(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】ロータコア及び当該ロータコアを有するモータ
(51)【国際特許分類】
H02K 1/2798 20220101AFI20240501BHJP
【FI】
H02K1/2798
(21)【出願番号】P 2020571885
(86)(22)【出願日】2020-09-30
(86)【国際出願番号】 JP2020037351
(87)【国際公開番号】W WO2021137275
(87)【国際公開日】2021-07-08
【審査請求日】2023-08-24
(31)【優先権主張番号】201911408814.8
(32)【優先日】2019-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】顔 國智
(72)【発明者】
【氏名】▲ウ-▼ 耿彰
(72)【発明者】
【氏名】王 國▲ミン▼
【審査官】佐藤 彰洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-161897(JP,A)
【文献】特開2009-106051(JP,A)
【文献】特開2006-158008(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/27
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の珪素鋼板が軸方向に積層されてなされたロータヨークと、
前記ロータヨークの周方向に設けられた複数の収容孔にそれぞれ、収容された複数の磁極コア群と、を含み、
前記磁極コア群は、中央に設けられた磁性導体と、前記磁性導体の周囲の周りに設けられた複数の第1の永久磁石と、を有し、前記複数の第1の永久磁石の磁極方向が、前記磁極コア群の径方向内側または径方向外側を指向する、ことを特徴とするロータコア。
【請求項2】
前記複数の磁極コア群のうち、隣接した2つの磁極コア群における前記複数の第1の永久磁石の磁極方向が逆である、ことを特徴とする請求項1に記載のロータコア。
【請求項3】
前記磁性導体は、軸方向の断面が多角形であり、前記第1の永久磁石が直方体である、ことを特徴とする請求項1に記載のロータコア。
【請求項4】
軸方向において、前記磁性導体の寸法は、前記第1の永久磁石の寸法よりも大きい、ことを特徴とする請求項1に記載のロータコア。
【請求項5】
軸方向において、前記磁性導体は、前記ロータヨークのステータ側の端面から突出する、ことを特徴とする請求項1または4に記載のロータコア。
【請求項6】
前記ロータコアは、少なくとも2層のロータ構成を有し、各層のロータ構成は、前記ロータヨークと前記複数の磁極コア群を有し、
前記ロータコアは、隣接した2層のロータ構成の間に設けられた間隔構成をさらに有し、前記間隔構成は、隣接した2層のロータ構成に対応する前記磁性導体を接続する第2の永久磁石を複数有する、ことを特徴とする請求項1に記載のロータコア。
【請求項7】
前記隣接した2層のロータ構成に対応する前記磁性導体は、軸方向での断面の寸法が同じまたは異なるものである、ことを特徴とする請求項6に記載のロータコア。
【請求項8】
前記隣接した2層のロータ構成に対応する前記磁性導体は、軸方向での断面の寸法が異なり、対応する2つの前記磁性導体を接続する前記第2の永久磁石は、軸方向での2つの端面の寸法が異なる、ことを特徴とする請求項7に記載のロータコア。
【請求項9】
複数の珪素鋼板が軸方向に積層されてなされたロータヨークと、
前記ロータヨークの周方向に設けられた複数の収容孔にそれぞれ、収容された複数の磁極コア群と、を含み、
前記磁極コア群は、中央に設けられた第3の永久磁石と、前記第3の永久磁石の周囲の周りに設けられた複数の第4の永久磁石と、を有し、前記第3の永久磁石の磁極方向が、軸方向の一側を指向し、前記複数の第4の永久磁石の磁極方向が、前記磁極コア群の径方向内側または径方向外側を指向する、ことを特徴とするロータコア。
【請求項10】
前記複数の磁極コア群のうち、隣接した2つの磁極コア群における前記複数の第4の永久磁石の磁極方向が逆であり、
前記複数の磁極コア群のうち、隣接した2つの磁極コア群における前記第3の永久磁石の磁極方向が逆である、ことを特徴とする請求項9に記載のロータコア。
【請求項11】
前記第3の永久磁石は、軸方向の断面が多角形であり、前記第4の永久磁石が直方体または楔形立方体である、ことを特徴とする請求項9に記載のロータコア。
【請求項12】
軸方向において、前記第3の永久磁石の寸法は、前記第4の永久磁石の寸法よりも大きい、ことを特徴とする請求項9に記載のロータコア。
【請求項13】
軸方向において、前記第3の永久磁石は、前記ロータヨークのステータ側の端面から突出する、ことを特徴とする請求項9または12に記載のロータコア。
【請求項14】
前記複数の磁極コア群が有する、前記ロータヨークの中心孔に近い複数の第4の永久磁石は、前記中心孔の周りに設けられている、ことを特徴とする請求項9に記載のロータコア。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか1項に記載のロータコアを含むモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、電気・機械分野に関するものであり、特に、ロータコア及び当該ロータコアを有するモータに関する。
【背景技術】
【0002】
軸方向磁束型モータは、一般的なモータと異なる。軸方向磁束型モータは、磁束方向が軸方向であり、ステータとロータコアがディスクタイプ構成となっている。軸方向磁束型モータは、コンパクトな構造を有し、体積が小さく、軽量でトルク密度が高いなどの利点を有している。
【0003】
大電力又は大寸法の要求に対し、磁石の使用量を減らしながら、高性能や高効率の効果を両立させるために、一般的な径方向磁束型モータでは、磁石を内蔵した設計が用いられていることが多い。しかしながら、軸方向磁束型モータは、一般的な径方向磁束型モータとは磁束方向が異なり、かつ製造方式によっても制限されているため、軸方向磁束型モータに磁石を内蔵した設計は、稀なものである。
【0004】
現在、軸方向磁束型モータに磁石を内蔵した設計が幾つか登場してきたが、これらの設計では、磁石を周方向に並んだものが一般的である。
【0005】
ここで注意すべきなのは、上記の技術背景に対する紹介は、本発明の技術案に対してより明瞭かつ完全な説明を行うことに利便を図りながら、当業者が理解しやすいように供するものに過ぎない。それらの方式が本発明の背景技術の部分に記載されていることだけで、上記の技術方式が当業者により公知されたものであると認定してはならない。
【発明の概要】
【0006】
しかしながら、これら従来の設計では、ロータの構造が複雑である点、ロータの剛性を保持するための別の機械的構造が必要である点、製造の過程では、磁石を1枚ずつ寄せ集めていく必要がある点、累積誤差が生じやすく、完全なロータを構成することができない点、また、軸方向磁束型モータが3次元(3D)構造を有するため、磁石の磁極面の周囲には依然として磁束漏れの現象が発生する点、のうちの1つまたは複数の問題点が存在している。
【0007】
上記問題点のうちの少なくとも1つを解決するために、本発明は、ロータコア及び当該ロータコアを有するモータを提供する。ロータヨークの周方向に複数の磁極コア群が設けられ、かつ、各磁極コア群は中央にある磁性導体及びその周囲にある複数の永久磁石で構成されたことにより、構造全体がコンパクトで確実なものとなり、ロータの剛性を保持するための別の機械的構造が不要となる。また、磁極コア群の製造方式によって、製造や組立では、累積誤差が生じることなく、大量生産・製造を容易にする。各磁極コア群の中央は磁性導体で構成されたので、磁石の使用量を最大限に減少することができ、低コストが実現され、また、磁性導体の周囲に複数の永久磁石が設けられたことで、磁束漏れを防止しながら、磁束集中効果を大きくすることができ、それにより、モータの高効率と高性能を両立させることができる。
【0008】
上記問題点のうちの少なくとも1つを解決するために、本発明は、さらに、ロータコア及び当該ロータコアを有するモータを提供し、ロータヨークの周方向に複数の磁極コア群が設けられ、かつ、各磁極コア群は中央にある永久磁石及びその周囲にある複数の永久磁石で構成されたことにより、構造全体がコンパクトで確実なものとなり、ロータの剛性を保持するための別の機械的構造が不要となる。また、磁極コア群の製造方式によって、製造や組立では、累積誤差が生じることなく、大量生産・製造を容易にする。各磁極コア群の中央も周囲も永久磁石で構成されたことで、磁束漏れを防止しながら、磁束集中効果を大きくすることができ、それにより、モータの高効率と高性能を最大限に確保することができる。
【0009】
本発明の実施例の第1の態様によれば、複数の珪素鋼板が軸方向に積層されてなされたロータヨークと、前記ロータヨークの周方向に設けられた複数の収容孔にそれぞれ、収容された複数の磁極コア群と、を含み、前記磁極コア群は、中央に設けられた磁性導体と、前記磁性導体の周囲の周りに設けられた複数の第1の永久磁石と、を有し、前記複数の第1の永久磁石の磁極方向が、前記磁極コア群の径方向内側または径方向外側を指向するロータコアを提供する。
【0010】
本発明の実施例の第2の態様によれば、前記複数の磁極コア群のうち、隣接した2つの磁極コア群における前記複数の第1の永久磁石の磁極方向が逆である。
【0011】
本発明の実施例の第3の態様によれば、前記磁性導体は、軸方向の断面が多角形であり、前記第1の永久磁石が直方体である。
【0012】
本発明の実施例の第4の態様によれば、軸方向において、前記磁性導体の寸法は、前記第1の永久磁石の寸法よりも大きい。
【0013】
発明の実施例の第5の態様によれば、軸方向において、前記磁性導体は、前記ロータヨークのステータ側の端面から突出する。
【0014】
本発明の実施例の第6の態様によれば、前記ロータコアは、少なくとも2層のロータ構成を有し、各層のロータ構成は、前記ロータヨークと前記複数の磁極コア群を有し、前記ロータコアは、隣接した2層のロータ構成の間に設けられた間隔構成をさらに有し、前記間隔構成は、隣接した2層のロータ構成に対応する前記磁性導体を接続する第2の永久磁石を複数有する。
【0015】
本発明の実施例の第7の態様によれば、前記隣接した2層のロータ構成に対応する前記磁性導体は、軸方向での断面の寸法が同じまたは異なるものである。
【0016】
本発明の実施例の第8の態様によれば、前記隣接した2層のロータ構成に対応する前記磁性導体は、軸方向での断面の寸法が異なり、対応する2つの前記磁性導体を接続する前記第2の永久磁石は、軸方向での2つの端面の寸法が異なる。
【0017】
発明の実施例の第9の態様によれば、複数の珪素鋼板が軸方向に積層されてなされたロータヨークと、前記ロータヨークの周方向に設けられた複数の収容孔にそれぞれ、収容された複数の磁極コア群と、を含み、前記磁極コア群は、中央に設けられた第3の永久磁石と、前記第3の永久磁石の周囲の周りに設けられた複数の第4の永久磁石と、を有し、前記第3の永久磁石の磁極方向が、軸方向の一側を指向し、前記複数の第4の永久磁石の磁極方向が、前記磁極コア群の径方向内側または径方向外側を指向するロータコアを提供する。
【0018】
本発明の実施例の第10の態様によれば、前記複数の磁極コア群のうち、隣接した2つの磁極コア群における前記複数の第4の永久磁石の磁極方向が逆であり、前記複数の磁極コア群のうち、隣接した2つの磁極コア群における前記第3の永久磁石の磁極方向が逆である。
【0019】
本発明の実施例の第11の態様によれば、前記第3の永久磁石は、軸方向の断面が多角形であり、前記第4の永久磁石が直方体または楔形立方体である。
【0020】
発明の実施例の第12の態様によれば、軸方向において、前記第3の永久磁石の寸法は、前記第4の永久磁石の寸法よりも大きい。
【0021】
本発明の実施例の第13の態様によれば、軸方向において、前記第3の永久磁石は、前記ロータヨークのステータ側の端面から突出する。
【0022】
本発明の実施例の第14の態様によれば、前記複数の磁極コア群が有する、前記ロータヨークの中心孔に近い複数の第4の永久磁石は、前記中心孔の周りに設けられている。
【0023】
本発明の実施例の第15の態様によれば、本発明の実施例の第一の態様~第十四の態様のいずれか1つの態様に記載のロータコアを含むモータを提供する。
【0024】
本発明の実施例による有益な効果は以下の通りである。ロータヨークの周方向に複数の磁極コア群が設けられ、かつ、各磁極コア群は中央にある磁性導体及びその周囲にある複数の永久磁石で構成されたことにより、構造全体がコンパクトで確実なものとなり、ロータの剛性を保持するための別の機械的構造が不要となる。また、磁極コア群の製造方式によって、製造や組立では、累積誤差が生じることなく、大量生産・製造を容易にする。各磁極コア群の中央は磁性導体で構成されたので、磁石の使用量を最大限に減少することができ、低コストが実現され、また、磁性導体の周囲に複数の永久磁石が設けられたことで、磁束漏れを防止しながら、磁束集中効果を大きくすることができ、それにより、モータの高効率と高性能を両立させることができる。
【0025】
或いは、ロータヨークの周方向に複数の磁極コア群が設けられ、かつ、各磁極コア群は中央にある永久磁石及びその周囲にある複数の永久磁石で構成されたことにより、構造全体がコンパクトで確実なものとなり、ロータの剛性を保持するための別の機械的構造が不要となる。また、磁極コア群の製造方式によって、製造や組立では、累積誤差が生じることなく、大量生産・製造を容易にする。各磁極コア群の中央も周囲も永久磁石で構成されたことで、磁束漏れを防止しながら、磁束集中効果を大きくすることができ、それにより、モータの高効率と高性能を最大限に確保することができる。
【0026】
後述する説明や添付図面を参照して、本発明の実施の形態は詳しく開示されている。理解すべきことは、本発明の実施の形態は、範囲上にそれによって限定されていない。添付される特許請求の範囲の精神及び請求項の範囲内において、本発明の実施の形態は多くの変更、修正及び均等物を含む。
【0027】
1つの実施の形態の記載及び/又は示された特徴に対して、同様又は類似する様態で1つ又は更に多くのその他の実施の形態に使用され、その他の実施の形態の特徴と組み合わせ、或はその他の実施の形態の特徴を切り替えることができる。
【0028】
強調すべきことは、術語である「含む/包含する/備える」は本文で特徴、整体部材、又は部品の存在を示すために使われているが、1つ又は更に多くのその他の特徴、整体部材、又は部品の存在或は付加が排除されるわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
以下の添付図面を結び付けた詳細の記載から、本発明の実施例における上記及び他の目的、特徴及び利点がさらに明らかになるだろう。添付図面において、
【0030】
【
図1】本発明の実施例1におけるロータコアの一平面図である。
【
図2】本発明の実施例1におけるロータコアの一底面図である。
【
図3】本発明の実施例1におけるロータコアの一断面図である。
【
図4】本発明の実施例1におけるロータコアの別の構成の一分解図である。
【
図5】本発明の実施例1におけるロータコアの別の構成の一分解断面図である。
【
図6】本発明の実施例1におけるロータコアの別の構成の一断面図である。
【
図7】本発明の実施例1におけるロータコアの一部の構成の平面図である。
【
図8】本発明の実施例1におけるロータコアの一部の構成の正面図である。
【
図9】本発明の実施例1におけるロータコアの更に別の構成の一分解図である。
【
図10】本発明の実施例1におけるロータコアの更に別の構成の一分解断面図である。
【
図11】本発明の実施例1におけるロータコアの更に別の構成の一断面図である。
【
図12】本発明の実施例1におけるロータコアの別の一部の構成の平面図である。
【
図13】本発明の実施例1におけるロータコアの別の一部の構成の正面図である。
【
図14】本発明の実施例2におけるロータコアの一平面図である。
【
図15】本発明の実施例2におけるロータコアの一底面図である。
【
図16】本発明の実施例3におけるモータの一断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図面を参照して、下記の明細書によれば、本発明の上記及びその他の特徴がより明瞭になるであろう。明細書及び図面から、本発明の特定の実施形態は具体的に開示され、本発明の原理を採用可能な実施形態の一部が示されるが、本発明は記載された実施形態に限らず、添付される請求の範囲内に入っている全ての修正、変形及び均等物を含むということに注意されたい。
【0032】
本発明では、中心軸に沿って延伸する方向とは平行な方向が「軸方向」と呼ばれ、中心軸を中心とした半径方向を「径方向」と呼ばれ、中心軸回りの円周方向を「周方向」と呼ばれることとなる。注意すべきなのは、本発明における各方向に対する定義は、本発明の実施例の説明の便宜上によるものであり、ロータ及びモータの使用や製造時の方向を限定するものではないということである。
【0033】
以下は、添付図面を結び付けながら、本発明の実施例におけるロータコア及びモータを説明する。
【0034】
(実施例1)
本発明の実施例1はロータコアを提供する。
【0035】
図1は、本発明の実施例1におけるロータコアの一平面図である。
図2は、本発明の実施例1におけるロータコアの一底面図である。
図3は、本発明の実施例1におけるロータコアの一断面図である。
【0036】
図1、
図2、
図3に示されるように、ロータコア10は、複数の珪素鋼板が軸方向に積層されてなされたロータヨーク11と、ロータヨーク11の周方向に設けられた複数の収容孔111にそれぞれ、収容された複数の磁極コア群12と、を含み、磁極コア群12は、中央に設けられた磁性導体121と、磁性導体121の周囲の周りに設けられた複数の第1の永久磁石122と、を有し、複数の第1の永久磁石122の磁極方向が、磁極コア群12の径方向内側または径方向外側を指向する。
【0037】
そうすると、ロータヨーク11の周方向に複数の磁極コア群12が設けられ、かつ、各磁極コア群12は中央にある磁性導体121及びその周囲にある複数の永久磁石122で構成されたことにより、構造全体がコンパクトで確実なものとなり、ロータの剛性を保持するための別の機械的構造が不要となる。また、磁極コア群12の製造方式によって、製造や組立では、累積誤差が生じることなく、大量生産・製造を容易にする。各磁極コア群の中央は磁性導体で構成されたので、磁石の使用量を最大限に減少することができ、低コストが実現され、また、磁性導体の周囲に複数の永久磁石が設けられたことで、磁束漏れを防止しながら、磁束集中効果を大きくすることができ、それにより、モータの高効率と高性能を両立させることができる。
【0038】
本実施例では、
図1、
図2、および、
図3に示されるように、ロータヨーク11は、複数の珪素鋼板が軸方向に積層されてなされたものであり、ロータヨーク11には、周方向に複数の収容孔111が設けられ、収容孔111はロータヨーク11を軸方向に貫通する構成となっており、収容孔111ごとに、1つの磁極コア群12が設けられている。
【0039】
本実施例では、収容孔111と磁極コア群12の数量、収容孔111と磁極コア群12の周方向や径方向での位置は、実際な必要に応じて設定されてもよい。
【0040】
本実施例では、隣接した2つの磁極コア群12における複数の第1の永久磁石122の磁極方向が逆である。例えば、隣接した2つの磁極コア群のうちの1つの磁極コア群における第1の永久磁石122の磁極方向が、当該磁極コア群の径方向内側を指向すれば、もう1つの磁極コア群における第1の永久磁石122の磁極方向が、当該磁極コア群の径方向外側を指向することとなる。
【0041】
本実施例では、各磁極コア群12は同一の構造を有するので、以下は、そのうちの1つの磁極コア群12の具体的な構造を説明する。
【0042】
本実施例では、磁性導体121は、軸方向の断面が多角形であり、当該多角形の具体的な形状は、実際な必要に応じて設定されてもよい。
【0043】
例えば、
図1と
図2に示されるように、磁性導体121は、軸方向での断面が六角形である。
本実施例では、
図1、
図3に示されるように、第1の永久磁石122は直方体であり、第1の永久磁石122の長さが磁性導体122の各辺の寸法と同じである。
【0044】
そうすると、磁性導体121と第1の永久磁石122の製造が容易となる。
【0045】
図3に示されるように、軸方向において、磁性導体121の寸法は、第1の永久磁石122の寸法よりも大きい。例えば、軸方向において、磁性導体121のステータ側を向く面がロータヨーク11のステータ側を向く端面から突出し、第1の永久磁石122がロータヨーク11のステータ側を向く端面とフラットになる。或いは、第1の永久磁石122の端面は、ロータヨーク11の端面よりも、ステータ側と反対する側へ凹んでもよい。
【0046】
そうすると、磁束を、ステータ方向へ移動するように、より良く案内することができる。
【0047】
本実施例では、ロータコアは、少なくとも2層のロータ構成を有し、各層のロータ構成は、ロータヨークと複数の磁極コア群を有してもよい。例えば、各層のロータ構成は、
図1~
図3に示された構造を有してもよい。
【0048】
そうすると、多層構造が設けられたことにより、モータの効率と性能をさらに向上させることができる。
【0049】
本実施例では、ロータコアが2層のロータ構成を有する場合を例にして説明する。
【0050】
図4は、本発明の実施例1におけるロータコアの別の構成の一分解図である。
図5は、本発明の実施例1におけるロータコアの別の構成の一分解断面図である。
図6は、本発明の実施例1におけるロータコアの別の構成の一断面図である。
【0051】
図4、
図5、および、
図6に示されるように、ロータコア20は、2層のロータ構成21を有し、各層のロータ構成21では、ロータヨーク11と複数の磁極コア群12を有し、各層のロータ構成21は、
図1~
図3に示されたロータコア10の構造と同じであり、具体的な構造に対する説明を省略する。
【0052】
ロータコア20は、隣接した2層のロータ構成21の間に設けられた間隔構成22をさらに有し、間隔構成22では、隣接した2層のロータ構成21に対応する磁性導体121を接続する第2の永久磁石221を複数有する。
【0053】
図7は、本発明の実施例1におけるロータコアの一部の構成の平面図である。
図8は、本発明の実施例1におけるロータコアの一部の構成の正面図である。
【0054】
図7と
図8に示されるように、隣接した2層のロータ構成21に対応する磁性導体121は、軸方向での断面の寸法が同じである。そうすると、対応する2つの磁性導体121を接続する第2の永久磁石221は、軸方向での2つの端面の寸法も同じである。
【0055】
図9は、本発明の実施例1におけるロータコアの更に別の構成の一分解図である。10は、本発明の実施例1におけるロータコアの更に別の構成の一分解断面図である。
図11は、本発明の実施例1におけるロータコアの更に別の構成の一断面図である。
【0056】
図9、
図10、および、
図11に示されるように、ロータコア30は、2層のロータ構成31を有し、各層のロータ構成31では、ロータヨーク11と複数の磁極コア群12を有し、各層のロータ構成31は、
図1~
図3に示されたロータコア10の構造と同じであり、具体的な構造に対する説明を省略する。
【0057】
ロータコア30は、隣接した2層のロータ構成31の間に設けられた間隔構成32をさらに有し、間隔構成32では、隣接した2層のロータ構成31に対応する磁性導体121を接続する第2の永久磁石321を複数有する。
【0058】
図12は、本発明の実施例1におけるロータコアの別の一部の構成の平面図である。
図13は、本発明の実施例1におけるロータコアの別の一部の構成の正面図である。
【0059】
図12と
図13に示されるように、隣接した2層のロータ構成31に対応する磁性導体121は、軸方向での断面形状が同じであるが、寸法が異なる。そうすると、対応する2つの磁性導体121を接続する第2の永久磁石321は、軸方向での2つの端面の寸法も異なる。そうすると、磁束を、ステータ方向へ移動するように、より良く案内することができる。
【0060】
上記実施例から分かるように、ロータヨークの周方向に複数の磁極コア群が設けられ、かつ、各磁極コア群は中央にある磁性導体及びその周囲にある複数の永久磁石で構成されたことにより、構造全体がコンパクトで確実なものとなり、ロータの剛性を保持するための別の機械的構造が不要となる。また、磁極コア群の製造方式によって、製造や組立では、累積誤差が生じることなく、大量生産・製造を容易にする。各磁極コア群の中央は磁性導体で構成されたので、磁石の使用量を最大限に減少することができ、低コストが実現され、また、磁性導体の周囲に複数の永久磁石が設けられたことで、磁束漏れを防止しながら、磁束集中効果を大きくすることができ、それにより、モータの高効率と高性能を両立させることができる。
【0061】
(実施例2)
本発明の実施例2はロータコアをさらに提供する。
【0062】
図14は、本発明の実施例2におけるロータコアの一平面図である。
図15は、本発明の実施例2におけるロータコアの一底面図である。
【0063】
図14と
図15に示されるように、ロータコア40は、複数の珪素鋼板が軸方向に積層されてなされたロータヨーク41と、ロータヨーク41の周方向に設けられた複数の収容孔411にそれぞれ、収容された複数の磁極コア群42と、を含み、磁極コア群42は、中央に設けられた第3の永久磁石421と、第3の永久磁石421の周囲の周りに設けられた複数の第4の永久磁石422と、を有し、第3の永久磁石421の磁極方向が、軸方向の一側を指向し、複数の第4の永久磁石422の磁極方向が、磁極コア群42の径方向内側または径方向外側を指向する。
【0064】
そうすると、ロータヨーク41の周方向に複数の磁極コア群42が設けられ、かつ、各磁極コア群42は中央にある永久磁石421及びその周囲にある複数の永久磁石422で構成されたことにより、構造全体がコンパクトで確実なものとなり、ロータの剛性を保持するための別の機械的構造が不要となる。また、磁極コア群42の製造方式によって、製造や組立では、累積誤差が生じることなく、大量生産・製造を容易にする。各磁極コア群42の中央も周囲も永久磁石で構成されたことで、磁束漏れを防止しながら、磁束集中効果を大きくすることができ、それにより、モータの高効率と高性能を最大限に確保することができる。
【0065】
本実施例では、
図14と
図15に示されるように、ロータヨーク41は、複数の珪素鋼板が軸方向に積層されてなされたものであり、ロータヨーク41には、周方向に複数の収容孔411が設けられ、収容孔411はロータヨーク41を軸方向に貫通する構成となっており、収容孔411ごとに、1つの磁極コア群42が設けられている。
【0066】
本実施例では、収容孔411と磁極コア群42の数量、収容孔411と磁極コア群42の周方向や径方向での位置は、実際な必要に応じて設定されてもよい。
【0067】
例えば、
図14と
図15に示されるように、複数の磁極コア群42が有する、ロータヨークの中心孔412に近い複数の第4の永久磁石422は、中心孔412の周囲に設けられている。
【0068】
本実施例では、隣接した2つの磁極コア群42における第4の永久磁石422の磁極方向が逆である。例えば、隣接した2つの磁極コア群のうちの1つの磁極コア群における第4の永久磁石422の磁極方向が、当該磁極コア群の径方向内側を指向すれば、もう1つの磁極コア群における第4の永久磁石422の磁極方向が、当該磁極コア群の径方向外側を指向することとなる。当該複数の磁極コア群のうち、隣接した2つの磁極コア群における第3の永久磁石の磁極方向が逆である。
【0069】
本実施例では、各磁極コア群42は同一の構造を有するので、以下は、そのうちの1つの磁極コア群42の具体的な構造を説明する。
【0070】
本実施例では、第3の永久磁石421は、軸方向の断面が多角形であり、当該多角形の具体的な形状は、実際な必要に応じて設定されてもよい。
【0071】
例えば、
図14と
図15に示されるように、第3の永久磁石421は、軸方向での断面が五角形である。
【0072】
本実施例では、第4の永久磁石422は直方体または楔形立方体であり、第1の永久磁石122の長さが磁性導体122の各辺の寸法と同じである。第4の永久磁石422が楔形立方体である場合、隣接した2つの第4の永久磁石422の間に隙間が形成されなくてもよい。そうすると、磁束漏れの発生をさらに防止することができる。
【0073】
本実施例では、軸方向において、第3の永久磁石421の寸法は、第4の永久磁石422の寸法よりも大きい。例えば、軸方向において、第3の永久磁石421のステータ側を向く面がロータヨーク41のステータ側を向く端面から突出し、第4の永久磁石422がロータヨーク41のステータ側を向く端面とフラットになる。或いは、第4の永久磁石422の端面は、ロータヨーク41の端面よりも、ステータ側と反対する側へ凹んでもよい。
【0074】
そうすると、磁束を、ステータ方向へ移動するように、より良く案内することができる。
【0075】
上記実施例から分かるように、ロータヨークの周方向に複数の磁極コア群が設けられ、かつ、各磁極コア群は中央にある永久磁石及びその周囲にある複数の永久磁石で構成されたことにより、構造全体がコンパクトで確実なものとなり、ロータの剛性を保持するための別の機械的構造が不要となる。また、磁極コア群の製造方式によって、製造や組立では、累積誤差が生じることなく、大量生産・製造を容易にする。各磁極コア群の中央も周囲も永久磁石で構成されたことで、磁束漏れを防止しながら、磁束集中効果を大きくすることができ、それにより、モータの高効率と高性能を最大限に確保することができる。
【0076】
(実施例3)
本発明の実施例3は、実施例1または実施例2に記載のロータコアを有するモータを提供する。実施例1と実施例2では、当該ロータコアの具体的な構造について、既に説明されているので、それらの内容をここに合わせてもよい。以下は、説明を省略する。
【0077】
本実施例では、当該モータは、軸方向磁束型モータであってもよい。
【0078】
図16は、本発明の実施例3におけるモータの一断面図である。
図16に示されるように、モータ100は、軸方向に並ぶ2つのロータコア200と、軸方向に2つのロータコア200の間に設けられたステータ300と、上カバー400と、下カバー500と、軸受け600と、中心軸700と、接続構造800と、を含む。
【0079】
ステータ300は、ステータ内輪310と、ステータ外輪320と、ステータ封止樹脂330とを含み、ステータ封止樹脂330内には、コイルとコアが含まれる。
【0080】
本実施例では、ロータコア200は、実施例1または実施例2に記載のいずれか1つのロータコアの構成が用いられてもよい。ステータ300と、上カバー400と、下カバー500と、軸受け600と、中心軸700と、接続構造800との具体的な構造について、関連技術を参照されてもよい。
【0081】
以上は、添付図面を参照して、本発明の実施例を詳しく説明し、本発明の原理を利用可能な方式も明示した。しかし、理解すべきなのは、本発明の実施は、上記の実施例における方式に限らず、本発明の主旨から逸脱しない範囲内における全ての変更、補正及び均等物などをさらに含む。