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特許7480655移動体における異常診断システム、異常診断方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】移動体における異常診断システム、異常診断方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01M 13/04 20190101AFI20240501BHJP
   B60L 3/00 20190101ALI20240501BHJP
   B61L 25/04 20060101ALI20240501BHJP
   G01H 17/00 20060101ALI20240501BHJP
   G01M 17/007 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
G01M13/04
B60L3/00 N
B61L25/04
G01H17/00 A
G01M17/007 J
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020157722
(22)【出願日】2020-09-18
(65)【公開番号】P2022051306
(43)【公開日】2022-03-31
【審査請求日】2023-04-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 一弘
【審査官】岡村 典子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-058212(JP,A)
【文献】特開2016-109647(JP,A)
【文献】特開2004-212225(JP,A)
【文献】特開2012-100434(JP,A)
【文献】特開2020-038124(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0152250(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 13/00-13/045,99/00
G01H 1/00-17/00
B60L 1/00-3/12,7/00-13/00
B60L 15/00-58/4
B61L 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体を構成する構成部品の状態情報を取得する状態センサと、
前記移動体の位置情報を取得する位置センサと、
前記移動体が所定の区間に位置した際の前記構成部品の状態情報に基づいて、前記構成部品の状態情報に対する初期値と、当該初期値からの変化量に対する閾値を導出して設定する設定部と、
前記位置センサにて取得される位置情報に基づいて前記移動体が前記所定の区間に位置したことを検知した際に、前記初期値と前記状態センサにて取得される状態情報との差分が前記値を超えるか否かにより前記構成部品の異常診断を行う診断部と
を備え
前記設定部は、前記移動体が移動する位置のうち所定の条件を満たす範囲を検出して前記所定の区間として設定し、前記所定の区間と前記初期値と前記閾値を対応付けて設定することを特徴とする異常診断システム。
【請求項2】
前記設定部は、新品の構成部品が一定の駆動を行った時点での状態情報に基づいて、当該新品の構成部品に対する初期値を決定することを特徴とする請求項1に記載の異常診断システム。
【請求項3】
前記設定部は、前記構成部品に対して設定された初期値に所定の比率または固定値を適用することにより、前記閾値を決定することを特徴とする請求項1または2に記載の異常診断システム。
【請求項4】
前記設定部は、前記構成部品の異常の緊急度に応じた複数の閾値を設定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の異常診断システム。
【請求項5】
前記設定部は、前記移動体の移動履歴に基づいて前記所定の区間を設定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の異常診断システム。
【請求項6】
前記診断部による診断結果を報知する報知部を更に有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の異常診断システム。
【請求項7】
前記状態センサは、前記構成部品の振動情報を取得する振動センサであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の異常診断システム。
【請求項8】
前記状態センサは、前記構成部品の温度情報を取得する温度センサであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の異常診断システム。
【請求項9】
前記状態センサは、前記構成部品の音情報を取得する音センサであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の異常診断システム。
【請求項10】
前記所定の条件を満たす範囲は、前記移動体が定期的に走行する位置を含む、請求項1に記載の異常診断システム。
【請求項11】
前記所定の条件を満たす範囲は、前記構成部品が交換されてから一定の走行が行われた時点の位置を含む、または、前記構成部品が交換されてから一定の駆動が行われた時点の位置を含む、請求項1に記載の異常診断システム。
【請求項12】
前記構成部品は、軸受であることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載の異常診断システム。
【請求項13】
移動体を構成する構成部品の異常診断方法であって、
前記構成部品の状態情報を取得する工程と、
前記移動体の位置情報を取得する工程と、
前記移動体が所定の区間に位置した際の前記構成部品の状態情報に基づいて、前記構成部品の状態情報に対する初期値と、当該初期値からの変化量に対する閾値を導出して設定する工程と、
前記位置情報に基づいて前記移動体が前記所定の区間に位置したことを検知した際に、前記初期値と前記構成部品の状態情報との差分が前記値を超えるか否かにより前記構成部品の異常診断を行う工程と
を有し、
前記所定の区間は、前記移動体が移動する位置のうち所定の条件を満たす範囲を検出して設定され、前記所定の区間と前記初期値と前記閾値が対応付けて設定されることを特徴とする異常診断方法。
【請求項14】
コンピュータに、
移動体を構成する構成部品の状態情報を取得する工程と、
前記移動体の位置情報を取得する工程と、
前記移動体が所定の区間に位置した際の前記構成部品の状態情報に基づいて、前記構成部品の状態情報に対する初期値と、当該初期値からの変化量に対する閾値を導出して設定する工程と、
前記位置情報に基づいて前記移動体が前記所定の区間に位置したことを検知した際に、前記初期値と前記構成部品の状態情報との差分が前記値を超えるか否かにより前記構成部品の異常診断を行う工程と
実行させ
前記所定の区間は、前記移動体が移動する位置のうち所定の条件を満たす範囲を検出して設定され、前記所定の区間と前記初期値と前記閾値が対応付けて設定されるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、移動体における異常診断システム、異常診断方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、軸受など装置の構成部品において機械的破損が発生した場合、その破損が拡大することに伴って振動や騒音が増加し、更には、破損片が噛み込んでしまい回転をロックするような事象が生じ得る。このような事象を避けるためにも、破損の程度が小さい段階で破損を検出し、対処することが求められる。
【0003】
例えば、特許文献1では、鉄道車両に取り付けられたセンサユニットからの検出信号に基づいて、車両の異常を検知し報知する鉄道車両用異常診断システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-100434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の構成においては、回避したい事象に応じて診断閾値を設定することが行われている。しかしながら、特許文献1では、検知対象となる部品それぞれの個体差までは考慮されていないため、製品量産時に同型の製品共通の閾値を設定する場合には、大量のデータと統計的な作業に基づいて閾値を設定する必要がある。そのため、部品に対して適切な閾値を設定するための検証等の負荷が増大してしまう。
【0006】
上記課題を鑑み、本願発明は、移動体の構成部品に対する異常診断において、異常診断に用いられる設定作業に係る手間を低減しつつ、構成部品の故障を未然に防ぐことを可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本願発明は以下の構成を有する。すなわち、移動体を構成する構成部品の異常診断システムであって、移動体を構成する構成部品の状態情報を取得する状態センサと、前記移動体の位置情報を取得する位置センサと、前記移動体が所定の区間に位置した際の前記構成部品の状態情報に基づいて、前記構成部品の状態情報に対する初期値と、当該初期値からの変化量に対する閾値を設定する設定部と、前記位置センサにて取得される位置情報に基づいて前記移動体が前記所定の区間に位置したことを検知した際に、前記初期値と前記状態センサにて取得される状態情報との差分が前記所定の閾値を超えるか否かにより前記構成部品の異常診断を行う診断部とを備える。
【0008】
また、本願発明の別の形態は以下の構成を有する。すなわち、移動体を構成する構成部品の異常診断方法であって、前記構成部品の状態情報を取得する工程と、前記移動体の位置情報を取得する工程と、前記移動体が所定の区間に位置した際の前記構成部品の状態情報に基づいて、前記構成部品の状態情報に対する初期値と、当該初期値からの変化量に対する閾値を設定する工程と、前記位置情報に基づいて前記移動体が前記所定の区間に位置したことを検知した際に、前記初期値と前記構成部品の状態情報との差分が前記所定の閾値を超えるか否かにより前記構成部品の異常診断を行う工程とを有する。
【0009】
また、本願発明の別の形態は以下の構成を有する。すなわち、プログラムであって、コンピュータに、移動体を構成する構成部品の状態情報を取得する工程と、前記移動体の位置情報を取得する工程と、前記移動体が所定の区間に位置した際の前記構成部品の状態情報に基づいて、前記構成部品の状態情報に対する初期値と、当該初期値からの変化量に対する閾値を設定する工程と、前記位置情報に基づいて前記移動体が前記所定の区間に位置したことを検知した際に、前記初期値と前記構成部品の状態情報との差分が前記所定の閾値を超えるか否かにより前記構成部品の異常診断を行う工程と実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本願発明により、移動体の構成部品に対する異常診断において、異常診断に用いられる設定作業に係る手間を低減しつつ、構成部品の故障を未然に防ぐことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施形態に係るシステムの全体構成の例を示す図。
図2】第1の実施形態に係る異常診断の流れの概略を示す図。
図3】第1の実施形態に係る異常診断に用いる初期値の設定処理のフローチャート。
図4】第1の実施形態に係る診断処理のフローチャート。
図5】第2の実施形態に係るシステムの全体構成の例を示す図。
図6】第3の実施形態に係る車両の機能構成の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本願発明を実施するための形態について図面などを参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本願発明を説明するための一実施形態であり、本願発明を限定して解釈されることを意図するものではなく、また、各実施形態で説明されている全ての構成が本願発明の課題を解決するために必須の構成であるとは限らない。また、各図面において、同じ構成要素については、同じ参照番号を付すことにより対応関係を示す。
【0013】
<第1の実施形態>
以下、本願発明の第1の実施形態について説明を行う。なお、本願発明は、走行などによる移動が可能な移動体に適用可能である。このような移動体としては、四輪車や二輪車などの車両、鉄道車両などが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0014】
[全体構成]
図1は、本実施形態に係る異常診断システムを搭載した移動体の全体構成の一例を示す図である。ここでは、移動体の一例として、走行による移動が可能な車両を例に挙げて説明する。車両1は、センサ部10、本実施形態に係る異常診断の対象となる構成部品20、および診断部30を含んで構成される。構成部品20としては、軸受を想定して説明するが、これに限定するものではない。例えば、消耗品としての部品であるブレーキパッドやクラッチなどが構成部品20として扱われてよい。なお、車両1は、構成部品20を含む、走行に関連する部位を備えるものとするが、ここでは説明を簡単にするため、構成部品20以外の部位については説明を省略する。
【0015】
センサ部10は、位置センサ11、および振動センサ12を含む。位置センサ11は、車両1の現在の位置を検出するためのセンサである。位置センサ11としては、GPS(Global Positioning System)などの測位衛星を利用する全世界測位システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)が用いられてもよい。または、位置センサ11は、周辺に設置された通信機器を介して移動体の位置情報を取得するような構成のセンサであってもよい。なお、GNSS装置において、精度よく位置を特定するために複数の測位衛星が利用されてよい。位置情報には、例えば、緯度、経度、高度の情報が含まれてよい。振動センサ12は、例えば、加速度センサにより構成され、車両1の内部(より具体的には構成部品20)にて発生している振動を検知するためのセンサである。振動センサ12は、構成部品20の状態を検知する際の精度を向上させるため、構成部品20の近傍に設置することが望ましい。ここでの構成部品20と振動センサ12との距離や位置関係は、構成部品20の構造や、振動センサ12の精度などに応じて規定されてよい。
【0016】
なお、図1においては、振動センサ12および構成部品20をそれぞれ1つのみ示しているが、この構成に限定するものではない。例えば、診断対象となる構成部品20の構造や車両1の構造などに応じて、複数の振動センサ12が備えられてもよい。また、車両1を構成する部品類において、複数の部品を診断対象となる構成部品20としてもよい。
【0017】
診断部30は、位置情報取得部31、振動情報取得部32、診断処理部33、パラメータ設定部34、記憶部35、および報知処理部36を含んで構成される。位置情報取得部31は、位置センサ11にて検知された車両1の位置情報を取得する。位置情報の取得は、所定間隔にて行われてもよいし、車両1が移動を行っていることを検知した場合に開始されてもよい。振動情報取得部32は、振動センサ12にて検知された、車両1にて発生している振動情報を取得する。振動情報の取得は、例えば、車両1が移動を行っていることを検知した場合に行われてよい。
【0018】
診断処理部33は、本実施形態に係る診断処理を実行する。本実施形態に係る診断処理の詳細は後述する。パラメータ設定部34は、診断処理に用いられる各種パラメータを設定する。本実施形態に係る各種パラメータの詳細については後述する。記憶部35は、本実施形態に係る各種情報(例えば、位置情報や振動情報)を保持、管理する。報知処理部36は、診断処理の結果の報知処理を行う。報知処理部36の報知方法は特に限定するものではなく、画面出力などによる視覚的な報知方法であってもよいし、音声出力などによる聴覚的な報知方法を用いてもよい。
【0019】
[処理の流れ]
図2は、本実施形態に係る診断処理に係る全体の流れの概略を示す図である。本実施形態に係る処理は、大きく分けて設定フェーズと診断フェーズに分けられる。設定フェーズでは、診断処理に用いられる各種設定値(パラメータ)を設定する。
【0020】
設定フェーズでは、診断区間設定処理S211、初期値設定処理S212、および閾値設定処理S213を含んで構成される。診断区間設定処理S211では、後述する診断処理が実行される位置や区間(以下、「診断区間」と称する)を設定する。診断区間は、例えば、車両1や構成部品20の製造者や管理者が任意のタイミングで設定してもよいし、所定の条件を満たす位置周辺を自動的に診断区間として設定されてもよい。ここでの所定の条件とは、例えば、車両1が定期的に走行する位置であってもよいし、新品の構成部品20に交換してから一定の走行(または、構成部品20の一定の駆動)が行われた時点の位置周辺であってもよい。設定された診断区間の情報は、記憶部35にて保持、管理される。なお、診断区間は、車両1が備えるナビゲーションシステム(不図示)と診断部30とが連携を行い、当該ナビゲーションシステムが保持する地図情報に基づいて決定されてもよい。
【0021】
初期値設定処理S212では、構成部品20に対する診断において、基準値となる初期値を設定する。本実施形態では、新品の構成部品20が正常である状態にて安定駆動している際に発生する振動値が、初期値として設定される。例えば、車両1や構成部品20の製造者や管理者が、車両1が上記の診断区間に位置する際に任意のタイミングにて構成部品20から得られた振動値を初期値として設定してもよいし、構成部品20が所定の条件を満たした際に発生する振動値を自動的に初期値として設定されてもよい。ここでの所定の条件とは、例えば、新品の構成部品20に交換してから一定の走行(または、構成部品20の一定の駆動)が行われた後の、車両1が上記の診断区間に位置する際の振動値であってもよい。つまり、構成部品20に対する初期動作(いわゆる、ならし動作)が完了した時点の振動値であってよい。設定された初期値は、記憶部35にて保持、管理される。
【0022】
閾値設定処理S213では、構成部品20に対する診断において、構成部品20が異常であると判断する際の閾値を設定する。本実施形態に係る閾値は、上述した初期値からの差分(変化量)に対する閾値を示す。具体的には、振動センサ12にて検知された構成部品20の振動情報の値と設定されている初期値との差分が、設定されている閾値を超えた場合に、構成部品20は、異常であると診断される。閾値は、車両1や構成部品20の製造者や管理者が任意のタイミングで設定してよいし、設定された初期値との関係に基づいて自動的に導出して設定されてもよい。設定された閾値は、記憶部35にて保持、管理される。
【0023】
上述した構成により、設定フェーズでは、構成部品20に対して、診断位置、構成部品20の振動情報に対する初期値、および、構成部品20の振動情報の変化量に対する閾値が、対応付けて管理されることとなる。複数の構成部品を診断対象とする場合、これらの情報が複数の構成部品それぞれに対して設定される。また、構成部品20が交換された場合などに、上記情報も更新されることとなる。
【0024】
診断フェーズは、車両1の位置情報に基づき、車両1が診断区間に位置した際に行われる。診断フェーズは、診断開始判定処理S221、振動値導出処理S222、変化量導出処理S223、異常判定処理S224、および診断結果出力処理S225を含んで構成される。
【0025】
診断開始判定処理S221では、位置センサ11にて検知された車両1の現在の位置情報202を参照し、診断区間設定処理S211にて設定された診断区間に車両1が位置している場合に、診断処理を開始させる制御を行う。振動値導出処理S222では、振動センサ12にて検知された振動情報201に基づいて、構成部品20にて発生している振動値を導出する。ここでの導出方法は特に限定するものではないが、局所的な値やノイズによる影響を抑制するために、所定の単位時間あたりの実効値、平均値、移動平均値などが用いられてよい。もしくは、振動情報201にLFP(Low Pass Filter)などを適用し、ノイズを除去するような構成であってもよい。
【0026】
変化量導出処理S223では、振動値導出処理S222にて導出した振動値と、初期値設定処理S212にて設定された初期値との差分(変化量)を導出する。異常判定処理S224では、変化量導出処理S223にて導出された変化量が、閾値設定処理S213にて設定された閾値を超えるか否かに基づいて、構成部品20が正常か異常かを診断する。診断結果出力処理S225では、異常判定処理S224による判定結果を診断結果203として出力する。
【0027】
[処理フロー]
(設定処理)
図3は、本実施形態に係る診断部30のパラメータ設定部34による設定処理を示すフローチャートである。本処理は、例えば、車両1が備えるCPU(Central Processing Unit)やECU(Electronic Control Unit)が図1に示した各部位を実現するためのプログラムをHDD(Hard Disk Drive)やROM(Read Only Memory)などの記憶装置から読み出して実行することにより実現されてよい。また、本処理は、図2に示した設定フェーズに対応する。上述したように、本実施形態に係る構成部品20の診断に用いられる各種パラメータは、構成部品20や車両1の製造者や管理者が任意のタイミングで設定してもよいし、所定の条件を満たすタイミングにて任意の値が自動的に設定されてもよい。ここでは、システム側で自動的に設定する場合の処理フローの一例について説明する。
【0028】
S301にて、パラメータ設定部34は、構成部品20の駆動状態の監視を開始する。なお、構成部品20の駆動状態の監視は、車両1の走行開始の信号を検知したタイミングで開始されてもよいし、振動センサ12が構成部品20の振動を検知した際に開始されてもよい。
【0029】
S302にて、パラメータ設定部34は、車両1の走行経路の監視を開始する。上述したように位置センサ11は車両1の位置情報を取得可能であるため、この情報を定期的に取得することで走行経路を特定することが可能である。取得した位置情報は、走行履歴として記憶部35に適時保持されてよい。
【0030】
S303にて、パラメータ設定部34は、構成部品20に対する初期値および閾値の設定は完了しているか否かを判定する。例えば、構成部品20が新たに交換された場合には、初期値や閾値は初期化されていてよく、この場合に設定が未完了と判定される。初期値および閾値の設定が完了している場合(S303にてYES)、パラメータ設定部34の処理はS309へ進む。一方、初期値および閾値の設定が完了していない場合(S303にてNO)、パラメータ設定部34の処理はS304へ進む。
【0031】
S304にて、パラメータ設定部34は、構成部品20の駆動時間が所定時間以上となったか否かを判定する。ここでの所定時間は、構成部品20に対するならし動作のための駆動時間に対する閾値であり、任意の値を設定してよい。この所定時間は予め設定され、記憶部35などに保持されていてよい。ならし動作が不要である場合には、ここでの所定時間は構成部品20が安定動作を行うまでの比較的小さい時間に設定されてもよい。駆動時間は、S301の駆動状態の監視を開始してからの累積時間により算出してよい。駆動時間が所定時間以上となった場合(S304にてYES)、パラメータ設定部34の処理はS305へ進む。一方、駆動時間が所定時間未満である場合(S304にてNO)、パラメータ設定部34の処理はS309へ進む。
【0032】
S305にて、パラメータ設定部34は、振動センサ12を介して構成部品20の振動情報を取得する。ここでの振動情報は、予め規定された時間間隔における振動情報であってもよい。
【0033】
S306にて、パラメータ設定部34は、S305にて取得した振動情報に基づいて構成部品20の振動値を導出する。上述したように、S305にて取得した振動情報を用いて、所定の単位時間あたりの実効値、平均値、移動平均値などが用いられてよい。または、LFP(Low Pass Filter)などを適用して振動値を導出してもよい。本実施形態では、ここで導出した振動値を構成部品20の初期値として扱う。
【0034】
S307にて、パラメータ設定部34は、S306にて導出した初期値に基づいて閾値を導出する。例えば、S306にて初期値を導出する際に用いた振動情報にて示される振動幅から閾値を決定してもよい。または、初期値に対する所定の比率や増減値(固定値)を規定しておき、それらを適用することで閾値を決定してもよい。なお、閾値の導出方法は特に限定するものではなく、他の手法を適用してもよい。
【0035】
S308にて、パラメータ設定部34は、S306にて導出した初期値およびS307にて導出した閾値を記憶部35に記憶させる。
【0036】
S309にて、パラメータ設定部34は、診断区間は設定済みか否かを判定する。すなわち、パラメータ設定部34は、設定された初期値および閾値を用いて診断を行うための診断区間がすでに設定されているか否かを判定する。診断区間が設定済みである場合(S309にてYES)、パラメータ設定部34の処理はS312へ進む。診断区間が未設定である場合(S309にてNO)、パラメータ設定部34の処理はS310へ進む。
【0037】
S310にて、パラメータ設定部34は、監視している車両1の走行経路に基づいて、所定の条件を満たす位置を検知したか否かを判定する。所定の条件を満たす位置としては、所定の時間間隔において一定回数以上走行した位置であってもよいし、車両1が位置する頻度が高い位置(例えば、駐車場や駅周辺など)であってもよい。本実施形態において、診断区間は、初期値および閾値が導出された際に用いられた振動情報を取得した位置を含むように設定される。言い換えると、本実施形態において、初期値および閾値は、診断区間の範囲内で得られた振動情報に基づいて設定されることとなる。
【0038】
S311にて、パラメータ設定部34は、S310にて検知した位置を基準として所定の範囲を診断区間として設定する。つまり、パラメータ設定部34は、車両1などの移動体の移動履歴に基づいて、診断区間を決定してよい。このとき、診断区間は、車両1が備えるナビゲーションシステム(不図示)が保持する地図情報を更に用いて決定されてもよい。そして、パラメータ設定部34は、設定した診断区間を記憶部35に記憶させる。
【0039】
S312にて、パラメータ設定部34は、初期値、閾値、および診断区間の設定が完了したか否かを判定する。設定が完了している場合(S312にてYES)、本処理フローを終了する。一方、設定が完了していない場合(S312にてNO)、パラメータ設定部34の処理は、S303へ戻り、以降の処理を繰り返す。
【0040】
なお、初期値および閾値の設定と、診断区間の設定の順は、図3の流れに限定するものではない。図3の流れとは逆に、診断区間を決定した上で、初期値および閾値を設定するような構成であってもよい。
【0041】
(診断処理)
図4は、本実施形態に係る診断部30の診断処理部33による診断処理を示すフローチャートである。本処理は、例えば、車両1が備えるCPUやECUが図1に示した各部位を実現するためのプログラムをHDDやROMなどの記憶装置から読み出して実行することにより実現されてよい。また、本処理フローは、車両1の移動を検知したタイミングにて開始されてよい。
【0042】
S401にて、診断処理部33は、位置センサ11にて検知した車両1の現在の位置を示す位置情報を取得する。ここでの位置情報は、例えば、緯度、経度、高度により示されてよい。
【0043】
S402にて、診断処理部33は、S401にて取得した位置情報に基づき、車両1の現在の位置が、予め設定された診断区間の範囲内か否かを判定する。上述したように、診断区間は予め設定され、記憶部35に保持されているものとする。車両1の現在位置が診断区間の範囲内であると判定された場合(S402にてYES)、診断処理部33の処理はS403へ進む。一方、車両1の現在位置が診断区間の範囲内でないと判定された場合(S402にてNO)、診断処理部33の処理はS411へ進む。
【0044】
S403にて、診断処理部33は、振動センサ12にて検知した車両1の振動情報を取得する。
【0045】
S404にて、診断処理部33は、S403にて取得した振動情報に基づいて、現在の振動値を導出する。ここでの振動値は、例えば、電気的・機械的ノイズの影響を抑制するために、振動センサ12からの入力信号(振動情報)から、任意の単位時間当たりの実効値、平均値、または移動平均値を算出して用いるような構成であってよい。ここでの導出方法は、図3のS306の処理における方法と同等であるものとする。
【0046】
S405にて、診断処理部33は、現在の振動値に基づく変化量を導出する。ここでの変化量の導出は、以下の式(1)を用いて行われる。
(変化量)=(現在の振動値)-(初期値)…(1)
【0047】
S406にて、診断処理部33は、S406にて導出した変化量が、設定されている閾値よりも大きいか否かを判定する。変化量が閾値よりも大きいと判定された場合(S406にてYES)、診断処理部33の処理はS407へ進む。一方、変化量が閾値以下であると判定された場合(S406にてNO)、診断処理部33の処理はS408へ進む。
【0048】
S407にて、診断処理部33は、車両1に異常有りと診断する。その後、診断処理部33の処理はS409へ進む。
【0049】
S408にて、診断処理部33は、車両1に異常無しと診断する。その後、診断処理部33の処理はS411へ進む。
【0050】
S409にて、診断処理部33は、報知処理部36を介して診断結果として異状を検知したことを報知する。ここでの報知方法は特に限定するものではないが、例えば、車両1が備える表示部(不図示)にて異常を報知するための画面(不図示)を表示するような構成であってもよいし、外部に設けられた所定の報知先に報知するような構成であってもよい。
【0051】
S410にて、診断処理部33は、車両1の診断を継続するか否かを判定する。ここでの判定基準は、例えば、S409での報知結果に対して車両1の搭乗者から受け付けた指示に基づいて行われてもよいし、車両1の走行が継続しているか否かに基づいて行われてもよい。継続すると判定した場合(S410にてYES)、診断処理部33の処理はS411へ進む。一方、継続しないと判定した場合(S410にてNO)、診断処理部33は本処理フローを終了する。
【0052】
S411にて、診断処理部33は、予め規定された期間にわたって待機を行う。ここでの期間は、時間にて規定されてもよいし、走行距離にて規定されてもよい。一定期間が経過した後、診断処理部33の処理は、S401へ戻り、以降の処理を繰り返す。
【0053】
なお、上記の処理では、変化量に対して1の閾値を設定するような構成を示したが、この構成に限定するものではない。例えば、異常の緊急度(度合い)に対応して複数の閾値を設定し、それらの閾値と変化量との比較により、異常の緊急度を判定するような構成であってもよい。この場合、診断結果として得られた緊急度に応じて、報知内容を切り替えるような構成である。
【0054】
以上、本実施形態により、移動体の構成部品に対する異常診断において、異常診断に用いられる設定作業に係る手間を低減しつつ、装置の故障を未然に防ぐことが可能となる。
【0055】
<第2の実施形態>
第1の実施形態では、異常診断システムを構成する診断部が車両1の内部に設けられた構成について説明した。本願発明の第2の実施形態では、移動体としての車両1の外部に異常診断システムとして機能する診断装置を設けた構成について説明する。ここでは、第1の実施形態と重複する箇所の説明は省略し、差分に着目して説明を行う。
【0056】
[全体構成]
図5は、本実施形態に係るシステムの全体構成の例を示す図である。本実施形態において、移動体である車両40と異常診断システムとして機能する診断装置50とがネットワーク60を介して通信可能に接続される。ネットワーク60における通信方法や通信規格は特に限定するものではなく、インターネットや専用回線など、複数のネットワークが組み合わされていてもよい。
【0057】
車両40は、センサ部10、構成部品20、および通信制御部41を含んで構成される。通信制御部41は、外部との通信処理を制御する処理部であり、ここでは、センサ部10にて検知された各種情報を、外部(ここでは、診断装置50)に送信する。
【0058】
診断装置50は、位置情報取得部31、振動情報取得部32、診断処理部33、パラメータ設定部34、記憶部35、報知処理部36、および通信制御部51を含んで構成される。通信制御部51は、外部との通信処理を制御する処理部であり、ここでは、車両40から送信されてくる各種情報を受信する。
【0059】
各種パラメータの設定や、異常診断の内容は、第1の実施形態と同様であるため、詳細な説明は省略するが、診断装置50は、車両40から送信されてくる各種センサの検知結果に基づいて、各種パラメータの設定や、異常診断を行う。
【0060】
以上、本実施形態に係る構成においても、第1の実施形態と同様、車両等の移動体による構成部品の異常診断を行うことが可能である。また、第1の実施形態の構成に比べ、移動体側での処理負荷を低減することが可能となる。
【0061】
<第3の実施形態>
第1や第2の実施形態では、振動センサと構成部品とが別個に設けられた構成について説明した。本願発明の第3の実施形態では、構成部品の異常を個別に検知するために、構成部品の内部に振動センサを設けた構成について説明する。ここでは、上記実施形態と重複する箇所の説明は省略し、差分に着目して説明を行う。
【0062】
[装置構成]
図6は、本実施形態に係る車両70の全体構成の例を示す図である。本実施形態においては、第2の実施形態と同様、車両と診断装置がネットワークを介して接続されている構成を例に挙げて説明する。
【0063】
本実施形態に係る車両70は、位置センサ11、構成部品71、および通信制御部41を含んで構成される。また、構成部品71は、振動センサ72を備え、その検知結果が通信制御部41を介して外部(ここでは、診断装置50)に送信される。
【0064】
各種パラメータの設定や、異常診断の内容は、第2の実施形態と同様であるため、詳細な説明は省略するが、診断装置50は、車両40から送信されてくる各種センサの検知結果に基づいて、各種パラメータの設定や、異常診断を行う。
【0065】
以上、本実施形態に係る構成においても車両等の移動体による構成部品の異常診断を行うことが可能である。また、第2の実施形態の構成に比べ、構成部品自体が振動センサを備えているため、個別の構成部品の異常をより精度よく診断することが可能となる。
【0066】
<その他の実施形態>
上記の実施形態では、構成部品の状態情報として振動センサにより検知される振動情報を用いて、当該構成部品の診断を行う構成について示したが、この構成に限定するものではない。例えば、構成部品の状態情報を取得する状態センサとしては、振動センサに代えて、温度センサや音センサ(マイク)が用いられてもよい。この場合、温度センサにて検知される温度情報や、音センサにて検知される音(騒音)情報を用いて診断が行われることとなる。なお、状態センサの種類は特に限定するものではなく、構成部品に応じて他の種類のセンサが用いられてもよい。また、診断対象となる構成部品の種類や構造などに応じて、複数の種類のセンサを組み合わせ、各センサの検知結果を組み合わせて診断を行ってもよい。
【0067】
また、本願発明において、上述した1以上の実施形態の機能を実現するためのプログラムやアプリケーションを、ネットワーク又は記憶媒体等を用いてシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。
【0068】
また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array))によって実現してもよい。
【0069】
本願発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、実施形態の各構成を相互に組み合わせることや、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が変更、応用することも本願発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
【0070】
以上の通り、本明細書には次の事項が開示されている。
(1) 移動体を構成する構成部品の状態情報を取得する状態センサ(例えば、振動センサ12)と、
前記移動体の位置情報を取得する位置センサ(例えば、位置センサ11)と、
前記移動体が所定の区間に位置した際の前記構成部品の状態情報に基づいて、前記構成部品の状態情報に対する初期値と、当該初期値からの変化量に対する閾値を設定する設定部(例えば、パラメータ設定部34)と、
前記位置センサにて取得される位置情報に基づいて前記移動体が前記所定の区間に位置したことを検知した際に、前記初期値と前記状態センサにて取得される状態情報との差分が前記所定の閾値を超えるか否かにより前記構成部品の異常診断を行う診断部(例えば、診断処理部33)と
を備えることを特徴とする異常診断システム。
この構成によれば、移動体の構成部品に対する異常診断において、異常診断に用いられる設定作業に係る手間を低減しつつ、構成部品の故障を未然に防ぐことが可能となる。
【0071】
(2) 前記設定部は、新品の構成部品が一定の駆動を行った時点での状態情報に基づいて、当該新品の構成部品に対する初期値を決定することを特徴とする(1)に記載の異常診断システム。
この構成によれば、構成部品に対するならし動作が完了した後の安定駆動を行っている状態の状態情報に基づいて初期値を設定することで、より精度の高い診断を行うための診断基準を設定することが可能となる。
【0072】
(3) 前記設定部は、前記構成部品に対して設定された初期値に所定の比率または固定値を適用することにより、前記閾値を決定することを特徴とする(1)または(2)に記載の異常診断システム。
この構成によれば、設定された初期値に応じて、適切な変化量に対する閾値を設定することが可能となる。
【0073】
(4) 前記設定部は、前記構成部品の異常の緊急度に応じた複数の閾値を設定することを特徴とする(1)~(3)のいずれかに記載の異常診断システム。
この構成によれば、緊急度に応じた閾値を複数設定でき、段階的な異常診断が可能となる。
【0074】
(5) 前記設定部は、前記移動体の移動履歴に基づいて前記所定の区間を設定することを特徴とする(1)~(4)のいずれかに記載の異常診断システム。
この構成によれば、移動体の移動履歴に基づいて、任意の位置を診断区間として設定することが可能となる。
【0075】
(6) 前記診断部による診断結果を報知する報知部(例えば、報知処理部36)を更に有することを特徴とする(1)~(5)のいずれかに記載の異常診断システム。
この構成によれば、異常診断の結果に応じて適切な報知を行うことが可能となる。
【0076】
(7) 前記状態センサは、前記構成部品の振動情報を取得する振動センサであることを特徴とする(1)~(6)のいずれかに記載の異常診断システム。
この構成によれば、構成部品から得られる振動情報の変化に応じた異常診断が可能となる。
【0077】
(8) 前記状態センサは、前記構成部品の温度情報を取得する温度センサであることを特徴とする(1)~(6)のいずれかに記載の異常診断システム。
この構成によれば、構成部品から得られる温度情報の変化に応じた異常診断が可能となる。
【0078】
(9) 前記状態センサは、前記構成部品の音情報を取得する音センサであることを特徴とする(1)~(6)のいずれかに記載の異常診断システム。
この構成によれば、構成部品から得られる音(騒音)情報の変化に応じた異常診断が可能となる。
【0079】
(10) 前記構成部品は、軸受であることを特徴とする(1)~(9)のいずれかに記載の異常診断システム。
この構成によれば、軸受を対象として、異常診断を行ことが可能となる。
【0080】
(11) 移動体を構成する構成部品の異常診断方法であって、
前記構成部品の状態情報を取得する工程と、
前記移動体の位置情報を取得する工程と、
前記移動体が所定の区間に位置した際の前記構成部品の状態情報に基づいて、前記構成部品の状態情報に対する初期値と、当該初期値からの変化量に対する閾値を設定する工程と、
前記位置情報に基づいて前記移動体が前記所定の区間に位置したことを検知した際に、前記初期値と前記構成部品の状態情報との差分が前記所定の閾値を超えるか否かにより前記構成部品の異常診断を行う工程と
を有することを特徴とする異常診断方法。
この構成によれば、移動体の構成部品に対する異常診断において、異常診断に用いられる設定作業に係る手間を低減しつつ、構成部品の故障を未然に防ぐことが可能となる。
【0081】
(12) コンピュータに、
移動体を構成する構成部品の状態情報を取得する工程と、
前記移動体の位置情報を取得する工程と、
前記移動体が所定の区間に位置した際の前記構成部品の状態情報に基づいて、前記構成部品の状態情報に対する初期値と、当該初期値からの変化量に対する閾値を設定する工程と、
前記位置情報に基づいて前記移動体が前記所定の区間に位置したことを検知した際に、前記初期値と前記構成部品の状態情報との差分が前記所定の閾値を超えるか否かにより前記構成部品の異常診断を行う工程と
実行させるためのプログラム。
この構成によれば、移動体の構成部品に対する異常診断において、異常診断に用いられる設定作業に係る手間を低減しつつ、構成部品の故障を未然に防ぐことが可能となる。
【符号の説明】
【0082】
1、70…車両
10…センサ部
11…位置センサ
12、72…振動センサ
20、71…構成部品
30…診断部
31…位置情報取得部
32…振動情報取得部
33…診断処理部
34…パラメータ設定部
35…記憶部
36…報知処理部
41、51…通信制御部
60…ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6