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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】エアガイド構造および車両
(51)【国際特許分類】
   B60K 11/04 20060101AFI20240501BHJP
【FI】
B60K11/04 K
B60K11/04 E
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022153508
(22)【出願日】2022-09-27
(65)【公開番号】P2024047810
(43)【公開日】2024-04-08
【審査請求日】2022-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清松 聖統
(72)【発明者】
【氏名】大倉 潤
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-009774(JP,A)
【文献】実開平05-092066(JP,U)
【文献】特開2020-040631(JP,A)
【文献】実開昭62-125648(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車幅方向に互いに離れて配置され、車両前後方向に延在する一対のフレームを有し、前記一対のフレーム間のスペースに配置される熱交換器を搭載する車両に備えられるエアガイド構造であって、
前記熱交換器よりも車両下方向の位置から前記熱交換器と前記フレームとの間の隙間へ向かって気流を導くエアガイド部材を備え
前記エアガイド部材は、
前記熱交換器の車両前方向の位置であって、かつ、前記熱交換器の車幅方向の両側端部の近傍位置のそれぞれに配置され、前記車両前方向に面しており、前記熱交換器よりも車両下方向の位置から前記熱交換器と前記フレームとの間の隙間へ向かって延ばされている一対の第1フランジと、
前記第1フランジの車幅方向の両側端部のうちの、前記熱交換器から離れている方の端部から前記車両前方向に延在する第2フランジと、
を有する、
エアガイド構造。
【請求項2】
前記一対の第1フランジを連結する第3フランジをさらに有し、
前記第3フランジは、前記車両前方向に面しており、前記熱交換器の車両下方向端部の位置から車両下方向へ延ばされる、
請求項に記載のエアガイド構造。
【請求項3】
前記熱交換器は、ラジエーターと車両前方向に配置されるインタークーラーとを有し、
前記第1フランジは、前記ラジエーターの車両前方向の位置であり、かつ、前記ラジエーターの車幅方向の両側端部の近傍位置のそれぞれに配置され、前記車両前方向に面しており、前記ラジエーターよりも車両下方向の位置から前記熱交換器と前記フレームとの間の隙間へ向かって延ばされ、
前記第2フランジは、前記第1フランジの前記ラジエーターから離れている方の端部から前記車両前方向に延在し、前記インタークーラーの車幅方向の両側端部のそれぞれに対し車幅方向両側のそれぞれから隙間を空けて対向配置される、請求項に記載のエアガイド構造。
【請求項4】
請求項1に記載のエアガイド構造を備える車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エアガイド構造および車両に関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、発熱体であるエンジンとそのエンジンを冷却するために熱交換器とが搭載されている。熱交換器としては、例えば、ラジエーターおよびインタークーラーがある。
【0003】
例えば、ラジエーターは、コアと上流側タンクと下流側タンクとを有する。コアは、上流側タンクから下流側タンクに向かって冷媒が流れる複数のチューブとフィンとを有している。
【0004】
特許文献1には、エンジン側からラジエーターへの熱風の回り込みを防ぐエアガイド構造が開示されている。エアガイド構造は、上流側タンクおよび下流側タンクのそれぞれに固定されるガイド板部と、ガイド板部に固定されるエアガイドとを有している。エアガイドは、ガイド板部よりも車両前方向の位置からガイド板部の車両後方向の位置に延在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-104318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、車幅方向に互いに離れて配置される一対のフレームを有し、一対のフレーム間のスペースに配置されるラジエーターを搭載する車両において、ラジエーターを通過することで加熱された熱風が、ラジエーターの車両後方向の位置からラジエーターとフレームとの間の隙間を通ってラジエーターの車両前方向の位置に巻き返す場合がある。この場合、巻き返す熱風によって、ラジエーターの前方の温度が上昇するという問題がある。
【0007】
本開示の目的は、熱交換器の前方の温度の上昇を防止することが可能なエアガイド構造および車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本開示におけるエアガイド構造は、
車幅方向に互いに離れて配置され、車両前後方向に延在する一対のフレームを有し、前記一対のフレーム間のスペースに配置される熱交換器を搭載する車両に備えられるエアガイド構造であって、
前記熱交換器よりも車両下方向の位置から前記熱交換器と前記フレームとの間の隙間へ向かって気流を導くエアガイド部材を備え
前記エアガイド部材は、
前記熱交換器の車両前方向の位置であって、かつ、前記熱交換器の車幅方向の両側端部の近傍位置のそれぞれに配置され、前記車両前方向に面しており、前記熱交換器よりも車両下方向の位置から前記熱交換器と前記フレームとの間の隙間へ向かって延ばされている一対の第1フランジと、
前記第1フランジの車幅方向の両側端部のうちの、前記熱交換器から離れている方の端部から前記車両前方向に延在する第2フランジと、
を有する。
【0009】
本開示における車両は、
上記エアガイド構造を備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、熱交換器の前方の温度の上昇を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本開示の実施の形態におけるエアガイド構造等を示す正面図である。
図2図2は、本開示の実施の形態におけるエアガイド構造等を模式的に示す側面図である。
図3図3は、本開示の実施の形態におけるエアガイド構造等を示す側面図である。
図4図4は、比較例に係る車両の平面図である。
図5図5は、本開示の実施の形態におけるエアガイド構造等を模式的に示す平面図である。
図6図6は、本開示の実施の形態におけるエアガイド構造等を示す底面図である。
図7図7は、本実施の形態におけるエアガイド構造を備える車両の平面図である。
図8A図8Aは、比較例における車両が所定条件で運転された場合において、ラジエーターの車幅方向の端部近傍の温度分布を示す図である。
図8B図8Bは、本実施の形態における車両が所定条件で運転された場合において、ラジエーターの車幅方向の端部近傍の温度分布を示す図である。
図9A図9Aは、比較例における車両が他の条件で運転された場合において、ラジエーターの車幅方向の端部近傍の温度分布を示す図である。
図9B図9Bは、本実施の形態における車両が他の条件で運転された場合において、ラジエーターの車幅方向の端部近傍の温度分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本開示の実施の形態におけるエアガイド構造等を示す正面図である。図1にはX軸、Y軸およびZ軸が描かれている。図2は、本開示の実施の形態におけるエアガイド構造等を模式的に示す側面図である。図3は、本開示の実施の形態におけるエアガイド構造等を示す側面図である。図1において左右方向をX軸および車幅方向といい、車両前側から見て右方向を車幅方向の一側または「+X方向」、左方向を車幅方向の他側または「-X方向」という。また、図1の紙面の奥行方向をY軸および車両前後方向といい、奥方向を車両後方向または「+Y方向」、手前方向を車両前方向または「-Y方向」をいう。また、図1において上下方向をZ軸および車両上下方向といい、上方向を車両上方向または「+Z方向」、下方向を車両下方向または「-Z方向」をいう。
【0013】
図1および図2に示すように、車両1は、車幅方向(X方向)に互いに離れて配置され、車両前後方向(Y方向)に延在する一対のフレーム2を有する。フレーム2は、両側壁3,4と溝底壁5とを有する断面形状を備えている。車幅方向の一側(+X方向)に配置されるフレーム2の溝口は、車幅方向の他側(-X方向)に開いている。車幅方向の他側(-X方向)に配置されるフレーム2の溝口は、車幅方向の一側(+X方向)に開いている。側壁3は、XY平面に沿うように設けられている。側壁4は、側壁3の車両下方向(-Z方向)に配置され、XY平面に沿うように設けられている。溝底壁5は、YZ平面に沿うように設けられている。
【0014】
一対のフレーム2間のスペースには、発熱体であるエンジン11、冷却ファン12、ラジエーター13、シュラウド14およびインタークーラー15が配置されている。なお、ラジエーター13およびインタークーラー15が本開示の「熱交換器」に対応する。
【0015】
冷却ファン12は、エンジン11の車両前方向(-Y方向)に配置される。冷却ファン12は、エンジン11の出力軸回りに回転することで、冷却ファン12の車両前方向(-Y方向)の空気を冷却ファン12の車両後方向(+Y方向)に送り込む。
【0016】
ラジエーター13は、冷却ファン12の車両前方向(-Y方向)に配置される。ラジエーター13は、コア13aと上流側タンク13bと下流側タンク13cとを有する。コア13aは、上流側タンク13bから下流側タンク13cに向かって冷媒が流れる複数のチューブとフィンとを有している。上流側タンク13bは、コア13aの上流側に位置する冷媒タンクである。下流側タンク13cは、コア13aの下流側に位置する冷媒タンクである。
【0017】
シュラウド14は、冷却ファン12とラジエーター13との間に配置されている。シュラウド14は、冷却ファン12とラジエーター13との間の空間を外側から覆うように配置されている。シュラウド14は、ラジエーター13の車両後方向(+Y方向)の空気を車両後方向(+Y方向)の冷却ファン12に導く。
【0018】
インタークーラー15は、ラジエーター13の車両前方向(-Y方向)に配置される。インタークーラー15は、上流側タンク15a、下流側タンク15b、チューブ15cおよびフィン15dを有する。上流側タンク15aと下流側タンク15bとは複数のチューブ15cにより接続される。複数のチューブ15cのそれぞれの間にはフィン15dが配置されている。吸入空気は、上流側タンク15aから複数のチューブ15cのそれぞれに分散して流れ、下流側タンク15bで合流する。インタークーラー15は、ターボチャージャー(不図示)により圧縮され高温となり、エンジン11に送り込まれる吸入空気を冷却することで、充填効率が悪くなるのを防止する。
【0019】
図4は、比較例に係る車両の平面図である。図4に車両の車幅方向一側を省略して示す。また、図4に熱風HWの流れを破線で示す。
ラジエーター13を通過することで加熱された熱風HWが、ラジエーター13の車両後方向(+Y方向)の位置からラジエーター13とフレーム2との間の隙間(車幅方向の隙間)を通ってラジエーター13の車両前方向(-Y方向)の位置や、インタークーラー15の車両前方向の位置に巻き返す場合がある。この場合、巻き返した熱風HWがラジエーター13に流れ込むため、ラジエーター13の前方の温度が上昇するという問題がある。
【0020】
本実施の形態では、ラジエーター13の前方の温度の上昇を防止するため、エアガイド構造20を備えている。図5は、本開示の実施の形態におけるエアガイド構造等を模式的に示す平面図である。図6は、本開示の実施の形態におけるエアガイド構造等を示す底面図である。
【0021】
本実施の形態に係るエアガイド構造20は、ラジエーター13よりも車両下方向(-Z方向)の位置からフレーム2とラジエーター13との間の隙間(車幅方向の隙間)へ向かって気流を導く誘導するエアガイド部材30とを有している。
【0022】
エアガイド部材30は、ガイドブラケット30Aおよびガイドプレート30Bを有している。
【0023】
ガイドブラケット30Aは、被取付部31と、一対のフランジ部32,33と、締結部34,35,36と、を有している。
【0024】
被取付部31は、ラジエーター13の車両下方向端部に沿って車幅方向(X方向)に延在している。被取付部31は、ラジエーター13の車両下方向端部に取り付けられる。被取付部31の車幅方向一側(+X方向)の端は、ラジエーター13の車両下方向端部の車幅方向一側の端に対応配置されている。被取付部31の車幅方向他側(-X方向)の端は、ラジエーター13の車両下方向端部の車幅方向他側の端に対応配置されている。
【0025】
フランジ部32は、車両前方向(-Y方向)に面しており、被取付部31の車幅方向一側(+X方向)の端に連続して配置されている。フランジ部32は、被取付部31の車幅方向一側の端の位置から車両上方向(+Y方向)に対して車幅方向一側へ傾斜する方向へ延ばされている。フランジ部32は、ラジエーター13の車幅方向一側の端部と側壁4との間の隙間の位置に延ばされている。換言すれば、フランジ部32の車両上方向(+Z方向)の端部の位置は、側壁4の車両上下方向(Z方向)の位置とほぼ等しい。
【0026】
フランジ部33は、車両前方向(-Y方向)に面しており、被取付部31の車幅方向他側(-X方向)の端に連続して配置されている。フランジ部33は、被取付部31の車幅方向他側の端の位置から車両上方向(+Z方向)に対して車幅方向他側へ傾斜する方向へ延ばされている。フランジ部33は、ラジエーター13の車幅方向他側の端部と側壁4との間の隙間の位置に延ばされている。換言すれば、フランジ部33の車両上方向(+Z方向)の端部の位置は、側壁4の車両上下方向(Z方向)の位置とほぼ等しい。
【0027】
締結部34は、被取付部31から車両下方向(-Z方向)に延在する。締結部34は、複数の締結用の下穴を有している。複数の締結用の下穴は、ガイドプレート30Bを締結するための下穴であって、締結部34の車幅方向一側の端部から車幅方向他側の端部にわたって、所定の間隔で配置される。
【0028】
締結部35は、ラジエーター13の車幅方向一側(+X)の端部に面しており、フランジ部32の車幅方向一側(+X方向)の端に連続して配置されている。締結部35は、フランジ部32の車幅方向一側(+X方向)の端の位置から車両前方向(-Y方向)に延在する。締結部34は、複数(ここでは、2つ)の締結用の下穴を有している。複数の締結用の下穴は、ガイドプレート30Bを締結するための下穴であって、車両上下方向(Y方向)に所定の間隔で配置される。
【0029】
締結部36は、ラジエーター13の車幅方向他側(-X)の端部に面しており、フランジ部33の車幅方向他側(-X方向)の端に連続して配置されている。締結部36は、フランジ部33の車幅方向他側(-X方向)の端の位置から車両前方向(-Y方向)に延在する。締結部36は、複数(ここでは、2つ)の締結用の下穴を有している。複数の締結用の下穴は、ガイドプレート30Bを締結するための下穴であって、車両上下方向(Y方向)に所定の間隔で配置される。
【0030】
ガイドプレート30Bは、前面プレート37および側面プレート38,39を有している。
【0031】
前面プレート37は、車両前方向(-Y方向)に面する矩形状の面を有している。矩形状の面は、その中央部よりも車両上方向(+Z方向)に位置し、車幅方向(X方向)に延ばされる上縁部と、その中央部よりも車両下方向(-Z方向)に位置し、車幅方向(X方向)に延ばされる下縁部と、その中央部よりも車幅方向一側(+X方向)に位置し、車両上下方向(Y方向)に延ばされる一側縁部と、その中央部よりも車幅方向他側(-X方向)に位置し、車両上下方向(Y方向)に延ばされる他側縁部と、を有する。
【0032】
矩形状の面は、上縁部から下縁部に向かって斜め車両前方向(-Y方向)に延在する。上縁部は、締結部34に締結される。
【0033】
前面プレート37の車幅方向一側(+X方向)の端部は、フランジ部32の車両下方向(-Z方向)の端部に対応配置されている。前面プレート37の車幅方向一側の端部は、ラジエーター13よりも車両下方向の位置から車両上方向(+Z方向)に対して車幅方向一側へ傾斜している。前面プレート37の車幅方向一側の端部の上端部と、フランジ部32の車両下方向の端部とは、車両前後方向(Y方向)に重ね合わせられている。前面プレート37の車幅方向一側の端部とフランジ部32とは、ラジエーター13よりも車両下方向の位置からラジエーター13とフレーム2との間の隙間へ向かって延ばされている本開示の「第1フランジ」に対応している。
【0034】
前面プレート37の車幅方向他側(-X方向)の端部は、フランジ部33の車両下方向(-Z方向)の端部に対応配置されている。前面プレート37の車幅方向他側の端部は、ラジエーター13よりも車両下方向の位置から車両上方向(+Z方向)に対して車幅方向他側へ傾斜している。前面プレート37の車幅方向他側の端部の上端部と、フランジ部33の車両下方向の端部とは、車両前後方向(Y方向)に重ね合わせられている。前面プレート37の車幅方向他側の端部とフランジ部33とは、ラジエーター13よりも車両下方向の位置からラジエーター13とフレーム2との間の隙間へ向かって延ばされている本開示の「第1フランジ」に対応している。また、一対の第1フランジであるフランジ部32とフランジ部33とを連結する前面プレート37の車幅方向(X方向)の中央部は、本開示の「第3フランジ」に対応している。
【0035】
側面プレート38は、ラジエーター13の車幅方向一側(+X方向)の端部に面しており、前面プレート37の車幅方向一側の端部に連続して配置される。側面プレート38は、前面プレート37の車幅方向一側の端部の位置から車両前方向(-Y方向)に延在する。側面プレート38の車両上下方向(Z方向)の中央部は、締結部35よりも車幅方向他側(-X方向)に位置し、締結部35と車幅方向(X方向)で重ね合わせられている。側面プレート38の車両上下方向の中央部は、複数(ここでは、2つ)の締結用の下穴を有している。複数の締結用の下穴は、締結部35に締結されるときに用いられる下穴であって、車両上下方向(Y方向)に所定の間隔で配置される。側面プレート38は、車両上下方向の中央部の位置から車両上方向および車両下方向のそれぞれの方向へ延ばされている。側面プレート38の車両下方向(-Z方向)の端部の位置は、前面プレート37の車幅方向一側の端部の位置に対応配置されている。側面プレート38の車両上方向(+Z方向)の端部は、フランジ部32の車両上方向の端部の位置(側壁4の車両上下方向(Z方向)の位置)よりも車両上方向に配置されている。側面プレート38は、本開示の「第2フランジ」に対応している。
【0036】
側面プレート39は、ラジエーター13の車幅方向他側(-X方向)の端部に面しており、前面プレート37の車幅方向他側の端部に連続して配置される。側面プレート39は、前面プレート37の車幅方向他側の端部の位置から車両前方向(-Y方向)に延在する。側面プレート39の車両上下方向(Z方向)の中央部は、締結部36よりも車幅方向一側(+X方向)に位置し、締結部36と車幅方向(X方向)で重ね合わせられている。側面プレート39の車両上下方向の中央部は、複数(ここでは、2つ)の締結用の下穴を有している。複数の締結用の下穴は、締結部36に締結されるときに用いられる下穴であって、車両上下方向(Y方向)に所定の間隔で配置される。側面プレート39は、車両上下方向の中央部の位置から車両上方向および車両下方向のそれぞれの方向へ延ばされている。側面プレート39の車両下方向(-Z方向)の端部の位置は、前面プレート37の車幅方向他側の端部の位置に対応配置されている。側面プレート39の車両上方向(+Z方向)の端部は、フランジ部33の車両上方向の端部の位置(側壁4の車両上下方向(Z方向)の位置)よりも車両上方向に配置されている。側面プレート39は、本開示の「第2フランジ」に対応している。
【0037】
次に、本実施の形態におけるエアガイド構造20の作用について図2図3図5および図7を参照して説明する。図7は、本実施の形態におけるエアガイド構造を備える車両の平面図である。図3に冷風CWの流れを実線で示す。また、図5および図7に冷風CWの流れを実線で示し、熱風HWを破線で示す。
【0038】
冷風CWがラジエーター13の車両前方向(-Y方向)かつ車両下方向(-Z方向)の位置から前面プレート37に沿って車両上方向(+Z方向)に流れる。
【0039】
ところで、ラジエーター13を通過することで加熱された熱風HWが、ラジエーター13の車両後方向(+Y方向)の位置からラジエーター13とフレーム2との間の隙間(車幅方向の隙間)を通って車両前方向(-Y方向)へ巻き返す場合がある。
【0040】
一方で、冷風CWがラジエーター13の車両前方向(-Y方向)かつ車両下方向(-Z方向)の位置から車両上方向(+Z方向)に対して車幅方向一側(+X方向)に向かい、前面プレート37の車幅方向一側の端部および/または側面プレート38に沿って、ラジエーター13とフレーム2との間の隙間に流れ込む。また、冷風CWがラジエーター13の車両前方向(-Y方向)かつ車両下方向(-Z方向)の位置から車両上方向(+Z方向)に対して車幅方向他側(-X方向)に向かい、前面プレート37の車幅方向他側の端部および/または側面プレート39に沿って、ラジエーター13とフレーム2との間の隙間に流れ込む(図2図3図5および図7を参照)。これにより、冷風CWが熱風HWの巻き返しを抑えることが可能となる。また、冷風CWがラジエーター13の車両前方向(-Y方向)かつ車両下方向(-Z方向)の位置から前面プレート37に沿って、ラジエーター13の車両前方向に流れ込む。
【0041】
以上のように、冷風CWが熱風HWの巻き返しを抑えるため、ラジエーターの前方の温度の上昇を防止することが可能となる。
【0042】
次に、熱風HWや冷風CWのそれぞれの流れについて図8Aから図9Bを参照して説明する。図8Aから図9Bのそれぞれに、ラジエーターの車両前方向(-Y方向)かつ車幅方向他側(-X方向)に位置する円形の領域CAを示す。なお、図8Aから図9Bにおいて、明度が高い領域は、明度が低い領域によりも領域内の温度が高いことを示す。
【0043】
図8Aは、比較例における車両が所定条件で運転された場合においてラジエーターの車幅方向の端部近傍の温度分布を示す図である。所定条件としては、エンジン11の所定回転数や車両1の所定速度である。図8Aに示すように、熱風HWの一部がラジエーター13の車両前方向かつ車幅方向他側の位置に巻き返す。図8Aに示す領域CAが高温となる。巻き返した熱風HWがラジエーター13に流れ込むため、ラジエーター13の前方の温度が上昇する。
【0044】
図8Bは、本実施の形態における車両が所定条件で運転された場合においてラジエーターの車幅方向の端部近傍の温度分布を示す図である。図8Bに示すように、熱風HWの一部がラジエーター13の車両前方向かつ車幅方向他側の位置に巻き返す場合がある。冷風CWがラジエーター13の車両前方向(-Y方向)かつ車両下方向(-Z方向)の位置から車両上方向(+Z方向)に対して車幅方向他側(-X方向)に向かい、側面プレート38に沿って、ラジエーター13とフレーム2との間の隙間に流れ込む。冷風CWが熱風HWの巻き返しを抑える。図8Bに示す領域CAが高温とならない。熱風HWがラジエーター13に流れ込まないため、ラジエーター13の前方の温度の上昇を防止する。
【0045】
図9Aは、比較例における車両が他の条件で運転された場合においてラジエーターの車幅方向の端部近傍の温度分布を示す図である。他の条件としては、所定条件と異なる、エンジン11の回転数や車両1の速度である。図9Aに示すように、熱風HWの一部がラジエーター13の車両前方向かつ車幅方向他側の位置に巻き返す。図9Aに示す領域CAが高温となる。巻き返した熱風HWがラジエーター13に流れ込むため、ラジエーター13の前方の温度が上昇する。
【0046】
図9Bは、本実施の形態における車両が他の条件で運転された場合においてラジエーターの車幅方向の端部近傍の温度分布を示す図である。図9Bに示すように、熱風HWの一部がラジエーター13の車両前方向かつ車幅方向他側の位置に巻き返す場合がある。冷風CWがラジエーター13の車両前方向(-Y方向)かつ車両下方向(-Z方向)の位置から車両上方向(+Z方向)に対して車幅方向他側(-X方向)に向かい、側面プレート38に沿って、ラジエーター13とフレーム2との間の隙間に流れ込む。冷風CWが熱風HWの巻き返しを抑える。図8Bに示す領域CAが高温とならない。熱風HWがラジエーター13に流れ込まないため、ラジエーター13の前方の温度の上昇を防止する。
【0047】
上記実施の形態では、車幅方向(X方向)に互いに離れて配置され、車両前後方向(Y方向)に延在する一対のフレーム2を有し、一対のフレーム2間のスペースに配置されるラジエーター13を搭載する車両1に備えられるエアガイド構造20であって、ラジエーター13よりも車両下方向(-Z)の位置からラジエーター13とフレーム2との間の隙間へ向かって気流を導くエアガイド部材30を備える。
【0048】
上記構成によれば、ラジエーター13を通過することで加熱された熱風HWが、ラジエーター13の車両後方向(+Y方向)の位置からラジエーター13とフレーム2との間の隙間(車幅方向の隙間)を通って車両前方向(-Y方向)へ巻き返す場合、エアガイド部材30が、気流(冷風)をラジエーター13よりも車両下方向(-Z)の位置からラジエーター13とフレーム2との間の隙間へ向かって導くため、気流(冷風)が熱風HWの巻き返しを抑えるため、ラジエーター13の前方の温度の上昇を防止することが可能となる。
【0049】
また、上記実施の形態では、エアガイド部材30は、ラジエーター13の車両前方向の位置であって、かつ、ラジエーター13の車幅方向の両側端部の近傍位置のそれぞれに配置され、車両前方向に面しており、ラジエーター13よりも車両下方向の位置からラジエーター13とフレーム2との間の隙間へ向かって延ばされている一対の第1フランジ(フランジ部32,33および前面プレート37)と、第1フランジ(フランジ部32,33および前面プレート37)の車幅方向の両側端部のうちの、ラジエーター13から離れている方の端部から車両前方向に延在する第2フランジ(側面プレート38,39)と、を有する。これにより、冷風CWがラジエーター13の車両前方向(-Y方向)かつ車両下方向(-Z方向)の位置から第1フランジおよび第2フランジに沿って、ラジエーター13とフレーム2との間の隙間に流れ込む。これにより、冷風CWが風HWの巻き返しを抑えるため、ラジエーター13の前方の温度の上昇を防止することが可能となる。
【0050】
また、上記実施の形態では、一対の第1フランジを連結する第3フランジ(前面プレート37の中央部)をさらに有し、第3フランジは、車両前方向に面しており、ラジエーター13の車両下方向端部の位置から車両下方向へ延ばされる。これにより、冷風CWをラジエーター13の車両前方向(-Y方向)かつ車両下方向(-Z方向)の位置から前面プレート37に沿って車両上方向(+Z方向)に流すことが可能となる。
【0051】
また、上記実施の形態では、熱交換器は、ラジエーター13と車両前方向に配置されるインタークーラー15とを有し、第1フランジ(フランジ部32,33および前面プレート37)は、ラジエーター13の車両前方向の位置であり、かつ、ラジエーター13の車幅方向の両側端部の近傍位置のそれぞれに配置され、車両前方向に面しており、ラジエーター13よりも車両下方向の位置からラジエーター13と前記フレームとの間の隙間へ向かって延ばされ、第2フランジ(側面プレート38,39)は、第1フランジのラジエーター13から離れている方の端部から車両前方向に延在し、インタークーラー15の車幅方向の両側端部のそれぞれに対し車幅方向両側のそれぞれから隙間を空けて対向配置される。冷風CWが隙間を通って、インタークーラー15の車幅方向の両側端部のそれぞれに流れ込む。これにより、流れ込んだ冷風CWが、熱風HWの巻き返しを抑えるため、ラジエーター13の前方の温度の上昇を防止することが可能となる。
【0052】
なお、本実施の形態に係るエアガイド構造は、ラジエーター13に適用し、ラジエーター13の前方の温度の上昇を防止するためのものであるが、インタークーラー15に適用し、インタークーラー15の前方の温度の上昇を防止するためのものでもよい。
【0053】
その他、上記実施の形態は、何れも本開示の実施をするにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本開示の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本開示はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本開示は、熱交換器の前方の温度の上昇を防止することが要求されるエアガイド構造を備える車両に好適に利用される。
【符号の説明】
【0055】
1 車両
2 フレーム
3 側壁
4 側壁
5 溝底壁
11 エンジン
12 冷却ファン
13 ラジエーター
13a コア
13b 上流側タンク
13c 下流側タンク
14 シュラウド
15 インタークーラー
15a 上流側タンク
15b 下流側タンク
15c チューブ
15d フィン
20 エアガイド構造
30 エアガイド部材
30A ガイドブラケット
30B ガイドプレート
31 被取付部
32 フランジ部
33 フランジ部
34 締結部
35 締結部
36 締結部
37 前面プレート
38 側面プレート
39 側面プレート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B