(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】エンコーダーユニット、駆動装置およびロボット
(51)【国際特許分類】
G01D 5/245 20060101AFI20240501BHJP
G01D 5/347 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
G01D5/245 110L
G01D5/245 B
G01D5/347 110S
(21)【出願番号】P 2020195901
(22)【出願日】2020-11-26
【審査請求日】2023-10-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091292
【氏名又は名称】増田 達哉
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】外山 満
【審査官】榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-173115(JP,A)
【文献】特開2019-45450(JP,A)
【文献】国際公開第2020/117237(WO,A1)
【文献】特開2008-185557(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/245
G01D 5/347
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸に固定される主歯車と、前記主歯車と噛合する複数の副歯車と、各前記副歯車に配置されている磁石と、対応する前記磁石の磁界が作用する複数の磁気センサーと、を有する磁気式エンコーダーと、
前記回転軸の軸方向に前記磁気式エンコーダーと離間して配置され、前記回転軸に固定される光学スケールと、前記光学スケールで反射される光を受光する光学センサーと、を有する光学式エンコーダーと、
前記磁石と前記光学スケールとの間に配置され、一方の面に前記磁気センサーが実装され、他方の面に前記光学センサーが実装されている基板と、を有することを特徴とするエンコーダーユニット。
【請求項2】
前記基板の前記磁石側の面に前記磁気センサーが実装され、前記光学スケール側の面に前記光学センサーが実装されている請求項1に記載のエンコーダーユニット。
【請求項3】
前記基板の前記磁石側の面に実装されているコネクターを有する請求項1または2に記載のエンコーダーユニット。
【請求項4】
前記コネクターは、前記基板の平面視で、前記光学スケールと重なっている請求項3に記載のエンコーダーユニット。
【請求項5】
前記基板の前記光学スケール側の面に実装され、前記光学センサーおよび前記磁気センサーと電気的に接続されている回路素子を有する請求項1ないし4のいずれか1項に記載のエンコーダーユニット。
【請求項6】
前記光学センサーは、前記光学スケールに向けて光を照射する発光素子と、前記光学スケールで反射した光を受光する受光素子と、を有する反射型光学エンコーダーである請求項1ないし5のいずれか1項に記載のエンコーダーユニット。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載されているエンコーダーユニットと、
前記回転軸を有するモーターと、を有することを特徴とする駆動装置。
【請求項8】
前記モーターは、前記エンコーダーユニットの前記光学スケール側に配置されている請求項7に記載の駆動装置。
【請求項9】
第1部材と、
前記第1部材に対して変位する第2部材と、
前記第1部材に対して前記第2部材を変位させる請求項7または8に記載の駆動装置と、を有することを特徴とするロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンコーダーユニット、駆動装置およびロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、光学式エンコーダーおよび磁気式エンコーダーの出力からモーターの回転軸の回転角度を検出するエンコーダーが記載されている。光学式エンコーダーは、モーターの回転軸に固定された光学スケールユニットと、光学スケールユニットの回転状態を検出する光学センサーとを有し、光学センサーが第1基板に搭載されている。磁気式エンコーダーは、回転軸に固定された主歯車と、主歯車に噛合する2つの副歯車と、各副歯車に固定された磁石と、各磁石の回転状態を検出する2つの磁気センサーとを有し、2つの磁気センサーが第2基板に搭載されている。そして、モーター側から主歯車および副歯車、第2基板、光学スケールユニット、第1基板の順に並んで配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような構成のエンコーダーでは、光学センサーと磁気センサーとが別々の基板に搭載されており、基板が複数必要となるため、エンコーダーの薄型化を図ることが困難であるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のエンコーダーユニットは、回転軸に固定される主歯車と、前記主歯車と噛合する複数の副歯車と、各前記副歯車に配置されている磁石と、対応する前記磁石の磁界が作用する複数の磁気センサーと、を有する磁気式エンコーダーと、
前記回転軸の軸方向に前記磁気式エンコーダーと離間して配置され、前記回転軸に固定される光学スケールと、前記光学スケールで反射される光を受光する光学センサーと、を有する光学式エンコーダーと、
前記磁石と前記光学スケールとの間に配置され、一方の面に前記磁気センサーが実装され、他方の面に前記光学センサーが実装されている基板と、を有する。
【0006】
本発明の駆動装置は、上述のエンコーダーユニットと、
前記回転軸を有するモーターと、を有する。
【0007】
本発明のロボットは、第1部材と、
前記第1部材に対して変位する第2部材と、
前記第1部材に対して前記第2部材を変位させる上述の駆動装置と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係るロボットシステムを示す全体図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明のエンコーダーユニット、駆動装置およびロボットを添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0010】
図1は、本発明の実施形態に係るロボットシステムを示す全体図である。
図2および
図3は、それぞれ、駆動装置の断面図である。なお、
図3は、
図2をZ軸まわりに90°回転させた断面図である。以下では、説明の便宜上、互いに直交する3つの軸をX軸、Y軸およびZ軸として説明を行う。また、X軸、Y軸およびZ軸を示す各矢印の先端側を「+」、基端側を「-」とする。また、X軸に平行な方向を「X軸方向」といい、Y軸に平行な方向を「Y軸方向」といい、Z軸に平行な方向を「Z軸方向」という。また、+Z軸方向側を「上」、-Z軸方向側を「下」ともいう。
【0011】
図1に示すロボットシステム1は、精密機器やこれを構成する部品の給材、除材、搬送および組立等の作業を行うことができる。ロボットシステム1は、所定の作業を実行するロボット2と、ロボット2の駆動を制御する制御装置3と、を有する。
【0012】
ロボット2は、6軸ロボットである。ロボット2は、床、壁、天井等に固定されるベース20と、ベース20に支持されたロボットアーム21と、ロボットアーム21の先端に装着されたエンドエフェクター22と、を有する。また、ロボットアーム21は、ベース20に回動自在に連結されたアーム211と、アーム211に回動自在に連結されたアーム212と、アーム212に回動自在に連結されたアーム213と、アーム213に回動自在に連結されたアーム214と、アーム214に回動自在に連結されたアーム215と、アーム215に回動自在に連結されたアーム216と、を有する。そして、アーム216にエンドエフェクター22が装着されている。
【0013】
ただし、ロボット2の構成は、特に限定されず、例えば、アームの数は、1本以上5本以下であってもよいし7本以上であってもよい。また、例えば、ロボット2は、スカラーロボット、双腕ロボット等であってもよい。
【0014】
ロボット2は、ベース20に対してアーム211を回動させる駆動装置41と、アーム211に対してアーム212を回動させる駆動装置42と、アーム212に対してアーム213を回動させる駆動装置43と、アーム213に対してアーム214を回動させる駆動装置44と、アーム214に対してアーム215を回動させる駆動装置45と、アーム215に対してアーム216を回動させる駆動装置46と、を有する。これら駆動装置41~46は、それぞれ、制御装置3によって独立して制御される。
【0015】
制御装置3は、図示しないホストコンピューターからの位置指令を受けて、各アーム211~216が前記位置指令に応じた位置となるように駆動装置41~46の駆動を独立して制御する。制御装置3は、例えば、コンピューターから構成され、情報を処理するプロセッサー(CPU)と、プロセッサーに通信可能に接続されたメモリーと、外部インターフェースと、を有する。また、メモリーにはプロセッサーにより実行可能な各種プログラムが保存され、プロセッサーは、メモリーに記憶された各種プログラム等を読み込んで実行することができる。
【0016】
次に、駆動装置41~46について説明するが、これらは互いに同様の構成であるため、以下では、駆動装置41について代表して説明し、その他の駆動装置42~46についてはその説明を省略する。
図2に示すように、駆動装置41は、モーター5と、モーター5の回転軸の回転状態を検出するエンコーダーユニット6と、を有する。
【0017】
モーター5は、2相ACブラシレスモーター、3相ACブラシレスモーター、3相同期モーター等の各種モーターである。モーター5は、Z軸に平行な軸線aZに沿って配置された回転軸51と、回転軸51に固定されたローター52と、ローター52の周囲に配置されたステーター53と、これらを収納すると共にステーター53を支持する筒状のハウジング54と、回転軸51をハウジング54に対して軸線aZまわりに回転可能に支持する軸受55、56と、を有する。また、ハウジング54は、第1部材R1としてのベース20に固定されている。また、回転軸51のエンコーダーユニット6とは反対側の端部には第2部材R2としてのアーム211が接続されている。これにより、モーター5の出力がベース20からアーム211に伝達され、ベース20に対してアーム211が回動する。なお、回転軸51は、必要に応じて減速機等の歯車装置を介してアーム211に接続されていてもよい。
【0018】
エンコーダーユニット6は、モーター5の上側すなわち+Z軸側に配置されている。エンコーダーユニット6は、回転角度検出型の光学式エンコーダー61と、多回転検出型の磁気式エンコーダー62と、基板63と、を有する。そして、これらがハウジング54に固定されたハウジング60内に収納されている。また、モーター5側から光学式エンコーダー61、基板63、磁気式エンコーダー62の順でZ軸に沿って配置されている。つまり、最も-Z軸側に光学式エンコーダー61が位置し、最も+Z軸側に磁気式エンコーダー62が位置し、これらの間に基板63が位置している。
【0019】
光学式エンコーダー61は、反射型の光学式エンコーダーであり、モーター5の回転軸51に固定された光学スケール611と、光学スケール611の回転状態を検出する光学センサー612と、を有する。光学スケール611は、回転軸51と共に軸線aZまわりに回転する。光学スケール611は、モーター5の回転軸51に固定されたハブ611aと、ハブ611aに固定されたディスク611bと、を有する。ディスク611bの上面には、ディスク611bの回転角度や回転速度を検出し得る図示しない検出用パターンが形成されている。検出用パターンとしては、特に限定されず、例えば、軸線aZを中心とする周方向に沿って、光の反射率の異なる2つの領域つまり反射領域と非反射領域とを交互に並べたパターンが挙げられる。
【0020】
光学センサー612は、ディスク611bの上側にディスク611bと離間して配置されている。光学センサー612は、ディスク611b上の検出用パターンに向けて光Lを出射する発光素子612aと、検出用パターンで反射した光Lを受光する受光素子612bと、を有する。発光素子612aは、例えば、レーザダイオード、発光ダイオードであり、受光素子612bは、例えば、フォトダイオードである。このような構成の光学式エンコーダー61では、ディスク611bの軸線aZまわりの回転に伴って受光素子612bからの出力信号の波形が変化する。そのため、この出力信号に基づいて、ディスク611bの360°範囲内での回転角度θを検出することができる。
【0021】
光学式エンコーダー61を反射型の光学式エンコーダーとすることにより、その構成が簡単となる。また、反射型とすることにより、発光素子612aおよび受光素子612bを光学スケール611の一方側にまとめて配置することができるため、例えば、光学スケール611を挟んで発光素子612aと受光素子612bとを配置し、発光素子612aから出射され、光学スケール611を透過した光を受光素子612bが受光する透過型の光学式エンコーダーと比べて、光学式エンコーダー61の薄型化を図ることができる。ただし、光学式エンコーダー61としては、反射型のものに限定されず、例えば、撮像素子を用いたテンプレートマッチングにより回転角度θを検出する撮像型の光学式エンコーダーであってもよい。この場合、発光素子612aを検出用パターンの照明として用い、受光素子612bに替えてカメラ等の撮像素子を配置すればよい。
【0022】
磁気式エンコーダー62は、光学センサー612の上側すなわち+Z軸側に配置されている。磁気式エンコーダー62は、回転軸51に固定された主歯車621と、主歯車621に噛合する2つの副歯車622a、622bと、副歯車622a、622bに固定された磁石623a、623bと、磁石623a、623bの回転状態を検出する磁気センサー624a、624bと、を有する。
【0023】
主歯車621は、回転軸51と共に軸線aZまわりに回転する。副歯車622aは、軸線aZに平行な軸線aZ1まわりに回転可能に軸支され、主歯車621に従動して主歯車621との歯車比に応じた回転量で回転する。同様に、副歯車622bは、軸線aZに平行な軸線aZ2まわりに回転可能に軸支され、主歯車621に従動して主歯車621との歯車比に応じた回転量で回転する。主歯車621、副歯車622aおよび副歯車622bの歯数は、互いに異なっており、特に本実施形態では互いに素の関係となっている。また、副歯車622a、622bは、主歯車621を介して対向配置されており、主歯車621の+X軸側に副歯車622aが位置し、主歯車621の-X軸側に副歯車622bが位置する。ただし、副歯車622a、622bの配置は、特に限定されない。
【0024】
磁石623aは、副歯車622aに固定されている。そのため、磁石623aは、副歯車622aと共に軸線aZ1まわりに回転する。同様に、磁石623bは、副歯車622bに固定されている。そのため、磁石623bは、副歯車622bと共に軸線aZ2まわりに回転する。磁石623a、623bは、例えば、ネオジム磁石、フェライト磁石、サマリウムコバルト磁石、アルニコ磁石、ボンド磁石等の永久磁石であり、軸線aZ1、aZ2まわりの回転に伴って磁界の方向が変化するように配置されている。
【0025】
磁気センサー624a、624bは、磁石623a、623bの下側すなわち-Z軸側に配置されている。このうち、磁気センサー624aは、磁石623aと対向して配置され、磁石623aの磁界の方向つまり副歯車622aの360°範囲内での回転角度に応じた信号を出力する。一方、磁気センサー624bは、磁石623bに対向して配置され、磁石623bの磁界の方向つまり副歯車622bの360°範囲内での回転角度に応じた信号を出力する。このような構成の磁気式エンコーダー62では、磁気センサー624a、624bからの信号の値の組み合わせにより回転軸51の回転数nを検出することができる。
【0026】
なお、本実施形態では、副歯車、磁石および磁気センサーを含むユニットを2つ備えているがユニットの数は、これに限定されず、3つ以上であってもよい。
【0027】
このように、光学式エンコーダー61と磁気式エンコーダー62とを有するエンコーダーユニット6では、磁気式エンコーダー62の出力に基づいてモーター5の回転軸51の回転数nを検出し、光学式エンコーダー61の出力に基づいて360°範囲内の回転軸51の回転角度θを検出する。そして、回転数nおよび回転角度θから回転軸51の回転量を検出することができる。
【0028】
基板63は、光学式エンコーダー61と磁気式エンコーダー62との間に配置されている。具体的には、基板63は、光学式エンコーダー61の光学スケール611と磁気式エンコーダー62の磁石623a、623bとの間に配置されている。基板63は、配線基板であり、ハウジング60に固定されている。また、基板63の下面631には、光学スケール611と対向して光学センサー612が実装されており、上面632には、磁石623a、623bと対向して磁気センサー624a、624bが実装されている。このように、光学センサー612と磁気センサー624a、624bとを1枚の基板63に実装することにより、従来のような光学センサー612と磁気センサー624a、624bとを別々の基板に実装する構成と比べて基板の数が減り、エンコーダーユニット6の小型化、特にZ軸方向の薄型化を図ることができる。
【0029】
また、下面631を光学センサー612の実装面とし、上面632を磁気センサー624a、624bの実装面としているため、つまり、光学センサー612と磁気センサー624a、624bとを別々の面に実装しているため、光学センサー612と磁気センサー624a、624bとの干渉を防ぐことができる。そのため、高い設計自由度を発揮することができる。
【0030】
また、下面631に光学センサー612を実装することにより、光学センサー612を光学スケール611に対して適切な位置に配置することができる。そのため、回転軸51の回転角度θを精度よく検出することができる。同様に、上面632に磁気センサー624a、624bを実装することにより、磁気センサー624a、624bを磁石623a、623bに対して適切な位置に配置することができる。そのため、回転軸51の回転数nを精度よく検出することができる。
【0031】
また、基板63の下面631の光学センサー612と重ならない位置には回路素子64が実装されている。回路素子64は、光学センサー612および磁気センサー624a、624bと電気的に接続されている。回路素子64は、例えば、マイクロコンピューターであり、光学センサー612の出力信号に基づいて回転角度θを検出する回転角度検出回路641と、磁気センサー624a、624bの出力信号に基づいて回転数nを検出する回転数検出回路642と、回転角度検出回路641が検出した回転角度θと回転数検出回路642が検出した回転数nとに基づいて回転軸51の回転量を算出する回転量算出回路643と、外部との通信を行うインターフェース回路644と、を有する。回路素子64は、制御装置3からのリクエストにより回転軸51の回転量を算出し制御装置3へ送信する。このように、下面631に回路素子64を実装することにより、光学スケール611と基板63との間に形成された構造上必要な隙間Gに回路素子64を配置することができる。そのため、隙間Gを有効活用することができ、エンコーダーユニット6の小型化を図ることができる。
【0032】
ただし、回路素子64の構成としては、回転軸51の回転量に応じた信号を出力することができれば特に限定されない。また、回路素子64は、省略してもよいし、基板63の上面632に実装されてもよいし、ハウジング60の内外を問わず、基板63以外に実装されてもよい。
【0033】
また、
図3に示すように、基板63の上面632にはコネクター65が実装されている。また、コネクター65の差込口651は、ハウジング60の外部に露出している。そして、コネクター65を介して制御装置3と回路素子64とが電気的に接続されている。また、コネクター65は、Z軸方向からの平面視で、副歯車622a、622bと重ならないように配置されている。本実施形態では、副歯車622a、622bが主歯車621に対して±X軸側に配置されているため、コネクター65は、主歯車621に対して+Y軸側に配置されている。このように、基板63の上面632にコネクター65を実装することにより、差込口651をハウジング60の上面から露出させ、差込口651を上側すなわち+Z軸側を向けることが容易となる。そのため、差込口651へのアプローチが容易となる。特に、モーター5がエンコーダーユニット6の下側に配置されているため、差込口651へのアプローチがモーター5により阻害されることがない。
【0034】
また、Z軸方向からの平面視で、コネクター65は、光学スケール611と重なっている。これにより、エンコーダーユニット6の大径化を抑制することができる。
【0035】
以上、ロボットシステム1について説明した。このようなロボットシステム1に適用されたエンコーダーユニット6は、回転軸51に固定される主歯車621と、主歯車621と噛合する複数の副歯車622a、622bと、副歯車622a、622bに配置されている磁石623a、623bと、対応する磁石623a、623bの磁界が作用する複数の磁気センサー624a、624bと、を有する磁気式エンコーダー62と、回転軸51の軸方向に磁気式エンコーダー62と離間して配置され、回転軸51に固定される光学スケール611と、光学スケール611で反射される光Lを受光する光学センサー612と、を有する光学式エンコーダー61と、磁石623a、623bと光学スケール611との間に配置され、一方の面である上面632に磁気センサー624a、624bが実装され、他方の面である下面631に光学センサー612が実装されている基板63と、を有する。
【0036】
このように、光学センサー612と磁気センサー624a、624bとを同じ基板63に実装することにより、従来のような光学センサー612と磁気センサー624a、624bとを別々の基板に実装する構成と比べて基板の数が減り、その分、エンコーダーユニット6の薄型化を図ることができる。また、光学センサー612と磁気センサー624a、624bとを別々の面に実装することにより、これらの干渉を防ぐことができる。そのため、高い設計自由度を発揮することができる。
【0037】
また、前述したように、基板63の磁石623a、623b側の面である上面632に磁気センサー624a、624bが実装され、光学スケール611側の面である下面631に光学センサー612が実装されている。このように、下面631に光学センサー612を実装することにより、光学センサー612を光学スケール611に対して適切な位置に配置することができる。そのため、回転軸51の回転角度θを精度よく検出することができる。同様に、上面632に磁気センサー624a、624bを実装することにより、磁気センサー624a、624bを磁石623a、623bに対して適切な位置に配置することができる。そのため、回転軸51の回転数nを精度よく検出することができる。
【0038】
また、前述したように、エンコーダーユニット6は、基板63の磁石623a、623b側の面である上面632に実装されているコネクター65を有する。コネクター65を有することにより、制御装置3との電気的な接続が容易となる。また、上面632の主歯車621や副歯車622a、622bと重ならない領域を有効活用することができ、エンコーダーユニット6の大型化を招くことなくコネクター65を配置することができる。
【0039】
また、前述したように、コネクター65は、基板63の平面視すなわちZ軸方向の平面視で、光学スケール611と重なっている。これにより、エンコーダーユニット6の大径化を抑制することができる。
【0040】
また、前述したように、エンコーダーユニット6は、基板63の光学スケール611側の面である下面631に実装され、光学センサー612および磁気センサー624a、624bと電気的に接続されている回路素子64を有する。これにより、下面631と光学スケール611との隙間Gを有効活用することができ、エンコーダーユニット6の小型化を図ることができる。
【0041】
また、前述したように、光学センサー612は、光学スケール611に向けて光Lを照射する発光素子612aと、光学スケール611で反射した光Lを受光する受光素子612bと、を有する反射型光学エンコーダーである。これにより、発光素子612aと受光素子612bとを光学スケール611に対して同じ側に配置することができるため、光学式エンコーダー61の薄型化を図ることができる。
【0042】
また、前述したように、ロボットシステム1に適用された駆動装置41は、エンコーダーユニット6と、回転軸51を有するモーター5と、を有する。これにより、エンコーダーユニット6の効果を享受できる。そのため、駆動装置41の小型化を図ることができる。
【0043】
また、前述したように、モーター5は、エンコーダーユニット6の光学スケール611側に配置されている。これにより、モーター5に邪魔されることなく、コネクター65への接続を行うことができる。そのため、駆動装置41と制御装置3との電気的な接続が容易となる。
【0044】
また、前述したように、ロボットシステム1に適用されたロボット2は、第1部材R1としてのベース20と第1部材R1に対して変位する第2部材R2としてのアーム211と、ベース20に対してアーム211を変位させる駆動装置41と、を有する。これにより、エンコーダーユニット6の効果を享受できる。そのため、ロボット2の小型化を図ることができる。
【0045】
以上、本発明のエンコーダーユニット、駆動装置およびロボットを図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。また、前述した実施形態では、エンコーダーユニットおよび駆動装置をロボットに適用した例について説明したが、エンコーダーユニットおよび駆動装置は、ロボット以外の各種電子機器にも適用することができる。
【符号の説明】
【0046】
1…ロボットシステム、2…ロボット、3…制御装置、5…モーター、6…エンコーダーユニット、20…ベース、21…ロボットアーム、22…エンドエフェクター、41…駆動装置、42…駆動装置、43…駆動装置、44…駆動装置、45…駆動装置、46…駆動装置、51…回転軸、52…ローター、53…ステーター、54…ハウジング、55…軸受、56…軸受、60…ハウジング、61…光学式エンコーダー、62…磁気式エンコーダー、63…基板、64…回路素子、65…コネクター、211…アーム、212…アーム、213…アーム、214…アーム、215…アーム、216…アーム、611…光学スケール、611a…ハブ、611b…ディスク、612…光学センサー、612a…発光素子、612b…受光素子、621…主歯車、622a…副歯車、622b…副歯車、623a…磁石、623b…磁石、624a…磁気センサー、624b…磁気センサー、631…下面、632…上面、641…回転角度検出回路、642…回転数検出回路、643…回転量算出回路、644…インターフェース回路、651…差込口、G…隙間、L…光、R1…第1部材、R2…第2部材、aZ…軸線、aZ1…軸線、aZ2…軸線