IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 住友電気工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-光トランシーバ 図1
  • 特許-光トランシーバ 図2
  • 特許-光トランシーバ 図3
  • 特許-光トランシーバ 図4
  • 特許-光トランシーバ 図5
  • 特許-光トランシーバ 図6
  • 特許-光トランシーバ 図7
  • 特許-光トランシーバ 図8
  • 特許-光トランシーバ 図9
  • 特許-光トランシーバ 図10
  • 特許-光トランシーバ 図11
  • 特許-光トランシーバ 図12
  • 特許-光トランシーバ 図13
  • 特許-光トランシーバ 図14
  • 特許-光トランシーバ 図15
  • 特許-光トランシーバ 図16
  • 特許-光トランシーバ 図17
  • 特許-光トランシーバ 図18
  • 特許-光トランシーバ 図19
  • 特許-光トランシーバ 図20
  • 特許-光トランシーバ 図21
  • 特許-光トランシーバ 図22
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】光トランシーバ
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/42 20060101AFI20240501BHJP
【FI】
G02B6/42
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020149900
(22)【出願日】2020-09-07
(65)【公開番号】P2022044330
(43)【公開日】2022-03-17
【審査請求日】2023-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】水野 泰孝
【審査官】堀部 修平
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0145004(US,A1)
【文献】国際公開第2008/111204(WO,A1)
【文献】特開2005-316484(JP,A)
【文献】特開2003-344716(JP,A)
【文献】中国実用新案第210775927(CN,U)
【文献】ZHANG, Ling et al.,EMI Coupling Paths and Mitigation in Optical Transceiver Modules,IEEE Transcations on Electromagnetic Compatibility,2017年,Vol.59 No.6,pp. 1848-1855,doi:10.1109/TEMC.2017.2697761
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/26 - 6/27
G02B 6/30 - 6/34
G02B 6/42 - 6/43
JSTPlus(JDreamIII)
JST7580(JDreamIII)
JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部装置に対して第1方向に挿抜可能な光トランシーバであって、
前記第1方向と交差する第1面を有し、それぞれ前記第1面から前記第1方向において前記光トランシーバを前記外部装置から抜去する向きに延出する第1スリーブおよび第2スリーブを備える光モジュールと、
前記第1方向に延びる直方体状の形状を有し、前記光モジュールを収容する筐体と、
前記第1スリーブと接続され、前記第1スリーブの前記第1面における位置に応じて位置決めされる第1レセプタクルと、
前記第2スリーブと接続され、前記第2スリーブの前記第1面における位置に応じて位置決めされる第2レセプタクルと、
を備え、
前記筐体は、前記第1方向において一端に前記第1レセプタクルおよび前記第2レセプタクルを収容する収容部を有し、
前記第1レセプタクルおよび前記第2レセプタクルは、それぞれの外周面と前記収容部の内周面との間に充填された導電性樹脂を介して前記筐体に対して固定されている、光トランシーバ。
【請求項2】
前記導電性樹脂は、硬化した導電性接着剤である、請求項1に記載の光トランシーバ。
【請求項3】
前記導電性樹脂は、硬化した導電性柔軟樹脂である、請求項1に記載の光トランシーバ。
【請求項4】
前記導電性樹脂は、前記第1レセプタクルと前記第2レセプタクルとの間にも充填されている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の光トランシーバ。
【請求項5】
前記第1スリーブが延出する方向において前記第1レセプタクルを前記第1スリーブに押し付けて固定する第1クリップと、
前記第2スリーブが延出する方向において前記第2レセプタクルを前記第2スリーブに押し付けて固定する第2クリップと、
をさらに備える、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の光トランシーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光トランシーバに関する。
【背景技術】
【0002】
TOSA(Transmitter Optical Sub-Assembly)とROSA(Receiver Optical Sub-Assembly)とが個別に筐体内に配置された光トランシーバや、TOSAおよびROSAを含む光アセンブリが筐体内に配置された光トランシーバが開示されている(たとえば、特許文献1~4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2008/145004号明細書
【文献】米国特許出願公開第2016/192545号明細書
【文献】米国特許出願公開第2019/025530号明細書
【文献】特開2015-079092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光送信器、光受信器および波長可変レーザを集積したIC-TROSA(Integrated Coherent-Transmitter Receiver Optical Sub-Assembly)の開発も進められている。しかしながら、従来技術では、IC-TROSAのスリーブに調芯ばらつきが生じた場合に、スリーブと筐体のレセプタクルとの間で適切な位置合わせができない。
【0005】
本開示は、スリーブとレセプタクルとの間で適切に位置合わせを行うことができる光トランシーバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態の一観点によれば、光トランシーバは、外部装置に対して第1方向に挿抜可能な光トランシーバであって、前記第1方向と交差する第1面を有し、それぞれ前記第1面から前記第1方向において前記光トランシーバを前記外部装置から抜去する向きに延出する第1スリーブおよび第2スリーブを備える光モジュールと、前記第1方向に延びる直方体状の形状を有し、前記光モジュールを収容する筐体と、前記第1スリーブと接続され、前記第1スリーブの前記第1面における位置に応じて位置決めされる第1レセプタクルと、前記第2スリーブと接続され、前記第2スリーブの前記第1面における位置に応じて位置決めされる第2レセプタクルと、を備え、前記筐体は、前記第1方向において一端に前記第1レセプタクルおよび前記第2レセプタクルを収容する収容部を有し、前記第1レセプタクルおよび前記第2レセプタクルは、それぞれの外周面と前記収容部の内周面との間に充填された導電性樹脂を介して前記筐体に対して固定されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、スリーブとレセプタクルとの間で適切に位置合わせを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る光トランシーバを示す斜視図である。
図2図2は、筐体に収容された部品を示す斜視図である。
図3図3は、IC-TROSAを示す下面図である。
図4図4は、第1レセプタクルおよび導電性樹脂を示す斜視図(その1)である。
図5図5は、第1レセプタクルおよび導電性樹脂を示す斜視図(その2)である。
図6図6は、第1レセプタクルおよびその周辺を示す側面図である。
図7図7は、第2レセプタクルおよび導電性樹脂を示す斜視図(その1)である。
図8図8は、第2レセプタクルおよび導電性樹脂を示す斜視図(その2)である。
図9図9は、第2レセプタクルおよびその周辺を示す側面図である。
図10図10は、第1レセプタクルと、第2レセプタクルと、第1スリーブと、第2スリーブと、筐体との間の位置関係を示す断面図である。
図11図11は、実施形態に係る光トランシーバを組み立てる方法を示す斜視図(その1)である。
図12図12は、実施形態に係る光トランシーバを組み立てる方法を示す斜視図(その2)である。
図13図13は、実施形態に係る光トランシーバを組み立てる方法を示す斜視図(その3)である。
図14図14は、実施形態に係る光トランシーバを組み立てる方法を示す斜視図(その4)である。
図15図15は、実施形態に係る光トランシーバを組み立てる方法を示す斜視図(その5)である。
図16図16は、実施形態に係る光トランシーバを組み立てる方法を示す斜視図(その6)である。
図17図17は、実施形態に係る光トランシーバを組み立てる方法を示す斜視図(その)である。
図18図18は、実施形態に係る光トランシーバを組み立てる方法を示す斜視図(その7)である。
図19図19は、実施形態に係る光トランシーバを組み立てる方法を示す斜視図(その8)である。
図20図20は、第1例における第1レセプタクルと、第2レセプタクルと、第1スリーブと、第2スリーブと、筐体との間の位置関係を示す断面図である。
図21図21は、第2例における第1レセプタクルと、第2レセプタクルと、第1スリーブと、第2スリーブと、筐体との間の位置関係を示す断面図である。
図22図22は、第3例における第1レセプタクルと、第2レセプタクルと、第1スリーブと、第2スリーブと、筐体との間の位置関係を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施するための形態について、以下に説明する。
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。以下の説明では、同一または対応する要素には同一の符号を付し、それらについて同じ説明は繰り返さない。
【0011】
〔1〕 本開示の一態様に係る光トランシーバは、外部装置に対して第1方向に挿抜可能な光トランシーバであって、前記第1方向と交差する第1面を有し、それぞれ前記第1面から前記第1方向において前記光トランシーバを前記外部装置から抜去する向きに延出する第1スリーブおよび第2スリーブを備える光モジュールと、前記第1方向に延びる直方体状の形状を有し、前記光モジュールを収容する筐体と、前記第1スリーブと接続され、前記第1スリーブの前記第1面における位置に応じて位置決めされる第1レセプタクルと、前記第2スリーブと接続され、前記第2スリーブの前記第1面における位置に応じて位置決めされる第2レセプタクルと、を備え、前記筐体は、前記第1方向において一端に前記第1レセプタクルおよび前記第2レセプタクルを収容する収容部を有し、前記第1レセプタクルおよび前記第2レセプタクルは、それぞれの外周面と前記収容部の内周面との間に充填された導電性樹脂を介して前記筐体に対して固定されている。
【0012】
IC-TROSAのように1つの光モジュールに2つのスリーブが設けられ、1つのレセプタクルがこれら2つのスリーブを受ける場合、スリーブの一方または両方に調芯ばらつきが生じると、スリーブとレセプタクルとの間で適切な位置合わせを行うことができなくなる。本開示では、光トランシーバは、第1レセプタクルと、第2レセプタクルとを有する。第1レセプタクルは、第1スリーブと接続され、第1スリーブの第1面における位置に応じて位置決めされ、第2レセプタクルは、第2スリーブと接続され、第2スリーブの第1面における位置に応じて位置決めされる。このため、第1スリーブ、第2スリーブのいずれに調芯ばらつきが生じた場合であっても、第1スリーブと第1レセプタクルとの間で適切に位置合わせを行うことができ、第2スリーブと第2レセプタクルとの間で適切に位置合わせを行うことができる。また、第1レセプタクルおよび第2レセプタクルは、それぞれの外周面と収容部の内周面との間に充填された導電性樹脂を介して筐体に対して固定されている。このため、筐体の内部から外部への電磁漏洩を抑制することができ、十分な機械的強度を確保することもできる。
【0013】
〔2〕 〔1〕において、前記導電性樹脂は、硬化した導電性接着剤であってもよい。この場合、第1レセプタクルおよび第2レセプタクルを収容部に固定しやすい。
【0014】
〔3〕 〔1〕において、前記導電性樹脂は、硬化した導電性柔軟樹脂であってもよい。この場合、第1レセプタクルおよび第2レセプタクルに外部から荷重がかかった場合に、収容部にかかる荷重を緩和しやすい。
【0015】
〔4〕 〔1〕~〔3〕において、前記導電性樹脂は、前記第1レセプタクルと前記第2レセプタクルとの間にも充填されていてもよい。この場合、電磁漏洩をより抑制しやすい。
【0016】
〔5〕 〔1〕~〔4〕において、前記第1スリーブが延出する方向において前記第1レセプタクルを前記第1スリーブに押し付けて固定する第1クリップと、前記第2スリーブが延出する方向において前記第2レセプタクルを前記第2スリーブに押し付けて固定する第2クリップと、をさらに備えてもよい。この場合、第1レセプタクルおよび第2レセプタクルのそれぞれが延出する方向において、第1レセプタクルおよび第2レセプタクルを高い精度で第1スリーブおよび第2スリーブに位置合わせすることができる。
【0017】
[本開示の実施形態]
本開示の実施形態は、例えばホストシステム(光伝送装置)のケージに挿抜可能な光トランシーバに関する。図1は、実施形態に係る光トランシーバを示す斜視図である。各図には、説明の便宜のためXYZ直交座標系が設定されている。X軸方向は第1方向の一例である。本開示において、平面形状とは、Z軸方向から視たときの形状をいう。
【0018】
図1に示すように、実施形態に係る光トランシーバ1は、筐体91と、スライダ95と、プルタブ96とを有する。
【0019】
ここで、筐体91について説明する。筐体91は、長手方向および短手方向を有する平面形状を有する。筐体91は、長手方向に長い概して直方体状の形状を有する。本実施形態では、長手方向はX軸方向に沿っており、短手方向はY軸方向に沿っている。短手方向は、長手方向と交差する方向である。筐体91は、下筐体91Aと、上筐体91Bとを有する。下筐体91Aと上筐体91Bとは高さ方向に相対して配置される。高さ方向は、Z軸方向に沿っている。高さ方向は、長手方向および短手方向に交差する方向である。上筐体91Bは、内部に部品を収容するための内部空間を有する。内部空間は、-Z側に開口している。下筐体91Aは、上筐体91Bの開口を覆って閉じるように上筐体91Bに対して固定される。下筐体91Aおよび上筐体91Bは、例えば金属製である。
【0020】
筐体91のX軸方向の一方の端部(-X側端部)に、送信光用の第1レセプタクル61と、受信光用の第2レセプタクル62とを収容する収容部92が設けられている。第2レセプタクル62が第1レセプタクル61よりも-Y側に配置される。光トランシーバ1は、第1レセプタクル61に接続される光ファイバを介して光信号の送信を行い、第2レセプタクル62に接続される別の光ファイバを介して光信号の受信を行う。第1レセプタクル61および第2レセプタクル62は、筐体91をケージに挿入したときにケージ内には収容されず、ホストシステムの外部に面し、光ファイバの先端に設けられた光コネクタと接続可能となっている。以降の説明では、X軸方向において、筐体91が収容部92を有する側(-X側)を前側、その反対側(+X側)を後側ということがある。筐体91は、ホストシステムのケージに+X側に挿入することができる。また、筐体91は、プルタブ96を持ってケージから-X側に抜去することができる。第1レセプタクル61および第2レセプタクル62は、例えば金属製である。
【0021】
スライダ95は、例えば上筐体91BにX軸方向にスライド可能に取り付けられており、プルタブ96はスライダ95に固定されている。筐体91をケージに挿入すると、長手方向に所定の長さまで挿入したところで筐体91はケージと係合される。筐体91がケージと係合していると、例えば筐体91を持ってケージから抜き出そうとしても抜去することができない。スライダ95は、ホストシステムのケージと筐体91との係合を解除する機能を有する。プルタブ96を前側(-X側)に引き抜くことで、スライダ95がスライドしてケージのタブによる係合が解除され、ホストシステムのケージに挿入された光トランシーバ1をケージから抜き出すことが可能となる。スライダ95は、例えば金属製である。プルタブ96は、例えば樹脂製である。
【0022】
次に、筐体91に収容された部品について説明する。図2は、筐体91に収容された部品を示す斜視図である。
【0023】
図2に示すように、筐体91には、IC-TROSA10と、配線基板20と、フレキシブルプリント基板(flexible print circuit board:FPC)31および32と、ディジタル信号処理装置(digital signal processor)DSP40とが収容されている。FPC31および32を介してIC-TROSA10と配線基板20とが接続されている。
【0024】
配線基板20は、X軸方向に長手方向を有し、Y軸方向に短手方向を有する平面形状を有する。つまり、配線基板20は、X軸方向に長い長方形状の外形を有する。配線基板20の上面にDSP40が搭載されている。配線基板20の上面の前側端部にFPC31の一端が接続され、下面の前側端部にFPC32の一端が接続されている。配線基板20の上面及び下面の後側端部に複数の外部端子を含む端子群23が設けられている。光トランシーバ1がホストシステムのケージに挿入された時、端子群23がケージに設けられた複数の端子に接続される。例えば、端子群23は電気プラグを構成し、ケージ内に設けられた複数の端子によって構成される電気ソケットと嵌合する。嵌合したときに、端子群23の所定の端子とケージに設けられた複数の端子の所定の端子とが1対1に電気的に接続される。
【0025】
次に、IC-TROSA10について説明する。図3は、IC-TROSA10を示す下面図である。IC-TROSA10は、業界団体OIF(The Optical Internetworking. Forum)によって仕様が定められている。IC-TROSA10には外形の違いによりタイプ1とタイプ2の2種類のタイプがあり、図3はタイプ2を示している。
【0026】
IC-TROSA10は、図3に示すように、パッケージ15を有する。パッケージ15には、例えば波長可変レーザと、光回路素子とが収容されている。パッケージ15は、直方体状の外形を有し、X軸方向に沿った長手方向と、Y軸方向に沿った短手方向とを有する。パッケージ15は、側面15Aと、側面15Bと、側面15Cと、側面15Dと、上面15E(図2参照)と、下面15Fとを有する。側面15Aおよび15BはX軸方向に垂直な面であり、側面15Bが側面15Aよりも+X側(後側)に設けられている。例えば、側面15Bは、側面15Aと平行となっている。側面15Cおよび15DはY軸方向に垂直な面であり、側面15Cが側面15Dよりも+Y側に設けられている。例えば、側面15Dは、側面15Cと平行となっている。側面15Aは、X軸方向において、ホストシステムのケージと反対側に設けられた面であり、第1面の一例である。
【0027】
IC-TROSA10は、更に、送信光用の第1スリーブ11および受信光用の第2スリーブ12を有する。第1スリーブ11および第2スリーブ12は、互いに近接して側面15Aから-X側に延出する。例えば、第1スリーブ11の中心と第2スリーブ12の中心との間のY軸方向における距離は約6.25mmであり、Z軸方向における距離は約0.00mmである。つまり、Z軸方向において、第1スリーブ11の中心と第2スリーブ12の中心とは同等の位置にある。第1スリーブ11は、後述の第1クリップ71が接するフランジ部11Aを有し、第2スリーブ12は、後述の第2クリップ72が接するフランジ部12Aを有する。IC-TROSA10は光モジュールの一例である。なお、後述するように、第1スリーブ11の中心軸と第2スリーブ12の中心軸との相対的な位置は、側面15Aに沿ってずれる場合がある。
【0028】
IC-TROSA10の下面15Fの後側端部に複数の端子を含む端子群16が設けられ、端子群16にFPC31の他端が接続されている。側面15Cおよび15Dに複数の端子を含む端子群17(図2参照)が設けられ、端子群17にFPC32の他端が接続されている。DSP40は、配線基板20に形成された配線と、FPC31および32とを介して、IC-TROSA10によって行われる光電変換に係る電気信号を処理する。
【0029】
IC-TROSA10のパッケージ15の内部において、波長可変レーザは参照光を生成する。参照光は、例えばCW(Continuous Wave)光であって、所定のピーク波長を有する。波長可変レーザは、参照光のピーク波長を所定の範囲内で変えることができる。光回路素子は、参照光から送信用に分割した光を電気信号に応じて変調して送信光を生成する。光回路素子は、例えばマッハツェンダ型光変調器を有する。送信光は、第1スリーブ11を介して出力される。また、光回路素子は、第2スリーブ12を介して入力された受信光を、参照光から受信用に分割した光と光学的に干渉させる。光回路素子は、例えば90°ハイブリッドを有する。干渉によって生じた光は受光素子に入力されて、電気信号に変換される。光回路素子は、送信用と受信用とに別々に設けられていてもよい。
【0030】
筐体91の収容部92に、第1レセプタクル61および第2レセプタクル62が収容されている。ここで、第1レセプタクル61および第2レセプタクル62の構成と、これらの周辺の構成とについて説明する。図4および図5は、第1レセプタクル61および導電性樹脂50を示す斜視図である。図6は、第1レセプタクル61およびその周辺を示す側面図である。図7および図8は、第2レセプタクル62および導電性樹脂50を示す斜視図である。図9は、第2レセプタクル62およびその周辺を示す側面図である。図10は、第1レセプタクル61と、第2レセプタクル62と、第1スリーブ11と、第2スリーブ12と、筐体91との間の位置関係を示す断面図である。
【0031】
図4図6に示すように、第1レセプタクル61は、側壁部61Aと、側壁部61Bと、側壁部61Cと、側壁部61Dと、後壁部61Eとを有する。側壁部61Aおよび61BはY軸方向に垂直な平板状に形成されており、側壁部61Aが側壁部61Bよりも+Y側に設けられている。側壁部61Cおよび61DはZ軸方向に垂直な平板状に形成されており、側壁部61Cが側壁部61Dよりも+Z側に設けられている。後壁部61EはX軸方向に垂直な平板状に形成されている。側壁部61Cは、側壁部61Aの+Z側の端部と側壁部61Bの+Z側の端部とをつなぎ、側壁部61Dは、側壁部61Aの-Z側の端部と側壁部61Bの-Z型の端部とをつなぐ。後壁部61Eは、側壁部61A、61B、61Cおよび61Dの各々の+X側の端部をつなぐ。第1レセプタクル61は、側壁部61A、61B、61Cおよび61Dの各々の-X側の端部に開口61Fを有する。開口61Fに、光ファイバの先端に設けられた光コネクタが挿入される。後壁部61Eには、第1スリーブ11を受ける孔61Gが形成されている。第1スリーブ11は+X側から孔61Gに挿入される。
【0032】
後壁部61Eの+X側に、第1クリップ71が挿入されるクリップ挿入部61Hが側壁部61Cから延びるようにして設けられている。後壁部61Eの-Z側端部に、+Z側に窪んだ凹部61Jと、凹部61Jに対して-Z側に突出する突出部61Kとが形成されている。突出部61Kに、第1クリップ71の一端が引っ掛けられる。突出部61Kは、側壁部61Aおよび61Bに広がるように形成されていてもよい。
【0033】
図6に示すように、第1クリップ71は、第1板部71Aと、第2板部71Bと、連結部71Cとを有する。第1板部71Aは、第1スリーブ11のフランジ部11Aに接する板面71Dを備え、クリップ挿入部61H内に挿入される。第2板部71Bは、突出部61Kに引っ掛けられる。連結部71Cは、Y軸方向から視たときU字状の形状を有し、第1板部71Aと第2板部71Bとを連結する。連結部71Cは、第1板部71Aおよび第2板部71Bを、互いに近づける方向に付勢している。フランジ部11Aと後壁部61Eとの間には第1弾性シート81が挟まれる。第1板部71Aがクリップ挿入部61Hに挿入され、第2板部71Bが突出部61Kに引っ掛けられ、第1板部71Aの板面71Dがフランジ部11Aを後壁部61Eに向けて押圧する。第1弾性シート81がフランジ部11Aおよび後壁部61Eにより圧縮されながら、第1スリーブ11に第1レセプタクル61が固定される。このように、第1クリップ71は、X軸方向において第1レセプタクル61を第1スリーブ11に押し付けて固定する。なお、第1弾性シート81は導電樹脂で形成される。第1弾性シート81は、第1スリーブ11と第1レセプタクル61との間からの電磁漏洩を防止する。
【0034】
図7図9に示すように、第2レセプタクル62は、側壁部62Aと、側壁部62Bと、側壁部62Cと、側壁部62Dと、後壁部62Eとを有する。側壁部62Aおよび62BはY軸方向に垂直な平板状に形成されており、側壁部62Aが側壁部62Bよりも+Y側に設けられている。側壁部62Cおよび62DはZ軸方向に垂直な平板状に形成されており、側壁部62Cが側壁部62Dよりも+Z側に設けられている。後壁部62EはX軸方向に垂直な平板状に形成されている。側壁部62Cは、側壁部62Aの+Z側の端部と側壁部62Bの+Z側の端部とをつなぎ、側壁部62Dは、側壁部62Aの-Z側の端部と側壁部62Bの-Z型の端部とをつなぐ。後壁部62Eは、側壁部62A、62B、62Cおよび62Dの各々の+X側の端部をつなぐ。第2レセプタクル62は、側壁部62A、62B、62Cおよび62Dの各々の-X側の端部に開口62Fを有する。開口62Fに、光ファイバの先端に設けられた光コネクタが挿入される。後壁部62Eには、第2スリーブ12を受ける孔62Gが形成されている。第2スリーブ12は+X側から孔62Gに挿入される。
【0035】
後壁部62Eの+X側に、第2クリップ72が挿入されるクリップ挿入部62Hが側壁部62Cから延びるようにして設けられている。後壁部62Eの-Z側端部に、+Z側に窪んだ凹部62Jと、凹部62Jに対して-Z側に突出する突出部62Kとが形成されている。突出部62Kに、第2クリップ72の一端が引っ掛けられる。突出部62Kは、側壁部62Aおよび62Bに広がるように形成されていてもよい。
【0036】
図9に示すように、第2クリップ72は、第1板部72Aと、第2板部72Bと、連結部72Cとを有する。第1板部72Aは、第2スリーブ12のフランジ部12Aに接する板面72Dを備え、クリップ挿入部62H内に挿入される。第2板部72Bは、突出部62Kに引っ掛けられる。連結部72Cは、Y軸方向から視たときU字状の形状を有し、第1板部72Aと第2板部72Bとを連結する。連結部72Cは、第1板部72Aおよび第2板部72Bを、互いに近づける方向に付勢している。フランジ部12Aと後壁部62Eとの間には第2弾性シート82が挟まれる。第1板部72Aがクリップ挿入部62Hに挿入され、第2板部72Bが突出部62Kに引っ掛けられ、第1板部72Aの板面72Dがフランジ部12Aを後壁部62Eに向けて押圧する。第2弾性シート82がフランジ部12Aおよび後壁部62Eにより圧縮されながら、第2スリーブ12に第2レセプタクル62が固定される。このように、第2クリップ72は、X軸方向において第2レセプタクル62を第2スリーブ12に押し付けて固定する。なお、第2弾性シート82は導電樹脂で形成される。第2弾性シート82は、第2スリーブ12と第2レセプタクル62との間からの電磁漏洩を防止する。
【0037】
例えば、第1レセプタクル61および第2レセプタクル62のY軸方向の外形寸法は5.75mmであり、Z軸方向の外形寸法は8.7mmである。例えば、第1レセプタクル61の側壁部61Bと第2レセプタクル62の側壁部62Aとの間の距離は0.65mmである。
【0038】
図10に示すように、第1レセプタクル61は外周面61Xを有し、第2レセプタクル62は外周面62Xを有し、収容部92は内周面92Yを有する。そして、第1レセプタクル61および第2レセプタクル62は、それぞれの外周面61X、62Xと収容部92の内周面92Yとの間に導電性樹脂50が充填されて筐体91に対して固定されている。例えば、収容部92の空間のY軸方向の寸法は12.85mmであり、Z軸方向の寸法は9.4mmである。例えば、導電性樹脂50の厚さは0.35mmである。導電性樹脂50は、第1レセプタクル61の側壁部61Bと第2レセプタクル62の側壁部62Aとの間にも充填されている。導電性樹脂50は、例えば、カーボンの粒子、銀(Ag)系の粒子、鉄(Fe)系の粒子等の導電性フィラーを含む。導電性樹脂50に用いられる樹脂は、例えば、エポキシ等の接着性を備えた樹脂、またはシリコーン等の柔軟性を備えた樹脂である。つまり、導電性樹脂50は、例えば、導電性接着剤または導電性柔軟樹脂であってもよい。導電性樹脂50は、充填される際には流動性を有しており、比較的狭い部分にも充填することができる。導電性樹脂50は、加熱やUV照射等によって硬化され、硬化した状態では容易には変形せず、十分な機械的強度(剛性)を有する。
【0039】
次に、光トランシーバ1を組み立てる方法について説明する。図11図19は、実施形態に係る光トランシーバ1を組み立てる方法を示す斜視図である。
【0040】
まず、図11に示すように、IC-TROSA10を準備する。次いで、図12に示すように、IC-TROSA10にFPC31および32を接続する。例えば、端子群16とFPC31の他端に設けられた端子群とを相互に所定の電気的接続が得られるようにハンダ材を介して接続する。また、端子群17とFPC32の他端に設けられた端子群とを相互に所定の電気的接続が得られるようにハンダ材を介して接続する。次いで、図13に示すように、FPC31および32に、上面にDSP40(図2参照)が搭載された配線基板20を接続する。例えば、配線基板20の上面の前側端部に設けられた端子群とFPC31の一端に設けられた端子群とが相互に所定の電気的接続が得られるようにハンダ材を介して接続する。また、配線基板20の下面の前側端部に設けられた端子群とFPC32の一端に設けられた端子群とが相互に所定の電気的接続が得られるように嵌合式のコネクタを介して接続する。なお、配線基板20の下面の前側端部に設けられた端子群とFPC32の一端に設けられた端子群とは、ハンダ材を介して接続してもよい。
【0041】
次いで、図14に示すように、第1レセプタクル61および第2レセプタクル62を準備する。また、第1レセプタクル61の外周面61Xに導電性樹脂51を塗布し、第2レセプタクル62の外周面62Xに導電性樹脂52を塗布する。導電性樹脂51および52は、例えば、カーボンの粒子、銀(Ag)系の粒子、鉄(Fe)系の粒子等の導電性フィラーを含む。導電性樹脂51および52に用いられる樹脂は、例えば、エポキシ等の接着性を備えた樹脂、またはシリコーン等の柔軟性を備えた樹脂である。導電性樹脂51は、例えば、側壁部61A、61B、61C及び61Dのすべてにおいて外周面61Xに塗布してよい。導電性樹脂52は、例えば、側壁部62A、62B、62C及び62Dのすべてにおいて外周面62Xに塗布してよい。また、図14に示すように、第1レセプタクル61の側壁部61B上に導電性樹脂51を塗布していれば、第2レセプタクル62の側壁部62A上に導電性樹脂52を塗布しなくてもよい。逆に、第2レセプタクル62の側壁部62A上に導電性樹脂52を塗布していれば、第1レセプタクル61の側壁部61B上に導電性樹脂51を塗布しなくてもよい。導電性樹脂51および52の塗布量は、少なくとも、後に下筐体91Aおよび上筐体91Bに挟まれた時に収容部92内で下筐体91Aおよび上筐体91Bとの間の隙間を埋められる程度とする。
【0042】
次いで、図15に示すように、第1スリーブ11が孔61Gを貫通するようにしながら、第1レセプタクル61を第1スリーブ11に取り付け、第2スリーブ12が孔62Gを貫通するようにしながら、第2レセプタクル62を第2スリーブ12に取り付ける。このとき、フランジ部11Aと後壁部61Eとの間に挟まるように第1弾性シート81を配置し、フランジ部12Aと後壁部62Eとの間に挟まるように第2弾性シート82を配置する。側壁部61B上の導電性樹脂51もしくは側壁部62A上の導電性樹脂52またはこれらの両方が側壁部61Bと側壁部62Aとにより押圧され、側壁部61Bと側壁部62Aとの間の空間が導電性樹脂で塞がれる。
【0043】
次いで、図16に示すように、第1スリーブ11および第1レセプタクル61に第1クリップ71を取り付け、第2スリーブ12および第2レセプタクル62に第2クリップ72を取り付ける。この結果、第1弾性シート81がフランジ部11Aおよび後壁部61Eにより圧縮されながら、第1スリーブ11に第1レセプタクル61が固定され、第2弾性シート82がフランジ部12Aおよび後壁部62Eにより圧縮されながら、第2スリーブ12に第2レセプタクル62が固定される。
【0044】
次いで、図17に示すように、第1レセプタクル61および第2レセプタクル62が取り付けられたIC-TROSA10を配線基板20とともに上筐体91Bの空間内に収容する。側壁部61C上の導電性樹脂51および側壁部62C上の導電性樹脂52が、側壁部61Cおよび62Cと上筐体91Bとにより押圧され、側壁部61Cおよび62Cと上筐体91Bとの間の空間が導電性樹脂で塞がれる。側壁部61A上の導電性樹脂51が、側壁部61Aと上筐体91Bとにより押圧され、側壁部61Aと上筐体91Bとの間の空間が導電性樹脂で塞がれる。側壁部62B上の導電性樹脂52が、側壁部62Bと上筐体91Bとにより押圧され、側壁部62Bと上筐体91Bとの間の空間が導電性樹脂で塞がれる。
【0045】
次いで、図18に示すように、下筐体91Aを上筐体91Bに固定する。側壁部61D上の導電性樹脂51および側壁部62D上の導電性樹脂52が、側壁部61Dおよび62Dと上筐体91Bとにより押圧され、側壁部61Dおよび62Dと上筐体91Bとの間の空間が導電性樹脂で塞がれる。この結果、図10に示すように、導電性樹脂51および52から構成される導電性樹脂50が、第1レセプタクル61の外周面61X、第2レセプタクル62の62Xと収容部92の内周面92Yとの間に充填され、側壁部61Bと側壁部62Aとの間にも充填される。
【0046】
次いで、図19に示すように、プルタブ96に固定されたスライダ95を、上筐体91BにX軸方向にスライド可能に取り付ける。
【0047】
このようにして、実施形態に係る光トランシーバ1を組み立てることができる。筐体91から露出している配線基板20の後側端部をケージに向けて、筐体91を長手方向(X方向)にケージに挿入することで光トランシーバ1をホストシステムに装着することができる。光トランシーバ1がホストシステムに装着された状態にて、配線基板20の後側端部に設けられた端子群を介して光トランシーバ1はホストシステムとの間と電気信号による通信が可能となる。また、その状態にて第1レセプタクル61および第2レセプタクル62とプルタブ96は、ケージの外部に露出している。第1レセプタクル61および第2レセプタクル62にそれぞれ光ファイバの先端に設けられた光コネクタを接続することで光ファイバを介して他の光トランシーバとの光信号による2芯双方向通信が可能となる。
【0048】
なお、図10には、-X方向から見たときに、第1スリーブ11および第2スリーブ12がそれぞれYZ面上の所定の位置に配置された状態を示してある。例えば、第1スリーブ11および第2スリーブ12のそれぞれの中心軸はX方向と平行であり、第1スリーブ11の中心軸と第2スリーブ12の中心軸との間のY軸方向における距離は6.25mmであり、Z軸方向における距離は0.00mmである。ところが、IC-TROSA10を組み立てにおいて第1スリーブ11および第2スリーブ12を側面15Aに取り付ける際に、IC-TROSA10に含まれる光学系と光学的に結合させるために、側面15A上で第1スリーブ11および第2スリーブ12を移動させて調芯を行う結果、製造ばらつきによって側面15A上での第1スリーブ11、第2スリーブ12の位置が所定の位置からずれることがある。調芯は、例えばIC-TROSA10に含まれる光学系のX方向に平行な光軸と、第1スリーブ11(または第2スリーブ12)の中心軸(光軸)とが側面15A上(YZ面上)で一致するように行われる。内部の光学系の光軸と第1スリーブ11(または第2スリーブ12)の中心軸(光軸)とが一致した状態で両者の間の結合効率が好適となるため、その状態で第1スリーブ11(または第2スリーブ12)が側面15A上に固定される。例えば、第1スリーブ11および第2スリーブ12の中心軸の両方が+Y側にずれたり、第1スリーブ11および第2スリーブ12の中心軸の両方が-Y側にずれたりすることがある。
【0049】
また、第1スリーブ11の中心軸が+Y側にずれ、第2スリーブ12の中心軸が-Y側にずれたり、第1スリーブ11の中心軸が-Y側にずれ、第2スリーブ12の中心軸が+Y側にずれたりすることがある。第1スリーブ11および第2スリーブ12の中心軸の両方が+Z側にずれたり、第1スリーブ11および第2スリーブ12の中心軸の両方が-Z側にずれたりすることもある。また、第1スリーブ11の中心軸が+Z側にずれ、第2スリーブ12の中心軸が-Z側にずれたり、第1スリーブ11の中心軸が-Z側にずれ、第2スリーブ12の中心軸が+Z側にずれたりすることもある。上記の所定の位置は、これらの製造ばらつきによる位置ずれが無い場合の、設計によって定められた基準の位置に相当する。本実施形態では、このような場合であっても、第1レセプタクル61と第1スリーブ11との間の相対的な位置関係を適切に調整し、第2レセプタクル62と第2スリーブ12との間の相対的な位置関係を適切に調整することができる。
【0050】
ここで、3つの例について説明する。第1例は、第1スリーブ11の中心軸が+Y側にずれ、第2スリーブ12の中心軸が-Y側にずれた例である。第2例は、第1スリーブ11の中心軸が-Y側にずれ、第2スリーブ12の中心軸が+Y側にずれた例である。第3例は、第1スリーブ11の中心軸が+Z側にずれ、第2スリーブ12の中心軸が-Z側にずれた例である。
【0051】
図20は、第1例における第1レセプタクル61と、第2レセプタクル62と、第1スリーブ11と、第2スリーブ12と、筐体91との間の位置関係を示す断面図である。図20では、筐体91を基準とした第1スリーブ11、第2スリーブ12の所定の位置(基準の位置)を二点鎖線で示してある。図21および図22も同様である。第1例では、第1レセプタクル61を第1スリーブ11に取り付け、第2レセプタクル62を第2スリーブ12に取り付ける際に(図15参照)、図20に示すように、第1レセプタクル61を図10での位置よりも+Y側に配置し、第2レセプタクル62を図10での位置よりも-Y側に配置することができる。この結果、送信用の光ファイバを第1スリーブ11に適切に光結合させることができ、受信用の光ファイバを第2スリーブ12に適切に光結合させることができる。なお、第1スリーブ11および第2スリーブ12の位置が所定の位置からずれることによって、それぞれと接続される第1レセプタクル61および第2レセプタクル62の位置も変化する。第1レセプタクル61および第2レセプタクル62は、筐体91に対して固定される必要があるが、例えば、金属材料等で形成された形状の予め定められた固定部材を用いると、そのような位置の変化を吸収して第1レセプタクル61および第2レセプタクル62を筐体91に固定することができない。収容部92の内周面92Yと第1レセプタクル61および第2レセプタクル62のそれぞれの外周面61X,62Xとの間に導電性樹脂50を充填した後に硬化させることで第1レセプタクル61および第2レセプタクル62の位置が変化しても第1レセプタクル61および第2レセプタクル62を筐体91に固定することができる。
【0052】
図21は、第2例における第1レセプタクル61と、第2レセプタクル62と、第1スリーブ11と、第2スリーブ12と、筐体91との間の位置関係を示す断面図である。第2例では、第1レセプタクル61を第1スリーブ11に取り付け、第2レセプタクル62を第2スリーブ12に取り付ける際に(図15参照)、図21に示すように、第1レセプタクル61を図10での位置よりも-Y側に配置し、第2レセプタクル62を図10での位置よりも+Y側に配置することができる。この結果、送信用の光ファイバを第1スリーブ11に適切に光結合させることができ、受信用の光ファイバを第2スリーブ12に適切に光結合させることができる。第1例と同様に、第1スリーブ11および第2スリーブ12の位置が所定の位置からずれることによって、それぞれと接続される第1レセプタクル61および第2レセプタクル62の位置も変化する。収容部92の内周面92Yと第1レセプタクル61および第2レセプタクル62のそれぞれの外周面61X,62Xとの間に導電性樹脂50を充填した後に硬化させることで第1レセプタクル61および第2レセプタクル62の位置が変化しても第1レセプタクル61および第2レセプタクル62を筐体91に固定することができる。図21図22とを比較すると、第1レセプタクル61および第2レセプタクル62のY方向の位置が変化しており、それに伴って、内周面92Yと第1レセプタクル61の外周面61Xとの距離、内周面92Yと第2レセプタクル62の外周面62Xとの距離、および第1レセプタクル61の外周面61Xと第2レセプタクル62の外周面62Xとの最短距離が変化している。導電性樹脂50は、充填する際には流動性を有するのでそのような距離の変化に対してもそれぞれの箇所に充填することができる。また、充填された導電性樹脂50を硬化させることで、第1レセプタクル61および第2レセプタクル62を筐体91に対して固定することができる。
【0053】
図22は、第3例における第1レセプタクル61と、第2レセプタクル62と、第1スリーブ11と、第2スリーブ12と、筐体91との間の位置関係を示す断面図である。第3例では、第1レセプタクル61を第1スリーブ11に取り付け、第2レセプタクル62を第2スリーブ12に取り付ける際に(図15参照)、図22に示すように、第1レセプタクル61を図10での位置よりも+Z側に配置し、第2レセプタクル62を図10での位置よりも-Z側に配置することができる。この結果、送信用の光ファイバを第1スリーブ11に適切に光結合させることができ、受信用の光ファイバを第2スリーブ12に適切に光結合させることができる。第2例と同様に、第1スリーブ11および第2スリーブ12の位置が所定の位置からずれることによって、それぞれと接続される第1レセプタクル61および第2レセプタクル62の位置も変化している。しかし、収容部92の内周面92Yと第1レセプタクル61および第2レセプタクル62のそれぞれの外周面61X,62Xとの間に導電性樹脂50を充填した後に硬化させることで第1レセプタクル61および第2レセプタクル62の位置がそのように変化しても第1レセプタクル61および第2レセプタクル62を筐体91に確実に固定することができる。
【0054】
上述したように、第1レセプタクル61および第2レセプタクル62は、それぞれの外周面61X、62Xと収容部92の内周面92Yとの間に導電性樹脂50が充填されて、導電性樹脂50を硬化することで筐体91に対して固定されている。導電性樹脂50は、導電性を有するため電磁気に対するシールドとして機能することができる。このため、外周面61Xおよび62Xが内周面92Yに直接接触していないものの、外周面61Xおよび62Xと内周面92Yとの間の隙間を通じての、筐体91の内部から外部への電磁漏洩を抑制することができる。例えば、伝送速度が400Gbpsの信号が処理される場合であっても、光トランシーバ1の内部からの電磁漏洩を十分に抑制することができる。導電性樹脂50は、第1レセプタクル61の側壁部61Bと第2レセプタクル62の側壁部62Aとの間にも充填されているため、側壁部61Bと側壁部62Aとの間の空間を介しての電磁漏洩も十分に抑制することができる。
【0055】
更に、導電性樹脂50が充填されていることで、優れた機械的強度を得ることもできる。例えば、Telcordia規格のGR-326-COREの試験では、光ファイバの光軸に垂直な4方向に2.3kgfの荷重を印加するが、このような荷重を印加した後でも優れた性能を維持することができる。導電性樹脂50が導電性接着剤である場合、第1レセプタクル61および第2レセプタクル62を収容部92に固定しやすい。導電性樹脂50が導電性柔軟樹脂である場合、第1レセプタクル61および第2レセプタクル62に外部から荷重がかかった場合に、収容部92にかかる荷重を緩和しやすい。
【0056】
更に、第1クリップ71および第2クリップ72が用いられているため、X軸方向において、第1レセプタクル61および第2レセプタクル62を高い精度で第1スリーブ11および第2スリーブ12に位置合わせすることができる。
【0057】
以上、実施形態について詳述したが、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形および変更が可能である。
【符号の説明】
【0058】
1:光トランシーバ
10:IC-TROSA
11:第1スリーブ
11A:フランジ部
12:第2スリーブ
12A:フランジ部
15:パッケージ
15A、15B、15C、15D:側面
15E:上面
15F:下面
16、17:端子群
20:配線基板
23:端子群
31、32:FPC
40:DSP
50、51、52:導電性樹脂
61:第1レセプタクル
61A、61B、61C、61D:側壁部
61E:後壁部
61F:開口
61G:孔
61H:クリップ挿入部
61J:凹部
61K:突出部
61X:外周面
62:第2レセプタクル
62A、62B、62C、62D:側壁部
62E:後壁部
62F:開口
62G:孔
62H:クリップ挿入部
62J:凹部
62K:突出部
62X:外周面
71:第1クリップ
71A:第1板部
71B:第2板部
71C:連結部
71D:板面
72:第2クリップ
72A:第1板部
72B:第2板部
72C:連結部
72D:板面
81:第1弾性シート
82:第2弾性シート
91:筐体
91A:下筐体
91B:上筐体
92:収容部
92Y:内周面
95:スライダ
96:プルタブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22