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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】船舶推進システムにおける操作装置
(51)【国際特許分類】
   F02N 15/00 20060101AFI20240501BHJP
   B63H 21/22 20060101ALI20240501BHJP
   B63J 99/00 20090101ALI20240501BHJP
【FI】
F02N15/00 D
B63H21/22 Z
B63J99/00 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020154347
(22)【出願日】2020-09-15
(65)【公開番号】P2022048497
(43)【公開日】2022-03-28
【審査請求日】2023-07-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100139365
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 武雄
(74)【代理人】
【識別番号】100150304
【弁理士】
【氏名又は名称】溝口 勉
(72)【発明者】
【氏名】宮木 智彦
【審査官】楠永 吉孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-122058(JP,A)
【文献】特開2014-118839(JP,A)
【文献】特開2010-241207(JP,A)
【文献】特開平09-009517(JP,A)
【文献】特許第5285490(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02N 15/00
F02N 11/00~11/14
B63H 21/21~21/22
F02D 29/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶に設けられた船舶推進機と、前記船舶に設けられた電気機器である船舶搭載機器と、前記船舶推進機または前記船舶に設けられた電源とを備えた船舶推進システムにおいて、前記船舶搭載機器と前記電源とを接続し、または切断する操作、および前記船舶推進機の動力源を始動させ、または停止させる操作を行う操作装置であって、
単一の押しボタンスイッチと、
前記押しボタンスイッチの押下に応じて処理を行う操作処理部とを備え、
前記操作処理部は、前記船舶搭載機器と前記電源とが切断され、かつ前記動力源が停止している間に前記押しボタンスイッチが押されたとき、前記押しボタンスイッチの押下態様を検出し、当該検出した押下態様が第1の態様である場合には、前記船舶搭載機器と前記電源とを接続し、かつ前記動力源を始動させる処理を行い、当該検出した押下態様が第2の態様である場合には、前記動力源が停止した状態を維持しながら前記船舶搭載機器と前記電源とを接続する処理を行い、
前記操作処理部は、前記船舶搭載機器と前記電源とが接続され、かつ前記動力源が作動している間に前記押しボタンスイッチが押されたときには、前記動力源を停止させ、かつ前記船舶搭載機器と前記電源とを切断する処理を行い、
前記船舶推進機は、プロペラと、前記動力源の動力を前記プロペラに伝達するギヤの位置を、前記動力源の動力を前記プロペラに伝達する接続位置と前記動力源の動力を前記プロペラに伝達しない切断位置との間において切り換える動力伝達切換装置とを備え、
前記操作処理部は、前記動力源を停止させる処理を行うに当たり、前記ギヤの位置が前記接続位置であるときには前記動力源を停止させないことを特徴とする操作装置。
【請求項2】
前記操作処理部は、前記船舶搭載機器と前記電源とが接続され、かつ前記動力源が停止している間に前記押しボタンスイッチが押されたとき、前記押しボタンスイッチの押下態様を検出し、当該検出した押下態様が前記第1の態様である場合には、前記船舶搭載機器と前記電源とが接続された状態を維持しながら前記動力源を始動させる処理を行い、当該検出した押下態様が前記第2の態様である場合には、前記船舶搭載機器と前記電源とを切断する処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の操作装置。
【請求項3】
前記操作処理部は、前記船舶搭載機器と前記電源とが接続され、かつ前記動力源が作動している間に前記押しボタンスイッチが押されたとき、前記押しボタンスイッチの押下態様を検出し、当該検出した押下態様が前記第1の態様である場合には、前記船舶搭載機器と前記電源とが接続された状態を維持しながら前記動力源を停止させる処理を行い、当該検出した押下態様が前記第2の態様である場合には、前記動力源を停止させ、かつ前記船舶搭載機器と前記電源とを切断する処理を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の操作装置。
【請求項4】
前記操作処理部は、前記動力源が停止し、かつ前記船舶搭載機器と前記電源とが接続された状態が所定時間持続したときに、前記船舶搭載機器と前記電源とを切断することを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の操作装置。
【請求項5】
前記操作処理部は、前記押しボタンスイッチの押下態様として、前記押しボタンスイッチが押された状態の持続時間を検出し、前記第1の態様は、前記押しボタンスイッチが押された状態の持続時間が第1の基準時間未満であるという態様であり、前記第2の態様は、前記押しボタンスイッチが押された状態の持続時間が前記第1の基準時間よりも長い第2の基準時間以上であるという態様であることを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の操作装置。
【請求項6】
前記第2の基準時間は、前記船舶に設けられた警報装置の動作確認処理における警報音の出力の予め設定された持続時間と略等しいことを特徴とする請求項に記載の操作装置。
【請求項7】
前記操作処理部は、前記動力源を始動させる処理を行うに当たり、前記船舶に設けられた複数の前記船舶推進機の動力源を略同時に始動させることを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶推進システムにおける操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
船舶には、船舶の推進等を制御する船舶推進システムが設けられる。船舶推進システムは、船舶推進機、推進機制御装置および船舶搭載機器等により構成される。
【0003】
船舶推進機には、船外機、船内外機、船内機等がある。船舶推進機は船舶の船尾に設けられる。また、船舶推進機は、エンジン(内燃機関)または電動モータといった動力源、および動力源の動力を推進力に変換するプロペラを備えている。
【0004】
また、推進機制御装置は船舶推進機を制御する装置である。例えば、船舶推進機の動力源がエンジンである場合、船舶推進機には、そのエンジンを制御するECM(エンジンコントロールモジュール)が接続される。また、船舶には、船舶推進システムを構成する装置の総合的な制御を行うBCM(ボートコントロールモジュール)が設けられる。例えば、船舶に複数の船外機を取り付ける多機掛けの場合、BCMは、これら複数の船外機を連動させる制御等を行う。また、船舶のコックピットには、操作レバーを操作することにより、船舶推進機の動力源の回転数(船舶のスピード)やプロペラの回転方向(船舶の前進/後退)を制御することができるリモートコントロール装置(以下、「リモコン装置」という。)が設けられる。これらECM、BCMおよびリモコン装置はいずれも推進機制御装置に当たる。
【0005】
また、船舶のコックピットには、船舶推進機の動力源の回転数、燃料残量等をディスプレイに表示することによって船舶推進機を監視するゲージ装置が設けられる。また、船舶には、一般に、ラジオ、無線機、灯火類等が搭載される。また、魚群探知機や海図(チャートプロッタ)等のための船舶専用ディスプレイが船舶に搭載されることも多い。これら、船舶に設けられたゲージ装置、ラジオ、無線機、灯火類および船舶専用ディスプレイといった電気機器はいずれも船舶搭載機器に当たる。
【0006】
これら船舶搭載機器は、船舶推進機または船舶に設けられた電源から電力が供給されることによって動作する。また、船舶推進機および推進機制御装置が動作する際にも、電源からそれらに電力が供給される。また、電源として、船舶推進機または船舶に設けられたバッテリが用いられる。
【0007】
また、船舶のコックピットには操作装置が設けられる。操作装置は電源スイッチ、および始動/停止スイッチ等を有している。電源スイッチは、船舶搭載機器等と電源との接続、切断を切り換えるスイッチである。始動/停止スイッチは、船舶推進機の動力源の始動、停止を行うスイッチである。
【0008】
従来の操作装置においては、電源スイッチと始動/停止スイッチとは互いに独立している。すなわち、従来の操作装置には、電源スイッチと始動/停止スイッチの少なくとも2個のスイッチが設けられている。電源スイッチは、例えばロータリースイッチである。船舶搭載機器等と電源とが切断されている状態で、電源スイッチのつまみを電源オフ位置から時計回りに回して電源オン位置にすると、船舶搭載機器等と電源とが接続される。また、船舶搭載機器等と電源とが接続されている状態で、電源スイッチのつまみを電源オン位置から反時計回りに回して電源オフ位置にすると、船舶搭載機器等と電源とが切断される。一方、始動/停止スイッチは、例えばモーメンタリ式の押しボタンスイッチである。
【0009】
従来の操作装置において、船舶および船舶推進機の利用者は、船舶および船舶推進機の利用を開始するときに、まず、電源スイッチのつまみを時計回りに回して電源オン位置にし、船舶搭載機器等と電源とを接続する。次に、利用者は、始動/停止スイッチを押して、船舶推進機の動力源を始動させる。一方、船舶および船舶推進機の利用を終了するときには、利用者は、電源スイッチのつまみを反時計回りに回して電源オフ位置にする。これにより、船舶推進機の動力源が停止し、かつ船舶搭載機器等と電源とが切断される。
【0010】
また、従来の操作装置において、利用者は、電源スイッチのつまみを電源オフ位置から電源オン位置に切り換えて、船舶搭載機器等と電源とを接続することで、船舶推進機の動力源を始動させずに、電源が入った状態の船舶搭載機器を使用することができる。例えば、利用者は船舶推進機の動力源が止まった状態で、ラジオを聴き、無線機で通信を行い、または船舶専用ディスプレイの設定や調整等を行うことができる。
【0011】
下記の特許文献1の図2には、船舶の操船席に設けられた操作パネルが記載されている。その操作パネルには、キースイッチ、全機始動/停止スイッチ、および個別始動/停止スイッチが設けられ、それらのスイッチはそれぞれ独立している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】特許第5285490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところで、コックピットに配置されるスイッチの個数を減らすことにより、スイッチの選択の誤りを減らすことができ、また、コックピットにおける空きスペースを拡大させて、他の部品の追加を容易にすることができる。また、スイッチの個数を減らすことにより、操作装置の製造コストを下げることができる。そこで、操作装置における電源スイッチと始動/停止スイッチとを1つの押しボタンスイッチにまとめることが考えられる。
【0014】
例えば、操作装置に設けるスイッチを単一のモーメンタリ方式の押しボタンスイッチのみとする。そして、船舶搭載機器等と電源とが切断され、かつ船舶推進機の動力源が停止している状態で、この押しボタンスイッチが1回押されたときに、船舶搭載機器等と電源との接続と、船舶推進機の動力源の始動とを略同時に実行するようにする。また、船舶搭載機器等と電源とが接続され、かつ船舶推進機の動力源が作動している状態で、この押しボタンスイッチが1回押されたときに、船舶推進機の動力源の停止と、船舶搭載機器等と電源との切断とを略同時に実行するようにする。
【0015】
しかしながら、このように電源スイッチと始動/停止スイッチとを1つの押しボタンスイッチにまとめた場合、船舶推進機の動力源の始動と、船舶搭載機器と電源との接続とが連動する。そのため、利用者は、船舶推進機の動力源を始動させずに、船舶搭載機器の電源を入れることができなくなる。例えば、利用者は、船舶推進機の動力源が止まった状態で、ラジオを聴くことや、船舶専用ディスプレイの設定等を行うことができなくなる。このように、電源スイッチと始動/停止スイッチとを1つの押しボタンスイッチにまとめることにより、船舶の利用の利便性が低下してしまう。
【0016】
本発明は例えば上述したような問題に鑑みなされたものであり、本発明の目的は、電源スイッチと始動/停止スイッチとを1つの押しボタンスイッチにまとめつつ、船舶の利用の利便性が低下することを防ぐことができる操作装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するために、本発明は、船舶に設けられた船舶推進機と、前記船舶に設けられた電気機器である船舶搭載機器と、前記船舶推進機または前記船舶に設けられた電源とを備えた船舶推進システムにおいて、前記船舶搭載機器と前記電源とを接続し、または切断する操作、および前記船舶推進機の動力源を始動させ、または停止させる操作を行う操作装置であって、単一の押しボタンスイッチと、前記押しボタンスイッチの押下に応じて処理を行う操作処理部とを備え、前記操作処理部は、前記船舶搭載機器と前記電源とが切断され、かつ前記動力源が停止している間に前記押しボタンスイッチが押されたとき、前記押しボタンスイッチの押下態様を検出し、当該検出した押下態様が第1の態様である場合には、前記船舶搭載機器と前記電源とを接続し、かつ前記動力源を始動させる処理を行い、当該検出した押下態様が第2の態様である場合には、前記動力源が停止した状態を維持しながら前記船舶搭載機器と前記電源とを接続する処理を行い、前記操作処理部は、前記船舶搭載機器と前記電源とが接続され、かつ前記動力源が作動している間に前記押しボタンスイッチが押されたときには、前記動力源を停止させ、かつ前記船舶搭載機器と前記電源とを切断する処理を行い、前記船舶推進機は、プロペラと、前記動力源の動力を前記プロペラに伝達するギヤの位置を、前記動力源の動力を前記プロペラに伝達する接続位置と前記動力源の動力を前記プロペラに伝達しない切断位置との間において切り換える動力伝達切換装置とを備え、前記操作処理部は、前記動力源を停止させる処理を行うに当たり、前記ギヤの位置が前記接続位置であるときには前記動力源を停止させないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、電源スイッチと始動/停止スイッチとを1つの押しボタンスイッチにまとめつつ、船舶の利用の利便性が低下することを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1の実施例の操作装置を含む船舶推進システムの構成を示す説明図である。
図2】本発明の第1の実施例の操作装置を含む船舶推進システムが適用された船舶のコックピットを示す説明図である。
図3】本発明の第1の実施例の操作装置における操作処理の一部を示すフローチャートである。
図4図3に続く操作処理の一部を示すフローチャートである。
図5図3に続く操作処理の一部を示すフローチャートである。
図6】本発明の第2の実施例の操作装置における操作処理の一部を示すフローチャートである。
図7】本発明の第3の実施例の操作装置における操作処理の一部を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態の操作装置は、船舶の推進等を制御する船舶推進システムにおける操作装置である。船舶推進システムは、船舶に設けられた船舶推進機と、船舶に設けられた電気機器である船舶搭載機器と、船舶推進機または船舶に設けられた電源とを備えている。操作装置は、船舶搭載機器と電源とを接続し、または切断する操作、および船舶推進機の動力源を始動させ、または停止させる操作を行う装置である。
【0021】
船舶搭載機器は船舶に設けられた種々の電気機器である。例えば、船舶または船舶推進機のアクセサリ、付属品またはオプション等の電気機器であって船舶に搭載されたものは、いずれも船舶搭載機器に当たる。また、航行、船舶を利用した業務、または船舶を利用したレジャー等に用いる電気機器であって、船舶に搭載されたものは、いずれも船舶搭載機器に当たる。また、船舶または船舶推進機の状態を監視、モニタリング、または診断する電気機器であって、船舶に搭載されたものは船舶搭載機器に当たる。例えば、船舶に搭載されたラジオ、無線機、灯火類等はいずれも船舶搭載機器に当たり、船舶に搭載された魚群探知機用またはチャートプロッタ用の船舶専用ディスプレイ等も船舶搭載機器に当たる。さらに、船舶に搭載されたゲージ装置、故障診断装置等も船舶搭載機器に当たる。
【0022】
また、本発明の実施形態の操作装置は、単一の押しボタンスイッチ、および押しボタンスイッチの押下に応じて処理を行う操作処理部を備えている。操作処理部は、船舶搭載機器と電源とが切断され、かつ船舶推進機の動力源が停止している間に押しボタンスイッチが押されたとき、押しボタンスイッチの押下態様を検出し、当該検出した押下態様が第1の態様である場合には、船舶搭載機器と電源とを接続し、かつ船舶推進機の動力源を始動させる処理を行い、当該検出した押下態様が第2の態様である場合には、船舶推進機の動力源が停止した状態を維持しながら、船舶搭載機器と電源とを接続する処理を行う。また、操作処理部は、船舶搭載機器と電源とが接続され、かつ船舶推進機の動力源が作動している間に押しボタンスイッチが押されたときには、船舶推進機の動力源を停止させ、かつ船舶搭載機器と電源とを切断する処理を行う。
【0023】
本実施形態の操作装置における単一の押しボタンスイッチは、このような操作処理部の働きにより、船舶搭載機器と電源との接続、切断を切り換える電源スイッチとして機能し、かつ船舶推進機の動力源の始動、停止を行う始動/停止スイッチとして機能する。また、操作処理部の働きにより、利用者は、船舶搭載機器と電源とが切断され、かつ船舶推進機の動力源が停止している間に、押しボタンスイッチを第2の態様で押すことで、船舶推進機の動力源を始動させずに船舶搭載機器と電源とを接続することができる。例えば、船舶搭載機器がラジオである場合、利用者は、押しボタンスイッチを第2の態様で押すことにより、船舶推進機の動力源が止まった状態でラジオの電源を入れて、ラジオを聴くことができる。また、例えば、船舶搭載機器が魚群探知機やチャートプロッタ等のための船舶専用ディスプレイである場合には、利用者は、押しボタンスイッチを第2の態様で押すことにより、船舶推進機の動力源が止まった状態で船舶専用ディスプレイの設定や調整を行うことができる。
【0024】
このように、本実施形態の操作装置によれば、電源スイッチと始動/停止スイッチとを1つの押しボタンスイッチにまとめつつ、船舶の利用の利便性が低下することを防ぐことができる。
【実施例1】
【0025】
図1は、本発明の第1の実施例の操作装置51を含む船舶推進システム1の構成を示している。図2は船舶推進システム1が適用された船舶のコックピット61を示している。
【0026】
船舶推進システム1は、船舶推進機としての船外機2、3を2機掛けした船舶の推進等を制御するシステムである。
【0027】
船舶推進システム1は2機の船外機2、3を備えている。これら船外機2、3は船舶の船尾の左部および右部にそれぞれ取り付けられている。各船外機2、3は、動力源としてのエンジン(内燃機関)5、船舶の推進力を生成するプロペラ6、エンジン5の動力をプロペラ6へ伝達するギヤ(図示を省略)、およびギヤの位置を切り換える動力伝達切換装置としてのシフト装置7等を有している。
【0028】
シフト装置7はギヤの位置を前進接続位置、後退接続位置および切断位置のいずれかに切り換える。ギヤの位置が前進接続位置のとき、船舶が前進する方向(正方向)にプロペラ6が回転するようにエンジン5の動力がプロペラ6に伝達される。ギヤの位置が後退接続位置のとき、船舶が後退する方向(逆方向)にプロペラ6が回転するようにエンジン5の動力がプロペラ6に伝達される。ギヤの位置が切断位置のとき、エンジン5の動力はプロペラ6に伝達されない。
【0029】
また、各船外機2、3には、例えば、スタータモータ、電子制御スロットルのスロットルバルブを開閉するための電動モータ、燃料噴射バルブを駆動するための駆動回路、点火プラグに印加する電圧を生成するための点火回路、種々のセンサ等、多数の電装部品が設けられている。
【0030】
また、船舶推進システム1は、船外機2、3を制御する船外機制御装置として、ECM12、13、およびBCM14を備えている。
【0031】
ECM12、13は、船外機2、3のエンジン5およびシフト装置7等を制御する装置である。ECM12、13は船外機2、3ごとに設けられている。ECM12は、例えば左側の船外機2の上部に取り付けられ、当該船外機2に接続されている。ECM13は、例えば右側の船外機3の上部に取り付けられ、当該船外機3に接続されている。また、各ECM12、13はマイクロコンピュータ等を含む電気回路を有している。
【0032】
BCM14は、2機の船外機2、3を連動させる制御のほか、船舶推進システム1を構成する装置の総合的な制御を行う装置である。BCM14は船舶に設けられている。BCM14は、ECM12、13、および警報装置35等と接続され、これらを制御する。また、BCM14はマイクロコンピュータ等を含む電気回路を有している。
【0033】
また、船舶推進システム1は、船外機制御装置として、リモコン装置15、個別始動/停止スイッチ16、17、他のスイッチ18を備えている。これらの装置はBCM14にそれぞれ接続されている。また、これらの装置は、図2に示すように、船舶のコックピット61に設けられている。
【0034】
リモコン装置15は各船外機2、3のエンジン5の回転数およびプロペラ6の回転方向等を制御する装置である。リモコン装置15は2本の操作レバー15A、15Bを有している。左側の操作レバー15Aは、左側の船外機2のエンジン5の回転数およびプロペラ6の回転方向等を制御するレバーである。右側の操作レバー15Bは、右側の船外機3のエンジン5の回転数およびプロペラ6の回転方向等を制御するレバーである。2本の操作レバー15A、15Bを前側に傾けると、各船外機2、3のシフト装置7により、各船外機2、3のギヤの位置が前進接続位置に切り換えられる。これにより、各船外機2、3のプロペラ6が正方向に回転し、船舶が前進する。また、2本の操作レバー15A、15Bの前側への傾け量を大きくすると、各船外機2、3のエンジン5の回転数が上昇し、船舶の前進のスピードが増加する。また、2本の操作レバー15A、15Bを後ろ側に傾けると、各船外機2、3のシフト装置7により、各船外機2、3のギヤの位置が後退接続位置に切り換えられる。これにより、各船外機2、3のプロペラ6が逆方向に回転し、船舶が後退する。また、2本の操作レバー15A、15Bの後ろ側への傾け量を大きくすると、各船外機2、3のエンジン5の回転数が上昇し、船舶の後退のスピードが増加する。また、2本の操作レバー15A、15Bをニュートラル位置(中立位置)にすると、各船外機2、3のシフト装置7により、各船外機2、3のギヤの位置が切断位置に切り換えられる。これにより、各船外機2、3のプロペラ6の回転が停止し、船舶が停止する。
【0035】
個別始動/停止スイッチ16は、左側の船外機2のエンジン5の始動および停止を行うスイッチである。個別始動/停止スイッチ17は、右側の船外機3のエンジン5の始動および停止を行うスイッチである。他のスイッチ18には、例えば、各船外機2、3のトリム・チルトアップ操作を行うためのトリム・チルトアップスイッチ、各船外機2、3のトリム・チルトダウン操作を行うためのトリム・チルトダウンスイッチ等が含まれている。
【0036】
また、船舶推進システム1は、船舶の操舵を行うステアリング装置として、ステアリングホイール20、および方向制御装置を備えている。ステアリングホイール20は、図2に示すように、船舶のコックピット61に設けられている。方向制御装置は、ステアリングホイール20の操作に応じて各船外機2、3の左右の方向を変える制御を行う装置である。方向制御装置は、例えば油圧ポンプおよび油圧シリンダ等(いずれも図示せず)を備えており、これらは船舶に設けられている。
【0037】
また、船舶推進システム1は、図1に示すように、船舶に設けられた電気機器である船舶搭載機器として、多機能ゲージ装置30を備えている。多機能ゲージ装置30は、ディスプレイを有し、各船外機2、3のエンジン5の回転数、各船外機2、3のギヤの位置、船舶のスピード、燃料残量等をディスプレイに表示する機能を有している。また、多機能ゲージ装置30は、例えば船外機2、3におけるセンサのセンサ値や各部の電圧チェック等、船外機2、3、ECM12、13等の動作確認または故障診断を行う機能を有している。多機能ゲージ装置30はBCM14に接続されている。また、多機能ゲージ装置30は、図2に示すように、船舶のコックピット61に設けられている。
【0038】
また、船舶推進システム1は、図1に示すように、船舶搭載機器として、ラジオ31、無線機32、灯火類33および船舶専用ディスプレイ34を備えている。ラジオ31、無線機32、灯火類33および船舶専用ディスプレイ34は船舶に設けられている。なお、船舶専用ディスプレイ34は魚群探知機やチャートプロッタ等のためのディスプレイである。
【0039】
また、船舶推進システム1は警報装置35を備えている。警報装置35は、警報等を行うための警報音(例えばブザー音)を出力する装置であり、船舶に設けられている。例えば、警報装置35はBCM14に接続され、BCM14により制御される。なお、警報装置35は船舶搭載機器に当たる。
【0040】
以下、ECM12、13、BCM14、リモコン装置15、個別始動/停止スイッチ16、17、および他のスイッチ18をまとめて船外機制御装置12~18という。また、多機能ゲージ装置30、ラジオ31、無線機32、灯火類33、船舶専用ディスプレイ34および警報装置35をまとめて船舶搭載機器30~35という。
【0041】
また、船舶推進システム1は、電源41、電源接続部42、および操作装置51を備えている。
【0042】
電源41は、船外機2、3(具体的には船外機2、3に設けられた電装部品)、船外機制御装置12~18、船舶搭載機器30~35、および操作装置51に電力を供給する装置である。電源41として、船外機2、3または船舶に設けられたバッテリが用いられる。
【0043】
電源接続部42は、操作装置51の制御に従い、船外機2、3、船外機制御装置12~18および船舶搭載機器30~35のそれぞれと電源41との接続、切断を切り換える装置または回路である。電源接続部42として、例えばリレー等が用いられる。電源接続部42は例えば船舶に設けられている。図1において、二点鎖線Kで囲まれた装置および機器は、電源接続部42を介して電源41と接続される。
【0044】
操作装置51は、船外機2、3、船外機制御装置12~18および船舶搭載機器30~35のそれぞれと電源41とを接続し、または切断する操作、および船外機2、3のエンジン5を始動させ、または停止させる操作を行う装置である。操作装置51は、電源接続部42を介さずに電源41と常時接続されている。
【0045】
操作装置51は、総合始動/停止スイッチ52、および操作処理部としての操作処理ユニット53を有している。
【0046】
総合始動/停止スイッチ52は、図2に示すように、船舶のコックピット61に設けられている。総合始動/停止スイッチ52は、単一のモーメンタリ式の押しボタンスイッチである。総合始動/停止スイッチ52は、全機始動/停止機能および電源オン/オフ機能を有している。全機始動/停止機能とは、船舶推進システム1が有する複数の船外機(船舶に取り付けられた複数の船外機)、すなわち、本実施例においては、2機の船外機2、3のエンジン5を略同時に始動し、または2機の船外機2、3のエンジン5を略同時に停止する機能である。なお、「略同時に始動」には、同時に始動するという意味と、短い間隔で順次連続的に始動するという意味が含まれ、「略同時に停止」には、同時に停止するという意味と、短い間隔で順次連続的に停止するという意味が含まれている。電源オン/オフ機能とは、電源接続部42を制御して、船外機2、3、船外機制御装置12~18および船舶搭載機器30~35のそれぞれと電源41との接続、切断を切り換える機能である。
【0047】
操作処理ユニット53は、総合始動/停止スイッチ52の全機始動/停止機能および電源オン/オフ機能を実現するための処理(以下、これを「操作処理」という。)を行う装置である。操作処理ユニット53は例えば船舶のコックピット61の内部であって、総合始動/停止スイッチ52の近傍に設けられている。また、操作処理ユニット53には、マイクロコンピュータ54、メモリ55、および無線通信機56が内蔵されている。また、図1に示すように、操作処理ユニット53には、総合始動/停止スイッチ52が接続されており、総合始動/停止スイッチ52が押されていることを示す押下信号が総合始動/停止スイッチ52から操作処理ユニット53に出力されるようになっている。また、操作処理ユニット53は電源接続部42に接続されており、後述する電源接続信号および電源切断信号が操作処理ユニット53から電源接続部42に出力されるようになっている。また、操作処理ユニット53はBCM14と接続されており、後述する全機始動信号および全機停止信号が操作処理ユニット53からBCM14に出力されるようになっている。また、操作処理ユニット53はリモコン装置15と接続されており、後述するレバー位置信号がリモコン装置15から操作処理ユニット53に出力されるようになっている。
【0048】
また、本実施例の船舶推進システム1は、キーレススタート機能を有している。キーレススタート機能とは、鍵をシリンダに差し込んで回すことなく、スイッチ操作を行うのみで船外機のエンジンを始動させる機能である。操作処理ユニット53はキーレススタート機能を実現する処理をも行う。
【0049】
ここで、船舶推進システム1が有するキーレススタート機能について具体的に説明する。キーレススタート機能は、操作装置51および通信鍵装置57により実現される。通信鍵装置57は、利用者が携帯可能な小型の装置であり、無線通信機およびメモリが内蔵されている。また、操作装置51の操作処理ユニット53は、上述したように無線通信機56およびメモリ55を有している。通信鍵装置57のメモリおよび操作処理ユニット53のメモリ55には、同一の暗証コードがそれぞれ記憶されている。操作処理ユニット53は、総合始動/停止スイッチ52が利用者により押されたときに、通信鍵装置57との間において通信を確立する。その直後、通信鍵装置57は、当該通信鍵装置57のメモリに記憶された暗証コードを操作処理ユニット53に送信する。操作処理ユニットは、通信鍵装置57から送信された暗証コードと、操作処理ユニット53のメモリ55に記憶された暗証コードとを照合し、これら2つの暗証コードが互いに一致したときに船外機2、3のエンジン5の始動を許可し、2つの暗証コードが互いに一致しなときには船外機2、3のエンジン5の始動を禁止する。
【0050】
図3ないし図5は、操作処理ユニット53により行われる操作処理を示している。操作処理のうち、図3中のステップS1~S7は、船外機2、3、船外機制御装置12~18および船舶搭載機器30~35のそれぞれと電源41とが切断され、かつ各船外機2、3のエンジン5が停止している状態における処理を示している。
【0051】
図3において、操作処理ユニット53は、船外機2、3、船外機制御装置12~18および船舶搭載機器30~35のそれぞれと電源41とが切断され、かつ各船外機2、3のエンジン5が停止している間、総合始動/停止スイッチ52が押されたか否かを監視している(ステップS1)。なお、この間、バッテリ上がりを防止するために、操作処理ユニット53を省電力動作に移行させた状態で、総合始動/停止スイッチ52が押されたか否かを監視させるようにしてもよい。
【0052】
利用者が総合始動/停止スイッチ52を押したとき、総合始動/停止スイッチ52から操作処理ユニット53に押下信号が出力される。押下信号が操作処理ユニット53に出力されたとき(ステップS1:YES)、これに応じ、操作処理ユニット53は、船外機2、3、船外機制御装置12~18および船舶搭載機器30~35のそれぞれと電源41とを接続させる電源接続信号を電源接続部42に出力する(ステップS2)。これにより、船外機2、3、船外機制御装置12~18および船舶搭載機器30~35のそれぞれと電源41とが電源接続部42により接続され、電源41から、船外機2、3、船外機制御装置12~18および船舶搭載機器30~35のそれぞれに電力が供給される。
【0053】
続いて、操作処理ユニット53は、利用者が携帯している通信鍵装置57との間において通信を確立し、その直後、通信鍵装置57から送信される暗証コードを受信する。そして、通信鍵装置57から送信された暗証コードと、操作処理ユニット53のメモリ55に記憶された暗証コードとが一致するか否かを判断する(ステップS3)。
【0054】
通信鍵装置57から送信された暗証コードと、操作処理ユニット53のメモリ55に記憶された暗証コードとが一致したときには(ステップS3:YES)、操作処理ユニット53は、総合始動/停止スイッチ52の押下態様を検出し、総合始動/停止スイッチ52の押下態様が第1の態様であるか否かを判断する(ステップS4)。本実施例において、第1の態様とは短押しである。すなわち、操作処理ユニット53は、ステップS4で、総合始動/停止スイッチ52の押下態様が短押しであるか否かを判断する。具体的に説明すると、利用者が総合始動/停止スイッチ52を押している間、総合始動/停止スイッチ52からの押下信号の出力が持続される。操作処理ユニット53は、この押下信号に基づき、ステップS4で、総合始動/停止スイッチ52が押された状態の持続時間を検出し、総合始動/停止スイッチ52が押された状態の持続時間が第1の基準時間未満であるか否かを判断する。総合始動/停止スイッチ52が押された状態の持続時間が第1の基準時間未満である場合、それは総合始動/停止スイッチ52の押下態様が短押しであることを意味する。第1の基準時間は、総合始動/停止スイッチ52の短押しと長押しとを明確に識別することができる時間であることが好ましく、例えば0.2秒~0.3秒程度である。
【0055】
総合始動/停止スイッチ52の押下態様が短押しであるときには(ステップS4:YES)、操作処理ユニット53は、2機の船外機2、3のエンジン5を略同時に始動させる全機始動信号をBCM14に出力する(ステップS5)。BCM14は、全機始動信号に応じ、ECM12、13を制御し、2機の船外機2、3のエンジン5を略同時に始動させる。その後、操作処理ユニット53は処理を図4中のステップS8へ移行させる。
【0056】
一方、総合始動/停止スイッチ52の押下態様が短押しでないとき(ステップS4:NO)、操作処理ユニット53は、総合始動/停止スイッチ52の押下態様が第2の態様であるか否かを判断する(ステップS6)。本実施例において、第2の態様とは長押しである。すなわち、操作処理ユニット53は、ステップS6で、総合始動/停止スイッチ52の押下態様が長押しであるか否かを判断する。具体的に説明すると、操作処理ユニット53は、ステップS6で、総合始動/停止スイッチ52から出力されている押下信号に基づき、総合始動/停止スイッチ52が押された状態の持続時間が、第1の基準時間よりも長い第2の基準時間以上となったか否かを判断する。総合始動/停止スイッチ52が押された状態の持続時間が第2の基準時間以上である場合、それは総合始動/停止スイッチ52の押下態様が長押しであることを意味する。第2の基準時間は、総合始動/停止スイッチ52の短押しと長押しとを明確に識別することができる時間であることが好ましく、例えば2秒程度である。
【0057】
また、第2の基準時間を、警報装置35の動作確認処理における警報音の出力の持続時間と略等しい値に設定してもよい。すなわち、多くの船舶において、船舶の電源が入ったときに、船舶に設けられた警報装置の動作確認のために、警報装置から警報音が、予め設定された時間継続して出力される。本実施例における船舶では、船外機2、3、船外機制御装置12~18および船舶搭載機器30~35のそれぞれと電源41とが切断され、かつ各船外機2、3のエンジン5が停止している状態において総合始動/停止スイッチ52が押されたときに、警報装置35から警報音が、予め設定された時間(例えば2秒程度)継続して出力される。第2の基準時間を、この警報音の持続時間と略等しい値(警報音の持続時間と等しい値、または警報音の持続時間のばらつきを考慮して、警報音の持続時間と概ね等しい値等)に設定してもよい。これにより、警報音が鳴り始めてから鳴り終わるまでの間、総合始動/停止スイッチ52を押し続けることで、総合始動/停止スイッチ52を長押ししたことになる。したがって、利用者は、警報音に基づいて、総合始動/停止スイッチ52の長押しを容易に行うことができる。
【0058】
総合始動/停止スイッチ52の押下態様が長押しであるときには(ステップS6:YES)、操作処理ユニット53は、全機始動信号をBCM14に出力せず、処理を図5中のステップS12に移行させる。これにより、利用者が総合始動/停止スイッチ52を再び押すまで、船外機2、3、船外機制御装置12~18および船舶搭載機器30~35のそれぞれと電源41とが接続され、かつ各船外機2、3のエンジン5が停止した状態が維持される。
【0059】
一方、総合始動/停止スイッチ52の押下態様が短押しでも長押しでもないとき(ステップS6:NO)、操作処理ユニット53は、船外機2、3、船外機制御装置12~18および船舶搭載機器30~35のそれぞれと電源41とを切断させる電源切断信号を電源接続部42に出力する(ステップS7)。これにより、船外機2、3、船外機制御装置12~18および船舶搭載機器30~35のそれぞれと電源41とが電源接続部42により切断され、電源41から、船外機2、3、船外機制御装置12~18および船舶搭載機器30~35のそれぞれに電力が供給されなくなる。その後、操作処理ユニット53は処理をステップS1へ戻す。
【0060】
また、通信鍵装置57から送信された暗証コードと、操作処理ユニット53のメモリ55に記憶された暗証コードとが一致しなかったときにも(ステップS3:NO)、操作処理ユニット53は電源切断信号を電源接続部42に出力し、船外機2、3、船外機制御装置12~18および船舶搭載機器30~35のそれぞれと電源41とを切断する(ステップS7)。その後、操作処理ユニット53は処理をステップS1へ戻す。
【0061】
このように、船外機2、3、船外機制御装置12~18および船舶搭載機器30~35のそれぞれと電源41とが切断され、かつ各船外機2、3のエンジン5が停止している状態において、利用者が総合始動/停止スイッチ52を短押ししたとき、操作処理ユニット53は、船外機2、3、船外機制御装置12~18および船舶搭載機器30~35のそれぞれと電源41とを接続し、かつ2機の船外機2、3のエンジン5を略同時に始動させる。一方、船外機2、3、船外機制御装置12~18および船舶搭載機器30~35のそれぞれと電源41とが切断され、かつ各船外機2、3のエンジン5が停止している状態において、利用者が総合始動/停止スイッチ52を長押ししたときには、操作処理ユニット53は、各船外機2、3のエンジン5が停止した状態を維持しながら、船外機2、3、船外機制御装置12~18および船舶搭載機器30~35のそれぞれと電源41とを接続する。
【0062】
また、操作処理のうち、図4中のステップS8~S11は、船外機2、3、船外機制御装置12~18および船舶搭載機器30~35のそれぞれと電源41とが接続され、かつ各船外機2、3のエンジン5が作動している状態における処理を示している。
【0063】
図4において、操作処理ユニット53は、船外機2、3、船外機制御装置12~18および船舶搭載機器30~35のそれぞれと電源41とが接続され、かつ各船外機2、3のエンジン5が作動している間、総合始動/停止スイッチ52が押されたか否かを監視している(ステップS8)。
【0064】
利用者が総合始動/停止スイッチ52を押し、総合始動/停止スイッチ52から操作処理ユニット53に押下信号が出力されたとき(ステップS8:YES)、続いて、操作処理ユニット53は、リモコン装置15の操作レバー15A、15Bの位置がいずれもニュートラル位置であるか否かを判断する(ステップS9)。すなわち、船外機2、3、船外機制御装置12~18および船舶搭載機器30~35のそれぞれと電源41とが接続されている間、リモコン装置15の操作レバー15A、15Bの位置を示すレバー位置信号がリモコン装置15から操作処理ユニット53に出力されている。操作処理ユニット53は、レバー位置信号に基づき、リモコン装置15の操作レバー15A、15Bの位置がいずれもニュートラル位置であるか否かを判断する。
【0065】
リモコン装置15の操作レバー15A、15Bの位置がいずれもニュートラル位置であるときには(ステップS9:YES)、操作処理ユニット53は、2機の船外機2、3のエンジン5を略同時に停止させる全機停止信号をBCM14に出力する(ステップS10)。BCM14は、全機停止信号に応じ、ECM12、13を制御し、2機の船外機2、3のエンジン5を略同時に停止させる。
【0066】
続いて、操作処理ユニット53は電源切断信号を電源接続部42に出力する(ステップS11)。これにより、船外機2、3、船外機制御装置12~18および船舶搭載機器30~35のそれぞれと電源41とが電源接続部42により切断される。その後、操作処理ユニット53は処理を図3中のステップS1へ戻す。
【0067】
一方、リモコン装置15の操作レバー15Aの位置または操作レバー15Bの位置がニュートラル位置でないとき(ステップS9:NO)、操作処理ユニット53は処理をステップS8に戻す。この場合には、各船外機2、3のエンジン5は停止されず、また、船外機2、3、船外機制御装置12~18および船舶搭載機器30~35のそれぞれと電源41とは切断されない。
【0068】
このように、船外機2、3、船外機制御装置12~18および船舶搭載機器30~35のそれぞれと電源41とが接続され、かつ各船外機2、3のエンジン5が作動している状態において、利用者が総合始動/停止スイッチ52を押したとき、操作処理ユニット53は、総合始動/停止スイッチ52の押下態様の検出も判断も行わずに、2機の船外機2、3のエンジン5を略同時に停止させ、かつ船外機2、3、船外機制御装置12~18および船舶搭載機器30~35のそれぞれと電源41とを切断する。
【0069】
また、操作処理のうち、図5中のステップS12~S16は、船外機2、3、船外機制御装置12~18および船舶搭載機器30~35のそれぞれと電源41とが接続され、かつ各船外機2、3のエンジン5が停止している状態における処理を示している。
【0070】
図5において、操作処理ユニット53は、船外機2、3、船外機制御装置12~18および船舶搭載機器30~35のそれぞれと電源41とが接続され、かつ各船外機2、3のエンジン5が停止している間、総合始動/停止スイッチ52が押されたか否かを監視している(ステップS12)。
【0071】
利用者が総合始動/停止スイッチ52を押し、総合始動/停止スイッチ52から操作処理ユニット53に押下信号が出力されたとき(ステップS12:YES)、続いて、操作処理ユニット53は、総合始動/停止スイッチ52の押下態様を検出し、総合始動/停止スイッチ52の押下態様が短押しであるか否かを判断する(ステップS13)。短押しか否かの判断の方法はステップS4で述べた方法と同じである。
【0072】
総合始動/停止スイッチ52の押下態様が短押しであるときには(ステップS13:YES)、操作処理ユニット53は全機始動信号をBCM14に出力する(ステップS14)。BCM14は、全機始動信号に応じ、ECM12、13を制御し、2機の船外機2、3のエンジン5を略同時に始動させる。その後、操作処理ユニット53は処理を図4中のステップS8へ移行させる。
【0073】
一方、総合始動/停止スイッチ52の押下態様が短押しでないとき(ステップS13:NO)、操作処理ユニット53は、総合始動/停止スイッチ52の押下態様が長押しであるか否かを判断する(ステップS15)。長押しか否かの判断の方法はステップS6で述べた方法と同じである。
【0074】
総合始動/停止スイッチ52の押下態様が長押しであるときには(ステップS15:YES)、操作処理ユニット53は電源切断信号を電源接続部42に出力する(ステップS16)。これにより、船外機2、3、船外機制御装置12~18および船舶搭載機器30~35のそれぞれと電源41とが切断される。その後、操作処理ユニット53は処理を図3中のステップS1へ戻す。
【0075】
一方、総合始動/停止スイッチ52の押下態様が短押しでも長押しでもないとき(ステップS15:NO)、操作処理ユニット53は処理をステップS12に戻す。これにより、利用者が総合始動/停止スイッチ52を再び押すまで、船外機2、3、船外機制御装置12~18および船舶搭載機器30~35のそれぞれと電源41とが接続され、かつ2機の船外機2、3のエンジン5が停止した状態が維持される。
【0076】
このように、船外機2、3、船外機制御装置12~18および船舶搭載機器30~35のそれぞれと電源41とが接続され、かつ各船外機2、3のエンジン5が停止している状態において、利用者が総合始動/停止スイッチ52を短押ししたとき、操作処理ユニット53は、船外機2、3、船外機制御装置12~18および船舶搭載機器30~35のそれぞれと電源41とが接続された状態を維持し、かつ2機の船外機2、3のエンジン5を略同時に始動させる。一方、船外機2、3、船外機制御装置12~18および船舶搭載機器30~35のそれぞれと電源41とが接続され、かつ各船外機2、3のエンジン5が停止している状態において、利用者が総合始動/停止スイッチ52を長押ししたときには、操作処理ユニット53は、船外機2、3、船外機制御装置12~18および船舶搭載機器30~35のそれぞれと電源41とを切断する。
【0077】
以上説明した通り、本発明の第1の実施例の操作装置51において、単一の押しボタンスイッチである総合始動/停止スイッチ52は、2機の船外機2、3のエンジン5を略同時に始動し、または2機の船外機2、3のエンジン5を略同時に停止する全機始動/停止機能と、船外機2、3、船外機制御装置12~18および船舶搭載機器30~35のそれぞれと電源41との接続、切断を切り換える電源オン/オフ機能とを有している。このように、本実施例の操作装置51によれば、従来の操作装置において、それぞれ独立していた始動/停止スイッチと電源スイッチとを1つの押しボタンスイッチにまとめることができる。したがって、コックピット61に配置するスイッチの個数を減らして、スイッチの選択の誤りを減らすことができ、また、コックピット61における空きスペースを拡大させて、他の部品の追加を容易にすることができる。また、スイッチの個数を減らすことで、操作装置51の製造コストを下げることができる。
【0078】
また、本発明の第1の実施例の操作装置51は、船外機2、3、船外機制御装置12~18および船舶搭載機器30~35のそれぞれと電源41とが切断されており、かつ各船外機2、3のエンジン5が停止している間に総合始動/停止スイッチ52が押されたとき、総合始動/停止スイッチ52の押下態様が短押しの場合には、2機の船外機2、3のエンジン5を始動させ、総合始動/停止スイッチ52の押下態様が長押しの場合には、船外機2、3のエンジン5を始動させずに、船外機2、3、船外機制御装置12~18および船舶搭載機器30~35のそれぞれと電源41とが接続された状態にする。これにより、利用者は、総合始動/停止スイッチ52を短押しするか長押しするかによって、2機の船外機2、3のエンジン5を一括始動させるか、船外機2、3のエンジン5を始動させずに船舶搭載機器30~35等の電源が入った状態にするかを選択ることができる。したがって、利用者は、総合始動/停止スイッチ52を長押しすることにより、各船外機2、3のエンジン5が止まった状態で船舶搭載機器30~35の電源を入れて、船舶搭載機器30~35を操作することができる。具体的には、利用者は、各船外機2、3のエンジン5が止まった状態で、ラジオ31を用いてラジオを聴くことができ、無線機32を操作して無線通信を行うことができ、灯火類33を点灯させることができる。また、利用者は、各船外機2、3のエンジン5が止まった状態で、船舶専用ディスプレイ34の設定や調整を行うことができ、多機能ゲージ装置30の設定を行うことができ、多機能ゲージ装置30を用いて船外機2、3の各部の動作確認等の整備作業を行うことができる。このように、本実施例の操作装置51によれば、始動/停止スイッチと電源スイッチとを1つの押しボタンスイッチにまとめることによって、従来の操作装置と比較して船舶の利用の利便性が低下してしまうことを防止することができる。
【0079】
また、本実施例の操作装置51によれば、利用者は、総合始動/停止スイッチ52をワンプッシュするだけで、船外機2、3、船外機制御装置12~18および船舶搭載機器30~35の電源の投入と、2機の船外機2、3のエンジン5の始動とを一括して迅速に行うことができる。
【0080】
また、本発明の第1の実施例の操作装置51は、船外機2、3、船外機制御装置12~18および船舶搭載機器30~35のそれぞれと電源41とが接続され、かつ各船外機2、3のエンジン5が作動している間に総合始動/停止スイッチ52が押されたとき、船外機2、3のエンジン5を停止させ、かつ船外機2、3、船外機制御装置12~18および船舶搭載機器30~35のそれぞれと電源41とを切断する。これにより、利用者は、総合始動/停止スイッチ52をワンプッシュするだけで、2機の船外機2、3のエンジン5の停止と、船外機2、3、船外機制御装置12~18および船舶搭載機器30~35の電源の切断とを一括して迅速に行うことができる。
【0081】
また、本発明の第1の実施例の操作装置51は、船外機2、3、船外機制御装置12~18および船舶搭載機器30~35のそれぞれと電源41とが接続され、かつ各船外機2、3のエンジン5が停止している間に総合始動/停止スイッチ52が押されたとき、総合始動/停止スイッチ52の押下態様が短押しの場合には、2機の船外機2、3のエンジン5を始動させ、総合始動/停止スイッチ52の押下態様が長押しの場合には、船外機2、3、船外機制御装置12~18および船舶搭載機器30~35の電源を切断する。したがって、利用者は、総合始動/停止スイッチ52を短押しするか長押しするかによって、2機の船外機2、3のエンジン5を始動させるか、船舶搭載機器30~35等の電源を切断するかを容易に選択することができる。
【0082】
また、本発明の第1の実施例の操作装置は、船外機2、3のエンジン5を停止させる処理を行うとき、リモコン装置15の操作レバー15Aの位置または操作レバー15Bの位置がニュートラル位置でないとき、すなわち、船外機2、3のうちのいずれかのギヤの位置が前進接続位置または後退接続位置であるときには、船外機2、3のエンジン5を停止させない(図4参照)。これにより、利用者の意図に沿った処理が可能となる。
【実施例2】
【0083】
図6は本発明の第2の実施例の操作装置51における操作処理の一部を示している。図6図4とを比較するとわかる通り、本発明の第2の実施例は、本発明の第1の実施例の操作処理において、船外機2、3、船外機制御装置12~18および船舶搭載機器30~35のそれぞれと電源41とが接続され、かつ各船外機2、3のエンジン5が作動している状態における処理の変形である。なお、図6では、図4に示すステップと同一のステップには同一の符号を付している。
【0084】
上述した第1の実施例では、図4に示すように、船外機2、3、船外機制御装置12~18および船舶搭載機器30~35のそれぞれと電源41とが接続され、かつ各船外機2、3のエンジン5が作動している間において総合始動/停止スイッチ52が押され、そのときに、リモコン装置15の操作レバー15A、15Bの位置がいずれもニュートラル位置であるときに、操作装置51の操作処理ユニット53は、全機停止信号をBCM14に出力して2機の船外機2、3のエンジン5を略同時に停止させ、続いて、電源切断信号を電源接続部42に出力して、船外機2、3、船外機制御装置12~18および船舶搭載機器30~35のそれぞれと電源41とを切断する。
【0085】
これに対し、第2の実施例では、図6に示すように、船外機2、3、船外機制御装置12~18および船舶搭載機器30~35のそれぞれと電源41とが接続され、かつ各船外機2、3のエンジン5が作動している間において総合始動/停止スイッチ52が押され、そのときに、リモコン装置15の操作レバー15A、15Bの位置がいずれもニュートラル位置であるときに、操作処理ユニット53は、総合始動/停止スイッチ52の押下態様が短押しであるか否かを判断し、総合始動/停止スイッチ52の押下態様が短押しであるときには(ステップS31:YES)、全機停止信号をBCM14に出力して2機の船外機2、3のエンジン5を略同時に停止させる(ステップS32)。しかしながら、このとき、操作処理ユニット53は電源切断信号を電源接続部42に出力しない。これにより、各船外機2、3のエンジン5が停止しているが、船外機2、3、船外機制御装置12~18および船舶搭載機器30~35のそれぞれと電源41とが接続された状態となる。
【0086】
一方、総合始動/停止スイッチ52の押下態様が短押しでないときには(ステップS31:NO)、操作処理ユニット53は、総合始動/停止スイッチ52の押下態様が長押しであるか否かを判断し、総合始動/停止スイッチ52の押下態様が長押しであるときには(ステップS33:YES)、全機停止信号をBCM14に出力して2機の船外機2、3のエンジン5を略同時に停止させ(ステップS34)、続いて、電源切断信号を電源接続部42に出力し、船外機2、3、船外機制御装置12~18および船舶搭載機器30~35のそれぞれと電源41とを切断する(ステップS35)。
【0087】
他方、総合始動/停止スイッチ52の押下態様が短押しでも長押しでもないときには(ステップS33:NO)、操作処理ユニット53は、全機停止信号も電源切断信号も出力せずに、処理をステップS8に戻す。これにより、総合始動/停止スイッチ52が再度押されるまで、船外機2、3、船外機制御装置12~18および船舶搭載機器30~35のそれぞれと電源41とが接続され、かつ各船外機2、3のエンジン5が作動した状態が維持される。
【0088】
本発明の第2の実施例の操作装置51によれば、利用者は、各船外機2、3のエンジン5の作動中に、総合始動/停止スイッチ52を短押しして、船舶搭載機器30~35等と電源41とが接続された状態を維持しつつ、各船外機2、3のエンジン5を停止させることができる。これにより、利用者は、各船外機2、3のエンジン5を止めて、直ちに、船舶搭載機器30~35の操作を行うことができる。このように、本実施例によれば、始動/停止スイッチと電源スイッチとを1つの押しボタンスイッチにまとめることによって、従来の操作装置と比較して船舶の利用の利便性が低下してしまうことを防止することができる。
【実施例3】
【0089】
図7は本発明の第3の実施例の操作装置における操作処理の一部を示している。図7図5とを比較するとわかる通り、本発明の第3の実施例は、本発明の第1の実施例の操作処理において、船外機2、3、船外機制御装置12~18および船舶搭載機器30~35のそれぞれと電源41とが接続され、かつ各船外機2、3のエンジン5が停止している状態における処理の変形である。なお、図7では、図5に示すステップと同一のステップには同一の符号を付している。
【0090】
本発明の第3の実施例では、図7に示すように、船外機2、3、船外機制御装置12~18および船舶搭載機器30~35のそれぞれと電源41とが接続され、かつ各船外機2、3のエンジン5が停止している間に、自動電源切断条件が成立したとき(ステップS41:YES)、操作装置51の操作処理ユニット53は、電源切断信号を電源接続部42に出力し、船外機2、3、船外機制御装置12~18および船舶搭載機器30~35のそれぞれと電源41とを切断する(ステップS42)。自動電源切断条件は、船舶に取り付けられたすべての船外機2、3のエンジン5が停止し、かつ船舶搭載機器30~35と電源41とが接続された状態が所定時間(例えば20分~30分程度)継続したことである。これにより、バッテリ上がりを防止することができる。
【0091】
なお、上記各実施例では、総合始動/停止スイッチ52の2通りの押下態様が短押しおよび長押しである場合を例にあげたが、総合始動/停止スイッチ52の押下態様はこれに限定されない。例えば、総合始動/停止スイッチ52の2通りの押下態様を、1回押しおよび2回連続押しとしてもよい。2回連続押しとは、例えば、0.2秒~0.5秒程度の短い間隔で押しボタンスイッチを2回押す態様である。
【0092】
また、上記各実施例において、操作装置51の操作処理ユニット53は、リモコン装置15から出力されるレバー位置信号に基づいて、リモコン装置15の操作レバー15A、15Bの位置(船外機2、3のギヤの位置)を認識する場合を例にあげたが、船外機2、3のギヤの位置の認識方法はこれに限定されない。例えば、各船外機2、3のギヤの位置を示す他の信号を用いてもよい。
【0093】
また、上記各実施例では、2機の船外機2、3を船舶に取り付けた場合(2機掛けの場合)を例にあげたが、本発明は、1機掛けの場合、または3機以上の多機掛けの場合にも適用することができる。また、本発明は、船内外機、船内機等、他の種類の船舶推進機を用いる場合にも適用することができる。また、船舶推進機の動力源はエンジンに限らず、電動モータでもよい。
【0094】
また、上述したように、第2の実施例において、操作処理ユニット53は次のような操作処理を行う。すなわち、船外機2、3、船外機制御装置12~18および船舶搭載機器30~35のそれぞれと電源41とが切断され、かつ各船外機2、3のエンジン5が停止している間に、利用者が総合始動/停止スイッチ52を長押ししたとき、操作処理ユニット53は、各船外機2、3のエンジン5が停止した状態を維持しつつ、船外機2、3、船外機制御装置12~18および船舶搭載機器30~35のそれぞれと電源41とを接続する(図3参照)。その後、利用者が総合始動/停止スイッチ52を短押ししたとき、操作処理ユニット53は、船外機2、3のエンジン5を始動する(図5参照)。その後、利用者が総合始動/停止スイッチ52を短押ししたとき、操作処理ユニット53は、船外機2、3、船外機制御装置12~18および船舶搭載機器30~35のそれぞれと電源41とが接続された状態を維持しつつ、船外機2、3のエンジン5を停止させる(図6参照)。しかしながら、この操作処理を次のように変更してもよい。すなわち、船外機2、3、船外機制御装置12~18および船舶搭載機器30~35のそれぞれと電源41とが切断され、かつ各船外機2、3のエンジン5が停止している間に、利用者が総合始動/停止スイッチ52を長押ししたとき、操作処理ユニット53は、船外機2、3および船外機制御装置12~18のそれぞれと電源41とが切断され、かつ各船外機2、3のエンジン5が停止した状態を維持しつつ、船舶搭載機器30~35と電源41とを接続する。その後、利用者が総合始動/停止スイッチ52を短押ししたとき、操作処理ユニット53は、船外機2、3および船外機制御装置12~18のそれぞれと電源41とを接続し、かつ船外機2、3のエンジン5を始動する。その後、利用者が総合始動/停止スイッチ52を短押ししたとき、操作処理ユニット53は、船舶搭載機器30~35と電源41とが接続された状態を維持しつつ、船外機2、3のエンジン5を停止させ、かつ船外機2、3および船外機制御装置12~18のそれぞれと電源41とを切断する。このような操作処理の変更は、船舶搭載機器30~35と電源41との接続、切断を切り換える第1の電源接続部と、船外機2、3および船外機制御装置12~18のそれぞれと電源41との接続、切断を切り換える第2の電源接続部とを船舶推進システムに設け、操作装置により、これら2つの電源接続部の接続/切断制御をそれぞれ行うようにすることによって実現することができる。
【0095】
また、上記各実施例では、船舶推進システムにおける船舶搭載機器として、多機能ゲージ装置30、ラジオ31、無線機32、灯火類33および船舶専用ディスプレイ34を例にあげたが、船舶推進システムにおける船舶搭載機器は、これらのうちのいずれか1つでもよいし、これらのうちのいくつかでもよいし、船舶に設けられたこれら以外の電気機器でもよい。また、船舶に設けられたすべての電気機器を船舶推進システムにおける船舶搭載機器として位置づける必要はなく、船舶に設けられた複数の電気機器のうちの1つまたはいくつかを、船舶推進システムにおける船舶搭載機器として位置づけてもよい。言い換えれば、船舶に設けられたすべての電気機器を、電源接続部42を介して電源41に接続する必要はなく、船舶に設けられた複数の電気機器のうちの1つまたはいくつかを、電源接続部42を介して電源41に接続するようにしてもよい。
【0096】
また、本発明は、請求の範囲および明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨または思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う操作装置もまた本発明の技術思想に含まれる。
【符号の説明】
【0097】
1 船舶推進システム
2、3 船外機(船舶推進機)
5 エンジン(動力源)
6 プロペラ
7 シフト装置(動力伝達切換装置)
12、13 ECM
14 BCM
15 リモコン装置
16、17 個別始動/停止スイッチ
18 他のスイッチ
30 多機能ゲージ装置(船舶搭載機器)
31 ラジオ(船舶搭載機器)
32 無線機(船舶搭載機器)
33 灯火類(船舶搭載機器)
34 船舶専用ディスプレイ(船舶搭載機器)
35 警報装置(船舶搭載機器)
41 電源
51 操作装置
52 総合始動/停止スイッチ(押しボタンスイッチ)
53 操作処理ユニット(操作処理部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7