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特許7480870固定端末装置、制御方法、および制御プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】固定端末装置、制御方法、および制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 48/18 20090101AFI20240501BHJP
   H04W 4/33 20180101ALI20240501BHJP
   H04W 88/06 20090101ALI20240501BHJP
   H04W 12/06 20210101ALI20240501BHJP
   H04W 4/38 20180101ALI20240501BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
H04W48/18 115
H04W4/33
H04W88/06
H04W12/06
H04W4/38
H04M11/00 301
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022580821
(86)(22)【出願日】2022-03-10
(86)【国際出願番号】 JP2022010533
(87)【国際公開番号】W WO2023281822
(87)【国際公開日】2023-01-12
【審査請求日】2022-12-27
(31)【優先権主張番号】P 2021113981
(32)【優先日】2021-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】山口 武久
(72)【発明者】
【氏名】宮本 裕之
(72)【発明者】
【氏名】浅野 基広
【審査官】吉村 真治▲郎▼
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-171379(JP,A)
【文献】特開2021-087101(JP,A)
【文献】特開2021-034981(JP,A)
【文献】特開2021-040276(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
H04M 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の無線通信ネットワークと、前記第1の無線通信ネットワークと異なる第2の無線通信ネットワークの両方と通信可能な範囲で使用される固定端末装置であって、前記固定端末装置は、
センサーデバイスと、
前記第1の無線通信ネットワークと接続するための認証情報を読み出す第1読み出し部と、
前記第2の無線通信ネットワークと接続するための認証情報を読み出す第2読み出し部と、
前記センサーデバイスからのデータに基づく送信データを、前記第1の無線通信ネットワークおよび前記第2の無線通信ネットワークのいずれで送信するかを選択する選択部と、
前記選択部で選択された無線通信ネットワークを用いて前記送信データを送信する送信部と、
前記センサーデバイスからのデータを加工するデータ加工部と、
を備え、
前記第1の無線通信ネットワークは自営無線回線であり、前記第2の無線通信ネットワークは移動体通信事業者の無線回線、または公衆無線回線であり、
前記選択部は、前記センサーデバイスの検知対象の状態に応じて、前記送信データを送信する無線通信ネットワークを選択し、
前記データ加工部は、
前記選択部によって選択された無線通信ネットワークに応じて、前記センサーデバイスからのデータに対して、暗号化処理のデータ加工を行い、前記送信データを生成し、
前記データ加工部は、前記選択部が前記第2の無線通信ネットワークを選択した場合に前記暗号化処理のデータ加工を行い、
前記送信部は、前記認証情報を用いて認証された後に、認証された前記無線通信ネットワークを用いて前記送信データを送信する、固定端末装置。
【請求項2】
前記第1の無線通信ネットワーク、および前記第2の無線通信ネットワークは、同じ通信規格に準拠している、請求項1に記載の固定端末装置。
【請求項3】
前記第1の無線通信ネットワーク、および前記第2の無線通信ネットワークは、第5世代無線通信システムに対する規定を満足する無線通信ネットワークである、請求項1に記載の固定端末装置。
【請求項4】
前記第2の無線通信ネットワークを使用して送信される文字情報データの情報量は、前記第1の無線通信ネットワークを使用して送信される映像データの情報量よりも小さい、請求項に記載の固定端末装置。
【請求項5】
前記選択部によって選択された無線通信ネットワークに応じて、前記送信データの通知内容に映像、音声情報、または文字情報を設定する、請求項1からのいずれか一項に記載の固定端末装置。
【請求項6】
前記センサーデバイスの検知対象の異常を検出する異常検出部をさらに有し、
前記異常検出部が異常を検出した場合、前記選択部によって選択された無線通信ネットワークに応じたアラーム情報を生成して送信する、請求項1からのいずれか一項に記載の固定端末装置。
【請求項7】
前記センサーデバイスの検知対象の異常を検出する異常検出部をさらに有し、
前記選択部は、前記センサーデバイスの検知対象の状態が正常、または異常かに応じて、前記送信データを送信する無線通信ネットワークを選択する、請求項1に記載の固定端末装置。
【請求項8】
第1の無線通信ネットワークと、前記第1の無線通信ネットワークと異なる第2の無線通信ネットワークの両方と通信可能な範囲で使用される固定端末装置の制御方法であって、
センサーデバイスにより検知対象を検知する検知ステップと、
前記センサーデバイスからのデータに基づく送信データを、前記第1の無線通信ネットワーク、および前記第2の無線通信ネットワークのいずれで送信するかを選択する選択ステップと、
前記選択ステップにおいて選択された無線通信ネットワークと接続するための認証情報であって、前記第1の無線通信ネットワーク、または前記第2の無線通信ネットワークと接続するための認証情報を読み出す読み出しステップと、
前記選択ステップにおいて選択された無線通信ネットワークに応じて、前記センサーデバイスのからデータに対して、暗号化処理のデータ加工を行い、前記送信データを生成する加工ステップと、
前記選択ステップで選択された無線通信ネットワークを用いて前記送信データを送信する送信ステップと、を有し、
前記第1の無線通信ネットワークは自営無線回線であり、前記第2の無線通信ネットワークは移動体通信事業者の無線回線、または公衆無線回線であり、
前記選択ステップにおいて、前記センサーデバイスの検知対象の状態に応じて、前記送信データを送信する無線通信ネットワークを選択し、
前記加工ステップにおいて、前記選択ステップにおいて前記第2の無線通信ネットワークを選択した場合に前記暗号化処理のデータ加工を行い、
前記送信ステップにおいて、前記選択ステップで選択された前記無線通信ネットワークが前記認証情報を用いて認証された後に、認証された前記無線通信ネットワークを用いて、前記送信データを送信する、制御方法。
【請求項9】
請求項に記載の制御方法に含まれる処理をコンピューターに実行させるための制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定端末装置、制御方法、および制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネット上の音声、動画等のコンテンツに対する関心の高まりに伴い、無線通信ネットワークを通じて伝送されるデータ量が急増している。このような無線通信ネットワークにおけるデータ量の急増の背景には、無線通信システムに関する技術開発の進展がある。例えば、スマートフォンやタブレット等の携帯端末を使用したキャリア通信において、基地局の混雑状況や通信品質、あるいはコンテンツのデータ量に応じて、通信事業者を切り替える技術が知られている(例えば、下記特許文献1)。
【0003】
また、携帯端末は、移動を前提とした通信機器であり、ユーザーが一部の通信可能エリアに集中した場合、当該通信可能エリアのトラフィックが増加し、十分な通信速度が得られないことがありうる。このような場合に、通信環境(例えば、基地局の接続数)に基づいて、他の事業者へ接続を切り替える無線通信装置が知られている(例えば、下記特許文献2)。
【0004】
一方、例えば、1つの建物内や、敷地内等の限られた領域において、従来からプライベートネットワークを使用した無線通信が行われている。プライベートネットワークの無線通信は、通信可能エリアが狭い領域に限られるものの、伝送可能なデータ量が多く、十分な通信速度を得られやすい。また、キャリア通信と比べて、通信可能エリア内においては不正アクセスされ難いため、通信のセキュリティを高い状態に維持できる。そのため、プライベートネットワークの無線通信によって、企業において工場内の設備を監視するセンサー(例えば、監視カメラ)から、別の場所にいる管理者の表示装置に検知データ(例えば、映像や画像)を送信する場合等に使用できる。特に、第5世代無線通信システム(5G)方式では、これらの検知データを送信する場合に、高速大容量、超低遅延、多数同時接続といった特徴を活かすことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-165154号公報
【文献】特開2012-186791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、プライベートネットワークの無線通信では、通信先である、工場の管理者が外出や帰宅等によりプライベートネットワークの通信可能エリア外にいる場合、管理者に検知データを送信することが困難となる。また、プライベートネットワーク(ローカルネットワーク)の場合、その通信可能エリア内の通信先との無線通信に限定され、通信可能エリア外の通信先と無線通信するためには、プライベートネットワークを介して他のネットワークに接続する必要がある。このような場合、通信先と接続されるまでに複数のプロセスを経る必要があり、信頼性の低下につながるおそれがある。特に、5G方式を使用している場合には、超低遅延、高速のメリットを活かせない可能性もある。
【0007】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものである。したがって、本発明の目的は、通信先がプライベートネットワークの通信可能エリア外にある場合であっても検知データを送信できる固定端末装置、制御方法、および制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記課題は、以下の手段によって解決される。
【0009】
(1)第1の無線通信ネットワークと、前記第1の無線通信ネットワークと異なる第2の無線通信ネットワークの両方と通信可能な範囲で使用される固定端末装置であって、前記固定端末装置は、センサーデバイスと、前記第1の無線通信ネットワークと接続するための認証情報を読み出す第1読み出し部と、前記第2の無線通信ネットワークと接続するための認証情報を読み出す第2読み出し部と、前記センサーデバイスからのデータに基づく送信データを、前記第1の無線通信ネットワークおよび前記第2の無線通信ネットワークのいずれで送信するかを選択する選択部と、前記選択部で選択された無線通信ネットワークを用いて前記送信データを送信する送信部と、前記センサーデバイスからのデータを加工するデータ加工部と、を備え、前記第1の無線通信ネットワークは自営無線回線であり、前記第2の無線通信ネットワークは移動体通信事業者の無線回線、または公衆無線回線であり、前記選択部によって選択された無線通信ネットワークに応じて、前記センサーデバイスからのデータに対して、暗号化処理のデータ加工を行い、前記送信データを生成し、前記データ加工部は、前記選択部が前記第2の無線通信ネットワークを選択した場合に前記暗号化処理のデータ加工を行い、前記送信部は、前記認証情報を用いて認証された後に、認証された前記無線通信ネットワークを用いて前記送信データを送信する、固定端末装置。
【0011】
)前記第1の無線通信ネットワーク、および前記第2の無線通信ネットワークは、同じ通信規格に準拠している、上記(1)に記載の固定端末装置。
【0012】
)前記第1の無線通信ネットワーク、および前記第2の無線通信ネットワークは、第5世代無線通信システムに対する規定を満足する無線通信ネットワークである、上記(1)に記載の固定端末装置。
【0015】
)前記選択部は、時間情報を用いて、前記送信データを送信する無線通信ネットワークを選択する、(1)から(4)のいずれか一つに記載の固定端末装置。
【0017】
)前記第2の無線通信ネットワークを使用して送信される文字情報データの情報量は、前記第1の無線通信ネットワークを使用して送信される映像データの情報量よりも小さい、上記()に記載の固定端末装置。
【0020】
)前記選択部によって選択された無線通信ネットワークに応じて、前記送信データの通知内容に映像、音声情報、または文字情報を設定する、上記(1)から()のいずれか一つに記載の固定端末装置。
【0021】
)前記センサーデバイスの検知対象の異常を検出する異常検出部をさらに有し、前記異常検出部が異常を検出した場合、前記選択部によって選択された無線通信ネットワークに応じたアラーム情報を生成して送信する、上記(1)から()のいずれか一つに記載の固定端末装置。
【0022】
)前記センサーデバイスの検知対象の異常を検出する異常検出部をさらに有し、前記選択部は、前記センサーデバイスの検知対象の状態が正常、または異常かに応じて、前記送信データを送信する無線通信ネットワークを選択する、上記(1)に記載の固定端末装置。
【0023】
)第1の無線通信ネットワークと、前記第1の無線通信ネットワークと異なる第2の無線通信ネットワークの両方と通信可能な範囲で使用される固定端末装置の制御方法であって、センサーデバイスにより検知対象を検知する検知ステップと、前記センサーデバイスからのデータに基づく送信データを、前記第1の無線通信ネットワーク、および前記第2の無線通信ネットワークのいずれで送信するかを選択する選択ステップと、前記選択ステップにおいて選択された無線通信ネットワークと接続するための認証情報であって、前記第1の無線通信ネットワーク、または前記第2の無線通信ネットワークと接続するための認証情報を読み出す読み出しステップと、前記選択ステップにおいて選択された無線通信ネットワークに応じて、前記センサーデバイスのからデータに対して、暗号化処理のデータ加工を行い、前記送信データを生成する加工ステップと、前記選択ステップで選択された無線通信ネットワークを用いて前記送信データを送信する送信ステップと、を有し、前記第1の無線通信ネットワークは自営無線回線であり、前記第2の無線通信ネットワークは移動体通信事業者の無線回線、または公衆無線回線であり、前記選択ステップにおいて、前記センサーデバイスの検知対象の状態に応じて、前記送信データを送信する無線通信ネットワークを選択し、前記加工ステップにおいて、前記選択ステップにおいて前記第2の無線通信ネットワークを選択した場合に前記暗号化処理のデータ加工を行い、前記送信ステップにおいて、前記選択ステップで選択された前記無線通信ネットワークが前記認証情報を用いて認証された後に、認証された前記無線通信ネットワークを用いて、前記送信データを送信する、制御方法。
【0025】
21)前記選択ステップにおいて選択された無線通信ネットワークに応じて、前記検知データに対して、暗号化処理、モザイク処理、音声情報への変換処理、文字情報への変換処理のいずれかのデータ加工を行い、前記送信データを生成する加工ステップをさらに有する、上記(15)から(17)のいずれか一つに記載の制御方法。
【0027】
(9)上記(8)に記載の制御方法に含まれる処理をコンピューターに実行させるための制御プログラム。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、異なる複数の無線通信ネットワークのいずれかを選択し、センサーデバイスからのデータに基づく送信データを、選択された無線通信ネットワークを用いて送信するように構成されている。したがって、通信先が、1つの無線通信ネットワーク(例えば、プライベートネットワーク)の通信可能エリア外にあっても、他の無線通信ネットワーク(例えば、キャリア通信のネットワーク)を選択することにより、通信先に検知データを送信できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】第1の実施形態における監視システムの概要を説明するための概念図である。
図2】キャリア5Gの無線通信ネットワークを用いて通信を行う場合を例示する模式図である。
図3図1に示す固定端末装置のハードウェア構成を例示する概略ブロック図である。
図4図3示す制御部の主要な機能を例示する機能ブロック図である。
図5図1に示す固定端末装置の制御方法の処理手順を例示するフローチャートである。
図6A】センサーデバイスの可視光カメラによって撮影された配管設備の映像を例示する模式図である。
図6B】センサーデバイスの赤外線カメラによって撮影されたガス漏れの映像を例示する模式図である。
図7】各時間帯における、無線通信に使用するSIMと可視光カメラの映像に対する加工処理(モザイク処理)の有無とを例示する図である。
図8】モザイク処理された可視光カメラの映像を例示する模式図である。
図9】各時間帯における、無線通信に使用するSIMと、映像サイズおよびフレームレートとを例示する模式図である。
図10】機密レベルに応じて、無線通信に使用するSIMと、通知内容とを例示する模式図である。
図11】駆動するセンサーに応じて、無線通信に使用するSIMと、通知内容とを例示する模式図である。
図12】第2の実施形態における固定端末装置の制御方法の処理手順の概要を例示するフローチャートである。
図13】第3の実施形態における制御部の主要な構成を例示する機能ブロック図である。
図14】第3の実施形態における固定端末装置の制御方法の処理手順の概要を例示するフローチャートである。
図15】無線通信に使用するSIMに応じて、管理者に対する通知内容を設定する方法を例示する図である。
図16】無線通信に使用するSIMに応じて、管理者に対する通知内容を設定する方法を例示するフローチャートである。
図17】第4の実施形態における制御部の主要な構成を例示する機能ブロック図である。
図18】第4の実施形態における固定端末装置の制御方法の処理手順の概要を例示するフローチャートである。
図19】第5の実施形態における制御部の主要な構成を例示する機能ブロック図である。
図20】第5の実施形態における固定端末装置の制御方法の処理手順の概要を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、図面において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0031】
(第1の実施形態)
図1は第1の実施形態における監視システム10の概要を説明するための概念図であり、図2はキャリア5Gの無線通信ネットワークを用いて通信を行う場合を例示する模式図である。キャリア5Gは、移動体通信事業者(キャリア)が全国的に提供する第5世代無線通信システム(5G)である。なお、以下では、主にキャリア5Gの無線通信ネットワークを例示して説明するが、キャリア5Gに限らず、既存の第4世代移動通信システム(以下、「4G」という)、第3世代移動通信システム(以下、「3G」という)のキャリア通信のネットワークや、公衆無線回線であってもよい。
【0032】
図1に示すように、監視システム10は、固定端末装置100、および表示装置200を有し、広い敷地を有する工場や、プラント内における検知対象(例えば、配管設備)における異常(例えば、ガス漏れ)を監視するシステムである。検知対象の付近には、検知対象の異常を検出する装置である固定端末装置100が配置されている。図1においては、図を簡略化するため、1つの固定端末装置100のみを示しているが、検知対象の規模や、固定端末装置100の検知範囲に応じて、複数の固定端末装置が適宜配置されうる。以下で詳細に説明するように、本実施形態の固定端末装置100は、複数のSIM(Subscriber Identity Module)を切り替えて使用可能なエッジデバイスである。固定端末装置100は、例えば、検知対象を監視する監視カメラでありうる。この場合、監視カメラの視野に検知対象が含まれるように監視カメラの配置が調整されている。
【0033】
工場内には、5Gの規定(プライベート5G、およびキャリア5Gは、国際電気通信連合(ITU)が定める規定「IMT-2020」)を満足するプライベート5G(「ローカル5G」とも呼ばれる)の基地局300が設置されている。これにより、固定端末装置100は、通信可能エリアA1内においてプライベート5Gの無線通信ネットワークを使用できる。
【0034】
プライベート5Gは、キャリア5Gとは異なり、限られた生活エリア、オフィス、工場、プラント等の特定エリアにおいて、スマートフォン、パーソナルコンピューター、タブレット端末等の通信に利用される無線通信システム(自営無線回線)である。本実施形態では、固定端末装置100は、プライベート5Gの無線通信ネットワークにより、固定端末装置100に対して離れた場所にある集中監視室に設置されている表示装置200と通信することができる。
【0035】
固定端末装置100は、通知データやアラーム情報を表示装置200に送信する。通知データは、後述するように、センサーデバイスのセンサーにより検知対象を検知した検知データに基づく、映像データ、音声データ、またはテキストデータである。また、アラーム情報は、検知対象の管理者に検知対象に関する異常を報知するための情報である。表示装置200は、例えば、パーソナルコンピューターであり、固定端末装置100から映像データ、音声データ、テキストデータを受信し、再生(表示)する機能を有している。
【0036】
また、工場内には、プライベート5Gの基地局300に加えて、キャリア5Gの基地局400が設置されている。これにより、固定端末装置100は、通信可能エリアA2内においてキャリア5Gの無線通信ネットワークを使用できる。例えば、通信可能エリアA1,A2は、一部が重なり全体が異なる大きさを有する(A1<A2)。固定端末装置100は、キャリア5Gの無線通信ネットワークにより、プライベート5Gの無線通信ネットワークの通信可能エリアA1外にある通信先と通信することができる。なお、通信可能エリアA1,A2は、異なる大きさであるが、必ずしも重なる領域を有する必要はない。このように、固定端末装置100は、プライベート5Gの無線通信ネットワークと、キャリア5Gの無線通信ネットワークの両方と通信可能な範囲で使用されうる。
【0037】
図2に示すように、固定端末装置100の通信先は、例えば、検知対象を管理する管理者の携帯電話500でありうる。キャリア5Gの無線通信ネットワークは、プライベート5Gの無線通信ネットワークと同じ通信規格に準拠している。プライベート5G、およびキャリア5Gは、国際電気通信連合(ITU)が定める規定「IMT-2020」を満足する無線通信ネットワークである。
【0038】
本実施形態では、固定端末装置100は、SIMカード(以下、単に「SIM」ともいう)を選択することにより、プライベート5G、およびキャリア5Gのいずれかの無線通信ネットワークを用いて、通知データを送信する。プライベート5G用のSIMカードには、認証情報(第1の認証情報)として、特定エリア内において加入者を識別するための加入者識別番号、暗号化された認証キー等が記録されている。
【0039】
また、キャリア5G用のSIMカードには、認証情報(第2の認証情報)として、国際移動電話加入者識別番号(IMSI:International Mobile Subscriber Identity)、暗号化された認証キー、通信事業者を特定するための事業者特定情報等が記録されている。
【0040】
図1図2に示す例では、SIM1が選択された場合、プライベート5Gの無線通信ネットワークを使用する一方で、SIM2が選択された場合、キャリア5Gの無線通信ネットワークを使用するように構成されている。
【0041】
プライベート5Gの無線通信ネットワークにおいては、固定端末装置100を含む複数の端末装置の接続状況が基地局300において管理されており、キャリア5GのSIM2とは別のSIM1を使用することにより、限定された通信可能エリアA1で運用される。したがって、外来ノイズの影響を受けにくいため、「つながりにくい」状態や通信品質の劣化が回避され、通信の安定性、および機密性を高められる。また、キャリア5Gと比較して、データ伝送情報量、および同時接続数を増加させることができ、低遅延である利点もある。また、無線通信ネットワークの設計時に、通信速度の上り、および下りの制約を考慮してカスタマイズできる。
【0042】
一方、キャリア5Gの無線通信ネットワークにおいては、基地局の密度やカバーエリアが広く、通信可能エリアに関する制約がほとんど無いという利点がある。また、電話がつながりやすく、通話品質は安定している。すなわち、通話の到達距離が長く、即時性が高い。なお、通話に関しては、4Gから3Gへと機器のリソースをダウングレードしても音声通話は優先してつながる。また、音声対応SIMの場合、個別の電話番号によるIP(Internet Protocol)アドレスを有する。データSIMに関してはサービスが主流で、ダウンロードが優先され、受信基地局からは電気通信事業者の用意するネットワークを含む公衆無線回線に接続されるためセキュリティ等は担保されにくい。
【0043】
図3図1に示す固定端末装置100のハードウェア構成を例示する概略ブロック図であり、図4図2に示す制御部110の主要な機能を例示する機能ブロック図である。
【0044】
図3に示すように、固定端末装置100は、制御部110、センサーデバイス120、第1読み出し部130、第2読み出し部140、および通信部150を有する。これらの構成要素は、内部バス101により相互に通信可能に接続されている。
【0045】
制御部110は、コンピューターであり、CPU(Central Processing Unit)111、RAM(Random Access Memory)112、ROM(Read Only Memory)113、および補助記憶部114を有する。
【0046】
CPU111は、RAM112に展開されたOS(Operating System)、制御プログラム等のプログラムを実行し、固定端末装置100の動作制御を行う。制御プログラムは、ROM113または補助記憶部114に予め保存されている。また、RAM112は、CPU111の処理によって一時的に生じたデータ等を格納する。ROM113は、CPU111によって実行されるプログラムや、プログラムの実行に使用されるデータ、パラメーター等を記憶する。補助記憶部114は、例えばHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等を有する。
【0047】
センサーデバイス120は、検知対象を検知し、検知データを出力する。本実施形態では、センサーデバイス120は、可視光カメラおよび赤外線カメラ(複数のセンサー)を有し、検知対象としての配管設備を撮影する。赤外線カメラは、例えば、工場の配管設備によって供給される、所定の吸収波長を有する特定のガスに感度を有する。可視光カメラおよび赤外線カメラからの映像データは、検知データとして、制御部110(図4のデータ加工部602)に送信される。センサーデバイス120は、可視光カメラおよび赤外線カメラの他に、例えば、マイク、温度計、湿度計、気圧計等を有することもできる。
【0048】
第1読み出し部130は、プライベート5Gの無線通信ネットワーク(第1の無線通信ネットワーク)と接続するための第1の認証情報を読み出す。第1の認証情報は、SIM1に記録されている。
【0049】
また、第2読み出し部140は、キャリア5Gの無線通信ネットワーク(第2の無線通信ネットワーク)と接続するための第2の認証情報を読み出す。第2の認証情報は、SIM2に記録されている。
【0050】
通信部150は、第1の認証情報を使用して、基地局300との間で通信を行うか、あるいは第2の認証情報を使用して、基地局400との間で通信を行う。通信部150は、各基地局300,400から送信された無線信号を受信する受信部と、各基地局300,400へ通知データを送信する送信部とを含み、プライベート5G、またはキャリア5Gのサービスに対応する通信を行う。通信部150、例えば、符号分割多重接続(CDMA:Code Division Multiple Access)や、直交周波数分割多重接続(OFDMA:Orthogonal Frequency Division Multiple Access)に従って通信することが可能である。
【0051】
図4に示すように、制御部110は、SIM選択部601、およびデータ加工部602として機能する。SIM選択部601、およびデータ加工部602の機能は、CPU111が制御プログラムを実行することにより実現される。
【0052】
SIM選択部601は、無線通信に使用するSIMを選択する。これにより、プライベート5G、およびキャリア5Gのいずれかの無線通信ネットワークが選択される。SIMを選択する具体的な方法については以下で説明する。
【0053】
データ加工部602は、無線通信に使用するSIMに応じて、センサーデバイス120から出力された検知データを加工する。より具体的には、データ加工部602は、SIM選択部601によってSIM2(キャリア5Gの無線通信ネットワーク)が選択された場合、センサーデバイス120から出力された映像データを加工して、通知データを生成して、通信部150に出力する。一方、SIM選択部601によってSIM1(プライベート5Gの無線通信ネットワーク)が選択された場合、データ加工部602は、映像データを加工せず、そのまま通信部150に通知データとして出力する。
【0054】
データ加工部602は、例えば、映像データに対して、暗号化処理やモザイク処理を行うことができる。また、データ加工部602は、映像データに基づいて、音声情報や文字情報を生成することにより、映像データを音声データや文字データに変換できる。音声情報は、検知対象の映像に関する種々の情報を音声化した情報である。また、文字情報は、検知対象の映像に関する種々の情報を文字化(文書化)した情報である。例えば、音声情報および文字情報には、検知対象に異常が発生した場合において管理者が対処に必要な種々の情報、例えば、異常の種別、発生時刻、異常が発生したエリアに関する情報、異常を撮影した監視カメラ(固定端末装置100)に関する情報、監視カメラの撮影角度に関する情報等が含まれうる。異常の種別は、例えば、過去に撮影された複数の赤外線カメラの映像に基づいて、パターン認識技術、機械学習等により推定されうる。加工処理されたデータは、通知データとして通信部150に出力される。
【0055】
(固定端末装置100の制御方法)
図5は、図1に示す固定端末装置100の制御方法の処理手順を例示するフローチャートである。同図に示すフローチャートの各処理は、CPU111が制御プログラムを実行することにより実現される。図6Aはセンサーデバイス120の可視光カメラによって撮影された配管設備の映像を例示する模式図であり、図6Bはセンサーデバイス120の赤外線カメラによって撮影されたガス漏れの映像を例示する模式図である。また、図7は、各時間帯における、無線通信に使用するSIMと可視光カメラの映像に対する加工処理(モザイク処理)の有無とを例示する図であり、図8はモザイク処理された可視光カメラの映像を例示する模式図である。また、図9は各時間帯における、無線通信に使用するSIMと、映像サイズおよびフレームレートとを例示する模式図である。
【0056】
図5に示すように、まず、検知対象を検知する(ステップS101)。図6A図6Bに示すように、制御部110は、例えば、検知対象としての配管設備Pを、可視光カメラおよび赤外線カメラにより撮影するようにセンサーデバイス120を制御する。可視光カメラおよび赤外線カメラは、配管設備Pを常時連続的に撮影し、撮影された映像データをデータ加工部602に出力する。なお、図6Bにおいて、ガス漏れGは実線、配管設備Pは破線で示されている。
【0057】
次に、無線通信に使用するSIMを選択する(ステップS102)。SIM選択部601は、無線通信に使用するSIM1、およびSIM2のいずれかを選択することにより、プライベート5G、およびキャリア5Gのどちらの無線通信ネットワークを使用して無線通信を行うかを選択する。
【0058】
図7に示すように、本実施形態では、SIM選択部601は、現在の時刻(時間情報)に応じて、無線通信に使用するSIMを選択する。より具体的には、SIM選択部601は、現在の時刻が予め設定された時間帯の範囲内であるか否かに応じて、SIMを選択する。例えば、現在の時刻が0:00~7:59の時間帯の範囲内である場合、配管設備Pを管理する管理者(以下、単に「管理者」という)の勤務時間外であるので、SIM2(キャリア5Gの無線通信ネットワーク)が選択される。また、現在の時刻が8:00~16:59の時間帯の範囲内である場合、管理者の勤務時間内であるので、SIM1(プライベート5Gの無線通信ネットワーク)が選択される。また、SIM選択部601は、現在の時刻が17:00~23:59の時間帯の範囲内である場合、管理者の勤務時間外であるので、SIM2が選択される。
【0059】
次に、選択されたSIMに応じて検知データを加工する(ステップS103)。データ加工部602は、SIM2が選択された場合、工場内の設備の秘匿性の高い映像が外部に漏洩することを回避するため、工場内の設備の詳細がわからないように、映像データを加工し、通信部150に出力する。
【0060】
例えば、図8に示すように、データ加工部602は、ガス漏れの箇所を特定できる程度に映像データに加工処理(例えば、モザイク処理)を施す。モザイク以外にも、図9に示すように、データ加工部602は、選択されたSIMに応じて、映像データの各フレームの映像のサイズや、フレームレートを変更するように構成することもできる。例えば、SIM2が選択された場合は、SIM1が選択された場合よりも、映像のサイズを小さくしたり、フレームレートを低くしたりことができる。したがって、SIM2が選択された場合は、SIM1が選択された場合よりも、通知データの情報量が低減される。
【0061】
一方、データ加工部602は、SIM1が選択された場合、映像データを加工処理せずに通信部150に出力する。これは、プライベート5Gを使用して、工場内の集中監視室にある表示装置200に映像データを送信するためである。
【0062】
次に、選択されたSIMの認証情報を読み出す(ステップS104)。SIM1が選択された場合、第1読み出し部130は、プライベート5Gの無線通信ネットワークと接続するための第1の認証情報を読み出す。一方、SIM2が選択された場合、第2読み出し部140は、キャリア5Gの無線通信ネットワークと接続するための第2の認証情報を読み出す。
【0063】
次に、通知データを送信する(ステップS105)。通信部150は、第1の認証情報、または第2の認証情報を用いて無線通信ネットワークに接続し、通知データを送信する。
【0064】
すなわち、管理者が工場内(通信可能エリアA1内)で勤務する時間は、プライベート5Gの無線通信ネットワークで接続し、集中管理室の表示装置200に通知データを送信する一方で、管理者が不在になる時間帯には、キャリア5Gの無線通信ネットワークで接続し、工場外(通信可能エリアA1外)にいる管理者の携帯電話500に通知データを送信する。
【0065】
管理者は、表示装置200、または携帯電話500の画面に表示される映像を確認し、配管設備Pの異常の有無を判断する。
【0066】
次に、再び図5に戻り、終了指示があったか否かを判断する(ステップS106)。終了指示があった場合(ステップS106:YES)、処理を終了する(エンド)。終了指示がない場合(ステップS106:NO)、ステップS101の処理に移行する。終了指示は、例えば、管理者が、配管設備Pの異常を把握し、これ以上の監視が不要と判断した場合や、工場にいる現場の作業者に対処の指示を出し終えた場合等、管理者が固定端末装置100に対して検知対象の監視を終了(中断)させるための指示である。
【0067】
このように、図5に示すフローチャートの処理では、固定端末装置100は、センサーデバイス120により検知対象を検知し、センサーデバイス120の検知データに基づく通知データを、複数の無線通信ネットワーク(プライベート5G、およびキャリア5G)のいずれを使用して送信するかを選択する。続いて、固定端末装置100は、選択された無線通信ネットワークと接続するための認証情報を読み出し、認証情報を用いて無線通信ネットワークに接続し、通知データを送信する。
【0068】
(変形例)
図10は機密レベルに応じて、無線通信に使用するSIMと、通知内容とを例示する模式図であり、図11は駆動するセンサーに応じて、無線通信に使用するSIMと、通知内容とを例示する模式図である。
【0069】
上述した例では、SIM選択部601は、現在の時刻を用いて、通知データを送信する無線通信ネットワークを選択する場合について例示したが、このような場合に限定されない。現在の時刻の代わりに、管理者のログイン情報を用いて、管理者が集中監視室にいるか否かを判定し、判定結果に応じて、通知データを送信する無線通信ネットワークを選択するように構成してもよい。
【0070】
また、図10に示すように、SIM選択部601は、検知データの機密レベルに応じて、通知データを送信する無線通信ネットワークを選択するように構成することもできる。機密レベルは、センサーデバイス120が有するセンサーに応じて、センサーデバイス120が検知データ毎に設定するように構成してもよいし、管理者がセンサー毎に予め指定するように構成してもよい。同図に示す例では、機密レベルが低い場合、SIM選択部601は、SIM2を選択する。これにより、キャリア5Gの無線通信ネットワークが選択される。一方、機密レベルが高い場合、SIM選択部601は、SIM1を選択する。これにより、プライベート5Gの無線通信ネットワークが選択される。
【0071】
また、図11に示すように、SIM選択部601は、センサーデバイス120の複数のセンサーのうち、駆動されるセンサーに応じて、通知データを送信する無線通信ネットワークを選択するように構成することもできる。同図に示す例では、赤外線カメラのみが駆動される場合、SIM選択部601は、SIM2を選択する。これにより、キャリア5Gの無線通信ネットワークが選択される。一方、可視光カメラ、および赤外線カメラが駆動される場合、SIM選択部601は、SIM1を選択する。これにより、プライベート5Gの無線通信ネットワークが選択される。
【0072】
以上で説明した本実施形態の固定端末装置100によれば、異なる複数の無線通信ネットワークのいずれかを選択し、センサーデバイス120からのデータに基づくデータを送信データとして、選択された無線通信ネットワークを用いて送信するように構成されている。ここで、センサーデバイス120からのデータに基づくデータとは、センサーデバイス120からの検知データ、またはデータ加工部602によって加工処理されたデータである。したがって、通信先が、1つの無線通信ネットワーク(例えば、プライベート5Gの無線通信ネットワーク)の通信可能エリアA1外にあっても、キャリア5Gの無線通信ネットワーク(例えば、キャリア通信のネットワーク)を選択することにより、通信先に通知データを送信できる。
【0073】
また、キャリア5Gの無線通信ネットワークを使用する場合は、映像データを加工(モザイク処理等)した上で送信するので、工場内の設備の詳細が写った映像等の秘匿性の高いデータが外部に漏洩することを防止できる。
【0074】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、無線通信に使用するSIMを選択した後、検知データを加工して通知データを生成する場合について説明した。第2の実施形態では、検知データを加工して通知データを生成し、通知データに基づいて、無線通信に使用するSIMを選択する場合について説明する。なお、以下では、説明の重複を避けるため、第1の実施形態と同一の構成については、説明を省略する。
【0075】
図12は、第2の実施形態における固定端末装置100の制御方法の処理手順の概要を例示するフローチャートである。図12に示すフローチャートの各処理は、CPU111が制御プログラムを実行することにより実現される。
【0076】
本実施形態の制御部110は、第1の実施形態の制御部110と同様に、SIM選択部601、およびデータ加工部602として機能する。しかし、本実施形態では、データ加工部602は、SIM選択部601によって無線通信に使用するSIMを選択する前に、検知データを加工し、通知データ生成する。
【0077】
管理者は、検知データに対して加工を行うか否かに関する設定、加工を行う場合において加工の種類に関する設定を、例えば、表示装置200、または携帯電話500の入力部を通じて、適宜入力、または変更できる。加工の種類は、例えば、映像のサイズやフレームレートの変更、映像から音声情報、または文字情報への変換等でありうる。
【0078】
SIM選択部601は、通知データに応じて、SIMを選択する。SIM選択部601は、例えば、通知データの機密レベルに応じて、SIM1、またはSIM2を選択する。データ加工部602は、検知データを通知データに加工し、通知データの種類(例えば、可視光カメラの映像データ、赤外線カメラの映像データ、音声情報、文字情報等)に応じて、機密レベルを設定する。例えば、可視光カメラの映像データについては、機密レベルが高く、赤外線カメラの映像データ、音声情報、および文字情報については機密レベルが低くなるように設定される。
【0079】
図12に示すフローチャートのステップS202おいて検知データを加工し、S203において無線通信に使用するSIMを選択する。ステップS201、S204~S206の処理は、第1の実施形態のステップS101、S104~S106の各々の処理と同一であるので詳細な説明を省略する。
【0080】
以上で説明した本実施形態の固定端末装置100によれば、検知データを加工して通知データを生成し、通知データに基づいて、無線通信に使用するSIMを選択するので、管理者が所望する通知内容で通知データを送信できる。
【0081】
(第3の実施形態)
第3の実施形態では、固定端末装置100は、検知対象の異常を検出する機能を有し、検知対象の異常を検出した場合、アラームを通知するように構成されている。なお、以下では、説明の重複を避けるため、第1の実施形態と同一の構成については、説明を省略する。
【0082】
図13は第3の実施形態における制御部110の主要な構成を例示する機能ブロック図であり、図14は第3の実施形態における固定端末装置100の制御方法の処理手順の概要を例示するフローチャートである。図13に示す制御部110の各機能、および図14に示すフローチャートの各処理は、CPU111が制御プログラムを実行することにより実現される。また、図15は、無線通信に使用するSIMに応じて、管理者に対する通知内容を設定する方法を例示する図である。また、図16は、無線通信に使用するSIMに応じて、管理者に対する通知内容を設定する方法を例示するフローチャートである。
【0083】
図13に示すように、本実施形態では、制御部110は、SIM選択部701、データ加工部702、異常検出部703、アラーム発報制御部704、および通知内容設定部705として機能する。
【0084】
本実施形態では、SIM選択部701は、第1の実施形態におけるSIM選択部601と同様に、無線通信に使用するSIMを選択する。また、データ加工部702は、SIM選択部701によって選択されたSIMに応じて、センサーデバイス120から出力された検知データに基づいて、通知データ(例えば、文字情報データ、音声情報データ等)を生成する。また、異常検出部703は検知対象の異常を検出し、アラーム発報制御部704は異常検出部703によって検知対象に異常があると判定された場合、アラームを発報するように制御する。また、通知内容設定部705は、SIM選択部701によって選択されたSIMに応じて、通知内容(例えば、映像データ、音声情報、文字情報等)を設定する。以下、本実施形態における固定端末装置100の制御方法の処理手順の概要を説明する。
【0085】
図14において、ステップS301の「検知対象を検知」、ステップS303の「無線通信に使用するSIMを選択」、およびステップS307の「終了指示あり?」の処理については、第1の実施形態におけるステップS101、S102、およびS106の各々の処理と同一の処理であるため、詳細な説明を省略する。
【0086】
まず、検知対象を検知する(ステップS301)。センサーデバイス120は、検知対象としての配管設備Pを撮影し、可視光カメラ、および赤外線カメラの映像データを出力する。
【0087】
次に、検知対象に異常があるか否かを判定する(ステップS302)。上述のように、センサーデバイス120の赤外線カメラは、所定の吸収波長を有する特定のガスに感度を有する。異常検出部703は、例えば、赤外カメラの映像データの各フレームについて、映像の各部における輝度値を測定する。ガス漏れがあると背景からの熱放射が吸収され、またガスによる熱放射によりガス漏れ箇所の輝度値に変化が生じる。ガスは大気中で拡散されるため、ガス漏れ箇所の輝度値に揺らぎが生じる。このような輝度値の変化と揺らぎに基づいて、ガス漏れ(異常)があると判定する。
【0088】
次に、無線通信に使用するSIMを選択する(ステップS303)。SIM選択部701は、配管設備Pの状態(正常、または異常)に応じて、SIM1、またはSIM2を選択することにより、通知データを送信する無線通信ネットワークを選択する。
【0089】
次に、アラームを発報する(ステップS304)。アラーム発報制御部704は、異常検出部703によって配管設備Pにガス漏れがあると判定された場合、アラーム情報を生成し、管理者に通知する。アラーム発報制御部704は、SIM選択部701によってSIM1が選択された場合、例えば、アラーム情報として、表示装置200の画面に「ガス漏れが発生しました」のような警告を表示させるとともに、表示装置200のスピーカーからアラーム音を発生させるように制御する。一方、アラーム発報制御部704は、SIM選択部701によってSIM2が選択された場合、管理者の携帯電話500にガス漏れが発生した旨のメールを送信するように制御する。あるいは、アラーム発報制御部704は、SIM2が選択された場合、管理者の携帯電話500の画面に「ガス漏れが発生しました」のような警告を表示させるとともに、携帯電話500のスピーカーからアラーム音を発生させるように制御する。
【0090】
次に、SIMに応じて通知内容を設定する(ステップS305)、通知内容設定部705は、SIM選択部701によって選択されたSIMに応じて、管理者に対する通知内容を決定する。例えば、図15に示すように、通知内容設定部705は、SIM1が選択された場合、通知内容にセンサーデバイス120から出力された映像(可視光カメラおよび赤外カメラの映像)を設定する。
【0091】
一方、SIM2が選択された場合、通知内容に文字情報を設定する。データ加工部702は、通知内容が文字情報に設定された場合、映像データに基づいて、配管設備Pにおける異常の種別(例えば、ガス漏れ)、異常の発生時刻、発生エリアのエリア番号、異常を撮影した監視カメラ(固定端末装置100)の識別番号、監視カメラの撮影角度情報等の情報を含む文字情報を生成する。したがって、SIM2が選択された場合は、SIM1が選択された場合よりも、通知データの情報量が低減される。
【0092】
次に、通知データを送信する(ステップS306)。通信部150は、通知内容設定部705によって設定された通知内容の通知データを送信する。通知内容が映像である場合、通信部150は、表示装置200に映像データを送信する。一方、通知内容が文字情報である場合は、通信部150は、管理者の携帯電話500宛に文字情報を含むメールを送信する。これにより、秘匿性の高い映像がキャリア5Gを通じて送信されることを回避できる。
【0093】
また、図16に示すように、管理者に対する通知内容を「データ伝送リスク」、および「セキュアレベル」の高低に応じて設定するように構成してもよい。通知内容設定部705は、無線通信に使用するSIMがSIM1である場合(ステップS401:SIM1)、通知内容に可視光および赤外線の映像を設定する(ステップS402)。一方、無線通信に使用するSIMがSIM2である場合(ステップS401:SIM2)、データ伝送リスクを判定する(ステップS403)。データ伝送リスクは、例えば、通信中における映像データの欠損等のリスクである。
【0094】
データ伝送リスクが高い場合(ステップS403:高い)、映像データに基づいて音声情報を生成する(ステップS404)。キャリア5Gの無線通信ネットワークは、電話がつながりやすく、通話品質が安定している。本実施形態では、キャリア5Gの無線通信ネットワークを活用するために、固定端末装置100側のデータ加工部702において、映像データに基づいて、音声情報を生成し、通知内容設定部705は、通知内容に音声情報を設定する(ステップS405)。電話にて配管設備Pのガス漏れを通知することにより、データ伝送リスクを抑制し、管理者に配管設備Pのガス漏れを確実に通知することができる。
【0095】
一方、データ伝送リスクが低い場合(ステップS403:低い)、通知内容設定部705は、セキュアレベルを判定する(ステップS406)。セキュアレベルが高い場合(ステップS406:高い)、無線通信に高い秘匿性が求められるため、通知内容設定部705は、通知内容に赤外線の映像のみを設定する(ステップS407)。一方、セキュアレベルが低い場合(ステップS406:低い)、秘匿性は求められないため、通知内容に可視光および赤外線の映像を設定する(ステップS408)。
【0096】
このように、図14に示すフローチャートの処理では、検知対象を検知し、検知対象の異常の有無(検知対象の状態)を判定する。検知対象に異常がある場合、無線通信に使用するSIMに応じて、アラームを発報し、通知内容を設定する。そして、通知内容の通知データを送信する。
【0097】
以上で説明した本実施形態の固定端末装置100によれば、第1の実施形態の効果に加えて、下記の効果を奏する。
【0098】
固定端末装置100は、ガス漏れ等の異常を検出した場合、アラームを発報するので、管理者は異常に気付きやすい。
【0099】
また、データ伝送リスクやセキュアレベルに応じて、通知内容が設定されるので、管理者に対してより効果的に通知を行うことができる。
【0100】
(第4の実施形態)
第4の実施形態では、検知対象の異常の有無に応じて、使用するSIMを切り替える場合について説明する。なお、以下では、説明の重複を避けるため、第3の実施形態と同一の構成については、説明を省略する。
【0101】
図17は第4の実施形態における制御部110の主要な構成を例示する機能ブロック図であり、図18は第4の実施形態における固定端末装置100の制御方法の処理手順の概要を例示するフローチャートである。図17に示す制御部110の各機能、および図18に示すフローチャートの処理は、CPU111が制御プログラムを実行することにより実現する。
【0102】
本実施形態では、固定端末装置100は、SIM1が選択された場合、プライベート5Gの無線通信ネットワークを使用して表示装置200と通信し、SIM2が選択された場合、キャリア5Gの無線通信ネットワークを使用して、本社の集中管理センターの表示装置(不図示)と通信する。固定端末装置100、表示装置200、および集中管理センターの表示装置は、監視システム10を構成する。
【0103】
図17に示すように、制御部110は、異常検出部801、SIM選択部802、および通知内容設定部803を有する。異常検出部801は検知対象の異常を検出し、SIM選択部802は、異常検出部801による検出結果に基づいてSIMを選択する。また、通知内容設定部803は、SIM選択部802によって選択されたSIMに応じて、管理者に対する通知内容を設定する。以下、本実施形態における固定端末装置100の制御方法の処理手順の概要を説明する。
【0104】
図18に示すように、検知対象を検知する(ステップS501)。センサーデバイス120は、検知対象としての配管設備Pを撮影し、可視光カメラ、および赤外線カメラの映像データを出力する。
【0105】
次に、検知対象に異常があるか否かを判定する(ステップS502)。異常検出部801は、例えば、赤外カメラの映像データに基づいて、配管設備にガス漏れ等の異常の有無を判定する。
【0106】
検知対象に異常がない場合(ステップS502:NO)、SIM選択部802は、SIM1を選択する(ステップS503)。SIM1は、プライベート5Gの無線通信ネットワークを使用して、工場内における集中監視室の表示装置200と通信するためのSIMである。
【0107】
次に、通知内容を設定する(ステップS504)。通知内容設定部803は、工場内の集中監視室の管理者に対する通知内容に可視光カメラ、および赤外線カメラの映像を設定する。
【0108】
次に、通知データを送信する(ステップS505)。通信部150は、通知内容設定部803によって設定された通知内容の通知データを表示装置200に送信する。そして、終了指示の有無を判定する(ステップS509)。終了指示があった場合(ステップS509:YES)、処理を終了し(エンド)、終了指示がない場合(ステップS509:NO)、ステップS501の処理に移行する。
【0109】
一方、検知対象に異常がある場合(ステップS502:YES)、SIM選択部802は、SIM2を選択する(ステップS506)。SIM2は、キャリア5Gの無線通信ネットワークを使用して、工場とは別の敷地(通信可能エリアA1外)にある本社内における集中管理センターの表示装置と通信するためのSIMである。
【0110】
次に、通知内容を設定する(ステップS507)。通知内容設定部803は、本社の集中管理センターの管理者に対する通知内容に赤外線カメラの映像、異常が発生したエリアのエリア番号、異常を撮影した監視カメラ(固定端末装置100)の識別番号、監視カメラの撮影角度に関する情報を設定する。
【0111】
次に、通知データを送信する(ステップS508)。通信部150は、通知内容設定部803によって設定された通知内容の通知データを送信する。本社の集中管理センターの表示装置は、通知内容の通知データを受信し、画面に表示する。通知内容には、可視光の映像が含まれていない。そこで、表示装置は、赤外線カメラの映像、ガス漏れが発生したエリアのエリア番号、監視カメラの識別番号、および監視カメラの撮影角度に関する情報に基づいて、ガス漏れを撮影した監視カメラから視た、ガス漏れが発生していない通常時の配管設備Pの可視画像を合成する。これは、赤外線カメラの映像のみでは情報量が少なく、ガス漏れの位置の特定、および異常の危険度合いの判別が困難であるためである。さらに、表示装置は、通常時の配管設備Pの可視画像と、通知内容に含まれる赤外線カメラの映像とを重ね合わせる。これにより、配管設備Pの画像上において配管設備Pのガス漏れの位置を特定できる。あるいは、複数個所に配置された監視カメラ(可視光カメラ)により撮影された配管設備Pの画像を通常時の可視画像として予め記録しておき、ガス漏れが検出された場合に、エリア番号および監視カメラの識別番号から、ガス漏れを撮影した監視カメラから視た、通常時の配管設備Pの画像を取得できる。
【0112】
このように、図18のフローチャートの処理では、検知対象の異常の有無(検知対象の状態)に応じて、使用するSIMを切り替え、SIMに応じた通知内容を設定し、工場内の集中監視室の表示装置200、または本社の集中管理センターの表示装置に通知内容の通知データを送信する。
【0113】
以上で説明した本実施形態の固定端末装置100は、第3の実施形態の効果に加えて下記の効果を奏する。
【0114】
固定端末装置100は、ガス漏れ等の異常を検出した場合、配管設備Pのある工場から離れた場所にある本社の集中管理センターへキャリア5Gを使用して通知内容のデータを送信する。したがって、配管設備Pに関する機密情報の漏洩を防止しつつ、高品質および大容量の情報を伝送できる。
【0115】
なお、上述の例では、固定端末装置100から送信した赤外線カメラの映像と、集中管理センターの表示装置が準備した可視画像とを合成する(重ね合わせる)場合について説明したが、本実施形態は、このような場合に限定されない。例えば、集中管理センターの表示装置は、可視画像に限らず、検知対象の通常時に、固定端末装置100から送信された通知データ(各センサーの検知データ)を蓄積しておき、蓄積された通知データと、検査対象の異常時に送信された通知データとを合成したり、比較したりできる。
【0116】
(第5の実施形態)
上述の第1~第4の実施形態では、工場、プラント等の配管設備を監視する場合を例示して監視システム10について説明した。第5の実施形態では、病院、高齢者施設等(以下、「施設」という)の患者を見守る場合を例示して監視システム10について説明する。なお、以下では、説明の重複を避けるため、第4の実施形態と同一の構成については、説明を省略する。
【0117】
図19は、第5の実施形態における制御部110の主要な構成を例示する機能ブロック図であり、図20は第5の実施形態における固定端末装置100の制御方法の処理手順の概要を例示するフローチャートである。図19に示す制御部110の各機能、および図20に示すフローチャートの各処理は、CPU111が制御プログラムを実行することにより実現する。
【0118】
図示を省略するが、本実施形態では、施設内にプライベート5Gの基地局300が設置され、施設の近隣の場所にキャリア5Gの基地局400が設置されている場合を想定している。プライベート5Gを使用した無線通信は、施設内において可能である。また、施設外(プライベート5Gの通信領域外)との通信は、キャリア5Gの無線通信ネットワークにより可能となっている。
【0119】
本実施形態では、固定端末装置100の構成のうち、制御部110、第1読み出し部130、第2読み出し部140、および通信部150のハードウェア構成は、第1~第4の実施形態と同一である。また、センサーデバイス120は、可視光カメラ、ドップラーセンサー、およびライダー(LIDAR:Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)を有する。本実施形態では、固定端末装置100は、例えば、施設における患者の居室の天井等に設置され、センサーデバイス120は、床に設置された患者のベッドに対向するように配置されている。
【0120】
可視光カメラは、検知対象としての患者を撮影し、映像データを出力する。また、ドップラーセンサーは、患者に対してマイクロ波を送受信して患者の体動(例えば呼吸、心拍)によって生じたマイクロ波のドップラーシフトを検出し、出力する。また、ライダーは、例えば、天井から患者の身体の各部位までの距離を測定し、出力する。
【0121】
図19に示すように、制御部110は、患者状態推定部901、異常検出部902、SIM選択部903、通知内容設定部904、およびアラーム発報制御部905として機能する。患者状態推定部901は、患者の状態を推定し、記録する。より具体的には、患者状態推定部901は、公知の骨格認識技術を利用して、可視光カメラによって撮影された患者の映像から患者の骨格を推定した推定結果と、ライダーによって測定された患者の身体の各部位までの距離とに基づいて、患者の姿勢を推定する。また、患者状態推定部901は、ドップラーセンサーによって検出されたドップラーシフトから、患者の呼吸数、および心拍数を推定する。患者の姿勢、呼吸数(呼吸情報)、心拍数(心拍情報)を含む患者の状態は、時系列で補助記憶部114に記憶される。
【0122】
以下、本実施形態における固定端末装置100の制御方法の処理手順の概要を説明する。図20に示すように、まず、検知対象を検知する(ステップS601)。センサーデバイス120は、検知対象としての患者を撮影し、可視光カメラの映像データ、ドップラーセンサーの検出結果、およびライダーの測定結果を患者状態推定部901に出力する。
【0123】
次に、検知対象に異常があるか否かを判定する(ステップS602)。患者状態推定部901は、患者の状態を推定し、異常検出部902は、推定された患者の状態に基づいて、患者の異常の有無を判定する。異常検出部902は、例えば、推定された患者の状態から、転倒や呼吸の停止の可能性がある場合は、異常があると判定する。
【0124】
検知対象に異常がない場合(ステップS602:NO)、SIM選択部903は、SIM1を選択する(ステップS603)。SIM1は、プライベート5Gの無線通信ネットワークを使用して、施設内のスタッフの携帯端末(不図示)と通信するためのSIMである。
【0125】
次に、通知内容を設定する(ステップS604)。通知内容設定部904は、施設内のスタッフに対する通知内容に可視光カメラの映像、および患者の状態の推定結果を設定する。なお、プライベート5Gの無線通信ネットワークを使用しているため、患者の顔が写っている映像等、患者のプライベート情報が無線通信により漏洩する心配はない。
【0126】
次に、通知データを送信する(ステップS605)。通信部150は、通知内容設定部904によって設定された通知内容の通知データをスタッフの携帯端末に送信する。そして、終了指示の有無を判定する(ステップS611)。終了指示があった場合(ステップS611:YES)、処理を終了し(エンド)、終了指示がない場合(ステップS611:NO)、ステップS601の処理に移行する。終了指示は、例えば、患者の退院等、何らかの理由により、スタッフが患者の見守りを終了(中断)させる指示である。
【0127】
一方、検知対象に異常がある場合(ステップS602:YES)、SIM選択部903は、SIM1を選択する
次に、アラームを発報する(ステップS607)。アラーム発報制御部905は、異常検出部902によって患者に異常があると判定された場合、アラームを発報する。アラーム発報制御部905は、アラーム情報として、例えば、スタッフの携帯端末の画面に「101号室の○○さんが転倒しました」のような警告を表示させる。
【0128】
次に、SIM選択部903は、SIM2を選択する(ステップS608)。SIM2は、キャリア5Gの無線通信ネットワークを使用して、患者の自宅や勤務先、患者の主治医のいる病院等、施設外の場所の端末装置(例えば、不図示のパーソナルコンピューター)と通信するためのSIMである。
【0129】
次に、通知内容を設定する(ステップS609)。通知内容設定部904は、例えば、主治医のいる病院の端末装置と通信する場合、主治医に対する通知内容に骨格検知の推定結果、呼吸数、脈拍数等を設定する。これらの情報は、個人を特定できない情報である。一方、患者の顔、性別を含む個人情報、または個人を特定できる情報は、通知内容に設定されない。これにより、患者に関する秘匿性の高いデータや情報が漏洩することを防止できる。
【0130】
次に、通知データを送信する(ステップS610)。通信部150は、通知内容設定部904によって設定された通知内容の通知データを送信する。主治医のいる病院の端末装置は、通知内容の通知データを受信し、画面に表示する。これにより、主治医は、患者の状態を即座に判断し、必要な対処等を施設のスタッフに指示できる。
【0131】
このように、図20のフローチャートの処理では、検知対象の異常の有無を判定し、検知対象に異常がない場合は、無線通信に使用するSIMとしてSIM1を選択し、SIM1に応じた通知内容の通知データを送信する。一方、検知対象に異常がある場合、アラームを発報するとともに、無線通信に使用するSIMをSIM2切り替え、SIM2に応じた通知内容を設定し、通知データを送信する。
【0132】
以上で説明した本実施形態の固定端末装置100は、第4の実施形態の効果に加えて下記の効果を奏する。
【0133】
固定端末装置100は、異常を検出した場合、個人を特定できない情報に限定した通知データを、キャリア5Gを使用して送信する。したがって、施設内では、患者の映像データ等、高品質および大容量の情報を伝送し、施設外への送信については患者に関する秘匿性の高いデータや情報が漏洩することを防止できる。
【0134】
以上のように、実施形態において、固定端末装置、制御方法、および制御プログラムについて説明した。しかしながら、本発明は、その技術思想の範囲内において当業者が適宜に追加、変形、および省略できることはいうまでもない。
【0135】
例えば、上述した第1~第4の実施形態では、ガス漏えいを監視する監視カメラとして固定端末装置100を例示したが、このような場合に限定されず、固定端末装置100は、例えば不審者検出を行うセキュリティ監視カメラであってもよい。また、このセキュリティ監視カメラは、可視光カメラと赤外線カメラの両方を有する構成だけでなく、どちらか一方を有する構成でもよい。
【0136】
また、上述したフローチャートは、一部のステップを省略してもよく、他のステップが追加されてもよい。また各ステップの一部は同時に実行されてもよく、一つのステップが複数のステップに分割されて実行されてもよい。
【0137】
また、制御プログラムは、USBメモリー、フレキシブルディスク、CD-ROM等のコンピューター読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。この場合、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、メモリーやストレージ等に転送され記憶される。また、この制御プログラムは、例えば、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、サーバーの一機能としてその各装置のソフトウェアに組み込んでもよい。
【0138】
また、実施形態においてプログラムにより実行される処理の一部または全部を回路等のハードウェアに置き換えて実行されうる。
【0139】
本出願は、2021年7月9日に出願された日本国特許出願番号2021-113981号に基づいており、その開示内容は、参照により全体として組み入れられている。
【符号の説明】
【0140】
100 固定端末装置、
110 制御部、
120 センサーデバイス、
130 第1読み出し部、
140 第2読み出し部、
150 通信部、
200 表示装置、
300 プライベート5G基地局、
400 キャリア5G基地局、
500 管理者の携帯電話、
601 SIM選択部、
602 データ加工部、
701 SIM選択部、
702 異常検出部、
703 アラーム発報制御部、
704 通知内容設定部、
705 音声データを生成部、
801 異常検出部、
802 SIM選択部、
803 通知内容設定部、
901 患者状態監視部、
902 異常検出部、
903 SI M選択部、
904 通知内容設定部、
905 アラーム発報制御部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
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図20