(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】建物
(51)【国際特許分類】
E04H 1/04 20060101AFI20240501BHJP
E04B 1/00 20060101ALI20240501BHJP
E04F 13/08 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
E04H1/04 A
E04B1/00 502J
E04F13/08 Z
(21)【出願番号】P 2020040074
(22)【出願日】2020-03-09
【審査請求日】2022-12-26
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 積水ハウス株式会社は、カタログ「邸。」にて、中原潤平が発明した「建物」を公開した。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 積水ハウス株式会社は、建築現場にて、中原潤平が発明した「建物」を公開した。
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】中原 潤平
【審査官】須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-093433(JP,A)
【文献】特開平10-030237(JP,A)
【文献】特開2017-141563(JP,A)
【文献】特開平08-092975(JP,A)
【文献】特開2002-276053(JP,A)
【文献】特開平09-063540(JP,A)
【文献】特開平02-210161(JP,A)
【文献】特開2014-190031(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 1/04
E04B 1/00
E04F 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の基礎と、前記建物に設けられて、第1開口部および第2開口部を有する部屋を有する地階
と、前記部屋の第1開口部に面する第1ドライエリアと、前記部屋の第2開口部に面する第2ドライエリアとを備
え、
前記第1ドライエリアは、前記部屋に対して東側に設けられ、前記第2ドライエリアは、前記部屋に対して西側に設けら
れ、
前記基礎は、前記地階を支持する基礎部分と同じ高さ位置から上に延びる基礎壁を有し、
前記基礎壁の一部分は、前記第1ドライエリアおよび前記第2ドライエリアの少なくとも一方に面する内面を有し、かつ、前記基礎部分と同じ高さ位置から上に延びて地面から露出し、
前記基礎壁の他の部分は、前記地階の内壁が設けられるように前記地階の壁を構成し、
前記基礎壁において前記地面から露出する部分には、グリーンウォールが設けられ、
前記グリーンウォールは、前記基礎壁において前記地面から露出する部分において地面位置から上方に延びるように構成され、かつ、前記第1ドライエリアおよび前記第2ドライエリアの少なくとも一方の上空部分に面するように構成される、
建物。
【請求項2】
前記第1開口部には、日除けのための第1遮光部が設けられ、
前記第1遮光部の下面の高さは、前記地階の部屋の天井の高さと等しく、かつ、前記第1開口部の上端の高さは、前記天井の高さと等しい
請求項1に記載の建物。
【請求項3】
前記地階の部屋は、前記第1開口部を含む第1面に交差する第1内面を有し、
前記第1ドライエリア
に面する前記基礎壁の内面の一部は、前記第1内面と面一に構成され、
前記第1開口部は、前記第1面において前記第1内面側の端縁まで延びる
請求項2に記載の建物。
【請求項4】
前記第1遮光部の下面の色は、前記天井の色と同系色であり、前記第1ドライエリア
に面する前記基礎壁の色よりも濃い色である
請求項2または3に記載の建物。
【請求項5】
前記第2開口部には、日除けのための第2遮光部が設けられ、
前記第2遮光部の下面の高さは、前記地階の部屋の天井の高さと等しく、かつ、前記第2開口部の上端の高さは、前記天井の高さと等しい
請求項1~4のいずれか一項に記載の建物。
【請求項6】
前記地階の部屋は、前記第2開口部を含む第2面に交差する第2内面を有し、
前記第2ドライエリア
に面する前記基礎壁の内面の一部は、前記第2内面と面一に構成され、
前記第2開口部は、前記第2面において前記第2内面側の端縁まで延びる
請求項5に記載の建物。
【請求項7】
前記第2遮光部の下面の色は、前記天井の色と同系色であり、前記第2ドライエリア
に面する前記基礎壁の色よりも濃い色である
請求項5または6に記載の建物。
【請求項8】
前記地階の部屋は、第1柱を介して前記第1開口部に隣り合うように設けられる第3開口部を有し、前記第3開口部の上端の高さは、前記第1開口部の上端の高さと等しい位置に配置され、前記第1柱は、円柱に構成される
請求項1~7のいずれか一項に記載の建物。
【請求項9】
前記地階の部屋は、第2柱を介して前記第2開口部に隣り合うように設けられる第4開口部を有し、前記第4開口部の上端の高さは、前記第2開口部の上端の高さと等しい位置に配置され、前記第2柱は、円柱に構成される
請求項1~8のいずれか一項に記載の建物。
【請求項10】
前記地階の部屋の天井には、グレアレスライトが設けられる
請求項1~9のいずれか一項に記載の建物。
【請求項11】
前記第1ドライエリアを照らす第1照明および前記第2ドライエリアを照らす第2照明の少なくとも一方を備える
請求項1~10のいずれか一項に記載の建物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライエリアを有する建物に関する。
【背景技術】
【0002】
ドライエリアを有する建物が知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載の建物では、地階の外壁に沿うようにドライエリアが設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、地階にドライエリアを有する建物であっても、太陽光を採り入れることができる時間は短い。そこで、地階において太陽光を採り入れ可能な時間が長い建物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)上記課題を解決する建物は、第1開口部および第2開口部を有する部屋を有する地階と、前記部屋の第1開口部に面する第1ドライエリアと、前記部屋の第2開口部に面する第2ドライエリアとを備え、前記第1ドライエリアは、前記部屋に対して東側に設けられ、前記第2ドライエリアは、前記部屋に対して西側に設けられる。この構成によれば、地階の部屋に午前の太陽光と午後の太陽光とを採り入れることが出来る。これによって、太陽光を採り入れることが出来る時間を長くできる。
【0006】
(2)上記(1)の建物において、前記第1ドライエリアおよび前記第2ドライエリアの少なくとも一方は、地面まで延びる基礎壁を有し、前記基礎壁には、グリーンウォールが設けられる。この構成によれば、グリーンウォールを介して太陽光が地階の部屋に入る。グリーンウォールは地面から延びるため、地面に塀が設けられている場合に比べて、低い位置から太陽光を地階の部屋に入れることができる。これによって、地階の部屋に入る太陽光の量を増大できる。
【0007】
(3)上記(1)または(2)の建物において、前記第1開口部には、日除けのための第1遮光部が設けられ、前記第1遮光部の下面の高さは、前記地階の部屋の天井の高さと等しく、かつ、前記第1開口部の上端の高さは、前記天井の高さと等しい。この構成によれば、室内の天井と第1遮光部の下面とが繋がっているように見え、室内空間を広くかつ外側と繋がっているように見せることができ、開放感を生じさせることができる。
【0008】
(4)上記(3)の建物において、前記地階の部屋は、前記第1開口部を含む第1面に交差する第1内面を有し、前記第1ドライエリアの基礎壁の内面の一部は、前記第1内面と面一に構成され、前記第1開口部は、前記第1面において前記第1内面側の端縁まで延びる。この構成によれば、室内の第1内面と第1ドライエリアの基礎壁の内面とが繋がっているように見え、室内空間を広くかつ外側と繋がっているように見せることができ、開放感を生じさせることができる。
【0009】
(5)上記(3)または(4)の建物において、前記第1遮光部の下面の色は、前記天井の色と同系色であり、前記第1ドライエリアの基礎壁の色よりも濃い色である。この構成によれば、天井と第1遮光部の下面とが繋がっているように見え、かつ、第1遮光部の端縁が際立って見える。室内空間を広くかつ外側と繋がっているように見せることができ、開放感を生じさせることができる。
【0010】
(6)上記(1)~(5)のいずれか1つの建物において、前記第2開口部には、日除けのための第2遮光部が設けられ、前記第2遮光部の下面の高さは、前記地階の部屋の天井の高さと等しく、かつ、前記第2開口部の上端の高さは、前記天井の高さと等しい。この構成によれば、室内の天井と第2遮光部の下面とが繋がっているように見え、室内空間を広くかつ外側と繋がっているように見せることができ、開放感を生じさせることができる。
【0011】
(7)上記(6)の建物において、前記地階の部屋は、前記第2開口部を含む第2面に交差する第2内面を有し、前記第2ドライエリアの基礎壁の内面の一部は、前記第2内面と面一に構成され、前記第2開口部は、前記第2面において前記第2内面側の端縁まで延びる。この構成によれば、室内の第2内面と第2ドライエリアの基礎壁の内面とが繋がっているように見え、室内空間を広くかつ外側と繋がっているように見せることができ、開放感を生じさせることができる。
【0012】
(8)上記(6)または(7)の建物において、前記第2遮光部の下面の色は、前記天井の色と同系色であり、前記第2ドライエリアの基礎壁の色よりも濃い色である。この構成によれば、天井と第2遮光部の下面とが繋がっているように見え、かつ、第2遮光部の端縁が際立って見える。室内空間を広くかつ外側と繋がっているように見せることができ、開放感を生じさせることができる。
【0013】
(9)上記(1)~(8)のいずれか1つの建物において、前記地階の部屋は、第1柱を介して前記第1開口部に隣り合うように設けられる第3開口部を有し、前記第3開口部の上端の高さは、前記第1開口部の上端の高さと等しい位置に配置され、前記第1柱は、円柱に構成される。この構成によれば、第1柱のグラデーションの陰によって第1柱の輪郭が分かり難くなる。これによって、室内空間が外側と繋がっているように見せることが出来る。
【0014】
(10)上記(1)~(9)のいずれか1つの建物において、前記地階の部屋は、第2柱を介して前記第2開口部に隣り合うように設けられる第4開口部を有し、前記第4開口部の上端の高さは、前記第2開口部の上端の高さと等しい位置に配置され、前記第2柱は、円柱に構成される。この構成によれば、第2柱のグラデーションの陰によって第2柱の輪郭が分かり難くなる。これによって、室内空間が外側と繋がっているように見せることが出来る。
【0015】
(11)上記(1)~(10)のいずれか1つの建物において、前記地階の部屋の天井には、グレアレスライトが設けられる。この構成によれば、夜間において、室内のグレアレスライトの光源の窓ガラスへの映り込みを抑制できる。
【0016】
(12)上記(1)~(11)のいずれか1つの建物において、前記第1ドライエリアを照らす第1照明および前記第2ドライエリアを照らす第2照明の少なくとも一方を備える。この構成によれば、夜間において、第1ドライエリアおよび第2ドライエリアの少なくとも一方を明るくできるため、室内空間と第1ドライエリアおよび第2ドライエリアの少なくとも一方との一体性を形成でき、室内の開放感を向上できる。
【発明の効果】
【0017】
上記建物によれば、地階において太陽光を採り入れ可能な時間を長くできる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図5】部屋から第1ドライエリアを見たときの、室内の斜視図。
【
図7】部屋から第2ドライエリアを見たときの、室内の斜視図。
【
図8】
図1のVIII-VIII線に沿う建物の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1~
図9を参照して、建物について説明する。本実施形態において、「北側」、「南側」、「西側」、および「東側」を次のように定義する。「北側」とは、部屋に対して北西から北東までの範囲を示す。「南側」とは、部屋に対して南西から南東までの範囲を示す。「東側」とは、部屋に対して北東から南東までの範囲を示す。「西側」とは、部屋に対して北西から南西までの範囲を示す。
【0020】
図1および
図2に示されるように、建物1は、基礎2と、基礎2に固定される建物本体3とを備える。建物本体3は、地階4を有する。本実施形態では、建物1は、地階1階かつ地上3階建ての建物1である。地階4には、少なくとも1つの部屋5を有する。地階4の部屋5の1つは、第1開口部11および第2開口部12を有する。本実施形態では、部屋5は、さらに、第3開口部13を有する。第1開口部11は、東側に開口する。第2開口部12は、西側に開口する。第2開口部12は、部屋5において第1開口部11と反対側の位置に設けられる。第1開口部11、第2開口部12、および、第3開口部13の少なくとも1つは、開閉可能である窓に構成される。第1開口部11、第2開口部12、および、第3開口部13の少なくとも1つまたは全部は、開閉できない窓によって構成されてもよい。
【0021】
図3に示されるように、本実施形態では、部屋5は、地階4において南側に配置される。部屋5は、平面視で矩形に構成される。部屋5の東側に第1開口部11および第3開口部13が設けられる。第3開口部13は、第1柱14を介して第1開口部11に隣り合うように設けられる。第3開口部13は、第1開口部11の北に配置される。第3開口部13の上端13aの高さは、第1開口部11の上端11aの高さと等しい位置に配置される。第1柱14は、円柱に構成される。
【0022】
部屋5の西側には、第2開口部12が設けられる。第2開口部12は、部屋5において第1開口部11と反対側に設けられる。部屋5の北側には、北側の部屋7に繋がる扉19が設けられる。
【0023】
部屋5の南側には、内壁15が設けられる。
南側の内壁15は、土を押さえる第1基礎壁31に沿うように形成される。第1基礎壁31は、建物1の基礎2の一部分である。
【0024】
建物1は、部屋5の第1開口部11に面する第1ドライエリア21と、部屋5の第2開口部12に面する第2ドライエリア22とを備える。本実施形態では、第1ドライエリア21は、第1開口部11および第3開口部13に面するように構成される。
【0025】
本実施形態では、第1ドライエリア21は、平面視で矩形に構成される。第1ドライエリア21は、部屋5に対して東側に設けられる。第1ドライエリア21において北側には、土を押さえる第2基礎壁32が設けられる。第1ドライエリア21において南側には、土を押さえる第3基礎壁33が設けられる。第1ドライエリア21において東側には、土を押さえる第4基礎壁34が設けられる。第3基礎壁33は、上述の第1基礎壁31に連続するように構成される。第2基礎壁32、第3基礎壁33および第4基礎壁34は、建物1の基礎2の一部分である。
【0026】
第2ドライエリア22は、平面視で矩形に構成される。第2ドライエリア22は、部屋5に対して西側に設けられる。第2ドライエリア22の北側には、部屋5に隣接する別の部屋6が設けられる。第2ドライエリア22において南側には、土を押さえる第5基礎壁35が設けられる。第2ドライエリア22において西側には、土を押さえる第6基礎壁36が設けられる。第5基礎壁35は、上述の第1基礎壁31および第3基礎壁33、に連続するように構成される。第5基礎壁35および第6基礎壁36は、建物1の基礎2の一部分である。
【0027】
例えば、第1ドライエリア21および第2ドライエリア22の少なくとも一方は、中庭として構成され、植物が植えられる。第1ドライエリア21および第2ドライエリア22の少なくとも一方には、室外用の椅子またはテーブル、またはオブジェが置かれてもよい。
【0028】
好ましくは、建物1は、第1ドライエリア21を照らす第1照明41を備える。第1照明41は、第1ドライエリア21に設けられてもよい。また、第1照明41は、第1ドライエリア21を上から照らすように、建物1の地階4よりも上の部分に設けられてもよい。
【0029】
好ましくは、建物1は、第2ドライエリア22を照らす第2照明42を備える。第2照明42は、第2ドライエリア22に設けられてもよい。また、第2照明42は、第2ドライエリア22を上から照らすように、建物1の地階4よりも上の部分に設けられてもよい。
【0030】
図4に示されるように、さらに、第1ドライエリア21および第2ドライエリア22の少なくとも一方は、地面まで延びる基礎壁30を有する。基礎壁30には、グリーンウォール25が設けられる。
【0031】
本実施形態では、第1ドライエリア21の南側の第3基礎壁33および東側の第4基礎壁34が地面まで延びる。第3基礎壁33および第4基礎壁34の上部にグリーンウォール25が設けられる。グリーンウォール25は、高さ方向に3階の中間あたりまで延びる。第1ドライエリア21には、第1ドライエリア21の真上から光が差し込むとともに、グリーンウォール25を介して光が差し込む。
【0032】
図5および
図6に示されるように、第1開口部11には、日除けのための第1遮光部51が設けられることが好ましい。
本実施形態では、第1遮光部51は、1階において第1ドライエリア21に突き出すように設けられる第1ベランダ52として構成される。第1遮光部51は、庇として構成されてもよい。
【0033】
第1遮光部51の下面51aの高さは、地階4の部屋5の天井10の高さと等しい。この場合において、第1開口部11の上端11aの高さは、天井10の高さと等しいことが好ましい。この構成によって、部屋5の天井10が第1遮光部51の下面51aに繋がっているように見える。さらに、第1遮光部51の下面51aの色は、天井10の色と同系色であり、第1ドライエリア21の第3基礎壁33の色よりも濃い色であることが好ましい。
【0034】
図7および
図8に示されるように、第2開口部12には、日除けのための第2遮光部53が設けられることが好ましい。
本実施形態では、第2遮光部53は、1階において第2ドライエリア22に突き出すように設けられる第2ベランダ54として構成される。第1遮光部51は、庇として構成されてもよい。
【0035】
第2遮光部53の下面53aの高さは、地階4の部屋5の天井10の高さと等しい。この場合において、第2開口部12の上端12aの高さは、天井10の高さと等しいことが好ましい。この構成によって、部屋5の天井10が、第2遮光部53の下面53aに繋がっているように見える。さらに、第2遮光部53の下面53aの色は、天井10の色と同系色であり、第2ドライエリア22の第5基礎壁35の色よりも濃い色であることが好ましい。
【0036】
部屋5は、上述のように南側に内壁15を有する。内壁15は、第1開口部11の含む第1面11bに交差する第1内面16と、第2開口部12の含む第2面12bに交差する第2内面17とを有する。本実施形態では、第2内面17は、第1内面16と同一である。
【0037】
第1ドライエリア21の基礎壁30の内面30aの一部は、部屋5の第1内面16と面一に構成されることが好ましい。本実施形態では、第1ドライエリア21の第3基礎壁33の内面33aが、部屋5の第1内面16と面一に構成される。この場合において、さらに、第1開口部11は、第1面11bにおいて第1内面16側の端縁11eまで延びることが好ましい。この構成によって、部屋5の第1内面16が第3基礎壁33の内面33aに繋がっているように見え、部屋5の空間と外側の空間とが繋がっているような感覚を生じさせることができる。特に、部屋5内に日差しが差し込む場合、影が室外から室内にわたって形成され、影の部分SAと日が差し込む部分LAとの境界線BLが室外から室内にわたって直線的に連続するため、このような感覚が顕著になる。
【0038】
面一とは、実質的な面一を含む。具体的には、部屋5の第1内面16と、第3基礎壁33の内面33aとに間に、クロスさや装飾用の板材の厚さに相当する段差がある場合でも、部屋5の第1内面16と第3基礎壁33の内面33aとは、実質的な面一であると看做す。
【0039】
第2ドライエリア22の基礎壁30の内面30aの一部は、部屋5の第2内面17と面一に構成されることが好ましい。本実施形態では、第2ドライエリア22の第5基礎壁35の内面35aが、部屋5の第2内面17と面一に構成される。この場合において、さらに、第2開口部12は、第2面12bにおいて第2内面17側の端縁12eまで延びることが好ましい。この構成によって、部屋5の第2内面17が第5基礎壁35の内面35aに繋がっているように見え、部屋5の空間と外側の空間とが繋がっているような感覚を生じさせることができる。特に、部屋5内に日差しが差し込む場合、上述と同様の理由によって、このような感覚が顕著になる。
【0040】
図9に示されるように、部屋5の天井10には、グレアレスライト60が設けられることが好ましい。グレアレスライト60は、天井10に埋め込まれる。グレアレスライト60の反射部62は、グレアレスライト60を見上げた場合に所定の仰角A以下の角度によって発光部61が見えないように、反射部62が構成される。
【0041】
本実施形態の作用を説明する。
建物1は、地階4と、第1ドライエリア21と、第2ドライエリア22とを有する。地階4には、第1開口部11および第2開口部12を有する部屋5が設けられる。第1ドライエリア21は、部屋5の第1開口部11に面し、部屋5に対して東側に設けられる。第2ドライエリア22は、部屋5の第2開口部12に面して、部屋5に対して西側に設けられる。このような建物1によれば、部屋5には、午前において第1ドライエリア21を介して太陽光が入り、午後において第2ドライエリア22を介して太陽光が入る。このように、この構成によれば、1つのドライエリアに面する部屋5に比べて、部屋5に太陽光を採り入れることが出来る時間は長くなる。
【0042】
本実施形態の効果を説明する。
(1)建物1は、地階4を有する。第1ドライエリア21は、地階4の部屋5に対して東側に設けられる。第2ドライエリア22は、地階4の部屋5に対して西側に設けられる。この構成によれば、地階4の部屋5に午前の太陽光と午後の太陽光とを採り入れることが出来る。これによって、太陽光を採り入れることが出来る時間を長くできる。
【0043】
(2)第1ドライエリア21および第2ドライエリア22の少なくとも一方は、地面まで延びる基礎壁30を有する(
図4参照)。基礎壁30には、グリーンウォール25が設けられる。この構成によれば、グリーンウォール25を介して太陽光が地階4の部屋5に入る。グリーンウォール25は地面から延びるため、地面に塀が設けられている場合に比べて、低い位置から太陽光を地階4の部屋5に入れることができる。これによって、地階4の部屋5に入る太陽光の量を増大できる。
【0044】
(3)
図6に示されるように、地階4の部屋5の第1開口部11には、日除けのための第1遮光部51が設けられる。第1遮光部51の下面51aの高さは、地階4の部屋5の天井10の高さと等しい。さらに、第1開口部11の上端11aの高さは、天井10の高さと等しい。この構成によれば、室内の天井10と第1遮光部51の下面51aとが繋がっているように見え、室内空間を広くかつ外側と繋がっているように見せることができ、開放感を生じさせることができる。
【0045】
(4)
図5に示されるように、地階4の部屋5は、第1開口部11を含む第1面11bに交差する第1内面16を有する。第1ドライエリア21の第3基礎壁33の内面33aの一部は、第1内面16と面一に構成される。第1開口部11は、第1面11bにおいて第1内面16側の端縁11eまで延びる。この構成によれば、室内の第1内面16と第1ドライエリア21の第3基礎壁33の内面33aとが繋がっているように見え、室内空間を広くかつ外側と繋がっているように見せることができ、開放感を生じさせることができる。
【0046】
(5)第1遮光部51の下面51aの色は、天井10の色と同系色であり、第1ドライエリア21の第3基礎壁33の色よりも濃い色である。この構成によれば、天井10と第1遮光部51の下面51aとが繋がっているように見え、かつ、第1遮光部51の端縁51eが際立って見える。室内空間を広くかつ外側と繋がっているように見せることができ、開放感を生じさせることができる。
【0047】
(6)
図8に示されるように、地階4の部屋5の第2開口部12には、日除けのための第2遮光部53が設けられる。第2遮光部53の下面53aの高さは、地階4の部屋5の天井10の高さと等しい。さらに、第2開口部12の上端12aの高さは、天井10の高さと等しい。この構成によれば、室内の天井10と第2遮光部53の下面53aとが繋がっているように見え、室内空間を広くかつ外側と繋がっているように見せることができ、開放感を生じさせることができる。
【0048】
(7)
図7に示されるように、地階4の部屋5は、第2開口部12を含む第2面12bに交差する第2内面17を有する。第2ドライエリア22の第5基礎壁35の内面35aの一部は、第2内面17と面一に構成される。第2開口部12は、第2面12bにおいて第2内面17側の端縁12eまで延びる。この構成によれば、室内の第2内面17と第2ドライエリア22の第5基礎壁35の内面35aとが繋がっているように見え、室内空間を広くかつ外側と繋がっているように見せることができ、開放感を生じさせることができる。
【0049】
(8)第2遮光部53の下面53aの色は、天井10の色と同系色であり、第2ドライエリア22の第5基礎壁35の色よりも濃い色である。この構成によれば、天井10と第2遮光部53の下面53aとが繋がっているように見え、かつ、第2遮光部53の端縁53eが際立って見える。室内空間を広くかつ外側と繋がっているように見せることができ、開放感を生じさせることができる。
【0050】
(9)地階4の部屋5は、さらに、第3開口部13を有してもよい。第3開口部13は、第1柱14を介して第1開口部11に隣り合うように設けられる(
図5参照)。第3開口部13の上端13aの高さは、第1開口部11の上端11aの高さと等しい位置に配置され、第1柱14は、円柱に構成される。この構成によれば、第1柱14のグラデーションの陰によって第1柱14の輪郭が分かり難くなる。これによって、室内空間が外側と繋がっているように見せることが出来る。
【0051】
(10)地階4の部屋5の天井10には、グレアレスライト60が設けられることが好ましい。この構成によれば、夜間において、室内のグレアレスライト60の光源の窓ガラスへの映り込みを抑制できる。
【0052】
(11)建物1は、第1ドライエリア21を照らす第1照明41および第2ドライエリア22を照らす第2照明42の少なくとも一方を備えることが好ましい。この構成によれば、夜間において、第1ドライエリア21および第2ドライエリア22の少なくとも一方を明るくできるため、室内空間と第1ドライエリア21および第2ドライエリア22の少なくとも一方との一体性を形成でき、室内の開放感を向上できる。
【0053】
<変形例>
上記実施形態は、建物1が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。建物1は実施形態に例示された形態とは異なる形態を取り得る。その一例は、実施形態の構成の一部を置換、変更、もしくは、省略した形態、または、実施形態に新たな構成を付加した形態である。以下に実施形態の変形例の一例を示す。
【0054】
・本実施形態において、地階4の部屋5は、第4開口部をさらに備えてもよい。第4開口部は、第2柱を介して第2開口部12に隣り合うように設けられる。第4開口部の上端の高さは、第2開口部12の上端12aの高さと等しい位置に配置される。第2柱は、円柱に構成される。この構成によれば、第2柱のグラデーションの陰によって第2柱の輪郭が分かり難くなる。これによって、室内空間が外側と繋がっているように見せることが出来る。
【0055】
・本実施形態において、第1ドライエリア21の形状および第2ドライエリア22の形状は限定されない。第1ドライエリア21は、台形、三角形、またはL字状の形状に構成され得る。第2ドライエリア22は、台形、三角形、またはL字状の形状に構成され得る。
【0056】
・本実施形態において、部屋5の形状は限定されない。例えば、部屋5は、台形、三角形、またはL字状の形状、T字状の形状に構成され得る。
【符号の説明】
【0057】
1…建物
4…地階
5…部屋
6…部屋
7…部屋
10…天井
11…第1開口部
11b…第1面
12…第2開口部
12b…第2面
13…第3開口部
14…第1柱
16…第1内面
17…第2内面
21…第1ドライエリア
22…第2ドライエリア
25…グリーンウォール
30…基礎壁
30a…内面
33a…内面
35a…内面
41…第1照明
42…第2照明
51…第1遮光部
53…第2遮光部
60…グレアレスライト