(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】歩行評価装置、歩行評価方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20240501BHJP
G01C 21/26 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
G08G1/16 C
G01C21/26 P
(21)【出願番号】P 2022550288
(86)(22)【出願日】2020-09-18
(86)【国際出願番号】 JP2020035447
(87)【国際公開番号】W WO2022059165
(87)【国際公開日】2022-03-24
【審査請求日】2023-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】久保田 七海
【審査官】北村 亮
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-506460(JP,A)
【文献】特開2017-049887(JP,A)
【文献】特開2005-340947(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G01C 21/00-21/36
G01C 23/00-25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
歩行移動中のユーザの現在位置を示す位置情報を取得する位置情報取得手段と、
位置毎の交通ルールを示す交通ルール情報を記憶する記憶手段から前記現在位置の周辺の前記交通ルールを示す前記交通ルール情報を取得する交通ルール情報取得手段と、
前記ユーザの行動内容を示す行動情報を取得する判断材料取得手段と、
前記行動情報に基づき、前記現在位置の周辺の前記交通ルールが守られているか否かを判断する判断手段と、
前記判断
の結果に基づき、前記ユーザによる歩行の仕方の評価値を算出する評価手段と、
を有
し、
前記位置情報取得手段は、
前記位置情報の時間変化に基づき算出される移動速度、前記ユーザが所持している携帯端末に備えられた加速度センサの測定結果、前記ユーザが所持している携帯端末に対する歩行移動開始/終了入力、及び路上に設置された監視カメラにより生成された画像の解析結果の中の少なくとも1つに基づき、前記ユーザが歩行移動中か否かを判断し、
歩行移動中と判断した前記ユーザの前記現在位置を示す前記位置情報を取得する歩行評価装置。
【請求項2】
歩行移動中のユーザの現在位置を示す位置情報を取得する位置情報取得手段と、
位置毎の交通ルールを示す交通ルール情報を記憶する記憶手段から前記現在位置の周辺の前記交通ルールを示す前記交通ルール情報を取得する交通ルール情報取得手段と、
前記ユーザの行動内容を示す行動情報を取得する判断材料取得手段と、
前記行動情報に基づき、前記現在位置の周辺の前記交通ルールが守られているか否かを判断する判断手段と、
前記判断
の結果に基づき、前記ユーザによる歩行の仕方の評価値を算出する評価手段と、
を有
し、
前記ユーザは、基地局から送信されるコンテンツを携帯端末で受信して視聴し、
前記評価手段は、前記コンテンツの視聴に応じて前記評価値を算出する歩行評価装置。
【請求項3】
基地局を介して前記ユーザの携帯端末にコンテンツを送信する手段と、
前記ユーザの状態に応じて、前記コンテンツの表示/非表示を制御する信号を前記携帯端末に送信する手段と、
を有する請求項1
又は2に記載の歩行評価装置。
【請求項4】
前記基地局から送信されるコンテンツの配信エリアは、信号機の表示変化に応じて変わる請求項
2又は
3に記載の歩行評価装置。
【請求項5】
前記行動情報は、前記ユーザが所持している携帯端末に備えられた加速度センサの測定結果、前記ユーザが所持している携帯端末に備えられたGPS(global positioning system)機能で取得された前記位置情報、前記ユーザが所持している携帯端末と基地局との通信履歴、及び路上に設置された監視カメラにより生成された画像の解析結果の中の少なくとも1つに基づき生成される請求項1
から4のいずれか1項に記載の歩行評価装置。
【請求項6】
前記行動情報は、前記ユーザが所持している携帯端末に対する操作の有無、及び操作内容の中の少なくとも1つを示す請求項1
から5のいずれか1項に記載の歩行評価装置。
【請求項7】
前記判断材料取得手段は、路上に設置された複数の信号機各々の各タイミングにおける表示内容を示す表示情報をさらに取得し、
前記判断手段は、前記表示情報にさらに基づき、前記現在位置の周辺の前記交通ルールが守られているか否かを判断する請求項1
から4のいずれか1項に記載の歩行評価装置。
【請求項8】
コンピュータが、
歩行移動中のユーザの現在位置を示す位置情報を取得し、
位置毎の交通ルールを示す交通ルール情報を記憶する記憶手段から前記現在位置の周辺の前記交通ルールを示す前記交通ルール情報を取得し、
前記ユーザの行動内容を示す行動情報を取得し、
前記行動情報に基づき、前記現在位置の周辺の前記交通ルールが守られているか否かを判断し、
前記判断
の結果に基づき、前記ユーザによる歩行の仕方の評価値を算出
し、
前記位置情報を取得する処理では、
前記位置情報の時間変化に基づき算出される移動速度、前記ユーザが所持している携帯端末に備えられた加速度センサの測定結果、前記ユーザが所持している携帯端末に対する歩行移動開始/終了入力、及び路上に設置された監視カメラにより生成された画像の解析結果の中の少なくとも1つに基づき、前記ユーザが歩行移動中か否かを判断し、
歩行移動中と判断した前記ユーザの前記現在位置を示す前記位置情報を取得する歩行評価方法。
【請求項9】
コンピュータが、
歩行移動中のユーザの現在位置を示す位置情報を取得し、
位置毎の交通ルールを示す交通ルール情報を記憶する記憶手段から前記現在位置の周辺の前記交通ルールを示す前記交通ルール情報を取得し、
前記ユーザの行動内容を示す行動情報を取得し、
前記行動情報に基づき、前記現在位置の周辺の前記交通ルールが守られているか否かを判断し、
前記判断
の結果に基づき、前記ユーザによる歩行の仕方の評価値を算出
し、
前記ユーザは、基地局から送信されるコンテンツを携帯端末で受信して視聴し、
前記評価値を算出する処理では、前記コンテンツの視聴に応じて前記評価値を算出する歩行評価方法。
【請求項10】
コンピュータを、
歩行移動中のユーザの現在位置を示す位置情報を取得する位置情報取得手段、
位置毎の交通ルールを示す交通ルール情報を記憶する記憶手段から前記現在位置の周辺の前記交通ルールを示す前記交通ルール情報を取得する交通ルール情報取得手段、
前記ユーザの行動内容を示す行動情報を取得する判断材料取得手段、
前記行動情報に基づき、前記現在位置の周辺の前記交通ルールが守られているか否かを判断する判断手段、
前記判断
の結果に基づき、前記ユーザによる歩行の仕方の評価値を算出する評価手段、
として機能させ
、
前記位置情報取得手段は、
前記位置情報の時間変化に基づき算出される移動速度、前記ユーザが所持している携帯端末に備えられた加速度センサの測定結果、前記ユーザが所持している携帯端末に対する歩行移動開始/終了入力、及び路上に設置された監視カメラにより生成された画像の解析結果の中の少なくとも1つに基づき、前記ユーザが歩行移動中か否かを判断し、
歩行移動中と判断した前記ユーザの前記現在位置を示す前記位置情報を取得するプログラム。
【請求項11】
コンピュータを、
歩行移動中のユーザの現在位置を示す位置情報を取得する位置情報取得手段、
位置毎の交通ルールを示す交通ルール情報を記憶する記憶手段から前記現在位置の周辺の前記交通ルールを示す前記交通ルール情報を取得する交通ルール情報取得手段、
前記ユーザの行動内容を示す行動情報を取得する判断材料取得手段、
前記行動情報に基づき、前記現在位置の周辺の前記交通ルールが守られているか否かを判断する判断手段、
前記判断
の結果に基づき、前記ユーザによる歩行の仕方の評価値を算出する評価手段、
として機能させ
、
前記ユーザは、基地局から送信されるコンテンツを携帯端末で受信して視聴し、
前記評価手段は、前記コンテンツの視聴に応じて前記評価値を算出するプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩行評価装置、歩行評価方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明に関連する技術が、特許文献1乃至3に開示されている。特許文献1は、ユーザによる自転車の運転の仕方を評価し、その結果に応じてポイントを付与する技術を開示している。特許文献2は、自動車の運転履歴情報に基づいて保険料を決定する技術を開示している。特許文献3は、歩行者あるいは自転車の運転者の交通違反者を検出すると、警告音を発する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-190006号公報
【文献】特開2002-259703号公報
【文献】特開2017-049887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、歩行者が自ら積極的に交通ルールを守って安全歩行するように導く技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、
歩行移動中のユーザの現在位置を示す位置情報を取得する位置情報取得手段と、
位置毎の交通ルールを示す交通ルール情報を記憶する記憶手段から前記現在位置の周辺の前記交通ルールを示す前記交通ルール情報を取得する交通ルール情報取得手段と、
前記ユーザの行動内容を示す行動情報を取得する判断材料取得手段と、
前記行動情報に基づき、前記現在位置の周辺の前記交通ルールが守られているか否かを判断する判断手段と、
前記判断結果に基づき、前記ユーザによる歩行の仕方の評価値を算出する評価手段と、
を有する歩行評価装置が提供される。
【0006】
また、本発明によれば、
コンピュータが、
歩行移動中のユーザの現在位置を示す位置情報を取得し、
位置毎の交通ルールを示す交通ルール情報を記憶する記憶手段から前記現在位置の周辺の前記交通ルールを示す前記交通ルール情報を取得し、
前記ユーザの行動内容を示す行動情報を取得し、
前記行動情報に基づき、前記現在位置の周辺の前記交通ルールが守られているか否かを判断し、
前記判断結果に基づき、前記ユーザによる歩行の仕方の評価値を算出する歩行評価方法が提供される。
【0007】
また、本発明によれば、
コンピュータを、
歩行移動中のユーザの現在位置を示す位置情報を取得する位置情報取得手段、
位置毎の交通ルールを示す交通ルール情報を記憶する記憶手段から前記現在位置の周辺の前記交通ルールを示す前記交通ルール情報を取得する交通ルール情報取得手段、
前記ユーザの行動内容を示す行動情報を取得する判断材料取得手段、
前記行動情報に基づき、前記現在位置の周辺の前記交通ルールが守られているか否かを判断する判断手段、
前記判断結果に基づき、前記ユーザによる歩行の仕方の評価値を算出する評価手段、
として機能させるプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、歩行者が自ら積極的に交通ルールを守って安全歩行するように導く技術が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態の歩行評価装置のハードウエア構成図の一例である。
【
図2】本実施形態の歩行評価装置の機能ブロック図の一例である。
【
図3】本実施形態の歩行評価装置が処理する情報の一例を模式的に示す図である。
【
図4】本実施形態の歩行評価装置が処理する情報の一例を模式的に示す図である。
【
図5】本実施形態の歩行評価装置が処理する情報の一例を模式的に示す図である。
【
図6】本実施形態の歩行評価装置が処理する情報の一例を模式的に示す図である。
【
図7】本実施形態の歩行評価装置の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図8】本実施形態の歩行評価装置の利用形態の一例を示す図である。
【
図9】本実施形態の歩行評価装置の利用形態の一例を示す図である。
【
図10】ビームフォーミングアンテナを備えた基地局を利用する実施形態の一例を示す図である。
【
図11】ビームフォーミングアンテナを備えた基地局を利用する実施形態の一例を示す図である。
【
図12】ビームフォーミングアンテナを備えた基地局を利用する実施形態の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0011】
<第1の実施形態>
「概要」
本実施形態の歩行評価装置は、歩行移動中のユーザの現在位置を示す位置情報を取得すると、現在位置の周辺の交通ルールを示す交通ルール情報を取得する。また、歩行評価装置は、ユーザの行動内容を示す行動情報を取得し、当該行動情報に基づき、現在位置の周辺の交通ルールが守られているか否かを判断する。そして、歩行評価装置は、判断結果に基づき、ユーザによる歩行の仕方の評価値を算出する。
【0012】
このような歩行評価装置によれば、歩行移動中のユーザが各位置で交通ルールを守っているか否かを適切に判断することができる。そして、その判断結果に基づき、ユーザによる歩行の仕方を適切に評価することができる。ユーザは、より良い評価結果を得るために、自ら積極的に交通ルールを守って安全歩行するようになる。
【0013】
「構成」
次に、歩行評価装置の構成を説明する。まず、歩行評価装置のハードウエア構成の一例を説明する。歩行評価装置の各機能部は、任意のコンピュータのCPU(Central Processing Unit)、メモリ、メモリにロードされるプログラム、そのプログラムを格納するハードディスク等の記憶ユニット(あらかじめ装置を出荷する段階から格納されているプログラムのほか、CD(Compact Disc)等の記憶媒体やインターネット上のサーバ等からダウンロードされたプログラムをも格納できる)、ネットワーク接続用インターフェイスを中心にハードウエアとソフトウエアの任意の組合せによって実現される。そして、その実現方法、装置にはいろいろな変形例があることは、当業者には理解されるところである。
【0014】
図1は、歩行評価装置のハードウエア構成を例示するブロック図である。
図1に示すように、歩行評価装置は、プロセッサ1A、メモリ2A、入出力インターフェイス3A、周辺回路4A、バス5Aを有する。周辺回路4Aには、様々なモジュールが含まれる。歩行評価装置は周辺回路4Aを有さなくてもよい。なお、歩行評価装置は物理的及び/又は論理的に分かれた複数の装置で構成されてもよいし、物理的及び/又は論理的に一体となった1つの装置で構成されてもよい。歩行評価装置が物理的及び/又は論理的に分かれた複数の装置で構成される場合、複数の装置各々が上記ハードウエア構成を備えることができる。
【0015】
バス5Aは、プロセッサ1A、メモリ2A、周辺回路4A及び入出力インターフェイス3Aが相互にデータを送受信するためのデータ伝送路である。プロセッサ1Aは、例えばCPU、GPU(Graphics Processing Unit)などの演算処理装置である。メモリ2Aは、例えばRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などのメモリである。入出力インターフェイス3Aは、入力装置、外部装置、外部サーバ、外部センサ、カメラ等から情報を取得するためのインターフェイスや、出力装置、外部装置、外部サーバ等に情報を出力するためのインターフェイスなどを含む。入力装置は、例えばキーボード、マウス、マイク、物理ボタン、タッチパネル等である。出力装置は、例えばディスプレイ、スピーカ、プリンター、メーラ等である。プロセッサ1Aは、各モジュールに指令を出し、それらの演算結果をもとに演算を行うことができる。
【0016】
次に、歩行評価装置の機能構成を説明する。
図2は、歩行評価装置10の機能ブロック図の一例を示す。図示するように、歩行評価装置10は、通信部11と、位置情報取得部12と、交通ルール情報取得部13と、判断材料取得部14と、判断部15と、評価部16と、記憶部17とを有する。
【0017】
通信部11は、有線及び/又は無線での通信で外部装置と通信し、各種情報を取得する。外部装置は、例えば、ユーザの携帯端末(スマートフォン、スマートウォッチ、携帯電話、タブレット端末等)や、路上に設置された設備(監視カメラ、信号機、基地局等)や、これら設備と通信してこれら設備が生成した情報を収集したりこれら設備の動作を制御したりするセンター装置等が例示されるが、これらに限定されない。取得する情報の詳細は、以下で明らかになる。
【0018】
なお、本明細書において、「取得」とは、ユーザ入力に基づき、又は、プログラムの指示に基づき、「自装置が他の装置や記憶媒体に格納されているデータを取りに行くこと(能動的な取得)」、たとえば、他の装置にリクエストまたは問い合わせして受信すること、他の装置や記憶媒体にアクセスして読み出すこと等、および、ユーザ入力に基づき、又は、プログラムの指示に基づき、「自装置に他の装置から出力されるデータを入力すること(受動的な取得)」、たとえば、配信(または、送信、プッシュ通知等)されるデータを受信すること、また、受信したデータまたは情報の中から選択して取得すること、及び、「データを編集(テキスト化、データの並び替え、一部データの抽出、ファイル形式の変更等)などして新たなデータを生成し、当該新たなデータを取得すること」の少なくともいずれか一方を含む。
【0019】
位置情報取得部12は、歩行移動中のユーザの現在位置を示す位置情報を、繰り返し(定期的に/不定期に)、歩行評価の目的で取得する。歩行評価の目的で取得された位置情報は、以下で説明する交通ルール情報取得部13による所定の交通ルール情報の取得のために利用される。
【0020】
「ユーザ」は、歩行評価装置10が提供する歩行評価サービスのユーザである。ユーザは、予め、自分の携帯端末へのアプリのインストールや会員登録等の必要な処理を実行して、歩行評価サービスのユーザになる。
【0021】
「歩行移動中」とは、自転車、自動車等の道具を利用せずに、ユーザが徒歩や駆け足等である位置から他の位置に向かって路上を移動している状態を意味する。ある位置から他の位置に移動している間に信号待ちや他の理由で停止している状態も、歩行移動中の概念に含まれる。
【0022】
以下、位置情報の取得手段の一例を説明する。
【0023】
-位置情報の取得手段の例1-
当該例では、ユーザの携帯端末が、現在位置を示す位置情報を取得する機能を備えている。当該機能は、GPS(global positioning system)を利用したものや、通信する基地局の識別情報(位置情報)を利用したもの等が例示されるが、これらに限定されない。そして、位置情報取得部12は、通信部11を介して各ユーザの携帯端末から、各ユーザの携帯端末が取得した位置情報を取得する。
【0024】
-位置情報の取得手段の例2-
当該例では、予め各ユーザの外観の特徴量(顔の特徴量等)が歩行評価装置10に登録されている。位置情報取得部12は、通信部11を介して外部装置から、路上に設置された複数の監視カメラが生成した画像(以下、「監視カメラ画像」)を取得する。次いで、位置情報取得部12は、監視カメラ画像に含まれる人物の外観の特徴量と、予め登録された各ユーザの外観の特徴量との照合により、監視カメラ画像に含まれるユーザを検出する。そして、位置情報取得部12は、ユーザが検出された監視カメラ画像が生成された時点で、その監視カメラ画像を生成した監視カメラの設置位置に、そのユーザが存在したと特定する。位置情報取得部12は、当該内容を示す位置情報を生成する。
【0025】
ところで、位置情報取得部12は、「歩行移動中」のユーザの現在位置を示す位置情報を、歩行評価の目的で繰り返し取得する。換言すれば、位置情報取得部12は、「歩行移動中」でないユーザの現在位置を示す位置情報は、歩行評価の目的で取得しない。位置情報取得部12は、当該処理を実現するため、ユーザが歩行移動中か否かを判断する手段を備えてもよい。そして、歩行移動中と判断した場合、歩行評価の目的での位置情報の取得を実行してもよい。
【0026】
位置情報取得部12は、位置情報の時間変化に基づき算出される移動速度、ユーザが所持している携帯端末に対する歩行移動開始/終了入力、及び路上に設置された監視カメラにより生成された監視カメラ画像の解析結果の中の少なくとも1つに基づき、当該判断を行うことができる。以下、当該手段の一例を説明する。
【0027】
-歩行移動中か否かの判断例1-
当該例では、位置情報取得部12は、以下の条件を満たす場合、ユーザは路上を歩行移動中であると判断する。
【0028】
条件1:ユーザの現在位置が路上にある。
条件2:ユーザの移動速度が、基準値以下である。
【0029】
条件1を満たすか否かの判断は、例えば、ユーザの携帯端末から上述した位置情報を取得し、位置情報で示される現在位置と、道路の位置を示す地図情報とを照合することで実現することができる。例えば、位置情報取得部12は、当該判断の目的で、定期的に上述した位置情報を取得してもよい。当該判断の目的での位置情報の取得と、歩行評価の目的での位置情報の取得は、位置情報の取得の時間間隔や取得手段等が互いに異なってもよい。
【0030】
条件2を満たすか否かの判断は、上述した位置情報の時間変化(現在位置の時間変化)に基づきユーザの移動速度を算出し、算出した移動速度と予め定められた基準値とを大小比較することで実現することができる。条件2により、歩行移動中と、自転車や自動車等の道具を利用した移動中とを区別することができる。
【0031】
-歩行移動中か否かの判断例2-
当該例では、位置情報取得部12は、上記条件1及び2に加えて、以下の条件を満たす場合、ユーザは路上を歩行移動中であると判断する。
【0032】
条件3:ユーザが所持している携帯端末に備えられた加速度センサの測定結果が所定条件を満たしている。
【0033】
加速度センサの測定結果を利用してユーザの歩数を算出する歩数計測機能が知られている。上記所定条件は、この歩数計測機能における歩数カウント条件を満たす状態が継続していることである(例:所定時間間隔で歩数がカウントされる状態が継続)。歩数カウント条件は、歩数としてカウントする(歩数を1増加させる)ための条件であり、例えば所定方向の加速度の値が基準値以上等である。条件3により、歩行移動中と、自転車や自動車等の道具を利用した移動中とを区別することができる。
【0034】
-歩行移動中か否かの判断例3-
当該例では、ユーザは、歩行移動開始時に、自身の携帯端末に歩行移動開始入力を行う。携帯端末は、その入力があった旨を歩行評価装置10に通知する。また、ユーザは、歩行移動終了時に、自身の携帯端末に歩行移動終了入力を行う。携帯端末は、その入力があった旨を歩行評価装置10に通知する。位置情報取得部12は、歩行移動開始入力があった時点から歩行移動終了入力があった時点までを、歩行移動中と判断する。
【0035】
―歩行移動中か否かの判断例4-
当該例では、位置情報取得部12は、路上に設置された監視カメラにより生成された監視カメラ画像の中から、路上に立っているユーザを検出した場合、歩行移動中と判断する。
【0036】
-歩行移動中か否かの判断例5-
当該例では、位置情報取得部12は、上記複数の判断例の中の少なくとも2つを組み合わせて、ユーザが歩行移動中か否かを判断する。例えば、歩行評価装置10は、複数の判断例の中の少なくとも1つにおいて歩行移動中と判断される場合、そのユーザは歩行移動中であると判断してもよい。
【0037】
なお、ここでは位置情報取得部12が、ユーザが歩行移動中か否かを判断する手段を備える例を説明した。変形例として、ユーザの携帯端末が、判断例1、2、3又は5に基づき、ユーザが歩行移動中か否かを判断してもよい。そして、ユーザの携帯端末が、その判断結果を歩行評価装置10に送信してもよい。また、ユーザの携帯端末は、ユーザが歩行移動中と判断している間のみ、歩行評価のために位置情報を歩行評価装置10に送信してもよい。
【0038】
交通ルール情報取得部13は、路上の位置毎の交通ルールを示す交通ルール情報を記憶する記憶部17からユーザの現在位置の周辺の交通ルールを示す交通ルール情報を取得する。「周辺」の定義は設計的事項であるが、例えば、交通ルール情報取得部13は、ユーザの現在位置から半径R以内のエリアにおける交通ルール情報を取得してもよい。半径Rは、予め定められた固定値である。
【0039】
図3及び
図4に、交通ルール情報の一例を模式的に示す。
図3の情報では、登録されている複数の交通ルールを互いに識別する交通ルール番号と、各々の交通ルールの内容とが互いに紐付けられている。交通ルールの内容は、「歩道を歩く」、「道路の右側を通行する」、「信号を守る(青信号の時に横断し、赤信号の時の横断は禁止)」、「横断歩道を渡る」、「スクランブル交差点を除いて斜め横断しない」、「横断歩道横断中を除き、自動車の直前直後の横断をしない」、「道路標識で示されている横断禁止場所を横断しない」、「交差点直前で一時停止する」、「信号機が青点滅している際に横断しない」、「携帯端末を操作しながら歩行移動しない」等であるが、これらに限定されない。
図4の情報では、路上の位置毎に、各位置で守る必要がある交通ルールの番号(交通ルール番号)号が登録されている。
【0040】
図2に戻り、判断材料取得部14は、歩行移動中のユーザの行動内容を示す行動情報を取得する。行動情報は、以下の第1及び第2の行動情報の中の少なくとも1つを含む。以下、詳細に説明する。
【0041】
-第1の行動情報-
第1の行動情報は、ある瞬間において停止しているか否か、ある瞬間において移動している否か、歩行位置、及び歩行軌跡の中の少なくとも1つを示す。このような第1の行動情報は、ユーザが所持している携帯端末に備えられた加速度センサの測定結果、ユーザが所持している携帯端末に備えられたGPS機能で取得された位置情報、ユーザが所持している携帯端末と基地局との通信履歴、及び路上に設置された監視カメラにより生成された画像の解析結果の中の少なくとも1つに基づき生成される。
【0042】
「ある瞬間において停止しているか否か」及び「ある瞬間において移動しているか否か」は、例えば、位置情報の履歴で示されるその瞬間の直近の所定時間あたりの現在位置の変化量に基づき特定してもよい。所定時間辺りの変化量が基準値未満である場合に停止していると判断し、所定時間辺りの変化量が基準値以上である場合に移動していると判断してもよい。位置情報は、上述の通り、携帯端末に備えられたGPS機能や、ユーザが所持している携帯端末と基地局との通信履歴や、路上に設置された監視カメラにより生成された画像の解析結果等に基づき生成される。
【0043】
「歩行位置」及び「歩行軌跡」は、位置情報やその時間変化に基づき特定される。
【0044】
-第2の行動情報-
第2の行動情報は、ユーザが所持している携帯端末に対する操作の有無、及び操作内容の中の少なくとも1つを示す。このような第2の行動情報は、ユーザが所持している携帯端末により生成される。
【0045】
携帯端末に対する操作は、歩行評価装置10が提供する歩行評価サービスに関係するアプリへの操作のみならず、その他の操作も含む。操作内容は、「所定のアカウントへのログイン操作」、「操作したアプリの識別情報」、「アプリ内で行った操作内容」等を示してもよい。
【0046】
なお、判断材料取得部14は、上述した行動情報に加えて、路上に設置された複数の信号機各々の各タイミングにおける表示内容(赤、青、青点滅等)を示す表示情報をさらに取得してもよい。判断材料取得部14は、例えば各信号機、又は複数の信号機の動作を制御するセンター装置から当該表示情報を取得してもよい。その他、判断材料取得部14は、信号機を含むように生成された監視カメラ画像を解析し、各タイミングにおける信号機の表示内容を認識することで、当該表示情報を生成してもよい。
【0047】
判断部15は、行動情報に基づき、現在位置の周辺の交通ルールが守られているか否かを判断する。判断部15は、行動情報に加えて、上記表示情報に基づき上記判断を行ってもよい。そして、判断部15は、ユーザ毎に、判断結果履歴を記憶部17に記憶させる。
図5に、判断結果履歴の一例を模式的に示す。図示する例では、日時と、その時のユーザの位置と、その位置で適用される交通ルールの番号と、その時の判断結果とが互いに紐付けて登録されている。
【0048】
図2に戻り、評価部16は、判断部15による判断結果に基づき、ユーザによる歩行の仕方の評価値を算出する。そして、
図6に示すように、各ユーザの評価値が記憶部17に記憶される。評価値は、図示するように数値(ポイント)で示されてもよいし、「優、良、普通、悪」の4段階の値で示されてもよいし、その他の基準で示されてもよい。
【0049】
評価部16による判断結果に基づき評価値を算出するアルゴリズムは様々であり、特段制限されない。例えば、交通ルールが守られたことに応じてポイントが加算されてもよい。そして、交通ルールが守られなかったことに応じてポイントが減算されてもよい。加算及び減算されるポイントの大きさは、交通ルールの内容に応じて異なってもよい。この場合、予め交通ルールの内容ごとに加算及び減算されるポイントが定められる。そして、評価部16は、そのルールに従い加算及び減算を実行する。
【0050】
さらに、「携帯端末を操作しながら歩行移動しない」が守られなかった場合に減算されるポイントの大きさは、操作内容に応じて異なってもよい。例えば通話アプリ、道案内アプリ、音楽視聴アプリ等のように携帯端末への操作や画面の閲覧が頻繁に生じないアプリに対する操作に応じて減算されるポイントは、メールアプリ、ウェブブラウザ、動画視聴アプリ等のように携帯端末への操作や画面の閲覧が頻繁に生じるアプリに対する操作に応じて減算されるポイントよりも小さくてもよい。この場合、予め、操作内容ごとに減算されるポイントが定められる。そして、評価部16は、そのルールに従い加算及び減算を実行する。
【0051】
次に、
図7のフローチャートを用いて、歩行評価装置10の処理の流れの一例を説明する。
【0052】
処理が開始されると、位置情報取得部12は、歩行移動中のユーザの現在位置を示す位置情報を取得する(S10)。次いで、交通ルール情報取得部13は、位置毎の交通ルールを示す交通ルール情報を記憶する記憶部17から、S10で取得された位置情報で示される現在位置の周辺の交通ルールを示す交通ルール情報を取得する(S11)。
【0053】
また、処理が開始されると、判断材料取得部14は、ユーザの行動内容を示す行動情報を取得する(S12)。判断材料取得部14は、その他、路上に設置された複数の信号機各々の各タイミングにおける表示内容を示す表示情報をさらに取得してもよい。
【0054】
その後、判断部15は、S12で取得された行動情報や表示情報に基づき、S11で取得された交通ルールが守られているか判断する(S13)。次いで、評価部16は、S13の判断結果に基づき、ユーザによる歩行の仕方の評価値を算出する(S14)。
【0055】
以降、歩行評価装置10は同様の処理を繰り返す。
【0056】
「作用効果」
本実施形態の歩行評価装置10は、歩行移動中のユーザの行動内容を示す行動情報を取得し、当該行動情報に基づき、交通ルールが守られているか否かを判断する。そして、歩行評価装置10は、判断結果に基づき、ユーザによる歩行の仕方の評価値を算出する。このような歩行評価装置10によれば、ユーザは、より良い評価結果を得るために、自ら積極的に交通ルールを守って安全歩行するようになる。
【0057】
また、歩行評価装置10は、ユーザの現在位置を把握し、その現在位置の周辺の交通ルールを示す交通ルール情報を取得することができる。このような歩行評価装置10によれば、各位置でユーザが守るべき交通ルールを精度よく把握することができる。
【0058】
<第2の実施形態>
本実施形態では、歩行評価装置10が算出した評価値に基づき、ユーザの保険料が決定される。
図8を用いて、処理の概念を説明する。ユーザは、歩行移動中の自身の位置情報や行動情報を含む歩行情報を、歩行評価装置10を管理する歩行評価業者に提供する。歩行評価装置10は、第1の実施形態で説明したように、それらの情報に基づきポイント(評価値)を算出し、ユーザに通知する。
【0059】
また、歩行評価業者は、各ユーザのポイントを保険会社に通知する。保険会社は、このポイント通知に対する対価として、情報料を歩行評価業者に支払う。そして、保険会社は、各ユーザのポイントに基づき各ユーザの保険料を算出する。保険は、歩行移動中の事故を補償範囲に含むものであってもよい。
【0060】
本実施形態では、評価部16は、評価値に基づき各ユーザに付与される特典を算出し、ユーザに通知する。すなわち、評価部16は、各ユーザの保険料を算出する。保険料の算出式は、予め保険会社から提供され、歩行評価装置10内に記憶されている。ユーザへの通知手段は、アプリや電子メールの利用が挙げられる。
【0061】
ここで、保険料の算出方法の具体例を説明する。なお、あくまで一例であり、これに限定されない。例えば、月の保険料の通常価格を1万円とした場合、上記ポイントに基づき割引されるサービスに加入すると、毎月20%引きの8000円からスタートする。そして、月末の時点でのポイントに応じて割引率が増減される。例えば、+10ポイント毎に割引率を1%増やし、-10ポイント毎に割引率を1%減らしてもよい。なお、割引率の増減に適用したポイントはその時点で失効する。
【0062】
例えば、月末時点で+53ポイント所持している場合、サービス加入による20%に5%が加えられ、25%の割引が受けられることになる。そして、月末時点で-27ポイント所持している場合、サービス加入による20%から2%が減らされ、18%の割引が受けられることになる。なお、端数は切り上げてもよいし、切り下げてもよいし、四捨五入してもよいし、そのまま残して次月に持ち越してもよい。
【0063】
歩行評価装置10のその他の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0064】
本実施形態の歩行評価装置10によれば、第1の実施形態と同様の作用効果が実現される。また、ポイントに応じた特典が付与されるので、ユーザは、より良い評価結果を得るために、自ら積極的に交通ルールを守ってより安全歩行するようになる。
【0065】
<第3の実施形態>
本実施形態では、歩行評価装置10が算出した評価値に応じて、EC(electronic commerce)サイトや実店舗での買い物において利用可能なショッピングポイントやクーポンがユーザに付与される。
図9を用いて、処理の概念を説明する。ユーザは、歩行移動中の自身の位置情報や行動情報を含む歩行情報を、歩行評価装置10を管理する歩行評価業者に提供する。歩行評価装置10は、第1の実施形態で説明したように、それらの情報に基づきポイント(評価値)を算出し、ユーザに通知する。
【0066】
また、歩行評価業者は、各ユーザのポイントを上述したショッピングポイントやクーポンを発行する事業者(以下、「当該事業者」)に通知する。当該事業者は、ECサイト運営会社や実店舗を運営する会社等が例示される。なお、
図9では、一例としてECサイト運営会社を示している。当該事業者は、このポイント通知に対する対価として、情報料を歩行評価業者に支払う。そして、当該事業者は、ユーザ毎に、ポイントに応じたショッピングポイントや付与するクーポン等を算出し、各ユーザに付与する。
【0067】
本実施形態では、評価部16は、評価値に基づき各ユーザに付与される特典を算出し、ユーザに通知する。すなわち、評価部16は、各ユーザに付与されるショッピングポイントやクーポンを算出する。ショッピングポイントや付与されるクーポンの算出式は、予め当該事業者から提供され、歩行評価装置10内に記憶されている。ユーザへの通知手段は、アプリや電子メールの利用が挙げられる。
【0068】
ここで、ショッピングポイントの算出方法の具体例を説明する。なお、あくまで一例であり、これに限定されない。例えば、上記ポイント(評価値)に基づきショッピングポイントを付与されるサービスに加入すると、月末の時点でのポイント(評価値)に応じたショッピングポイントが付与される。例えば、+20ポイント毎に100円分のショッピングポイントが付与される。なお、ショッピングポイントの付与に適用したポイント(評価値)はその時点で失効する。
【0069】
例えば、月末時点で+53ポイント所持している場合、200円分のショッピングポイントが付与される。そして、月末時点で-27ポイント所持している場合、ショッピングポイントは付与されない。なお、端数は切り上げてもよいし、切り下げてもよいし、四捨五入してもよいし、そのまま残して次月に持ち越してもよい。
【0070】
なお、ユーザがポイント(評価値)の利用方法を選択できるように構成されてもよい。歩行評価装置10は、複数のポイント利用方法をユーザに提示し、その中から選択を受付ける。複数のポイント利用方法は、第2の実施形態で説明した「保険料の割引の獲得」や、本実施形態で説明した「ECサイトでの買い物において利用可能なショッピングポイントの獲得」、「実店舗での買い物において利用可能なショッピングポイントの獲得」、「ECサイトでの買い物において利用可能なクーポンの獲得」、「実店舗での買い物において利用可能なクーポンの獲得」等である。また、ショッピングポイントやクーポンを発行する事業者(ECサイトや実店舗)をさらに選択できるように構成してもよい。
【0071】
歩行評価装置10は、ユーザにより選択された利用方法に関係する事業者のみにそのユーザのポイント(評価値)を通知し、第2の実施形態及び本実施形態で説明した処理を実行する。
【0072】
歩行評価装置10のその他の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0073】
本実施形態の歩行評価装置10によれば、第1の実施形態と同様の作用効果が実現される。また、ポイントに応じた特典が付与されるので、ユーザは、より良い評価結果を得るために、自ら積極的に交通ルールを守ってより安全歩行するようになる。
【0074】
<第4の実施形態>
本実施形態では、
図10及び
図11に示すように、信号機の設置位置にビームフォーミングアンテナを備えた基地局100(例:5G基地局)が設置される。そして、このビームフォーミングアンテナを使って、所定の放送エリア101が生成される。放送エリア101は、基地局100からの電波を受信できるエリア101である。この放送エリア101は、赤信号で信号待ちしている歩行者が位置すると想定されるエリアとなっている。
図10及び
図11に示すように、信号機の表示の変化に応じて、放送エリア101も切り替わる。
【0075】
本実施形態では、歩行評価装置10は、基地局100を介し、放送エリア101に向けてコンテンツを送信する。ユーザは、自身の携帯端末で当該コンテンツを受信し、視聴する。コンテンツは、ニュース、広告、クイズ、ショート動画等、信号待ちの間に楽しめる内容となっている。なお、コンテンツは信号機の表示と連動していてもよい。例えば、コンテンツは、残り信号待ち時間を示す情報を含んでもよい。また、信号機の表示が赤から青に切り替わる所定時間前に、クイズの答えが表示されてもよい。
【0076】
なお、ユーザが止まっていないとコンテンツが表示されない手段が設けられてもよい。例えば、基地局100から受信したコンテンツを携帯端末に表示するアプリ(携帯端末にインストールされているアプリ)が、ユーザの状態(停止/移動中)に応じてコンテンツの表示/非表示を制御する機能を備えてもよい。その他、歩行評価装置10がユーザの状態を検出し、その検出結果に応じて、コンテンツの表示/非表示を制御する信号をユーザの携帯端末に送信してもよい。例えば、ユーザは、自身の携帯端末にインストールした歩行評価サービスに関係するアプリを介してコンテンツを視聴してもよい。そして、歩行評価装置10は、当該アプリを介して、上記コンテンツの表示/非表示を制御する信号をユーザの携帯端末に送信してもよい。ユーザが止まっていることの検出は、第1の実施形態で説明したものを利用できる。
【0077】
また、この場合、歩行評価装置10は、信号機の表示が赤から青に切り替わるまでその放送エリア101に居続けてコンテンツを視聴し続けたことを検出し、それに応じてユーザにポイント(評価値)を加算する機能を備えてもよい。
【0078】
歩行評価装置10のその他の構成は、第1乃至第3の実施形態と同様である。
【0079】
本実施形態の歩行評価装置10によれば、第1乃至第3の実施形態と同様の作用効果が実現される。また、本実施形態の歩行評価装置10によれば、ユーザは、放送エリア101に居続けることでコンテンツを視聴することができる。ユーザは、コンテンツを楽しむために、自ら積極的に交通ルール(信号を守る)を守ってより安全歩行するようになる。
【0080】
<第5の実施形態>
本実施形態では、
図12に示すように、信号機の設置位置にビームフォーミングアンテナを備えた基地局100(例:5G基地局)が設置される。そして、このビームフォーミングアンテナを使って、横断歩道を渡ってよい良いタイミングで、この横断歩道に沿った通信エリア102が生成される。通信エリア102は、基地局100からの電波を受信できるエリアである。信号機の表示の変化に応じて、通信エリア102も切り替わる。
【0081】
本実施形態では、このような基地局100とユーザの携帯端末との通信履歴に基づき、ユーザが横断歩道を、信号機が青の時に渡ったことを検出する。そして、歩行評価装置10は、信号機が青の時に渡ったことを検出したことに応じて、そのユーザの評価値を上げる(例えば、ポイントを加算する。)
【0082】
歩行評価装置10のその他の構成は、第1乃至第4の実施形態と同様である。
【0083】
本実施形態の歩行評価装置10によれば、第1乃至第4の実施形態と同様の作用効果が実現される。また、本実施形態の歩行評価装置10によれば、特徴的な手法で、ユーザが横断歩道を、信号機が青の時に渡ったことを検出することができる。
【0084】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限定されない。
1. 歩行移動中のユーザの現在位置を示す位置情報を取得する位置情報取得手段と、
位置毎の交通ルールを示す交通ルール情報を記憶する記憶手段から前記現在位置の周辺の前記交通ルールを示す前記交通ルール情報を取得する交通ルール情報取得手段と、
前記ユーザの行動内容を示す行動情報を取得する判断材料取得手段と、
前記行動情報に基づき、前記現在位置の周辺の前記交通ルールが守られているか否かを判断する判断手段と、
前記判断結果に基づき、前記ユーザによる歩行の仕方の評価値を算出する評価手段と、
を有する歩行評価装置。
2. 前記行動情報は、ある瞬間において停止しているか否か、ある瞬間において移動している否か、歩行位置、及び歩行軌跡の中の少なくとも1つを示す1に記載の歩行評価装置。
3. 前記行動情報は、前記ユーザが所持している携帯端末に備えられた加速度センサの測定結果、前記ユーザが所持している携帯端末に備えられたGPS(global positioning system)機能で取得された前記位置情報、前記ユーザが所持している携帯端末と基地局との通信履歴、及び路上に設置された監視カメラにより生成された画像の解析結果の中の少なくとも1つに基づき生成される2に記載の歩行評価装置。
4. 前記行動情報は、前記ユーザが所持している携帯端末に対する操作の有無、及び操作内容の中の少なくとも1つを示す1から3のいずれかに記載の歩行評価装置。
5. 前記行動情報は、前記ユーザが所持している携帯端末により生成される4に記載の歩行評価装置。
6. 前記判断材料取得手段は、路上に設置された複数の信号機各々の各タイミングにおける表示内容を示す表示情報をさらに取得し、
前記判断手段は、前記表示情報にさらに基づき、記現在位置の周辺の前記交通ルールが守られているか否かを判断する1に記載の歩行評価装置。
7. 前記位置情報取得手段は、
前記位置情報の時間変化に基づき算出される移動速度、前記ユーザが所持している携帯端末に備えられた加速度センサの測定結果、前記ユーザが所持している携帯端末に対する歩行移動開始/終了入力、及び路上に設置された監視カメラにより生成された画像の解析結果の中の少なくとも1つに基づき、前記ユーザが歩行移動中か否かを判断し、
歩行移動中と判断した前記ユーザの前記現在位置を示す前記位置情報を取得する1から6のいずれかに記載の歩行評価装置。
8. 前記評価手段は、前記評価値に基づき前記ユーザに付与される特典を算出する1から7のいずれかに記載の歩行評価装置。
9. 前記ユーザは、基地局から送信されるコンテンツを携帯端末で受信して視聴し、
前記評価手段は、前記コンテンツの視聴に応じて前記評価値を算出する1から8のいずれかに記載の歩行評価装置。
10. 基地局を介して前記ユーザの携帯端末にコンテンツを送信する手段と、
前記ユーザの状態に応じて、前記コンテンツの表示/非表示を制御する信号を前記携帯端末に送信する手段と、
を有する1から9のいずれかに記載の歩行評価装置。
11. 前記基地局から送信されるコンテンツの配信エリアは、信号機の表示変化に応じて変わる9又は10に記載の歩行評価装置。
12. コンピュータが、
歩行移動中のユーザの現在位置を示す位置情報を取得し、
位置毎の交通ルールを示す交通ルール情報を記憶する記憶手段から前記現在位置の周辺の前記交通ルールを示す前記交通ルール情報を取得し、
前記ユーザの行動内容を示す行動情報を取得し、
前記行動情報に基づき、前記現在位置の周辺の前記交通ルールが守られているか否かを判断し、
前記判断結果に基づき、前記ユーザによる歩行の仕方の評価値を算出する歩行評価方法。
13. コンピュータを、
歩行移動中のユーザの現在位置を示す位置情報を取得する位置情報取得手段、
位置毎の交通ルールを示す交通ルール情報を記憶する記憶手段から前記現在位置の周辺の前記交通ルールを示す前記交通ルール情報を取得する交通ルール情報取得手段、
前記ユーザの行動内容を示す行動情報を取得する判断材料取得手段、
前記行動情報に基づき、前記現在位置の周辺の前記交通ルールが守られているか否かを判断する判断手段、
前記判断結果に基づき、前記ユーザによる歩行の仕方の評価値を算出する評価手段、
として機能させるプログラム。
【符号の説明】
【0085】
10 歩行評価装置
11 通信部
12 位置情報取得部
13 交通ルール情報取得部
14 判断材料取得部
15 判断部
16 評価部
17 記憶部
100 基地局
101 放送エリア
102 通信エリア
1A プロセッサ
2A メモリ
3A 入出力I/F
4A 周辺回路
5A バス