(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】搬送物姿勢調整装置
(51)【国際特許分類】
B65G 47/28 20060101AFI20240501BHJP
【FI】
B65G47/28 B
(21)【出願番号】P 2021184252
(22)【出願日】2021-11-11
【審査請求日】2023-12-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】辻本 和史
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-40328(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0064445(KR,A)
【文献】実開昭61-206518(JP,U)
【文献】特開平10-152216(JP,A)
【文献】特開昭53-78577(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/22-47/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
載置面上に載置された搬送物を、規定の搬送方向に沿って搬送方向上流側から搬送方向下流側へ向けて搬送するコンベヤに用いられる、搬送物姿勢調整装置であって、
上下方向に沿う上下方向視で前記搬送方向に直交する方向を幅方向とし、前記搬送方向下流側へ向かって前記幅方向の左側を幅方向左側とし、前記搬送方向下流側へ向かって前記幅方向の右側を幅方向右側とし、前記載置面の前記幅方向における中央部を通り前記搬送方向に沿って延在する仮想線を搬送中心線として、
第1調整装置と、第2調整装置と、制御装置と、を備え、
前記第1調整装置は、前記載置面よりも上側であって前記搬送中心線に対して前記幅方向左側に配置された第1アームと、前記第1アームを前記上下方向に沿う第1揺動軸心回りに揺動させる第1揺動機構と、前記第1アームに支持されて前記第1アームに接触した前記搬送物に対して力を付与する第1調整機構と、を備え、
前記第2調整装置は、前記載置面よりも上側であって前記搬送中心線に対して前記幅方向右側に配置された第2アームと、前記第2アームを前記上下方向に沿う第2揺動軸心回りに揺動させる第2揺動機構と、前記第2アームに支持されて前記第2アームに接触した前記搬送物に対して力を付与する第2調整機構と、を備え、
前記制御装置は、前記搬送物の姿勢を平面視で時計回りに回転させる場合には第1制御を実行し、前記搬送物の姿勢を平面視で反時計回りに回転させる場合には第2制御を実行し、
前記第1制御では、前記制御装置は、前記第1アームが前記搬送物に接触するように前記第1アームの揺動角を制御すると共に前記第2アームが前記搬送物に接触するように前記第2アームの揺動角を制御し、且つ、前記搬送物に加速力を付与するように前記第1調整機構を制御すると共に前記搬送物に減速力を付与するように前記第2調整機構を制御し、
前記第2制御では、前記制御装置は、前記第1アームが前記搬送物に接触するように前記第1アームの揺動角を制御すると共に前記第2アームが前記搬送物に接触するように前記第2アームの揺動角を制御し、且つ、前記搬送物に減速力を付与するように前記第1調整機構を制御すると共に前記搬送物に加速力を付与するように前記第2調整機構を制御する、搬送物姿勢調整装置。
【請求項2】
前記第1アームにおける前記第1揺動軸心が配置された部分よりも前記搬送方向下流側の端部を第1先端部として、
前記第1調整機構は、前記第1先端部において前記上下方向に沿う軸心回りに周回するように、前記第1アームにおける水平方向を向く面である第1側周面に設けられた第1周回部を備え、
前記第1周回部は、前記第1アームの前記第1側周面に沿って巻回された第1無端状部材を含み、
前記第2アームにおける前記第2揺動軸心が配置された部分よりも前記搬送方向下流側の端部を第2先端部として、
前記第2調整機構は、前記第2先端部において前記上下方向に沿う軸心回りに周回するように、前記第2アームにおける水平方向を向く面である第2側周面に設けられた第2周回部を備え、
前記第2周回部は、前記第2アームの前記第2側周面に沿って巻回された第2無端状部材を含む、請求項1に記載の搬送物姿勢調整装置。
【請求項3】
前記第1アームにおける前記第1揺動軸心が配置された部分よりも前記搬送方向下流側の端部を第1先端部として、
前記第1調整機構は、前記第1先端部において前記上下方向に沿う軸心回りに周回するように、前記第1アームにおける水平方向を向く面である第1側周面に設けられた第1周回部を備え、
前記第1アームが前記搬送方向に沿う姿勢を第1基準姿勢とし、第1目標速度に応じた前記第1基準姿勢での前記第1周回部の周回速度を第1基準姿勢目標速度として、
前記第1調整機構は、前記第1目標速度が同じであっても、前記第1アームの揺動角が前記第1基準姿勢から増加することに応じて、前記第1周回部の周回速度を前記第1基準姿勢目標速度から増加させ、
前記第2アームにおける前記第2揺動軸心が配置された部分よりも前記搬送方向下流側の端部を第2先端部として、
前記第2調整機構は、前記第2先端部において前記上下方向に沿う軸心回りに周回するように、前記第2アームにおける水平方向を向く面である第2側周面に設けられた第2周回部を備え、
前記第2アームが前記搬送方向に沿う姿勢を第2基準姿勢とし、第2目標速度に応じた前記第2基準姿勢での前記第2周回部の周回速度を第2基準姿勢目標速度として、
前記第2調整機構は、前記第2目標速度が同じであっても、前記第2アームの揺動角が前記第2基準姿勢から増加することに応じて、前記第2周回部の周回速度を前記第2基準姿勢目標速度から増加させる、請求項1又は2に記載の搬送物姿勢調整装置。
【請求項4】
前記載置面上の前記搬送物の姿勢を検出する検出装置を更に備え、
前記制御装置は、前記検出装置により検出された前記搬送物の姿勢に応じて、前記搬送物の姿勢を平面視でいずれの方向に回転させるかを決定し、決定した回転方向に応じて、前記第1制御又は前記第2制御を実行する、請求項1から3のいずれか一項に記載の搬送物姿勢調整装置。
【請求項5】
前記載置面上の前記搬送物の姿勢を検出する検出装置を更に備え、
前記第1制御及び前記第2制御では、前記制御装置は、前記第1アームの姿勢を第1目標姿勢とするための前記第1アームの揺動角の制御である第1揺動制御と、前記第2アームの姿勢を第2目標姿勢とするための前記第2アームの揺動角の制御である第2揺動制御と、を実行し、
前記制御装置は、前記検出装置による前記搬送物の姿勢の検出結果に基づき、前記第1目標姿勢の前記第1アームと前記第2目標姿勢の前記第2アームとのいずれが先に前記搬送物に接触するかを判定し、前記第1目標姿勢の前記第1アームが先に前記搬送物に接触すると判定される場合には、前記第1揺動制御を前記第2揺動制御よりも先に開始し、前記第2目標姿勢の前記第2アームが先に前記搬送物に接触すると判定される場合には、前記第2揺動制御を前記第1揺動制御よりも先に開始する、請求項1から4のいずれか一項に記載の搬送物姿勢調整装置。
【請求項6】
前記載置面上の前記搬送物の姿勢を検出する検出装置を更に備え、
前記第1制御及び前記第2制御では、前記制御装置は、前記第1アームの揺動角を第1目標揺動角に制御すると共に、前記第2アームの揺動角を第2目標揺動角に制御し、
前記制御装置は、前記検出装置による前記搬送物の姿勢の検出結果に基づき、前記第1アーム及び前記第2アームのそれぞれが前記搬送物に接触するように、前記第1目標揺動角及び前記第2目標揺動角を設定する、請求項1から5のいずれか一項に記載の搬送物姿勢調整装置。
【請求項7】
前記第1アームにおける前記第1揺動軸心が配置された部分よりも前記搬送方向下流側の端部を第1先端部として、
前記第1調整機構は、前記第1先端部において前記上下方向に沿う軸心回りに周回するように、前記第1アームにおける水平方向を向く面である第1側周面に設けられた第1周回部を備え、
前記第2アームにおける前記第2揺動軸心が配置された部分よりも前記搬送方向下流側の端部を第2先端部として、
前記第2調整機構は、前記第2先端部において前記上下方向に沿う軸心回りに周回するように、前記第2アームにおける水平方向を向く面である第2側周面に設けられた第2周回部を備え、
前記載置面上の前記搬送物の姿勢を検出する検出装置を更に備え、
前記制御装置は、前記検出装置による前記搬送物の姿勢の検出結果に基づき、前記第1制御又は前記第2制御での前記搬送物の姿勢の目標回転量を設定し、前記目標回転量に応じて、前記第1制御又は前記第2制御での前記第1周回部と前記第2周回部との周回速度差を制御する、請求項1から6のいずれか一項に記載の搬送物姿勢調整装置。
【請求項8】
第3調整装置と、第4調整装置と、を更に備え、
前記第3調整装置は、前記載置面よりも上側及び前記第1揺動軸心よりも前記搬送方向下流側であって前記搬送中心線に対して前記幅方向左側に配置された第3アームと、前記第3アームを前記上下方向に沿う第3揺動軸心回りに揺動させる第3揺動機構と、前記第3アームに支持されて前記第3アームに接触した前記搬送物に対して力を付与する第3調整機構と、を備え、
前記第4調整装置は、前記載置面よりも上側及び前記第2揺動軸心よりも前記搬送方向下流側であって前記搬送中心線に対して前記幅方向右側に配置された第4アームと、前記第4アームを前記上下方向に沿う第4揺動軸心回りに揺動させる第4揺動機構と、前記第4アームに支持されて前記第4アームに接触した前記搬送物に対して力を付与する第4調整機構と、を備え、
前記制御装置は、前記搬送物の姿勢を平面視で時計回りに回転させる場合には前記第1制御に加えて第3制御を実行し、前記搬送物の姿勢を平面視で反時計回りに回転させる場合には前記第2制御に加えて前記第3制御を実行し、
前記第3制御では、前記制御装置は、前記第3アームが前記搬送物に接触するように前記第3アームの揺動角を制御すると共に前記第4アームが前記搬送物に接触するように前記第4アームの揺動角を制御し、
前記制御装置は、前記第3制御での前記第3アームの前記搬送方向に対する傾斜角を、前記第1制御及び前記第2制御での前記第1アームの前記搬送方向に対する傾斜角よりも大きくすると共に、前記第3制御での前記第4アームの前記搬送方向に対する傾斜角を、前記第1制御及び前記第2制御での前記第2アームの前記搬送方向に対する傾斜角よりも大きくする、請求項1から7のいずれか一項に記載の搬送物姿勢調整装置。
【請求項9】
前記載置面上の前記搬送物の姿勢を検出する検出装置を更に備え、
前記第1制御及び前記第2制御では、前記制御装置は、前記第1アームの姿勢を第1目標姿勢とするための前記第1アームの揺動角の制御である第1揺動制御と、前記第2アームの姿勢を第2目標姿勢とするための前記第2アームの揺動角の制御である第2揺動制御と、を実行し、
前記第3制御では、前記制御装置は、前記第3アームの姿勢を第3目標姿勢とするための前記第3アームの揺動角の制御である第3揺動制御と、前記第4アームの姿勢を第4目標姿勢とするための前記第4アームの揺動角の制御である第4揺動制御と、を実行し、
前記制御装置は、前記検出装置による前記搬送物の姿勢の検出結果に基づき、前記第1目標姿勢の前記第1アームと前記第2目標姿勢の前記第2アームとのいずれが先に前記搬送物に接触するかを判定し、前記第1目標姿勢の前記第1アームが先に前記搬送物に接触すると判定される場合には、前記第1揺動制御を前記第2揺動制御よりも先に開始すると共に前記第3揺動制御を前記第4揺動制御よりも先に開始し、前記第2目標姿勢の前記第2アームが先に前記搬送物に接触すると判定される場合には、前記第2揺動制御を前記第1揺動制御よりも先に開始すると共に前記第4揺動制御を前記第3揺動制御よりも先に開始する、請求項8に記載の搬送物姿勢調整装置。
【請求項10】
前記制御装置は、前記第1制御又は前記第2制御を開始してから規定時間経過しても前記第1アーム及び前記第2アームよりも前記搬送方向下流側に前記搬送物が搬送されない場合には、実行中の前記第1制御又は前記第2制御を終了して、前記第1アームが前記搬送物から離間するように前記第1アームの揺動角を制御すると共に前記第2アームが前記搬送物から離間するように前記第2アームの揺動角を制御する、請求項1から9のいずれか一項に記載の搬送物姿勢調整装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、載置面上に載置された搬送物を、規定の搬送方向に沿って搬送方向上流側から搬送方向下流側へ向けて搬送するコンベヤに用いられる、搬送物姿勢調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特表2003-531789号公報(特許文献1)には、コンベヤに沿って横並びに移動する搬送物を分離し、単独且つ直線状に搬送物の向きを揃える機能を果たす横並び排除コンベヤが開示されている。以下、この背景技術の説明では、特許文献1における符号を括弧内に引用する。特許文献1の
図12に示される横並び排除コンベヤ(114)は、一対の転向部材(168,170)を備えており、一方の転向部材(170)は、他方の転向部材(168)よりも搬送方向下流側に配置されている。そして、搬送物を搬送する際には、これら一対の転向部材(168,170)によって搬送物の向き直しが連続的に行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2003-531789号公報(段落0014,0058)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の
図12に示される横並び排除コンベヤでは、横並びの搬送物を分離して、搬送物をコンベヤ上で搬送方向に整列させる機能は、ある程度期待できる。しかしながら、特許文献1の段落0057に記載されているように、転向部材による搬送物の転向には、転向部材との衝突に伴う搬送物の回転や滑動を伴う。そのため、このように搬送物を転向部材に単に衝突させるという技術では、コンベヤで搬送中の搬送物の姿勢を調整することは容易ではない。
【0005】
そこで、コンベヤで搬送中の搬送物の姿勢を調整しやすい技術の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る搬送物姿勢調整装置は、載置面上に載置された搬送物を、規定の搬送方向に沿って搬送方向上流側から搬送方向下流側へ向けて搬送するコンベヤに用いられる、搬送物姿勢調整装置であって、上下方向に沿う上下方向視で前記搬送方向に直交する方向を幅方向とし、前記搬送方向下流側へ向かって前記幅方向の左側を幅方向左側とし、前記搬送方向下流側へ向かって前記幅方向の右側を幅方向右側とし、前記載置面の前記幅方向における中央部を通り前記搬送方向に沿って延在する仮想線を搬送中心線として、第1調整装置と、第2調整装置と、制御装置と、を備え、前記第1調整装置は、前記載置面よりも上側であって前記搬送中心線に対して前記幅方向左側に配置された第1アームと、前記第1アームを前記上下方向に沿う第1揺動軸心回りに揺動させる第1揺動機構と、前記第1アームに支持されて前記第1アームに接触した前記搬送物に対して力を付与する第1調整機構と、を備え、前記第2調整装置は、前記載置面よりも上側であって前記搬送中心線に対して前記幅方向右側に配置された第2アームと、前記第2アームを前記上下方向に沿う第2揺動軸心回りに揺動させる第2揺動機構と、前記第2アームに支持されて前記第2アームに接触した前記搬送物に対して力を付与する第2調整機構と、を備え、前記制御装置は、前記搬送物の姿勢を平面視で時計回りに回転させる場合には第1制御を実行し、前記搬送物の姿勢を平面視で反時計回りに回転させる場合には第2制御を実行し、前記第1制御では、前記制御装置は、前記第1アームが前記搬送物に接触するように前記第1アームの揺動角を制御すると共に前記第2アームが前記搬送物に接触するように前記第2アームの揺動角を制御し、且つ、前記搬送物に加速力を付与するように前記第1調整機構を制御すると共に前記搬送物に減速力を付与するように前記第2調整機構を制御し、前記第2制御では、前記制御装置は、前記第1アームが前記搬送物に接触するように前記第1アームの揺動角を制御すると共に前記第2アームが前記搬送物に接触するように前記第2アームの揺動角を制御し、且つ、前記搬送物に減速力を付与するように前記第1調整機構を制御すると共に前記搬送物に加速力を付与するように前記第2調整機構を制御する。
【0007】
本構成によれば、搬送中心線に対して幅方向の両側に分かれて配置された第1アームと第2アームとを用いて、コンベヤで搬送中の搬送物の姿勢を変更することができる。具体的には、第1制御を実行して、第1アームに支持された第1調整機構により搬送物に加速力を付与し、第2アームに支持された第2調整機構により搬送物に減速力を付与することで、搬送物の姿勢を平面視で時計回りに回転させることができる。また、第2制御を実行して、第1アームに支持された第1調整機構により搬送物に減速力を付与し、第2アームに支持された第2調整機構により搬送物に加速力を付与することで、搬送物の姿勢を平面視で反時計回りに回転させることができる。
【0008】
このように、本構成によれば、第1制御と第2制御とを選択的に実行することで、コンベヤで搬送中の搬送物の姿勢を、平面視で所望の回転方向に回転させることができる。よって、コンベヤで搬送中の搬送物の姿勢を調整しやすくなっている。また、第1アームの揺動角及び第2アームの揺動角を制御することにより、第1調整機構及び第2調整機構による搬送物への加速力又は減速力の付与を、搬送物の形状にかかわらず行うことが可能であるため、種々の形状の搬送物の姿勢を変更することも可能となっている。
【0009】
搬送物姿勢調整装置の更なる特徴と利点は、図面を参照して説明する実施形態についての以下の記載から明確となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】搬送物の姿勢を平面視で時計回りに回転させる様子を示す図
【
図3】搬送物の姿勢を平面視で反時計回りに回転させる様子を示す図
【
図4】搬送物が搬送方向下流側に搬送されない状況の一例を示す図
【
図5】搬送物が搬送方向下流側に搬送されない状況の解消例を示す図
【
図6】搬送物が搬送方向下流側に搬送されない状況の別例を示す図
【
図7】搬送物が搬送方向下流側に搬送されない状況の別の解消例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
搬送物姿勢調整装置の実施形態について、図面を参照して説明する。搬送物姿勢調整装置1は、コンベヤ90に用いられる。
図1に、搬送物姿勢調整装置1が用いられるコンベヤ90の一例を示す。
図1に示すように、コンベヤ90は、載置面90a上に載置された搬送物2を、規定の搬送方向Tに沿って搬送方向上流側T1から搬送方向下流側T2へ向けて搬送する。搬送物2は、ハードケース等の形状が安定したものであっても、布製バッグ等の形状(例えば、底面の形状)が安定しないものであってもよい。搬送物2は、例えば、航空機の搭乗者の手荷物とされる。ここで、上下方向Z(鉛直方向)に沿う上下方向視(平面視)で搬送方向Tに直交する方向を幅方向Wとし、搬送方向下流側T2へ向かって幅方向Wの左側を幅方向左側WLとし、搬送方向下流側T2へ向かって幅方向Wの右側を幅方向右側WRとする。ここでは、幅方向Wは、搬送方向Tに直交する水平方向である。また、
図2及び
図3に示すように、載置面90aの幅方向Wにおける中央部を通り搬送方向Tに沿って延在する仮想線を搬送中心線Cとする。
【0012】
図1に示す例では、コンベヤ90は、搬送方向上流側T1から順に、第1コンベヤ91、第2コンベヤ92、及び第3コンベヤ93を備えている。
図1に搬送物2の中心2aの移動軌跡を矢印で示すように、搬送物2は、第1コンベヤ91、第2コンベヤ92、及び第3コンベヤ93によって順に搬送される。コンベヤ90は、例えば、ベルトコンベヤ又はローラコンベヤとされる。コンベヤ90が、搬送方向Tに循環移動されるベルトを備えたベルトコンベヤである場合、ベルトの上面が載置面90aとなる。また、コンベヤ90が、搬送方向Tに並ぶ複数の搬送ローラ(回転駆動される駆動ローラ)を備えたローラコンベヤである場合、複数の搬送ローラのそれぞれの上端を含む平面(仮想平面)が載置面90aとなる。
【0013】
図1に示すように、搬送物姿勢調整装置1は、第1調整装置10と、第2調整装置20と、を備えている。本実施形態では、搬送物姿勢調整装置1は、第3調整装置30と、第4調整装置40と、を更に備えている。
【0014】
図1及び
図8に示すように、第1調整装置10は、第1アーム11と、第1揺動機構13と、第1調整機構15と、を備えている。
図2及び
図3に示すように、第1アーム11は、載置面90aよりも上側Z1(
図2及び
図3における紙面手前側)であって搬送中心線Cに対して幅方向左側WLに配置されている。第1アーム11は、上下方向Zに沿う第1揺動軸心A1回りに揺動可能に構成されている。第1揺動軸心A1は、実体的な軸体である必要はなく、仮想的な軸心であってもよい。
【0015】
第1揺動機構13は、第1アーム11を第1揺動軸心A1回りに揺動させる機構である。
図8に示すように、第1揺動機構13は、第1アーム11を駆動する(揺動駆動する)第1揺動駆動部14(例えば、電動モータやシリンダ等)を備えている。第1揺動機構13は、第1揺動駆動部14の駆動力を第1アーム11に伝達させて、第1アーム11を揺動させる。第1揺動駆動部14から第1アーム11への駆動力の伝達は、例えば、第1揺動機構13が備える動力伝達機構(例えば、ギヤ機構、リンク機構、ベルト機構等)を介して行われる。
【0016】
ここで、
図1に示すように、第1アーム11における第1揺動軸心A1が配置された部分を第1基部11aとし、第1アーム11における第1基部11aよりも搬送方向下流側T2の端部を第1先端部11bとし、第1側周面12における少なくとも搬送中心線C側を向く場合がある領域を第1対象領域12aとする。第1側周面12は、第1アーム11における水平方向を向く面(外面、外周面)である。そして、第1対象領域12aは、第1アーム11の全周に亘る第1側周面12の一部の領域である。具体的には、第1対象領域12aは、第1側周面12における、第1アーム11の揺動に伴い搬送中心線C側を向く可能性がある領域である。「搬送中心線C側を向く」とは、外方へ向かう法線方向(法線ベクトル)が搬送中心線Cへ向かう成分を有することを意味する。搬送中心線Cへ向かう成分は、第1アーム11及び後述する第3アーム31については幅方向右側WRへ向かう成分であり、後述する第2アーム21及び後述する第4アーム41については幅方向左側WLへ向かう成分である。
【0017】
第1調整機構15(少なくとも、以下に述べる第1周回部16)は、第1アーム11に支持されている。第1調整機構15は、第1アーム11に接触した搬送物2に対して力(載置面90aに沿う方向の力)を付与する機構である。
図1及び
図8に示すように、第1調整機構15は、第1先端部11bにおいて上下方向Zに沿う軸心回りに周回するように第1側周面12(少なくとも第1対象領域12a)に設けられた第1周回部16と、第1周回部16を駆動する第1調整駆動部17(例えば、電動モータ等)と、を備えている。第1調整機構15は、第1調整駆動部17の駆動力を第1周回部16に伝達させて、上記のように周回するように第1周回部16を駆動する。
【0018】
第1周回部16は、第1側周面12における少なくとも第1対象領域12aに設けられ、本実施形態では、第1側周面12の全域に設けられている。
図1に示すように、本実施形態では、第1周回部16は、第1アーム11の第1側周面12に沿って巻回された第1無端状部材16aを含んでいる。第1調整機構15は、第1調整駆動部17の駆動力により第1無端状部材16aを循環移動させることで、第1周回部16を駆動する。
【0019】
第1無端状部材16aは、第1基部11a及び第1先端部11bのそれぞれにおいて上下方向Zに沿う軸心回りに周回するように、第1対象領域12aに設けられている。具体的には、第1調整機構15は、第1調整駆動部17により回転駆動される第1駆動プーリ18を第1基部11aに備え、遊転する第1従動プーリ19を第1先端部11bに備えている。第1駆動プーリ18及び第1従動プーリ19は、上下方向Zに沿う軸心回りに回転可能に、第1アーム11の本体部である第1本体部11cに支持されている。第1本体部11cは、例えば、フレーム板を用いて構成される。そして、第1無端状部材16aは、第1駆動プーリ18及び第1従動プーリ19に巻き掛けられている。具体的には、第1無端状部材16aとしてのベルトが、ベルト幅方向が上下方向Zに沿う向きで、第1駆動プーリ18及び第1従動プーリ19に巻き掛けられている。なお、
図1に示す例では、第1駆動プーリ18は、第1揺動軸心A1とは別軸に配置されているが、第1駆動プーリ18が第1揺動軸心A1と同軸に配置される構成とすることもできる。
【0020】
図1に示すように、第2調整装置20は、第1調整装置10を幅方向Wに反転させたもの(具体的には、搬送中心線Cを含む鉛直面を対称面として第1調整装置10と面対称なもの)、或いは第1調整装置10を幅方向Wに反転させたものを搬送方向Tに平行移動させたものに相当する。そのため、以下の第2調整装置20の説明において、第1調整装置10における対応する部分と同様の事項については説明を省略する。なお、本実施形態では、第2調整装置20は、第1調整装置10と搬送方向Tの同じ位置に配置されている。そのため、第2調整装置20は、第1調整装置10を幅方向Wに反転させたものに相当する。第2調整装置20が、第1調整装置10とは搬送方向Tの異なる位置に配置される構成とすることもできる。この場合、第2調整装置20の搬送方向Tの配置領域が、第1調整装置10の搬送方向Tの配置領域と重複する構成とすると好適である。
【0021】
図1及び
図8に示すように、第2調整装置20は、第2アーム21と、第2揺動機構23と、第2調整機構25と、を備えている。
図2及び
図3に示すように、第2アーム21は、載置面90aよりも上側Z1であって搬送中心線Cに対して幅方向右側WRに配置されている。第2アーム21は、上下方向Zに沿う第2揺動軸心A2回りに揺動可能に構成されている。第2揺動機構23は、第2アーム21を第2揺動軸心A2回りに揺動させる機構である。
図8に示すように、第2揺動機構23は、第2アーム21を駆動する(揺動駆動する)第2揺動駆動部24を備えている。第2アーム21、第2揺動機構23、第2揺動駆動部24、第2調整機構25、及び第2揺動軸心A2は、それぞれ、第1アーム11、第1揺動機構13、第1揺動駆動部14、第1調整機構15、及び第1揺動軸心A1に対応する。なお、第1揺動駆動部14及び第2揺動駆動部24として機能する共通の駆動部が設けられ、当該共通の駆動部によって第1アーム11及び第2アーム21の双方を駆動する構成とすることもできる。
【0022】
ここで、
図1に示すように、第2アーム21における第2揺動軸心A2が配置された部分を第2基部21aとし、第2アーム21における第2基部21aよりも搬送方向下流側T2の端部を第2先端部21bとし、第2アーム21における水平方向を向く面である第2側周面22における少なくとも搬送中心線C側を向く場合がある領域を第2対象領域22aとする。第2基部21a、第2先端部21b、第2側周面22、及び第2対象領域22aは、それぞれ、第1基部11a、第1先端部11b、第1側周面12、及び第1対象領域12aに対応する。
【0023】
第2調整機構25(少なくとも、以下に述べる第2周回部26)は、第2アーム21に支持されている。第2調整機構25は、第2アーム21に接触した搬送物2に対して力(載置面90aに沿う方向の力)を付与する機構である。第2調整機構25は、第2先端部21bにおいて上下方向Zに沿う軸心回りに周回するように第2側周面22(少なくとも第2対象領域22a)に設けられた第2周回部26と、第2周回部26を駆動する第2調整駆動部27と、を備えている。本実施形態では、第2周回部26は、第2アーム21の第2側周面22に沿って巻回された第2無端状部材26aを含んでいる。第2駆動プーリ28及び第2従動プーリ29が、上下方向Zに沿う軸心回りに回転可能に、第2アーム21の本体部である第2本体部21cに支持されており、第2無端状部材26aは、第2駆動プーリ28及び第2従動プーリ29に巻き掛けられている。第2本体部21c、第2周回部26、第2無端状部材26a、第2調整駆動部27、第2駆動プーリ28、及び第2従動プーリ29は、それぞれ、第1本体部11c、第1周回部16、第1無端状部材16a、第1調整駆動部17、第1駆動プーリ18、及び第1従動プーリ19に対応する。
【0024】
図1に示すように、第3調整装置30は、第1調整装置10を搬送方向下流側T2に平行移動させたものに相当する。そのため、以下の第3調整装置30の説明において、第1調整装置10における対応する部分と同様の事項については説明を省略する。
【0025】
図1及び
図8に示すように、第3調整装置30は、第3アーム31と、第3揺動機構33と、第3調整機構35と、を備えている。
図2及び
図3に示すように、第3アーム31は、載置面90aよりも上側Z1及び第1揺動軸心A1(言い換えれば、第1基部11a、
図1参照)よりも搬送方向下流側T2であって搬送中心線Cに対して幅方向左側WLに配置されている。第3アーム31は、上下方向Zに沿う第3揺動軸心A3回りに揺動可能に構成されている。第3揺動機構33は、第3アーム31を第3揺動軸心A3回りに揺動させる機構である。
図8に示すように、第3揺動機構33は、第3アーム31を駆動する(揺動駆動する)第3揺動駆動部34を備えている。第3アーム31、第3揺動機構33、第3揺動駆動部34、第3調整機構35、及び第3揺動軸心A3は、それぞれ、第1アーム11、第1揺動機構13、第1揺動駆動部14、第1調整機構15、及び第1揺動軸心A1に対応する。
【0026】
ここで、
図1に示すように、第3アーム31における第3揺動軸心A3が配置された部分を第3基部31aとし、第3アーム31における第3基部31aよりも搬送方向下流側T2の端部を第3先端部31bとし、第3アーム31における水平方向を向く面である第3側周面32における少なくとも搬送中心線C側を向く場合がある領域を第3対象領域32aとする。第3基部31a、第3先端部31b、第3側周面32、及び第3対象領域32aは、それぞれ、第1基部11a、第1先端部11b、第1側周面12、及び第1対象領域12aに対応する。
【0027】
第3調整機構35(少なくとも、以下に述べる第3周回部36)は、第3アーム31に支持されている。第3調整機構35は、第3アーム31に接触した搬送物2に対して力(載置面90aに沿う方向の力)を付与する機構である。第3調整機構35は、第3先端部31bにおいて上下方向Zに沿う軸心回りに周回するように第3側周面32(少なくとも第3対象領域32a)に設けられた第3周回部36と、第3周回部36を駆動する第3調整駆動部37と、を備えている。本実施形態では、第3周回部36は、第3アーム31の第3側周面32に沿って巻回された第3無端状部材36aを含んでいる。第3駆動プーリ38及び第3従動プーリ39が、上下方向Zに沿う軸心回りに回転可能に、第3アーム31の本体部である第3本体部31cに支持されており、第3無端状部材36aは、第3駆動プーリ38及び第3従動プーリ39に巻き掛けられている。第3本体部31c、第3周回部36、第3無端状部材36a、第3調整駆動部37、第3駆動プーリ38、及び第3従動プーリ39は、それぞれ、第1本体部11c、第1周回部16、第1無端状部材16a、第1調整駆動部17、第1駆動プーリ18、及び第1従動プーリ19に対応する。
【0028】
図1に示すように、第4調整装置40は、第1調整装置10を幅方向Wに反転させたものを搬送方向下流側T2に平行移動させたものに相当する。そのため、以下の第4調整装置40の説明において、第1調整装置10における対応する部分と同様の事項については説明を省略する。なお、本実施形態では、第4調整装置40は、第3調整装置30と搬送方向Tの同じ位置に配置されている。そのため、第4調整装置40は、第3調整装置30を幅方向Wに反転させたものに相当する。第4調整装置40が、第3調整装置30とは搬送方向Tの異なる位置に配置される構成とすることもできる。この場合、第4調整装置40の搬送方向Tの配置領域が、第3調整装置30の搬送方向Tの配置領域と重複する構成とすると好適である。
【0029】
図1及び
図8に示すように、第4調整装置40は、第4アーム41と、第4揺動機構43と、第4調整機構45と、を備えている。
図2及び
図3に示すように、第4アーム41は、載置面90aよりも上側Z1及び第2揺動軸心A2(言い換えれば、第2基部21a、
図1参照)よりも搬送方向下流側T2であって搬送中心線Cに対して幅方向右側WRに配置されている。第4アーム41は、上下方向Zに沿う第4揺動軸心A4回りに揺動可能に構成されている。第4揺動機構43は、第4アーム41を第4揺動軸心A4回りに揺動させる機構である。
図8に示すように、第4揺動機構43は、第4アーム41を駆動する(揺動駆動する)第4揺動駆動部44を備えている。第4アーム41、第4揺動機構43、第4揺動駆動部44、第4調整機構45、及び第4揺動軸心A4は、それぞれ、第1アーム11、第1揺動機構13、第1揺動駆動部14、第1調整機構15、及び第1揺動軸心A1に対応する。なお、第3揺動駆動部34及び第4揺動駆動部44として機能する共通の駆動部が設けられ、当該共通の駆動部によって第3アーム31及び第4アーム41の双方を駆動する構成とすることもできる。
【0030】
ここで、
図4に示すように、第4アーム41における第4揺動軸心A4が配置された部分を第4基部41aとし、第4アーム41における第4基部41aよりも搬送方向下流側T2の端部を第4先端部41bとし、第4アーム41における水平方向を向く面である第4側周面42における少なくとも搬送中心線C側を向く場合がある領域を第4対象領域42aとする。第4基部41a、第4先端部41b、第4側周面42、及び第4対象領域42aは、それぞれ、第1基部11a、第1先端部11b、第1側周面12、及び第1対象領域12aに対応する。
【0031】
第4調整機構45(少なくとも、以下に述べる第4周回部46)は、第4アーム41に支持されている。第4調整機構45は、第4アーム41に接触した搬送物2に対して力(載置面90aに沿う方向の力)を付与する機構である。第4調整機構45は、第4先端部41bにおいて上下方向Zに沿う軸心回りに周回するように第4側周面42(少なくとも第4対象領域42a)に設けられた第4周回部46と、第4周回部46を駆動する第4調整駆動部47と、を備えている。本実施形態では、第4周回部46は、第4アーム41の第4側周面42に沿って巻回された第4無端状部材46aを含んでいる。第4駆動プーリ48及び第4従動プーリ49が、上下方向Zに沿う軸心回りに回転可能に、第4アーム41の本体部である第4本体部41cに支持されており、第4無端状部材46aは、第4駆動プーリ48及び第4従動プーリ49に巻き掛けられている。第4本体部41c、第4周回部46、第4無端状部材46a、第4調整駆動部47、第4駆動プーリ48、及び第4従動プーリ49は、それぞれ、第1本体部11c、第1周回部16、第1無端状部材16a、第1調整駆動部17、第1駆動プーリ18、及び第1従動プーリ19に対応する。
【0032】
搬送物姿勢調整装置1は、制御装置3(
図8参照)を備えている。制御装置3は、第1調整装置10及び第2調整装置20の動作を制御することで、本実施形態では更に第3調整装置30及び第4調整装置40の動作を制御することで、コンベヤ90で搬送中の搬送物2の姿勢を調整する。具体的には、制御装置3は、各調整装置の揺動駆動部及び調整駆動部(例えば、第1調整装置10の第1揺動駆動部14及び第1調整駆動部17)の駆動を制御することで、各調整装置の動作(具体的には、搬送物2の姿勢の調整動作)を制御する。制御装置3の各機能は、演算処理装置等のハードウェアと、当該ハードウェア上で実行されるプログラムとの協働により実現される。制御装置3は、1つのハードウェアではなく、互いに有線又は無線で通信可能な複数のハードウェア(複数の分離したハードウェア)の集合によって構成されてもよい。
【0033】
本明細書で開示する制御装置3の技術的特徴は、搬送物姿勢調整装置1(具体的には、第1調整装置10及び第2調整装置20、本実施形態では、更に、第3調整装置30及び第4調整装置40)の制御方法にも適用可能であり、搬送物姿勢調整装置1の制御方法も本明細書に開示されている。本実施形態では、この制御方法には、制御装置3が
図9に示す各処理(各ステップ)を実行する工程が含まれる。
【0034】
図1に示すように、本実施形態では、搬送物姿勢調整装置1は、載置面90a上の搬送物2の姿勢を検出する検出装置60を備えている。検出装置60は、第1調整装置10及び第2調整装置20よりも搬送方向上流側T1において、載置面90a上の搬送物2の姿勢を検出するように設けられている。
図1に示す例では、第1調整装置10及び第2調整装置20は、第2コンベヤ92で搬送中の搬送物2の姿勢を調整するように設けられ、検出装置60は、第1コンベヤ91の載置面90a上の搬送物2の姿勢を検出するように設けられている。
【0035】
図8に示すように、制御装置3は、検出装置60の検出情報を取得可能に構成されている。制御装置3は、検出装置60の検出情報に基づき、搬送物2の姿勢(向き)を取得する。例えば、検出装置60としてレーザスキャナと画像センサとの一方又は双方を用い、制御装置3が、検出装置60の検出情報に基づく3次元画像処理によって搬送物2の3次元画像データを取得し、取得した3次元画像データから搬送物2の姿勢を取得する構成とすることができる。制御装置3が、検出装置60の検出情報に基づき、搬送物2の姿勢に加えて、搬送物2の寸法及び位置(載置面90a上の位置)の一方又は双方を取得する構成としてもよい。なお、検出装置60はレーザスキャナや画像センサに限られず、例えば、複数箇所に配置された光電センサ(例えば、検出光の非存在により物体を検出する遮光式の光電センサ)等を検出装置60として用いることもできる。また、検出装置60による搬送物2の姿勢の検出精度は、搬送物2の姿勢変更の必要性の有無を判断できる程度の精度であってもよい。
【0036】
図1に示すように、本実施形態では、搬送物姿勢調整装置1は、第1センサ61、第2センサ62、第3センサ63、及び第4センサ64を備えている。第1センサ61、第2センサ62、第3センサ63、及び第4センサ64は、搬送方向上流側T1から記載の順に配置されている。
図8に示すように、制御装置3は、第1センサ61、第2センサ62、第3センサ63、及び第4センサ64の検出情報を取得可能に構成されている。制御装置3は、これらのセンサ(61~64)の検出情報に基づき、搬送物2の位置(搬送方向Tの位置)を取得する。センサ(61~64)として、例えば、光電センサ(例えば、検出光の非存在により物体を検出する遮光式の光電センサ)を用いることができる。
【0037】
第1センサ61は、検出装置60による搬送物2の姿勢の検出位置(
図1に示す例では、第1コンベヤ91上の位置)よりも搬送方向上流側T1の位置への搬送物2の到達を検出する。すなわち、第1センサ61は、検出装置60よりも搬送方向上流側T1の位置への搬送物2の到達を検出する。
【0038】
第2センサ62は、検出装置60による搬送物2の姿勢の検出位置よりも搬送方向下流側T2であって、第1調整装置10及び第2調整装置20による搬送物2の姿勢の調整位置(
図1に示す例では、第2コンベヤ92上の位置)よりも搬送方向上流側T1の位置への搬送物2の到達を検出する。すなわち、第2センサ62は、検出装置60よりも搬送方向下流側T2であって第1アーム11及び第2アーム21よりも搬送方向上流側T1の位置への搬送物2の到達を検出する。
【0039】
第3センサ63は、第1調整装置10及び第2調整装置20による搬送物2の姿勢の調整位置よりも搬送方向下流側T2であって、第3調整装置30及び第4調整装置40による搬送物2の姿勢の調整位置(
図1に示す例では、第2コンベヤ92上の位置)よりも搬送方向上流側T1の位置への搬送物2の到達を検出する。すなわち、第3センサ63は、第1アーム11及び第2アーム21よりも搬送方向下流側T2であって第3アーム31及び第4アーム41よりも搬送方向上流側T1の位置への搬送物2の到達を検出する。
【0040】
第4センサ64は、第3調整装置30及び第4調整装置40による搬送物2の姿勢の調整位置よりも搬送方向下流側T2の位置への搬送物2の到達を検出する。すなわち、第4センサ64は、第3アーム31及び第4アーム41よりも搬送方向下流側T2の位置への搬送物2の到達を検出する。
【0041】
制御装置3は、第1センサ61により搬送物2が検出されたタイミング或いはそれよりも設定時間後のタイミングで、検出装置60による搬送物2の姿勢の検出を行う。また、制御装置3は、第2センサ62により搬送物2が検出されたタイミング或いはそれよりも設定時間後のタイミングで、第1調整装置10及び第2調整装置20による搬送物2の姿勢の調整を開始する(具体的には、後述する第1制御又は第2制御を開始する)。また、制御装置3は、第3センサ63により搬送物2が検出されたタイミング或いはそれよりも設定時間後のタイミングで、第3調整装置30及び第4調整装置40による搬送物2の姿勢の調整を開始する(具体的には、後述する第3制御を開始する)。
【0042】
図9に示すように、制御装置3は、搬送物2の姿勢を平面視で時計回りに回転させる場合には(ステップ#01:Yes)、第1制御を実行し(ステップ#02)、搬送物2の姿勢を平面視で反時計回りに回転させる場合には(ステップ#01:No)、第2制御を実行する(ステップ#10)。第1制御及び第2制御については後述する。本実施形態では、制御装置3は、検出装置60により検出された搬送物2の姿勢に応じて、搬送物2の姿勢を平面視でいずれの方向に回転させるかを決定し、決定した回転方向に応じて、第1制御又は第2制御を実行する。
【0043】
制御装置3は、搬送物2の姿勢を平面視で90度以下の角度だけ時計回りに回転させると、搬送物2の姿勢を適正姿勢とすることができる場合には、搬送物2の平面視での姿勢が適正姿勢に対して反時計回りに回転していると判定して、搬送物2の姿勢を平面視で時計回りに回転させると決定する。また、制御装置3は、搬送物2の姿勢を平面視で90度以下の角度だけ反時計回りに回転させると、搬送物2の姿勢を適正姿勢とすることができる場合には、搬送物2の平面視での姿勢が適正姿勢に対して時計回りに回転していると判定して、搬送物2の姿勢を平面視で反時計回りに回転させると決定する。搬送物2の姿勢を平面視で90度だけ時計回りに回転させても90度だけ反時計回りに回転させても、搬送物2の姿勢を適正姿勢とすることができる場合には、制御装置3は、搬送物2の姿勢を平面視で時計回りに回転させると決定し、或いは、搬送物2の姿勢を平面視で反時計回りに回転させると決定する。
【0044】
なお、特定の状況においては、制御装置3が、搬送物2の姿勢を平面視でいずれの方向にも回転させる必要はないと判定して、第1制御及び第2制御のいずれも実行しない構成とすることもできる。特定の状況の例として、搬送物2の姿勢を適正姿勢とするための搬送物2の姿勢の平面視での回転角度が、設定角度以下(例えば、3度以下)である状況や、搬送物2の幅方向Wの大きさが、許容値以下である状況を挙げることができる。この許容値は、例えば、搬送物姿勢調整装置1の設置エリアよりも搬送方向下流側T2(
図1に示す例では、第3コンベヤ93による搬送先)において許容される値とされる。
【0045】
上記の適正姿勢は、例えば、平面視で搬送物2の側面が搬送方向Tに平行となる姿勢とすることができる。
図2及び
図3に示す例のように、搬送物2の平面視での外形が、2つの長辺と2つの短辺とを有する矩形状である場合には、長辺が搬送方向Tに平行となる姿勢(
図2及び
図3において実線で示す搬送物2の姿勢)を、当該搬送物2の適正姿勢とすることができる。
【0046】
図2に示す例のように、第1調整装置10及び第2調整装置20の設置エリアに進入する搬送物2(
図2において最も搬送方向上流側T1の二点鎖線で示す搬送物2)の平面視での姿勢が、適正姿勢(
図2及び
図3では、平面視での搬送物2の外形を成す矩形の長辺が、搬送方向Tに平行となる姿勢)に対して反時計回りに回転している場合には、制御装置3は、搬送物2の姿勢を平面視で時計回りに回転させると決定する。また、
図3に示す例のように、第1調整装置10及び第2調整装置20の設置エリアに進入する搬送物2(
図3において最も搬送方向上流側T1の二点鎖線で示す搬送物2)の平面視での姿勢が、適正姿勢に対して時計回りに回転している場合には、制御装置3は、搬送物2の姿勢を平面視で反時計回りに回転させると決定する。
【0047】
本実施形態では、制御装置3は、搬送物2の姿勢を平面視で時計回りに回転させる場合には(ステップ#01:Yes)、第1制御に加えて第3制御を実行し(ステップ#02、ステップ#06)、搬送物2の姿勢を平面視で反時計回りに回転させる場合には(ステップ#01:No)、第2制御に加えて第3制御を実行する(ステップ#10、ステップ#06)。第3制御については後述する。
【0048】
図9に示すように、本実施形態では、制御装置3は、第1制御を開始してからの経過時間が規定時間に達した時点(ステップ#03:Yes)と、搬送物2が第1アーム11及び第2アーム21よりも搬送方向下流側T2に搬送された時点(ステップ#04:Yes)との、いずれか早い方の時点で、第1制御を終了して第3制御を開始する(ステップ#05、ステップ#06)。また、本実施形態では、制御装置3は、第2制御を開始してからの経過時間が規定時間に達した時点(ステップ#11:Yes)と、搬送物2が第1アーム11及び第2アーム21よりも搬送方向下流側T2に搬送された時点(ステップ#12:Yes)との、いずれか早い方の時点で、第2制御を終了して第3制御を開始する(ステップ#13、ステップ#06)。なお、第1制御又は第2制御を終了させる前に第3制御を開始してもよい。
図1に示す例では、例えば、第3センサ63により搬送物2が検出された場合に、或いは、第3センサ63により搬送物2が検出された後、第3センサ63により搬送物2が検出されなくなった場合に、搬送物2が第1アーム11及び第2アーム21よりも搬送方向下流側T2に搬送されたと判定することができる。
【0049】
図9に示すように、本実施形態では、制御装置3は、第3制御を開始してからの経過時間が規定時間に達した時点(ステップ#07:Yes)と、搬送物2が第3アーム31及び第4アーム41よりも搬送方向下流側T2に搬送された時点(ステップ#08:Yes)との、いずれか早い方の時点で、第3制御を終了する(ステップ#09)。
図1に示す例では、例えば、第4センサ64により搬送物2が検出された場合に、或いは、第4センサ64により搬送物2が検出された後、第4センサ64により搬送物2が検出されなくなった場合に、搬送物2が第3アーム31及び第4アーム41よりも搬送方向下流側T2に搬送されたと判定することができる。
【0050】
以下に、上述した第1制御、第2制御、及び第3制御について説明する。なお、以下では、第1アーム11、第2アーム21、第3アーム31、及び第4アーム41に共通の事項について述べる場合には、これらを区別することなくアームという。また、第1周回部16、第2周回部26、第3周回部36、及び第4周回部46に共通の事項について述べる場合には、これらを区別することなく周回部という。
【0051】
第1制御では、制御装置3は、第1アーム11(具体的には、第1対象領域12a)が搬送物2に接触するように第1アーム11の揺動角θを制御すると共に第2アーム21(具体的には、第2対象領域22a)が搬送物2に接触するように第2アーム21の揺動角θを制御し、且つ、搬送物2に加速力を付与するように第1調整機構15を制御すると共に搬送物2に減速力を付与するように第2調整機構25を制御する(具体的には、第1周回部16により搬送物2に加速力を付与すると共に第2周回部26により搬送物2に減速力を付与するように第1調整駆動部17及び第2調整駆動部27を制御する)。第1アーム11の揺動角θの制御は、第1揺動駆動部14の制御により行われ、第2アーム21の揺動角θの制御は、第2揺動駆動部24の制御により行われる。
図2は、第1制御の実行により、搬送物2の姿勢が平面視で時計回りに回転される様子を示している。
【0052】
第2制御では、制御装置3は、第1アーム11(具体的には、第1対象領域12a)が搬送物2に接触するように第1アーム11の揺動角θを制御すると共に第2アーム21(具体的には、第2対象領域22a)が搬送物2に接触するように第2アーム21の揺動角θを制御し、且つ、搬送物2に減速力を付与するように第1調整機構15を制御すると共に搬送物2に加速力を付与するように第2調整機構25を制御する(具体的には、第1周回部16により搬送物2に減速力を付与すると共に第2周回部26により搬送物2に加速力を付与するように第1調整駆動部17及び第2調整駆動部27を制御する)。
図3は、第2制御の実行により、搬送物2の姿勢が平面視で反時計回りに回転される様子を示している。
【0053】
本実施形態の第3制御では、制御装置3は、第3アーム31(具体的には、第3対象領域32a)が搬送物2に接触するように第3アーム31の揺動角θを制御すると共に第4アーム41(具体的には、第4対象領域42a)が搬送物2に接触するように第4アーム41の揺動角θを制御する。第3アーム31の揺動角θの制御は、第3揺動駆動部34の制御により行われ、第4アーム41の揺動角θの制御は、第4揺動駆動部44の制御により行われる。
図2及び
図3は、第1制御又は第2制御によって搬送物2の姿勢が調整された後、第3制御によって搬送物2の姿勢が更に調整される様子を示している。
【0054】
第1制御及び第2制御では、第1アーム11の第1対象領域12aを搬送物2に接触させることで、第1周回部16における第1対象領域12aに配置された部分を搬送物2に接触させて、第1周回部16から搬送物2に力を付与することができる。また、第2アーム21の第2対象領域22aを搬送物2に接触させることで、第2周回部26における第2対象領域22aに配置された部分を搬送物2に接触させて、第2周回部26から搬送物2に力を付与することができる。
【0055】
第3制御では、第3アーム31の第3対象領域32aを搬送物2に接触させることで、第3周回部36における第3対象領域32aに配置された部分を搬送物2に接触させて、第3周回部36から搬送物2に力を付与することができる。また、第4アーム41の第4対象領域42aを搬送物2に接触させることで、第4周回部46における第4対象領域42aに配置された部分を搬送物2に接触させて、第4周回部46から搬送物2に力を付与することができる。
【0056】
ここで、
図2及び
図3に示すように、第1周回部16(本実施形態では、第1周回部16が含む第1無端状部材16a)の周回速度を第1周回速度V1とし、第2周回部26(本実施形態では、第2周回部26が含む第2無端状部材26a)の周回速度を第2周回速度V2とし、第3周回部36(本実施形態では、第3周回部36が含む第3無端状部材36a)の周回速度を第3周回速度V3とし、第4周回部46(本実施形態では、第4周回部46が含む第4無端状部材46a)の周回速度を第4周回速度V4とする。そして、第1周回速度V1及び第3周回速度V3については、平面視で反時計回りに周回する方向(
図2及び
図3に矢印で示す方向)を正とし、第2周回速度V2及び第4周回速度V4については、平面視で時計回りに周回する方向(
図2及び
図3に矢印で示す方向)を正とする。
【0057】
周回部による搬送物2への加速力の付与は、周回部の周回速度(厳密には、後述する搬送方向速度)を、コンベヤ90(
図1~
図3に示す例では第2コンベヤ92、以下同様)による搬送物2の搬送速度よりも高くすることで行われる。また、周回部による搬送物2への減速力の付与は、周回部の周回速度(厳密には、後述する搬送方向速度)を、コンベヤ90による搬送物2の搬送速度よりも低くすることで行われる。なお、周回速度をコンベヤ90による搬送物2の搬送速度よりも低くすることには、周回速度をゼロにすることや、周回速度の向きを当該搬送速度とは逆向きにすること(言い換えれば、周回速度を負とすること)も含まれる。
【0058】
ここで、
図2及び
図3に示すように、第1アーム11が搬送方向Tに沿う姿勢(言い換えれば、第1基部11aと第1先端部11bとを結ぶ方向が搬送方向Tに沿う姿勢)を第1基準姿勢P1とし、第2アーム21が搬送方向Tに沿う姿勢(言い換えれば、第2基部21aと第2先端部21bとを結ぶ方向が搬送方向Tに沿う姿勢)を第2基準姿勢P2とし、第3アーム31が搬送方向Tに沿う姿勢(言い換えれば、第3基部31aと第3先端部31bとを結ぶ方向が搬送方向Tに沿う姿勢)を第3基準姿勢P3とし、第4アーム41が搬送方向Tに沿う姿勢(言い換えれば、第4基部41aと第4先端部41bとを結ぶ方向が搬送方向Tに沿う姿勢)を第4基準姿勢P4とする。
【0059】
図2及び
図3に示すように、本実施形態では、アームの揺動角θを、搬送方向Tに対する傾斜角としている。そのため、周回部の搬送方向Tに沿う方向の移動速度である搬送方向速度は、周回部の周回速度に、アーム(具体的には、当該周回部が設けられたアーム)の揺動角θの余弦を乗算した速度となる。すなわち、搬送方向速度を目標速度に一致させるためには、周回部の周回速度を、目標速度を上記の余弦で除算した速度とする必要がある。この点に鑑みて、本実施形態では、第1調整駆動部17、第2調整駆動部27、第3調整駆動部37、及び第4調整駆動部47は、以下のように構成されている。
【0060】
ここで、第1目標速度(第1周回部16の搬送方向速度の目標値)に応じた第1基準姿勢P1での第1周回速度V1を第1基準姿勢目標速度とし、第2目標速度(第2周回部26の搬送方向速度の目標値)に応じた第2基準姿勢P2での第2周回速度V2を第2基準姿勢目標速度とし、第3目標速度(第3周回部36の搬送方向速度の目標値)に応じた第3基準姿勢P3での第3周回速度V3を第3基準姿勢目標速度とし、第4目標速度(第4周回部46の搬送方向速度の目標値)に応じた第4基準姿勢P4での第4周回速度V4を第4基準姿勢目標速度とする。
【0061】
第1調整機構15(具体的には、第1調整駆動部17)は、第1目標速度が同じであっても、第1アーム11の揺動角θが第1基準姿勢P1から増加することに応じて、第1周回速度V1を第1基準姿勢目標速度から増加させる。第2調整機構25(具体的には、第2調整駆動部27)は、第2目標速度が同じであっても、第2アーム21の揺動角θが第2基準姿勢P2から増加することに応じて、第2周回速度V2を第2基準姿勢目標速度から増加させる。第3調整機構35(具体的には、第3調整駆動部37)は、第3目標速度が同じであっても、第3アーム31の揺動角θが第3基準姿勢P3から増加することに応じて、第3周回速度V3を第3基準姿勢目標速度から増加させる。第4調整機構45(具体的には、第4調整駆動部47)は、第4目標速度が同じであっても、第4アーム41の揺動角θが第4基準姿勢P4から増加することに応じて、第4周回速度V4を第4基準姿勢目標速度から増加させる。第1調整駆動部17、第2調整駆動部27、第3調整駆動部37、及び第4調整駆動部47は、制御装置3による制御を受けてこのように周回速度を調整する。
【0062】
本実施形態では、第1調整駆動部17は、第1周回速度V1に第1アーム11の揺動角θの余弦を乗算した速度が第1目標速度となるように、第1周回速度V1を第1基準姿勢目標速度から増加させる。第2調整駆動部27は、第2周回速度V2に第2アーム21の揺動角θの余弦を乗算した速度が第2目標速度となるように、第2周回速度V2を第2基準姿勢目標速度から増加させる。第3調整駆動部37は、第3周回速度V3に第3アーム31の揺動角θの余弦を乗算した速度が第3目標速度となるように、第3周回速度V3を第3基準姿勢目標速度から増加させる。第4調整駆動部47は、第4周回速度V4に第4アーム41の揺動角θの余弦を乗算した速度が第4目標速度となるように、第4周回速度V4を第4基準姿勢目標速度から増加させる。そのため、第1周回部16の搬送方向速度は、第1アーム11の揺動角θの大きさによらず、第1目標速度と同等の速度となり、第2周回部26の搬送方向速度は、第2アーム21の揺動角θの大きさによらず、第2目標速度と同等の速度となり、第3周回部36の搬送方向速度は、第3アーム31の揺動角θの大きさによらず、第3目標速度と同等の速度となり、第4周回部46の搬送方向速度は、第4アーム41の揺動角θの大きさによらず、第4目標速度と同等の速度となる。
【0063】
制御装置3は、例えば、第1目標速度と第2目標速度との平均値がコンベヤ90による搬送物2の搬送速度と一致するように、第1目標速度及び第2目標速度を設定する。第1制御及び第2制御での搬送物2の姿勢の回転量は、第1目標速度と第2目標速度との差が大きくなるに従って大きくなる。第1目標速度と第2目標速度との差と、第1アーム11の揺動角θと、第2アーム21の揺動角θとに応じて、第1周回部16と第2周回部26との周回速度差(第1周回速度V1と第2周回速度V2との差)が定まる。
【0064】
上記の点に鑑みて、本実施形態では、制御装置3は、以下のように第1制御又は第2制御での第1周回部16と第2周回部26との周回速度差を制御する。制御装置3は、検出装置60による搬送物2の姿勢の検出結果に基づき、第1制御又は第2制御での搬送物2の姿勢の目標回転量を設定する。具体的には、制御装置3は、搬送物2の姿勢を上述した適正姿勢とするための目標回転量を設定する。そして、制御装置3は、設定した目標回転量に応じて、第1制御又は第2制御での第1周回部16と第2周回部26との周回速度差を制御する。具体的には、制御装置3は、設定した目標回転量が多くなるに従って大きくなるように、第1周回部16と第2周回部26との周回速度差(言い換えれば、第1目標速度と第2目標速度との差)を設定する。
【0065】
第1制御及び第2制御では、制御装置3は、第1アーム11の揺動角θを第1目標揺動角に制御すると共に、第2アーム21の揺動角θを第2目標揺動角に制御する。そして、本実施形態では、制御装置3は、検出装置60による搬送物2の姿勢の検出結果に基づき、第1アーム11(具体的には、第1対象領域12a)及び第2アーム21(具体的には、第2対象領域22a)のそれぞれが搬送物2に接触するように(
図2及び
図3参照)、第1目標揺動角及び第2目標揺動角を設定する。制御装置3が、搬送物2の姿勢に加えて、搬送物2の寸法及び位置の一方又は双方にも基づいて、第1目標揺動角及び第2目標揺動角を設定する構成とすることもできる。第1目標揺動角と第2目標揺動角とを互いに異なる大きさに設定することもできるが、
図2及び
図3では、第1目標揺動角と第2目標揺動角とが同じ大きさに設定される場合を例示している。
【0066】
第3制御では、制御装置3は、第3アーム31の揺動角θを第3目標揺動角に制御すると共に、第4アーム41の揺動角θを第4目標揺動角に制御する。第3目標揺動角と第4目標揺動角とを互いに異なる大きさに設定することもできるが、
図2及び
図3では、第3目標揺動角と第4目標揺動角とが同じ大きさに設定される場合を例示している。本実施形態では、制御装置3は、第3制御での第3アーム31の搬送方向Tに対する傾斜角(本実施形態では、揺動角θと等しい、以下同様)を、第1制御及び第2制御での第1アーム11の搬送方向Tに対する傾斜角よりも大きくすると共に、第3制御での第4アーム41の搬送方向Tに対する傾斜角を、第1制御及び第2制御での第2アーム21の搬送方向Tに対する傾斜角よりも大きくする。すなわち、制御装置3は、第3制御での第3先端部31bと第4先端部41bとの幅方向Wの間隔(以下、「第1間隔」という)が、第1制御及び第2制御での第1先端部11bと第2先端部21bとの幅方向Wの間隔(以下、「第2間隔」という)よりも狭くなるように、第3目標揺動角及び第4目標揺動角を設定する。第1間隔及び第2間隔は、いずれも適正姿勢での搬送物2の幅方向Wの寸法よりも大きく設定されるが、第1間隔を第2間隔よりも狭くすることで、
図2及び
図3に示すように、第1制御又は第2制御において、第1アーム11と第2アーム21とを用いて搬送物2を回転させた後、第3制御において、第3アーム31と第4アーム41とを用いて搬送物2を搬送方向Tに沿って整列させることが可能となっている。
【0067】
このように、本実施形態では、第1制御及び第2制御は、搬送物2を回転させることを主な目的とするのに対して、第3制御は搬送物2を整列させることを主な目的とする。そのため、本実施形態では、制御装置3は、第3目標速度と第4目標速度とを同じ速度に設定する。すなわち、第3制御では、制御装置3は、第3周回速度V3と第4周回速度V4とが等しくなるように(厳密には、第3周回部36の搬送方向速度と第4周回部46の搬送方向速度とが等しくなるように)、第3調整駆動部37及び第4調整駆動部47を制御する。第3目標速度及び第4目標速度は、例えば、コンベヤ90による搬送物2の搬送速度と等しく設定される。第3目標速度及び第4目標速度を、コンベヤ90による搬送物2の搬送速度よりも高く或いは低く設定することもできる。
【0068】
第1制御及び第2制御では、制御装置3は、第1アーム11の姿勢を第1目標姿勢Q1(
図2及び
図3参照)とするための第1アーム11の揺動角θの制御である第1揺動制御と、第2アーム21の姿勢を第2目標姿勢Q2(
図2及び
図3参照)とするための第2アーム21の揺動角θの制御である第2揺動制御と、を実行する。第1目標姿勢Q1は、第1アーム11の揺動角θが上述した第1目標揺動角となる姿勢であり、第2目標姿勢Q2は、第2アーム21の揺動角θが上述した第2目標揺動角となる姿勢である。第1揺動制御では、第1アーム11の姿勢が、第1基準姿勢P1又は第1中間姿勢(第1基準姿勢P1と第1目標姿勢Q1との間の姿勢)から第1目標姿勢Q1に変化するように、第1アーム11の揺動角θが制御される。また、第2揺動制御では、第2アーム21の姿勢が、第2基準姿勢P2又は第2中間姿勢(第2基準姿勢P2と第2目標姿勢Q2との間の姿勢)から第2目標姿勢Q2に変化するように、第2アーム21の揺動角θが制御される。第1制御又は第2制御が終了すると、第1アーム11の姿勢は、第1目標姿勢Q1から第1基準姿勢P1又は第1中間姿勢に戻され、第2アーム21の姿勢は、第2目標姿勢Q2から第2基準姿勢P2又は第2中間姿勢に戻される。
【0069】
第3制御では、制御装置3は、第3アーム31の姿勢を第3目標姿勢Q3とするための第3アーム31の揺動角θの制御である第3揺動制御と、第4アーム41の姿勢を第4目標姿勢Q4とするための第4アーム41の揺動角θの制御である第4揺動制御と、を実行する。第3目標姿勢Q3は、第3アーム31の揺動角θが上述した第3目標揺動角となる姿勢であり、第4目標姿勢Q4は、第4アーム41の揺動角θが上述した第4目標揺動角となる姿勢である。第3揺動制御では、第3アーム31の姿勢が、第3基準姿勢P3又は第3中間姿勢(第3基準姿勢P3と第3目標姿勢Q3との間の姿勢)から第3目標姿勢Q3に変化するように、第3アーム31の揺動角θが制御される。また、第4揺動制御では、第4アーム41の姿勢が、第4基準姿勢P4又は第4中間姿勢(第4基準姿勢P4と第4目標姿勢Q4との間の姿勢)から第4目標姿勢Q4に変化するように、第4アーム41の揺動角θが制御される。第3制御が終了すると、第3アーム31の姿勢は、第3目標姿勢Q3から第3基準姿勢P3又は第3中間姿勢に戻され、第4アーム41の姿勢は、第4目標姿勢Q4から第4基準姿勢P4又は第4中間姿勢に戻される。
【0070】
本実施形態では、制御装置3は、検出装置60による搬送物2の姿勢の検出結果に基づき、第1目標姿勢Q1の第1アーム11と第2目標姿勢Q2の第2アーム21とのいずれが先に搬送物2に接触するかを判定する。そして、制御装置3は、第1目標姿勢Q1の第1アーム11が先に搬送物2に接触すると判定される場合には、第1揺動制御を第2揺動制御よりも先に開始し(本実施形態では、第1揺動制御を第2揺動制御よりも先に開始すると共に第3揺動制御を第4揺動制御よりも先に開始し)、第2目標姿勢Q2の第2アーム21が先に搬送物2に接触すると判定される場合には、第2揺動制御を第1揺動制御よりも先に開始する(本実施形態では、第2揺動制御を第1揺動制御よりも先に開始すると共に第4揺動制御を第3揺動制御よりも先に開始する)。
【0071】
図2に示すように、第1目標姿勢Q1の第1アーム11が先に搬送物2に接触する場合には、制御装置3は、第1揺動制御を第2揺動制御よりも先に開始すると共に第3揺動制御を第4揺動制御よりも先に開始する。この場合、制御装置3は、第1揺動制御を開始してから設定時間の経過後に、第2揺動制御を開始し、第3揺動制御を開始してから設定時間の経過後に、第4揺動制御を開始する。また、
図3に示すように、第2目標姿勢Q2の第2アーム21が先に搬送物2に接触する場合には、制御装置3は、第2揺動制御を第1揺動制御よりも先に開始すると共に第4揺動制御を第3揺動制御よりも先に開始する。この場合、制御装置3は、第2揺動制御を開始してから設定時間の経過後に、第1揺動制御を開始し、第4揺動制御を開始してから設定時間の経過後に、第3揺動制御を開始する。
図2及び
図3における丸で囲んだ数字は、第1揺動制御、第2揺動制御、第3揺動制御、及び第4揺動制御の開始順を示している。
【0072】
ところで、搬送物2が第1アーム11と第2アーム21とに挟まれる等して、制御装置3が第1制御又は第2制御を開始してから規定時間経過しても、第1アーム11及び第2アーム21よりも搬送方向下流側T2に搬送物2が搬送されない場合(
図9のステップ#03,#11においてYesと判定される場合)がある。
図4は、このような状況の一例を示している。本実施形態では、このような場合に、制御装置3は、実行中の第1制御又は第2制御を終了して、第1アーム11(具体的には、第1対象領域12a)が搬送物2から離間するように第1アーム11の揺動角θを制御すると共に第2アーム21(具体的には、第2対象領域22a)が搬送物2から離間するように第2アーム21の揺動角θを制御する(以下、この制御を「第1異常対応制御」という)。
図5では、第1異常対応制御において、第1アーム11の姿勢が第1基準姿勢P1に戻るように第1アーム11の揺動角θが制御され、第2アーム21の姿勢が第2基準姿勢P2に戻るように第2アーム21の揺動角θが制御される場合を例示している。第1異常対応制御を実行することで、搬送物2を第1アーム11及び第2アーム21よりも搬送方向下流側T2に搬送することができる。なお、制御装置3が、第1異常対応制御に代えて或いは第1異常対応制御に加えて、画面表示や音声出力等による異常報知を行う構成とすることもできる。
【0073】
本実施形態では、実行中の第1制御が終了されて第1異常対応制御が行われた場合、その後に実行される第3制御において(
図5参照)、制御装置3は、第1制御での第1調整装置10及び第2調整装置20の制御と同様に、第3調整装置30及び第4調整装置40を制御する。具体的には、第3制御では、制御装置3は、第3アーム31の第3対象領域32aが搬送物2に接触するように第3アーム31の揺動角θを制御すると共に第4アーム41の第4対象領域42aが搬送物2に接触するように第4アーム41の揺動角θを制御し、且つ、搬送物2に加速力を付与するように第3調整機構35を制御すると共に搬送物2に減速力を付与するように第4調整機構45を制御する(具体的には、第3周回部36により搬送物2に加速力を付与すると共に第4周回部46により搬送物2に減速力を付与するように第3調整駆動部37及び第4調整駆動部47を制御する)。これにより、
図5に示すように、第3アーム31と第4アーム41とを用いて、搬送物2の姿勢を平面視で時計回りに回転させることができる。
【0074】
また、本実施形態では、実行中の第2制御が終了されて第1異常対応制御が行われた場合、その後に実行される第3制御において、制御装置3は、第2制御での第1調整装置10及び第2調整装置20の制御と同様に、第3調整装置30及び第4調整装置40を制御する。具体的には、第3制御では、制御装置3は、第3アーム31の第3対象領域32aが搬送物2に接触するように第3アーム31の揺動角θを制御すると共に第4アーム41の第4対象領域42aが搬送物2に接触するように第4アーム41の揺動角θを制御し、且つ、搬送物2に減速力を付与するように第3調整機構35を制御すると共に搬送物2に加速力を付与するように第4調整機構45を制御する(具体的には、第3周回部36により搬送物2に減速力を付与すると共に第4周回部46により搬送物2に加速力を付与するように第3調整駆動部37及び第4調整駆動部47を制御する)。これにより、第3アーム31と第4アーム41とを用いて、搬送物2の姿勢を平面視で反時計回りに回転させることができる。
【0075】
搬送物2が第3アーム31と第4アーム41とに挟まれる等して、制御装置3が第3制御を開始してから規定時間経過しても、第3アーム31及び第4アーム41よりも搬送方向下流側T2に搬送物2が搬送されない場合(
図9のステップ#07においてYesと判定される場合)がある。
図6は、このような状況の一例を示している。本実施形態では、このような場合に、制御装置3は、実行中の第3制御を終了して、第3アーム31(具体的には、第3対象領域32a)が搬送物2から離間するように第3アーム31の揺動角θを制御すると共に第4アーム41(具体的には、第4対象領域42a)が搬送物2から離間するように第4アーム41の揺動角θを制御する(以下、この制御を「第2異常対応制御」という)。第2異常対応制御を実行することで、搬送物2を第3アーム31及び第4アーム41よりも搬送方向下流側T2に搬送することができる。なお、制御装置3が、第2異常対応制御に代えて或いは第2異常対応制御に加えて、画面表示や音声出力等による異常報知を行う構成とすることもできる。
【0076】
図7では、第2異常対応制御において、第3アーム31の姿勢が第3中間姿勢(第3基準姿勢P3と第3目標姿勢Q3との間の姿勢)に戻るように第3アーム31の揺動角θが制御され、第4アーム41の姿勢が第4中間姿勢(第4基準姿勢P4と第4目標姿勢Q4との間の姿勢)に戻るように第4アーム41の揺動角θが制御される場合を例示している。例えば、第2異常対応制御では、第3先端部31bと第4先端部41bとの幅方向Wの間隔が、搬送物姿勢調整装置1の設置エリアよりも搬送方向下流側T2(
図1に示す例では、第3コンベヤ93による搬送先)において許容される、搬送物2の幅方向Wの大きさと一致するように、第3アーム31及び第4アーム41のそれぞれの揺動角θが制御される。
【0077】
〔その他の実施形態〕
次に、搬送物姿勢調整装置のその他の実施形態について説明する。
【0078】
(1)上記の実施形態では、制御装置3が、検出装置60による搬送物2の姿勢の検出結果に基づき、第1目標姿勢Q1の第1アーム11と第2目標姿勢Q2の第2アーム21とのいずれが先に搬送物2に接触するかを判定し、第1目標姿勢Q1の第1アーム11が先に搬送物2に接触すると判定される場合には、第1揺動制御を第2揺動制御よりも先に開始すると共に第3揺動制御を第4揺動制御よりも先に開始し、第2目標姿勢Q2の第2アーム21が先に搬送物2に接触すると判定される場合には、第2揺動制御を第1揺動制御よりも先に開始すると共に第4揺動制御を第3揺動制御よりも先に開始する構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、例えば、制御装置3が、搬送物2の姿勢を平面視で時計回りに回転させる場合には、第1揺動制御を第2揺動制御よりも先に開始すると共に第3揺動制御を第4揺動制御よりも先に開始し、搬送物2の姿勢を平面視で反時計回りに回転させる場合には、第2揺動制御を第1揺動制御よりも先に開始すると共に第4揺動制御を第3揺動制御よりも先に開始する構成とすることもできる。
【0079】
なお、第1揺動制御の開始タイミングと第2揺動制御の開始タイミングとの3つの先後関係(一方を先に開始すること、他方を先に開始すること、双方を同時に開始すること)と、第3揺動制御の開始タイミングと第4揺動制御の開始タイミングとの3つの先後関係とは、自由に組み合わせることができ、例えば、制御装置3が、第1揺動制御と第2揺動制御とを同時に開始すると共に第3揺動制御と第4揺動制御とを同時に開始する構成とすることができる。
【0080】
(2)上記の実施形態では、制御装置3が、第3目標速度(第3周回部36の搬送方向速度の目標値)と第4目標速度(第4周回部46の搬送方向速度の目標値)とを同じ速度に設定する構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、制御装置3が、第3目標速度と第4目標速度とを互いに異なる速度に設定する構成とすることもできる。例えば、搬送物2の姿勢を平面視で時計回りに回転させる場合の第3制御(すなわち、第1制御の後に実行される第3制御)では、制御装置3が、第3目標速度を第4目標速度よりも高く設定し、搬送物2の姿勢を平面視で反時計回りに回転させる場合の第3制御(すなわち、第2制御の後に実行される第3制御)では、制御装置3が、第4目標速度を第3目標速度よりも高く設定する構成とすることができる。この場合に、第1制御の後に実行される第3制御では、制御装置3が、搬送物2に加速力を付与するように第3調整機構35を制御すると共に搬送物2に減速力を付与するように第4調整機構45を制御し(具体的には、第3周回部36により搬送物2に加速力を付与すると共に第4周回部46により搬送物2に減速力を付与するように第3調整駆動部37及び第4調整駆動部47を制御し)、第2制御の後に実行される第3制御では、制御装置3が、搬送物2に減速力を付与するように第3調整機構35を制御すると共に搬送物2に加速力を付与するように第4調整機構45を制御する(具体的には、第3周回部36により搬送物2に減速力を付与すると共に第4周回部46により搬送物2に加速力を付与するように第3調整駆動部37及び第4調整駆動部47を制御する)構成としてもよい。
【0081】
(3)上記の実施形態では、制御装置3が、第3制御での第3アーム31の搬送方向Tに対する傾斜角を、第1制御及び第2制御での第1アーム11の搬送方向Tに対する傾斜角よりも大きくすると共に、第3制御での第4アーム41の搬送方向Tに対する傾斜角を、第1制御及び第2制御での第2アーム21の搬送方向Tに対する傾斜角よりも大きくする構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、例えば、制御装置3が、第3制御での第3アーム31の搬送方向Tに対する傾斜角を、第1制御及び第2制御での第1アーム11の搬送方向Tに対する傾斜角と等しくすると共に、第3制御での第4アーム41の搬送方向Tに対する傾斜角を、第1制御及び第2制御での第2アーム21の搬送方向Tに対する傾斜角と等しくする構成とすることもできる。
【0082】
(4)上記の実施形態では、第3制御では、制御装置3が、第3アーム31(具体的には、第3対象領域32a)が搬送物2に接触するように第3アーム31の揺動角θを制御すると共に第4アーム41(具体的には、第4対象領域42a)が搬送物2に接触するように第4アーム41の揺動角θを制御する構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、第3制御では、制御装置3が、第3アーム31(具体的には、第3対象領域32a)を搬送物2に接触させるための第3アーム31の揺動角θの制御(上述した第3揺動制御)と、第4アーム41(具体的には、第4対象領域42a)を搬送物2に接触させるための第4アーム41の揺動角θの制御(上述した第4揺動制御)との、一方のみを実行する構成とすることもできる。例えば、第1制御の後に実行される第3制御では、制御装置3が第3揺動制御を実行し、第2制御の後に実行される第3制御では、制御装置3が第4揺動制御を実行する構成とすることができる。
【0083】
(5)上記の実施形態では、第1周回部16が第1無端状部材16aを含み、第2周回部26が第2無端状部材26aを含み、第3周回部36が第3無端状部材36aを含み、第4周回部46が第4無端状部材46aを含む構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、例えば、第1周回部16が、第1無端状部材16aに代えて、上下方向Zに沿う軸心回りに回転可能であって、搬送物2に接触して駆動力を付与する搬送ローラ(第1調整駆動部17により回転駆動される駆動ローラ)を備える構成とすることもできる。搬送ローラは、例えば、第1アーム11の延在方向(平面視での延在方向)に沿って並ぶように第1対象領域12aに複数配置され、この場合、複数の搬送ローラのうちの第1先端部11bに配置される搬送ローラが、第1先端部11bにおいて上下方向Zに沿う軸心回りに周回するように第1対象領域12aに設けられる。第2周回部26、第3周回部36、及び第4周回部46についても同様に、無端状部材に代えて、上下方向Zに沿う軸心回りに回転可能であって、搬送物2に接触して駆動力を付与する搬送ローラを備える構成とすることもできる。
【0084】
(6)上記の実施形態では、搬送物姿勢調整装置1が、第3調整装置30と第4調整装置40とを備える構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、搬送物姿勢調整装置1が第3調整装置30及び第4調整装置40を備えない構成とすることもできる。
【0085】
(7)なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用すること(その他の実施形態として説明した実施形態同士の組み合わせを含む)も可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0086】
〔上記実施形態の概要〕
以下、上記において説明した搬送物姿勢調整装置の概要について説明する。
【0087】
載置面上に載置された搬送物を、規定の搬送方向に沿って搬送方向上流側から搬送方向下流側へ向けて搬送するコンベヤに用いられる、搬送物姿勢調整装置であって、上下方向に沿う上下方向視で前記搬送方向に直交する方向を幅方向とし、前記搬送方向下流側へ向かって前記幅方向の左側を幅方向左側とし、前記搬送方向下流側へ向かって前記幅方向の右側を幅方向右側とし、前記載置面の前記幅方向における中央部を通り前記搬送方向に沿って延在する仮想線を搬送中心線として、第1調整装置と、第2調整装置と、制御装置と、を備え、前記第1調整装置は、前記載置面よりも上側であって前記搬送中心線に対して前記幅方向左側に配置された第1アームと、前記第1アームを前記上下方向に沿う第1揺動軸心回りに揺動させる第1揺動機構と、前記第1アームに支持されて前記第1アームに接触した前記搬送物に対して力を付与する第1調整機構と、を備え、前記第2調整装置は、前記載置面よりも上側であって前記搬送中心線に対して前記幅方向右側に配置された第2アームと、前記第2アームを前記上下方向に沿う第2揺動軸心回りに揺動させる第2揺動機構と、前記第2アームに支持されて前記第2アームに接触した前記搬送物に対して力を付与する第2調整機構と、を備え、前記制御装置は、前記搬送物の姿勢を平面視で時計回りに回転させる場合には第1制御を実行し、前記搬送物の姿勢を平面視で反時計回りに回転させる場合には第2制御を実行し、前記第1制御では、前記制御装置は、前記第1アームが前記搬送物に接触するように前記第1アームの揺動角を制御すると共に前記第2アームが前記搬送物に接触するように前記第2アームの揺動角を制御し、且つ、前記搬送物に加速力を付与するように前記第1調整機構を制御すると共に前記搬送物に減速力を付与するように前記第2調整機構を制御し、前記第2制御では、前記制御装置は、前記第1アームが前記搬送物に接触するように前記第1アームの揺動角を制御すると共に前記第2アームが前記搬送物に接触するように前記第2アームの揺動角を制御し、且つ、前記搬送物に減速力を付与するように前記第1調整機構を制御すると共に前記搬送物に加速力を付与するように前記第2調整機構を制御する。
【0088】
本構成によれば、搬送中心線に対して幅方向の両側に分かれて配置された第1アームと第2アームとを用いて、コンベヤで搬送中の搬送物の姿勢を変更することができる。具体的には、第1制御を実行して、第1アームに支持された第1調整機構により搬送物に加速力を付与し、第2アームに支持された第2調整機構により搬送物に減速力を付与することで、搬送物の姿勢を平面視で時計回りに回転させることができる。また、第2制御を実行して、第1アームに支持された第1調整機構により搬送物に減速力を付与し、第2アームに支持された第2調整機構により搬送物に加速力を付与することで、搬送物の姿勢を平面視で反時計回りに回転させることができる。
【0089】
このように、本構成によれば、第1制御と第2制御とを選択的に実行することで、コンベヤで搬送中の搬送物の姿勢を、平面視で所望の回転方向に回転させることができる。よって、コンベヤで搬送中の搬送物の姿勢を調整しやすくなっている。また、第1アームの揺動角及び第2アームの揺動角を制御することにより、第1調整機構及び第2調整機構による搬送物への加速力又は減速力の付与を、搬送物の形状にかかわらず行うことが可能であるため、種々の形状の搬送物の姿勢を変更することも可能となっている。
【0090】
ここで、前記第1アームにおける前記第1揺動軸心が配置された部分よりも前記搬送方向下流側の端部を第1先端部として、前記第1調整機構は、前記第1先端部において前記上下方向に沿う軸心回りに周回するように、前記第1アームにおける水平方向を向く面である第1側周面に設けられた第1周回部を備え、前記第1周回部は、前記第1アームの前記第1側周面に沿って巻回された第1無端状部材を含み、前記第2アームにおける前記第2揺動軸心が配置された部分よりも前記搬送方向下流側の端部を第2先端部として、前記第2調整機構は、前記第2先端部において前記上下方向に沿う軸心回りに周回するように、前記第2アームにおける水平方向を向く面である第2側周面に設けられた第2周回部を備え、前記第2周回部は、前記第2アームの前記第2側周面に沿って巻回された第2無端状部材を含むと好適である。
【0091】
本構成によれば、搬送物の姿勢を変更するための加速力や減速力の付与を、第1無端状部材及び第2無端状部材から搬送物に対して適切に行うことができる。また、本構成によれば、無端状部材に代えて搬送ローラを複数並べた構成に比べて、第1アームにおける搬送物との接触部分や第2アームにおける搬送物との接触部分に、搬送物の一部(例えば、タグ等の付属物)が挟まる隙間が存在しないようにしやすいという利点もある。
【0092】
また、前記第1アームにおける前記第1揺動軸心が配置された部分よりも前記搬送方向下流側の端部を第1先端部として、前記第1調整機構は、前記第1先端部において前記上下方向に沿う軸心回りに周回するように、前記第1アームにおける水平方向を向く面である第1側周面に設けられた第1周回部を備え、前記第1アームが前記搬送方向に沿う姿勢を第1基準姿勢とし、第1目標速度に応じた前記第1基準姿勢での前記第1周回部の周回速度を第1基準姿勢目標速度として、前記第1調整機構は、前記第1目標速度が同じであっても、前記第1アームの揺動角が前記第1基準姿勢から増加することに応じて、前記第1周回部の周回速度を前記第1基準姿勢目標速度から増加させ、前記第2アームにおける前記第2揺動軸心が配置された部分よりも前記搬送方向下流側の端部を第2先端部として、前記第2調整機構は、前記第2先端部において前記上下方向に沿う軸心回りに周回するように、前記第2アームにおける水平方向を向く面である第2側周面に設けられた第2周回部を備え、前記第2アームが前記搬送方向に沿う姿勢を第2基準姿勢とし、第2目標速度に応じた前記第2基準姿勢での前記第2周回部の周回速度を第2基準姿勢目標速度として、前記第2調整機構は、前記第2目標速度が同じであっても、前記第2アームの揺動角が前記第2基準姿勢から増加することに応じて、前記第2周回部の周回速度を前記第2基準姿勢目標速度から増加させると好適である。
【0093】
本構成によれば、第1周回部の搬送方向に沿う方向の移動速度が第1目標速度に近い速度となるように、第1周回部の周回速度を第1アームの揺動角に応じて変化させ、第2周回部の搬送方向に沿う方向の移動速度が第2目標速度に近い速度となるように、第2周回部の周回速度を第2アームの揺動角に応じて変化させることができる。よって、第1アームや第2アームの揺動角の大きさにかかわらず、第1目標速度に応じた力や第2目標速度に応じた力を搬送物に付与することができ、搬送物の姿勢を目標に合わせて変化させやすい。
【0094】
また、前記載置面上の前記搬送物の姿勢を検出する検出装置を更に備え、前記制御装置は、前記検出装置により検出された前記搬送物の姿勢に応じて、前記搬送物の姿勢を平面視でいずれの方向に回転させるかを決定し、決定した回転方向に応じて、前記第1制御又は前記第2制御を実行すると好適である。
【0095】
本構成によれば、搬送物の実際の姿勢に応じて、搬送物を適切な姿勢とするための回転方向を決定することができるため、搬送物の姿勢の調整を適切に行うことができる。
【0096】
また、前記載置面上の前記搬送物の姿勢を検出する検出装置を更に備え、前記第1制御及び前記第2制御では、前記制御装置は、前記第1アームの姿勢を第1目標姿勢とするための前記第1アームの揺動角の制御である第1揺動制御と、前記第2アームの姿勢を第2目標姿勢とするための前記第2アームの揺動角の制御である第2揺動制御と、を実行し、前記制御装置は、前記検出装置による前記搬送物の姿勢の検出結果に基づき、前記第1目標姿勢の前記第1アームと前記第2目標姿勢の前記第2アームとのいずれが先に前記搬送物に接触するかを判定し、前記第1目標姿勢の前記第1アームが先に前記搬送物に接触すると判定される場合には、前記第1揺動制御を前記第2揺動制御よりも先に開始し、前記第2目標姿勢の前記第2アームが先に前記搬送物に接触すると判定される場合には、前記第2揺動制御を前記第1揺動制御よりも先に開始すると好適である。
【0097】
第1調整機構と第2調整機構とは、一方が搬送物に加速力を付与し、他方が搬送物に減速力を付与するように制御されるため、第1揺動制御と第2揺動制御とを同時に開始すると、搬送物の姿勢によっては、搬送物が第1アームと第2アームとに挟まれる等して、搬送物を第1アーム及び第2アームよりも搬送方向下流側に搬送できない事態が発生し得る。これに対して、本構成によれば、第1揺動制御と第2揺動制御とのいずれかを先に開始することで、上記のような事態が発生する可能性を低く抑えつつ、残りの揺動制御も後で開始することで、第1アームと第2アームとの双方を用いて搬送物の姿勢を調整することができる。
【0098】
なお、本構成によれば、搬送物の実際の姿勢に応じて第1アームと第2アームとのいずれが先に搬送物に接触するかを判定し、第1アームが先に搬送物に接触すると判定される場合には第1揺動制御が第2揺動制御よりも先に開始され、第2アームが先に搬送物に接触すると判定される場合には第2揺動制御が第1揺動制御よりも先に開始される。よって、第1アームと第2アームとのうちの搬送物に先に接触する予定のアームが、搬送物に先に接触するように、第1揺動制御と第2揺動制御とを時間をずらして開始することが可能となっている。
【0099】
また、前記載置面上の前記搬送物の姿勢を検出する検出装置を更に備え、前記第1制御及び前記第2制御では、前記制御装置は、前記第1アームの揺動角を第1目標揺動角に制御すると共に、前記第2アームの揺動角を第2目標揺動角に制御し、前記制御装置は、前記検出装置による前記搬送物の姿勢の検出結果に基づき、前記第1アーム及び前記第2アームのそれぞれが前記搬送物に接触するように、前記第1目標揺動角及び前記第2目標揺動角を設定すると好適である。
【0100】
本構成によれば、搬送物の実際の姿勢に応じて、第1アーム及び第2アームのそれぞれが搬送物に接触するように第1目標揺動角及び第2目標揺動角を設定することができるため、搬送物の姿勢の調整を適切に行うことができる。
【0101】
また、前記第1アームにおける前記第1揺動軸心が配置された部分よりも前記搬送方向下流側の端部を第1先端部として、前記第1調整機構は、前記第1先端部において前記上下方向に沿う軸心回りに周回するように、前記第1アームにおける水平方向を向く面である第1側周面に設けられた第1周回部を備え、前記第2アームにおける前記第2揺動軸心が配置された部分よりも前記搬送方向下流側の端部を第2先端部として、前記第2調整機構は、前記第2先端部において前記上下方向に沿う軸心回りに周回するように、前記第2アームにおける水平方向を向く面である第2側周面に設けられた第2周回部を備え、前記載置面上の前記搬送物の姿勢を検出する検出装置を更に備え、前記制御装置は、前記検出装置による前記搬送物の姿勢の検出結果に基づき、前記第1制御又は前記第2制御での前記搬送物の姿勢の目標回転量を設定し、前記目標回転量に応じて、前記第1制御又は前記第2制御での前記第1周回部と前記第2周回部との周回速度差を制御すると好適である。
【0102】
本構成によれば、搬送物の実際の姿勢に応じて、搬送物を適切な姿勢とするための目標回転量を設定し、当該目標回転量に応じた周回速度差となるように第1周回部及び第2周回部を制御することができるため、搬送物の姿勢の調整を適切に行うことができる。
【0103】
また、第3調整装置と、第4調整装置と、を更に備え、前記第3調整装置は、前記載置面よりも上側及び前記第1揺動軸心よりも前記搬送方向下流側であって前記搬送中心線に対して前記幅方向左側に配置された第3アームと、前記第3アームを前記上下方向に沿う第3揺動軸心回りに揺動させる第3揺動機構と、前記第3アームに支持されて前記第3アームに接触した前記搬送物に対して力を付与する第3調整機構と、を備え、前記第4調整装置は、前記載置面よりも上側及び前記第2揺動軸心よりも前記搬送方向下流側であって前記搬送中心線に対して前記幅方向右側に配置された第4アームと、前記第4アームを前記上下方向に沿う第4揺動軸心回りに揺動させる第4揺動機構と、前記第4アームに支持されて前記第4アームに接触した前記搬送物に対して力を付与する第4調整機構と、を備え、前記制御装置は、前記搬送物の姿勢を平面視で時計回りに回転させる場合には前記第1制御に加えて第3制御を実行し、前記搬送物の姿勢を平面視で反時計回りに回転させる場合には前記第2制御に加えて前記第3制御を実行し、前記第3制御では、前記制御装置は、前記第3アームが前記搬送物に接触するように前記第3アームの揺動角を制御すると共に前記第4アームが前記搬送物に接触するように前記第4アームの揺動角を制御し、前記制御装置は、前記第3制御での前記第3アームの前記搬送方向に対する傾斜角を、前記第1制御及び前記第2制御での前記第1アームの前記搬送方向に対する傾斜角よりも大きくすると共に、前記第3制御での前記第4アームの前記搬送方向に対する傾斜角を、前記第1制御及び前記第2制御での前記第2アームの前記搬送方向に対する傾斜角よりも大きくすると好適である。
【0104】
本構成によれば、第1アームと第2アームとを用いて姿勢を変更した後の搬送物の姿勢を、搬送中心線に対して幅方向の両側に分かれて配置された第3アームと第4アームとを用いて更に変更することができる。そして、第3制御での第3アームの傾斜角は、第1制御及び第2制御での第1アームの傾斜角よりも大きくされ、第3制御での第4アームの傾斜角は、第1制御及び第2制御での第2アームの傾斜角よりも大きくされるため、第3制御での第3アームの先端部と第4アームの先端部との間隔を、第1制御及び第2制御での第1アームの先端部と第2アームの先端部との間隔よりも狭くすることができる。よって、第1制御又は第2制御によって搬送物の姿勢を粗調整した後、第3制御によって搬送物の姿勢を微調整することが可能になる等、搬送物の姿勢の調整を適切に行いやすい。
【0105】
また、前記載置面上の前記搬送物の姿勢を検出する検出装置を更に備え、前記第1制御及び前記第2制御では、前記制御装置は、前記第1アームの姿勢を第1目標姿勢とするための前記第1アームの揺動角の制御である第1揺動制御と、前記第2アームの姿勢を第2目標姿勢とするための前記第2アームの揺動角の制御である第2揺動制御と、を実行し、前記第3制御では、前記制御装置は、前記第3アームの姿勢を第3目標姿勢とするための前記第3アームの揺動角の制御である第3揺動制御と、前記第4アームの姿勢を第4目標姿勢とするための前記第4アームの揺動角の制御である第4揺動制御と、を実行し、前記制御装置は、前記検出装置による前記搬送物の姿勢の検出結果に基づき、前記第1目標姿勢の前記第1アームと前記第2目標姿勢の前記第2アームとのいずれが先に前記搬送物に接触するかを判定し、前記第1目標姿勢の前記第1アームが先に前記搬送物に接触すると判定される場合には、前記第1揺動制御を前記第2揺動制御よりも先に開始すると共に前記第3揺動制御を前記第4揺動制御よりも先に開始し、前記第2目標姿勢の前記第2アームが先に前記搬送物に接触すると判定される場合には、前記第2揺動制御を前記第1揺動制御よりも先に開始すると共に前記第4揺動制御を前記第3揺動制御よりも先に開始すると好適である。
【0106】
本構成によれば、第1揺動制御と第2揺動制御とのいずれかを先に開始することで、上述した事態(具体的には、搬送物が第1アームと第2アームとに挟まれる等して、搬送物を第1アーム及び第2アームよりも搬送方向下流側に搬送できない事態)が発生する可能性を低く抑えることができると共に、第3揺動制御と第4揺動制御とのいずれかを先に開始することで、同様の事態(具体的には、搬送物が第3アームと第4アームとに挟まれる等して、搬送物を第3アーム及び第4アームよりも搬送方向下流側に搬送できない事態)が発生する可能性も低く抑えることができる。
【0107】
なお、本構成によれば、搬送物の実際の姿勢に応じて第1アームと第2アームとのいずれが先に搬送物に接触するかを判定し、第1アームが先に搬送物に接触すると判定される場合には第1揺動制御が第2揺動制御よりも先に開始され、第2アームが先に搬送物に接触すると判定される場合には第2揺動制御が第1揺動制御よりも先に開始される。よって、第1アームと第2アームとのうちの搬送物に先に接触する予定のアームが、搬送物に先に接触するように、第1揺動制御と第2揺動制御とを時間をずらして開始することが可能となっている。
【0108】
また、第1アームと第2アームとのうちの第1アームが先に搬送物に接触する場合には、第3アームと第4アームとのうちの第3アームが先に搬送物に接触する可能性が高くなり、第1アームと第2アームとのうちの第2アームが先に搬送物に接触する場合には、第3アームと第4アームとのうちの第4アームが先に搬送物に接触する可能性が高くなる状況が想定される。本構成によれば、第1アームが先に搬送物に接触すると判定される場合には第3揺動制御が第4揺動制御よりも先に開始され、第2アームが先に搬送物に接触すると判定される場合には第4揺動制御が第3揺動制御よりも先に開始される。よって、上記のような状況において、第3アームと第4アームとのうちの搬送物に先に接触する可能性の高い方のアームが、搬送物に先に接触するように、第3揺動制御と第4揺動制御とを時間をずらして開始することが可能となっている。
【0109】
また、前記制御装置は、前記第1制御又は前記第2制御を開始してから規定時間経過しても前記第1アーム及び前記第2アームよりも前記搬送方向下流側に前記搬送物が搬送されない場合には、実行中の前記第1制御又は前記第2制御を終了して、前記第1アームの前記第1対象領域が前記搬送物から離間するように前記第1アームの揺動角を制御すると共に前記第2アームの前記第2対象領域が前記搬送物から離間するように前記第2アームの揺動角を制御すると好適である。
【0110】
本構成によれば、仮に搬送物が第1アームと第2アームとに挟まれる等して、搬送物を第1アーム及び第2アームよりも搬送方向下流側に搬送できない事態が発生した場合であっても、第1制御又は第2制御を開始してから規定時間経過した場合には、実行中の第1制御又は第2制御を終了して第1アーム及び第2アームを搬送物から離間させることができる。このように第1アーム及び第2アームを搬送物から離間させることで、例えば、搬送物を搬送方向下流側に搬送して別の制御(例えば、上述した第3制御)を行うことや、搬送物に対する異常対応作業(例えば、作業者による姿勢変更作業等)が可能となる。
【0111】
本開示に係る搬送物姿勢調整装置は、上述した各効果のうち、少なくとも1つを奏することができればよい。
【符号の説明】
【0112】
1:搬送物姿勢調整装置
2:搬送物
3:制御装置
10:第1調整装置
11:第1アーム
11b:第1先端部
12:第1側周面
13:第1揺動機構
15:第1調整機構
16:第1周回部
16a:第1無端状部材
20:第2調整装置
21:第2アーム
21b:第2先端部
22:第2側周面
23:第2揺動機構
25:第2調整機構
26:第2周回部
26a:第2無端状部材
30:第3調整装置
31:第3アーム
33:第3揺動機構
35:第3調整機構
40:第4調整装置
41:第4アーム
43:第4揺動機構
45:第4調整機構
60:検出装置
90:コンベヤ
90a:載置面
A1:第1揺動軸心
A2:第2揺動軸心
A3:第3揺動軸心
A4:第4揺動軸心
C:搬送中心線
P1:第1基準姿勢
P2:第2基準姿勢
Q1:第1目標姿勢
Q2:第2目標姿勢
Q3:第3目標姿勢
Q4:第4目標姿勢
T:搬送方向
T1:搬送方向上流側
T2:搬送方向下流側
V1:第1周回速度(第1周回部の周回速度)
V2:第2周回速度(第2周回部の周回速度)
W:幅方向
WL:幅方向左側
WR:幅方向右側
Z:上下方向
Z1:上側
θ:揺動角