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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】自動変速機
(51)【国際特許分類】
   B60K 17/06 20060101AFI20240501BHJP
   F16D 25/0638 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
B60K17/06 K
F16D25/0638
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020192616
(22)【出願日】2020-11-19
(65)【公開番号】P2022081214
(43)【公開日】2022-05-31
【審査請求日】2023-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100197561
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 三喜男
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 龍彦
(72)【発明者】
【氏名】溝部 龍利
(72)【発明者】
【氏名】中村 惠一
【審査官】前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-148321(JP,A)
【文献】国際公開第2013/118902(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 17/06
F16D 25/0638
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと変速機構との間に配置された動力断接クラッチを有する自動変速機であって、
前記エンジンと前記動力断接クラッチとの間に同軸上にオイルポンプ駆動用のドライブスプロケットが設けられ、
前記ドライブスプロケットは、前記エンジンに接続される前記動力断接クラッチの入力部材を変速機ケースに回転可能に支持するベアリングと軸方向にオーバーラップする位置に配置されている、
ことを特徴とする自動変速機。
【請求項2】
前記入力部材は、ダンパ装置を介して前記エンジンに接続されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の自動変速機。
【請求項3】
前記動力断接クラッチは、前記入力部材、前記変速機構に接続される出力部材、及び前記入力部材と前記出力部材とに交互に係合される複数の摩擦板を備え、
前記入力部材は、前記複数の摩擦板が係合されて軸方向に延びる円筒部と、前記円筒部から径方向に延びる縦壁部と、前記縦壁部から軸方向に延びて前記エンジンに接続されると共に前記ベアリングによって前記変速機ケースに支持される軸方向延設部とを備え、
前記入力部材の縦壁部に、前記ベアリングの外周側においてエンジン側に軸方向に延びて前記ドライブスプロケットが結合されるスプロケット結合部が設けられている、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の自動変速機。
【請求項4】
前記変速機ケースの縦壁部に、変速機構側に軸方向に延びて前記ベアリングを支持するベアリング支持部が設けられ、
前記ベアリング支持部は、前記スプロケット結合部と軸方向にオーバーラップする位置に配置されている、
ことを特徴とする請求項3に記載の自動変速機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動変速機に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載される自動変速機として、エンジンに連結されたトルクコンバータと、トルクコンバータに連結されると共に複数のプラネタリギヤセット(遊星歯車機構)及びクラッチやブレーキなどの複数の摩擦締結要素を備えた変速機構とを有し、油圧制御によって複数の摩擦締結要素を選択的に締結して減速比の異なる複数の変速段を達成するものが知られている。
【0003】
このような自動変速機では、摩擦締結要素に供給する油圧を生成するオイルポンプをトルクコンバータと変速機構との間に同軸上にエンジンの出力軸に接続して配置し、エンジンの回転によってオイルポンプを駆動させることが行われている。
【0004】
また、トルクコンバータと変速機構との間に同軸上にオイルポンプ駆動用のドライブスプロケットをエンジンの出力軸に接続して配置すると共に、自動変速機の軸心から径方向に離れて配置されたオイルポンプのポンプシャフトにオイルポンプ駆動用のドリブンスプロケットを設けて、ドライブスプロケット及びドリブンスプロケットに巻き掛けられたチェーンを介してエンジンの回転によってオイルポンプを駆動させる自動変速機も知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-23502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、自動変速機の多段化や軽量化要求等に応じてトルクコンバータを廃止する傾向があり、トルクコンバータに代えて、エンジンと変速機構との間にエンジンからの動力を断接する動力断接クラッチ(発進クラッチ)を配置し、動力断接クラッチをスリップ制御することで円滑な発進を実現することが考えられている。
【0007】
動力断接クラッチとして、エンジンに接続される入力部材と、変速機構に接続される出力部材と、入力部材と出力部材との間に交互にスプライン係合される複数の摩擦板と、複数の摩擦板を締結するピストンとを備えたものを用い、動力断接クラッチの入力部材を変速機ケースにベアリングを介して回転可能に支持させることが考えられる。
【0008】
このようなエンジンと変速機構との間に動力断接クラッチが配置された自動変速機において、エンジンと動力断接クラッチとの間に同軸上にオイルポンプ駆動用のドライブスプロケットをエンジンの出力軸に接続して配置し、チェーンを介して自動変速機の軸心から径方向に離れて配置されたオイルポンプを駆動させる場合、自動変速機を軸方向にコンパクトに構成することが望まれる。特に軸心が車幅方向に延びる横置き式の自動変速機では、限られた車載スペースに搭載するため、軸方向のコンパクト化を図ることが求められている。
【0009】
そこで、本発明は、軸方向にコンパクトに構成しつつ、動力断接クラッチの入力部材を変速機ケースに支持させると共にエンジンと動力断接クラッチとの間にオイルポンプ駆動用のドライブスプロケットを配置することができる自動変速機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、エンジンと変速機構との間に配置された動力断接クラッチを有する自動変速機であって、前記エンジンと前記動力断接クラッチとの間に同軸上にオイルポンプ駆動用のドライブスプロケットが設けられ、前記ドライブスプロケットは、前記エンジンに接続される前記動力断接クラッチの入力部材を変速機ケースに回転可能に支持するベアリングと軸方向にオーバーラップする位置に配置されている自動変速機を提供する。
【0011】
本発明によれば、エンジンと動力断接クラッチとの間に設けられるオイルポンプ駆動用のドライブスプロケットは、動力断接クラッチの入力部材を変速機ケースに回転可能に支持するベアリングと軸方向にオーバーラップする位置に配置されるので、ベアリングと軸方向にオーバーラップして配置されない場合に比して、自動変速機を軸方向にコンパクトに構成することができる。自動変速機においてオイルポンプを自動変速機の軸心から径方向に離れた位置に配置することができ、オイルポンプが自動変速機の軸心と同軸上に配置される場合に比して、軸方向寸法の短縮化を図ることができる。
【0012】
したがって、エンジンと変速機構との間に動力断接クラッチが配置された自動変速機において、軸方向にコンパクトに構成しつつ、動力断接クラッチの入力部材を変速機ケースに支持させると共にエンジンと動力断接クラッチとの間にオイルポンプ駆動用のドライブスプロケットを配置することができる。
【0013】
前記入力部材は、ダンパ装置を介してエンジンに接続されることが好ましい。
【0014】
本構成により、動力断接クラッチの入力部材とエンジンとは、ダンパ装置を介して接続されるので、エンジンのトルク変動をダンパ装置によって抑制してエンジンからの動力を動力断接クラッチの入力部材に伝達することができ、エンジンのトルク変動が変速機構に伝達されることを抑制することができる。
【0015】
前記動力断接クラッチは、入力部材、出力部材及び複数の摩擦板を備え、入力部材は、複数の摩擦板が係合される円筒部と、円筒部から径方向に延びる縦壁部と、縦壁部から軸方向に延びてエンジンに接続されると共にベアリングによって変速機ケースに支持される軸方向延設部とを備え、入力部材の縦壁部に、ベアリングの外周側においてエンジン側に軸方向に延びてドライブスプロケットが結合されるスプロケット結合部が設けられ得る。
【0016】
本構成により、動力断接クラッチの入力部材は、複数の摩擦板が係合される円筒部と、円筒部から径方向に延びる縦壁部と、ベアリングによって変速機ケースに支持される軸方向延設部とを備える。そして、前記入力部材の縦壁部に、入力部材の軸方向延設部を支持するベアリングの外周側にスプロケット結合部が設けられるので、スプロケット結合部の径方向内側のスペースを利用してベアリングを配置して、自動変速機を軸方向にコンパクトに構成することができる。
【0017】
前記変速機ケースの縦壁部に、変速機構側に軸方向に延びてベアリングを支持するベアリング支持部が設けられ、ベアリング支持部は、スプロケット結合部と軸方向にオーバーラップする位置に配置され得る。
【0018】
本構成により、変速機ケースの縦壁部に、変速機構側に軸方向に延びるベアリング支持部が設けられ、ベアリング支持部は、スプロケット結合部と軸方向にオーバーラップする位置に配置されるので、変速機ケースの縦壁部から変速機構側に延びるベアリング支持部と動力断接クラッチの入力部材の縦壁部からエンジン側に延びるスプロケット結合部とを径方向の内外に配置して、ドライブスプロケットをベアリングと軸方向にオーバーラップする位置に配置することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る自動変速機によれば、自動変速機を軸方向にコンパクトに構成しつつ、動力断接クラッチの入力部材を変速機ケースに支持させると共にエンジンと動力断接クラッチとの間にオイルポンプ駆動用のドライブスプロケットを配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態に係る自動変速機の発進クラッチ及びその周辺を示す断面図である。
図2図1における矢印IIの拡大断面図である。
図3図1における矢印IIIの拡大断面図である。
図4】発進クラッチの一部の分解斜視図である。
図5】発進クラッチの残余部分の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
【0022】
図1は、本発明の実施形態に係る自動変速機の発進クラッチ及びその周辺を示す断面図である。本発明の実施形態に係る自動変速機1は、フロントエンジン・フロントドライブ車等の車両に搭載され、軸心が車幅方向に延びる横置き式の自動変速機である。
【0023】
自動変速機1は、駆動源としてのエンジン(図示せず)にトルクコンバータを介することなく連結されている。エンジンは、これに限定されるものではないが、4つの気筒が直列に配置された直列4気筒エンジンであり、クランクシャフト3が1回転する間に2回のトルク変動が生じることとなる。
【0024】
自動変速機1は、複数のプラネタリギヤセット及びクラッチやブレーキなどの複数の摩擦締結要素を備えた変速機構2と、変速機構2とエンジンとの間に配置されてエンジンからの動力を断接可能に構成された動力断接クラッチとしての発進クラッチ4とを備えている。なお、本実施形態では、反駆動源側を軸方向一方側、駆動源側を軸方向他方側ともいう。
【0025】
変速機構2は、複数の摩擦締結要素を選択的に締結することにより各プラネタリギヤセットを経由する動力伝達経路を切り換えて車両の運転状態に応じた所定の変速段を達成するように構成されている。自動変速機1が搭載された車両では、エンジンからの動力が変速機構2に伝達され、変速機構2から駆動輪に伝達されるようになっている。
【0026】
変速機構2と発進クラッチ4とは、変速機ケース10内に収納されて、エンジンの出力軸であるクランクシャフト3と同一軸線O上に並んで配置されている。本実施形態では、ダンパ装置5が、エンジンと発進クラッチ4との間に配置されている。
【0027】
変速機ケース10は、変速機構2及び発進クラッチ4を内部に収容する円筒状のケース本体11と、ケース本体11内を軸方向に仕切る仕切壁12とを備えている。ケース本体11内の空間は、仕切壁12によって変速機構2側の空間(変速機構室)Aと発進クラッチ4側の空間(発進クラッチ室)Bとに分けられている。
【0028】
変速機ケース10は、仕切壁12より駆動源側において発進クラッチ4とダンパ装置5の間にケース本体11から径方向内側に延びる縦壁部13が一体的に設けられている。変速機ケース10の縦壁部13は、ケース本体11の駆動源側を閉塞するように設けられ、縦壁部13によって発進クラッチ4側の空間(発進クラッチ室)Bとエンジン側の空間(エンジン室)Cとが区画されている。
【0029】
変速機構2の入力軸9は、仕切壁12を貫通して発進クラッチ室B内にその先端が突出するように設けられている。変速機構2の入力軸9の駆動源側の端部の外周側には、ダンパ装置5に接続される発進クラッチ4の入力部材であるクラッチハブ42が回転可能に嵌合されている。発進クラッチ4のクラッチハブ42は、変速機ケース10の縦壁部13を貫通してエンジン室C内にその先端が突出するように設けられている。
【0030】
ダンパ装置5は、エンジンのトルク変動に起因する振動を抑制するためにエンジンと発進クラッチ4との間に介設され、エンジンからの動力が入力されるドライブプレート51と、ドライブプレート51の反駆動源側に配置されてドライブプレート51に固定された保持プレート52と、ドライブプレート51と保持プレート52との間に配置されたドリブンプレート53とを有している。
【0031】
ドライブプレート51とドリブンプレート53とは、相対回転可能に設けられ、ドライブプレート51と保持プレート52との間に周方向の複数の箇所に周方向に沿って配置された弾性部材としてのコイルスプリング54を介して回転伝達可能に連結されている。
【0032】
ドライブプレート51は、駆動源側に配置されてクランクシャフト3に締結ボルト(図示せず)を用いて固定されて径方向に延びている。ドリブンプレート53には、リベット55によってカバープレート56と共に連結プレート57が取り付けられている。連結プレート57は、ドライブプレート51の反駆動源側に配置され、径方向内端部が発進クラッチ4のクラッチハブ42にスプライン嵌合されて連結されている。
【0033】
ダンパ装置5は、ドライブプレート51からコイルスプリング54を介してドリブンプレート53にエンジンからの動力が伝達されるときコイルスプリング54の圧縮によってエンジンのトルク変動を抑制するようになっている。ダンパ装置5は、エンジンからの動力をドライブプレート51、コイルスプリング54、ドリブンプレート53及び連結プレート57を介して発進クラッチ4のクラッチハブ42に伝達するようになっている。
【0034】
次に、図2から図5を参照しながら、発進クラッチ4の構成について説明する。図4及び図5では、発進クラッチ4を構成するクラッチドラム41、クラッチハブ42、ピストン44及び仕切壁12の分解斜視図を示している。
【0035】
図2に示すように、発進クラッチ4は、変速機構2に接続される出力部材としてのクラッチドラム41と、エンジンに接続される入力部材としてのクラッチハブ42と、クラッチドラム41とクラッチハブ42とに交互にスプライン係合される複数の摩擦板43と、複数の摩擦板43の反駆動源側に配置されたピストン44と、ピストン44の反駆動源側に設けられた油圧室45とを有している。
【0036】
発進クラッチ4は、油圧室45に締結用油圧が供給されるときに、ピストン44が駆動源側に締結方向に移動して複数の摩擦板43を押圧し、クラッチドラム41とクラッチハブ42とを結合することにより、発進クラッチ4が締結されるようになっている。
【0037】
発進クラッチ4はまた、油圧室45から締結用油圧が排出されるときに、ピストン44が摩擦板43の弾性復元力によって反駆動源側に解放方向に移動し、クラッチドラム41とクラッチハブ42との結合を解除することにより、発進クラッチ4が解放されるようになっている。
【0038】
クラッチドラム41は、例えば、鉄材等の磁性体から成る板部材をプレス加工することによって形成されている。クラッチドラム41は、複数の摩擦板43がスプライン係合される外側円筒部41aと、外側円筒部41aの軸方向一方側の端部から径方向内側に延びる第1径方向部41bと、第1径方向部41bの径方向内側の端部から軸方向他方側に延びる第1軸方向部41cと、第1軸方向部41cの軸方向他方側の端部から径方向内側に延びる第2径方向部41dと、第2径方向部41dの径方向内側の端部から軸方向一方側に延びる第2軸方向部41eを備えている。
【0039】
外側円筒部41aの外周面には、プレス加工によって外側円筒部41aの内周面と同様にスプラインが形成され、スプラインによる凹凸が形成されている。外側円筒部41aの外周側には、クラッチドラム41の回転数を検出するための回転数センサSが配置されている。回転数センサSは、自動変速機1の変速制御用にクラッチドラム41の回転速度に基づいた検出信号を出力するものであり、例えば磁気回転数センサを用いることができる。
【0040】
第1径方向部41bは、軸方向に対して概ね直交するように仕切壁12に沿って延びている。第1軸方向部41cは、櫛歯状に形成されており、周方向に均等に並べて配置されて、後述のピストン44に設けられた貫通穴44fを軸方向に貫通している(図5参照)。第2軸方向部41eの径方向内側には、スプラインが形成され、変速機構2の入力軸9にスプライン嵌合されている。
【0041】
クラッチドラム41は、外側円筒部41a、第1径方向部41b及び第1軸方向部41cと、第2径方向部41d及び第2軸方向部41eとが別体で構成されている。クラッチドラム41は、第1軸方向部41cにピストン44に設けられた貫通穴44fを軸方向に貫通させた状態で、第1軸方向部41cに設けられた軸方向他方側の端部から径方向内側に延びるフランジ部41c1と、第2径方向部41dの径方向外側の端部とが溶接によって接合されて一体化されている。
【0042】
クラッチハブ42は、複数の摩擦板43がスプライン係合される内側円筒部42aと、内側円筒部42aの軸方向他方側の端部から径方向内側に延びる第1径方向部42bと、第1径方向部42bの径方向内側の端部から更に径方向内側に延びる第2径方向部42cと、第2径方向部42cの径方向内側の端部から軸方向他方側に略円柱状に軸方向に延びる軸方向部42dとを備えている。
【0043】
クラッチハブ42の軸方向部42dは、軸方向他方側の外周面にダンパ装置5の連結プレート57の径方向内端部がスプライン嵌合されてダンパ装置5に連結されている。クラッチハブ42の軸方向部42dは、軸方向一方側の端部に軸方向一方側に窪む凹部が形成され、凹部に変速機構2の入力軸9がニードルベアリング73を介して回転自在に嵌合されている。
【0044】
ピストン44は、複数の摩擦板43の軸方向一方側に配置されて、締結時に摩擦板43を押圧する円板状の押圧部44aと、押圧部44aの径方向内側の端部から軸方向他方側に延びる円筒部44bと、円筒部44bの軸方向他方側の端部から径方向内側に延びる径方向部44cと、油圧室45に供給された油圧を受ける受圧面を備えた円板状の受圧部44dと、径方向部44cと受圧部44dとの間に配置されたベアリング44eとを有している。
【0045】
押圧部44aは、クラッチハブ42の内側円筒部42aよりも径方向内側まで延びている。押圧部44aの径方向外側には、径方向外側に突出する突起部44a1が周方向に並べて配置されている。突起部44a1が、クラッチドラム41の外側円筒部41aのスプラインに係合されることによってピストン44の回り止めが果たされている。
【0046】
円筒部44bは、クラッチドラム41の第1軸方向部41cの径方向外側且つクラッチハブ42の内側円筒部42aの径方向内側に位置すると共に、内側円筒部42aと第1軸方向部41cと軸方向にオーバーラップして配置されている。円筒部44bには、円筒部44bを径方向に貫通する貫通穴44gが設けられている。
【0047】
径方向部44cは、クラッチドラム41の第1軸方向部41cに対して櫛歯状に交差して、第2軸方向部41eの径方向外側の位置まで延びている。径方向部44cには、軸方向に貫通する貫通穴44fが設けられている。図5に示すように、貫通穴44fは、櫛歯状の第1軸方向部41cに対応させて周方向に並べて複数設けられている。各貫通穴44fは、第1軸方向部41cが貫通可能に形成されている。
【0048】
径方向部44cの軸方向一方側に、ベアリング44eが配置されている。ベアリング44eの内輪が径方向部44cの内端部に、溶接等によって固定され、ベアリング44eの外輪が受圧部44dの軸方向他方側の面に、溶接等によって固定されている。ベアリング44eの内輪と外輪との間に複数のボールが介装され、ベアリング44eの内輪と外輪とは、相対回転可能に構成されている。
【0049】
油圧室45は、仕切壁12とピストン44の受圧部44dとによって形成されている。仕切壁12は、ケース本体11に固定される被固定部12aと、被固定部12aから径方向内側に延びる縦壁部12bと、縦壁部12bの径方向内端部において軸方向一方側に延びるボス部12cとを備えている。仕切壁12のボス部12cの内周面と変速機構2の入力軸9との間にはニードルベアリング76が配置されている。
【0050】
縦壁部12bの径方向内側の部位には、軸方向他方側に突出する突出部12dが設けられている。突出部12dは、クラッチドラム41の第1径方向部41bよりも軸方向一方側に位置し、突出部12dの軸方向一方側の面と第1径方向部41bの軸方向他方側の面との間にベアリング74が配置されている。
【0051】
突出部12dの軸方向他方側の面におけるベアリング74よりも径方向内側には、軸方向に延びる円筒状の第1シリンダ部12eと、第1シリンダ部12eよりも径方向内側に位置する円筒状の第2シリンダ部12fとが設けられている。第1シリンダ部12eの外周面には、クラッチドラム41の第1軸方向部41cがブッシュ75を介して嵌合されている。
【0052】
第2シリンダ部12fは、クラッチドラム41の第2軸方向部41eよりも径方向外側に位置すると共に、第2軸方向部41eと軸方向にオーバーラップして配置されている。第2シリンダ部12fの内周面には、リング状のガイド部材47が圧入されている。ガイド部材47は、第2シリンダ部12fの内周面からピストン44の径方向部44cの径方向内側の位置まで延びている。
【0053】
ガイド部材47の内周面と第2軸方向部41eの外周面との間には、軸方向に延びると共にピストン44の径方向部44cの軸方向一方側の領域に開放される第1通路S1が設けられている。第2シリンダ部12fの内周面と突出部12dの軸方向他方側の面とによって形成される角部12d1と、第2軸方向部41eの軸方向一方側の端部との間には変速機構2の入力軸9の外周面と仕切壁12の内周面との間の空間と第1通路S1を連通させる第2通路S2が設けられている。
【0054】
突出部12dの軸方向他方側の面で、第1シリンダ部12eと第2シリンダ部12fとの間には、軸方向他方側に開口する複数の凹部12d2が周方向に均等に設けられている。凹部12d2には、後述のスプリング45aが配置されている(図4参照)。第1シリンダ部12eの内周面と第2シリンダ部12fの外周面との間には、受圧部44dが嵌合されている。
【0055】
油圧室45は、第1シリンダ部12eの内周面と第2シリンダ部12fの外周面と縦壁部12bの軸方向他方側の面と、受圧部44dの軸方向一方側の面とにより油密状態に形成されている。縦壁部12bには、油圧室45の上端部に連通すると共に、油圧室45に溜まったエアを抜くためのエア抜き部45cが設けられている。
【0056】
前述のように、自動変速機1は、トルクコンバータを介することなくエンジンに接続されているため、発進クラッチ4は、1速及び後退速における車両発進時にスリップ制御される。発進クラッチ4の油圧室45内には、複数の摩擦板43がゼロクリアランス状態となるゼロクリアランス位置まで締結方向に付勢するスプリング45aと、スプリング45aを着座させるリング状のシート部材45b(図3参照)とが配置されている。
【0057】
発進クラッチ4は、摩擦板43がゼロクリアランス状態となるゼロクリアランス位置までスプリング45aによって付勢し、ゼロクリアランス位置から締結位置まで締結用油圧によって付勢して摩擦板43を締結するようになっている。
【0058】
図2に示すように、変速機ケース10の仕切壁12には、油圧室45に締結用作動油を供給する締結用作動油供給路80が形成されている。締結用作動油供給路80は、変速機ケース10内の下方に配設されたコントロールバルブユニット(図示せず)から径方向内側に延びて油圧室45に連通している。コントロールバルブユニットは、締結用作動油供給路80を通じて油圧室45に、オイルポンプ6によって生成された締結用油圧を供給するようになっている。
【0059】
変速機ケース10の仕切壁12には、図3に示すように、発進クラッチ4の摩擦板43に潤滑用作動油を供給する潤滑用作動油供給路90が形成されている。潤滑用作動油供給路90は、コントロールバルブユニットから径方向内側に延び、仕切壁12の内周面に開口している。
【0060】
コントロールバルブユニットは、図3の矢印に示すように、潤滑用作動油供給路90を通じて仕切壁12の内周面側に潤滑用作動油を供給するようになっている。仕切壁12の内周面と変速機構2の入力軸9の外周面との間に供給された潤滑用作動油は、第2通路S2及び第1通路S1からピストン44の径方向部44cとクラッチドラム41の第2径方向部41dとの間の空間に供給され、クラッチドラム41の切欠部41c2を抜けてクラッチハブ42の内側円筒部42aの内周面側に供給され、摩擦板43間に供給される。
【0061】
発進クラッチ4はまた、発進クラッチ4の潤滑を促進するためのオイルダム部材41fを備えている。オイルダム部材41fは、リング状に形成され、クラッチドラム41の外側円筒部41aの軸方向他方側の端部に固定されて径方向内側に延びている。
【0062】
オイルダム部材41fは、摩擦板43の軸方向他方側に配置され、外側円筒部41aとオイルダム部材41fと第1径方向部41bとによって径方向外側に底部を有して径方向内側に開放した凹部41g内に摩擦板43が配置されるように形成されている。
【0063】
潤滑用作動油供給路90を通じて摩擦板43間に供給される潤滑用作動油(潤滑用オイル)は凹部41g内に貯留され、凹部41gに配置された摩擦板43は、凹部41gに貯留されたオイルに浸漬する状態となる。これにより、車両発進時に発進クラッチ4、具体的には摩擦板43の潤滑を促進させることができる。
【0064】
発進クラッチ4はまた、発進クラッチ4の潤滑を促進するためのバッフル部材46を備えている。バッフル部材46は、リング状に形成され、クラッチハブ42の内側円筒部42aの内周面に嵌合されて取り付けられている。バッフル部材46は、外側円筒部41aとオイルダム部材41fと第1径方向部41bとによって形成された凹部41g内に配置されている。
【0065】
バッフル部材46は、変速機ケース10の径方向内側からクラッチハブ42の内側円筒部42aの内周面に供給された潤滑用作動油をクラッチハブ42の内側円筒部42aの径方向外側にガイドして摩擦板43間に供給するように構成されている。バッフル部材46によっても、車両発進時に発進クラッチ4、具体的には摩擦板43の潤滑を促進させることができる。発進クラッチ4に、オイルダム部材41fやバッフル部材46を設けないようにすることも可能である。
【0066】
前述したように、自動変速機1は、エンジンと変速機構2との間に発進クラッチ4を有し、発進クラッチ4は、エンジンに接続されるクラッチハブ42と、変速機構2に接続されるクラッチドラム41と、クラッチハブ42とクラッチドラム41とに交互に係合される複数の摩擦板43と、複数の摩擦板43を押圧するピストン44と、ピストン44を摩擦板方向に付勢する油圧が供給される油圧室45とを備えている。
【0067】
クラッチドラム41は、複数の摩擦板43が内周面にスプライン係合されて略円筒状に軸方向に延びる円筒部41aと、円筒部41aの軸方向一方側である変速機構側から径方向内側に延びる縦壁部41b,41c,41dと、縦壁部41b,41c,41dの径方向内側から変速機構側に略円筒状に軸方向に延びて変速機構2の入力軸9にスプライン嵌合されて結合される軸方向延設部41eとを備えている。
【0068】
クラッチドラム41の円筒部は、外側円筒部41aによって構成され、クラッチドラム41の縦壁部は、第1径方向部41b、第1軸方向部41c及び第2径方向部41dによって構成され、クラッチドラム41の軸方向延設部は、第2軸方向部41eによって構成されている。
【0069】
クラッチハブ42は、クラッチドラム41の円筒部41aの内周側に対向配置されて複数の摩擦板43が外周面にスプライン係合されて略円筒状に軸方向に延びる円筒部42aと、円筒部42aの軸方向他方側であるエンジン側から径方向内側に延びる縦壁部42b,42cと、縦壁部42b,42cの径方向内側からエンジン側に略円柱状に軸方向に延びてエンジンに接続される軸方向延設部42dとを備えている。
【0070】
クラッチハブ42の円筒部は、内側円筒部42aによって構成され、クラッチハブ42の縦壁部は、第1径方向部42b及び第2径方向部42cによって構成され、クラッチハブ42の軸方向延設部は、軸方向部42dによって構成されている。
【0071】
クラッチハブ42の軸方向延設部42dは、変速機構側の外周面にクラッチハブ42を変速機ケース10に回転可能に支持するベアリング71が圧入されて結合され、前述したようにエンジン側の外周面にはダンパ装置5がスプライン嵌合されて結合されている。クラッチハブ42は、ダンパ装置5を介してエンジンに接続されている。
【0072】
変速機ケース10には、ダンパ装置5と発進クラッチ4との間において径方向内側に延びる縦壁部13が一体的に設けられ、縦壁部13の径方向内側には、クラッチハブ42の軸方向延設部42dが挿通されると共に軸方向延設部42dの軸方向中央側との間をシールするシール部材72が固定して取り付けられている。
【0073】
変速機ケース10の縦壁部13の径方向内側にはまた、変速機構側に略円筒状に軸方向に延びる軸方向延設部13aが設けられている。変速機ケース10の軸方向延設部13aには、変速機構側の内周面にクラッチハブ42の軸方向延設部42dに結合されたベアリング71が嵌合されて支持され、ベアリング71を介してクラッチハブ42が回転可能に支持されている。変速機ケース10の軸方向延設部13aは、ベアリング71を支持するベアリング支持部13aとして機能する。
【0074】
ベアリング71として、ボールベアリングが用いられる。ベアリング71は、クラッチハブ42の軸方向延設部42dに圧入されて結合される内輪と、変速機ケース10の軸方向延設部13aに支持される外輪と、内輪と外輪との間に介装された複数のボールとを備え、内輪と外輪とは、相対回転可能に構成されている。
【0075】
自動変速機1では、オイルポンプ6として、ベーンポンプが用いられ、オイルポンプ6は、変速機ケース10内の下方に自動変速機1の軸心から径方向に離れた位置に軸心に沿って配置されている。自動変速機1は、オイルポンプ6が自動変速機1の軸心と同軸上に配置される場合に比して、軸方向寸法の短縮化が図られている。オイルポンプ6は、エンジンの回転によって駆動され、変速機構2の摩擦締結要素及び発進クラッチ4の油圧室45に供給する油圧を生成するとともに潤滑用作動油を供給するようになっている。
【0076】
エンジンと発進クラッチ4との間に同軸上に略円環状のオイルポンプ駆動用のドライブスプロケット61が設けられている。ドライブスプロケット61は、エンジンに接続される発進クラッチ4のクラッチハブ42を変速機ケース10に回転可能に支持するベアリング71と軸方向にオーバーラップする位置に配置されている。
【0077】
クラッチハブ42の縦壁部42cには、ベアリング71の外周側においてエンジン側に略円筒状に軸方向に延びてドライブスプロケット61が結合されるスプロケット結合部42eが設けられている。クラッチハブ42の縦壁部42cに設けられたスプロケット結合部42eと、変速機ケース10の縦壁部13に設けられたベアリング支持部13aとは、軸方向にオーバーラップする位置に配置されている。
【0078】
クラッチハブ42の縦壁部42cに設けられたスプロケット結合部42eは、外周面にスプラインが形成され、ドライブスプロケット61は、内周面にスプラインが形成されている。スプロケット結合部42eのスプラインがドライブスプロケット61のスプラインにスプライン係合されてスプロケット結合部42eにドライブスプロケット61が結合されている。
【0079】
スプロケット結合部42eのスプラインには、スプロケット結合部42eの外周面に沿って径方向内側に窪む周溝42e1が形成されている。ドライブスプロケット61のスプラインには、ドライブスプロケット61の内周面に沿って径方向外側に窪む周溝61aが形成されている。スプロケット結合部42eの周溝42e1とドライブスプロケット61の周溝61aとに亘ってC型クリップなどのクリップ61a1が装着され、スプロケット結合部42eに対するドライブスプロケット61の抜け止めが行われている。
【0080】
オイルポンプ6のポンプシャフト62は、自動変速機1の軸心から径方向に離れた位置に軸心に沿って平行に配置され、ポンプシャフト62には、オイルポンプ駆動用のドライブスプロケット61に対応する位置に円環状のオイルポンプ駆動用のドリブンスプロケット63が設けられている。
【0081】
クラッチハブ42に設けられたスプロケット結合部42eに結合されたオイルポンプ駆動用のドライブスプロケット61と、オイルポンプ6のポンプシャフト62に設けられたオイルポンプ駆動用のドリブンスプロケット63とにチェーン64が巻き掛けられている。
【0082】
自動変速機1の軸心から径方向に離れた位置に配置されたオイルポンプ6のポンプシャフト62は、エンジンに接続されるクラッチハブ42にチェーン64を介して駆動連結され、オイルポンプ6は、エンジンの回転によって駆動されるようになっている。
【0083】
本実施形態では、クラッチハブ42は、ダンパ装置5を介してエンジンに接続されているが、ダンパ装置を介することなくエンジンに直接的に接続することも可能である。オイルポンプ6として、ベーンポンプを用いているが、ギヤポンプなどの他のオイルポンプを用いてもよい。
【0084】
また、動力断接クラッチとしての発進クラッチ4は、入力部材42の円筒部42aの外周面と出力部材41の円筒部41aの内周面とに複数の摩擦板43がスプライン係合されているが、入力部材の円筒部の内周面と出力部材の円筒部の外周面とに複数の摩擦板がスプライン係合されるようにすることも可能である。
【0085】
このように、本実施形態に係る自動変速機1では、エンジンと動力断接クラッチ4との間に同軸上にオイルポンプ駆動用のドライブスプロケット61が設けられる。ドライブスプロケット61は、エンジンに接続される動力断接クラッチ4の入力部材42を変速機ケース10に回転可能に支持するベアリング71と軸方向にオーバーラップする位置に配置される。
【0086】
これにより、オイルポンプ駆動用のドライブスプロケット61は、動力断接クラッチ4の入力部材42を変速機ケース10に回転可能に支持するベアリング71と軸方向にオーバーラップする位置に配置されるので、ベアリング71と軸方向にオーバーラップして配置されない場合に比して、自動変速機1を軸方向にコンパクトに構成することができる。自動変速機1においてオイルポンプ6を自動変速機1の軸心から径方向に離れた位置に配置することができ、オイルポンプ6が自動変速機1の軸心と同軸上に配置される場合に比して、軸方向寸法の短縮化を図ることができる。
【0087】
したがって、エンジンと変速機構2との間に動力断接クラッチ4が配置された自動変速機1において、軸方向にコンパクトに構成しつつ、動力断接クラッチ4の入力部材42を変速機ケース10に支持させると共にエンジンと動力断接クラッチ4との間にオイルポンプ駆動用のドライブスプロケット61を配置することができる。
【0088】
また、入力部材42は、ダンパ装置5を介してエンジンに接続される。これにより、エンジンのトルク変動をダンパ装置5によって抑制してエンジンからの動力を動力断接クラッチ4の入力部材42に伝達することができ、エンジンのトルク変動が変速機構2に伝達されることを抑制することができる。
【0089】
また、動力断接クラッチ4は、入力部材42、出力部材41及び複数の摩擦板43を備え、入力部材42は、複数の摩擦板43が係合される円筒部42aと、円筒部42aから径方向に延びる縦壁部42b,42cと、縦壁部42b,42cから軸方向に延びてエンジンに接続されると共にベアリング71によって変速機ケース10に支持される軸方向延設部42dとを備え、入力部材42の縦壁部42b,42cに、ベアリング71の外周側においてエンジン側に軸方向に延びてドライブスプロケット61が結合されるスプロケット結合部42eが設けられる。これにより、スプロケット結合部42eの径方向内側のスペースを利用してベアリング71を配置して、自動変速機1を軸方向にコンパクトに構成することができる。
【0090】
また、変速機ケース10の縦壁部13に、変速機構側に軸方向に延びてベアリング71を支持するベアリング支持部13aが設けられ、ベアリング支持部13aは、スプロケット結合部42eと軸方向にオーバーラップする位置に配置される。これにより、変速機ケース10の縦壁部13から変速機構側に延びるベアリング支持部13aと動力断接クラッチ4の入力部材42の縦壁部42b,42cからエンジン側に延びるスプロケット結合部42eとを径方向の内外に配置して、ドライブスプロケット61をベアリング71と軸方向にオーバーラップする位置に配置することができる。
【0091】
本発明は、例示された実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計上の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0092】
以上のように、本発明によれば、エンジンと変速機構との間に動力断接クラッチが配置された自動変速機において、軸方向にコンパクトに構成しつつ、動力断接クラッチの入力部材を変速機ケースに支持させると共にエンジンと動力断接クラッチとの間にオイルポンプ駆動用のドライブスプロケットを配置することが可能となるから、この種の自動変速機ないしこれを搭載する車両の製造技術分野において好適に利用される可能性がある。
【符号の説明】
【0093】
1 自動変速機
2 変速機構
3 クランクシャフト
4 発進クラッチ(動力断接クラッチ)
5 ダンパ装置
6 オイルポンプ
10 変速機ケース
41 クラッチドラム(出力部材)
42 クラッチハブ(入力部材)
43 摩擦板
61 ドライブスプロケット
62 ポンプシャフト
63 ドリブンスプロケット
64 チェーン
71 ベアリング
図1
図2
図3
図4
図5