(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 7/18 20060101AFI20240501BHJP
【FI】
H04N7/18 D
(21)【出願番号】P 2022181636
(22)【出願日】2022-11-14
(62)【分割の表示】P 2020123492の分割
【原出願日】2016-05-09
【審査請求日】2022-11-30
(31)【優先権主張番号】P 2015172082
(32)【優先日】2015-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】大網 亮磨
【審査官】長谷川 素直
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-272756(JP,A)
【文献】特開2007-201556(JP,A)
【文献】特開2005-057592(JP,A)
【文献】特開2011-151459(JP,A)
【文献】特開2009-188740(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
G08B 25/00
G06Q 50/00
G08G 1/00
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置が固定されたカメラである固定カメラによって撮影された第1の監視画像を取得する第1取得手段と、
位置が固定されていないカメラである移動カメラによって撮影された第2の監視画像を取得する第2取得手段と、
前記第1の監視画像及び前記第2の監視画像を用いて、前記第1の監視画像に映るオブジェクトの分布を示す分布情報を生成
し、前記第2の監視画像に映っているオブジェクトの数を用いて前記分布情報を補正する生成手段と、を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記生成手段は、
前記第1の監視画像に映っているオブジェクトの分布を示す情報を前記分布情報として生成し、
前記第2の監視画像に映っているオブジェクトの数を用いて前記分布情報を補正し、
前記第1の監視画像に前記補正された分布情報を重畳した表示を生成する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
監視対象の場所の地図情報を取得する地図情報取得手段を有し、
前記生成手段は、前記地図情報によって表される地図上に前記補正された分布情報を重畳した表示を生成する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記生成手段は、
前記移動カメラの撮影方向を用いて、前記第1の監視画像内における前記移動カメラの撮影範囲を算出し、
前記分布情報によって示される前記移動カメラの撮影範囲内における前記オブジェクトの数又は分布を、前記第2の監視画像に写っているオブジェクトの数を用いて補正する、請求項1乃至3いずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記オブジェクトは人である、請求項1乃至4いずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
少なくとも1つのコンピュータが、
位置が固定されたカメラである固定カメラによって撮影された第1の監視画像を取得し、
位置が固定されていないカメラである移動カメラによって撮影された第2の監視画像を取得し、
前記第1の監視画像及び前記第2の監視画像を用いて、前記第1の監視画像に映るオブジェクトの分布を示す分布情報を生成
し、前記第2の監視画像に映っているオブジェクトの数を用いて前記分布情報を補正する、
ことを含む、情報処理方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つのコンピュータが、
前記第1の監視画像に映っているオブジェクトの分布を示す情報を前記分布情報として生成し、
前記第2の監視画像に映っているオブジェクトの数を用いて前記分布情報を補正し、
前記第1の監視画像に前記補正された分布情報を重畳した表示を生成する、
ことを更に含む請求項6に記載の情報処理方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つのコンピュータが、
監視対象の場所の地図情報を取得し、
前記地図情報によって表される地図上に前記補正された分布情報を重畳した表示を生成する、ことを更に含む請求項7に記載の情報処理方法。
【請求項9】
少なくとも1つのコンピュータを、
位置が固定されたカメラである固定カメラによって撮影された第1の監視画像を取得する第1取得手段、
位置が固定されていないカメラである移動カメラによって撮影された第2の監視画像を取得する第2取得手段、
前記第1の監視画像及び前記第2の監視画像を用いて、前記第1の監視画像に映るオブジェクトの分布を示す分布情報を生成
し、前記第2の監視画像に映っているオブジェクトの数を用いて前記分布情報を補正する生成手段、
として機能させるためのプログラム。
【請求項10】
前記生成手段は、
前記第1の監視画像に映っているオブジェクトの分布を示す情報を前記分布情報として生成し、
前記第2の監視画像に映っているオブジェクトの数を用いて前記分布情報を補正し、
前記第1の監視画像に前記補正された分布情報を重畳した表示を生成する、
請求項9に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は映像監視に関する。
【背景技術】
【0002】
群衆の状態を監視又は解析するために、群衆の移動経路上の建物などに固定された監視カメラによって撮影された映像が利用される。例えば特許文献1は、入力された監視映像を解析して群衆の移動方向を算出し、算出された移動方向に応じて監視用のデバイスを制御する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように建物等に固定された監視カメラによって撮影された映像では、群衆の状態を正確に監視することが難しい場合がある。例えば、このように建物に固定される監視カメラは遠方から群衆を撮影することも多い。このような場合、撮影された映像に写っている人の大きさが小さいため、群衆の状態(例えば群衆に含まれる人の数やその分布)を把握することが難しい。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものである。本発明の目的は、群衆を撮影した映像から群衆の状態を把握するための技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の監視情報生成装置は、1)位置が固定されたカメラである固定カメラによって撮影された第1の監視画像を取得する第1取得手段と、2)
位置が固定されていないカメラである移動カメラによって撮影された第2の監視画像を取得する第2取得手段と、3)前記第1の監視画像及び前記第2の監視画像を用いて、オブジェクトの監視情報を生成する生成手段と、を有する。
【0007】
本発明の撮影方向推定装置は、1)位置が固定されたカメラである固定カメラによって撮影された第1の監視画像におけるオブジェクトの移動方向である第1の移動方向を推定する第1移動方向推定手段と、2)位置が固定されていないカメラである移動カメラによって撮影された第2の監視画像におけるオブジェクトの移動方向である第2の移動方向を推定する第2移動方向推定手段と、3)前記第1の移動方向、前記第2の移動方向、前記固定カメラの位置及び姿勢、並びに前記移動カメラの位置に基づいて、前記移動カメラの撮影方向を推定する撮影方向推定手段と、を有する。
【0008】
本発明の第1の監視情報生成方法は、コンピュータによって実行される。当該方法は、1)位置が固定されたカメラである固定カメラによって撮影された第1の監視画像を取得する第1取得ステップと、2)位置が固定されていないカメラである移動カメラによって撮影された第2の監視画像を取得する第2取得ステップと、3)前記第1の監視画像及び前記第2の監視画像を用いて、オブジェクトの監視情報を生成する生成ステップと、を有する。
【0009】
本発明の撮影方向推定方法は、コンピュータによって実行される。当該方法は、1)位置が固定されたカメラである固定カメラによって撮影された第1の監視画像におけるオブジェクトの移動方向である第1の移動方向を推定する第1移動方向推定ステップと、2)位置が固定されていないカメラである移動カメラによって撮影された第2の監視画像におけるオブジェクトの移動方向である第2の移動方向を推定する第2移動方向推定ステップと、3)前記第1の移動方向、前記第2の移動方向、前記固定カメラの位置及び姿勢、並びに前記移動カメラの位置に基づいて、前記移動カメラの撮影方向を推定する撮影方向推定ステップと、を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、群衆を撮影した映像から群衆の状態を把握するための技術を提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
上述した目的、およびその他の目的、特徴および利点は、以下に述べる好適な実施の形態、およびそれに付随する以下の図面によってさらに明らかになる。
【0012】
【
図1】実施形態1に係る監視情報生成装置を例示するブロック図である。
【
図2】実施形態1の監視情報生成装置の動作を概念的に例示する図である。
【
図3】実施形態1の監視情報生成装置によって実行される処理の流れを例示するフローチャートである。
【
図4】実施形態1の監視情報生成装置を実現する計算機のハードウエア構成を例示する図である。
【
図5】第1監視画像に第2監視画像を重畳した表示を例示する図である。
【
図6】表示画面の左端付近に第2監視画像が並べて表示される様子を例示している。
【
図7】表示画面に第1監視画像と第2監視画像とが並べて表示される様子を例示している。
【
図8】第1監視画像上に移動カメラを示すマークが表示される様子を例示する図である。
【
図9】
図8においてマウスカーソルがクリックされた場合の表示を例示する図である。
【
図10】移動カメラの撮影方向が表示される様子を例示する図である。
【
図11】第1監視画像上に分布情報に基づく表示を重畳する例示する第1の図である。
【
図12】第1監視画像上に分布情報に基づく表示を重畳する例示する第2の図である。
【
図13】第1監視画像に写っている範囲と第2監視画像に写っている範囲との重なりを例示する図である。
【
図14】地図情報取得部を有する監視情報生成装置を例示するブロック図である。
【
図15】表示画面に表示される地図を例示する図である。
【
図16】補正後の分布情報に基づいて生成したヒートマップが重畳された地図を例示する図である。
【
図17】実施形態2に係る監視情報生成装置を例示するブロック図である。
【
図18】実施形態2の監視情報生成装置の動作を概念的に例示する図である。
【
図19】実施形態2の監視情報生成装置によって実行される処理の流れを例示するフローチャートである。
【
図20】第1監視画像について算出したオプティカルフローを例示する図である。
【
図21】オブジェクトの位置の変化を例示する図である。
【
図22】撮影方向推定部の動作を説明するための図である。
【
図23】歩道の方向を基準として候補撮影方向を決定する方法を説明するための図である。
【
図24】固定カメラと移動カメラの撮影範囲が重ならないケースを例示する図である。
【
図25】地図情報を用いて群衆の平面上の移動方向を推定する方法を説明するための図である。
【
図26】群衆の移動経路が複数あるケースを例示する図である。
【
図27】移動経路情報取得部を有する監視情報生成装置を例示するブロック図である。
【
図28】移動経路情報を利用して群衆の移動方向を推定する方法を説明するための図である。
【
図29】電子コンパスを用いて候補撮影方向を絞り込む方法を説明するための図である。
【
図30】第2監視画像に写っている背景に基づいて候補撮影方向を絞り込む方法を説明するための図である。
【
図31】第2監視画像上における特定の背景の位置に基づいて候補撮影方向を絞り込む方法を説明するための図である。
【
図32】交差点付近で群衆の流れが変化する例を示す図である。
【
図33】撮影方向推定部が行う移動カメラの撮影方向の推定処理の内訳を時系列で例示する図である。
【
図34】第2監視画像の特徴点の位置の変化を例示する図である。
【
図35】撮影方向推定装置を例示するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0014】
[実施形態1]
図1は、実施形態1に係る監視情報生成装置2000を例示するブロック図である。
図1において、各ブロックは、ハードウエア単位の構成ではなく、機能単位の構成を表している。
【0015】
監視情報生成装置2000は、固定カメラによって生成される監視画像と移動カメラによって生成される監視画像という、2種類の監視画像を用いる。固定カメラは、位置が固定されているカメラである。例えば固定カメラは、壁、柱、又は天井などの様々な場所に固定で設置された監視カメラである。なお、固定カメラが設置されている場所は、屋内であってもよいし、屋外であってもよい。また、固定カメラが設けられている壁等は、ある程度の期間位置が固定されていればよく、不動産に限定されない。例えば固定カメラが設置される壁等は、イベント会場などに臨時で設置される仕切りや柱などでもよい。
【0016】
移動カメラは、位置が移動するカメラである。例えば移動カメラは、人に身につけられていたり、車、バイク、又は飛行物体などに取り付けられていたりする。人に身につけられる移動カメラは、例えば手で保持するカメラ(ビデオカメラや、スマートフォンなどの携帯端末のカメラ)、又は頭若しくは胸などに固定されるカメラ(ウェアラブルカメラなど)などである。車、バイク、又は飛行物体などに取り付けられるカメラは、いわゆるドライブレコーダとして用いるために取り付けられているカメラであってもよいし、監視撮影用に別途取り付けられたカメラであってもよい。
【0017】
移動カメラと固定カメラはいずれも、監視対象の場所を動画で撮影する。監視対象の場所は任意である。例えば監視対象の場所は、イベント会場とその最寄り駅との間の経路などである。なお、監視対象の場所は屋内であってもよいし、屋外であってもよい。移動カメラの撮像範囲と固定カメラの撮像範囲は、重なっていてもよいし、重なっていなくてもよい。
【0018】
図2は、監視情報生成装置2000の動作を概念的に例示する図である。固定カメラ10は、群衆を撮影して第1監視画像12を生成する。ここでいう群衆は、1つ以上のオブジェクトである。オブジェクトは、人であってもよいし、人以外のもの(例えば車、バイク、動物など)であってもよい。移動カメラ20は群衆を撮影して第2監視画像22を生成する。なお、固定カメラ10が撮影する群衆と移動カメラ20が撮影する群衆は、同一の群衆であってもよいし、異なる群衆であってもよい。
【0019】
監視情報生成装置2000は、第1監視画像12及び第2監視画像22を用いて監視情報30を生成する。監視情報30は、オブジェクトの監視に関する情報である。監視情報30の具体的な内容及びその生成方法については後述する。
【0020】
上記動作を実現するために、監視情報生成装置2000は、第1監視画像取得部2020、第2監視画像取得部2040、及び生成部2060を有する。第1監視画像取得部2020は第1監視画像12を取得する。第2監視画像取得部2040は第2監視画像22を取得する。生成部2060は、第1監視画像12及び第1監視情報14を用いて監視情報30を生成する。
【0021】
<作用・効果>
本実施形態によれば、固定カメラ10によって生成された監視画像に加え、移動カメラ20によって生成された監視画像を用いて、群衆の監視情報が生成される。よって、固定カメラ10のみを利用して群衆の状態を把握しなければならない場合と比較し、群衆の状態をより正確に把握できるようになる。
【0022】
以下、本実施形態についてさらに詳細に説明する。
【0023】
<処理の流れ>
図3は、実施形態1の監視情報生成装置2000によって実行される処理の流れを例示するフローチャートである。第1監視画像取得部2020は第1監視画像12を取得する(S102)。第2監視画像取得部2040は第2監視画像22を取得する(S104)。生成部2060は、第1監視画像12及び第2監視画像22を用いて監視情報30を生成する(S106)。
【0024】
<監視情報生成装置2000のハードウエア構成例>
図4は、実施形態1の監視情報生成装置2000を実現する計算機1000のハードウエア構成を例示する図である。この計算機1000は、監視情報生成装置2000を実現するために専用に設計された専用装置を用いて実装されてもよいし、PC(Personal Computer)や携帯端末などの汎用装置を用いて実装されてもよい。
【0025】
計算機1000は、バス1020、プロセッサ1040、メモリ1060、ストレージ1080、入出力インタフェース1100、及びネットワークインタフェース1120を有する。バス1020は、プロセッサ1040、メモリ1060、ストレージ1080、入出力インタフェース1100、及びネットワークインタフェース1120が、相互にデータを送受信するためのデータ伝送路である。ただし、プロセッサ1040などを互いに接続する方法は、バス接続に限定されない。プロセッサ1040は、CPU (Central Processing Unit) や GPU (Graphics Processing Unit) などの演算処理装置である。メモリ1060は、RAM (Random Access Memory) や ROM (Read Only Memory) などのメモリである。ストレージ1080は、ハードディスク、SSD (Solid State Drive)、又はメモリカードなどの記憶装置である。また、ストレージ1080は、RAM や ROM などのメモリであってもよい。
【0026】
入出力インタフェース1100は、計算機1000と入出力デバイスとを接続するためのインタフェースである。例えば入出力インタフェース1100には、キーボードやマウスなどが接続される。
【0027】
ネットワークインタフェース1120は、計算機1000を外部の装置と通信可能に接続するためのインタフェースである。ネットワークインタフェース1120は、有線回線と接続するためのネットワークインタフェースでもよいし、無線回線と接続するためのネットワークインタフェースでもよい。例えば監視情報生成装置2000を実現する計算機1000は、ネットワークを介して固定カメラ10や移動カメラ20と接続されている。ただし、計算機1000を固定カメラ10や移動カメラ20と接続する方法は、ネットワークを介した接続に限定されない。また、計算機1000は固定カメラ10や移動カメラ20と通信可能に接続されていなくてもよい。
【0028】
ストレージ1080は監視情報生成装置2000の各機能を実現するプログラムモジュールを記憶している。プロセッサ1040は、これら各プログラムモジュールを実行することで、そのプログラムモジュールに対応する各機能を実現する。ここでプロセッサ1040は、上記各モジュールを実行する際、これらのモジュールをメモリ1060上に読み出してから実行してもよいし、メモリ1060上に読み出さずに実行してもよい。
【0029】
計算機1000のハードウエア構成は
図4に示した構成に限定されない。例えば、各プログラムモジュールはメモリ1060に格納されてもよい。この場合、計算機1000は、ストレージ1080を備えていなくてもよい。
【0030】
<第1監視画像取得部2020の詳細>
第1監視画像取得部2020は第1監視画像12を取得する(S102)。ここで、第1監視画像取得部2020が第1監視画像12を取得する方法は様々である。例えば第1監視画像取得部2020は、固定カメラ10から送信される第1監視画像12を受信する。また例えば、第1監視画像取得部2020は、固定カメラ10にアクセスし、固定カメラ10に記憶されている第1監視画像12を取得してもよい。なお、固定カメラ10は、固定カメラ10の外部に設けられている記憶装置に第1監視画像12を記憶してもよい。この場合、第1監視画像取得部2020は、この記憶装置にアクセスして第1監視画像12を取得してもよい。
【0031】
第1監視画像取得部2020は、第1監視画像12をリアルタイムで取得してもよいし、第1監視画像12が生成されてからしばらく後に第1監視画像12を取得してもよい。後者の場合、例えば監視情報生成装置2000は、過去に(例えば前日に)撮影された第1監視画像12や第2監視画像22を取得し、過去の監視画像について監視情報を生成することで、群衆行動の解析などを行う。
【0032】
<第2監視画像取得部2040の詳細>
第2監視画像取得部2040は第2監視画像22を取得する(S104)。ここで、第2監視画像取得部2040が第2監視画像22を取得する方法は、第1監視画像取得部2020が第1監視画像12を取得する方法と同様である。
【0033】
<生成部2060の詳細>
生成部2060は、第1監視画像12及び第2監視画像22を用いてオブジェクトの監視情報30を生成する(S106)。ここで前述したように、オブジェクトは人だけに限定されず、任意のものでよい。生成部2060が何をオブジェクトとして扱うかについては、生成部2060に予め設定されていてもよいし、生成部2060からアクセス可能な記憶装置等に記憶されていてもよいし、生成部2060が動作する際に手動で設定されてもよい。
【0034】
生成部2060によって生成される監視情報30は様々である。以下、監視情報30の具体例と、それぞれの生成方法について説明する。
【0035】
<<監視情報30の具体例1>>
生成部2060は、第1監視画像12に第2監視画像22を重畳した表示を、監視情報30として生成する。
図5は、第1監視画像12に第2監視画像22を重畳した表示を例示する図である。
図5の表示画面40には、第1監視画像12に、第2監視画像22-1から第2監視画像22-3を重畳した画面が表示されている。
【0036】
表示画面40は、例えば警備室などにいる監視員によって閲覧される。監視員は、この表示画面40を見ることで、固定カメラ10によって撮影される監視場所の全体的な様子を把握しつつ、移動カメラ20によって撮影される個々の場所の詳細な様子を把握することができる。よって監視員等は、群衆の状態を柔軟かつ精度良く把握できるようになる。
【0037】
第2監視画像22が提示されている第1監視画像12上の位置は、第2監視画像22の実世界上での位置に対応する第1監視画像12上の位置又はその付近であることが好ましい。この場合、生成部2060は、第2監視画像22を重畳させる位置を、移動カメラ20の位置情報、固定カメラ10の位置情報、及び固定カメラ10の姿勢を表すカメラパラメータを用いて決定する。具体的には、生成部2060は、固定カメラ10の位置情報及び姿勢を用い、第1監視画像12に写っている場所の中から、移動カメラ20の位置情報に対応する位置を割り出す。ここで固定カメラ10の姿勢には、固定カメラ10の撮影方向の水平方向及び垂直方向などが含まれる。
【0038】
各カメラの位置情報は、そのカメラの位置を特定できる任意の情報である。例えばカメラの位置情報は、そのカメラの Global Positioning System(GPS)座標を示す情報である。
【0039】
生成部2060が移動カメラ20の位置情報を取得する方法は様々である。移動カメラ20の位置情報は、例えば第2監視画像22のメタデータに含まれている。この場合、生成部2060は、第2監視画像22のメタデータから移動カメラ20の位置情報を取得する。また例えば、生成部2060は、移動カメラ20によって別途送信される位置情報を受信してもよい。この送信は、移動カメラ20によって自発的に行われてもよいし、生成部2060からのリクエストに応じて行われてもよい。
【0040】
生成部2060が固定カメラ10の位置情報を取得する方法は、例えば生成部2060が移動カメラ20の位置情報を取得する方法と同様である。また固定カメラ10の位置は固定であるため、固定カメラ10の位置情報は生成部2060からアクセス可能な記憶部に予め記憶されていてもよい。また例えば、固定カメラ10の位置情報は生成部2060に手動で入力されてもよい。
【0041】
なお、第2監視画像22の第1監視画像12上の位置は、第2監視画像22の実世界上の位置に基づく位置に限定されない。例えば第2監視画像22は、第1監視画像12の所定位置に表示されてもよい。
図6は、表示画面40の左端付近に第2監視画像が並べて表示される様子を例示している。この所定位置は、予め生成部2060に設定されていてもよいし、生成部2060からアクセス可能な記憶装置に記憶されていてもよい。
【0042】
第2監視画像22の表示位置は、ユーザの操作によって変更可能であってもよい。例えば監視情報生成装置2000は、第2監視画像22をマウスでドラッグする等の操作を受け付け、その操作に応じて第2監視画像22の表示位置を変更する。
【0043】
また、生成部2060は、第1監視画像12に第2監視画像22を重畳せず、第1監視画像12と第2監視画像22とを並べて表示してもよい。
図7は、表示画面40に第1監視画像12と第2監視画像22とが並べて表示される様子を例示している。
【0044】
第1監視画像12上における第2監視画像22の表示位置が実世界における移動カメラ20の位置に基づく位置でない場合や、第2監視画像22が第1監視画像12上に重畳されない場合、各第2監視画像22がどの位置にある移動カメラ20によって撮影されたものであるかが分かるようにすることが好ましい。この場合、例えば生成部2060は、実世界における各移動カメラ20の位置に対応する第1監視画像12上の位置に、後述する各移動カメラ20を表すマークなどを表示する。そして、生成部2060は、第2監視画像22の横などに、各第2監視画像22がどのマークに対応するものであるかを示す情報(例えばマークの番号など)を表示する。
【0045】
<<監視情報30の具体例2>>
生成部2060は、第1監視画像12上に移動カメラ20を示すマークを重畳した表示を生成する。さらに生成部2060は、このマークがユーザ(監視員など)によって選択された場合に、そのマークに対応する移動カメラ20によって生成された第2監視画像22を表示する。その結果、前述した具体例1の場合と同様に、第1監視画像12上に第2監視画像22が重畳された表示である監視情報30が生成される。
【0046】
このように、監視員などによる選択に応じて第2監視画像22を表示するようにすることで、全ての第2監視画像22が無条件で表示される場合と比較し、第1監視画像12に写っている群衆の全体的な様子を把握しやすくしつつ、なおかつ監視員などが注視したい場所の群衆の詳細な様子を容易に把握できるようになる。
【0047】
図8は、第1監視画像12上に移動カメラ20を示すマークが表示される様子を例示する図である。
図8には、固定カメラ10の撮影範囲内に、3つの移動カメラ20-1から3があり、それぞれの位置がマーク50-1から3で表されている。
図8における各マーク50の位置は、対応する移動カメラ20の実世界における位置に対応した位置である。
【0048】
例えばユーザは、マウスを使ってマーク50の選択を行う。
図8では、マウスカーソル60がマーク50-3上に位置している。この状態でユーザがマウスカーソル60をクリックすると、生成部2060は、移動カメラ20-3によって生成された第2監視画像22-3を表示画面40上に表示する。
図9は、
図8においてマウスカーソル60がクリックされた場合の表示を例示する図である。
【0049】
マーク50に対するユーザの選択操作は、マウス操作に限定されない。例えばその他の操作として、タッチパネルやキーボードを使ってマーク50を選択する操作がある。
【0050】
第1監視画像12に表示される移動カメラ20のマークの表示位置は、実世界における移動カメラ20の位置に対応する位置に限定されない。この点については、前述した、第1監視画像12上における第2監視画像22の表示位置と同様である。
【0051】
表示画面40には、各移動カメラ20の撮影方向がさらに表示されることが好ましい。これにより、表示画面40を見る監視員等は、第2監視画像22によって表される景色がどの場所の景色であるかをより正確にかつ容易に把握することができる。
図10は、移動カメラ20の撮影方向が表示される様子を例示する図である。
図10において、撮影方向52が示す方向が、マーク50に対応する移動カメラ20の撮影方向である。
【0052】
ここで、生成部2060が各移動カメラ20の撮影方向を把握する方法は様々である。例えば移動カメラ20や移動カメラ20と一体となっている携帯端末などに電子コンパスが内蔵されている場合、生成部2060は、この電子コンパスの出力が示す方位を、移動カメラ20の撮影方向とする。また例えば、生成部2060は、後述の実施形態で説明する方法で推定した移動カメラ20の撮影方向を用いてもよい。
【0053】
<<監視情報30の具体例3>>
生成部2060は、第1監視画像12上に群衆に関する情報を重畳した表示を、監視情報30として生成する。群衆に関する情報は、例えば群衆に含まれるオブジェクトの分布を表す情報である。以下、群衆に含まれるオブジェクトの分布を表す情報を、分布情報と表記する。
【0054】
図11及び
図12は、第1監視画像12上に分布情報に基づく表示を重畳する例示する図である。
図11の表示画面40では、第1監視画像12の上に、人の分布を表すヒートマップ61が重畳されている。例えばこのヒートマップは、人の密集度合いが高い場所を赤色に、人の密集度合いが低いところを青色にするヒートマップである。
【0055】
図12の表示画面40では、人の密集度合いが高い場所が太い枠線62で強調表示されている。ここで、
図12において、第1監視画像12は複数の部分領域に分割されている。具体的には、第1監視画像12は、縦に6等分かつ横に4等分されることにより、24個の部分領域に分割されている。なお、
図12では図の理解を容易にするために各部分領域を表す点線が表示されているが、実際にはこの点線は表示されなくてもよい。
【0056】
生成部2060は、第1監視画像12上に、人の密集度合いが高い領域を強調する枠線62を重畳した表示を、監視情報30として生成する。具体的には、生成部2060は、各部分領域に写っている人の数を示す分布情報を生成し、その数が所定値以上である部分領域を、人の密集度合いが高い領域とする。
【0057】
このように第1監視画像12上に第1監視画像12及び第2監視画像22を用いて生成した群衆の分布情報を重畳することで、監視員等は、第1監視画像12や第2監視画像22を見ただけでは把握しづらい群衆の状態を容易に把握できるようになる。
【0058】
<<<分布情報の生成方法>>>
上述の各表示を実現するための分布情報の生成方法について説明する。生成部2060は、第1監視画像12及び第2監視画像22を用いて分布情報を生成する。まず生成部2060は、第1監視画像12に対して画像認識処理などの処理を行うことにより、第1監視画像12について分布情報を生成する。具体的には、生成部2060は、第1監視画像12を複数の部分領域に分割し、各部分領域に写っているオブジェクトの数を算出する。その結果、第1監視画像12の部分領域ごとのオブジェクトの数を表す分布情報が生成される。
【0059】
さらに生成部2060は、第1監視画像12の部分領域のうち、第2監視画像22に写っている領域を割り出す。生成部2060は、分布情報のうち、上記割り出された領域について示されるオブジェクトの数を、第2監視画像22に写っているオブジェクトの数を用いて補正する。そして生成部2060は、補正後の分布情報を第1監視画像12に重畳した表示を行う。なお、第2監視画像22に写っているオブジェクトの数は、第1監視画像12に写っているオブジェクトの数と同様に、第2監視画像22に対して画像認識処理などを行うことにより算出することができる。
【0060】
図13は、第1監視画像12に写っている範囲と第2監視画像22に写っている範囲との重なりを例示する図である。
図13において、部分領域64-1は、第1監視画像12を複数の分割した上述の部分領域である。
図13(a)において、第2監視画像22に写っている範囲65は、1つの部分領域64-1に収まっている。この場合、生成部2060は、第2監視画像22全体に写っているオブジェクトの数を算出し、算出したオブジェクトの数を用いて、分布情報が示す部分領域64-1のオブジェクトの数を補正する。例えば生成部2060は、1)分布情報が示す部分領域64-1のオブジェクトの数を、第2監視画像22について算出したオブジェクトの数で置換する、2)分布情報が示す部分領域64-1のオブジェクトの数を、その数と第2監視画像22について算出したオブジェクトの数との統計値に置換する、などの処理を行う。2)における統計値は、第2監視画像22について算出したオブジェクトの数に対し、分布情報が示すオブジェクトの数よりも大きい重みを付けた重み付き平均などである。
【0061】
図13(b)の場合、第2監視画像22に写っている範囲65は、2つの部分領域64-1及び64-2にまたがっている。この場合、生成部2060は、第2監視画像22を、部分領域64-1と重なる領域Aと、部分領域64-2と重なる領域Bに分割し、それぞれの領域に写っているオブジェクトの数を算出する。そして、生成部2060は、領域Aについて算出したオブジェクトの数を用いて、分布情報が示す部分領域64-1のオブジェクトの数を補正する。同様に、生成部2060は、領域Bについて算出したオブジェクトの数を用いて、分布情報が示す部分領域64-2のオブジェクトの数を補正する。それぞれの補正の方法は、
図13(a)を用いて説明した方法と同様である。
【0062】
このように、第1監視画像12について算出したオブジェクトの分布情報を、第2監視画像22に写っているオブジェクトの数を用いて補正することで、オブジェクトの分布をより正確に算出することができる。これは、第2監視画像22について算出されるオブジェクトの数は、第1監視画像12について算出されるオブジェクトの数よりも正確に算出できるためである。
【0063】
例えば
図11のように固定カメラ10が移動カメラ20に比べて遠くから広い範囲を撮影している場合、第1監視画像12にはオブジェクトが小さく写るため、写っているオブジェクトの数を正確に算出することが難しい場合がある。一方、固定カメラ10よりも近い距離からオブジェクトを撮影している移動カメラ20によって生成される第2監視画像22には、オブジェクトが大きくはっきりと写る。よって、生成部2060は、第2監視画像22に写っているオブジェクトの数を、第1監視画像12に写っているオブジェクトの数よりも正確に算出することができる。
【0064】
また例えば、
図11に示すように固定カメラ10が遠方から斜め下を見下ろすような角度で撮影を行っている場合、近接している人同士が重なりあって写ってしまい、一部の人が第1監視画像12に写らないこともある。一方、例えば小型の飛行物体に移動カメラ20を取り付けて群衆を真上から撮影することにより、近接している人が重ならないように撮影を行うことができる。よって、このように撮影を行う移動カメラ20によって生成された第2監視画像22を用いて算出したオブジェクトの数は、第1監視画像12を用いて算出されたオブジェクトの数よりも正確になる。
【0065】
<<<分布情報の更新について>>>
固定カメラ10や移動カメラ20は動画を撮影するカメラであるため、第1監視画像12や第2監視画像22は繰り返し生成される。そこで監視情報生成装置2000は、上述した分布情報を繰り返し生成し、表示する分布情報を更新してもよい。これにより、ヒートマップ等の分布情報がアニメーションのように表示することなどが可能となる。なお、分布情報の生成は全ての第1監視画像12及び第2監視画像22を用いて行われてもよいし、一部の第1監視画像12及び第2監視画像22を用いて行われてもよい。後者の場合、例えば1秒間に1回や10秒間に1回などの間隔で分布情報が生成される。また、監視情報生成装置2000は、分布情報の生成を指示するユーザ操作を受け付け、そのユーザ操作を受けつけた場合のみ分布情報の更新を行ってもよい。
【0066】
<<<分布情報のその他の利用方法について>>>
上述の例において、生成部2060は、分布情報を第1監視画像12に重畳した表示を監視情報30としている。しかし生成部2060は、分布情報そのものを監視情報30としてもよい。この場合、例えば生成部2060は、分布情報を記憶装置等に記憶したり、分布情報を表形式やグラフ形式などで表示画面に表示したりする。この分布情報は、群衆の行動解析などに利用できる。また、監視情報生成装置2000は以下で示す別の具体例のように分布情報を利用してもよい。
【0067】
<<監視情報30の具体例4>>
生成部2060は、前述した分布情報を監視対象の場所の地図に重畳して表示してもよい。この場合、監視情報生成装置2000は、地図情報取得部2080を有する。地図情報取得部2080は、監視対象の場所付近の地図に関する情報である地図情報を取得する。
図14は、地図情報取得部2080を有する監視情報生成装置2000を例示するブロック図である。例えば地図情報は、歩道、道路、及び建物などの位置などを示す。例えば地図情報は、監視情報生成装置2000からアクセス可能な記憶装置などに予め記憶されているものとする。
【0068】
図15は、表示画面40に表示される地
図200を例示する図である。
図15における監視対象は、屋内のフロアである。
図15には、固定カメラ10が複数設置されている。また、移動カメラ20が複数存在する。
図15において、移動カメラ20の位置はマーク50によって示されている。なお、地
図200上の固定カメラ10の位置及び移動カメラ20の位置は、固定カメラ10の位置情報、移動カメラ20の位置情報、及び地
図200が表す場所の位置情報を用いて算出することができる。また、固定カメラ10の配置が固定である場合、固定カメラ10の位置は、予め地
図200に示されていてもよい。
【0069】
まず生成部2060は、各固定カメラ10によって生成される第1監視画像12を用いて、各固定カメラ10の撮影範囲におけるオブジェクトの分布情報を生成する。さらに、生成部2060は、第2監視画像22について算出されるオブジェクトの数を用いて、各分布情報を補正する。なお、第2監視画像22について算出されるオブジェクトの数を用いて分布情報を補正する方法は、
図13を用いて説明した方法と同様である。
【0070】
生成部2060は、補正後の各分布情報に基づく表示を地
図200に重畳して表示する。
図16は、補正後の分布情報に基づいて生成したヒートマップが重畳された地
図200を例示する図である。
【0071】
上述のように地図上に分布情報を表示すると背景が簡略化されるため、監視員等にとって分布情報が視覚的に把握しやすいものとなる。また、地図上に分布情報を表示すると、複数の固定カメラ10によって監視されている場所における群衆の状態を1つの画面で表示できる。そのため、監視員等が広い範囲に分布している群衆の様子をまとめて容易に把握できるようになる。
【0072】
なお、生成部2060は、
図8及び
図9を用いて説明した処理と同様に、ユーザからマーク50を選択する操作を受け付け、選択されたマーク50に対応する移動カメラ20によって生成された第2監視画像22を地
図200上に表示してもよい。また、生成部2060は、第2監視画像22に代えて又は第2監視画像22と共に、第2監視画像22を用いて生成された分布情報(移動カメラ20の撮影範囲におけるオブジェクトの分布を示す情報)を地
図200上に表示してもよい。
【0073】
<変形例>
生成部2060は、前述した分布情報を、第1監視画像12を用いずに第2監視画像22のみを用いて生成してもよい。この場合、例えば生成部2060は、複数の移動カメラ20それぞれによって生成された第2監視画像22に写っているオブジェクトの数を算出し、「第2監視画像22の撮影範囲、オブジェクトの数」の組み合わせのリストとして分布情報を生成する。そして、生成部2060は、この分布情報を用いてヒートマップ等を生成し、第1監視画像12や地
図200に重畳して表示する。
【0074】
また、生成部2060は、第1監視画像12について分布情報を生成する方法と同じ方法で、第2監視画像22ごとに分布情報を生成してもよい。この場合、生成部2060は、複数の分布情報を用いてヒートマップ等を生成し、第1監視画像12や地
図200上に重畳して表示する。
【0075】
[実施形態2]
図17は、実施形態2に係る監視情報生成装置2000を例示するブロック図である。
図17において、各ブロックは、ハードウエア単位の構成ではなく、機能単位の構成を表している。
【0076】
実施形態2の監視情報生成装置2000は移動カメラ20の撮影方向を推定する機能を有する。壁などに設置される固定カメラ10の場合、一般に、現在のカメラの姿勢を表すカメラパラメータ(水平方向の回転角や垂直方向の回転角など)を取得することで、固定カメラ10の撮影方向が分かる。例えば、初期状態で北を向いて設置されている固定カメラ10があり、その固定カメラ10から取得したカメラパラメータが+45度という水平方向の回転角を表しているとする。ここで、水平方向の回転角は、反時計回りをプラス方向として表記されている。この点については、以降の記載でも同様である。すると、固定カメラ10の撮影方向は、北から時計回りに45度回転した方向である北西であることが分かる。
【0077】
一方で、人などに身につけられている移動カメラ20の場合、固定カメラ10とは異なり、基準とする初期状態の方位を定めておくことが難しいことなどから、移動カメラ20の撮影方向を割り出すことが難しい。
【0078】
ここで、カメラなどに電子コンパスを備えることで撮影方向を割り出せるようにする方法もある。しかし、この方法では、電子コンパスの精度が悪いと正確な撮影方向を割り出すことができない。また、高精度の電子コンパスを移動カメラ20に取り付けなければならないと、移動カメラ20の製造コストが高くなってしまう恐れがある。さらに、高精度の電子コンパスを移動カメラ20に取り付けなければならないと、スマートフォンのカメラやハンディカメラなど、汎用のカメラを移動カメラ20として利用することが難しくなる。
【0079】
そこで本実施形態の監視情報生成装置2000は、第1監視画像12及び第2監視画像22を利用して、移動カメラ20の撮影方向の推定を行う。
図18は、実施形態2の監視情報生成装置2000の動作を概念的に例示する図である。監視情報生成装置2000は、固定カメラ10によって生成された第1監視画像12を取得し、第1監視画像12における群衆の移動方向(以下、第1移動方向)を推定する。監視情報生成装置2000は、移動カメラ20によって生成された第2監視画像22を取得し、第2監視画像22における群衆の移動方向(以下、第2移動方向)を推定する。そして、監視情報生成装置2000は、第1監視画像12における群衆の移動方向及び第2監視画像22における群衆の移動方向に基づいて、移動カメラ20の撮影方向を推定する。
【0080】
上記動作を実現するために、実施形態2の監視情報生成装置2000は、第1移動方向推定部2100、第2移動方向推定部2120、及び撮影方向推定部2140をさらに有する。第1移動方向推定部2100は、第1監視画像12における群衆の移動方向を推定する。第2移動方向推定部2120は、第2監視画像22における群衆の移動方向を推定する。撮影方向推定部2140は、第1移動方向、第2移動方向、固定カメラ10の位置及び姿勢、並びに移動カメラ20の位置に基づいて、移動カメラ20の撮影方向を推定する。
【0081】
<作用・効果>
本実施形態の監視情報生成装置2000によれば、第1監視画像12及び第2監視画像22を用いて移動カメラ20の撮影方向が推定されるため、移動カメラ20に取り付けられた電子コンパス等のデバイスでは移動カメラ20の撮影方向を精度良く算出できない場合であっても、移動カメラ20の撮影方向を精度良く把握できるようになる。
【0082】
監視情報生成装置2000によって推定された移動カメラ20の撮影方向は、実施形態1で説明した移動カメラ20の撮影方向を可視化する処理や、第2監視画像22に写っている範囲を第1監視画像12や地図上にマッピングする処理などに利用できる。ただし、推定した移動カメラ20の撮影方向の利用方法は任意であり、実施形態1で説明した利用方法に限定されない。
【0083】
以下、本実施形態の監視情報生成装置2000についてさらに詳細に説明する。
【0084】
<処理の流れ>
図19は、実施形態2の監視情報生成装置2000によって実行される処理の流れを例示するフローチャートである。第1移動方向推定部2100は第1監視画像12を用いて第1移動方向を推定する(S202)。第2移動方向推定部2120は第2監視画像22を用いて第2移動方向を推定する(S204)。撮影方向推定部2140は、第1移動方向、第2移動方向、固定カメラ10の位置及び姿勢、並びに移動カメラ20の位置に基づいて、移動カメラ20の撮影方向を推定する(S206)。
【0085】
<第1移動方向推定部2100の詳細>
第1移動方向推定部2100は、第1監視画像12における群衆の移動方向である第1移動方向を推定する(S202)。ここで、第1移動方向推定部2100が第1移動方向を推定する方法は様々である。以下、第1移動方向の推定方法について説明する。
【0086】
<<方法1>>
第1移動方向推定部2100は、時系列で並べられた複数の第1監視画像12それぞれに含まれる画素や特徴点のオプティカルフローを算出する。
図20は、第1監視画像12について算出したオプティカルフローを例示する図である。
図20に示す各矢印が、第1監視画像12について算出したオプティカルフローを表す。
【0087】
第1移動方向推定部2100は、算出したオプティカルフローに基づいて、第1移動方向を推定する。例えば第1移動方向推定部2100は、オプティカルフローから1つを選択し、その選択されたオプティカルフローを第1移動方向とする。例えば第1移動方向推定部2100は、1つのオプティカルフローをランダムに選択する。
【0088】
また例えば、第1移動方向推定部2100は、複数算出されたオプティカルフローを統計処理して1つのベクトルを算出し、このベクトルを第1移動方向とする。この統計処理は、例えばベクトルの平均を算出する処理である。
【0089】
なお、画像に含まれる画素や特徴点を用いてオプティカルフローを算出する技術は既知の技術であるため、この技術の具体的な説明は省略する。
【0090】
<<方法2>>
第1移動方向推定部2100は、時系列で並べられた複数の第1監視画像12に共通で写っているオブジェクトを検出し、そのオブジェクトの位置の変化に基づいて第1移動方向を推定する。
図21は、オブジェクトの位置の変化を例示する図である。
図21において、点線で表されたオブジェクトは t 番目の第1監視画像12に写っており、実線で表されたオブジェクトは t+1 番目の第1監視画像12に写っている。矢印は、各オブジェクトの位置の変化を表す。オブジェクトの位置の変化は、例えば同一のオブジェクトを表す複数の領域の重心を結んだベクトルである。
【0091】
なお、第1監視画像12に複数のオブジェクトが写っている場合、前述したオプティカルフローを利用する場合と同様に、オブジェクトの位置の変化を表すベクトルが複数算出される。そこで例えば、第1移動方向推定部2100は、複数のオブジェクトから1つを選択し、その選択されたオブジェクトの位置の変化を表すベクトルを第1移動方向とする。例えば第1移動方向推定部2100は、1つのオブジェクトをランダムに選択する。また例えば、第1移動方向推定部2100は、最も大きいオブジェクトを選択する。
【0092】
また例えば、第1移動方向推定部2100は、複数のオブジェクトの位置の変化を表す複数のベクトルを統計処理して1つのベクトルを算出し、このベクトルを第1移動方向とする。この統計処理は、例えばベクトルの平均を算出する処理である。
【0093】
<<方法3>>
また例えば、第1移動方向推定部2100は、第1監視画像12に写っているオブジェクトの向きに基づいて、群衆の移動方向を検出してもよい。例えばオブジェクトが人や動物である場合、第1移動方向推定部2100は、これらの顔や身体の向きを割り出し、顔や身体の正面が向いている方向を第1移動方向とする。またオブジェクトが車、バイク、又は飛行物体などの物である場合、第1移動方向推定部2100は、第1監視画像12に写っているオブジェクトの形状や各種部品(バンパーやハンドルなど)の位置などからオブジェクトの進行方向を割り出し、割り出した進行方向を第1移動方向とする。
【0094】
<第2移動方向推定部2120の詳細>
第2移動方向推定部2120が第2監視画像22に写っている群衆の移動方向(第2移動方向)を推定する方法は、第1移動方向推定部2100が第1移動方向を推定する方法と同様である。
【0095】
<ぶれの軽減について>
第1監視画像12や第2監視画像22には、群衆がぶれて写ることがある。例えば固定カメラ10や移動カメラ20が移動している群衆を撮影すると、各監視画像に群衆がぶれて写ることがある。また例えば、固定カメラ10の姿勢を変化させながら固定カメラ10による撮影を行った場合や、移動カメラ20の姿勢や位置を変化させながら移動カメラ20による撮影を行った場合、各監視画像に群衆がぶれて写ることがある。
【0096】
そこで、第1移動方向推定部2100は、各第1監視画像12に対してぶれを軽減する処理(いわゆる手ぶれ補正など)を施した後、第1移動方向の推定を行うことが好ましい。同様に、第2移動方向推定部2120も、各第2監視画像22に対してぶれを軽減する処理を施した後、第2移動方向の推定を行うことが好ましい。
【0097】
<撮影方向推定部2140の詳細>
撮影方向推定部2140は、第1移動方向、第2移動方向、固定カメラ10の位置及び姿勢、並びに移動カメラ20の位置に基づいて、移動カメラ20の撮影方向を推定する(SS210)。
図22は、撮影方向推定部2140の動作を説明するための図である。以下、
図22を用いながら、撮影方向推定部2140が移動カメラ20の撮影方向を推定する具体的な処理について説明する。
【0098】
まず撮影方向推定部2140は、監視対象の場所を鉛直方向に平面視した平面上(例えば地図上)に、第1移動方向をマッピングする。
図22において、平面70は、監視対象の場所を鉛直方向に平面視した平面である。移動方向80は、第1監視画像12における群衆の移動方向を平面70にマッピングした方向を表す。なお平面70は、上方向を北とする平面である。
【0099】
撮影方向推定部2140は、移動方向80を用いて、移動カメラ20に写るオブジェクトの平面70上における移動方向(以下、第3移動方向)を算出する。固定カメラ10の撮影範囲と移動カメラ20の撮影範囲が重なっている場合、第3移動方向は移動方向80と同一となる。前述した
図22は、固定カメラ10の撮影範囲と移動カメラ20の撮影範囲が重なっている場合を例示している。固定カメラ10の撮影範囲と移動カメラ20の撮影範囲が重なっていない場合についての処理については後述する。
【0100】
撮影方向推定部2140は、移動カメラ20撮影方向の複数の候補(以下、候補撮影方向)の中から、推定結果とする移動カメラ20の撮影方向を決定する。まず撮影方向推定部2140は、各候補撮影方向について、移動カメラ20の位置からその候補撮影方向を見た場合に見える、移動カメラ20に写っている群衆の移動方向(以下、候補移動方向)を算出する。
【0101】
図22において、候補撮影方向92は、北、北東、東、南東、南、南西、西、及び北西の8方向である。候補移動方向94-1から3はそれぞれ、移動カメラ20の位置から候補撮影方向92-1、92-2、及び92-3を見た場合における候補移動方向である。なお本例では、移動カメラ20の位置から上記3つ以外の候補撮影方向を見ても群衆がほとんど又は全く見えないため、上記3つ以外の候補撮影方向については省略している。
【0102】
撮影方向推定部2140は、各候補移動方向と第2移動方向とのマッチングを行う。
図22では、第2移動方向は第2移動方向95である。具体的には、撮影方向推定部2140は、第2移動方向95との一致度合いが最も高い候補移動方向94に対応する候補撮影方向92が、移動カメラ20の撮影方向であると推定する。
図22では、第2移動方向95との一致度合いが最も高い候補移動方向94は、候補移動方向94-2である。よって、撮影方向推定部2140は、候補移動方向94-2に対応する候補撮影方向92-2が移動カメラ20の撮影方向であると推定する。
【0103】
なお、候補の撮影方向は上述の8方位に限定されない。例えば候補の撮影方向は、北、東、南、及び西の4方位でもよい。また、候補撮影方向は、東西南北のような一般名称が定められた方向に限定されない。例えば撮影方向推定部2140は、移動カメラ20の付近にある歩道の方向などを基準として、候補撮影方向を決定する。
図23は、歩道の方向を基準として候補撮影方向を決定する方法を説明するための図である。
図23において、移動カメラ20は歩道110の近くに位置している。そのため、歩道110を移動する群衆を監視する監視員等は、歩道110の方向の法線方向である方向120を正面方向として監視を行うと考えられる。
【0104】
そこで例えば、撮影方向推定部2140は、歩道110の方向の法線方向である方向120を基準として、各候補撮影方向を決定する。例えば撮影方向推定部2140は、方向120、方向120を+90度回転した方向121、方向120を+180度回転した方向122、及び方向120を+270度回転した方向123という4つの方向を、候補撮影方向とする。
【0105】
なお、監視対象にある歩道などを基準に候補撮影方向を決定する場合、撮影方向推定部2140は、前述した地図情報取得部2080を有し、地図情報取得部2080によって取得した地図情報を利用する。
【0106】
<<固定カメラ10と移動カメラ20の撮影範囲が重ならない場合について>>
前述したように、撮影方向推定部2140は、移動方向80を用いて、移動カメラ20に写るオブジェクトの平面70上における移動方向(第3移動方向)を算出する。前述の例では、固定カメラ10の撮影範囲と移動カメラ20の撮影範囲が重なっている場合を前提としていた。以下では、固定カメラ10の撮影範囲と移動カメラ20の撮影範囲が重なっていない場合について説明する。
【0107】
固定カメラ10と移動カメラ20の撮影範囲が重ならない場合、第1監視画像12に写っている群衆の平面70上の移動方向と、第2監視画像22に写っている群衆の平面70上の移動方向とが同一になるとは限らない。
図24は、固定カメラ10と移動カメラ20の撮影範囲が重ならないケースを例示する図である。
図24において、第1移動方向を平面70上にマッピングした方向は移動方向80-1である。これに対し、移動カメラ20に写っている群衆の平面70上の移動方向は、移動方向80-1と同一の方向である移動方向80-2とは限らず、移動方向80-3などであることも考えられる。
【0108】
そこで例えば、撮影方向推定部2140は、監視対象の場所の地図情報を取得し、その地図情報に基づいて移動カメラ20に写っている群衆の平面70上の移動方向を算出する。具体的には、撮影方向推定部2140は、第1監視画像12に写っている群衆の平面70上の移動方向を、地図において群衆が移動すると考えられる経路(例えば歩道など)に沿って移動カメラ20の付近へ移動させた場合における移動方向を、移動カメラ20に写っている群衆の平面70上の移動方向とする。
【0109】
図25は、地図情報を用いて群衆の平面70上の移動方向を推定する方法を説明するための図である。本例において、オブジェクトは人である。また
図25において、歩道110は人が歩く歩道である。この場合、第1監視画像12に写っている群衆の平面70上の移動方向である移動方向80-1を歩道110に沿って移動させると、移動カメラ20の付近における群衆の平面70上の移動方向は移動方向80-3となる。そこで、撮影方向推定部2140は移動方向80-3を第3移動方向とする。さらに具体的には、撮影方向推定部2140は、歩道の中心を通る線と移動カメラ20の位置との距離が最短となる点までその線に沿って移動方向80-1を移動させたベクトルを、第3移動方向とする。
【0110】
ただし、地図情報から把握できる群衆の移動経路が複数ある場合、いずれの移動経路を群衆が移動するか分からない場合がある。
図26は、群衆の移動経路が複数あるケースを例示する図である。
図26において、歩道110が分岐しているため、群衆は移動方向80-2と移動方向80-3のどちらの方向にも移動しうる。
【0111】
このような場合、撮影方向推定部2140は、群衆の移動経路に関する移動経路情報を取得する。そのために、監視情報生成装置2000は移動経路情報取得部2160を有する。
図27は、移動経路情報取得部2160を有する監視情報生成装置2000を例示するブロック図である。
【0112】
移動経路情報は、群衆がどちらの方向に移動するかを示す。例えばイベント会場でイベントが行われる場合、イベント会場の最寄り駅からイベント会場へ向けて群衆が移動すると考えられる。またこのように監視が必要なイベントなどが行われる場合、事故を防ぐため、予め定められた経路に沿って群衆がイベント会場へ向かうように群衆誘導が行われることが一般的である。そこで移動経路情報は、このように予め定められた群衆の移動経路示す。
【0113】
図28は、移動経路情報を利用して群衆の移動方向を推定する処理を例示する図である。
図28において取得する移動経路情報は、地図及びその地図上における移動経路を示す情報である。この移動経路情報が示す地図においても、
図26と同様に歩道110が分岐している。ここで、撮影方向推定部2140が取得した移動経路情報には、経路111が示されている。そこで撮影方向推定部2140は、移動方向80-1を経路111に沿って移動させた移動方向80-2を、第3移動方向とする。
【0114】
なお、特定の場所についての移動経路情報は複数あってもよい。例えば上述のイベント会場の例の場合、イベントの開始前は最寄り駅からイベント会場へ群衆が移動し、イベントの終了後はイベント会場から最寄り駅へ群衆が移動する。そこで例えば、移動経路情報取得部2160は、「群衆の移動経路、その移動が生じる時間帯」という組み合わせを移動経路情報として取得する。ここで移動経路情報は、移動経路情報取得部2160からアクセス可能な記憶装置などに予め記憶されているものとする。
【0115】
なお、移動経路情報を利用する場合、撮影方向推定部2140は、撮影方向の推定に第1監視画像12を用いなくてもよい。この場合、撮影方向推定部2140は、移動経路情報に示される群衆の移動経路から、第2監視画像22に写っている群衆の平面70上の移動方向を推定する。例えば
図28では、撮影方向推定部2140は、移動方向80-1を利用せず、経路111に基づいて、第2監視画像22に写っている群衆の平面70上の移動方向が移動方向80-3であると推定してもよい。
【0116】
<<候補撮影方向の絞り込み>>
また撮影方向推定部2140は、候補撮影方向に対応する候補移動方向を算出して第2移動方向とのマッチングを行う前に、候補撮影方向の絞り込みを行ってもよい。これにより上記マッチングの回数を減らすことができるため、撮影方向推定部2140の処理の計算量を削減することができるという効果がある。以下、候補撮影方向を絞り込む方法をいくつか例示する。
【0117】
<<<電子コンパスを利用して絞り込む方法>>>
撮影方向推定部2140は、電子コンパスを用いて候補撮影方向の絞り込みを行う。具体的には、撮影方向推定部2140は、候補撮影方向から、電子コンパスが示す方向との角度の差異が大きい方向を除外する。
【0118】
図29は、電子コンパスを用いて候補撮影方向を絞り込む方法を説明するための図である。
図29において、候補撮影方向は北や北西などの8方位である。また、電子コンパスは北西を示している。この場合、電子コンパスの精度の不足により、実際の移動カメラ20の撮影方向は北や西である可能性は高い。一方で、電子コンパスが示す方向の真逆である南東などが移動カメラ20の撮影方向である可能性は低いといえる。
【0119】
そこで撮影方向推定部2140は、候補撮影方向から、電子コンパスが示す方向との角度の差異が大きい南東などを除外する。ここで、候補撮影方向から除外する方向の数を表す所定の数を予め定めておくとする。例えば上記所定の数が3であれば、撮影方向推定部2140は南東、南、及び東を候補撮影方向から除外する。また、上記所定の数が5であれば、撮影方向推定部2140は南東、南、東、南西、及び北東を候補撮影方向から除外する。
図29では、南東、南、及び東が候補撮影方向から除外されている。
【0120】
<<<第2監視画像22に写っている背景を利用して絞り込む方法>>>
撮影方向推定部2140は第2監視画像22に写っている背景に基づいて候補撮影方向の絞り込みを行う。例えば撮影方向推定部2140は、第2監視画像22に写っている背景が移動カメラ20の画角に入らないと予測される候補撮影方向を除外する。
【0121】
図30は、第2監視画像22に写っている背景に基づいて候補撮影方向を絞り込む方法を説明するための図である。
図30は監視対象の周辺の地図を示している。ここで、第2監視画像22にはビル160が写っているとする。この場合、例えば移動カメラ20の撮影方向が南東である場合、第2監視画像22にはビル160が写らない。一方で、移動カメラ20の撮影方向が北西であれば、第2監視画像22にはビル160が写ると考えられる。
【0122】
そこで撮影方向推定部2140は、このように第2監視画像22に写っている背景から、監視対象の周辺の特徴的な建物や看板などを表す背景を抽出する。そして、撮影方向推定部2140は、抽出した背景の地図上の位置と移動カメラ20の位置との関係から、その抽出した背景が写る可能性が低い候補撮影方向を除外する。具体的には、撮影方向推定部2140は、移動カメラ20の位置を始点とし、抽出した背景の地図上の位置を終点とする方向との角度の差異が大きい候補撮影方向を除外する。例えば撮影方向推定部2140は、前述した電子コンパスを利用した候補撮影方向の除外と同様に、所定の数の候補撮影方向を除外する。
図30では、南東、南、及び東が候補撮影方向から除外されている。
【0123】
また例えば、撮影方向推定部2140は、上記抽出した背景の第2監視画像22における位置に基づいて、候補撮影方向を絞り込んでもよい。
図31は、第2監視画像22上における特定の背景の位置に基づいて候補撮影方向を絞り込む方法を説明するための図である。
図31(a)は第2監視画像22を示しており、
図31(b)は地図上における移動カメラ20とビル160の位置関係を示している。
図31(a)の第2監視画像22において、ビル160は、第2監視画像22の中心よりも右寄りに写っている。この場合、移動カメラ20の撮影方向は、移動カメラ20の位置とビル160の地図上の位置とを結んだ方向(方向170)よりも+方向に回転した方向になる。
【0124】
そこで撮影方向推定部2140は、移動カメラ20の位置とビル160の地図上の位置とを結んだ方向との成す角が -0 度以上 -180 度以下の範囲にある候補撮影方向を除外する。例えば
図31(b)の場合、候補撮影方向174は候補撮影方向から除外され、候補撮影方向172は候補撮影方向から除外されない。
【0125】
<<移動カメラ20の撮影方向の総合的な推定>>
撮影方向推定部2140は、所定期間に移動カメラ20の撮影方向を複数回推定し、それら複数の推定結果に基づいて、移動カメラ20の撮影方向を総合的に推定してもよい。例えば撮影方向推定部2140は、移動カメラ20の撮影方向の総合的な推定結果を毎秒算出するとする。また、固定カメラ10と移動カメラ20が1秒間に30フレームの頻度(30fps)で撮影を行うカメラであるとする。この場合、撮影方向推定部2140は、第1監視画像12と第2監視画像22とが生成される度に移動カメラ20の撮影方向を推定することで、移動カメラ20の撮影方向の推定を1秒間に30回行う。そして、この30回の推定結果に基づいて、総合的な推定結果を算出する。
【0126】
具体的には、撮影方向推定部2140は、所定期間に算出された複数の推定結果を統計処理して、移動カメラ20の撮影方向を推定する。例えば撮影方向推定部2140は、複数の推定結果の最頻値を移動カメラ20の撮影方向とする。例として、1秒間に30回行われた推定の結果の内訳が、「北:20回、北西:8回、北東:2回」であったとする。この場合、撮影方向推定部2140は、最も多く算出された北が、その1秒間における移動カメラ20の撮影方向であると推定する。
【0127】
また例えば、撮影方向推定部2140は、複数の推定結果の平均値を算出し、その平均値を移動カメラ20の撮影方向としてもよい。具体的には、撮影方向推定部2140は、複数回算出された移動カメラ20の推定方向それぞれを、東を +0度とする数値で表し、これらの数値の平均値を求め、この数値を移動カメラ20の撮影方向とする。
【0128】
なお撮影方向推定部2140は、所定期間に複数回行った推定の結果を用いて総合的な推定結果を算出する場合、複数の推定結果の内、信頼度が高い結果のみを用いて上記総合的な推定結果を算出してもよい。例えば撮影方向推定部2140は、1秒間に1回、移動カメラ20の撮影方向の総合的な推定結果を算出するとする。また、固定カメラ10と移動カメラ20が 30fps で撮影を行うカメラであるとする。
【0129】
この場合、撮影方向推定部2140は、第1監視画像12と第2監視画像22とが生成される度に移動カメラ20の撮影方向を推定することで、移動カメラ20の撮影方向の推定を1秒間に30回行う。次に撮影方向推定部2140は、1秒間における30回の推定結果を時系列で連続する10回ごとのグループに分ける。そして撮影方向推定部2140は、3つのグループのうち、信頼度が高いグループを用いて、その1秒間における移動カメラ20の撮影方向の総合的な推定結果を算出する。
【0130】
上述したグループの信頼度は、例えばそのグループ内の推定結果の分散の大きさに基づいて定まる。推定結果の分散が大きい場合、推定された移動カメラ20の撮影方向が大きくばらついているため、推定結果の信頼度が低いと考えられる。一方、推定結果の分散が小さい場合、推定された移動カメラ20の撮影方向のばらつきが小さいため、推定結果の信頼度が高いと考えられる。そこで例えば、撮影方向推定部2140は、各推定結果を、東を +0 度とした数値で表すことで、グループ内の推定結果の分散を算出する。そして、撮影方向推定部2140は、算出した分散が所定値以下であるグループに含まれる推定結果のみを用いて、総合的な推定結果を算出する。
【0131】
<<<群衆の流れの変化の利用>>>
場所によっては、群衆の流れが定期的又は不定期に変化することがある。例えば交差点付近では、信号の切り替わりによって、群衆の流れが変化する。
図32は、交差点付近で群衆の流れが変化する例を示す図である。
図32では、交差点を鉛直方向に平面視した様子が示されている。ある時点において、横断歩道130の信号131が青になっており、横断歩道140の信号141が赤になっているとする。この場合、群衆は横断歩道130を渡るため、例えば方向132へ流れる。その後、信号131が赤になり、信号141が青になったとする。この場合、群衆は横断歩道140を渡るため、例えば方向142へ流れる。
【0132】
このように群衆の流れが変化する場合、撮影方向推定部2140は、変化の前後それぞれについて移動カメラ20の撮影方向を推定し、その結果から総合的に移動カメラ20の撮影方向を推定してもよい。具体的には、撮影方向推定部2140は、群衆の流れの変化の前後において撮影された第1監視画像12と第2監視画像22を用いて、群衆の流れの前後それぞれについて移動カメラ20の撮影方向を推定する。そして、撮影方向推定部2140は、推定した撮影方向を統計処理することにより、最終的な推定結果を算出する。
【0133】
例えば、
図32の例において、群衆が方向132に流れている場合に撮影方向推定部2140が移動カメラ20の撮影方向を推定すると、第2移動方向との一致度合いが高い候補移動方向が北と北西であったとする。次に、群衆が方向142に流れている場合に撮影方向推定部2140が移動カメラ20の撮影方向を推定すると、第2移動方向との一致度合いが高い候補移動方向が北と北東であったとする。この場合、撮影方向推定部2140は、群衆が方向132に流れている場合と方向142に流れている場合の双方で第2移動方向との一致度合いが高かった(最頻値である)北が、移動カメラ20の撮影方向であると推定する。
【0134】
<<移動カメラ20の撮影方向の変化への追従>>
移動カメラ20の撮影方向は変化しうる。そのため撮影方向推定部2140は、繰り返し移動カメラ20の撮影方向を推定することが好ましい。例えば撮影方向推定部2140は、1秒間に1回や10秒間に1回などの頻度で繰り返し移動カメラ20の撮影方向の推定を行う。
【0135】
ただし、撮影方向推定部2140は、一度前述した方法で移動カメラ20の撮影方向を推定した後は、その後の移動カメラ20の撮影方向の変化に基づいて、その後の移動カメラ20の撮影方向を推定することができる。具体的には、撮影方向推定部2140は、移動カメラ20の撮影方向の変化を算出し、算出した変化とその変化前に推定された移動カメラ20の撮影方向とから、変化後の移動カメラ20の撮影方向を推定できる。例えば、時点 t において撮影方向推定部2140が、移動カメラ20の撮影方向は北であると推定したとする。次に t1 秒後、撮影方向推定部2140は、移動カメラ20の撮影方向が +45 度変化したと算出したとする。この場合、撮影方向推定部2140は、時点 t+t1 における移動カメラ20の撮影方向は北西であると推定する。
【0136】
そこで撮影方向推定部2140は、繰り返し行う移動カメラ20の撮影方向の推定処理のうちの一部を、移動カメラ20の撮影方向の変化に基づいて移動カメラ20の撮影方向を推定する処理としてもよい。以下、第1移動方向及び第2移動方向を用いて移動カメラ20の撮影方向を推定する処理を第1推定処理と表記し、移動カメラ20の撮影方向の変化を算出することで移動カメラ20の撮影方向を推定する処理を第2推定処理と表記する。
【0137】
図33は撮影方向推定部2140が行う移動カメラ20の撮影方向の推定処理の内訳を時系列で例示する図である。
図33の例において撮影方向推定部2140は1秒間に1回の頻度で移動カメラ20の撮影方向を推定する。ここで撮影方向推定部2140は、「第1推定処理を1回行った後は、第2推定処理を9回行う」という処理を繰り返す。よって、第1推定処理が行われる頻度は10秒間に1回となる。
【0138】
なお、前述したように、撮影方向推定部2140は、移動カメラ20の撮影方向の推定を複数回行い、その複数回の推定結果に基づいて総合的に移動カメラ20の撮影方向を推定する場合もある。この場合、
図33では、この総合的な移動カメラ20の撮影方向の推定を行う処理が、一回の第1推定処理として表される。
【0139】
移動カメラ20の撮影方向の変化を算出する方法は様々である。例えば移動カメラ20の撮影方向の変化は、移動カメラ20に取り付けられた加速度センサを用いて算出することができる。移動カメラ20に取り付けられた加速度センサを用いると、加速度センサの出力の変化から、移動カメラ20の姿勢の相対的な変化を算出することができる。そこで例えば、撮影方向推定部2140は、時点 t における移動カメラ20の撮影方向を推定した時における加速度センサの出力と、時点 t+t1 における加速度センサの出力との差異から、時点 t+t1 における移動カメラ20の撮影方向の変化を算出する。
【0140】
また例えば、移動カメラ20の撮影方向の変化は、第2監視画像22に写っている特徴点の変化の追跡によって算出することができる。
図34は、第2監視画像22の特徴点の位置の変化を例示する図である。ここで、ある時点 t において位置150-1に写っていた特徴点が、時点 t+t1 において位置150-2へ移動したとする。ここで、移動した水平方向の距離は x である。まず、特徴点が右方向に移動していることから、移動カメラ20の撮影方向が + 方向に変化したことが分かる。さらに、特徴点が移動した水平方向の距離 x と、移動カメラ20の画角とに基づいて、移動カメラ20の撮影方向の変化の大きさが分かる。よって、撮影方向推定部2140は、移動カメラ20の撮影方向が変化した方向及びその変化の大きさから、移動カメラ20の撮影方向の変化を算出することができる。
【0141】
第2推定処理(移動カメラ20の撮影方向の変化を利用して移動カメラ20の撮影方向を推定する処理)の計算量は、第1推定処理(第1移動方向や第2移動方向の算出などを行って移動カメラ20の撮影方向を推定する処理)の計算量よりも小さい。よって、繰り返し移動カメラ20の撮影方向を算出する場合、第1推定処理と第2推定処理とを併用することで、監視情報生成装置2000の処理負荷を軽減することができるという効果がある。
【0142】
<監視画像の傾きの補正について>
第1移動方向推定部2100、第2移動方向推定部2120、及び撮影方向推定部2140は、第1監視画像12や第2監視画像22の垂直方向の傾きを補正してから上述した処理を行うことが好ましい。例えば各画像の垂直方向の傾きの補正は、画像に写っている建物等の線の傾きに基づいて行うことができる。例えば第1監視画像12にビルが写っている場合、第1移動方向推定部2100等は、第1監視画像12に写っているビルの高さ方向の線を抽出し、その線が第1監視画像12の水平方向と直角となるように補正することで、第1監視画像12の垂直方向の傾きを補正する。
【0143】
また、第1監視画像12の垂直方向の傾きの補正は、固定カメラ10の垂直方向の傾きを表すカメラパラメータを用いて行ってもよい。また、第2監視画像22の垂直方向の傾きの補正は、移動カメラ20に取り付けられた加速度センサから算出できる移動カメラ20の垂直方向の傾きを用いて行ってもよい。
【0144】
<監視情報生成装置2000のハードウエア構成例>
実施形態2の監視情報生成装置2000は、実施形態1と同様に計算機1000を用いて実現される(
図4参照)。本実施形態において、前述したストレージ1080に記憶される各プログラムモジュールには、本実施形態で説明した各機能を実現するプログラムがさらに含まれる。
【0145】
<変形例>
移動カメラ20の撮影方向を推定する装置は、監視情報生成装置2000とは別途設けられてもよい。この装置を撮影方向推定装置3000と表記する。
図35は、撮影方向推定装置3000を例示するブロック図である。
図35において、各ブロックはハードウエア単位の構成ではなく、機能単位の構成を示す。
【0146】
撮影方向推定装置3000は、第1監視画像取得部2020、第2監視画像取得部2040、第1移動方向推定部2100、第2移動方向推定部2120、及び撮影方向推定部2140を有する。各機能構成部の機能は、前述した通りである。
【0147】
撮影方向推定装置3000のハードウエア構成は、監視情報生成装置2000と同様に、例えば
図4で表される。なお撮影方向推定装置3000を実現する計算機が有するストレージには、
図35に示す各機能構成部の機能を実現するためのプログラムモジュールが格納されている。
【0148】
なお、監視情報生成装置2000から独立して撮影方向推定装置3000が設けられている場合、監視情報生成装置2000の生成部2060は、撮影方向推定装置3000から移動カメラ20の撮影方向を取得して利用する。
【0149】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0150】
以下、参考形態の例を付記する。
1. 位置が固定されたカメラである固定カメラによって撮影された第1の監視画像を取得する第1取得手段と、
位置が固定されていないカメラである移動カメラによって撮影された第2の監視画像を取得する第2取得手段と、
前記第1の監視画像及び前記第2の監視画像を用いて、オブジェクトの監視情報を生成する生成手段と、を有する監視情報生成装置。
2. 前記生成手段は、前記監視情報として、前記第1の監視画像に対して前記第2の監視画像を重畳した表示を生成する、1.に記載の監視情報生成装置。
3. 前記生成手段は、前記移動カメラの実世界上の位置に対応する前記第1の監視画像上の位置に前記第2の監視画像を重畳する、2.に記載の監視情報生成装置。
4. 前記生成手段は、
前記第1の監視画像上に前記移動カメラを表すマークを表示し、
前記マークを選択する操作が行われた場合に、前記監視情報として、そのマークに対応する移動カメラによって生成された前記第2の監視画像を前記第1の監視画像上に重畳した表示を生成する、2.又は3.に記載の監視情報生成装置。
5. 前記生成手段は、
前記第1の監視画像に写っているオブジェクトの分布を表す分布情報を生成し、
前記第2の監視画像に写っているオブジェクトの数を算出し、
前記第2の監視画像に写っているオブジェクトの数を用いて前記分布情報を補正し、前記補正した分布情報を前記監視情報として生成する、1.に記載の監視情報生成装置。
6. 前記生成手段は、前記第1の監視画像に前記補正された分布情報を重畳した表示を生成する、5.に記載の監視情報生成装置。
7. 監視対象の場所の地図情報を取得する地図情報取得手段を有し、
前記生成手段は、前記地図情報によって表される地図上に前記補正された分布情報を重畳した表示を生成する、5.に記載の監視情報生成装置。
8. 前記生成手段は、
前記移動カメラの撮影方向を用いて、前記第1の監視画像内における前記移動カメラの撮影範囲を算出し、
前記分布情報によって示される前記移動カメラの撮影範囲内における前記オブジェクトの数又は分布を、前記第2の監視画像に写っているオブジェクトの数を用いて補正する、5.乃至7.いずれか一つに記載の監視情報生成装置。
9. 前記生成手段は、前記第1の監視画像に対して前記移動カメラの撮影方向を表す表示を重畳する、1.乃至8.いずれか一つに記載の監視情報生成装置。
10. 前記第1の監視画像におけるオブジェクトの移動方向である第1の移動方向を推定する第1移動方向推定手段と、
前記第2の監視画像におけるオブジェクトの移動方向である第2の移動方向を推定する第2移動方向推定手段と、
前記第1の移動方向、前記第2の移動方向、前記固定カメラの位置及び姿勢、並びに前記移動カメラの位置に基づいて、前記移動カメラの撮影方向を推定する撮影方向推定手段と、を有し、
前記生成手段は、前記推定した移動カメラの撮影方向を、前記移動カメラの撮影方向として用いる、8.又は9.に記載の監視情報生成装置。
11. 前記撮影方向推定手段は、
前記固定カメラの位置及び姿勢並びに前記第1の移動方向を用いて、監視対象の場所を鉛直方向に平面視した平面上における、前記第2の監視画像に写っているオブジェクトの移動方向である第3の移動方向を算出し、
前記移動カメラの位置で複数の候補撮影方向それぞれから前記第3の移動方向へ移動するオブジェクトを見た際におけるそのオブジェクトの移動方向である、複数の候補移動方向を算出し、
前記第2の移動方向との一致度合いが最も高い前記候補移動方向が前記移動カメラの撮影方向であると推定する、10.に記載の監視情報生成装置。
12. 前記撮影方向推定手段は、前記固定カメラの位置及び姿勢並びに前記第1の移動方向を用いて、前記平面上における前記第1の監視画像に写っているオブジェクトの移動方向を算出し、前記算出した移動方向を前記第3の移動方向とする、11.に記載の監視情報生成装置。
13. オブジェクトの移動経路を示す移動経路情報を取得する移動経路情報取得手段を有し、
前記撮影方向推定手段は、
前記固定カメラの位置及び姿勢並びに前記第1の移動方向を用いて、前記平面上における前記第1の監視画像に写っているオブジェクトの移動方向を算出し、
前記算出した移動方向を前記移動経路情報に示される移動経路に沿って前記移動カメラの付近へ移動させた位置を前記第3の移動方向とする、11.に記載の監視情報生成装置。
14. 位置が固定されたカメラである固定カメラによって撮影された第1の監視画像におけるオブジェクトの移動方向である第1の移動方向を推定する第1移動方向推定手段と、
位置が固定されていないカメラである移動カメラによって撮影された第2の監視画像におけるオブジェクトの移動方向である第2の移動方向を推定する第2移動方向推定手段と、
前記第1の移動方向、前記第2の移動方向、前記固定カメラの位置及び姿勢、並びに前記移動カメラの位置に基づいて、前記移動カメラの撮影方向を推定する撮影方向推定手段と、を有する撮影方向推定装置。
15. 前記撮影方向推定手段は、
前記固定カメラの位置及び姿勢並びに前記第1の移動方向を用いて、監視対象の場所を鉛直方向に平面視した平面上における、前記第2の監視画像に写っているオブジェクトの移動方向である第3の移動方向を算出し、
前記移動カメラの位置で複数の候補撮影方向それぞれから前記第3の移動方向へ移動するオブジェクトを見た際におけるそのオブジェクトの移動方向である、複数の候補移動方向を算出し、
前記第2の移動方向との一致度合いが最も高い前記候補移動方向が前記移動カメラの撮影方向であると推定する、14.に記載の撮影方向推定装置。
16. 前記撮影方向推定手段は、前記固定カメラの位置及び姿勢並びに前記第1の移動方向を用いて、前記平面上における前記第1の監視画像に写っているオブジェクトの移動方向を算出し、前記算出した移動方向を前記第3の移動方向とする、15.に記載の撮影方向推定装置。
17. オブジェクトの移動経路を示す移動経路情報を取得する移動経路情報取得手段を有し、
前記撮影方向推定手段は、
前記固定カメラの位置及び姿勢並びに前記第1の移動方向を用いて、前記平面上における前記第1の監視画像に写っているオブジェクトの移動方向を算出し、
前記算出した移動方向を前記移動経路情報に示される移動経路に沿って前記移動カメラの付近へ移動させた位置を前記第3の移動方向とする、15.に記載の撮影方向推定装置。
18. コンピュータによって実行される監視情報生成方法であって、
位置が固定されたカメラである固定カメラによって撮影された第1の監視画像を取得する第1取得ステップと、
位置が固定されていないカメラである移動カメラによって撮影された第2の監視画像を取得する第2取得ステップと、
前記第1の監視画像及び前記第2の監視画像を用いて、オブジェクトの監視情報を生成する生成ステップと、を有する監視情報生成方法。
19. 前記生成ステップは、前記監視情報として、前記第1の監視画像に対して前記第2の監視画像を重畳した表示を生成する、18.に記載の監視情報生成方法。
20. 前記生成ステップは、前記移動カメラの実世界上の位置に対応する前記第1の監視画像上の位置に前記第2の監視画像を重畳する、19.に記載の監視情報生成方法。
21. 前記生成ステップは、
前記第1の監視画像上に前記移動カメラを表すマークを表示し、
前記マークを選択する操作が行われた場合に、前記監視情報として、そのマークに対応する移動カメラによって生成された前記第2の監視画像を前記第1の監視画像上に重畳した表示を生成する、19.又は20.に記載の監視情報生成方法。
22. 前記生成ステップは、
前記第1の監視画像に写っているオブジェクトの分布を表す分布情報を生成し、
前記第2の監視画像に写っているオブジェクトの数を算出し、
前記第2の監視画像に写っているオブジェクトの数を用いて前記分布情報を補正し、前記補正した分布情報を前記監視情報として生成する、18.に記載の監視情報生成方法。
23. 前記生成ステップは、前記第1の監視画像に前記補正された分布情報を重畳した表示を生成する、22.に記載の監視情報生成方法。
24. 監視対象の場所の地図情報を取得する地図情報取得ステップを有し、
前記生成ステップは、前記地図情報によって表される地図上に前記補正された分布情報を重畳した表示を生成する、22.に記載の監視情報生成方法。
25. 前記生成ステップは、
前記移動カメラの撮影方向を用いて、前記第1の監視画像内における前記移動カメラの撮影範囲を算出し、
前記分布情報によって示される前記移動カメラの撮影範囲内における前記オブジェクトの数又は分布を、前記第2の監視画像に写っているオブジェクトの数を用いて補正する、22.乃至24.いずれか一つに記載の監視情報生成方法。
26. 前記生成ステップは、前記第1の監視画像に対して前記移動カメラの撮影方向を表す表示を重畳する、18.乃至25.いずれか一つに記載の監視情報生成方法。
27. 前記第1の監視画像におけるオブジェクトの移動方向である第1の移動方向を推定する第1移動方向推定ステップと、
前記第2の監視画像におけるオブジェクトの移動方向である第2の移動方向を推定する第2移動方向推定ステップと、
前記第1の移動方向、前記第2の移動方向、前記固定カメラの位置及び姿勢、並びに前記移動カメラの位置に基づいて、前記移動カメラの撮影方向を推定する撮影方向推定ステップと、を有し、
前記生成ステップは、前記推定した移動カメラの撮影方向を、前記移動カメラの撮影方向として用いる、25.又は26.に記載の監視情報生成方法。
28. 前記撮影方向推定ステップは、
前記固定カメラの位置及び姿勢並びに前記第1の移動方向を用いて、監視対象の場所を鉛直方向に平面視した平面上における、前記第2の監視画像に写っているオブジェクトの移動方向である第3の移動方向を算出し、
前記移動カメラの位置で複数の候補撮影方向それぞれから前記第3の移動方向へ移動するオブジェクトを見た際におけるそのオブジェクトの移動方向である、複数の候補移動方向を算出し、
前記第2の移動方向との一致度合いが最も高い前記候補移動方向が前記移動カメラの撮影方向であると推定する、27.に記載の監視情報生成方法。
29. 前記撮影方向推定ステップは、前記固定カメラの位置及び姿勢並びに前記第1の移動方向を用いて、前記平面上における前記第1の監視画像に写っているオブジェクトの移動方向を算出し、前記算出した移動方向を前記第3の移動方向とする、28.に記載の監視情報生成方法。
30. オブジェクトの移動経路を示す移動経路情報を取得する移動経路情報取得ステップを有し、
前記撮影方向推定ステップは、
前記固定カメラの位置及び姿勢並びに前記第1の移動方向を用いて、前記平面上における前記第1の監視画像に写っているオブジェクトの移動方向を算出し、
前記算出した移動方向を前記移動経路情報に示される移動経路に沿って前記移動カメラの付近へ移動させた位置を前記第3の移動方向とする、28.に記載の監視情報生成方法。
31. コンピュータによって実行される撮影方向推定方法であって、
位置が固定されたカメラである固定カメラによって撮影された第1の監視画像におけるオブジェクトの移動方向である第1の移動方向を推定する第1移動方向推定ステップと、
位置が固定されていないカメラである移動カメラによって撮影された第2の監視画像におけるオブジェクトの移動方向である第2の移動方向を推定する第2移動方向推定ステップと、
前記第1の移動方向、前記第2の移動方向、前記固定カメラの位置及び姿勢、並びに前記移動カメラの位置に基づいて、前記移動カメラの撮影方向を推定する撮影方向推定ステップと、を有する撮影方向推定方法。
32. 前記撮影方向推定ステップは、
前記固定カメラの位置及び姿勢並びに前記第1の移動方向を用いて、監視対象の場所を鉛直方向に平面視した平面上における、前記第2の監視画像に写っているオブジェクトの移動方向である第3の移動方向を算出し、
前記移動カメラの位置で複数の候補撮影方向それぞれから前記第3の移動方向へ移動するオブジェクトを見た際におけるそのオブジェクトの移動方向である、複数の候補移動方向を算出し、
前記第2の移動方向との一致度合いが最も高い前記候補移動方向が前記移動カメラの撮影方向であると推定する、31.に記載の撮影方向推定方法。
33. 前記撮影方向推定ステップは、前記固定カメラの位置及び姿勢並びに前記第1の移動方向を用いて、前記平面上における前記第1の監視画像に写っているオブジェクトの移動方向を算出し、前記算出した移動方向を前記第3の移動方向とする、32.に記載の撮影方向推定方法。
34. オブジェクトの移動経路を示す移動経路情報を取得する移動経路情報取得ステップを有し、
前記撮影方向推定ステップは、
前記固定カメラの位置及び姿勢並びに前記第1の移動方向を用いて、前記平面上における前記第1の監視画像に写っているオブジェクトの移動方向を算出し、
前記算出した移動方向を前記移動経路情報に示される移動経路に沿って前記移動カメラの付近へ移動させた位置を前記第3の移動方向とする、32.に記載の撮影方向推定方法。
35. コンピュータに18.乃至34.いずれか一つに記載の各ステップを実行させるプログラム。
【0151】
この出願は、2015年9月1日に出願された日本出願特願2015-172082号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。