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特許7480612画像処理装置、画像形成装置およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像形成装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 40/151 20200101AFI20240501BHJP
   G06T 11/60 20060101ALI20240501BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20240501BHJP
   B41J 21/00 20060101ALI20240501BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
G06F40/151
G06T11/60 100A
G06F3/12 338
G06F3/12 322
G06F3/12 336
G06F3/12 344
B41J21/00 Z
B41J29/38 303
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020122023
(22)【出願日】2020-07-16
(65)【公開番号】P2022018711
(43)【公開日】2022-01-27
【審査請求日】2023-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110000039
【氏名又は名称】特許業務法人アイ・ピー・ウィン
(72)【発明者】
【氏名】鳥居 丈資
【審査官】長 由紀子
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-186603(JP,A)
【文献】特開2010-269498(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 40/00-58
G06T 11/60
G06F 3/12
B41J 21/00
B41J 29/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリとプロセッサを備え、
前記プロセッサは、表示する文字の文字コードとともに当該文字の字形データがページ記述言語により記述された文書データに基づく画像出力処理が正常に実行されなかった場合、当該文書データにおいて記述されている文字コードを他の文字コードに置き換えるとともに、記述されている字形データを削除して障害解析用データを生成する、
画像処理装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記文書データに含まれている複数の文字コードを、それぞれ異なる文字コードに置き換えることにより障害解析用データを生成する請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記障害解析用データを生成する際に、書体の字形を指定する書体指定データを前記文書データから削除する請求項1又は2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記障害解析用データを生成する際に、使用する文字の書体の名称情報を、汎用的な書体名に変更する請求項3記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記障害解析用データを生成する際に、文字コードと字形識別情報との対応関係を示す文字マップ情報を前記文書データから削除する請求項1から4のいずれか記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記文書データに画像データが含まれている場合、当該画像データを、当該画像データの属性を示す情報を表示する画像に置き換える請求項1記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、画像データの属性を示す情報を表示する画像が、当該画像データの識別情報を含む画像である請求項6記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、画像データの属性を示す情報を表示する画像が、当該画像データが配置された位置に関する情報を示す画像である請求項6記載の画像処理装置。
【請求項9】
文書データに基づいて画像出力処理を実行する画像出力部と、
メモリとプロセッサを備え、
前記プロセッサは、表示する文字の文字コードとともに当該文字の字形データがページ記述言語により記述された文書データに基づく画像出力処理が前記画像出力部において正常に実行されなかった場合、当該文書データにおいて記述されている文字コードを他の文字コードに置き換えるとともに、記述されている字形データを削除して障害解析用データを生成する、
画像形成装置。
【請求項10】
表示する文字の文字コードとともに当該文字の字形データがページ記述言語により記述された文書データに基づく画像出力処理が正常に実行されなかった場合、当該文書データにおいて記述されている文字コードを他の文字コードに置き換えるとともに、記述されている字形データを削除して障害解析用データを生成するステップを、
コンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像形成装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、アプリケーションにおいて秘匿情報部分を指定するようにして、指定された対象範囲に伏せ字属性を設定し、暗証番号等の入力により認証が行われた場合にのみ、伏せ字属性が設定された範囲の文字を印刷可能とするようにした伏せ字処理装置が開示されている。
【0003】
特許文献2には、隠蔽印刷を行うことで機密情報の漏洩を防止する場合に、試し印刷時における情報の漏洩防止と試し印刷文書の再利用との両立を図るようにした印刷制御方法が開示されている。
【0004】
特許文献3には、印刷データを印刷した際に印刷障害が生じた場合、その印刷データに含まれるデータのデータ種別に対応する加工条件情報に基づいて印刷データを加工して代替印刷データを生成し、その代替印刷データで印刷障害が再現された場合に、その代替印刷データを障害データとして出力することにより、印刷障害が再現されるように秘密情報が秘匿された障害データを生成して出力することを可能とした画像出力装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2005-173720号公報
【文献】特開2007-313662号公報
【文献】特開2010-269498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、文書データに基づいて障害解析用データを生成する際に、文書データに含まれる文字コードを他の文字コードに置き換えただけで障害解析用のデータを生成する場合と比較して、秘密情報が漏洩し難い障害解析用データを生成することが可能な画像処理装置、画像形成装置およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[画像処理装置]
請求項1に係る本発明は、メモリとプロセッサを備え、
前記プロセッサは、表示する文字の文字コードとともに当該文字の字形データがページ記述言語により記述された文書データに基づく画像出力処理が正常に実行されなかった場合、当該文書データにおいて記述されている文字コードを他の文字コードに置き換えるとともに、記述されている字形データを削除して障害解析用データを生成する画像処理装置である。
【0008】
請求項2に係る本発明は、前記プロセッサが、前記文書データに含まれている複数の文字コードを、それぞれ異なる文字コードに置き換えることにより障害解析用データを生成する請求項1記載の画像処理装置である。
【0009】
請求項3に係る本発明は、前記プロセッサが、前記障害解析用データを生成する際に、書体の字形を指定する書体指定データを前記文書データから削除する請求項1又は2記載の画像処理装置である。
【0010】
請求項4に係る本発明は、前記プロセッサが、前記障害解析用データを生成する際に、使用する文字の書体の名称情報を、汎用的な書体名に変更する請求項3記載の画像処理装置である。
【0011】
請求項5に係る本発明は、前記プロセッサが、前記障害解析用データを生成する際に、文字コードと字形識別情報との対応関係を示す文字マップ情報を前記文書データから削除する請求項1から4のいずれか記載の画像処理装置である。
【0012】
請求項6に係る本発明は、前記プロセッサが、前記文書データに画像データが含まれている場合、当該画像データを、当該画像データの属性を示す情報を表示する画像に置き換える請求項1記載の画像処理装置である。
【0013】
請求項7に係る本発明は、前記プロセッサが、画像データの属性を示す情報を表示する画像が、当該画像データの識別情報を含む画像である請求項6記載の画像処理装置である。
【0014】
請求項8に係る本発明は、前記プロセッサが、画像データの属性を示す情報を表示する画像が、当該画像データが配置された位置に関する情報を示す画像である請求項6記載の画像処理装置である。
【0015】
[画像形成装置]
請求項9に係る本発明は、文書データに基づいて画像出力処理を実行する画像出力部と、
メモリとプロセッサを備え、
前記プロセッサは、表示する文字の文字コードとともに当該文字の字形データがページ記述言語により記述された文書データに基づく画像出力処理が前記画像出力部において正常に実行されなかった場合、当該文書データにおいて記述されている文字コードを他の文字コードに置き換えるとともに、記述されている字形データを削除して障害解析用データを生成する画像形成装置である。
【0016】
[プログラム]
請求項10に係る本発明は、表示する文字の文字コードとともに当該文字の字形データがページ記述言語により記述された文書データに基づく画像出力処理が正常に実行されなかった場合、当該文書データにおいて記述されている文字コードを他の文字コードに置き換えるとともに、記述されている字形データを削除して障害解析用データを生成するステップを、
コンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に係る本発明によれば、文書データに基づいて障害解析用データを生成する際に、文書データに含まれる文字コードを他の文字コードに置き換えただけで障害解析用のデータを生成する場合と比較して、秘密情報が漏洩し難い障害解析用データを生成することが可能な画像処理装置を提供することができる。
【0018】
請求項2に係る本発明によれば、複数の文字コードを同一の文字コードに置き換える場合と比較して、障害の再現性を高くすることが可能な画像処理装置を提供することができる。
【0019】
請求項3に係る本発明によれば、字形データを削除したことによるエラーの発生を防ぐことが可能な画像処理装置を提供することができる。
【0020】
請求項4に係る本発明によれば、汎用的な表示ソフトウエアにより表示することができる障害解析用データを生成することが可能な画像処理装置を提供することができる。
【0021】
請求項5に係る本発明によれば、文字マップ情報から秘密情報が推測されてしまうことを防ぐことが可能な画像処理装置を提供することができる。
【0022】
請求項6に係る本発明によれば、文書データに含まれている画像データから秘密情報が漏洩してしまうことを防ぐことが可能な画像処理装置を提供することができる。
【0023】
請求項7に係る本発明によれば、障害発生の原因が画像データに起因する場合、画像データを単なる他の画像データに置き換える場合と比較して、障害解析の際の原因特定を容易にすることが可能な画像処理装置を提供することができる。
【0024】
請求項8に係る本発明によれば、障害発生の原因が画像データに起因する場合、画像データを単なる他の画像データに置き換える場合と比較して、障害解析の際の原因特定を容易にすることが可能な画像処理装置を提供することができる。
【0025】
請求項9に係る本発明によれば、文書データに基づいて障害解析用データを生成する際に、文書データに含まれる文字コードを他の文字コードに置き換えただけで障害解析用のデータを生成する場合と比較して、秘密情報が漏洩し難い障害解析用データを生成することが可能な画像形成装置を提供することができる。
【0026】
請求項10に係る本発明によれば、文書データに基づいて障害解析用データを生成する際に、文書データに含まれる文字コードを他の文字コードに置き換えただけで障害解析用のデータを生成する場合と比較して、秘密情報が漏洩し難い障害解析用データを生成することが可能なプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の一実施形態の印刷システムのシステム構成を示す図である。
図2】本発明の一実施形態における画像形成装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】本発明の一実施形態における画像形成装置10の機能構成を示すブロック図である。
図4】本発明の一実施形態の画像形成装置10において実行される、印刷ジョブに含まれる秘密情報を削除して障害解析用データを生成するための加工処理の全体動作を示すフローチャートである。
図5】加工処理を行う前の変換前のPDFデータ例を示す図である。
図6図5に示した文書データを生成する際に用いられるフォームデータ例を示す図である。
図7図5に示した文書データを記述したPDLの構造例を示す図である。
図8図4のステップS103において示した、RIP加工部44が、このような構造の文書データに対して行う文字加工処理の全体動作を示すフローチャートである。
図9】削除するフォントデータの一例を示す図である。
図10】フォント名の変更する具体例を示す図である。
図11】削除するCMapデータの一例を示す図である。
図12】文字記述部における文字コードの変更例を示す図である。
図13図4のステップS105において示した、RIP加工部44による画像加工処理の全体動作を示すフローチャートである。
図14】加工処理前の画像指定部における画像データ例を示す図である。
図15】加工処理後の画像指定部における画像データ例を示す図である。
図16】加工処理後のPDFデータの構造例を示す図である。
図17図16に示した変更度のPDFデータに基づいて画像を表示または印刷した場合の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0029】
図1は本発明の一実施形態の印刷システムの構成を示す図である。
【0030】
本発明の一実施形態の印刷システムは、図1に示されるように、ネットワーク30により相互に接続された画像形成装置10、およびクライアント端末20により構成される。画像形成装置10は、例えば、業務用のプリンタであり、クライアント端末20から送信された文書データを印刷ジョブとして受け付けて、受け付けた印刷ジョブに応じた画像を用紙上に出力する。クライアント端末20は、印刷ジョブを生成してネットワーク30経由にて画像形成装置10に対して送信する。
【0031】
このクライアント端末20から画像形成装置10に送信される文書データは、ページ記述言語(以下PDL(Page Description Language)と略す。)により記述されている。そして、文書データをPDLにより記述することにより、複雑な構成の文書データを生成して印刷ジョブとして構成することが可能となる。
【0032】
しかし、このようなPDLにより記述された印刷ジョブを画像形成装置10において実行して印刷を行った場合、印刷ジョブの複雑度や処理速度の高速化等により、PDLの構造に起因する障害が発生する場合がある。
【0033】
このような場合、発生した障害の原因の解析のために、画像形成装置10を製造したメーカーのエンジニアが、障害が発生した印刷ジョブを外部へ持ち出して解析を行ったり再現テストを実行したりしたい場合がある。
【0034】
しかし、画像形成装置10において業務用の印刷処理を行っている場合、印刷ジョブには、個人情報等の各種秘密情報が含まれていることがあり、秘密情報の漏洩の観点から印刷ジョブをそのまま外部に持ち出すことは許可されない場合が多い。
【0035】
そのため、印刷ジョブを外部に持ち出す場合には、この印刷ジョブに含まれている秘密情報を削除して障害解析用データを生成する必要がある。
【0036】
ところが、PDF(Portable Document Formatの略)等のPDLデータは、表示装置や印刷装置側で用意されているフォントの種類に影響を受けることなくオリジナルの字体で文字を表示や印刷するためにフォント埋め込みと呼ばれる技術が用いられている。
【0037】
このフォント埋め込みが行われたPDFデータであれば、日本語のフォントを備えていない装置であっても日本語の表示や印刷を行うことが可能となる。
【0038】
しかし、フォント埋め込みが行われたPDF等の文書データでは、内部に埋め込まれているその他の情報に、使用されている文字の字形データであるグリフデータ等が埋め込まれているため、文書データに含まれる文字コードを他の文字コードに置き換えただけで障害解析用のデータを生成したとしても記載されている秘密情報を類推することができてしまう場合がある。
【0039】
そこで、本実施形態の画像形成装置10では、下記に示すような方法により障害解析用データを生成することにより、PDLにより記述された文書データに基づいて障害解析用データを生成する際に、秘密情報が漏洩し難い障害解析用データを生成するようにしている。
【0040】
次に、本実施形態の印刷システムにおける画像形成装置10のハードウェア構成を図2に示す。
【0041】
画像形成装置10は、図2に示されるように、CPU11、メモリ12、ハードディスクドライブ等の記憶装置13、ネットワーク30を介して外部の装置等との間でデータの送信及び受信を行う通信インタフェース(IFと略す。)14、タッチパネルや液晶ディスプレイ等の表示装置15及び操作入力装置16、プリントエンジン17を有する。これらの構成要素は、制御バス18を介して互いに接続されている。
【0042】
プリントエンジン17は、帯電、露光、現像、転写、定着などの工程を経て印刷用紙等の記録媒体上に画像を印刷する。
【0043】
CPU11は、メモリ12または記憶装置13に格納された制御プログラムに基づいて所定の処理を実行して、画像形成装置10の動作を制御するプロセッサである。なお、本実施形態では、CPU11は、メモリ12または記憶装置13内に格納された制御プログラムを読み出して実行するものとして説明するが、当該プログラムをCD-ROM等の記憶媒体に格納してCPU11に提供することも可能である。
【0044】
図3は、上記の制御プログラムが実行されることにより実現される画像形成装置10の機能構成を示すブロック図である。
【0045】
本実施形態の画像形成装置10は、図3に示されるように、ジョブ受信部31と、表示部32と、操作入力部33と、コントローラ部34と、画像出力部35とを備えている。また、コントローラ部34は、ジョブ管理部41、RIP(Raster Image Processingの略)制御部42、RIP処理部43と、RIP加工部44と、印刷データ管理部45とから構成されている。
【0046】
コントローラ部34は、クライアント端末20から送信されてきた印刷ジョブの印刷処理を制御するためのユニットである。
【0047】
表示部32は、UI制御部46により制御され、ユーザに各種情報を表示する。操作入力部33もUI制御部46により制御され、ユーザにより行われた各種操作を入力する。
【0048】
ジョブ受信部31は、ネットワーク30を経由して、クライアント端末20からの印刷ジョブを受信する。ジョブ受信部31により受信された印刷ジョブは、ジョブ管理部41によって管理される。
【0049】
RIP制御部42は、RIP処理部43およびRIP加工部44の動作を制御しており、ジョブ管理部41からある印刷ジョブの印刷処理の実行を要求されると、その印刷ジョブのPDLの種類に応じたRIP処理部43を選択してRIPモジュールを起動させ、PDLファイルパスおよびRIP指定ページ情報を選択したRIP処理部43に渡してRIP処理を実行させる。
【0050】
ここで、図3では、説明を簡単にするためにRIP処理部43を1つだけ図示しているが、実際には複数のRIP処理部43が存在して、実行するRIP処理の処理内容に応じて選択される。
【0051】
RIP処理部43は、PDLの印刷ジョブのRIP処理を行うことによりラスタデータに変換して印刷データ管理部45に出力する。
【0052】
印刷データ管理部45では、RIP処理部43において変換されたラスタデータを印刷データに変換して、印刷速度に合わせて画像出力部35に送信する。
【0053】
画像出力部35は、印刷データ管理部45から送信されてきた印刷データに基づいて、印刷用紙等の記録媒体上に画像を出力する画像出力処理を実行する。
【0054】
なお、RIP処理部43は、PDLの印刷ジョブを直接ラスタデータに変換するのではなく、一旦中間データ形式に変換して処理するようにすることも可能である。
【0055】
上述したようにRIP処理部43が複数存在する場合、RIP制御部42は、複数のRIP処理部42を管理している。そして、複数のRIP処理部43には、それぞれ、CPSI(Configurable PostScript Interpreterの略)モジュールや、APPE(Adobe PDF Print Engineの略)モジュール等のPDLの種類に応じたRIP処理モジュールが搭載されていて、印刷しようとする印刷ジョブの種類に応じて使用するモジュールを選択して、RIP処理を実行する。
【0056】
そして、RIP加工部44は、RIP処理部43と同様の機能を有し、RIP制御部42からの指示に基づいて、秘密情報を削除するよう要求された印刷ジョブに対してRIP処理を行って、含まれている秘密情報が削除された障害解析用データを生成する。
【0057】
なお、RIP加工部44により生成された障害解析用データは、ジョブ管理41に転送され、データ送受信部47を介してクライアント端末20に送信される。なお、データ送受信部47は、生成された障害解析用データをUSB(Universal Serial Busの略)メモリ等の外部記憶媒体に出力したり、接続された外部機器に出力したりすることも可能である。
【0058】
また、PDL加工部44は、RIP処理部43において通常の印刷ジョブのRIP処理を実行する際に、同時に並列してRIP処理を実行することも可能な構成となっている。
【0059】
以下において、RIP加工部44により障害解析用データを生成する際の処理をより具体的に説明する。
【0060】
ある文書データに基づく印刷ジョブを実行した際に、画像出力処理が正常に実行されなかった場合、その文書データに含まれる秘密情報を削除して障害解析用データを生成しようとするユーザは、操作入力部33を介して障害解析用データの生成を指示する。
【0061】
すると、この障害解析用データの生成を指示はUI制御部46からジョブ管理部41に送信され、ジョブ管理部41がRIP制御部42を介してRIP加工部44に対して、その文書データに基づいて障害解析用データを生成する指示を行う。
【0062】
なお、秘密情報が含まれている範囲が特定可能な場合には、ユーザによって、障害解析用データの生成指示の際に、ページ単位で秘密情報の削除処理を実行する範囲を限定するようなことも可能である。
【0063】
そして、RIP加工部44は、指示された文書データに対して秘密情報を削除する処理を実行して、障害解析用データを生成する。
【0064】
具体的には、RIP加工部44は、表示する文字の文字コードとともにその文字の字形データであるグリフデータがPDLにより記述されたPDFデータ等の文書データに基づく画像出力処理が正常に実行されなかった場合、その文書データにおいて記述されている文字コードを他の文字コードに置き換えるとともに、記述されているグリフデータを削除して障害解析用データを生成する。
【0065】
なお、RIP加工部44は、文書データに含まれている複数の文字コードを、同一の文字コードに置き換えるのではなく、それぞれ異なる文字コードに置き換えることにより障害解析用データを生成する。
【0066】
さらに、RIP加工部44は、障害解析用データを生成する際に、書体の字形を指定する書体指定データ、つまりフォントデータを指定するデータを文書データから削除する。
【0067】
ここで、RIP加工部44により生成された障害解析用データを持ち出す際には、画像形成装置10を使用しているユーザに個人情報等の秘密情報が削除されていることを証明することが要求される場合がある。そのため、障害解析用データを、汎用的なパーソナルコンピュータ等においても表示可能とする必要がある。
【0068】
そのため、RIP加工部44は、障害解析用データを生成する際に、使用する文字の書体の名称情報を、汎用的な書体名に変更する。
【0069】
さらに、RIP加工部44は、障害解析用データを生成する際に、文字コードと字形識別情報との対応関係を示す文字マップ情報であるCMapデータを文書データから削除する。なお、このCMapデータの詳細につういては後述する。
【0070】
また、文書データには、文字情報だけでなく画像情報も含まれている場合がある。一般的には、個人情報等の秘密情報は文字情報として記述されていることが多い。しかし、画像情報にも、企業を特定できるロゴマークや個人の顔写真画像等の外部に漏洩した場合に問題となる秘密情報が含まれている場合もある。
【0071】
そのため、操作入力部33において障害解析用データの生成を指示する際に、文字情報のみを削除するのか、文字情報と画像情報の両方を削除するのかを設定することが可能となっている。
【0072】
そして、文字情報とともに画像情報を削除する指示が行われた場合、RIP加工部44は、文書データに画像データが含まれている場合、その画像データを、その画像データの属性を示す情報を表示する画像に置き換えることにより障害解析用データを生成する。
【0073】
ここで、置き換えようとする画像データの属性を示す情報を表示する画像とは、例えば、その画像データの識別情報を含む画像や、その画像データが配置された位置に関する情報を示す画像を用いることができる。
【0074】
つまりRIP加工部44は、文書データに含まれている画像データを、その画像データの識別情報を含む画像データや、その画像データが配置された位置に関する情報を示す画像データに置き換える。
【0075】
ここで、例えば、各画像にオブジェクトID等のような異なる識別番号が付与されている場合には、そのオブジェクトIDが画像データの識別情報に該当する。
【0076】
また、その画像データが配置されていた位置に関する情報は、例えば、各画像が配置されていたページの情報としても良いし、ページ内において配置されている位置を示す情報、例えば、ページ内の座標情報や、ページ内における概略の配置位置を示す情報としても良い。
【0077】
ここで、ページ内の座標情報とは、具体的には、左上隅の座標と右下隅の座標や、左上隅の座標と画像の幅および高さの情報等により構成することが可能である。また、ページ内における概略の配置位置を示す情報とは、具体的には、上段/中段/下段、左側/中央/右側等の情報により構成することが可能である。
【0078】
次に、本実施形態における画像形成装置10の動作について図面を参照して詳細に説明する。
【0079】
なお、PDLの種類によって具体的な処理内容はそれぞれ多少異なるが、以下の説明においては、最も一般的なPDF形式の印刷ジョブに基づいて障害解析用データを生成する場合を用いて説明する。
【0080】
まず、印刷ジョブに含まれる秘密情報を削除して障害解析用データを生成するための加工処理の全体動作を図4のフローチャートに示す。
【0081】
まず、通常PDFデータはFlate形式で符号化されているため、RIP加工部44は、ステップS101において、デコード処理を行う。なお、PDFデータがパスワードにより暗号化されている場合には、RIP加工部44は、操作入力部33を介して入力されたパスワードを用いてPDFデータを復号する。
【0082】
そして、RIP加工部44は、障害解析用データを生成する際に、ステップS102において、文字情報の加工処理が指定されているか否かを判定する。そして、RIP加工部44は、ステップS102において文字情報の加工処理が指定されていると判定した場合には、ステップS103において、文字加工処理を実行する。
【0083】
さらに、RIP加工部44は、ステップS104において、画像情報の加工処理が指定されているか否かを判定する。そして、RIP加工部44は、ステップS104において画像情報の加工処理が指定されていると判定した場合には、ステップS105において、文字加工処理を実行する。
【0084】
そして、RIP加工部44は、ステップS102~S105の処理をページ単位で実行し、ステップS106において、指定された全ページの加工処理が終了したか否かを判定する。そして、RIP加工部44は、ステップS106において指定された全ページの加工処理が終了したと判定した場合、ステップS107において、PDFデータに対してオフセットテーブル処理を実行する。
【0085】
このオフセットテーブル処理とは、汎用的なビューワーソフトウェアにより、文字加工処理や画像加工処理が行われた後のPDFデータを表示するために必要な処理である。
【0086】
PDFデータには、相互参照セクションが設けられており、PDFデータ中における各オブジェクトの位置を示すオフセット値を参照するためのオフセットテーブルが記載されている。ビューワーソフトウェアは、このオフセットテーブルにおけるオフセット値を参照して、各オブジェクトにアクセスするため、テキスト部や画像部における記載内容を変更することにより、このオフセット値がずれてしまうと、各オブジェクトに対して正常にアクセスすることができなくなってしまい、ビューワーソフトウェアにより表示しようとした場合エラーとなってしまう。
【0087】
そのため、RIP加工部44は、文字加工処理や画像加工処理が終わった後に、オフセットテーブル処理を実行して、オフセットテーブルを作成し直す処理を実行する。
【0088】
最後に、RIP加工部44は、ステップS108において、加工後のデータを障害解析用データとして出力する。
【0089】
次に、上記で説明した文字加工処理と画像加工処理について、具体的な文書データ例を用いて詳細に説明する。
【0090】
図5は、以降の説明において用いる、加工処理を行う前の変換前のPDFデータ例を示す図である。
【0091】
図5を参照すると、クレジットカード会社から各利用者に対して発行する利用代金明細書をPDFデータとしたものが示されている。この利用代金明細書には、利用者の氏名や住所、顧客番号、請求金額、銀行口座番号等の情報が含まれている。これらの情報は、個人情報であり、外部に漏洩することが禁じられている秘密情報に該当する。また、このPDFデータには、「ABCカード株式会社」という企業名やロゴマークが含まれている。このような企業名等の個人情報ではない情報も秘密情報に該当する。
【0092】
一般的にこのような文書データを生成する際には、複数の顧客において共通に使用される部分についてはフォームデータとして予め生成しておき、顧客毎の個人データと組み合わせることにより最終的な文書データが構成される。この図5に示した文書データを生成する際に用いられるフォームデータ例を図6に示す。図6を参照すると、顧客によって内容が変わらない共通部分の文字、図形、画像等の各種情報によりフォームデータが構成されているのが分かる。なお、図6に示したフォームデータにおいて、「ABCカード株式会社」という企業名およびロゴマークは画像情報50として構成されている。
【0093】
そして、このような文書データを記述したPDLの構造例を図7に示す。
【0094】
図7を参照すると、この文書データのPDLの構造は、フォント名、文字記述部、フォント辞書、フォントデータ、CMapデータ、画像指定部を含んでいるのが分かる。
【0095】
そして、図4のステップS103において示した、RIP加工部44が、このような構造の文書データに対して行う文字加工処理の全体動作を図8のフローチャートに示す。
【0096】
この文字加工処理では、RIP加工部44は、まずステップS201において、フォントデータを削除する。
【0097】
ここで、削除するフォントデータの一例を図9に示す。図9を参照すると、フォントデータは、フォントデータの識別子51の情報とともに、使用する文字の字形データであるグリフデータ52が含まれている。つまり、フォント埋め込みが行われたPDFデータ等では、表示する文字の文字コードだけでなく、実際に表現する文字の字形を示すグリフデータが含まれている。
【0098】
この図9に示したフォントデータ例では、使用されている文字のグリフデータ52を抽出することにより、「京区千岩本東田町都・・・」という文字列を抽出することができてしまう。このような文字列が抽出できた場合、この文字列は住所であり「東京都千代田区岩本町・・・」であることは容易に推測できてしまう。そのため、RIP加工部44は、文字加工処理の際にこのようなフォントデータを削除する。
【0099】
そして、RIP加工部44は、一般的な汎用パーソナルコンピュータにおいて、障害解析用データを表示可能とするために、ステップS202において、埋め込まれたフォント名から、外部参照可能な汎用的なフォント名に変更する。
【0100】
具体的には、図10に示すように、RIP加工部44は、「XFTQGE+MSPMincho」というフォント名を、「MSPMincho」というフォント名に変更する。ここで、「MSPMincho」というフォントは、汎用パーソナルコンピュータのOS(Operating Systemの略)において備えられている「MSP明朝」フォントである。そして、「XFTQGE+MSPMincho」というフォントは、この文書データ内に埋め込まれているフォントの名前であり、ステップS201においてフォントデータが削除された後では、参照不可能なフォントである。
【0101】
さらに、RIP加工部44は、ステップS201においてフォントデータを削除したため、ステップS203において、フォント辞書におけるフォントデータの指定を削除する。具体的には、RIP加工部44は、図7に示したフォント辞書において指定されている「/FontFile2 39 0 R」というフォントデータを指定する記述を削除する。これは、ステップS201において、「39 0 obj」という識別子により特定されるフォントデータを削除したため、このフォントデータを指定する記述が残っているとエラーが発生してしまうからである。
【0102】
ここで、PDFデータでは、フォントはフォント辞書(FontDescription辞書とも呼ばれる。)により表現される。このフォント辞書は、フォントの定義を行うもので、フォントのタイプやエンコーディング情報等の各種情報が含まれる。そして、PDFデータにフォントを埋め込む場合には、フォント辞書においてフォントファイルを指定するようになっている。本実施形態においてより正確に説明すると、RIP加工部44は、字形データであるフォントデータの参照場所であるオブジェクトIDを指定する「/FontFile2 39 0 R」という記述をフォント辞書から削除する。ここで、「FontFile2」という文字列は、データがTrueTypeフォントであることを意味する。
【0103】
次に、RIP加工部44は、ステップS204において、文書データからCMapデータを削除するとともに、フォント辞書におけるCMapデータの指定を削除する。削除するCMapデータの一例を図11に示す。ここで、CMapデータとは、Unicode等の文字コードと、字形識別情報であるグリフIDとの対応関係を示す文字マップ情報である。このCMapデータにも使用されている文字コードが記述されており、使用している文字を特定することができてしまう。そのため、RIP加工部44は、文字加工処理の際にこのようなCMapデータも削除する。
【0104】
そして、このCMapデータをPDFデータ内に埋め込む方法の一例として、フォント辞書内にCMapデータを指定する記述を設けるような方法が用いられる場合がある。そのため、RIP加工部44は、CMapデータを削除したことにより、フォント辞書におけるCMapデータの指定を削除する。具体的には、RIP加工部44は、図7に示したフォント辞書において指定されている「/ToUnicode 31 0 R」というCMapデータを指定する記述を削除する。これは、「31 0 obj」という識別子により特定されるCMapデータを削除したため、このCMapデータを指定する記述が残っているとエラーが発生してしまうからである。
【0105】
最後に、RIP加工部44は、ステップS205において、文字記述部における文字コードを変更する。文字コードを変更する際には、規則性のある変換ルールを用いて他の文字コードに置き換えることも可能であるが、規則性が特定されてしまうと元の文字コードを復元することができてしまう恐れがある。そのため、本実施形態では、このような規則性がある変換ルールを用いた変換方法は用いない。
【0106】
また、元の文字コードを全て同一の文字コードに置き換えてしまうような変換方法を用いることも可能であるが、このような変換方法を用いた場合、出現する文字種類が1種類となってしまう。しかし、フォントデータを位置的に記憶するフォントキャッシュメモリの容量不足等の文字種類の数が、障害の発生の原因となっているような場合、同一の文字コードに置き換えるような変換方法を用いた場合、障害の再現ができなくなってしまう。
【0107】
そのため、本実施形態におけるでは、RIP加工部44は、文書データに含まれている複数の文字コードを、同一の文字コードに置き換えるのではなく、それぞれ異なる文字コードに置き換えることにより障害解析用データを生成する。
【0108】
このような文字記述部における文字コードの変更例を図12に示す。図12に示した変更例では、例えば、「14BE」というある1つの文字を示す文字コードを「0101」という文字コードに変更し、「1B8F」というある1つの文字を示す文字コードを「0102」という文字コードに変更している。この図12では、元の文字コードを、ページ番号と文字描画順番の組み合わせにより構成された文字コードに置き換えることにより変更した場合が示されている。つまり、それぞれの文字コードは、1ページ目の1番目に描画する文字、1ページ目の2番目に描画する文字ということを意味している。
【0109】
このようにランダムな文字コードに置き換えるのではなく、置き換え前の文字の属性を示す情報を表した文字コードに置き換えることにより、障害解析の際に何ページの何番目の文字の描画処理までは正常に行われた等を把握することが可能となり、障害解析の際の助けとなることが期待できる。
【0110】
また、たとえば上述したような処理を実行する対象の文書データが膨大なデータである場合があり得る。特に高速で大量ページからなるデータを印刷するような、いわゆるプロダクションプリンタの場合、解析しようとする文書データの総ページ数が10万ページを超えるような大容量データになることがある。そのような場合、文字コードの置き換えやフォントデータの削除といった文字加工処理をすべての文字データを対象に対して行うのではなく、秘密情報に該当する部分として、固定で使用されているフォームデータとは異なるフォントを使っている部分に対してのみ文字加工処理を適用するようにすることができる。たとえば、企業名や利用者の氏名や住所等の秘密情報が印刷されている部分に使用されているフォント名や文字サイズを特定し、そのフォント、文字サイズの部分に対して文字加工処理を適用することで、外部に漏洩させたくない文字に対して効率的に秘匿したデータを生成することができる。このように構成することで、外部に持ち出されたくないデータを効率するための処理時間を短縮することが可能となる。それとは別の方法として、たとえばフォームデータで記述されている部分に使用されているフォント名やサイズを特定して、それとは異なるフォント、サイズに指定されているデータ部分を対象に文字加工処理を適用するようにしてもよい。たとえば、文書データの内容から共通に使用されるフォームが使われている部分を特定することもでき、そのようにして特定されたフォーム以外の部分の文字を対象として文字加工処理を実行することができる。たとえばポストスクリプトであれば、execformで再利用している部分であったり、PDFであればForm Xobjectによって記載されている部分でフォームを使っていることを特定することが可能である。
【0111】
次に、図4のステップS105において示した、RIP加工部44による画像加工処理の全体動作を図13のフローチャートに示す。
【0112】
まず、RIP加工部44は、ステップS301において、元の画像データを削除する。そして、RIP加工部44は、ステップS302において、差し替え画像データを生成する。例えば、RIP加工部44は、削除したデータの属性情報、具体的は元の画像データの識別情報であるオブジェクトIDと、ページ番号を含む画像データを、差し替え画像データとして生成する。
【0113】
そして、RIP加工部44は、ステップS303において、削除した画像データが格納されていた場所に、生成した差し替え画像データを格納することにより画像データの置き換えを行う。
【0114】
最後に、RIP加工部44は、ステップS304において、もとのPDFデータにおいて圧縮されていた圧縮形式によりデータ圧縮を行い、ステップS305において、画像指定部において画像データの属性を示すイメージ辞書の変更処理等の必要な処理を実行する。
【0115】
このような画像の加工処理の具体例を図14図15を参照して説明する。図14は、加工処理前の画像指定部における画像データ例であり、図15は、加工処理後の画像指定部における画像データ例である。
【0116】
図14を参照すると、この画像データには、この画像データ特定するための識別子である「36 0 obj」というオブジェクトID61が付されているのが分かる。そして、この画像データは、「stream」と「endstream」という文字により挟まれた部分において、2値のバイナリーデータにより記述されている。ここでは、図5に示したようなPDFデータを一例として用いて説明するため、「ご利用代金明細書」、「ABCカード株式会社」、「ABC GROUP」という文字を表す画像データがバイナリーデータとして記述されているものとして説明する。
【0117】
そして、RIP加工部44は、図14に示した画像データを、図15に示すような画像データに置き換える。図15では、「stream」と「endstream」という文字により挟まれた部分において記述されている画像データが、「01」、「36」という文字を表す画像データに置き換えられた場合が示されている。ここで、「01」とは、この画像データが配置されるページ番号を示しており、「36」は、変換前の画像データの識別子であるオブジェクトIDを示している。
【0118】
上述したような文字加工処理、画像加工処理がRIP加工部44により行われることにより、図7に示した文書データのPDLの構造は、図16に示すような構造に変換される。
【0119】
図16を参照すると、RIP加工部44による文字加工処理および画像加工処理により、フォント名が変更され、文字記述部の文字コードは置き換えられ、フォント辞書のフォントデータの指定部分は削除され、フォントデータ及びCMapデータは削除され、画像指定部における画像データは置き換えられていることが分かる。
【0120】
この図16に示した変更度のPDFデータに基づいて画像を表示または印刷した場合の一例を図17に示す。図17を参照すると、変換前の文字はそれぞれ異なる文字に変更されており、秘密情報を把握することは不可能な状態となっているのが分かる。また、図6に示したような企業名は企業のロゴマーク等を表した画像情報50は、図17では、ページ番号とオブジェクトIDを表した画像情報70に置き換わっているのが分かる。
【0121】
なお、このように画像データを固定パターンの画像に置き換えるのではなく、それぞれの画像で異なりそれぞれの画像を特定可能な情報を表す画像に置き換えることにより、画像が意図せずに入れ替わってしまうような障害や、画像の配置が意図した場所とは異なる場所となってしまうような障害が発生した場合でも、障害発生の原因を特定することが可能となる。
【0122】
上記各実施形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit、等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU:Graphics Processing Unit、ASIC:Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス等)を含むものである。
【0123】
また上記各実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記各実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【0124】
[変形例]
上記実施形態では、画像形成装置10において文書データの加工処理を行う場合を用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、印刷機能を備えていない画像処理装置において文書データの加工処理を行って障害解析用データを生成する場合でも同様に本発明を適用することができるものである。
【符号の説明】
【0125】
10 画像形成装置
11 CPU
12 メモリ
13 記憶装置
14 通信インタフェース
15 表示装置
16 操作入力装置
17 プリントエンジン
18 制御バス
20 クライアント端末
30 ネットワーク
31 ジョブ受信部
32 表示部
33 操作入力部
34 コントローラ部
35 画像出力部
41 ジョブ管理部
42 RIP制御部
43 RIP処理部
44 RIP加工部
45 印刷データ管理部
50 画像情報
51 フォントデータの識別子
52 グリフデータ
61 オブジェクトID
70 画像情報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17