよう設定されているので、受信波形116Wのうちピーク116P以降の部分が、サンプリングデータ列116Sに変換される。受信波形116Wのうちピーク116Pより後の部分から、減衰部分を抽出するので、用紙先端がガイド板116Gと衝突することで生ずる衝撃音の影響を除去することができる。
【0084】
(5-5)後処理装置1003による綴じ機能の実行
後処理装置1003は
図12(a)、(b)のように構成され、ジョブデータの印刷条件における綴じの指示に従い、綴じ機能を実行する。
図12(a)は、綴じを行う後処理装置1003の構成を示す図である。
【0085】
図12(a)における搬送ローラー対411、412、413は、排出ローラー対418から1枚ずつ出力された用紙Sを、後処理装置1003内の搬送路440上を搬送させて、排出ローラー対414に送る。
【0086】
排出ローラー対414は、綴じを行う際、用紙Sをスイッチバックさせて、適合部442のトレイ420に向けて搬送する。
【0087】
図12(b)の平面図に示す一対の適合板421、422は、トレイ420上に1枚の用紙Sが搬送されて来る度に、破線で示すホーム位置からセンターラインCLに近づく方向にその用紙Sのサイズに応じた適合位置まで移動した後、ホーム位置に戻る動作を繰り返す。
【0088】
綴じユニット426は、搬送方向に対して45°の角度で傾斜している傾斜姿勢で固定配置されており、一対の圧着歯(同図では上側の圧着歯471のみを破線で示している)で用紙束Sbの角部Suの用紙部分を挟み込んで強い力で圧着する。これにより、針なし斜め綴じがなされる。
【0089】
用紙束Sbに対する綴じ処理が終了すると、
図12(a)に示すように、板状の搬送部材425が用紙束Sbの先端Seに当接した状態で矢印A方向に移動させる。搬送部材425の矢印A方向への移動により、トレイ420上の用紙束Sbが排出ローラー対414に向けて搬送される。排出ローラー対414は、搬送部材425により排出ローラー対414まで搬送された用紙束Sbを機外に排出し、排紙トレイ404a上に収容する。
【0090】
[6]まとめ
以上のように本実施形態によれば、印刷条件適合判定部106は、ユーザーが定めたジョブデータにおける印刷条件と、封筒の印刷との適合性を判定し、ジョブデータの印刷条件が適合しない場合、封筒を対象とした転写部112による2次転写電圧の設定や定着部113による定着温度の設定を禁止するので、これらの設定が普通紙に対して誤って実行されることはない。また、ジョブデータで選択されたトレイからの給紙が、選択されたトレイの用紙交換後の最初の給紙かどうかを総合的に判断するので、印刷媒体が封筒かどうかのもっともらしい推測を立てることができる。そうした推測の下、封筒としての制御を禁止するかどうかを決定するので、高温度の定着など、封筒の通紙時に必要となる処理を限定的に実行することができる。
【0091】
[7]変形例
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが本発明は上述の実施の形態に限定されないのは勿論であり以下の変形例が考えられる。
【0092】
(1)後処理装置1003を
図13(a)(b)のように構成して、ジョブデータの印刷条件に付加された後処理におけるパンチ機能の指示に従い、パンチ機能を実行してもよい。パンチユニット520は、
図13(a)に示すように、搬送経路512上であって搬送ローラ541、542の間に設置される。
【0093】
パンチユニット520は、
図13(b)に示すようにパンチングロッド522を2本含み、矢印A方向(第1の方向)に搬送される用紙Sの後端縁部に孔hを穿孔する。穿孔がなされた用紙は、搬送路515、排出ローラー516により装置外に排出されるか、搬送路517を通じて回収ボックス535に回収される。
【0094】
(2)後処理装置1003を
図14のように構成して、ジョブデータの印刷条件におけるZ折り指示に従い、Z折りを実行してもよい。
図14は、Z折りを実行する後処理装置1003の構成を示す図である。
【0095】
印刷条件に付加された後処理においてZ折りが選択された場合、
図14における搬送ローラー対622、623、折りローラー対626、搬送ローラー対627、折りローラー対628、搬送ローラー対629を駆動することで搬送路620上の用紙Sを、搬送路620の途中で分岐している搬送路630に引き込んでZ折りを行う。Z折り後の用紙Sは、搬送路630からこれの途中で分岐している搬送路631を介して搬送後、搬送路620に戻される。
【0096】
印刷条件においてステープルが選択された場合、搬送路620上の用紙Sの搬送先を切換爪635により、分岐路である搬送路632に切り換えステープラー部621bに送る。ステープラー部621bに送られる用紙Sには、3つ折りが施されていない用紙Sと3つ折り後の用紙Sが含まれる。
【0097】
ステープルトレイ634上に複数枚の用紙Sが積載されると、ステープルユニット633が、その用紙束に対してステープル針によりステープル綴じを施す。ステープル綴じ後の用紙束は、ステープルトレイ634上を搬送部材(不図示)により搬送されて、排紙トレイ637に収容される。
【0098】
(3)後処理装置1003を
図15のように構成して、ジョブデータの印刷条件に付加された後処理における中綴じ・中折り機能の指示に従い、中綴じ・中折り機能を実行してもよい。
図15は、中綴じ・中折り機能を実行する後処理装置1003の構成を示す図である。後処理装置1003の搬送経路R1に導入された用紙Pは、サドル搬入ローラー722を経由して所定の角度に傾斜しているスタック手段723に進入する。複数の用紙がスタック手段723に集積されると、スタック手段723に収容、保持され集積された用紙束は中綴じステープラー731により中綴じされる。なお、中折り処理のみの場合には、中綴じ処理は行われない。その後、折ナイフ736が動作することで用紙Pの束の中央部は折り曲げられて一対の折ローラー735のニップ部に突き入れられ、折ローラー735の回転によってそのニップ部に挟みこまれる。その後、折り目が形成された用紙Pの束は、折ローラー735を通過して、後処理装置の排出口760からトレイ724上に排出される。
【0099】
(4)後処理装置1003を
図16(a)(b)のように構成して、ジョブデータの印刷条件に付加された後処理における断裁の指示に従い、断裁を実行してもよい。
図16(a)(b)は、断裁を実行する後処理装置1003の構成を示す図である。
【0100】
断裁部801は、用紙Pを、用紙Pの搬送方向と交差する方向であるCD方向に断裁(CD断裁)するCD断裁部802と、CD断裁部802により断裁された用紙Pを、用紙Pの搬送方向(FD方向)に断裁(FD断裁)するFD断裁部803とを備える。CD断裁部802及びFD断裁部803は、用紙Pを挟み込むように設置されたディスクカッター対である。
【0101】
断裁位置H1まで用紙Pが搬送されると、断裁位置H1で用紙Pを停止させ、用紙Pを挟み込むようにCD断裁部802を押し当てて、
図16(b)に示すようにCD方向に往復させることで、用紙PをCD断裁する。CD断裁が終了すると、断裁位置H2にあるFD断裁部803をCD方向の所定の位置まで移動させておく。そして、用紙Pを挟み込むようにFD断裁部803を用紙Pに押し当てたまま、搬送部804に用紙Pを搬送させることで、FD断裁を完了する。
【0102】
(5)後処理装置1003を
図17のように構成して、ジョブデータの印刷条件における表紙付けの指示に従い、表紙付けを実行してもよい。
図17は、表紙付けを行う後処理装置1003の構成を示す図である。
【0103】
図17は、後処理として表紙付けを行う後処理装置1003の内部構成を示す。画像形成装置1000から送られた用紙は製本束の中紙(本で表紙がつかない束)を揃えるためにトレイ801に送られ、紙毎に揃え動作が施される。
【0104】
製本束の中紙の最終紙がトレイ801にて揃え終わったら、本体から表紙が送られてくる。表紙が送られてきたら、分岐爪815を切り換えて搬送経路816へ用紙を搬送する。そして製本の背になる部分がコロ813の位置にきたら、表紙を停止させる。この時に表紙の大きさは中紙の倍の大きさを使用する。
【0105】
その後、コロ810aによりトレイ801にて揃えられた用紙束が、糊付けのため搬送される。コロ810bから用紙先端(製本の背になる部分)が出たら束を停止させて、糊桶817を束の下に移動して糊付けを行う。その後、糊桶817を退避させて予め搬送されている表紙に糊付けを行った束を付ける。その後、背板812を退避させるとともにコロ813を駆動させ、製本された束を製本トレイ814へ排出する。
【0106】
(6)上記実施形態の超音波センサー117は、発信素子115、受信素子116が搬送路を挟んで対向する構成としたが、これに限らない。1つの圧電素子が、発信素子115と、受信素子116とを兼ねる構成としてもよい。こうした構成の超音波センサー117は、時分割で、発信素子115としての機能、受信素子116としての機能を果たす。時分割処理の1つの時間単位(スロット)において、超音波センサー117は、搬送路を搬送する用紙に向けて超音波を発する。次のスロットにおいて、発信した超音波が、搬送路周囲の隔壁等で反射することによる反射波を受信する。そうして受信する反射波の波高値は、その用紙の厚みに応じた減衰量を有しており、当該減衰量を参照することで、当該用紙が重なって送られたかどうか、当該用紙が普通紙としての厚みを有しているかどうかを判断することができる。このように、反射波の減衰量に基づき、重送判定を行うことで、超音波センサー117をより簡易な構成にすることができる。また、サンプリングデータを用いて、用紙種別の判定を行ったがこれに限らない。アナログ信号を対象とした処理により、用紙種別を判定してもよい。
【0107】
更に、搬送路に設けられた光学センサーや、給紙カセット1002a、b、c、dに設けられた用紙サイズセンサーの検出結果を併用することで、搬送される用紙の種別を詳細に特定してもよい。また、超音波センサー117が出力する検出信号を参照することで、封筒のフラップが、超音波センサー117の設置位置に到達したかどうかの判定を行ってもよい。このように、フラップの到達時点を特定することで、封筒端部の到達時点を検出してもよい。
【0108】
(7)超音波センサー117が出力する受信信号から、被印刷媒体の媒体種別を決定するにあたって、超音波の波高値を示す受信信号の電圧を閾値と比較したがこれに限られない。超音波により伝達されるエネルギー量を示すものであれば、他のものを用いてもよい。具体的にいうと、波高値の平均や、単位時間当たりに超音波が伝達する熱量を閾値と比較して、被印刷媒体の媒体種別を決定してもよい。また、上記実施形態では、用紙が超音波センサー117の設置場所に到達するのを待って超音波センサー117を駆動したが、これに限られない。画像形成装置1000の起動中、終始、超音波を送信していてもよい。
【0109】
(8)印刷条件に後処理が付加されているかどうかの判定にあたっては、PJL(Printer Job Language)の出力コマンド(PJL SET OUTBIN command)や、ステープルの実行を命じるフィニッシュコマンド(PJL SET FINISH=STAPLE等)の有無を参照することで判定してもよい。むろん、PJL以外の他のコンピュータ記述言語の文法規則に基づき、後処理の付加の有無を判定してもよい。
【0110】
(9)上記実施形態では、搬送装置を具備した画像形成装置1000をMFPとしたがこれに限らない。プロダクションプリント装置に設けてもよい。また単機能のコピー機、パーソナルコンピュータの単機能の周辺機器(プリンター)に設ける構成としてもよい。また電子写真方式の画像形成装置に限らず、インクジェット方式の画像形成装置に設けてもよい。またラベル印刷機、はがき印刷機、発券機に設ける構成としてもよい。
【0111】
画像形成装置1000を露光器110、現像器111をそれぞれ1つとしたモノクロ型の画像形成装置を開示したがこれに限られない。Y、M、C、K色のそれぞれについて露光器110、現像器111を設けてカラー型の画像形成装置としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本開示にかかる搬送装置、画像形成装置は、普通紙、封筒の双方の使用頻度が高い職場での利用に適しており、OA機器、情報機器の産業分野を始め、小売業、賃貸業、不動産業、広告業、運輸業、出版業等、様々な業種の産業分野で利用される可能性がある。
【符号の説明】
【0113】
101 パネル制御部
103 ジョブデータ実行部
104 メカコントローラー
105 トレイ管理部
106 印刷条件適合部
107 用紙処理決定部
108 メカコントローラー
109 駆動指示回路
109I サンプリング指示部
109T 切替時間テーブル
110 露光器
111 現像器
112 転写部
113 定着部
115 発信素子
116 受信素子
117 超音波センサー
1000 画像形成装置
1001 タッチパネルディスプレイ
1002a~d 給紙カセット
1003 後処理装置
1004 スキャナー
1011 端末