(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】光半導体装置
(51)【国際特許分類】
G02F 1/025 20060101AFI20240501BHJP
H01S 5/022 20210101ALI20240501BHJP
H01S 5/0233 20210101ALI20240501BHJP
【FI】
G02F1/025
H01S5/022
H01S5/0233
(21)【出願番号】P 2020155500
(22)【出願日】2020-09-16
【審査請求日】2023-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100174399
【氏名又は名称】寺澤 正太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】板橋 直樹
(72)【発明者】
【氏名】原 弘
【審査官】大西 孝宣
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/152152(WO,A1)
【文献】特開2017-120846(JP,A)
【文献】特開2007-305977(JP,A)
【文献】特開2004-020708(JP,A)
【文献】特開2001-209017(JP,A)
【文献】特開2019-062033(JP,A)
【文献】特開2019-071402(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0107114(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/00 - 1/125
G02F 1/21 - 7/00
H01S 5/00 - 5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に搭載され、信号を伝送する第1パターンと、前記第1パターンとコプレーナ回路を構成する基準電位を有する第2パターンと、直流電流を供給する第3パターンと、を表面に有するキャリアと、
前記キャリアに搭載され、裏面に設けられており前記キャリアの前記第2パターンと接続する第1電極と、表面に設けられており前記キャリアの前記第1パターンと接続する第2電極と、を有する変調器と、
前記キャリアに搭載され、裏面に設けられており前記キャリアの前記第2パターンと接続される第3電極と、表面に設けられており前記キャリアの前記第3パターンと接続される第4電極と、を有するレーザ部と、
一端が前記キャリアの前記第2パターンに、他端が前記第1電極に接続する第1接続部と、
一端が前記基板の表面に、他端が前記レーザ部の前記第3電極に接続する第2接続部と、
を備え、
前記変調器および前記レーザ部は、それぞれの表面と前記キャリアの表面とが対向するように搭載されている、光半導体装置。
【請求項2】
前記変調器および前記レーザ部は、集積された変調器付半導体レーザである、請求項1に記載の光半導体装置。
【請求項3】
前記第1接続部の前記一端は第1面を有し、前記第1接続部の前記他端は第2面を有し、
前記第2接続部の前記一端は第3面を有し、前記第2接続部の前記他端は第4面を有する、
請求項1または請求項2に記載の光半導体装置。
【請求項4】
前記第2接続部は、前記第2接続部の前記第3面に交差する第5面を更に有し、
前記第2接続部の前記第3面は、前記基板の表面と接続し、
前記第2接続部の前記第5面は、前記キャリアの側面に沿うように配置されている、
請求項3に記載の光半導体装置。
【請求項5】
前記基板は、金属または絶縁体によって構成されている、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の光半導体装置。
【請求項6】
前記キャリアは、絶縁体によって構成されている、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の光半導体装置。
【請求項7】
前記第1接続部は、金属または絶縁体によって構成されている、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の光半導体装置。
【請求項8】
前記第2接続部は、金属または絶縁体によって構成されている、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の光半導体装置。
【請求項9】
前記第1接続部および前記第2接続部の少なくともいずれかは絶縁体によって構成されており、
前記絶縁体の表面に金属パターンが形成されている、
請求項7または請求項8に記載の光半導体装置。
【請求項10】
前記第1接続部および前記第2接続部は一体とされている、
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の光半導体装置
。
【請求項11】
前記基板の熱伝導率は、前記キャリアの熱伝導率より高い、
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の光半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、光電変換半導体装置が記載されている。光電変換半導体装置は、半導体レーザ部および光変調器部を含む光変調器付き半導体レーザ素子と、高周波回路基板および伝送線路を含む高周波電気回路と、終端抵抗と、容量性整合回路と、複数の金属ワイヤとを備える。
【0003】
また、特許文献1には、フリップチップ型光変調器付き半導体レーザ装置が記載されている。この半導体レーザ装置は、半導体レーザ部および光変調器部を含むフリップチップ型の光変調器付き半導体レーザ素子と、開放型スタブと、終端抵抗の抵抗体と、スルーホールと、電極とを備える。電極は、光変調器部への信号入力電極、半導体レーザ素子の接地電極、および半導体レーザ部への駆動電流を入力するレーザ入力電極、を含む。
【0004】
光変調器付き半導体レーザ素子は、信号入力電極およびはんだを介して高周波電気回路の伝送線路に接続されている。また、光変調器付き半導体レーザ素子は、接地電極、はんだ、および高周波電気回路の伝送線路を介して、スルーホールに接続されている。スルーホールは、当該伝送線路を介して抵抗体の一端を接続する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した金属ワイヤによって接続を行う場合には、外部回路に電流が流れ出すカソード電極が、外部回路から電流が流れ込むアノード電極の裏面(アノード電極の反対側の面)に設けられる。金属ワイヤによる接続では、50GHzを超える周波数帯域における高速駆動が金属ワイヤのインダクタンスによって妨げられる可能性がある。
【0007】
本開示は、インダクタンスを低減させることができる光半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一形態に係る光半導体装置は、基板と、基板上に搭載され、信号を伝送する第1パターンと、第1パターンとコプレーナ回路を構成する基準電位を有する第2パターンと、直流電流を供給する第3パターンと、を表面に有するキャリアと、キャリアに搭載され、裏面に設けられておりキャリアの第2パターンと接続する第1電極と、表面に設けられておりキャリアの第1パターンと接続する第2電極と、を有する変調器と、キャリアに搭載され、裏面に設けられておりキャリアの第2パターンと接続される第3電極と、表面に設けられておりキャリアの第3パターンと接続される第4電極と、を有するレーザ部と、一端がキャリアの第2パターンに、他端が第1電極に接続する第1接続部と、一端が基板の表面に、他端がレーザ部の第3電極に接続する第2接続部と、を備え、変調器およびレーザ部は、それぞれの表面とキャリアの表面とが対向するように搭載されている。
【0009】
別の形態に係る光半導体装置は、信号を伝送する第1パターン、および第1パターンとコプレーナ線路を構成する基準電位を有する第2パターン、を表面に有するキャリアと、裏面に設けられておりキャリアの第2パターンと接続する第1電極、および、表面に設けられておりキャリアの第1パターンと接続する第2電極、を有する変調器と、一端がキャリアの第2パターンに接続し、他端が変調器の第1電極に接続する第1接続部と、を備え、変調器の表面と、キャリアの表面が互いに対向している。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、インダクタンスを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施形態に係る光半導体装置におけるキャリア、変調器および第1接続部を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1のキャリア、変調器および第1接続部を模式的に示す断面図である。
【
図3】
図3は、
図1の光半導体装置の基板、キャリアおよび集積型半導体レーザ装置を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、
図3の集積型半導体レーザ装置の変調器およびレーザ部を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、
図1の光半導体装置における基板、キャリア、集積型半導体レーザ装置、第1接続部、および第2接続部を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、変形例に係る第1接続部および第2接続部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[本開示の実施形態の説明]
最初に、本開示の実施形態の内容を列記して説明する。一実施形態に係る光半導体装置はm、基板と、基板上に搭載され、信号を伝送する第1パターンと、第1パターンとコプレーナ回路を構成する基準電位を有する第2パターンと、直流電流を供給する第3パターンと、を表面に有するキャリアと、キャリアに搭載され、裏面に設けられておりキャリアの第2パターンと接続する第1電極と、表面に設けられておりキャリアの第1パターンと接続する第2電極と、を有する変調器と、キャリアに搭載され、裏面に設けられておりキャリアの第2パターンと接続される第3電極と、表面に設けられておりキャリアの第3パターンと接続される第4電極と、を有するレーザ部と、一端がキャリアの第2パターンに、他端が第1電極に接続する第1接続部と、一端が基板の表面に、他端がレーザ部の第3電極に接続する第2接続部と、を備え、変調器およびレーザ部は、それぞれの表面とキャリアの表面とが対向するように搭載されている。
【0013】
この光半導体装置は、基板、キャリアおよび集積型半導体レーザを備え、集積型半導体レーザは変調器およびレーザ部を有する。集積型半導体レーザは、変調器およびレーザ部のそれぞれの表面がキャリアの表面に対向するようにキャリアに搭載されている。キャリアは、その表面に、第1パターン、第2パターンおよび第3パターンを有し、変調器は、その表面に第2電極を有する。また、レーザ部は、その表面に第4電極を有する。第4電極はキャリアの第3パターンに接続されており、第2電極はキャリアの第1パターンに接続されている。また、光半導体装置は第1接続部および第2接続部を備える。第1接続部は、変調器の裏面に形成された第1電極と、キャリアの表面に形成された第2パターンとを接続する。したがって、変調器の裏面に第1電極としてカソード電極が形成されている場合に、線路から給電された高周波信号のリターンパスを確保することができ、接地側に着くインダクタンスを低減させることができる。さらに、第2接続部は、レーザ部の裏面に形成された第3電極と、基板の表面とを接続する。よって、レーザ部が第2接続部を介して基板の表面に接続されており、レーザ部から基板への放熱経路を確保することができるので、放熱性を高めることができる。
【0014】
変調器およびレーザ部は、集積された変調器付半導体レーザであってもよいし、変調器およびレーザ部のそれぞれが別体であってもよい。本開示の変調器およびレーザ部は、それぞれが別体であっても、光半導体装置の第1接続部および第2接続部によって、リターンパスの確保、および放熱経路の確保等のそれぞれの効果を得ることができる。なお、変調器およびレーザ部が集積された変調器付半導体レーザにおいては、集積されていることで、リターンパスおよび放熱経路等のそれぞれが影響を受けやすくなるため、光半導体装置の第1接続部および第2接続部を設けることによる効果をより高めることができる。
【0015】
第1接続部の一端は第1面を有してもよく、第1接続部の他端は第2面を有してもよく、第2接続部の一端は第3面を有してもよく、第2接続部の他端は第4面を有してもよい。この場合、第1接続部の一端と第2パターンとを面接触させることが可能となり、第1接続部の他端と変調器の第1電極とを面接触させることが可能となる。そして、第2接続部の一端と基板の表面とを面接触させることが可能となり、第2接続部の他端とレーザ部の第3電極とを面接触させることが可能となる。したがって、高周波信号のリターンパスの効果、および放熱経路の確保の効果をより高めることができる。
【0016】
第2接続部は、第2接続部の第3面に交差する第5面を更に有し、第2接続部の第3面は、基板の表面と接続し、第2接続部の第5面は、キャリアの側面に沿うように配置されていてもよい。この場合、第2接続部の一側面である第5面をキャリアに沿って配置することができる。
【0017】
基板は、金属または絶縁体によって構成されていてもよい。この場合、金属製の基板、または絶縁体製の基板を用いることが可能となる。
【0018】
キャリアは、絶縁体によって構成されていてもよい。
【0019】
第1接続部は、金属または絶縁体によって構成されていてもよい。この場合、金属製の第1接続部、または絶縁体製の第1接続部を用いることが可能となる。
【0020】
第2接続部は、金属または絶縁体によって構成されていてもよい。この場合、金属製の第2接続部、または絶縁体製の第2接続部を用いることが可能となる。
【0021】
第1接続部および第2接続部の少なくともいずれかは絶縁体によって構成されており、絶縁体の表面に金属パターンが形成されていてもよい。この場合、第1接続部および第2接続部の少なくともいずれかにおける集積型半導体レーザとの接触面に金属パターンを形成することが可能となる。
【0022】
第1接続部および第2接続部は一体とされていてもよい。この場合、第1接続部および第2接続部が1つの部品とされている。よって、部品点数の増加を抑制することができると共に、第1接続部および第2接続部の取り扱いを容易に行うことができる。
【0023】
別の形態に係る光半導体装置は、信号を伝送する第1パターン、および第1パターンとコプレーナ線路を構成する基準電位を有する第2パターン、を表面に有するキャリアと、裏面に設けられておりキャリアの第2パターンと接続する第1電極、および、表面に設けられておりキャリアの第1パターンと接続する第2電極、を有する変調器と、一端がキャリアの第2パターンに接続し、他端が変調器の第1電極に接続する第1接続部と、を備え、変調器の表面と、キャリアの表面が互いに対向している。
【0024】
この光半導体装置は、キャリアおよび変調器を備える。変調器は、その表面がキャリアの表面に対向するようにキャリアに搭載されている。キャリアは、その表面に、第1パターンおよび第2パターンを有し、変調器の表面には第2電極が形成されている。第2電極はキャリアの第1パターンに接続されている。また、光半導体装置は第1接続部を備え、第1接続部は変調器の裏面に形成された第1電極とキャリアの表面に形成された第2パターンとを接続する。したがって、変調器の裏面に第1電極としてカソード電極が形成されている場合に、線路から給電された高周波信号のリターンパスを確保することができる。したがって、接地側に着くインダクタンスを低減させることができる。
【0025】
基板の熱伝導率は、キャリアの熱伝導率より高くてもよい。
【0026】
[本開示の実施形態の詳細]
実施形態の光半導体装置の具体例を以下で図面を参照しながら説明する。なお、本発明は、下記の例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示され、特許請求の範囲と均等の範囲内における全ての変更が含まれることが意図される。図面の説明において、同一または相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、図面は、理解を容易にするため、一部を簡略化または誇張して描いている場合があり、寸法比率等は図面に記載のものに限定されない。
【0027】
図1は、実施形態に係る例示的な光半導体装置1のキャリア10、集積型半導体レーザ20、および第1接続部30を示す斜視図である。
図2は、キャリア10、集積型半導体レーザ20、および第1接続部30の模式的な側面図である。
図3は、光半導体装置1の基板2、キャリア10、および集積型半導体レーザ20を示す斜視図である。
【0028】
集積型半導体レーザ20は、例えば、電界吸収変調器(EA(Electro-Absorption)変調器)を含む電界吸収型変調器集積レーザ(EML:Electro-absorption Modulator Laser Diode)である。集積型半導体レーザ20は、一例として、第3方向D3に厚みを有する板状とされている。
【0029】
図1、
図2および
図3に示されるように、光半導体装置1では、基板2、キャリア10、および集積型半導体レーザ20がこの順で積層されている。基板2は、例えば、銅タングステン(CuW)によって構成されている。基板2は、キャリア10および集積型半導体レーザ20の土台として機能する。なお、基板2の材料は、銅タングステン以外のものであってもよく、銅モリブデン(CuMo)、窒化アルミニウム(AlN)、アルミニウムシリコンカーバイド(Al-SiC)、およびマグネシウムシリコンカーバイド(Mg-SiC)のいずれかであってもよい。
【0030】
例えば、キャリア10は、絶縁体によって構成されている。キャリア10の材料は、一例として、窒化アルミニウム(AlN)であってもよい。AlNは、高い放熱性を有する放熱性材料であるため、キャリア10を介した放熱には適している。しかしながら、AlNの誘電率が高いため、AlN製のキャリア10は、高周波伝送に向かないという側面もある。また、キャリア10は、AlNより放熱性が低い酸化アルミニウム(AlO)であってもよい。
【0031】
基板2はキャリア10が搭載される表面2bを有し、キャリア10は集積型半導体レーザ20が搭載される表面10bを有する。例えば、表面10bは、集積型半導体レーザ20の長手方向である第1方向D1、および、集積型半導体レーザ20の幅方向である第2方向D2に延在すると共に、第3方向D3に厚みを有する。キャリア10は、例えば、第1方向D1および第3方向D3に延在する側面10cと、第2方向D2および第3方向D3に延在する側面10dとを有する。
【0032】
キャリア10は、表面10bに、信号を伝送する第1パターン11と、第1パターン11とコプレーナ回路を構成する基準電位を有する第2パターン12と、直流電流を供給する第3パターン13とを有する。また、集積型半導体レーザ20は変調器21とレーザ部22とを含む変調器付半導体レーザである。変調器21は、キャリア10に対向する表面21bと、キャリア10の反対側を向く裏面21cとを有する。変調器21およびレーザ部22は、集積された変調器付半導体レーザ20であってもよいし、変調器21およびレーザ部22のそれぞれが別体であってもよい。
【0033】
レーザ部22も、変調器21と同様、キャリア10と対向する表面22bと、キャリア10の反対側を向く裏面22cとを有する。集積型半導体レーザ20は、さらに、第1方向D1および第3方向D3に延在する側面20dと、第2方向D2および第3方向D3に延在する側面20fとを有する。側面20dには、第1接続部30および第2接続部40のそれぞれが対向する。
【0034】
光半導体装置1は、更に、キャリア10の表面10b、および変調器21の裏面21cに接続する第1接続部30と、基板2の表面2b、およびレーザ部22の裏面22cに接続する第2接続部40とを備える。第1接続部30の一端はキャリア10の第2パターン12に接続されており、第1接続部30の他端は変調器21の第1導電型の第1電極23に接続されている。
【0035】
例えば、第2パターン12はGNDパターンであり、第1電極23は変調器21のカソード電極である。第1パターン11は、キャリア10の表面10bに設けられており、変調器21の第2電極24に接続される。例えば、第1パターン11は信号を伝送するパターン電極であり、第2電極24は変調器21のアノード電極である。
【0036】
図4は、
図3の集積型半導体レーザ20を拡大した斜視図である。
図4に示されるように、変調器21のアノード電極と接続する第1パターン11は高周波信号を伝送する。例えば、アノード電極である第2電極24には吸収電流が流れる。第1パターン11は、例えば、キャリア10および集積型半導体レーザ20の対向位置から第2方向D2の一方側に延び出すと共に第1方向D1に沿うように湾曲している。
【0037】
キャリア10の表面10bと変調器21の表面21bとの間には、表面10bから突出するピラー10fが介在する。ピラー10fは、キャリア10の第1パターン11と変調器21のアノード電極を電気的に接続するものである。また、キャリア10は、例えば、複数のピラー10gを有する(図示なし)。この複数のピラー10gは、レーザ部22のアノード電極とキャリア10のパターンとを電気的に接続するものである。また、集積型半導体レーザ20は、キャリア10にフリップチップ実装されており複数のピラー10hは、フリップチップ実装を安定して行うために設けられる。
【0038】
第1パターン11は、第1方向D1に延びる第1延在部11bと、第1延在部11bから湾曲すると共に集積型半導体レーザ20に向かう第2延在部11cとを有する。第1パターン11は、例えば、金(Au)によって構成されている。第2パターン12は、例えば、キャリア10の表面10bに設けられた線路GNDである。
【0039】
集積型半導体レーザ20のレーザ部22は、例えば、発熱体である。レーザ部22は、裏面22cに設けられる第1導電型の第3電極25と、表面22bに設けられておりキャリア10の第3パターン13と接続される第2導電型の第4電極26とを有する。第3パターン13は、レーザ部22に直流電流(LD電流)を供給する。第3電極25は、例えば、前述した第1電極23と共に、集積型半導体レーザ20の裏面共通カソードを構成する。
【0040】
図5は、キャリア10と集積型半導体レーザ20とを互いに接続する第1接続部30、および基板2と集積型半導体レーザ20とを互いに接続する第2接続部40を示す斜視図である。
図5に示されるように、第1方向D1に沿って見た第1接続部30の形状はL字状とされており、L字の内側部分に集積型半導体レーザ20(変調器21)が配置されている。第2接続部40は、第1接続部30と同様、L字状とされており、L字の内側部分に集積型半導体レーザ20(レーザ部22)が配置されている。
【0041】
図2および
図5に示されるように、第1接続部30は、キャリア10の第2パターン12に接続する一端に第1面31を有し、変調器21の第1電極23に接続する他端に第2面32を有する。すなわち、第1接続部30は、変調器21のアノード電極(第2電極24)から第1接続部30(第2面32及び第1面31)を介して線路GND(第2パターン12)に接続される。
【0042】
第1接続部30は、高周波リターンパスXを形成する。第1接続部30のインダクタンスは第2接続部40のインダクタンスと比較して小さい。第2接続部40は、レーザ部22のアノード電極(第4電極26)から第2接続部40(第4面42及び第3面41)を介して基板2(表面2b)に接続される。第2接続部40は、レーザ部22から基板2まで延びる放熱経路Yを形成する。例えば、第2接続部40の熱抵抗は、第1接続部30の熱抵抗よりも小さい。
【0043】
図6は、第1接続部30を示す斜視図である。
図5および
図6に示されるように、第1接続部30は、キャリア10に接続する第1面31と、変調器21に接続する第2面32と、第1面31および第2面32の間において延在する内側面33と、L形状を呈すると共に第1方向D1に沿って並ぶ一対の外側面34とを有する。
【0044】
例えば、第1面31、第2面32、内側面33および外側面34のそれぞれは平坦状を呈する。第1面31、第2面32および内側面33は、例えば、長方形状を呈する。第1接続部30の内側面33は、例えば、変調器21から離間している。例えば、第2面32の面積は、第1面31の面積よりも広い。これにより、変調器21の裏面21cとの接触面積を広く確保することができるので、GND側につくインダクタンス(以下ではLgndと称することもある)を低減させることが可能となる。
【0045】
図7は、第2接続部40を示す斜視図である。
図5および
図7に示されるように、第2接続部40は、基板2の表面2bに接続する第3面41と、レーザ部22に接続する第4面42と、第3面41の第2方向D2の一端から第3方向D3および第1方向D1に延びる第5面43と、を含む。例えば、第3面41は、土台となる基板2に接続する土台接続箇所である。第4面42は、例えば、集積型半導体レーザ20のレーザ部22(裏面22c)との接続箇所である。
【0046】
さらに、第2接続部40は、L形状を呈すると共に第1方向D1に沿って並ぶ一対の外側面44と、L字の内側に突出する凸部45とを有する。凸部45は、第1方向D1および第2方向D2に延在するキャリア対向面45bと、第1方向D1および第3方向D3に延在するレーザ対向面45cとを有する。キャリア対向面45bは、例えば、キャリア10の第2パターン12に接続する箇所である。
【0047】
第3面41、第4面42、第5面43、外側面44、キャリア対向面45bおよびレーザ対向面45cのそれぞれは、例えば、平坦状を呈する。第3面41、第4面42、第5面43、キャリア対向面45bおよびレーザ対向面45cは、例えば、長方形状を呈する。第2接続部40の第5面43は、例えば、キャリア10の側面10cに沿って延在する。例えば、第4面42の面積は、第3面41の面積よりも広い。第5面43は、例えば、キャリア10に突き当てられる壁部を構成する。
【0048】
これにより、レーザ部22の裏面22cとの接触面積を広く確保することができるので、レーザ部22からの放熱性を高めることができる。第2接続部40は、放熱性を高めるため、フィンを有していてもよい。第2接続部40は、レーザ部22からキャリア10を超えて基板2まで延びる放熱経路Yに沿ってレーザ部22の熱を基板2に放熱する。
【0049】
したがって、キャリア10における放熱性を考慮する必要を低減させることができるので、キャリア10の材料の自由度を高めることができる。その結果、放熱性を考慮せず高周波に適したキャリア10の設計が可能となるので、キャリア10によって良好な高周波特性を実現させることができる。
【0050】
第2接続部40の第5面43およびキャリア対向面45bの少なくともいずれかがキャリア10に接触していてもよい。例えば、キャリア対向面45bがキャリア10の表面10bに接触する場合、キャリア10および集積型半導体レーザ20に対する第2接続部40の位置合わせを容易に行うことができる。
【0051】
例えば、第1接続部30および第2接続部40の少なくともいずれかが金属によって構成されていてもよい。例えば、第2接続部40が金属製である場合、金属は絶縁体よりも高い放熱性を有することにより、第2接続部40を介したレーザ部22から基板2への放熱性を高めることが可能となる。
【0052】
第1接続部30および第2接続部40の少なくともいずれかが金属製である場合、第1接続部30および第2接続部40の材料は、例えば、銅タングステン(CuW)、銅モリブデン(CuMo)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、白金(Pt)、または、これらの少なくともいずれかが含まれる合金である。
【0053】
しかしながら、第1接続部30および第2接続部40の材料は金属以外のものであってもよい。例えば、第1接続部30および第2接続部40の少なくともいずれかが絶縁体によって構成されていてもよい。第1接続部30および第2接続部40の材料は、例えば、窒化アルミ(AlN)であってもよいし、合成ダイヤモンド結晶であってもよい。
【0054】
第1接続部30または第2接続部40が絶縁体によって構成される場合、第1接続部30における変調器21またはキャリア10に接触する面(例えば、第1面31および第2面32)、並びに、第2接続部40におけるレーザ部22、キャリア10または基板2に接触する面(例えば、第3面41、第4面42およびキャリア対向面45b)に、金属パターンが形成されている。このように、第1接続部30または第2接続部40が絶縁体によって構成される場合、高周波特性を良好にすることができ、レーザ部22でも高周波リターンパスの効果を得ることができる。
【0055】
第1接続部30の材料と、第2接続部40の材料とは、互いに同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。例えば、第1接続部30が絶縁体によって構成されており、第2接続部40が金属によって構成されていてもよい。この場合、第1接続部30において高周波リターンパスの効果を得ることができると共に、第2接続部40において発熱体であるレーザ部22の放熱をより効果的に行うことができる。
【0056】
次に、実施形態に係る光半導体装置1から得られる作用効果について説明する。光半導体装置1は、基板2、キャリア10および集積型半導体レーザ20を備え、集積型半導体レーザ20は変調器21およびレーザ部22を有する。集積型半導体レーザ20は、変調器21およびレーザ部22のそれぞれの表面21b,22bがキャリア10の表面10bに対向するようにキャリア10に搭載されている。キャリア10は、その表面10bに、第1パターン11、第2パターン12および第3パターン13を有し、変調器21は、その表面21bに第2電極24を有する。また、レーザ部22は、その表面22bに第4電極26を有する。第4電極26はキャリア10の第3パターン13に接続されており、第2電極24はキャリア10の第1パターン11に接続されている。
【0057】
また、光半導体装置1は第1接続部30および第2接続部40を備える。第1接続部30は、変調器21の裏面21cに形成された第1電極23と、キャリア10の表面10bに形成された第2パターン12とを接続する。したがって、変調器21の裏面21cに第1電極23としてカソード電極が形成されている場合に、線路(第1パターン11)から給電された高周波信号のリターンパスを確保することができ、GND側に着くインダクタンスを低減させることができる。
【0058】
さらに、第2接続部40は、レーザ部22の裏面22cに形成された第3電極25と、基板2の表面2bとを接続する。よって、レーザ部22が第2接続部40を介して基板2の表面2bに接続されており、レーザ部22から基板2への放熱経路Yを確保することができるので、放熱性を高めることができる。
【0059】
第1接続部30の一端は第1面31を有してもよく、第1接続部30の他端は第2面32を有してもよく、第2接続部40の一端は第3面41を有してもよく、第2接続部40の他端は第4面42を有する。よって、第1接続部30の一端と第2パターン12とを面接触させることが可能となり、第1接続部30の他端と変調器21の第1電極23とを面接触させることが可能となる。そして、第2接続部40の一端と基板2の表面2bとを面接触させることが可能となり、第2接続部40の他端とレーザ部22の第3電極25とを面接触させることが可能となる。したがって、高周波リターンパスXの効果、および放熱経路Yの確保の効果をより高めることができる。
【0060】
なお、変調器21およびレーザ部22は、集積された変調器付半導体レーザ20であってもよいし、変調器21およびレーザ部22のそれぞれが別体であってもよい。本開示の変調器21およびレーザ部22は、それぞれが別体であっても、光半導体装置1の第1接続部30および第2接続部40によって、リターンパスの確保、および放熱経路の確保等のそれぞれの効果を得ることができる。なお、変調器21およびレーザ部22が集積された変調器付半導体レーザ20においては、集積されていることで、リターンパスおよび放熱経路等のそれぞれが影響を受けやすくなるため、光半導体装置1の第1接続部30および第2接続部40を設けることによる効果をより高めることができる。
【0061】
第2接続部40は、第2接続部40の第3面41に交差する第5面43を更に有し、第2接続部40の第3面41は、基板2の表面2bと接続し、第2接続部40の第5面43は、キャリア10の側面10cに沿うように配置されている。よって、第2接続部40の一側面である第5面43をキャリア10に沿って配置することができる。
【0062】
基板2は、金属または絶縁体によって構成されていてもよい。この場合、金属製の基板2、または絶縁体性の基板2を用いることが可能となる。
【0063】
キャリア10は、絶縁体によって構成されていてもよい。
【0064】
第1接続部30は、金属または絶縁体によって構成されていてもよい。この場合、金属製の第1接続部30、または絶縁体製の第1接続部30を用いることが可能となる。
【0065】
第2接続部40は、金属または絶縁体によって構成されていてもよい。この場合、金属製の第2接続部40、または絶縁体性の第2接続部40を用いることが可能となる。
【0066】
第1接続部30および第2接続部40の少なくともいずれかは絶縁体によって構成されており、絶縁体の表面に金属パターンが形成されていてもよい。この場合、第1接続部30および第2接続部40の少なくともいずれかにおける集積型半導体レーザ20、キャリア10または基板2との接触面に金属パターンを形成することが可能となる。なお、基板2の熱伝導率は、キャリア10の熱伝導率より高くてもよい。
【0067】
次に、
図8を参照しながら、変形例に係る第1接続部および第2接続部を備えた接続部50について説明する。接続部50は、前述した第1接続部30と同一形状の第1接続部60、および第2接続部40と同一形状の第2接続部70を備える。第1接続部60は、第1接続部30と同様、第1面31、第2面32、内側面33、および外側面34を有する。第2接続部70は、第2接続部40と同様、第3面41、第4面42、第5面43、外側面44、および凸部45を有する。
【0068】
以上、変形例に係る光半導体装置では、第1接続部60および第2接続部70が一体とされている。すなわち、第1接続部60および第2接続部70が1つの部品とされている。よって、部品点数の増加を抑制することができると共に、第1接続部60および第2接続部70の取り扱いを容易に行うことができる。
【0069】
以上、本開示に係る光半導体装置の実施形態および変形例について説明した。しかしながら、本発明は、前述した実施形態に限定されない。すなわち、本発明が特許請求の範囲に記載された要旨を変更しない範囲において種々の変形および変更が可能であることは、当業者によって容易に認識される。例えば、光半導体装置の各部品の形状、大きさ、数、材料および配置態様は、前述した内容に限られず適宜変更可能である。
【0070】
例えば、前述の実施形態では、基板2と、レーザ部22を備えた集積型半導体レーザ20と、第2接続部40とを備える例について説明した。しかしながら、基板2、レーザ部22および第2接続部40の少なくともいずれかが省略された光半導体装置であってもよい。すなわち、キャリア10、変調器21、および第1接続部30のみを備えた光半導体装置であってもよい。この場合も、変調器21の裏面21cにカソード電極が形成されている場合に、線路から給電された高周波リターンパスXを確保することができる。したがって、GND側に着くインダクタンスを低減させることができる。
【符号の説明】
【0071】
1…光半導体装置
2…基板
2b…表面
10…キャリア
10b…表面
10c,10d…側面
10f…ピラー
11…第1パターン
11b…第1延在部
11c…第2延在部
12…第2パターン
13…第3パターン
20…集積型半導体レーザ(変調器付半導体レーザ)
20d,20f…側面
21…変調器
21b…表面
21c…裏面
22…レーザ部
22b…表面
22c…裏面
23…第1電極
24…第2電極
25…第3電極
26…第4電極
30,60…第1接続部
31…第1面
32…第2面
33…内側面
34…外側面
40,70…第2接続部
41…第3面
42…第4面
43…第5面
44…外側面
45…凸部
45b…キャリア対向面
45c…レーザ対向面
50…接続部
D1…第1方向
D2…第2方向
D3…第3方向