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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】情報提供装置及び情報提供プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20240501BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20240501BHJP
   G07C 5/00 20060101ALI20240501BHJP
   G16Y 20/00 20200101ALI20240501BHJP
【FI】
G06Q50/10
G08G1/00 D
G07C5/00 Z
G16Y20/00
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020145806
(22)【出願日】2020-08-31
(65)【公開番号】P2022040878
(43)【公開日】2022-03-11
【審査請求日】2023-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】植本 将史
(72)【発明者】
【氏名】海和 徹
(72)【発明者】
【氏名】武井 政樹
(72)【発明者】
【氏名】西部 美紗
(72)【発明者】
【氏名】浅香 宏充
(72)【発明者】
【氏名】濱田 亜希
(72)【発明者】
【氏名】小林 美陽
【審査官】貝塚 涼
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-152000(JP,A)
【文献】特開2017-228115(JP,A)
【文献】特開2004-157938(JP,A)
【文献】国際公開第2019/187290(WO,A1)
【文献】特許第6448872(JP,B1)
【文献】特開2013-037457(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
G08G 1/00
G07C 5/00
G16Y 20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に保持された撮影装置の撮影映像と、前記撮影映像に関連付けられた撮影位置及び撮影時刻と、前記撮影映像を解析して抽出した他の車両、建造物、背景、及び、交通事故を含む特徴情報と、を撮影映像に関する情報として利用者への提供を許可する旨の通知を受け付ける通知受付手段と、
前記利用者への提供が許可された前記撮影装置の撮影映像に関する情報を取得する情報取得手段と、
前記情報取得手段によって取得された前記撮影映像に関する情報の提供を要求する利用者に対して、前記撮影映像に関する情報を提供する情報出力手段と、
前記利用者への提供が許可された映像を撮影する前記撮影装置の所有者に対して報酬を支払う支払手段と、
を備えた、情報提供装置。
【請求項2】
前記支払手段は、前記利用者に提供された前記撮影映像に関する情報に含まれる撮影映像を撮影した前記撮影装置の所有者に対して追加の報酬を支払うように構成されている、
請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項3】
前記支払手段は、
前記撮影装置に設けられた記憶手段の記憶領域のうち、前記利用者に提供可能な撮影映像に関する情報が記憶される上書き禁止の記憶領域の範囲、もしくは、前記利用者に提供可能な撮影映像に関する情報が前記上書き禁止の記憶領域に記憶される期間、
前記利用者に提供可能な撮影映像の撮影時間帯、
前記利用者に提供可能な撮影映像の撮影エリア、
前記利用者に要求された撮影映像に関する情報に対して提供可能な撮影映像の時間的な範囲、
前記利用者に提供可能な撮影映像を撮影する撮影装置の単位エリアあたりの数
記利用者に提供可能な撮影映像を撮影する前記撮影装置に備えられたカメラの台数、
及び、前記利用者に提供可能な撮影映像に関する情報の取得頻度、
のうち何れか一つ、または二つ以上の組み合わせに応じて、前記所有者に支払う報酬の額を決定するように構成されている、
請求項1又は2に記載の情報提供装置。
【請求項4】
前記支払手段は、前記利用者に撮影映像を実際に提供した件数、または、前記利用者に撮影映像を実際に提供した際の前記利用者からの評価に応じて、前記所有者に支払う報酬の額を決定するように構成されている、
請求項1~3の何れか一項に記載の情報提供装置。
【請求項5】
移動体に保持された撮影装置の撮影映像と、前記撮影映像に関連付けられた撮影位置及び撮影時刻と、前記撮影映像を解析して抽出した他の車両、建造物、背景、及び、交通事故を含む特徴情報と、を撮影映像に関する情報として利用者への提供を許可する旨の通知を受け付ける処理と、
前記利用者への提供が許可された前記撮影装置の撮影映像に関する情報を取得する処理と、
取得された前記撮影映像に関する情報の提供を要求する利用者に対して、当該撮影映像に関する情報を提供する処理と、
前記利用者への提供が許可された映像を撮影する前記撮影装置の所有者に対して報酬を支払う処理と、
をコンピュータに実行させる情報提供プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報提供装置及び情報提供プログラムに関し、例えば、利用者に提供する情報を効率的に収集するのに適した情報提供装置及び情報提供プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の車両のそれぞれに搭載された複数のドライブレコーダによって撮影された映像を収集して、利用者に提供する情報提供システムの開発が進められている。
【0003】
例えば、特許文献1に開示されたドライブレコーダ情報提供システムは、ドライブレコーダの撮像画像のうち所定の事象が検知された際の画像の特徴情報を複数のドライブレコーダから取得して、該取得した特徴情報に基づいて生成される情報を、交通情報サーバなどの外部サーバに提供している。ここで、このドライブレコーダ情報提供システムは、外部サーバに提供された情報の元となる画像を撮像したドライブレコーダ、が設けられた車両の管理者に対し、報酬を支払う支払手段を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6448872号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の構成では、外部サーバに提供された情報の元となる画像を撮像したドライブレコーダ、が設けられた車両の管理者に対してのみ報酬が支払われ、それ以外の画像を撮像したドライブレコーダ、が設けられた車両の管理者に対しては報酬が支払われない。
【0006】
したがって、例えば、交通事故に関連する画像などの希少性の高い画像を撮像したドライブレコーダ、が設けられた車両の管理者に対してのみ報酬が支払われ、それ以外の画像を撮像したドライブレコーダ、が設けられた車両の管理者に対しては報酬が支払われない可能性が高い。
【0007】
そのため、特許文献1の構成では、ドライブレコーダの撮像画像を提供する者が増えず、その結果、外部サーバに提供するための情報を効率的に収集することができない、という課題があった。
【0008】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、利用者に提供する情報を効率的に収集するのに適した情報提供装置及び情報提供プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本実施形態の一態様にかかる情報提供装置は、移動体に保持された撮影装置の撮影映像に関する情報の利用者への提供を許可する旨の通知を受け付ける通知受付手段と、前記利用者への提供が許可された前記撮影装置の撮影映像に関する情報を取得する情報取得手段と、前記情報取得手段によって取得された前記撮影映像に関する情報の提供を要求する利用者に対して、前記撮影映像に関する情報を提供する情報出力手段と、前記利用者への提供が許可された映像を撮影する前記撮影装置の所有者に対して報酬を支払う支払手段と、を備える。
【0010】
本実施形態の一態様にかかる情報提供プログラムは、移動体に保持された撮影装置の撮影映像に関する情報の利用者への提供を許可する旨の通知を受け付ける処理と、前記利用者への提供が許可された前記撮影装置の撮影映像に関する情報を取得する処理と、取得された前記撮影映像に関する情報の提供を要求する利用者に対して、当該撮影映像に関する情報を提供する処理と、前記利用者への提供が許可された映像を撮影する前記撮影装置の所有者に対して報酬を支払う処理と、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本実施形態によれば、利用者に提供する情報を効率的に収集するのに適した情報提供装置及び情報提供プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施の形態1にかかる情報提供システムの構成例を示すブロック図である。
図2】情報取得手段によって取得された撮影映像に関する情報の制限事項の一例を示す図である。
図3】実施の形態1にかかる情報提供システムの各車両に設けられたドライブレコーダの構成例を示すブロック図である。
図4】実施の形態1にかかる情報提供システムに設けられた情報提供装置の情報収集動作を示すフローチャートである。
図5】実施の形態1にかかる情報提供システムの各車両に設けられたドライブレコーダの動作を示すフローチャートである。
図6】実施の形態1にかかる情報提供システムに設けられた情報提供装置の情報提供動作を示すフローチャートである。
図7】実施の形態1にかかる情報提供システムに設けられた情報提供装置の情報提供機能のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面において、同一要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略する。
【0014】
<実施の形態1>
図1は、実施の形態1にかかる情報提供システムSYS1の構成例を示すブロック図である。本実施の形態にかかる情報提供システムSYS1は、複数のドライブレコーダによって撮影された映像を収集して利用者に提供するシステムであって、ドライブレコーダの撮影映像の提供者に対して、その撮影映像が本システムの利用者に実際に提供されたか否かに関わらず、一定の報酬を支払う。それにより、ドライブレコーダの撮影映像の提供者が増加する可能性が高くなるため、本システムの利用者に提供される情報の効率的な収集が可能になる。以下、具体的に説明する。
【0015】
図1に示すように、情報提供システムSYS1は、情報提供装置1と、車両T1~Tn(nは1以上の整数)のそれぞれに搭載されたドライブレコーダDR1~DRnと、を備える。
【0016】
情報提供装置1は、管理サーバであって、例えば、通信手段11と、情報出力手段13と、支払手段14と、を備える。また、通信手段11は、許可申請手段111と、通知受付手段112と、情報取得手段113と、を有する。
【0017】
許可申請手段111は、各車両のドライブレコーダの所有者に対して、ドライブレコーダの撮影映像に関する情報の利用許可申請を行う。利用許可申請は、ドライブレコーダの所有者に限らず、各車両の運転者、同乗者に対して行っても良い。撮影映像に関する情報は、撮影映像だけでなく、撮影映像に関連付けられた撮影位置及び撮影時刻を含めても良い。また、撮影映像に関する情報は、撮影映像に映っている他の車両、建造物、背景、及び、交通事故など、の特徴情報も含めても良い。特徴情報は、撮影映像を解析することによって抽出しても良い。特徴情報の抽出は、ドライブレコーダにおいて行われる場合もあるし、情報提供装置1において行われる場合もある。特徴情報は、ドライブレコーダの内部または外部から取得された、加速度センサ、ジャイロ、GPS、温度計、気圧計などから得られる情報を含めても良い。
【0018】
なお、ドライブレコーダの購入時に購入者(所有者)が撮影映像に関する情報の利用を許可するか否かの通知をすることになっている場合など、許可申請手段111による利用許可申請の必要がない場合には、許可申請手段111は、設けられていなくても良い。
【0019】
通知受付手段112は、各車両のドライブレコーダの所有者から、ドライブレコーダの撮影映像に関する情報の利用を許可する旨の通知を受け付ける。本実施の形態では、通知受付手段112が、ドライブレコーダDR1~DRnの撮影映像に関する情報の利用を許可する旨の通知を受け付けた場合を例に説明する。撮影映像に関する情報の利用が許可されたドライブレコーダDR1~DRnの識別情報は、例えば、記憶手段15に記憶される。
【0020】
なお、各ドライブレコーダDR1~DRnの所有者は、撮影映像に関する情報のうち利用者に提供可能な情報の範囲を任意に設定することができる。例えば、各ドライブレコーダDR1~DRnの所有者は、利用者に提供可能な撮影映像の撮影時間帯、撮影エリア、撮影に用いられるカメラ台数、及び、情報提供装置1への送信頻度などを設定することができる。
【0021】
情報取得手段113は、ドライブレコーダDR1~DRnのそれぞれの撮影映像に関する情報を例えば無線通信によって取得する。ドライブレコーダDR1~DRnのそれぞれの撮影映像に関する情報は、例えば、記憶手段15に記憶される。
【0022】
図2は、情報取得手段113によって取得された撮影映像に関する情報の制限事項の一例を示す図である。図2を参照すると、ドライブレコーダDR1については、撮影時間帯が7時から22時までに設定され、撮影エリアが自宅周辺以外に設定され、撮影に用いられるカメラ台数が車両の前方を撮影するカメラの1台に設定され、情報提供装置1への送信頻度が1日単位に設定されている。ドライブレコーダDR2については、撮影時間帯が制限無し(常時)に設定され、撮影エリアが自宅周辺以外に設定され、撮影に用いられるカメラ台数が車両の前方を撮影するカメラ及び車両の後方を撮影するカメラの計2台に設定され、情報提供装置1への送信頻度が1日単位に設定されている。ドライブレコーダDR3については、撮影時間帯が制限無し(常時)に設定され、撮影エリアが制限なしに設定され、撮影に用いられるカメラの台数が車両の前方を撮影するカメラの1台に設定され、情報提供装置1への送信頻度が1週間単位に設定されている。
【0023】
情報出力手段13は、情報取得手段113によって取得された撮影映像に関する情報の提供を要求する本システムの利用者に対して、その利用者の利用権限の範囲内で、撮影映像に関連する情報を提供する。利用者は、例えば、警察、保険会社、交通情報提供会社などの外部サーバ、一般利用者などである。
【0024】
支払手段14は、ドライブレコーダの撮影映像に関する情報を本システムの利用者に提供することを許可した者(ドライブレコーダの所有者)に対して、提供可能な範囲に応じた額の報酬を支払う。具体的には、支払手段14は、ドライブレコーダの撮影映像に関する情報を本システムの利用者に提供することを許可した者の銀行口座に、提供可能な範囲に応じた額の報酬を振り込む。支払手段14は、銀行振り込みに限らず、電子マネーやポイントにより報酬を付与しても良い。なお、報酬は、金銭の場合に限られず、例えば、ドライブレコーダの購入価格や通信料、保険料等の値下げや還付、割引率の拡大、商品やサービスのグレードアップなどであっても良い。
【0025】
ドライブレコーダDR1~DRnは、事故発生時の状況記録などを目的としてそれぞれ車両T1~Tnに搭載された撮影装置である。本実施の形態では、ドライブレコーダDR1~DRnのそれぞれの撮影映像に関する情報が、本システムの利用者に提供可能な情報として用いられている。
【0026】
図3は、ドライブレコーダDR1の構成例を示すブロック図である。なお、ドライブレコーダDR2~DRnの構成例については、ドライブレコーダDR1の場合と同様であるため、その説明を省略する。
【0027】
図3に示すように、ドライブレコーダDR1は、カメラ21と、マイク22と、制御手段23と、記憶手段24と、通信手段25と、位置情報取得手段26と、時刻取得手段27と、進行方向取得手段28と、を備える。
【0028】
カメラ21は、車両周辺を撮影する。マイク22は、車両周辺の音声情報を取得する。位置情報取得手段26は、GPS等を用いて車両の位置情報を取得する。時刻取得手段27は、カメラ21による撮影が行われた時刻(撮影時刻)の情報を取得する。進行方向取得手段28は、走行中の車両の進行方向の情報を取得する。制御手段23は、ドライブレコーダDR1の各構成要素の動作を制御する。そして、撮影映像、音声情報、位置情報、時刻情報、及び、進行方向の情報は、互いに関連付けられたうえで(紐付けられたうえで)、記憶手段24に記憶される。通信手段25は、ドライブレコーダDR1の外部の装置(例えば情報提供装置1)との間で通信を行う。
【0029】
(情報提供システムSYS1の動作)
続いて、図4図5及び図6を用いて、情報提供システムSYS1の動作を説明する。
図4は、情報提供装置1の情報収集動作の一例を示すフローチャートである。図5は、ドライブレコーダの動作の一例を示すフローチャートである。図6は、情報提供装置1の情報提供動作の一例を示すフローチャートである。
【0030】
まず、図4を用いて、情報提供装置1の情報収集動作の一例を説明する。
まず、許可申請手段111は、各車両のドライブレコーダの所有者に対して、ドライブレコーダの撮影映像に関する情報の利用許可申請を行う(ステップS101)。
【0031】
その後、通知受付手段112は、各車両のドライブレコーダの所有者から、ドライブレコーダの撮影映像に関する情報の利用を許可する旨の通知を受け付ける(ステップS102)。例えば、通知受付手段112は、ドライブレコーダDR1~DRnの所有者から撮影映像に関する情報の利用を許可する旨の通知を受け付ける。撮影映像に関する情報の利用が許可されたドライブレコーダDR1~DRnの識別情報は、例えば、記憶手段15に記憶される(ステップS103)。ドライブレコーダDR1~DRnの識別情報は、ドライブレコーダ自体の識別情報、ドライブレコーダに備えられた通信手段のSIMカード等の識別情報、図示しない入力手段を用いてドライブレコーダに入力される運転者毎のアカウント等の識別情報など、撮影映像の提供者を特定する識別情報であれば良い。
【0032】
その後、支払手段14は、ドライブレコーダの撮影映像に関する情報を利用者に提供することを許可した者(ドライブレコーダの所有者)に対して、提供可能な範囲に応じた額の報酬を支払う(ステップS104)。なお、支払手段14は、ドライブレコーダの所有者に限らず、ステップ103で特定した撮影映像の提供者に報酬を支払うようにしても良い。
【0033】
例えば、利用者に提供可能な撮影映像の撮影時間帯が長いほど、報酬額は高くなる。また、利用者に提供可能な撮影映像の撮影エリアが大きいほど、報酬額は高くなる。また、利用者に提供可能な映像を撮影するカメラの台数が多いほど、報酬額は高くなる。さらに、利用者に提供可能な映像の情報提供装置1への送信頻度が多いほど、リアルタイム性が向上するため、報酬額は高くなる。なお、報酬額は、上述の場合に限られず、様々な条件によって決定されて良く、報酬額を定める条件は、種々挙げられた条件のいずれか一つ、または二つ以上の組み合わせを用いても良い。
【0034】
その後、情報取得手段113は、は、ドライブレコーダDR1~DRnのそれぞれの撮影映像に関する情報を例えば無線通信によって取得する(ステップS105)。ドライブレコーダDR1~DRnのそれぞれの撮影映像に関する情報は、例えば、記憶手段15に記憶される。
【0035】
このように、情報提供装置1は、撮影映像に関する情報の提供者に対して、撮影映像に関する情報が本システムの利用者に実際に提供されたか否かに関わらず、一定の報酬を支払う。それにより、撮影映像に関する情報の提供者が増加する可能性が高くなるため、本システムの利用者に提供される情報の効率的な収集が可能になる。
【0036】
次に、図5を用いて、各ドライブレコーダDR1~DRnの動作の一例を説明する。ここでは、代表してドライブレコーダDR1の動作について説明する。
【0037】
ドライブレコーダDR1又はその所有者は、情報提供装置1から撮影映像に関する情報の利用許可申請を受け取った場合において(ステップS201のYES)、撮影映像に関する情報の利用を許可する場合には(ステップS202のYES)、撮影映像に関する情報の利用を許可する旨を、その許可する範囲とともに通知する(ステップS203)。
【0038】
その後、ドライブレコーダDR1は、撮影映像に関する情報を、設定した頻度で情報提供装置1に送信する(ステップS204)。
【0039】
なお、情報提供装置1から撮影映像に関する情報の利用許可申請を受け取っていない場合(ステップS201のNO)や、撮影映像に関する情報の利用を許可しない場合(ステップS202のNO)には、ドライブレコーダDR1の処理は終了する。
【0040】
次に、図6を用いて、情報提供装置1の情報提供動作の一例を説明する。
まず、情報出力手段13は、本システムの利用者によって撮影映像に関する情報の問い合わせがあるまで待機する(ステップS301→ステップS302のNO)。
【0041】
本システムの利用者によって撮影映像に関する情報の問い合わせがあった場合(ステップS302のYES)、情報出力手段13は、記憶手段15に記憶された撮影映像に関する情報の中から問い合わせのあった情報を検索する(ステップS303)。
【0042】
記憶手段15に記憶された撮影映像に関する情報の中に問い合わせのあった情報が存在する場合(ステップS303のYES)、情報出力手段13は、利用者のデータ取得権限の範囲を判定した後(ステップS304)、その利用者に対して取得権限の範囲内の情報を提供する(ステップS305)。
【0043】
例えば、利用者が交通事故の原因の特定を目的とした警察や保険会社などである場合、情報出力手段13は、問い合わせのあった撮影映像に関する情報の詳細を提供しても良い。それに対し、利用者が交通情報提供会社などである場合、情報出力手段13は、撮影映像に関する情報のうち交通渋滞に関する情報のみを提供し、例えば撮影映像そのものの提供は行わないことが好ましい。
【0044】
その後、支払手段14は、本システムの利用者に提供された情報に関する映像を撮影したドライブレコーダの所有者に対して追加の報酬を支払う(ステップS306)。なお、撮影映像の提供による追加の報酬の支払いは任意である。必ずしも撮影映像の提供毎に追加の報酬を支払う必要はなく、撮影映像の提供実績に応じて通常の(実際の提供ではなく提供許可に伴う)報酬金額を変化させても良い。例えば、撮影映像の提供件数が増えるほど、撮影映像の提供を受けた利用者からの評価が高いほど、通常の報酬金額を上げるようにしても良い。撮影映像の提供による追加の報酬を支払うことに加えて、撮影映像の提供実績に応じて通常の報酬金額を変化させても良い。
【0045】
具体的には、支払手段14は、例えば本システムの利用者に撮影映像が提供された場合、その映像を撮影したドライブレコーダの所有者に対して追加の報酬を支払う。また、支払手段14は、例えば本システムの利用者に撮影映像を含まない交通渋滞の情報が提供された場合、その交通渋滞の情報を作る基になった映像を撮影したドライブレコーダの所有者に対して追加の報酬を支払う。
【0046】
なお、記憶手段15に記憶された撮影映像に関する情報の中に問い合わせのあった情報が存在しない場合(ステップS303のNO)、情報出力手段13は、利用者に対して該当する情報がない旨を通知する(ステップS307)。なお、問い合わせ内容については、例えば記憶手段15に記憶される(ステップS308)。それにより、問い合わせのあった情報が後で取得された場合に、その情報を利用者に提供することが可能となる。
【0047】
このように、本実施の形態にかかる情報提供装置1及びそれを備えた情報提供システムSYS1は、撮影映像に関する情報の提供者に対して、撮影映像に関する情報が本システムの利用者に実際に提供されたか否かに関わらず、一定の報酬を支払う。それにより、撮影映像に関する情報の提供者が増加する可能性が高くなるため、本システムの利用者に提供される情報の効率的な収集が可能になる。
【0048】
本実施の形態では、情報出力手段13が、記憶手段15に記憶された撮影映像に関する情報の中から、問い合わせのあった情報を検索する場合を例に説明したが、これに限られない。情報出力手段13は、記憶手段15に記憶された撮影映像に関する情報の中からだけでなく、各ドライブレコーダDR1~DRnの記憶手段24に記憶された撮影映像に関する情報の中から、問い合わせのあった情報を検索しても良い。情報出力手段13からの問い合わせにしたがい、各ドライブレコーダDR1~DRnにおいて、それぞれ記憶手段24に記憶された撮影映像を検索し、その検索結果を各ドライブレコーダDR1~DRnから情報提供装置1へ送信してもよい。
【0049】
この場合、各ドライブレコーダDR1~DRnの所有者は、例えば、ドライブレコーダに設けられた記憶手段24の記憶領域のうち、利用者に提供可能な撮影映像に関する情報が記憶される上書き禁止の記憶領域の範囲、または、利用者に提供可能な撮影映像に関する情報が上書き禁止の記憶領域に記憶される期間、を設定するようにしても良い。
【0050】
また、このときの報酬額は、上書き禁止の記憶領域の範囲、または、上書き禁止の記憶領域に記憶される期間、に応じて決定されても良い。例えば、上書き禁止の記憶領域の範囲が大きいほど、また、上書き禁止の記憶領域に記憶される期間が長いほど、情報提供装置1の記憶領域の確保が不要になるため、報酬額が高くなるように設定されても良い。上書き禁止の記憶領域の範囲、及び、上書き禁止の記憶領域に記憶される期間、の双方を用いて報酬額を決定しても良い。
【0051】
なお、支払手段14によって支払われる報酬額は、上述の場合に限られず、様々な条件によって決定されて良い。
【0052】
例えば、報酬額は、本システムの利用者に要求された撮影映像に関する情報に対して提供可能な撮影映像の時間的な範囲に応じて、決定されても良い。換言すると、報酬額は、本システムの利用者に要求された撮影時刻の撮影映像に関する情報に対し、その撮影時刻の撮影映像を提供可能であることに加えて、その撮影時刻の前後の撮影映像をどの程度長く提供可能であるかに応じて、決定されても良い。具体的には、例えば、本システムの利用者が交通事故E1の撮影映像を要求している場合、交通事故E1が発生した時刻の撮影映像を提供可能であることに加えて、交通事故E1が発生する前後の時間の撮影映像をできるだけ長く提供可能であるほど、報酬額が高くなるように設定されても良い。
【0053】
また、報酬額は、本システムの利用者に提供可能な撮影映像を撮影するドライブレコーダの単位エリアあたりの数に応じて、決定されても良い。例えば、本システムの利用者に提供可能な撮影映像を撮影するドライブレコーダの単位エリアあたりの数が少ないほど、撮影映像が貴重になるため、報酬額が高くなるように設定されても良い。
【0054】
さらに、報酬額は、本システムの利用者に提供可能な撮影映像として、ドライブレコーダによって実際に撮影された映像の範囲、に応じて決定されても良い。例えば、本システムの利用者に提供可能な撮影映像として、ドライブレコーダによって実際に撮影された映像の範囲が大きいほど、撮影映像が豊富になるため、報酬額が高くなるように設定されても良い。
【0055】
上記の実施の形態では、情報提供装置1が、車両に搭載されたドライブレコーダによって撮影された映像に関する情報を取得する場合を例に説明したが、これに限られない。情報提供装置1は、人に携帯されたスマートフォン等によって撮影された映像に関する情報を取得しても良い。或いは、情報提供装置1は、ドローン等の飛行体に搭載されたカメラ等によって撮影された映像に関する情報を取得しても良い。つまり、情報提供装置1は、移動体に保持された撮影装置によって撮影された映像に関する情報を取得していれば良い。
【0056】
(情報提供装置1の情報提供機能のハードウェア構成)
なお、情報提供装置1によって実現される情報提供処理は、汎用的なコンピュータシステムにより実現可能である。以下、図7を用いて簡単に説明する。
【0057】
図7は、情報提供機能のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。コンピュータ100は、例えば、制御装置であるCPU(Central Processing Unit)101と、RAM(Random Access Memory)102と、ROM(Read Only Memory)103と、を備える。コンピュータ100は、さらに、外部とのインターフェースであるIF(Inter Face)104と、不揮発性記憶装置の一例であるHDD(Hard Disk Drive)105と、を備える。さらに、コンピュータ100は、その他図示しない構成として、キーボードやマウス等の入力装置やディスプレイ等の表示装置を備えていても良い。
【0058】
HDD105には、OS(Operating System)(不図示)と、情報提供プログラム106と、が記憶されている。情報提供プログラム106は、本実施の形態に係る情報提供処理が実装されたコンピュータプログラムである。
【0059】
CPU101は、コンピュータ100における各種処理、RAM102,ROM103,IF104及びHDD105へのアクセス等を制御する。コンピュータ100は、CPU101がHDD105に記憶されたOS、情報提供プログラム106を読み込み、実行する。これにより、コンピュータ100は、本実施の形態にかかる情報提供装置1の情報提供機能を実現する。
【0060】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は既に述べた実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることはいうまでもない。
【0061】
上述の実施の形態では、本発明をハードウェアの構成として説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。本発明は、任意の処理を、CPU(Central Processing Unit)にコンピュータプログラムを実行させることにより実現することも可能である。 また、上述したプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0062】
以上、実施の形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記によって限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0063】
SYS1 情報提供システム
1 情報提供装置
11 通信手段
13 情報出力手段
14 支払手段
15 記憶手段
21 カメラ
22 マイク
23 制御手段
24 記憶手段
25 通信手段
26 位置情報取得手段
27 時刻取得手段
28 進行方向取得手段
100 コンピュータ
101 CPU
102 RAM
103 ROM
104 IF
105 HDD
106 情報提供プログラム
111 許可申請手段
112 通知受付手段
113 情報取得手段
T1~Tn 車両
DR1~DRn ドライブレコーダ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7