(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G09G 3/20 20060101AFI20240501BHJP
G09G 3/34 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
G09G3/20 680B
G09G3/20 612A
G09G3/34 D
G09G3/34 J
(21)【出願番号】P 2020557726
(86)(22)【出願日】2019-11-26
(86)【国際出願番号】 JP2019046087
(87)【国際公開番号】W WO2020111038
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2022-09-16
(31)【優先権主張番号】P 2018224082
(32)【優先日】2018-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100195648
【氏名又は名称】小林 悠太
(74)【代理人】
【識別番号】100175019
【氏名又は名称】白井 健朗
(74)【代理人】
【識別番号】100104329
【氏名又は名称】原田 卓治
(72)【発明者】
【氏名】土田 清
(72)【発明者】
【氏名】山川 泰弘
(72)【発明者】
【氏名】白木 慎也
【審査官】武田 悟
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-146401(JP,A)
【文献】特開2014-78679(JP,A)
【文献】特開2017-59500(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0192728(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/00 - 3/38
G02B 27/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電流を供給する電流供給部と、
前記電流供給部からの電流を受けて、それぞれ異なる色の光を発する複数の光源と、
前記光源に電流が供給される際にエネルギが蓄えられるエネルギ貯蓄部と、
光の反射する角度を制御する複数の反射部を有する表示素子と、
前記複数の光源のうち何れか一つの光源に前記電流供給部からの電流を供給することで前記光源を発光させ、発光する前記光源を順次切り替えるフィールドシーケンシャル方式にて前記複数の光源から発される光から所望の色の照明光を生成する光源制御部と、
前記反射部を通じて前記照明光のうち画像に対応した光を反射させる表示素子制御部と、
前記エネルギ貯蓄部に蓄えられたエネルギを放出するエネルギ放出部と、
前記電流供給部からの電流に基づき前記エネルギ貯蓄部に流れる電流を制御する電流設定部と、を備え、
前記光源制御部は、前記光源が点灯される前に、前記エネルギ放出部を介して前記エネルギ貯蓄部に蓄えられたエネルギを放出した後、前記電流設定部を介して前記電流供給部からの電流に基づき前記エネルギ貯蓄部に流れる電流を目標値に制御し、
前記電流設定部は、
前記光源に並列で接続され、前記光源制御部による制御のもと、前記エネルギ貯蓄部をグランドに接続するオン状態と前記エネルギ貯蓄部をグランドに接続しないオフ状態の間で切り替わる第1スイッチ部と、
前記電流供給部とグランドの間であって前記光源に並列で接続されるコンデンサと、
前記コンデンサに直列に接続され、前記光源制御部による制御のもとオン状態とオフ状態の間で切り替わる第3スイッチ部と、を備え
前記エネルギ放出部は、
前記第1スイッチ部に並列で接続され、前記光源制御部による制御のもと、前記エネルギ貯蓄部をグランドに接続するオン状態と前記エネルギ貯蓄部をグランドに接続しないオフ状態の間で切り替わる第2スイッチ部と、
前記第2スイッチ部に直列に接続される抵抗と、を備え、
前記光源制御部は、
前記光源が点灯される前に、前記第2スイッチ部をオン状態に切り替えることにより前記エネルギ貯蓄部に蓄えられたエネルギを放出した後、前記第2スイッチ部をオフ状態に切り替えつつ前記電流供給部から電流が供給された状態で前記第1スイッチ
部をオン状態に切り替えることにより前記エネルギ貯蓄部に流れる電流を前記目標値に制御
し、
前記電流供給部からの電流をパルス波として前記光源に供給する際には前記第3スイッチ部をオン状態とし、前記電流供給部からの電流を矩形波として前記光源に供給する際には前記第3スイッチ部をオフ状態とする
表示装置。
【請求項2】
前記光源制御部は、
比較的高い輝度で前記光源を発光する高輝度モードと、比較的低い輝度で前記光源を発光する低輝度モードとで動作し、
前記高輝度モードにおいては前記第3スイッチ部をオフ状態に維持しつつ前記第1スイッチ部をオン状態に切り替えることにより前記エネルギ貯蓄部に流れる電流を前記目標値に制御し、
前記低輝度モードにおいては前記
第1スイッチ部及び前記第3スイッチ部をオン状態に切り替えることにより前記エネルギ貯蓄部に流れる電流を前記目標値に制御する、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記光源制御部は、点灯可能期間のうちオンデューティー期間において前記光源に電流を供給し、前記点灯可能期間のうち前記オンデューティー期間の後のオフデューティー期間において前記第1スイッチ部をオン状態に切り替えることにより前記電流供給部から前記エネルギ貯蓄部を経て前記第1スイッチ部に電流を流し、前記オフデューティー期間の経過後、前記第2スイッチ部をオン状態に切り替えることにより前記エネルギ貯蓄部に蓄えられたエネルギを放出する、
請求項1に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、表示装置として、赤色、緑色及び青色の光を発する3つの光源のうち何れか一つを選択的に発光させ、発光する光源を高速で切り替えることで所望の色の照明光を生成する、いわゆるフィールドシーケンシャル方式により動作するものが知られている。
例えば、特許文献1に記載の表示装置は、複数の光源と、光源に電流が供給される際に電荷が蓄えられるインダクタ等の電荷部と、次の光源を点灯する前にインダクタに蓄えられる電荷をグランドに放出する例えばFET(Field Effect Transistor)により構成される電荷放出部と、を備える。この電荷放出部により、次の光源の点灯開始時に、光源に供給される電流にノイズとしてリップルが重畳することが抑制され、光源を低輝度時であっても所望の輝度で点灯させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の構成においては、次の光源の点灯開始時には、インダクタに流れる電流値は、点灯時に光源に供給されるべき目標の電流値に対して小さい。このため、インダクタに流れる電流値を目標の電流値に近づけるのに時間がかかり、これが表示品位の低下の一因となっていた。
【0005】
本発明は、上記実状を鑑みてなされたものであり、光源の点灯前にエネルギ貯蓄部に流れる電流を制御することができる表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の表示装置は、電流を供給する電流供給部と、前記電流供給部からの電流を受けて、それぞれ異なる色の光を発する複数の光源と、前記光源に電流が供給される際にエネルギが蓄えられるエネルギ貯蓄部と、光の反射する角度を制御する複数の反射部を有する表示素子と、前記複数の光源のうち何れか一つの光源に前記電流供給部からの電流を供給することで前記光源を発光させ、発光する前記光源を順次切り替えるフィールドシーケンシャル方式にて前記複数の光源から発される光から所望の色の照明光を生成する光源制御部と、前記反射部を通じて前記照明光のうち画像に対応した光を反射させる表示素子制御部と、前記エネルギ貯蓄部に蓄えられたエネルギを放出するエネルギ放出部と、前記電流供給部からの電流に基づき前記エネルギ貯蓄部に流れる電流を制御する電流設定部と、を備え、前記光源制御部は、前記光源が点灯される前に、前記エネルギ放出部を介して前記エネルギ貯蓄部に蓄えられたエネルギを放出した後、前記電流設定部を介して前記電流供給部からの電流に基づき前記エネルギ貯蓄部に流れる電流を目標値に制御すし、前記電流設定部は、前記光源に並列で接続され、前記光源制御部による制御のもと、前記エネルギ貯蓄部をグランドに接続するオン状態と前記エネルギ貯蓄部をグランドに接続しないオフ状態の間で切り替わる第1スイッチ部と、前記電流供給部とグランドの間であって前記光源に並列で接続されるコンデンサと、前記コンデンサに直列に接続され、前記光源制御部による制御のもとオン状態とオフ状態の間で切り替わる第3スイッチ部と、を備え、前記エネルギ放出部は、前記第1スイッチ部に並列で接続され、前記光源制御部による制御のもと、前記エネルギ貯蓄部をグランドに接続するオン状態と前記エネルギ貯蓄部をグランドに接続しないオフ状態の間で切り替わる第2スイッチ部と、前記第2スイッチ部に直列に接続される抵抗と、を備え、前記光源制御部は、前記光源が点灯される前に、前記第2スイッチ部をオン状態に切り替えることにより前記エネルギ貯蓄部に蓄えられたエネルギを放出した後、前記第2スイッチ部をオフ状態に切り替えつつ前記電流供給部から電流が供給された状態で前記第1スイッチ部をオン状態に切り替えることにより前記エネルギ貯蓄部に流れる電流を前記目標値に制御し、前記電流供給部からの電流をパルス波として前記光源に供給する際には前記第3スイッチ部をオン状態とし、前記電流供給部からの電流を矩形波として前記光源に供給する際には前記第3スイッチ部をオフ状態とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、光源の点灯前にエネルギ貯蓄部に流れる電流を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置が搭載された車両の模式図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置の構成を示す概略図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る照明装置の構成を示す概略図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る光源駆動装置の電気的構成を示すブロック図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る高輝度モードにおけるタイミングチャートである。
【
図7】本発明の一実施形態に係る中輝度モードにおけるタイミングチャートである。
【
図8】本発明の一実施形態に係る低輝度モードにおけるタイミングチャートである。
【
図9】
図8の一部を拡大したタイミングチャートである。
【
図10】本発明の変形例に係る光源駆動部の電気的構成を示すブロック図である。
【
図11】本発明の変形例に係る光源駆動部の電気的構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係る表示装置をヘッドアップディスプレイ装置(以下、HUD装置と記載)に具体化した一実施形態について図面を参照して説明する。
【0010】
図1に示すように、HUD装置1は、車両2のダッシュボードに設置され、画像を表す表示光Lを生成し、生成した表示光Lをウインドシールド3に向けて出射する。この表示光Lは、ウインドシールド3で反射したうえで視認者4(例えば、車両2の運転者)に到達する。これにより、視認者4は、ウインドシールド3の前方に形成された画像を表す虚像Vを視認可能となる。虚像Vには、例えば、エンジン回転数、車速等の各種車両情報が表示される。
【0011】
(HUD装置1)
図2に示すように、HUD装置1は、照明装置10と、光強度検出部500と、光源温度検出部600と、照明光学系20と、表示素子30と、光源駆動装置5と、投射光学系40と、スクリーン50と、平面鏡61と、凹面鏡62と、凹面鏡駆動部65と、筐体70と、透光部71と、備える。
【0012】
筐体70は、例えば、遮光性の材質により箱状に形成されている。筐体70内には、照明装置10、照明光学系20等のHUD装置1の各構成が収納される。筐体70には、表示光Lが通過する開口部70aが形成されている。
透光部71は、アクリル等の透光性樹脂からなる湾曲板状により形成され、筐体70の開口部70aを塞ぐように設けられている。
【0013】
照明装置10は、照明光Cを生成し、その生成した照明光Cを照明光学系20に向けて出射する。具体的には、
図3に示すように、照明装置10は、光源群11と、合波部13と、輝度ムラ低減部14と、透過膜15と、を備える。
【0014】
光源群11は、例えば、それぞれLED(Light Emitting Diode)からなる3つの光源11r,11g,11bから構成されている。光源11rは赤色光Rを発し、光源11gは緑色光Gを発し、光源11bは青色光Bを発する。光源11r,11g,11bの各々は、光源駆動装置5によって駆動され、所定の光強度及びタイミングで発光する。
【0015】
合波部13は、光源11r,11g,11bから順次出射される赤色光R、緑色光G又は青色光Bの光軸を合わせることで照明光Cを生成し、その生成した照明光Cを輝度ムラ低減部14に向けて出射する。具体的には、合波部13は、反射ミラー13aと、特定の波長の光を反射し、かつ、当該特定の波長以外のその他の波長の光を透過するダイクロイックミラー13b,13cと、を備える。反射ミラー13aは、入射した青色光Bを、ダイクロイックミラー13bに向けて反射させる。ダイクロイックミラー13bは、入射した緑色光Gをダイクロイックミラー13cに向けて反射させつつ、反射ミラー13aからの青色光Bをそのまま透過させる。ダイクロイックミラー13cは、入射した赤色光Rを輝度ムラ低減部14に向けて反射させつつ、ダイクロイックミラー13bからの光B,Gをそのまま透過させる。これにより、ダイクロイックミラー13cは、赤色光R、緑色光G又は青色光Bを合成した照明光Cを輝度ムラ低減部14に向けて出射する。
【0016】
輝度ムラ低減部14は、ミラーボックス、アレイレンズ等からなり、合波部13からの照明光Cを乱反射、散乱、屈折させることで光のムラを低減する。
透過膜15は、例えば5%程度の反射率を有する透過性部材からなり、輝度ムラ低減部14を介して到達した照明光Cの大部分をそのまま透過させるが、一部の光を光強度検出部500に向けて反射させる。
【0017】
光強度検出部500は、例えばフォトダイオードを有する受光素子からなり、透過膜15で反射した照明光Cを受ける位置に設けられている。光強度検出部500は、照明光Cの一部を受光し、照明光Cを構成する光R、G、Bそれぞれの光強度を時分割で検出する。
図4に示すように、光強度検出部500は、その検出結果を光強度検出信号SFBとして光源駆動装置5の後述する第2の制御部200に出力する。
光源温度検出部600は、各光源11r,11g,11bの温度を検出し、その検出結果を光源温度信号STとして光源駆動装置5の後述する第2の制御部200に出力する。なお、光源温度検出部600は、3つの光源11r,11g,11bに対して1つ設けられていてもよいし、3つの光源11r,11g,11bそれぞれに計3つ設けられていてもよい。
【0018】
図2に示すように、照明光学系20は、凹状のレンズ等からなり、照明装置10から出射された照明光Cを表示素子30に対応した大きさに調整する。
【0019】
表示素子30は、反射部の一例である複数の可動式のマイクロミラー30aを備えたDMD(Digital Micro-mirror Device)からなる。マイクロミラー30aは、図示しない電極を備え、この電極に印加される電圧値を切り替えることでオン及びオフの何れかの状態となる。マイクロミラー30aは、オンのときにヒンジを支点に例えば+12度傾斜した姿勢を取って、このとき照明光学系20から出射された照明光Cを、投射光学系40を経てスクリーン50に向けて反射する。マイクロミラー30aは、オフのときにヒンジを支点に例えば-12度傾斜した姿勢を取って、このとき照明光Cを投射光学系40とは異なる方向に反射する。従って、表示素子30は、光源駆動装置5の後述する第2の制御部200による制御のもと、各マイクロミラー30aを個別に駆動することにより、照明光Cのうち画像Mに対応する光のみを投射光学系40に向けて投射する。
【0020】
図2に示すように、投射光学系40は、凹レンズ又は凸レンズ等で構成され、表示素子30からの表示光Lをスクリーン50に効率良く投射する。
スクリーン50は、ホログラフィックディフューザ、マイクロレンズアレイ、拡散板等から構成され、投射光学系40からの表示光Lを背面(
図2中下側の面)で受光し、前面(
図2中上側の面)に画像Mを表示する。
【0021】
平面鏡61は、スクリーン50に表示された画像Mを表す表示光Lを、凹面鏡62に向けて反射させる。凹面鏡62は、平面鏡61からの表示光Lをウインドシールド3に向けて反射する。表示光Lは、筐体70の透光部71を透過したうえでウインドシールド3にて視認者4に向けて反射する。
【0022】
凹面鏡駆動部65は、何れも図示しない、モータと、モータの駆動力を凹面鏡62に伝達する歯車機構を備える。凹面鏡駆動部65は、
図2の紙面垂直方向に延びる回転軸Axを中心に凹面鏡62を回転させる。凹面鏡62が回転軸Axを中心に回転することにより、視認者4に対する表示光Lの照射位置を高さ方向に調整することができる。
【0023】
(光源駆動装置5)
図4に示すように、光源駆動装置5は、光源群11に定電流を供給する定電流供給部300と、インダクタL1と、光源群11を駆動させる光源駆動部43と、表示素子30等を制御する第2の制御部200と、凹面鏡駆動部65等を制御する第1の制御部100と、を備える。第1及び第2の制御部100,200は制御部の一例であり、インダクタL1はエネルギ貯蓄部の一例である。
【0024】
定電流供給部300は、図示しない車載バッテリからの電力に基づき定電流を生成する定電流ドライバIC(Integrated Circuit)からなり、第2の制御部200により制御される。
定電流供給部300は、第2の制御部200から定電流供給部300をオンする旨のイネーブル信号DRV_ENを受けると、第2の制御部200からの電流値調整信号IADJに応じた値の定電流を光源駆動部43に供給する。
定電流供給部300は、第2の制御部200から定電流供給部300をオフする旨のイネーブル信号DRV_ENを受けると、定電流の供給を停止する。
インダクタL1は、定電流供給部300と光源群11の間に接続されている。
【0025】
光源駆動部43は、スイッチ部Swr,Swg,Swb,Swc,Swa,Swr1と、抵抗R1と、コンデンサC1と、電圧検出部49と、を備える。
スイッチ部Swr,Swg,Swb,Swc,Swa,Swr1は、例えば、n型チャネルのFET(Field Effect Transistor)からなり、第2の制御部200による制御のもと、オン状態(閉状態)とオフ状態(開状態)の間で切り替わる。
スイッチ部Swrは光源11rに直列に光源11rとグランドの間に接続される。スイッチ部Swgは光源11gに直列に光源11gとグランドの間に接続される。スイッチ部Swbは光源11bに直列に光源11bとグランドの間に接続される。スイッチ部SwcとコンデンサC1は直列に接続される。スイッチ部Swr1と抵抗R1は直列に接続される。
スイッチ部Swrと、スイッチ部Swgと、スイッチ部Swbと、コンデンサC1及びスイッチ部Swcと、スイッチ部Swaと、抵抗R1及びスイッチ部Swcとは、互いに並列に接続されている。また、各スイッチ部Swr,Swg,Swb,Swc,Swa,Swr1のゲート端子は第2の制御部200に接続されている。
【0026】
スイッチ部Swr,Swg,Swbは、オン状態に切り替わることにより、対応する光源11r,11g,11bに定電流供給部300からの電流を流し、対応する光源11r,11g,11bを点灯させる。スイッチ部Swr,Swg,Swbは、オフ状態に切り替わることにより、定電流供給部300から対応する光源11r,11g,11bへの電流を遮断し、対応する光源11r,11g,11bを消灯する。
スイッチ部Swaは、オン状態に切り替わることで、定電流供給部300からインダクタL1に流れるインダクタ電流Iindを目標値に制御する機能を有する。スイッチ部Swr1は、オン状態に切り替わることで、インダクタL1に蓄えられたエネルギを外部に放出する機能を有する。抵抗R1は、インダクタL1に蓄えられたエネルギを外部に放出する際にスイッチ部Swr1に大電流が流れることを抑制する機能と、スイッチ部Swaがオン状態に切り替わった際にインダクタL1に流れるインダクタ電流Iindを調整する機能を有する。
スイッチ部Swcは、オン状態に切り替わることで定電流供給部300からコンデンサC1に電流を流すことにより、後述するパルス波P1,P2,P3,P4の立ち上がり部分の傾きを調整する機能を有する。
電圧検出部49は、グランドとスイッチ部Swr,Swg,Swb,Swc,Swa,Swr1の間に接続され、電圧検出信号SVを検出したうえで第2の制御部200に出力する。
【0027】
図4に示すように、第1の制御部100は、CPU(Central Processing Unit)、メモリ等を備えるマイクロコントローラからなり、凹面鏡駆動部65を制御する。第1の制御部100には、照度センサ7を通じて検出された車両2の周辺の外部照度信号(調光信号)SLが入力される。第1の制御部100は、入力された調光信号SLを第2の制御部200、正確には後述する比較部204に出力する。
【0028】
第2の制御部200は、所望の機能をハードウェアで実現するLSI(Large Scale Integration)であり、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などから構成されている。
第2の制御部200には、映像信号入力部700から画像Mを表示するための映像信号SE、光源温度検出部600により検出された光源温度信号ST、電圧検出部49により検出された電圧検出信号SV及び光強度検出部500により検出された光強度検出信号SFBが入力される。
第2の制御部200は、光源温度信号STに基づき光源11r,11g,11bに供給する電流と輝度の関係を温度補正し、電圧検出信号SVに基づき光源駆動部43に供給される電流値を認識する。
【0029】
第2の制御部200は、光源制御部201と、表示素子制御部202と、電流供給制御部203と、比較部204と、を備える。
表示素子制御部202は、映像信号SEに基づき、表示素子30における各ミラー30aをPWM(Pulse Width Modulation)方式によりオン/オフ制御する。
比較部204は、調光信号SLに基づき閾値を決定し、決定した閾値と光強度検出信号SFBを比較し、その比較結果を示す比較信号SBを電流供給制御部203に出力する。
【0030】
電流供給制御部203は定電流供給部300を制御する。詳しくは、電流供給制御部203は、電流値調整信号IADJとイネーブル信号DRV_ENを定電流供給部300に出力する。
電流値調整信号IADJは、定電流供給部300の出力電流値を目標値に制御するための信号である。イネーブル信号DRV_ENは定電流供給部300のオン及びオフを切り替えるための信号である。
【0031】
光源制御部201は、表示素子制御部202による画像制御と同期させつつスイッチ部Swr,Swg,Swb,Swc,Swa,Swr1を制御するために、イネーブル信号R_EN,G_EN,B_EN,S_EN1,S_EN2,C_EN2をスイッチ部Swr,Swg,Swb,Swc,Swa,Swr1に出力する。
イネーブル信号R_EN,G_EN,B_EN,S_EN1,S_EN2,C_EN2は、スイッチ部Swr,Swg,Swb,Swc,Swa,Swr1をオン状態とするHiとスイッチ部Swr,Swg,Swb,Swc,Swa,Swr1をオフ状態とするLoとの間で変化する。
光源制御部201は、光源11rに対応するイネーブル信号R_ENをスイッチ部Swrに出力し、光源11gに対応するイネーブル信号G_ENをスイッチ部Swgに出力し、光源11bに対応するイネーブル信号B_ENをスイッチ部Swbに出力する。また、光源制御部201は、イネーブル信号S_EN1をスイッチ部Swaに出力し、イネーブル信号S_EN2をスイッチ部Swr1に出力し、イネーブル信号C_EN2をスイッチ部Swcに出力する。
光源制御部201によるスイッチ部Swr,Swg,Swb,Swc,Swa,Swr1の制御態様については後述する。
【0032】
なお、第1の制御部100の制御内容の一部を、第2の制御部200が実行してもよいし、反対に、第2の制御部200の制御内容の一部を、第1の制御部100が実行してもよい。また、第1及び第2の制御部100,200は一つの制御部として構成されてもよい。
【0033】
次に、第2の制御部200は、調光信号SLに基づき、高輝度モード、中輝度モード及び低輝度モードの何れかのモードに移行する。第2の制御部200は、調光信号SLが第1閾値以下であるときには低輝度モードに移行し、調光信号SLが第1閾値を超え、かつ、第2閾値未満であるときには中輝度モードに移行し、調光信号SLが第2閾値以上であるときには高輝度モードに移行する。第1閾値は、表示光Lの光度が800カンデラ(cd/m2)となるときの閾値である。第2閾値は、表示光Lの光度が4000カンデラ(cd/m2)となるときの閾値である。
以下、高輝度モード、中輝度モード及び低輝度モードの動作について順に説明する。
【0034】
(高輝度モード)
図6のタイミングチャートを参照しつつ、高輝度モードにおける光源駆動装置5の動作について説明する。このタイミングチャートは、HUD装置1の動作電源がオンされたときに開始される。
高輝度モードにおいては、オフ期間Tof→準備期間Tb→点灯可能期間Tdを経て、以降、高輝度モードが継続する限り、準備期間Tb及び点灯可能期間Tdが繰り返される。点灯可能期間Tdとしては、光源11rを点灯可能な点灯可能期間Td、光源11gを点灯可能な点灯可能期間Td及び光源11bを点灯可能な点灯可能期間Tdが順に設定される。
なお、第2の制御部200は、
図6には図示しないが、光源11rを点灯可能な点灯可能期間Tdにおいては、イネーブル信号R_ENをHiに維持するとともにイネーブル信号G_EN,B_ENをLoに維持する。また、光源11gを点灯可能な点灯可能期間Tdにおいては、イネーブル信号G_ENをHiに維持するとともにイネーブル信号R_EN,B_ENをLoに維持する。光源11bを点灯可能な点灯可能期間Tdにおいては、イネーブル信号B_ENをHiに維持するとともにイネーブル信号R_EN,G_ENをLoに維持する。
【0035】
図6のタイミングチャートの開始時において、スイッチ部Swr,Swg,Swb,Swc,Swa,Swr1はオフ状態にある。第2の制御部200は、オフ期間Tof(例えば、時刻t1)においては、イネーブル信号S_EN1をHiとすることによりスイッチ部Swaをオン状態とする。これにより、
図5の矢印Y1に示すように、インダクタL1に残存するエネルギは、電流としてスイッチ部Swaを介してグランドに流れる。よって、インダクタL1のインダクタ電流Iindがゼロに維持される。
【0036】
次に、第2の制御部200は、準備期間Tb(例えば、時刻t2)においては、イネーブル信号DRV_ENをHiに切り替え、かつ電流値調整信号IADJを定電流供給部300に出力することにより定電流供給部300から電流を供給する。このとき、
図5の矢印Y1に示すように、定電流供給部300から電流はスイッチ部Swaを介してグランドに流れる。これにより、インダクタL1のインダクタ電流Iindが目標値まで増加する。この目標値は、次の点灯可能期間Tdにおいて光源11r,11g,11bに供給される電流値に基づき設定され、点灯可能期間Td毎に設定される。すなわち、第2の制御部200は、次の点灯可能期間Tdにおいて光源11r,11g,11bに供給される電流値に基づき目標値を設定し、インダクタ電流Iindが設定した目標値となるように電流値調整信号IADJを通じて定電流供給部300を通じて定電流を供給する。
抵抗R1は、準備期間Tbの開始時点でのインダクタ電流Iindを設定することができ、これによりインダクタ電流Iindの制御精度を向上させることができる。
【0037】
第2の制御部200は、点灯可能期間Td(例えば、時刻t3)においては、定電流供給部300から定電流を供給した状態を維持しつつ、イネーブル信号S_EN1をLoとすることによりスイッチ部Swaをオフ状態に切り替え、イネーブル信号R_ENをHiとすることによりスイッチ部Swrをオン状態に切り替える。これにより、
図5の矢印Y4に示すように、定電流供給部300からの電流は光源11r及びスイッチ部Swrを介してグランドに流れる。よって、光源11rは点灯する。このとき、光源11rに供給される電流値Iは、準備期間Tbの終了時のインダクタ電流Iindと同等である。このため、光源11rを所望の輝度で点灯させることができる。また、光源11rに供給される電流値Iは矩形波Rwをなす。
高輝度モードにおいては、点灯可能期間Tdに占める光源11rに電流が供給される期間の割合であるデューティー比は100%である。
【0038】
点灯可能期間Tdにおいて、電流供給制御部203は、比較部204を通じて光強度検出信号SFBが閾値以上であると判定された場合、すなわち、比較信号SBがLoとなった場合、定電流供給部300をオフする旨のイネーブル信号DRV_ENを定電流供給部300に出力する。定電流供給部300は、定電流供給部300をオフする旨のイネーブル信号DRV_ENを受けると、電流の供給を停止する。これにより、光源11rが消灯し、光強度検出信号SFBが閾値未満、すなわち、比較信号SBがHiとなる。
一方、電流供給制御部203は、比較部204を通じて光強度検出信号SFBが閾値未満であると判定された場合、すなわち、光強度検出信号SFBがHiとなった場合、定電流供給部300をオンする旨のイネーブル信号DRV_ENを定電流供給部300に出力する。定電流供給部300は、定電流供給部300をオンする旨のイネーブル信号DRV_ENを受けると、光源11rに電流を供給する。これにより、光源11rが点灯し、光強度検出信号SFBが閾値以上、すなわち、比較信号SBがLoとなる。
このように、点灯可能期間Tdにおいて、光強度検出信号SFBが閾値に近づくように、イネーブル信号DRV_ENがHi及びLoの間で周期的に変化し、これにより、矩形波Rwが形成される。
【0039】
次に、第2の制御部200は、点灯可能期間Tdの経過後、準備期間Tbの前半期間(例えば、時刻t4)においては、イネーブル信号DRV_ENをLoに切り替えることにより定電流供給部300からの電流供給を停止し、かつイネーブル信号S_EN2をHiとすることによりスイッチ部Swr1をオン状態に切り替える。これにより、前の点灯可能期間TdにおいてインダクタL1に蓄えられたエネルギは、
図5の矢印Y3に示すように、電流として抵抗R1及びスイッチ部Swr1を介してグランドに流れる。よって、インダクタL1のインダクタ電流Iindが減少する。この際、抵抗R1は、インダクタ電流Iindの減少速度すなわち減少時の傾きを調整することができる。抵抗R1の抵抗値を小さくするほど、インダクタ電流Iindの減少速度及び減少時の傾きが大きくなる。また、抵抗R1の抵抗値は、インダクタL1に蓄えられたエネルギを外部に放出する際にスイッチ部Swr1に大電流が流れることを抑制し、これによりスイッチ部Swr1の発熱を抑制できるように、かつ、インダクタL1に蓄えられたエネルギが電流として定電流供給部300に逆流することを抑制できるように設定される。
【0040】
次に、第2の制御部200は、準備期間Tbの後半期間(例えば、時刻t5)においては、上記時刻t2と同様の処理を実行する。これにより、インダクタL1のインダクタ電流Iindが目標値まで増加する。
以降、上記と同様に、点灯可能期間Td及び準備期間Tbが交互に繰り返される。高輝度モードは、HUD装置1の動作電源がオフされたとき、又は他のモードに移行されたときに終了となる。
以上で、高輝度モードの説明を終了する。
【0041】
(中輝度モード)
図7のタイミングチャートを参照しつつ、中輝度モードにおける光源駆動装置5の動作について説明する。
中輝度モードにおいては、点灯可能期間Tdに占める光源11r,11g,11bに電流が供給される期間の割合であるデューティー比は、100%未満、例えば、20%~40%である。以下、高輝度モードとの相違点を中心に説明する。
【0042】
図7に示すように、第2の制御部200は、高輝度モードと同様に、点灯可能期間Tdの光源11r,11g,11bに電流が供給されるオンデューティー期間Ton(例えば、時刻t3)において、定電流供給部300から定電流を供給した状態を維持し、イネーブル信号R_ENをオンすることによりスイッチ部Swrをオン状態に切り替える。これにより、光源11rには矩形波Rwの電流が供給され、光源11rは点灯する。
その後、第2の制御部200は、点灯可能期間Tdにおける光源11r,11g,11bに電流が供給されないオフデューティー期間Tod(例えば時刻t3a)においては、イネーブル信号DRV_ENをHiに維持して、イネーブル信号S_EN1をHiとすることによりスイッチ部Swaをオン状態とする。これにより、
図5の矢印Y1に示すように、定電流供給部300からの電流はスイッチ部Swaを介してグランドに流れる。よって、オフデューティー期間Todであっても、インダクタ電流Iindが目標値に維持される。
そして、第2の制御部200は、次の準備期間Tb(例えば、時刻t4)においては、上述した高輝度モードと同様に、スイッチ部Swr1をオン状態に切り替えることにより、インダクタL1に蓄えられたエネルギを電流として抵抗R1及びスイッチ部Swr1を介してグランドに放出する。点灯可能期間Tdのオフデューティー期間Todにおいてインダクタ電流Iindが目標値に維持されることにより、準備期間TbにおいてインダクタL1は蓄えられたエネルギを短時間で放出することができる。
以上で、中輝度モードの説明を終了する。
【0043】
(低輝度モード)
図8のタイミングチャートを参照しつつ、低輝度モードにおける光源駆動装置5の動作について説明する。このタイミングチャートは、HUD装置1の動作電源がオンされたときに開始される。
低輝度モードにおいては、オフ期間Tof→光源11rを点灯可能な点灯可能期間Tdr→光源11gを点灯可能な点灯可能期間Tdg→オフ期間Tof→光源11bを点灯可能な点灯可能期間Tdbの順で繰り返される。
【0044】
第2の制御部200は、オフ期間Tof(例えば、時刻ta)においては、上述した高輝度モードのオフ期間Tofと同様に、イネーブル信号S_EN1をHiとすること、すなわち、スイッチ部Swaをオン状態とすることにより、インダクタL1に残存するエネルギを放出する。
【0045】
そして、第2の制御部200は、点灯可能期間Tdrにおいては、光源11rに電流を三角波であるパルス波P1,P2,P3として供給する。
詳しくは、第2の制御部200は、
図9に示すように、点灯可能期間Tdr(例えば、時刻tb)において、イネーブル信号C_EN2をHiとすることによりスイッチ部Swcをオン状態とするとともに、イネーブル信号DRV_ENをHiに切り替え、かつ電流値調整信号IADJを定電流供給部300に出力することにより定電流供給部300から電流を供給する。このとき、スイッチ部Swcがオン状態に切り替えられても、スイッチ部Swaはオン状態に維持されている。このため、
図5の矢印Y1に示すように、定電流供給部300から電流はスイッチ部Swaを介してグランドに流れ、コンデンサC1には電流が流れない。このとき、インダクタ電流Iindは目標値に調整され、光源11r,11g,11bは消灯している。
【0046】
そして、第2の制御部200は、点灯可能期間Tdrにおけるパルス波P1の電流を供給する前(例えば、時刻tc)、イネーブル信号S_EN1をLoとすることによりスイッチ部Swaをオフ状態とする。このとき、
図5の矢印Y1の電流は遮断され、
図5の矢印Y5に示すように、定電流供給部300から電流はコンデンサC1及びスイッチ部Swcを介してグランドに流れる。これにより、コンデンサC1にはエネルギがチャージされる。
【0047】
コンデンサC1が満充電状態に近づくと、コンデンサC1に流れる電流値が小さくなり、光源11rに供給される電流値Iが増加する。これにより、パルス波P1の立ち上がり部分の波形が形成される。コンデンサC1により、光源11rの順方向電圧の増加の傾き、及びパルス波P1の立ち上がり部分の傾きを調整することができる。
【0048】
そして、
図9に示すように、電流値Iがターゲット値Tgtに到達したときに比較信号SBがLoとなる。第2の制御部200は、比較信号SBがLoとなった時刻tdにおいて、イネーブル信号S_EN1をHiとすることによりスイッチ部Swaをオン状態とする。このとき、
図5の矢印Y1に示すように、定電流供給部300からの電流はスイッチ部Swaを介してグランドに流れ、光源11rに供給される電流値Iが減少する。これにより、パルス波P1の立ち下がり部分の波形が形成される。
図8に示すように、第2の制御部200は、上述のようにパルス波P1を発生させた後、パルス波P1と同様に、パルス波P2,P3を発生させる。
【0049】
そして、第2の制御部200は、点灯可能期間Tdrの後、点灯可能期間Tdgにおいては、光源11gに供給される電流値Iによりパルス波P4を発生させる。パルス波P4におけるターゲット値Tgtは、上述したパルス波P1におけるターゲット値Tgtよりも小さい。この点を除き、パルス波P4は、パルス波P1と同様の手法により発生される。
次に、第2の制御部200は、上述したオフ期間Tofと同様のオフ期間Tofを経て、点灯可能期間Tdbにおいては、本例では、パルス波を発生させない。しかしながら、点灯可能期間Tdbにおいても光源11bに電流をパルス波として供給させてもよい。
以上で、低輝度モードの説明を終了する。
【0050】
(効果)
以上、説明した一実施形態によれば、以下の効果を奏する。
【0051】
(1-1)表示装置の一例であるHUD装置1は、電流を供給する電流供給部の一例である定電流供給部300と、定電流供給部300からの電流を受けて、それぞれ異なる色の光R,G,Bを発する複数の光源11r,11g,11bと、各光源11r,11g,11bに電流が供給される際にエネルギが蓄えられるエネルギ貯蓄部の一例であるインダクタL1と、光の反射する角度を制御する複数の反射部の一例であるマイクロミラー30aを有する表示素子30と、複数の光源11r,11g,11bのうち何れか一つに定電流供給部300からの電流を供給することで何れか一つの光源11r,11g,11bを発光させ、発光する光源11r,11g,11bを順次切り替えるフィールドシーケンシャル方式にて複数の光源11r,11g,11bから発される光R,G,Bから所望の色の照明光Cを生成する光源制御部201と、マイクロミラー30aを通じて照明光Cのうち画像Mに対応した表示光Lを反射させる表示素子制御部202と、インダクタL1に蓄えられたエネルギを放出するエネルギ放出部の一例である抵抗R1及びスイッチ部Swr1と、定電流供給部300からの電流に基づきインダクタL1に流れるインダクタ電流Iindを制御する電流設定部の一例であるスイッチ部Swaと、を備える。光源制御部201は、光源11r,11g,11bが点灯される前に、抵抗R1及びスイッチ部Swr1を介してインダクタL1に蓄えられたエネルギを放出した後、スイッチ部Swaを介して定電流供給部300からの電流に基づきインダクタ電流Iindを目標値に制御する。この目標値は、光源11r,11g,11bを点灯させる際に供給される電流値に基づき設定される。
この構成によれば、インダクタ電流Iindは、光源11r,11g,11bの点灯前に目標値に制御されるため、その後、光源11r,11g,11bを点灯させる際に所望値に迅速に到達させることができる。これにより、画像Mの輝度が低下することや画像Mのグラデーションが悪化することが抑制され、表示品位を向上させることができる。
【0052】
(1-2)電流設定部は、光源11r,11g,11bに並列で接続され、光源制御部201による制御のもと、インダクタL1をグランドに接続するオン状態とインダクタL1をグランドに接続しないオフ状態の間で切り替わる第1スイッチ部の一例であるスイッチ部Swaを備える。エネルギ放出部は、スイッチ部Swaに並列で接続され、光源制御部201による制御のもと、インダクタL1をグランドに接続するオン状態とインダクタL1をグランドに接続しないオフ状態の間で切り替わる第2スイッチ部の一例であるスイッチ部Swr1と、スイッチ部Swr1に直列に接続される抵抗R1と、を備える。光源制御部201は、光源11r,11g,11bが点灯される前に、スイッチ部Swr1をオン状態に切り替えることによりインダクタL1に蓄えられたエネルギを放出した後、スイッチ部Swr1をオフ状態に切り替えつつ定電流供給部300から電流が供給された状態でスイッチ部Swaをオン状態に切り替えることによりインダクタ電流Iindを目標値に制御する。
この構成によれば、簡易な構成及び制御で、インダクタL1のエネルギを放出した後にインダクタ電流Iindを目標値に制御することができる。
また、インダクタL1のエネルギを放出するためのスイッチ部Swr1とインダクタ電流Iindを目標値に制御するためのスイッチ部Swaが使い分けられることにより、スイッチ部Swa,Swr1の電流による発熱を抑制することができる。
【0053】
(1-3)光源制御部201は、点灯可能期間Tdのうちオンデューティー期間Ton(例えば、
図7の時刻t3)において光源11r,11g,11bに電流を供給し、点灯可能期間Tdのうちオンデューティー期間Tonの後のオフデューティー期間Tod(例えば、
図7の時刻t3a)においてスイッチ部Swaをオン状態に切り替えることにより定電流供給部300からインダクタL1を経てスイッチ部Swaに電流を流し、オフデューティー期間Todの後、スイッチ部Swr1をオン状態に切り替えることによりインダクタL1に蓄えられたエネルギを放出する。
この構成によれば、オフデューティー期間Todにおいてインダクタ電流Iindが目標値に維持される。このため、インダクタL1の性質上、オフデューティー期間Todの後の準備期間Tbにおいて、インダクタL1に蓄えられたエネルギは短時間で放出可能となる。
【0054】
(2-1)表示装置の一例であるHUD装置1は、電流を供給する定電流供給部300と、定電流供給部300からの電流を受けて、それぞれ異なる色の光R,G,Bを発する複数の光源11r,11g,11bと、光の反射する角度を制御する複数のマイクロミラー30aを有する表示素子30と、複数の光源11r,11g,11bのうち何れか一つに定電流供給部300からの電流をパルス波P1,P2,P3,P4又は矩形波Rwとして供給することで何れか一つの光源11r,11g,11bを発光させ、発光する光源11r,11g,11bを順次切り替えるフィールドシーケンシャル方式にて複数の光源11r,11g,11bから発される光R,G,Bから所望の色の照明光Cを生成する光源制御部201と、マイクロミラー30aを通じて照明光Cのうち画像Mに対応した表示光Lを反射させる表示素子制御部202と、定電流供給部300とグランドの間であって光源に並列に接続されるパルス波P1,P2,P3,P4の立ち上がり部分の傾きを小さくするコンデンサC1と、コンデンサC1に直列に接続されるコンデンサスイッチ部の一例であるスイッチ部Swcと、を備える。光源制御部201は、定電流供給部300からの電流をパルス波P1,P2,P3,P4として光源11r,11g,11bに供給する際にはスイッチ部Swcをオン状態とし、定電流供給部300からの電流を矩形波Rwとして光源11r,11g,11bに供給する際にはスイッチ部Swcをオフ状態とする。
この構成によれば、スイッチ部Swcがオン状態とされることで、コンデンサC1はパルス波P1,P2,P3,P4の立ち上がり部分の傾きを小さくすることができる。これにより、光源11r,11g,11bに供給される電流値Iがターゲット値Tgtを超えるオーバーシュートが発生することを抑制できる。従って、画像Mの輝度が低下することや画像Mのグラデーションが悪化することが抑制され、表示品位を向上させることができる。
また、スイッチ部Swcがオフ状態とされることで、コンデンサC1には電流が流れないため、コンデンサC1により矩形波Rwの立ち上がりが遅延することが抑制される。
以上のように、スイッチ部SwcによりコンデンサC1を有効としたり無効としたりできる。このため、光源11r,11g,11bを所望の輝度で点灯させることができる。
【0055】
(2-2)光源制御部201は、高輝度モードにおいてはスイッチ部Swcをオフ状態に維持しつつ定電流供給部300からの電流を矩形波Rwとして光源11r,11g,11bに供給し、低輝度モードにおいては光源11r,11g,11bを点灯可能な点灯可能期間Tdにわたってスイッチ部Swcをオン状態に維持しつつ定電流供給部300からの電流をパルス波P1,P2,P3,P4として光源11r,11g,11bに供給する。
この構成によれば、高輝度モードにおいてはスイッチ部Swcがオフ状態となるため、コンデンサC1が機能しない。このため、高輝度モードにおいて、コンデンサC1により光源11r,11g,11bに供給される電流値Iの立ち上がりが遅延することが抑制され、高輝度を実現することができる。一方、低輝度モードにおいてはスイッチ部Swcがオン状態となるため、コンデンサC1はパルス波P1,P2,P3,P4の立ち上がり部分の傾きを小さくする。よって、低輝度モードにおいてはオーバーシュートが抑制される。
【0056】
(2-3)HUD装置1は、コンデンサC1及びスイッチ部Swcに並列に接続されるエネルギ放出スイッチ部の一例であるスイッチ部Swaを備える。光源制御部201は、低輝度モードにおいては、パルス波P1,P2,P3,P4の立ち上がり部分により光源11r,11g,11bに供給される電流値Iがターゲット値Tgtに到達したとき、スイッチ部Swaをオン状態とすることにより定電流供給部300からの電流をスイッチ部Swaを介してグランドに流す。
この構成によれば、電流値Iがターゲット値Tgtに到達したときスイッチ部Swaをオン状態とすることにより、定電流供給部300からの電流は、スイッチ部Swaを介してグランドに流れ込む。このため、迅速にパルス波P1,P2,P3,P4を立ち下げることができ、オーバーシュートを抑制できる。
【0057】
なお、本発明は以上の実施形態及び図面によって限定されるものではない。本発明の要旨を変更しない範囲で、適宜、変更(構成要素の削除も含む)を加えることが可能である。以下に、変形の一例を説明する。
【0058】
(変形例)
上記実施形態においては、光源駆動部43は抵抗R1に対応するスイッチ部Swr1を備えていたが、スイッチ部Swr1に代えて、
図10に示すように、ツェナーダイオードZD1を備えていてもよい。ツェナーダイオードZD1のカソード端子はインダクタL1に接続され、ツェナーダイオードZD1のアノード端子は抵抗R1に接続されている。
インダクタL1にエネルギが溜まることによりツェナーダイオードZD1に印加される逆方向電圧がツェナーダイオードZD1の降伏電圧を上回ったとき、
図10の矢印Yzに示すように、アバランシェ降伏現象により、インダクタL1に蓄えられたエネルギは電流としてツェナーダイオードZD1を介してグランドに放出される。ツェナーダイオードZD1の逆方向電圧は、上記実施形態のイネーブル信号S_EN2をHiとするタイミングにてツェナーダイオードZD1の降伏電圧を上回るように設定される。
これにより、制御的に、かつ構成的に簡単に上記実施形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0059】
また、
図11に示すように、光源駆動部43は、さらに、ツェナーダイオードZD1によりオン状態とオフ状態の間で切り替わるスイッチ部Swzを備える。スイッチ部Swzは、n型チャネルのFETからなる。スイッチ部Swzのゲート端子はツェナーダイオードZD1と抵抗R1の間に接続され、スイッチ部Swzのドレイン端子はインダクタL1に接続され、スイッチ部Swzのソース端子はグランドに接続される。この構成において、インダクタL1にエネルギが溜まることによりツェナーダイオードZD1に印加される逆方向電圧がツェナーダイオードZD1の降伏電圧を上回ったとき、スイッチ部Swzのゲート電圧が上昇することにより、スイッチ部Swzがオン状態に切り替わる。スイッチ部Swzがオン状態に切り替わると、
図11の矢印Ygに示すように、インダクタL1に蓄えられたエネルギは電流としてスイッチ部Swzを介してグランドに放出される。スイッチ部Swzを設けることにより、インダクタL1のエネルギを短時間で外部に放出することができる。
【0060】
上記実施形態では、本発明に係る表示装置を車載用のヘッドアップディスプレイ装置に適用したが、車載用に限らず、飛行機、船等の乗り物に搭載されるヘッドアップディスプレイ装置に適用してもよい。また、HUD装置1からの表示光Lはウインドシールド3に投射されていたが、専用のコンバイナに投射されてもよい。また、本発明に係る表示装置をヘッドアップディスプレイ装置ではなく、屋内又は屋外で使用されるプロジェクタ等の表示装置に適用してもよい。
【0061】
上記実施形態では、第2の制御部200は、調光信号SLの値に基づき高輝度モード、中輝度モード及び低輝度モードの何れかに移行していたが、これに限られず、HUD装置1や車両2に設けられた図示しない操作部を視認者4が操作することで、上記各モード間を移行してもよい。また、車両2のライトをオン・オフするスイッチの操作に応じて、上記各モード間を移行してもよい。
【0062】
エネルギ貯蓄部の一例であるインダクタL1は、光源11r,11g,11b毎に設けられていてもよい。エネルギ貯蓄部は、インダクタL1に限らず、光源11r,11g,11bの寄生容量であってもよい。
【0063】
上記実施形態においては、第2の制御部200は、オフ期間Tofにおいては、スイッチ部Swaをオン状態としていたが、これに限らず、スイッチ部Swr1をオン状態としてもよい。これによっても、インダクタL1に残存するエネルギを放出できる。
【符号の説明】
【0064】
1 HUD装置
2 車両
3 ウインドシールド
5 光源駆動装置
7 照度センサ
10 照明装置
11,11b,11g,11r 光源
30 表示素子
30a マイクロミラー
43 光源駆動部
61 平面鏡
62 凹面鏡
65 凹面鏡駆動部
100 第1の制御部
200 第2の制御部
201 光源制御部
202 表示素子制御部
203 電流供給制御部
204 比較部
300 定電流供給部
500 光強度検出部
C1 コンデンサ
L1 インダクタ
P1,P2,P3,P4 パルス波
R1 抵抗
ZD1 ツェナーダイオード
Swr,Swg,Swb,Swr1,Swa,Swc,Swz スイッチ部
Ton オンデューティー期間
Tod オフデューティー期間
Iind インダクタ電流