(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】欠陥検査装置および欠陥検査方法
(51)【国際特許分類】
G01N 29/24 20060101AFI20240501BHJP
G01N 21/892 20060101ALI20240501BHJP
G01H 9/00 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
G01N29/24
G01N21/892 B
G01H9/00 C
(21)【出願番号】P 2023520898
(86)(22)【出願日】2022-03-25
(86)【国際出願番号】 JP2022014263
(87)【国際公開番号】W WO2022239522
(87)【国際公開日】2022-11-17
【審査請求日】2023-08-30
(31)【優先権主張番号】P 2021082490
(32)【優先日】2021-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】堀川 浩司
(72)【発明者】
【氏名】田窪 健二
(72)【発明者】
【氏名】畠堀 貴秀
【審査官】村田 顕一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-047090(JP,A)
【文献】特開2004-101189(JP,A)
【文献】特開2013-221793(JP,A)
【文献】国際公開第01/27600(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第111316093(CN,A)
【文献】米国特許第5760904(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 29/00-29/52
G01N 21/84-21/958
G01H 9/00
G01B 11/00-11/30
G01B 9/02-9/029
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象物に弾性波振動を付与して励起する励振部と、
前記励振部により弾性波振動が励起された状態の前記検査対象物にレーザ光を照射する照射部と、
前記検査対象物により反射された前記レーザ光の位相を変化させ、位相変化前後の前記レーザ光同士を干渉させるとともに、干渉光を測定する測定部と、を備え、
前記測定部は、前記照射部から照射され、前記検査対象物から前記測定部に向かって反射する第1光路を経る前記レーザ光の干渉光に基づいて、前記第1光路に沿った方向から見た前記検査対象物の振動状態を表す干渉画像を取得するとともに、前記照射部から照射され、前記検査対象物から前記第1光路とは異なる方向に向かって反射する第2光路を経る前記レーザ光の干渉光に基づいて、前記第2光路に沿った方向から見た前記検査対象物の振動状態を表す干渉画像を取得するように構成されている、欠陥検査装置。
【請求項2】
前記第1光路とは異なる方向に向かって反射する前記第2光路を経る前記レーザ光を前記測定部に向かって導光する光学系をさらに備え、
前記測定部は、前記光学系を介さずに前記検査対象物から直接前記測定部に向かって反射する前記第1光路を経る前記レーザ光の干渉光に基づいて、前記第1光路に沿った方向から見た前記検査対象物の振動状態を表す干渉画像を取得するとともに、前記光学系によって前記測定部に向かって導光される前記第2光路を経る前記レーザ光の干渉光に基づいて、前記第2光路に沿った方向から見た前記検査対象物の振動状態を表す干渉画像を取得するように構成されている、請求項1に記載の欠陥検査装置。
【請求項3】
前記測定部は、前記検査対象物から前記測定部に向かって反射する前記第1光路を経る前記レーザ光の干渉光と、前記検査対象物から前記第1光路とは異なる方向に向かって反射し、前記光学系によって前記測定部に向かって導光される前記第2光路を経る前記レーザ光の干渉光とを撮像する共通の撮像部を含む、請求項2に記載の欠陥検査装置。
【請求項4】
前記測定部は、前記検査対象物の表面と直交する方向に沿って前記測定部に向う正面方向に向かって前記検査対象物から反射する前記第1光路を経る前記レーザ光の干渉光に基づいて、前記正面方向から見た前記検査対象物の振動状態を表す干渉画像を取得するとともに、前記検査対象物の表面に対して斜め方向に向かって反射する前記第2光路を経る前記レーザ光の干渉光に基づいて、前記斜め方向から見た前記検査対象物の振動状態を表す干渉画像を取得するように構成されている、請求項
1に記載の欠陥検査装置。
【請求項5】
前記測定部は、前記光学系を介さずに前記検査対象物の表面と直交する方向に沿って前記測定部に向う正面方向に向かって前記検査対象物から反射する前記第1光路を経る前記レーザ光の干渉光に基づいて、前記正面方向から見た振動状態を表す第1干渉画像を取得するとともに、前記レーザ光が前記測定部に向かう前記第1光路に向かって反射する前記検査対象物の表面と共通の表面に対して、前記第1光路とは異なり、斜め方向に向かって反射する前記第2光路を経て、前記光学系によって導光されることにより前記測定部に向かって導光される前記レーザ光の干渉光に基づいて、前記斜め方向から見た振動状態を表す第2干渉画像を取得するように構成されている、請求項3に記載の欠陥検査装置。
【請求項6】
前記撮像部は、前記測定部が干渉させた前記レーザ光の干渉光を受光する受光領域を有しており、
前記光学系は、前記第1光路以外の位置に設けられ、前記第2光路を経る前記レーザ光を前記測定部に向かって導光するように構成されており、
前記測定部は、前記検査対象物の共通の表面から反射する前記第1光路を経る前記レーザ光および前記第2光路を経る前記レーザ光の各々の干渉光を、前記第1光路を経る前記レーザ光の干渉光および前記第2光路を経る前記レーザ光の干渉光に対応して複数に分割された前記受光領域の複数の領域のそれぞれにおいて受光することにより、前記第1干渉画像および前記第2干渉画像を同時に取得するように構成されている、請求項5に記載の欠陥検査装置。
【請求項7】
前記撮像部は、前記測定部が干渉させた前記レーザ光の干渉光を受光する受光領域を有しており、
前記測定部は、前記撮像部の前記受光領域の共通の領域において受光する前記レーザ光の干渉光を、前記検査対象物の共通の表面から反射する前記第1光路を経る前記レーザ光の干渉光および前記第2光路を経る前記レーザ光の干渉光のそれぞれに切り替えることにより、前記第1干渉画像および前記第2干渉画像のそれぞれを取得するように構成されている、請求項5に記載の欠陥検査装置。
【請求項8】
前記検査対象物の表面と直交する方向に沿って前記測定部に向う前記正面方向から見た振動状態を表す前記第1干渉画像と、前記検査対象物の測定領域における前記検査対象物の表面に対して斜め方向から見た振動状態を表す前記第2干渉画像とを合成処理した合成画像を取得するように構成されている画像処理部をさらに備える、請求項
5に記載の欠陥検査装置。
【請求項9】
前記画像処理部は、前記検査対象物の表面と直交する方向に沿って前記測定部に向う前記正面方向から見た振動状態を表す前記第1干渉画像と、前記検査対象物の測定領域における前記検査対象物の表面に対して前記斜め方向から見た振動状態を表す前記第2干渉画像とのうち、少なくとも前記第2干渉画像のひずみを補正するように構成されている、請求項8に記載の欠陥検査装置。
【請求項10】
前記検査対象物は、曲面を有する対象物であり、
前記撮像部は、前記測定部が干渉させた前記レーザ光の干渉光を受光する受光領域を有しており、
前記光学系は、前記第1光路以外の位置に設けられ、前記レーザ光が前記測定部に向かう前記第1光路に向かって反射する前記曲面を有する前記検査対象物の測定領域とは異なる測定領域から反射する前記第2光路を経る前記レーザ光を前記測定部に向かって導光するように構成されており、
前記測定部は、前記検査対象物の互いに異なる測定領域から反射される前記第1光路を経る前記レーザ光および前記第2光路を経る前記レーザ光の各々の干渉光を、前記第1光路を経る前記レーザ光の干渉光および前記第2光路を経る前記レーザ光の干渉光に対応して複数に分割された前記撮像部の前記受光領域の複数の領域のそれぞれにおいて受光することにより、前記曲面を有する前記検査対象物の互いに異なる測定領域の振動状態を表す干渉画像を同時に取得するように構成されている、請求項3に記載の欠陥検査装置。
【請求項11】
前記検査対象物は、曲面を有する対象物であり、
前記撮像部は、前記測定部が干渉させた前記レーザ光の干渉光を受光する受光領域を有しており、
前記光学系は、前記第1光路を経る前記レーザ光が前記測定部に向かって反射する前記曲面を有する前記検査対象物の測定領域とは異なる測定領域から反射する前記第2光路を経る前記レーザ光を前記測定部に向かって導光するように構成されており、
前記測定部は、前記撮像部の前記受光領域の共通の領域において受光する前記レーザ光の干渉光を、前記曲面を有する前記検査対象物の互いに異なる測定領域から反射される、前記第1光路を経る前記レーザ光の干渉光および前記第2光路を経る前記レーザ光の干渉光のそれぞれに切り替えることにより、異なる測定領域の前記曲面を有する前記検査対象物の振動状態を表す干渉画像をそれぞれ取得するように構成されている、請求項3に記載の欠陥検査装置。
【請求項12】
前記検査対象物の前記曲面の曲率に基づいて、取得した前記検査対象物の振動状態を表す干渉画像の少なくとも前記検査対象物の前記曲面に沿った方向における長さを補正するように構成されている画像処理部をさらに備える、請求項
10に記載の欠陥検査装置。
【請求項13】
前記測定部は、前記検査対象物の複数の測定領域において、振動状態を表す干渉画像を取得するように構成されており、
前記画像処理部は、前記検査対象物の前記曲面に沿った方向において、複数の測定領域における振動状態を表す干渉画像を連続的に連結するように構成されている、請求項12に記載の欠陥検査装置。
【請求項14】
検査対象物に弾性波振動を付与して励起し、
弾性波振動が励起された状態の前記検査対象物にレーザ光を照射し、
前記検査対象物により反射された前記レーザ光の位相を変化させ、位相変化前後の前記レーザ光同士を干渉させるとともに、干渉光を測定する測定部に向かって反射する第1光路を経る前記レーザ光の干渉光に基づいて、前記第1光路に沿った方向から見た前記検査対象物の振動状態を表す干渉画像を取得するとともに、前記検査対象物から前記第1光路とは異なる方向に向かって反射する第2光路を経る前記レーザ光の干渉光に基づいて、前記第2光路に沿った方向から見た前記検査対象物の振動状態を表す干渉画像を取得する、欠陥検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、欠陥検査装置および欠陥検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、検査対象物の表面および内部に発生した亀裂や剥離などの欠陥を光学的に検査する欠陥検査装置および欠陥検査方法が知られている。このような欠陥検査方法は、たとえば、特開2017-219318号公報に開示されている。
【0003】
上記特開2017-219318号公報には、検査対象物に弾性波を励起する励振部と、検査対象物の表面の測定領域にストロボ照明の照射を行う照明部と、変位測定部(スペックル・シェアリング干渉計)とを備える欠陥検査装置が開示されている。変位測定部は、弾性波の位相とストロボ照明のタイミングとを制御することにより、弾性波の互いに異なる位相において測定領域各点の検査対象物の表面に直交する方向の変位を一括測定するように構成されている。上記特開2017-219318号公報に記載の欠陥検査装置では、測定領域各点の振動状態(振幅および位相)に基づいて、振動の検査対象物の表面に直交する方向の変位の相違を画像の明暗の相違で表した画像を作成する。たとえば、検査対象物に欠陥が生じている場合、欠陥部分において(欠陥の端部を境に)振動状態が不連続となり、上記の画像の明暗が急変する。この画像に対して、目視または画像処理を行うことにより、振動状態の不連続部を欠陥として検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記特開2017-219318号公報には明記されていないが、振動の伝播は、検査対象物の表面に直交する方向(上下方向)と表面に沿った方向(面内方向)とが存在する。そして、検査対象物において比較的深い亀裂が発生している場合には、検査対象物の表面に直交する方向(上下方向)と検査対象物の表面に沿った方向(面内方向)との両方において、振動状態の不連続(変位)が大きく発生する。一方、検査対象物において比較的浅い亀裂が発生している場合には、検査対象物の表面に直交する方向(上下方向)における振動状態の不連続(変位)の発生が小さい。上記特開2017-219318号公報に記載されたような従来の欠陥検査装置では、取得した検査対象物の表面に直交する方向(上下方向)における検査対象物の振動状態の不連続(変位)に基づいて、欠陥の有無を判定するので、比較的深い亀裂の有無を判定することができる。その一方で、上記特開2017-219318号公報に記載されたような従来の欠陥検査装置では、検査対象物の表面に直交する方向(上下方向)における振動状態の不連続(変位)の発生が小さい比較的浅い亀裂の有無を容易に判定することは困難である。また、上記特開2017-219318号公報には明記されていないが、上記特開2017-219318号公報に記載されたような従来の欠陥検査装置によって、取得(観測)される振動状態の不連続(変位)の方向は、検査対象物に対して照明部と、変位測定部とがなす角を2等分する方向となる。
【0006】
そのため、上記特開2017-219318号公報に記載されたような従来の欠陥検査装置では、比較的浅い亀裂の有無を判定する際には、変位測定部に対する検査対象物の角度を変更するなどして、振動状態の不連続(変位)を取得する方向(干渉画像を取得する方向)を変化させる必要がある。したがって、亀裂の深さに応じて、測定部に対する検査対象物の角度を変更する必要がある。そのため、測定部に対する検査対象物の角度を変更することなく、様々な深さの亀裂(比較的深い亀裂や比較的浅い亀裂など)の有無を容易に判定することが望まれている。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、測定部に対する検査対象物の角度を変更することなく、様々な深さの亀裂の有無を容易に判定可能な欠陥検査装置および欠陥検査方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の第1の局面における欠陥検査装置は、検査対象物に弾性波振動を付与して励起する励振部と、励振部により弾性波振動が励起された状態の検査対象物にレーザ光を照射する照射部と、検査対象物により反射されたレーザ光の位相を変化させ、位相変化前後のレーザ光同士を干渉させるとともに、干渉光を測定する測定部と、を備え、測定部は、照射部から照射され、検査対象物から測定部に向かって反射する第1光路を経るレーザ光の干渉光に基づいて、第1光路に沿った方向から見た検査対象物の振動状態を表す干渉画像を取得するとともに、照射部から照射され、検査対象物から第1光路とは異なる方向に向かって反射する第2光路を経るレーザ光の干渉光に基づいて、第2光路に沿った方向から見た検査対象物の振動状態を表す干渉画像を取得するように構成されている。
【0009】
この発明の第2の局面における欠陥検査方法は、検査対象物に弾性波振動を付与して励起し、弾性波振動が励起された状態の検査対象物にレーザ光を照射し、検査対象物により反射されたレーザ光の位相を変化させ、位相変化前後のレーザ光同士を干渉させるとともに、干渉光を測定する測定部に向かって反射する第1光路を経るレーザ光の干渉光に基づいて、第1光路に沿った方向から見た検査対象物の振動状態を表す干渉画像を取得するとともに、検査対象物から第1光路とは異なる方向に向かって反射する第2光路を経るレーザ光の干渉光に基づいて、第2光路に沿った方向から見た検査対象物の振動状態を表す干渉画像を取得する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の第1の局面による欠陥検査装置および第2の局面における欠陥検査方法は、干渉光を測定する測定部に向かって反射する第1光路を経るレーザ光の干渉光に基づいて、第1光路に沿った方向から見た検査対象物の振動状態を表す干渉画像を取得する。そして、本発明の第1の局面による欠陥検査装置および第2の局面における欠陥検査方法は、検査対象物から第1光路とは異なる方向に向かって反射する第2光路を経るレーザ光の干渉光に基づいて、第2光路に沿った方向から見た検査対象物の振動状態を表す干渉画像を取得する。これにより、干渉光を測定する測定部に向かって反射される第1光路に沿った方向から見た検査対象物の振動状態を表す干渉画像と、第1光路とは異なる方向に向かって反射する第2光路に沿った方向から見た検査対象物の振動状態を表す干渉画像とを取得することができるので、異なる2方向から検査対象物の振動状態を表す干渉画像を取得することができる。したがって、測定部に対する検査対象物の角度を変更することなく、測定部に向かって反射される第1光路に沿った方向および第1光路とは異なる方向に向かって反射する第2光路に沿った方向の互いに異なる方向(異なる2方向)から見た検査対象物の振動状態の変位を取得することができる。これにより、複数の方向から見た検査対象物の振動状態の変位を取得することができるので、様々な深さの亀裂(比較的浅い亀裂や比較的深い亀裂など)の振動状態の変位を見ることができる。その結果、測定部に対する検査対象物の角度を変更することなく、様々な深さの亀裂の有無を容易に判定可能な欠陥検査装置および欠陥検査方法を提供することができる。
【0011】
ここで、上記特開2017-219318号公報に記載されたような従来の欠陥検査装置では、円筒形や円柱形などの曲面を有する検査物体の曲面(周方向)に沿って広範囲に欠陥の検査を行う場合には、検査対象物を回すか、または、変位測定部の位置を変えるなどをしながら、円筒形や円柱形などの曲面を有する検査物体の曲面に沿った方向(周方向)において複数回測定を行う必要がある。このように、検査対象物が曲面を有する場合において、検査対象物および測定部の位置を変化させずに欠陥の有無を判定する測定領域を容易に広げることが困難であるという課題もあり、本発明では、この課題も解決することも可能である。すなわち、本発明の第1の局面による欠陥検査装置および第2の局面における欠陥検査方法では、第1光路に沿った方向から見た検査対象物の振動状態を表す干渉画像および第2光路に沿った方向から見た検査対象物の振動状態を表す干渉画像を取得するので、異なる2方向から振動状態を表す干渉画像を取得することができる。これにより、検査対象物の曲面に対して複数の方向から検査対象物の振動状態を表す干渉画像を取得することができるので、曲面を有する検査対象物の振動状態を表す干渉画像を1方向のみから取得する場合と異なり、検査対象物および測定部の位置を変化させずに欠陥の有無を判定する測定領域を拡げることができる。その結果、検査対象物が曲面を有する場合において、検査対象物および測定部の位置を変化させずに欠陥の有無を判定する測定領域を容易に広げることが可能な欠陥検査装置および欠陥検査方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1実施形態による欠陥検査装置の全体構成を示した模式図である。
【
図2】第1実施形態における第1光路に沿った方向に反射する光の撮像に関わる光の収束および発散状態の一例を示した図である。
【
図3】第1実施形態における第2光路に沿った方向に反射する光の撮像に関わる光の収束および発散状態の一例を示した図である。
【
図4】第1実施形態によるイメージセンサの受光領域を示した図である。
【
図5】第1実施形態による干渉画像の一例を示した図である。
【
図6】振動状態の検査対象物における比較的深い亀裂に起因する振動を示した図である。
【
図7】振動状態の検査対象物における比較的浅い亀裂に起因する振動を示した図である。
【
図8】第1実施形態による合成画像の一例を示した図である。
【
図9】本発明の第2実施形態による欠陥検査装置の全体構成を示した第1模式図であり、第1光路に沿った方向に反射する光の撮像に関わる光の収束および発散状態の一例を示した図である。
【
図10】本発明の第2実施形態による欠陥検査装置の全体構成を示した第2模式図であり、第2光路に沿った方向に反射する光の撮像に関わる光の収束および発散状態の一例を示した図である。
【
図11】第2実施形態によるイメージセンサの受光領域を示した図である。
【
図12】第2実施形態による第1干渉画像の一例を示した図である。
【
図13】第2実施形態による第2干渉画像の一例を示した図である。
【
図14】第2実施形態による合成画像の一例を示した図である。
【
図15】本発明の第3実施形態による欠陥検査装置の全体構成を示した模式図である。
【
図16】本発明の第3実施形態の欠陥検査装置による検査対象物から反射する第1光路および第2光路を示した模式図である。
【
図17】第3実施形態によるイメージセンサの受光領域を示した図である。
【
図18】第3実施形態における第1光路に沿った方向に反射する光の撮像に関わる光の収束および発散状態の一例を示した図である。
【
図19】第3実施形態における第2光路に沿った方向に反射する光の撮像に関わる光の収束および発散状態の一例を示した図である。
【
図20】第3実施形態による干渉画像に対する画像補正処理および画像連結処理の一例を示した図である。
【
図21】本発明の第4実施形態の欠陥検査装置による検査対象物反射する第1光路、第2光路、第3光路および第4光路を示した模式図である。
【
図22】第4実施形態によるイメージセンサの受光領域を示した図である。
【
図23】第4実施形態による干渉画像の一例を示した図である。
【
図24】第4実施形態による干渉画像に対する画像補正処理および画像連結処理の一例を示した図である。
【
図25】本発明の第5実施形態による欠陥検査装置の全体構成を示した第1模式図であり、第1光路に沿った方向に反射する光の撮像に関わる光の収束および発散状態の一例を示した図である。
【
図26】本発明の第5実施形態による欠陥検査装置の全体構成を示した第2模式図であり、第2光路に沿った方向に反射する光の撮像に関わる光の収束および発散状態の一例を示した図である。
【
図27】本発明の第5実施形態の欠陥検査装置による検査対象物から反射する第1光路および第2光路を示した模式図である。
【
図28】第5実施形態によるイメージセンサの受光領域を示した図である。
【
図29】第5実施形態による干渉画像の一例を示した第1図である。
【
図30】第5実施形態による干渉画像の一例を示した第2図である。
【
図31】第5実施形態による干渉画像に対する補正画像処理および画像連結処理の一例を示した図である。
【
図32】第1変形例による欠陥検査装置の全体構成を模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
[第1実施形態]
図1~
図8を参照して、第1実施形態による欠陥検査装置100の構成について説明する。
【0015】
(欠陥検査装置の構成)
第1実施形態による欠陥検査装置100は、
図1に示すように、振動子1、レーザ照明2および測定部3を備えている。なお、振動子1は、請求の範囲の「励振部」の一例であり、レーザ照明2は、請求の範囲の「照明部」の一例である。
【0016】
また、欠陥検査装置100は、光学系4、制御部5、信号発生器6および表示部7を備えている。なお、制御部5は、請求の範囲の「画像処理部」の一例である。
【0017】
欠陥検査装置100は、後述する検査対象物8の振動状態を表す干渉画像70を取得するように構成されており、検査対象物8の欠陥(欠陥90)の有無を判定するように構成されている。取得された検査対象物8の振動状態を表す干渉画像70は、表示部7に表示される。なお、表示部7は、たとえば、液晶ディスプレイ、または、有機ELディスプレイなどにより構成されている。表示部7は、たとえば、HDMI(登録商標)等の映像インターフェースにより制御部5と接続される。
【0018】
検査対象物8は、板状の部材である。検査対象物8は、たとえば、鋼板に塗膜が塗装された塗装鋼板である。検査対象物8には、欠陥90(亀裂91および亀裂92)が発生している。なお、亀裂91は、比較的深い亀裂であり、亀裂92は、比較的浅い亀裂である。
【0019】
欠陥検査装置100の振動子1およびレーザ照明2は、信号発生器6にそれぞれケーブルを介して接続されている。
【0020】
振動子1は、信号発生器6から交流電気信号を受信して、検査対象物8に弾性波を励起する。振動子1は、検査対象物8に接触するように配置され、信号発生器6からの交流電気信号を機械的振動に変換し、検査対象物8に弾性波振動を付与して励起する。
【0021】
レーザ照明2は、信号発生器6から電気信号を受信して、レーザ光を照射する。レーザ照明2は、図示しないレーザ光源と照明光レンズを含んでいる。レーザ照明2は、振動子1により弾性波振動が励起された状態の検査対象物8にレーザ光を照射するように構成されている。照明光レンズは、レーザ光源から照射されたレーザ光を検査対象物8の表面80の測定領域全体に拡げて照射する。
【0022】
また、振動子1、レーザ照明2、光学系4および検査対象物8は、箱状のケース40内に収納されている。これにより、外光の影響を遮断することができる。また、検査対象物8から反射したレーザ光を測定部3に入射させるために、ケース40の測定部3の対応する箇所には、図示しない開口が設けられている。なお、振動子1、レーザ照明2、光学系4および検査対象物8は、箱状のケース40に収納されなくてもよい。すなわち、欠陥検査装置100は、箱状のケース40を備えなくてもよい。また、レーザ照明2は、検査対象物8の表面80と、測定部3との間に配置されている。
【0023】
測定部3はビームスプリッタ31、位相シフタ32、第1反射鏡33、第2反射鏡34、集光レンズ35およびイメージセンサ36を含む。測定部3は、スペックル・シェアリング干渉計を含む。測定部3は、検査対象物8により反射されたレーザ光の位相を変化させ、位相変化前後のレーザ光同士を干渉させるとともに、干渉光を測定するように構成されている。なお、イメージセンサ36は、請求の範囲の「撮像部」の一例である。
【0024】
ビームスプリッタ31はハーフミラーであり、検査対象物8の表面80で反射されたレーザ光が入射される位置に配置される。
【0025】
第1反射鏡33は、ビームスプリッタ31で反射されるレーザ光の光路上において、ビームスプリッタ31の反射面に対して、45°の角度となるように配置されている。
【0026】
第2反射鏡34は、ビームスプリッタ31を透過するレーザ光の光路上において、ビームスプリッタ31の反射面に対して、45°の角度からわずかに傾斜した角度になるように配置されている。
【0027】
位相シフタ32は、ビームスプリッタ31と第1反射鏡33との間に配置され、制御部5の制御により、透過するレーザ光の位相を変化(シフト)させるように構成されている。
【0028】
イメージセンサ36は、測定部3が干渉させたレーザ光の干渉光を受光する受光領域30(
図4参照)を有している。受光領域30は、多数の画素(フォトダイオード)を有している。イメージセンサ36は、たとえば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサまたはCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサを含む。
【0029】
イメージセンサ36は、ビームスプリッタ31で反射された後に第1反射鏡33で反射されてビームスプリッタ31を透過するレーザ光およびビームスプリッタ31を透過した後に第2反射鏡34で反射されてビームスプリッタ31で反射されるレーザ光の光路上に配置される。
【0030】
集光レンズ35は、ビームスプリッタ31とイメージセンサ36の間に配置され、ビームスプリッタ31を透過したレーザ光とビームスプリッタ31で反射されたレーザ光とを集光させる。
【0031】
光学系4は、複数(2つ)の反射鏡(反射鏡41および反射鏡42)を含む。
【0032】
第1実施形態では、光学系4(反射鏡41および反射鏡42)は、検査対象物8から測定部3に向かって反射する第1光路21以外の位置に設けられ、第2光路22を経るレーザ光を測定部3に向かって導光するように構成されている。
【0033】
光学系4は、測定部3と、検査対象物8との間に配置されている。光学系4は、第1光路21とは異なる方向に向かって反射する第2光路22を経るレーザ光を、反射鏡41にて反射した後、反射鏡42によりさらに反射させ、第2光路22を経るレーザ光を測定部3に入射させることにより、第1光路21とは異なる方向に向かって反射する第2光路22を経るレーザ光を測定部3に向かって導光するように構成されている。なお、
図1では、第1光路21側の2系統の光軸が一点鎖線によって示されるととともに、第2光路22側の2系統の光軸が破線によって示されている。そして、
図2は、第1光路21に沿った方向に反射する光の撮像に関わる光の収束および発散状態の一例を示している。また、
図3は、第2光路22に沿った方向に反射する光の撮像に関わる光の収束および発散状態の一例を示している。
【0034】
また、第1実施形態では、検査対象物8の表面80と、測定部3とが対向する方向に直交する方向において、レーザ照明2と、光学系4とが第1光路21を挟むように配置されている。レーザ照明2および光学系4は、レーザ照明2から照射されたレーザ光が光学系4の反射鏡41および42の反射面に直接照射されないようにそれぞれ設けられている。
【0035】
そして、検査対象物8の表面80におけるA点81から、表面80と直交する方向に沿って測定部3に向う正面方向に向かって反射して、第1光路21を経て第1反射鏡33で反射されるレーザ光(
図2の破線)と、検査対象物8の表面80におけるB点82から、表面80と直交する方向に沿って測定部3に向う正面方向に向かって反射して、第1光路21を経て第2反射鏡34で反射されるレーザ光(
図2の一点鎖線)とが、互いに干渉し、イメージセンサ36の受光領域30の同一箇所に入射する。
【0036】
また、検査対象物8の表面80におけるA点81から、検査対象物8の表面80に対して、斜め方向に向かって反射して、第2光路22を経て第1反射鏡33で反射されるレーザ光(
図3の破線)と、検査対象物8の表面80におけるB点82から、検査対象物8の表面80に対して、斜め方向に向かって反射して、第2光路22を経て第2反射鏡34で反射されるレーザ光(
図3の一点鎖線)とが、互いに干渉し、イメージセンサ36の受光領域30の同一箇所に入射する。
【0037】
なお、第1光路21において、レーザ光が正面方向に向かって反射する検査対象物8の表面80における一方側(光学系4側)の点と、第2光路22において、レーザ光が斜め方向に向かって反射する検査対象物8の表面80における一方側(光学系4側)の点とが同一点(A点81)である例を示したが、これらは同一点でなくてもよい。また、第1光路21において、レーザ光が正面方向に向かって反射する検査対象物8の表面80における他方側(振動子1側)の点と、第2光路22において、レーザ光が斜め方向に向かって反射する検査対象物8の表面80における他方側(振動子1側)の点とが同一点(B点82)である例を示しているが、これらは同一点でなくてもよい。
【0038】
制御部5は、測定部3内に配置された位相シフタ32を図示しないアクチュエータにより稼働させ、透過するレーザ光の位相を変化させる。
【0039】
これにより、検査対象物8の表面80におけるA点81で反射され、第1光路21を経たレーザ光と、検査対象物8の表面80におけるB点82で反射され、第1光路21を経たレーザ光との位相差が変化する。そして、A点81で反射され、第1光路21を経たレーザ光と、B点82で反射され、第1光路21を経たレーザ光とが干渉した干渉光の強度をイメージセンサ36の受光領域30における各検出素子が検出する。
【0040】
また、検査対象物8の表面80におけるA点81で反射され、第2光路22を経たレーザ光と、検査対象物8の表面80におけるB点82で反射され、第2光路22を経たレーザ光との位相差が変化する。そして、A点81で反射され、第2光路22を経たレーザ光と、B点82で反射され、第2光路22を経たレーザ光とが干渉した干渉光の強度をイメージセンサ36の受光領域30における各検出素子が検出する。
【0041】
このように、第1実施形態では、検査対象物8から測定部3に向かって反射する第1光路21を経るレーザ光の干渉光と、検査対象物8から第1光路21とは異なる方向に向かって反射し、光学系4によって測定部3に向かって導光される第2光路22を経るレーザ光の干渉光とが、イメージセンサ36により撮像されるように構成されている。すなわち、検査対象物8から測定部3に向かって反射する第1光路21を経るレーザ光の干渉光と、検査対象物8から第1光路21とは異なる方向に向かって反射する第2光路22を経るレーザ光の干渉光とが共通のイメージセンサ(イメージセンサ36)により撮像されるように構成されている。
【0042】
制御部5は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などを含む。制御部5は、たとえば、パーソナルコンピュータである。また、制御部5は、不揮発性のメモリ、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)、または、SSD(Solid State Drive)などを含む。
【0043】
第1実施形態では、測定部3は、レーザ照明2から照射され、検査対象物8から測定部3に向かって反射する第1光路21を経るレーザ光の干渉光に基づいて、第1光路21に沿った方向から見た検査対象物8の振動状態を表す干渉画像(後述する第1干渉画像71)を取得するように構成されている。なお、第1光路21に沿った方向から見た検査対象物8の振動状態を表す干渉画像(後述する第1干渉画像71)によって取得(観測)される振動状態の変位の方向は、検査対象物8に対してレーザ照明2と、第1光路21(測定部3またはビームスプリッタ31)とがなす角を2等分する方向となる。第1実施形態では、欠陥検査装置100(測定部3)は、第1光路21を経るレーザ光の干渉光に基づいて、検査対象物8の表面80に略垂直な方向の検査対象物8の振動状態を表す干渉画像を取得している。
【0044】
具体的には、測定部3は、光学系4を介さずに検査対象物8の表面80と直交する方向に沿って測定部3に向う正面方向に向かって検査対象物8から反射する第1光路21を経るレーザ光の干渉光に基づいて、正面方向(第1光路21に沿った方向)から見た検査対象物8の振動状態を表す干渉画像(第1干渉画像71)を取得するように構成されている。すなわち、測定部3は、光学系4を介さずに検査対象物8から直接測定部3に向かって反射する第1光路21を経るレーザ光の干渉光に基づいて、第1干渉画像71を取得するように構成されている。
【0045】
また、第1実施形態では、測定部3は、レーザ照明2から照射され、検査対象物8から第1光路21とは異なる方向に向かって反射する第2光路22を経るレーザ光の干渉光に基づいて、第2光路22に沿った方向から見た検査対象物8の振動状態を表す干渉画像(後述する第2干渉画像72)を取得するように構成されている。なお、第2光路22に沿った方向から見た検査対象物8の振動状態を表す干渉画像(後述する第2干渉画像72)によって取得(観測)される振動状態の変位の方向は、検査対象物8に対してレーザ照明2と、第2光路22(反射鏡41)とがなす角を2等分する方向となる。第1実施形態では、欠陥検査装置100(測定部3)は、第2光路22を経るレーザ光の干渉光に基づいて、検査対象物8の表面80に垂直な方向から傾斜した方向(検査対象物8の表面80に垂直な方向と表面80に平行な方向の間の方向)の検査対象物8の振動状態を表す干渉画像を取得している。
【0046】
具体的には、測定部3は、レーザ光が測定部3に向かう第1光路21に向かって反射する検査対象物8の表面と共通の表面(表面80)に対して、第1光路21とは異なり、斜め方向に向かって反射する第2光路22を経て、光学系4(反射鏡41および42)によって導光されることにより測定部3に向かって導光されるレーザ光の干渉光に基づいて、斜め方向から見た検査対象物8の振動状態を表す干渉画像(第2干渉画像72)を取得するように構成されている。すなわち、測定部3は、光学系4によって測定部3に向かって導光される第2光路22を経るレーザ光の干渉光に基づいて、第2干渉画像72を取得するように構成されている。なお、検査対象物8の表面80に対する第2光路22の傾斜角度は、少なくとも60°より小さい角度である。検査対象物8の表面80に対する第2光路22の傾斜角度は、たとえば、30°から45°程度の角度である。すなわち、測定部3は、検査対象物8の表面80(検査対象物8の表面80に沿った方向)に対して、少なくとも60°より小さい角度、たとえば、30°から45°程度の傾斜角度の斜め方向から見た検査対象物8の振動状態を表す干渉画像(第2干渉画像72)を取得するように構成されている。
【0047】
(第1干渉画像および第2干渉画像の取得に関する構成)
測定部3は、検査対象物8の表面80から反射する第1光路21を経るレーザ光の干渉光を、イメージセンサ36における受光領域30の領域30a(
図4参照)において受光することにより、第1干渉画像71を取得するように構成されている。また、測定部3は、検査対象物8の表面80から反射する第2光路22を経るレーザ光の各々の干渉光を、イメージセンサ36における受光領域30の領域30b(
図4参照)において受光することにより、第2干渉画像72を取得するように構成されている。
【0048】
すなわち、第1実施形態では、測定部3は、検査対象物8の共通の表面(表面80)から反射する第1光路21を経るレーザ光および第2光路22を経るレーザ光の各々の干渉光を、第1光路21を経るレーザ光の干渉光および第2光路22を経るレーザ光の干渉光に対応して複数に分割された受光領域30の複数の領域(領域30aおよび領域30b)のそれぞれにおいて受光することにより、第1干渉画像71および第2干渉画像72を同時に取得するように構成されている。
【0049】
図5に示すように、イメージセンサ36の受光領域30において、受光される干渉光に基づいて取得される干渉画像70は、受光領域30の領域30a(
図4参照)において受光された第1光路21を経たレーザ光の干渉光に基づいて取得される第1干渉画像71と、受光領域30の領域30b(
図4参照)において受光された第2光路22を経たレーザ光の干渉光に基づいて取得される第2干渉画像72とを含む。
【0050】
ここで、亀裂91(
図1参照)のように比較的深い亀裂の場合、
図6に示すように、検査対象物8に弾性波振動が励起されることによって、検査対象物8の亀裂91の箇所において、検査対象物8の正常な振動とは異なる上下方向(検査対象物8の表面80に直交する方向)および面内方向(亀裂が開閉する開閉方向)の振動が発生する。これにより、検査対象物8の亀裂91の箇所において、上下方向および面内方向における振動状態の不連続が発生する。一方、亀裂92(
図1参照)のように比較的浅い亀裂の場合、
図7に示すように、検査対象物8に弾性波振動が励起されることによって、検査対象物8の亀裂92の箇所において、検査対象物8の正常な振動とは異なる検査対象物8の表面80に沿った面内方向(亀裂92が開閉する開閉方向)の振動が発生する。これにより、検査対象物8の亀裂92の箇所において、面内方向における振動状態の不連続が発生する。
【0051】
第1干渉画像71(
図5参照)は、検査対象物8の表面80と直交する方向(検査対象物8の表面80と測定部3とが対向する方向)に沿って測定部3に向う正面方向に向かって、検査対象物8から反射する第1光路21を経るレーザ光の干渉光に基づく、正面方向(第1光路21に沿った方向)から見た検査対象物8の振動状態を表す干渉画像である。すなわち、第1干渉画像71(
図5参照)は、上下方向(検査対象物8の表面80に直交する方向)の検査対象物8の振動状態を表す干渉画像である。これにより、第1干渉画像71においては、比較的深い亀裂に起因する振動状態の変位91a(振動状態の上下方向の変位)が容易に検出できる。すなわち、
図5に示すように、第1干渉画像71においては、亀裂91(
図1参照)のような比較的深い亀裂に起因する振動状態の変位91a(振動状態の上下方向の変位)が容易に検出可能である。
【0052】
また、第2干渉画像72(
図5参照)は、検査対象物8の表面80に対して、斜め方向に向かって反射する第2光路22を経るレーザ光の干渉光に基づいて、斜め方向から見た検査対象物8の振動状態を表す干渉画像である。そのため、亀裂92(
図1参照)のような比較的浅い亀裂に起因する振動状態の変位(振動状態の面内方向の変位)を振動状態の面内方向の変位を斜め方向の変位92b(
図5参照)としてとらえることができる。これにより、第2干渉画像72においては、第1干渉画像71に比べて、比較的浅い亀裂に起因する振動状態の変位(振動状態の面内方向の変位)が容易に検出できる。すなわち、
図5に示すように、第2干渉画像72においては、亀裂91(
図1参照)のような比較的深い亀裂に起因する振動状態の変位91a(振動状態の上下方向の変位)に加えて、亀裂92(
図1参照)のような比較的浅い亀裂に起因する振動状態の変位(振動状態の面内方向の変位)が変位92bとして容易に検出可能である。
【0053】
第1実施形態では、光学系4は、偶数枚(2つ)の反射鏡(反射鏡41および反射鏡42)を含んでおり、第1光路21を経たレーザ光は、反射鏡41および反射鏡42を介した後、測定部3において測定される。これにより、第2干渉画像72を第1干渉画像71に対して左右反転させることなく取得することができるので、画像処理により第2干渉画像72を左右反転させることなく、表示および画像の合成処理を行うことが可能である。
【0054】
また、制御部5は、検査対象物8の表面80と直交する方向に沿って測定部3に向う正面方向から見た振動状態を表す第1干渉画像71(
図5参照)と、検査対象物8の測定領域における検査対象物8の表面80に対して斜め方向から見た振動状態を表す第2干渉画像72(
図5参照)とを合成処理した合成画像73(
図8参照)を取得するように構成されている。なお、第1干渉画像71と第2干渉画像72とでは、振動状態の変位を取得する方向が異なるので、画像の縦横比などが異なる。そのため、制御部5は、第1干渉画像71と第2干渉画像72の合成処理の際に、少なくとも第2干渉画像72に対してひずみ補正(画像補正処理)を行う。
【0055】
たとえば、制御部5は、第2干渉画像72を第1干渉画像71に合わせるようにひずみ補正を行う。制御部5は、第2干渉画像72のひずみを補正(縦横比補正や台形補正)することで、第1干渉画像71と第2干渉画像72とを同様の測定領域(撮像エリア)に合わせる。そして、制御部5またはユーザは、第2干渉画像72を補正した画像と、第1干渉画像71との間で、欠陥箇所を比較する。また、第1干渉画像71(正面方向からの撮像画像)も、真正面撮像(真正面から見た振動状態の画像)とならず、多少のひずみが生じる場合もある。この場合には、第1干渉画像71(正面方向からの撮像画像)にも縦横比補正および台形補正のような画像補正(ひずみ補正)が加えられる。このような画像補正処理を行うことによって、欠陥検査装置100では、正面方向から見た振動状態(検査対象物8の表面80に略垂直な方向の振動状態)を撮像した画像と、斜め方向から見た振動状態を撮像した画像とを、同様の測定領域(撮像エリア)や位置関係において、画像比較、または、解析処理などによる画像合成などが可能となる。
【0056】
また、他の手法として、第1干渉画像71および第2干渉画像72の撮像時における基準点(4角)データから、第2干渉画像72(斜め方向撮像画像)に対してのみ画像補正が行われてもよい。これにより、補正後の第2干渉画像72と、補正なしの第1干渉画像71(正面方向撮像画像)とで、同様の測定領域(撮像エリア)や位置関係での欠陥箇所の比較が可能となる。なお、第1干渉画像71および第2干渉画像72を合わせこむようにしてひずみ補正を行うための方法であれば、補正の方法は、前述した方法に限られない。また、欠陥検査装置100では、補正前画像(第1干渉画像71と第2干渉画像72)、補正後画像、および、合成画像73の各々が、制御部5の内部または外部のメモリ(記憶装置)に保存(格納)される。なお、これらの画像の保存(格納)は、ユーザによる設定の変更によって、補正前画像、補正後画像、および、合成画像73の各々について、保存(格納)を行うか否かが決定(変更)されてもよい。
【0057】
制御部5は、信号発生器6を介して、振動子1の振動とレーザ照明2のレーザ光の照射のタイミングとを制御し、位相シフト量を変化させながら、干渉画像70(第1干渉画像71および第2干渉画像72)を測定部3により撮像(取得)する。制御部5は、位相シフト量をλ/4ずつ変化させ、各位相シフト量(0、λ/4、λ/2、3λ/4)において、レーザ照射のタイミングj(j=0~7)分の32枚の干渉画像70(第1干渉画像71および第2干渉画像72)と各位相シフト量(0、λ/4、λ/2、3λ/4)前後の5枚の消灯時の画像との合計37枚の画像を測定部3により撮影(取得)する。なお、λは、レーザ光の波長である。
【0058】
制御部5は、イメージセンサ36の受光領域30の各検出素子からの検出信号を下記の手順で処理することにより、干渉画像70(第1干渉画像71および第2干渉画像72)と消灯時の画像から、振動の状態を表す動画像(振動状態の空間分布画像)を取得する。
【0059】
レーザ照射のタイミングj(j=0~7)が同じで位相シフト量がλ/4ずつ異なる画像(4枚ずつ)の輝度値Ij0~Ij3から、式(1)により、光位相(位相シフト量ゼロの時の、2光路間の位相差)Φjを求める。
Φj=-arctan{(Ij3-Ij1)/(Ij2-Ij0)}・・・(1)
光位相Φjに対して、最小二乗法により正弦波近似を行い、式(2)における近似係数A、θ、Cを求める。
Φj=Acos(θ+jπ/4)+C=Bexp(jπ/4)+C・・・(2)
ただし、Bは、複素振幅であり、式(3)のように、表される。
B=Aexp(iθ):複素振幅・・・(3)
ここで、複素振幅Bは、検査対象物8の測定領域における振動の状態を表す動画像(振動状態の空間分布画像)を出力するための基となる画像情報(複素振幅の二次元空間情報)である。式(2)から定数項Cを除いた近似式より、振動の各位相時刻ξ(0≦ξ<2π)における光位相変化を表示する動画像(30~60フレーム)が構成され、検査対象物8の測定領域における振動の状態を表す動画像(振動状態の空間分布画像)として出力される。振動の状態を表す動画像(振動状態の空間分布画像)出力するための画像は、干渉画像70(第1干渉画像71および第2干渉画像72)を用いてもよいし、合成画像73を用いてもよい。また、制御部5は、第1干渉画像71および第2干渉画像72の各々を用いて、振動の状態を表す動画像(振動状態の空間分布画像)をそれぞれ出力し、第1干渉画像71および第2干渉画像72の各々を用いて出力した2種類の振動の状態を表す動画像(振動状態の空間分布画像)を合成処理してもよい。
【0060】
なお、上記過程において、ノイズ除去のため複素振幅Bについて適宜空間フィルタが適用されてもよい。また、位相シフト量やレーザ照射タイミングのステップ(上記例ではそれぞれλ/4およびT/8、ただしTは振動の周期)はこれに限らない。この場合、計算式は上記式(1)~式(3)とは異なる式になる。
【0061】
制御部5は、空間フィルタを適用し、上記の振動状態を表す動画像から、振動状態の不連続領域を検査対象物8の欠陥90として検出する。この時、検査対象物8自体の形状が凹凸などを含む場合、平面部と凹凸部の境界でも、振動状態の不連続が発生する場合があり、それらを欠陥として検出しないように検査対象物8の形状情報を考えあわせて、欠陥90を検出するようにしてもよい。また、制御部5は、振動状態を表す動画像を出力するための基となる干渉画像70(第1干渉画像71および第2干渉画像72)などの干渉光の情報を用いて欠陥90を検出してもよい。
【0062】
制御部5は、振動状態を表す動画像を表示部7に表示する制御を行う。表示部7は、制御部5の制御に基づいて、検査対象物8の測定領域における振動状態を表す動画像を表示する。
【0063】
また、制御部5は、検査対象物8の振動状態を表す干渉画像70(第1干渉画像71および第2干渉画像72)または合成処理した合成画像73を表示部7に表示する制御を行う。表示部7は、制御部5の制御に基づいて、検査対象物8の振動状態を表す干渉画像70(第1干渉画像71および第2干渉画像72)または合成画像73を表示する。
【0064】
なお、検査対象物8の測定領域における振動状態を表す動画像、干渉画像70(第1干渉画像71および第2干渉画像72)および合成画像73は、いずれかを切り替えて表示部7に表示するようにしてもよいし、複数の画像および動画像を組み合わせて表示部7に表示してもよい。
【0065】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0066】
第1実施形態では、欠陥検査装置100および欠陥検査方法は、干渉光を測定する測定部3に向かって反射する第1光路21を経るレーザ光の干渉光に基づいて、第1光路21に沿った方向から見た検査対象物8の振動状態を表す第1干渉画像71を取得する。そして、検査対象物8から第1光路21とは異なる方向に向かって反射する第2光路22を経るレーザ光の干渉光に基づいて、第2光路22に沿った方向から見た検査対象物8の振動状態を表す第2干渉画像72を取得する。これにより、干渉光を測定する測定部3に向かって反射される第1光路21に沿った方向から見た検査対象物8の振動状態を表す第1干渉画像71と、第1光路21とは異なる方向に向かって反射する第2光路22に沿った方向から見た検査対象物8の振動状態を表す第2干渉画像72とを取得することができるので、異なる2方向から検査対象物8の振動状態を表す干渉画像(第1干渉画像71および第2干渉画像72)を取得することができる。したがって、測定部3に対する検査対象物8の角度を変更することなく、測定部3に向かって反射される第1光路21に沿った方向および第1光路21とは異なる方向に向かって反射する第2光路22に沿った方向の互いに異なる方向(異なる2方向)から見た検査対象物8の振動状態の変位を取得することができる。これにより、複数の方向から見た検査対象物8の振動状態の変位を取得することができるので、様々な深さの亀裂(比較的浅い亀裂や比較的深い亀裂など)の振動状態の変位を見ることができる。その結果、測定部3に対する検査対象物8の角度を変更することなく、様々な深さの亀裂の有無を容易に判定することができる。
【0067】
また、第1実施形態による欠陥検査装置100では、以下のように構成したことによって、下記のような更なる効果が得られる。
【0068】
また、第1実施形態の欠陥検査装置100では、上記のように、光学系4は、第1光路21とは異なる方向に向かって反射する第2光路22を経るレーザ光を測定部3に向かって導光するように構成されている。これにより、光学系4が、第1光路21とは異なる方向に向かって反射する第2光路22を経るレーザ光を測定部3に向かって導光するので、第2光路22を経るレーザ光に基づく検査対象物8の振動状態を表す干渉画像(第2干渉画像72)を容易に取得することができる。また、光学系4が、第2光路22を経るレーザ光を測定部3に向かって導光するので、第1光路21を経るレーザ光および第2光路22を経るレーザ光を共通の測定部(測定部3)に入射させることができる。その結果、第1光路21を経るレーザ光および第2光路22を経るレーザ光のそれぞれに対応して、測定部3を設ける場合に比べて、部品点数の増加および装置の大型化を抑制することができる。
【0069】
また、第1実施形態の欠陥検査装置100では、上記のように、検査対象物8から測定部3に向かって反射する第1光路21を経るレーザ光の干渉光と、検査対象物8から第1光路21とは異なる方向に向かって反射し、光学系4によって測定部3に向かって導光される第2光路22を経るレーザ光の干渉光とが共通のイメージセンサ(イメージセンサ36)により撮像されるように構成されている。これにより、第1光路21を経るレーザ光の干渉光および第2光路22を経るレーザ光の干渉光のそれぞれに対応してイメージセンサ(撮像部)を設ける場合に比べて、部品点数の増加を抑制することができるとともに、装置構成を簡素化することができる。
【0070】
また、第1実施形態の欠陥検査装置100では、上記のように、測定部3は、光学系4を介さずに検査対象物8の表面80と直交する方向に沿って測定部3に向う正面方向に向かって検査対象物8から反射する第1光路21を経るレーザ光の干渉光に基づいて、正面方向(第1光路21に沿った方向)から見た検査対象物8の振動状態を表す干渉画像(第1干渉画像71)を取得するように構成されている。これにより、正面方向(第1光路21に沿った方向)から見た検査対象物8の振動状態を表す干渉画像(第1干渉画像71)から、検査対象物8の表面80に直交する方向(上下方向)の変位(変位91a)を取得することができるので、比較的深い亀裂(亀裂91)の有無を判別することができる。また、測定部3は、レーザ光が測定部3に向かう第1光路21に向かって反射する検査対象物8の表面と共通の表面(表面80)に対して、斜め方向に向かって反射する第2光路22を経るレーザ光の干渉光に基づいて、斜め方向から見た検査対象物8の振動状態を表す干渉画像(第2干渉画像72)を取得するように構成されている。これにより、検査対象物8の表面と共通の表面(表面80)に対して、斜め方向から見た検査対象物8の振動状態を表す干渉画像(第2干渉画像72)から、検査対象物8の表面80に沿った方向(面内方向)の変位を検査対象物8の表面80に直交する方向(上下方向)寄りの斜め方向の変位(変位92a)として取得することができるので、比較的浅い亀裂(亀裂92)の有無を判別することができる。これらの結果、検査対象物8の位置を変えることなく、比較的深い亀裂(亀裂91)の有無に加えて、比較的浅い亀裂(亀裂92)の有無を容易に判定することができる。
【0071】
また、第1実施形態の欠陥検査装置100は、上記のように、第1光路21を経るレーザ光および第2光路22を経るレーザ光の各々の干渉光を、第1光路21を経るレーザ光の干渉光および第2光路22を経るレーザ光の干渉光に対応して複数に分割された受光領域30の複数の領域(領域30aおよび領域30b)のそれぞれにおいて受光することにより、第1干渉画像71および第2干渉画像72を同時に取得するように構成されている。これにより、第1光路21を経るレーザ光の干渉光に基づく第1干渉画像71と、第2光路22を経るレーザ光の干渉光に基づく第2干渉画像72とを同時に取得することができるので、検査対象物8の欠陥(欠陥90)の有無を検査するための検査時間を短縮することができる。
【0072】
また、第1実施形態の欠陥検査装置100では、上記のように、制御部5は、検査対象物8の表面80と直交する方向に沿って測定部3に向う正面方向から見た振動状態を表す第1干渉画像71と、検査対象物8の測定領域における検査対象物8の表面80に対して斜め方向から見た振動状態を表す第2干渉画像72とを合成処理した合成画像73を取得するように構成されている。これにより、複数の方向から見た振動状態の変位(変位91aおよび変位92a)を合成画像73により同時に表すことができるので、様々な深さの亀裂の有無をユーザが容易に視認して確認することができる。
【0073】
また、第1実施形態の欠陥検査装置100では、上記のように、制御部5が、少なくとも第2干渉画像72のひずみを補正するように構成されている。これにより、制御部5によって、第2干渉画像72のひずみ補正が行われるので、振動状態の変位の取得方向が互いに異なる第1干渉画像71と第2干渉画像72との間における欠陥(欠陥90)の比較、および、第1干渉画像71と第2干渉画像72との合成処理(合成画像73の取得)を容易に行うことができる。
【0074】
[第2実施形態]
図9~
図14を参照して、第2実施形態による欠陥検査装置200の構成について説明する。なお、図中において、上記第1実施形態と同様の構成の部分には、同一の符号を付している。
図9は、第1光路221に沿った方向に反射する光の撮像に関わる光の収束および発散状態の一例を示している。また、
図10は、第2光路222に沿った方向に反射する光の撮像に関わる光の収束および発散状態の一例を示している。
【0075】
第2実施形態では、第1干渉画像71および第2干渉画像72を同時に取得するように構成されている第1実施形態とは異なり、受光するレーザ光の干渉光を切り替えることにより、第1干渉画像271および第2干渉画像272のそれぞれを取得するように構成されている。
【0076】
欠陥検査装置200では、光学系204は、反射鏡241および反射鏡242を含む。光学系204は、
図9および
図10に示すように、検査対象物8の表面80と、測定部3とが対向する方向において、測定部3と、検査対象物8との間に配置されている。そして、光学系204の一部(反射鏡242)は、第1光路221上に配置されている。
【0077】
第2実施形態による欠陥検査装置200では、ケース40内における光学系204の位置が変更可能に構成されている。欠陥検査装置200は、光学系204の位置を変更することにより、検査対象物8の表面80から反射して、測定部3に入射するレーザ光を、第1光路221を経たレーザ光と、第2光路222を経たレーザ光とに切り替え可能に構成されている。
【0078】
具体的には、欠陥検査装置200は、測定部3と、検査対象物8とが対向する方向と交差する方向において、反射鏡241および242の位置を図示しないアクチュエータなどによって、移動(ずらすことが)可能に構成されている。これにより、欠陥検査装置200(測定部3)は、反射鏡241および242の位置を移動させることによって、第1光路221を経たレーザ光が測定部3に入射する状態(
図9参照)と、光学系204(反射鏡242)が第1光路221上に配置され、第1光路221を経たレーザ光を遮るとともに、光学系204が導光した第2光路222を経たレーザ光が測定部3に入射する状態(
図10参照)とを切り替えるように構成されている。なお、光学系204の位置の切り替えは、制御部5による制御によって行われてもよいし、ユーザの操作によって行われてもよい。また、欠陥検査装置200は、反射鏡242の位置のみを移動させることにより、測定部3に入射するレーザ光を、第1光路221を経たレーザ光と、第2光路222を経たレーザ光とに切り替えるように構成してもよい。なお、反射鏡241および242の角度は、図示しないアクチュエータにより変更可能としてもよい。
【0079】
また、測定部3は、検査対象物8から測定部3に向かって反射する第1光路221を経るレーザ光の干渉光と、検査対象物8から第1光路221とは異なる方向に向かって反射する第2光路222を経るレーザ光の干渉光とを撮像する共通のイメージセンサ(イメージセンサ236)を含む。
【0080】
第2実施形態では、検査対象物8から測定部3に向かって反射する第1光路221を経るレーザ光の干渉光と、検査対象物8から第1光路221とは異なる方向に向かって反射する第2光路222を経るレーザ光の干渉光とが共通のイメージセンサ(イメージセンサ236)により撮像されるように構成されている。
【0081】
第2実施形態では、測定部3は、
図11に示すイメージセンサ236の受光領域の共通の領域(受光領域230)において受光するレーザ光の干渉光を、検査対象物8の共通の表面(表面80)から反射する第1光路221を経るレーザ光の干渉光および第2光路222を経るレーザ光の干渉光のそれぞれに切り替えることにより、第1干渉画像271(
図12参照)および第2干渉画像272(
図13参照)のそれぞれを取得するように構成されている。第2干渉画像272(
図13参照)においては、亀裂91(
図9参照)のような比較的深い亀裂に起因する振動状態の変位91a(振動状態の上下方向の変位)に加えて、亀裂92(
図9参照)のような比較的浅い亀裂に起因する振動状態の変位92a(振動状態の面内方向の変位)が第1干渉画像271(
図12参照)に比べて容易に検出可能である。なお、第1干渉画像271(
図12参照)によって取得(観測)される振動状態の変位の方向は、上記第1実施形態と同様に、検査対象物8に対してレーザ照明2と、第1光路221(測定部3またはビームスプリッタ31)とがなす角を2等分する方向となる。また、第2干渉画像272(
図13参照)によって取得(観測)される振動状態の変位の方向は、検査対象物8に対してレーザ照明2と、第2光路222(反射鏡241)とがなす角を2等分する方向となる。
【0082】
また、制御部5は、検査対象物8の表面80と直交する方向に沿って測定部3に向う正面方向から見た振動状態を表す第1干渉画像271(
図12参照)と、検査対象物8の測定領域における検査対象物8の表面80に対して斜め方向から見た振動状態を表す第2干渉画像272(
図13参照)とを合成処理した合成画像273(
図14参照)を取得するように構成されている。なお、第1干渉画像271と第2干渉画像272とでは、前述したように、変位の取得方向が異なるので縦横比などが異なる。そのため、制御部5は、第1干渉画像271と第2干渉画像272の合成処理の前、または、第1干渉画像271と第2干渉画像272との比較の前に、少なくとも第2干渉画像272に対してひずみ補正(画像補正処理)を行う。なお、第1干渉画像271および第2干渉画像272に対するひずみ補正(画像補正処理)については、上記第1実施形態に記載したような処理と同様の処理が行われる。また、補正前画像(第1干渉画像271および第2干渉画像272)、補正後画像、および、合成画像73の各々の保存(格納)についての処理も上記第1実施形態と同様の処理を行う。
【0083】
なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0084】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0085】
第2実施形態では、欠陥検査装置200および欠陥検査方法は、上記第1実施形態と同様に、測定部3に対する検査対象物8の角度を変更することなく、様々な深さの亀裂(比較的深い亀裂や比較的浅い亀裂など)の有無を容易に判定することができる。
【0086】
また、第2実施形態による欠陥検査装置200では、以下のように構成したことによって、下記のような更なる効果が得られる。
【0087】
また、第2実施形態の欠陥検査装置200では、上記のように、測定部3は、イメージセンサ236(撮像部)の受光領域の共通の領域(受光領域230)において受光するレーザ光の干渉光を、検査対象物8の共通の表面(表面80)から反射する第1光路221を経るレーザ光の干渉光および第2光路222を経るレーザ光の干渉光のそれぞれに切り替えることにより、第1干渉画像271および第2干渉画像272のそれぞれを取得するように構成されている。これにより、測定部3は、イメージセンサ236の受光領域の共通の領域(受光領域230)において受光するレーザ光の干渉光を切り替えることにより、第1干渉画像271および第2干渉画像272のそれぞれを取得するので、イメージセンサ236の受光領域230を複数の領域に分割せずに第1光路221を経るレーザ光の干渉光および第2光路222を経るレーザ光の干渉光のそれぞれを取得することができる。その結果、イメージセンサ236の受光領域230を複数の領域に分割して第1光路221を経るレーザ光の干渉光および第2光路222を経るレーザ光の干渉光のそれぞれを同時に受光する場合に比べて、第1光路221を経るレーザ光の干渉光および第2光路222を経るレーザ光の干渉光のそれぞれをより広い領域(受光領域)で取得することができるので、第1干渉画像271および第2干渉画像272の各々をより広い測定領域において取得することができる。
【0088】
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0089】
[第3実施形態]
図15~
図20を参照して、第3実施形態による欠陥検査装置300の構成について説明する。なお、図中において、上記第1および第2実施形態と同様の構成の部分には、同一の符号を付している。
【0090】
検査対象物8が板状の部材である第1実施形態とは異なり、第3実施形態における検査対象物308は、
図15および
図16に示すように、曲面380を有する対象物である。検査対象物308は、たとえば、円筒形状または円柱形状を有する対象物できる。欠陥検査装置500は、後述する検査対象物308の振動状態を表す干渉画像370(
図20参照)を取得するように構成されており、検査対象物308の欠陥390(
図16参照)の有無を判定するように構成されている。なお、
図15では、第1光路321側の2系統の光軸が一点鎖線により示されるととともに、第2光路322側の2系統の光軸が破線により示されている。
【0091】
また、欠陥検査装置300は、
図15に示すように、レーザ照明2が照射したレーザ光を反射する反射鏡320をさらに備える。また、レーザ照明2と、反射鏡320とが検査対象物308を挟むように配置されている。レーザ照明2が照射したレーザ光を反射鏡320が反射することにより、検査対象物308のレーザ照明2と対向する側(表側)だけでなく、検査対象物308のレーザ照明2と対向する側とは反対側(裏側)にも、レーザ照明2が照射したレーザ光を届かせることが可能である。
【0092】
第3実施形態では、光学系304は、反射鏡341、反射鏡342およびレンズ343を含む。また、光学系304は、第1光路321以外の位置に設けられ、レーザ光が測定部3に向かう第1光路321に向かって反射する曲面380を有する検査対象物308の測定領域とは異なる測定領域から反射する第2光路322を経るレーザ光を測定部3に向かって導光するように構成されている。
【0093】
具体的には、光学系304は、第1光路321に向かって反射する検査対象物308の測定領域とは異なる測定領域から反射する第2光路322を経るレーザ光を、反射鏡341にて反射した後、反射鏡342によりさらに反射させる。そして、光学系304は、反射鏡342によりさらに反射させた第2光路322を経るレーザ光をレンズ343にて屈折させ、測定部3に入射させることにより、第1光路321とは異なる方向に向かって反射する第2光路322を経るレーザ光を測定部3に向かって導光するように構成されている。
【0094】
また、測定部3は、検査対象物308の複数の測定領域において、振動状態を表す干渉画像370を取得するように構成されている。具体的には、測定部3は、第1光路321に向かってレーザ光を反射する測定部3に対向する正面側の領域と、第2光路322に向かってレーザ光を反射する側面側の領域とにおいて、振動状態を表す干渉画像370(
図20参照)を取得するように構成されている。
【0095】
測定部3は、検査対象物308の互いに異なる測定領域から反射される第1光路321を経るレーザ光および第2光路322を経るレーザ光の各々の干渉光を、
図17に示すように、第1光路321を経るレーザ光の干渉光および第2光路322を経るレーザ光の干渉光に対応して複数に分割されたイメージセンサ336の受光領域330の複数の領域(領域330aおよび領域330b)のそれぞれにおいて受光している。これにより、測定部3は、曲面380を有する検査対象物308の互いに異なる測定領域の振動状態を表す干渉画像371および372を同時に取得するように構成されている。すなわち、欠陥検査装置300は、検査対象物308から複数の方向(2方向)に反射したレーザ光の干渉光のそれぞれに対応して、干渉画像371および372を同時に取得するように構成されている。
【0096】
図17に示すように、イメージセンサ336は、測定部3が干渉させたレーザ光の干渉光を受光する受光領域330(領域330aおよび領域330b)を有している。測定部3は、検査対象物308から測定部3に対向する方向に沿って反射する第1光路321を経るレーザ光(
図18参照)の干渉光を、イメージセンサ336における受光領域330の領域330a(
図17参照)において受光することにより、干渉画像371を取得するように構成されている。なお、
図18は、第1光路321に沿った方向に反射する光の撮像に関わる光の収束および発散状態の一例を示している。
【0097】
また、測定部3は、検査対象物308から測定部3に対向する方向に直交する方向に沿って反射する第2光路322を経るレーザ光(
図19参照)の各々の干渉光を、イメージセンサ336における受光領域330の領域330b(
図17参照)において受光することにより、干渉画像372を取得するように構成されている。なお、
図19は、第2光路322に沿った方向に反射する光の撮像に関わる光の収束および発散状態の一例を示している。
【0098】
第3実施形態では、制御部5は、検査対象物308の曲面380の曲率に基づいて、取得した検査対象物308の振動状態を表す干渉画像370の少なくとも検査対象物308の曲面380に沿った方向における長さを補正するように構成されている。
【0099】
また、第3実施形態では、制御部5は、検査対象物308の曲面380に沿った方向において、複数の測定領域における振動状態を表す干渉画像370を連続的に連結するように構成されている。
【0100】
具体的には、制御部5は、予め取得した測定領域における検査対象物308の曲面380の曲率に基づいて、干渉画像371および372の検査対象物308の曲面380に沿った方向における長さを補正(画像補正)する。また同時に、制御部5は、干渉画像370のうち、干渉画像371および372以外の部分と、干渉画像371と干渉画像372との間で重複する部分とを削除する。そして、干渉画像371および372の残された部分が連結(画像連結)される。また、イメージセンサ336によって撮像される画像では、撮像距離が近いと対象が大きく撮像され、撮像距離が遠いと対象が小さく撮像される。そのため、制御部5は、曲面380に沿った方向における長さの補正に加えて、撮像距離(検査対象物308の曲面380に対する距離)に応じた補正を行ってもよい。これにより、検査対象物308のように曲面(曲面380)を有する対象であっても、撮像距離の違いに起因するひずみを補正することができるので、画像連結の処理を容易に行うことが可能である。また、撮像距離に応じた補正により、検査対象物308の曲面380における画像の視認性が高まるので、ユーザがより容易に欠陥(欠陥390)の有無を判定することが可能である。
【0101】
制御部5は、
図20に示すように、干渉画像370(干渉画像371および372)に対して、画像補正および画像連結を行うことにより、連結画像373を生成する。
【0102】
また、欠陥検査装置300は、干渉画像370(干渉画像371および372)から、検査対象物308の欠陥390に起因する振動状態の変位390a(
図20参照)を取得するように構成されている。欠陥検査装置300は、取得した振動状態の変位390aに基づいて、上記第1実施形態と同様に検査対象物308の欠陥(欠陥390)の有無を判定することができる。
【0103】
なお、第3実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0104】
(第3実施形態の効果)
第3実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0105】
ここで、第3実施形態は、検査対象物が曲面を有する場合において、検査対象物および測定部の位置を変化させずに欠陥の有無を判定する測定領域を容易に広げることが困難であるという課題を解決するためになされた実施形態である。すなわち、第3実施形態では、欠陥検査装置300および欠陥検査方法は、第1光路321に沿った方向から見た検査対象物308の振動状態を表す干渉画像371および第2光路322に沿った方向から見た検査対象物308の振動状態を表す干渉画像372を取得するので、異なる2方向から振動状態を表す干渉画像(干渉画像371および372)を取得することができる。これにより、検査対象物308の曲面380に対して複数の方向から検査対象物308の振動状態を表す干渉画像(干渉画像371および372)を取得することができるので、曲面380を有する検査対象物308の振動状態を表す干渉画像を1方向のみから取得する場合と異なり、検査対象物308および測定部3の位置を変化させずに欠陥(欠陥390)の有無を判定する測定領域を拡げることができる。その結果、検査対象物308が曲面380を有する場合において、検査対象物308および測定部3の位置を変化させずに欠陥(欠陥390)の有無を判定する測定領域を容易に広げることができる。
【0106】
また、第3実施形態による欠陥検査装置300では、以下のように構成したことによって、下記のような更なる効果が得られる。
【0107】
また、第3実施形態の欠陥検査装置300では、上記のように、測定部3は、第1光路321を経るレーザ光および第2光路322を経るレーザ光の各々の干渉光を領域330aおよび領域330bのそれぞれにおいて受光することにより、曲面380を有する検査対象物308の互いに異なる測定領域の振動状態を表す干渉画像370(干渉画像371および372)を同時に取得するように構成されている。これにより、第1光路221を経るレーザ光の干渉光に基づく干渉画像371と、第2光路322を経るレーザ光の干渉光に基づく干渉画像372とを同時に取得することができるので、検査対象物308の欠陥(欠陥390)の有無を検査するための検査時間を短縮することができる。
【0108】
また、第3実施形態の欠陥検査装置300では、上記のように、制御部5は、検査対象物308の曲面380の曲率に基づいて、取得した検査対象物308の振動状態を表す干渉画像370(干渉画像371および372)の少なくとも検査対象物308の曲面380に沿った方向における長さを補正するように構成されている。これにより、検査対象物308の曲面380における画像の視認性が高まるので、ユーザがより容易に欠陥(欠陥390)の有無を判定することができる。
【0109】
また、第3実施形態の欠陥検査装置300では、上記のように、制御部5は、検査対象物308の曲面380に沿った方向において、複数の測定領域における振動状態を表す干渉画像370(干渉画像371および372)を連続的に連結するように構成されている。これにより、ユーザは、複数の測定領域における検査対象物308の振動状態を表す干渉画像371および372をまとめて視認することができる。
【0110】
[第4実施形態]
図21~
図24を参照して、第4実施形態による欠陥検査装置400の構成について説明する。なお、図中において、上記第1~第3実施形態と同様の構成の部分には、同一の符号を付している。
【0111】
第4実施形態による欠陥検査装置400は、検査対象物308から四方(4方向)に反射するレーザ光の干渉光に基づいて、振動状態を表す干渉画像470を取得するように構成されている。
【0112】
欠陥検査装置400の測定部3は、
図21に示す検査対象物308から反射して第1光路421を経るレーザ光、第2光路422を経るレーザ光、第3光路423を経るレーザ光および第4光路424を経るレーザ光の各々の干渉光に基づいて、干渉画像470を取得するように構成されている。第1光路421は、検査対象物308から直接測定部3に向かって反射する光路である。また、欠陥検査装置500は、第2光路422を経るレーザ光、第3光路423を経るレーザ光および第4光路424を経るレーザ光のそれぞれに対応して、上記第3実施形態に示したような反射鏡やレンズなどの光学系を用いて、測定部3に導光するように構成されている。
【0113】
欠陥検査装置400のイメージセンサ436は、
図22に示すように、光を受光する受光領域430を有しており、受光領域430は、4つの領域(領域430a、430b、430cおよび430d)を含む。
【0114】
イメージセンサ436は、第1光路421を経るレーザ光、第2光路422を経るレーザ光、第3光路423を経るレーザ光および第4光路424を経るレーザ光の各々の干渉光を、領域430a、430b、430cおよび430dのそれぞれにおいて受光する。これにより、欠陥検査装置400の測定部3は、検査対象物308の四方(4つの方向に沿った方向)から見た検査対象物308の振動状態を表す干渉画像470(
図23参照)を取得することが可能である。
【0115】
イメージセンサ436の受光領域430において、受光した干渉光に基づく干渉画像470は、干渉画像471、472、473および474を含む。干渉画像471は、領域430aにおいて受光した第1光路421を経るレーザ光の干渉光に基づく画像である。干渉画像472は、領域430bにおいて受光した第2光路422を経るレーザ光の干渉光に基づく画像である。干渉画像473は、領域430cにおいて受光した第3光路423を経るレーザ光の干渉光に基づく画像である。干渉画像474は、領域430dにおいて受光した第4光路424を経るレーザ光の干渉光に基づく画像である。
【0116】
第4実施形態では、上記第4実施形態と同様に、制御部5が、
図24に示すように、干渉画像470(干渉画像471、472、473および474)に対して、画像補正および画像連結を行うことにより、見開き画像475を生成する。
【0117】
具体的には、制御部5は、予め取得した測定領域における検査対象物308の曲面380の曲率に基づいて、干渉画像471、472、473および474の検査対象物308の曲面380に沿った方向における長さを補正(画像補正)する。また同時に、制御部5は、干渉画像470のうち、干渉画像471、472、473および474以外の部分と、干渉画像471、472、473および474の各々の間で重複する部分とを削除する。そして、干渉画像471、472、473および474の残された部分が連結(画像連結)される。
【0118】
なお、第4実施形態のその他の構成および効果は、上記第3実施形態と同様である。
【0119】
[第5実施形態]
図25~
図31を参照して、第5実施形態による欠陥検査装置500の構成について説明する。なお、図中において、上記第1~第4実施形態と同様の構成の部分には、同一の符号を付している。そして、
図25は、第1光路521に沿った方向に反射する光の撮像に関わる光の収束および発散状態の一例を示している。また、
図26は、第2光路522に沿った方向に反射する光の撮像に関わる光の収束および発散状態の一例を示している。
【0120】
第5実施形態では、曲面380を有する検査対象物308の互いに異なる測定領域の振動状態を表す干渉画像371および372を同時に取得するように構成されている第3実施形態とは異なり、受光するレーザ光の干渉光を切り替えることにより、異なる測定領域の曲面380を有する検査対象物308の振動状態を表す干渉画像571および572のそれぞれを取得するように構成されている。
【0121】
欠陥検査装置500では、光学系504は、反射鏡541、反射鏡542およびレンズ543を含む。光学系504は、第1光路521を経るレーザ光が測定部3に向かって反射する曲面380を有する検査対象物308の測定領域とは異なる測定領域から反射する第2光路522を経るレーザ光を測定部3に向かって導光するように構成されている。
【0122】
反射鏡541は、検査対象物308と、測定部3とが対向する方向と直交する方向から見て、検査対象物308と重なるように配置されている。また、反射鏡542およびレンズ543は、
図25および
図26に示すように、検査対象物8の表面80と、測定部3とが対向する方向において、測定部3と、検査対象物8との間に配置されている。そして、光学系504の一部(レンズ543)は、第1光路521上に配置されている。
【0123】
第5実施形態による欠陥検査装置500は、ケース40内における光学系504の位置を変更可能に構成されている。欠陥検査装置500は、光学系504の位置を変更することにより、検査対象物308の表面(曲面380)から反射して、測定部3に入射するレーザ光を、第1光路521を経たレーザ光と、第2光路522を経たレーザ光とに切り替え可能に構成されている。
【0124】
具体的には、欠陥検査装置500は、測定部3と、検査対象物8とが対向する方向と交差する方向において、反射鏡541、反射鏡542およびレンズ543の位置を図示しないアクチュエータなどによって、移動させる(ずらす)ことにより、第1光路521を経たレーザ光が測定部3に入射する状態(
図25参照)と、光学系504(レンズ543)が第1光路521上に配置され、第1光路521を経たレーザ光を遮るとともに、光学系504が導光した第2光路522を経たレーザ光が測定部3に入射する状態(
図26参照)とを切り替えるように構成されている。なお、光学系504の位置の切り替えは、制御部5による制御によって行われてもよいし、ユーザの操作によって行われてもよい。また、欠陥検査装置500は、レンズ543の位置のみを移動させることにより、測定部3に入射するレーザ光を、第1光路221を経たレーザ光と、第2光路222を経たレーザ光とに切り替えるように構成してもよい。
【0125】
また、測定部3は、
図25および
図26に示すように、検査対象物308から測定部3に向かって反射する第1光路521を経るレーザ光の干渉光と、検査対象物308から第1光路521とは異なる方向に向かって反射する第2光路522を経るレーザ光の干渉光とを撮像する共通のイメージセンサ(イメージセンサ536)を含む。
【0126】
第5実施形態では、
図25~
図27に示す検査対象物308から測定部3に向かって反射する第1光路521を経るレーザ光の干渉光と、検査対象物8から第1光路521とは異なる方向に向かって反射する第2光路522を経るレーザ光の干渉光とが共通のイメージセンサ(イメージセンサ536)により撮像されるように構成されている。
【0127】
イメージセンサ536は、
図28に示すように、測定部3が干渉させたレーザ光の干渉光を受光する受光領域530を有している。
【0128】
測定部3は、イメージセンサ36の受光領域の共通の領域(受光領域530)において受光するレーザ光の干渉光を、曲面380を有する検査対象物308の互いに異なる測定領域から反射される、第1光路521を経るレーザ光の干渉光および第2光路522を経るレーザ光の干渉光のそれぞれに切り替えることにより、異なる測定領域の曲面380を有する検査対象物308の振動状態を表す干渉画像571(
図29参照)および干渉画像572(
図30参照)をそれぞれ取得するように構成されている。
【0129】
第5実施形態では、制御部5が、
図31に示すように、干渉画像571および572に対して、画像補正および画像連結を行うことにより、見開き画像573を生成する。
【0130】
具体的には、制御部5は、予め取得した測定領域における検査対象物308の曲面380の曲率に基づいて、干渉画像571および572の検査対象物308の曲面380に沿った方向における長さを補正(画像補正)する。また同時に、制御部5は、干渉画像571と、572の間で重複する部分とを削除する。そして、干渉画像571および572の残された部分が連結(画像連結)される。
【0131】
なお、第5実施形態のその他の構成は、上記第3および第4実施形態と同様である。
【0132】
(第5実施形態の効果)
第5実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0133】
第5実施形態では、欠陥検査装置500および欠陥検査方法は、検査対象物308が曲面380を有する場合において、検査対象物308および測定部3の位置を変化させずに欠陥(欠陥390)の有無を判定する測定領域を容易に広げることができる。
【0134】
また、第5実施形態による欠陥検査装置500では、以下のように構成したことによって、下記のような更なる効果が得られる。
【0135】
また、第5実施形態の欠陥検査装置500では、上記のように、測定部3は、イメージセンサ536(撮像部)の受光領域の共通の領域(受光領域530)において受光するレーザ光の干渉光を、第1光路521を経るレーザ光の干渉光および第2光路522を経るレーザ光の干渉光のそれぞれに切り替えることにより、異なる測定領域の曲面380を有する検査対象物308の振動状態を表す干渉画像571および572をそれぞれ取得するように構成されている。これにより、測定部3は、イメージセンサ536の受光領域の共通の領域(受光領域530)において受光するレーザ光の干渉光を切り替えることにより、干渉画像571および干渉画像572のそれぞれを取得するので、イメージセンサ536の受光領域530を複数の領域に分割せずに第1光路521を経るレーザ光の干渉光および第2光路522を経るレーザ光の干渉光のそれぞれを取得することができる。その結果、イメージセンサ536の受光領域530を複数の領域に分割して第1光路521を経るレーザ光の干渉光および第2光路522を経るレーザ光の干渉光のそれぞれを同時に受光する場合と比べて、第1光路521を経るレーザ光の干渉光および第2光路522を経るレーザ光の干渉光のそれぞれをより広い領域で取得することができるので、干渉画像571および干渉画像572の各々をより広い測定領域において取得することができる。
【0136】
なお、第5実施形態のその他の効果は、上記第3実施形態と同様である。
【0137】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく請求の範囲によって示され、さらに請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0138】
たとえば、上記第1~第5実施形態では、レーザ照明2(照射部)が、検査対象物8の表面80と、測定部3との間に配置されている例または検査対象物308の曲面380と、測定部3との間に配置されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、測定部および照射部は、照射部と検査対象物の表面とが対向する方向において、略同じ位置に配置されてもよい。この場合、測定部と照射部とが検査対象物の表面に沿った方向において、隣り合うように配置される。すなわち、測定部と照射部とが検査対象物の表面に沿った方向において、ずらして配置される。
【0139】
また、上記第1実施形態では、第1光路21を経るレーザ光の干渉光を測定する測定部3に向かって、第2光路22を経るレーザ光を導光する光学系4を備える例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、光学系を備えずに、第1光路を経るレーザ光および第2光路を経るレーザ光の各々に対応して、測定部が設けられてもよい。
【0140】
また、上記実施形態では、イメージセンサ36(撮像部)により、第1光路21を経るレーザ光の干渉光と、第2光路22を経るレーザ光の干渉光とを受光する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第1光路を経るレーザ光および第2光路を経るレーザ光の各々の干渉光に対応して、撮像部が設けられてもよい。
【0141】
また、上記第1~第5実施形態では、光学系を介さずに第1光路21、221、321または521を経るレーザ光が測定部3に入射するように構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第1光路を経るレーザ光は、反射鏡やレンズなどの光学系を介して、測定部に入射するように構成してもよい。
【0142】
また、上記第1実施形態では、第1干渉画像71および第2干渉画像72を合成処理した合成画像73を取得する例、第2実施形態では、第1干渉画像271および第2干渉画像272を合成処理した合成画像273を取得する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、合成画像を取得せずに、第1干渉画像および第2干渉画像のみが取得されてもよい。
【0143】
また、上記第3~第5実施形態では、制御部5(画像処理部)は、干渉画像(干渉画像371、372、471、472、473、474、571および572)に対して画像補正処理および画像連結処理を行う構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、画像処理部は、干渉画像に対して画像補正処理または画像連結処理のいずれか一方のみを行うように構成してもよいし、画像補正処理および画像連結処理のいずれも行わなくてもよい。
【0144】
また、上記第3~第5実施形態では、レーザ照明2(照射部)から照射されたレーザ光が反射鏡320によって反射される構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、
図32に示す第1変形例による欠陥検査装置600のように、レーザ照明2を複数設け、曲面380を有する検査対象物308に対して、複数の方向からレーザ光が照射されるように構成してもよい。
【0145】
また、上記第1および第2実施形態では、検査対象物8は、板状の部材である例を示し、上記第3~第5実施形態では、検査対象物308は、円筒形状または円柱形状を有する対象物である例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、検査対象物は、曲面と平面とが組み合わさった形状の対象物でもよいし、椀形形状の対象物でもよい。
【0146】
[態様]
上記した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0147】
(項目1)
検査対象物に弾性波振動を付与して励起する励振部と、
前記励振部により弾性波振動が励起された状態の前記検査対象物にレーザ光を照射する照射部と、
前記検査対象物により反射された前記レーザ光の位相を変化させ、位相変化前後の前記レーザ光同士を干渉させるとともに、干渉光を測定する測定部と、を備え、
前記測定部は、前記照射部から照射され、前記検査対象物から前記測定部に向かって反射する第1光路を経る前記レーザ光の干渉光に基づいて、前記第1光路に沿った方向から見た前記検査対象物の振動状態を表す干渉画像を取得するとともに、前記照射部から照射され、前記検査対象物から前記第1光路とは異なる方向に向かって反射する第2光路を経る前記レーザ光の干渉光に基づいて、前記第2光路に沿った方向から見た前記検査対象物の振動状態を表す干渉画像を取得するように構成されている、欠陥検査装置。
【0148】
(項目2)
前記第1光路とは異なる方向に向かって反射する前記第2光路を経る前記レーザ光を前記測定部に向かって導光する光学系をさらに備え、
前記測定部は、前記光学系を介さずに前記検査対象物から直接前記測定部に向かって反射する前記第1光路を経る前記レーザ光の干渉光に基づいて、前記第1光路に沿った方向から見た前記検査対象物の振動状態を表す干渉画像を取得するとともに、前記光学系によって前記測定部に向かって導光される前記第2光路を経る前記レーザ光の干渉光に基づいて、前記第2光路に沿った方向から見た前記検査対象物の振動状態を表す干渉画像を取得するように構成されている、項目1に記載の欠陥検査装置。
【0149】
(項目3)
前記測定部は、前記検査対象物から前記測定部に向かって反射する前記第1光路を経る前記レーザ光の干渉光と、前記検査対象物から前記第1光路とは異なる方向に向かって反射し、前記光学系によって前記測定部に向かって導光される前記第2光路を経る前記レーザ光の干渉光とを撮像する共通の撮像部を含む、項目2に記載の欠陥検査装置。
【0150】
(項目4)
前記測定部は、前記検査対象物の表面と直交する方向に沿って前記測定部に向う正面方向に向かって前記検査対象物から反射する前記第1光路を経る前記レーザ光の干渉光に基づいて、前記正面方向から見た前記検査対象物の振動状態を表す干渉画像を取得するとともに、前記検査対象物の表面に対して斜め方向に向かって反射する前記第2光路を経る前記レーザ光の干渉光に基づいて、前記斜め方向から見た前記検査対象物の振動状態を表す干渉画像を取得するように構成されている、項目1~3のいずれか1項に記載の欠陥検査装置。
【0151】
(項目5)
前記測定部は、前記光学系を介さずに前記検査対象物の表面と直交する方向に沿って前記測定部に向う正面方向に向かって前記検査対象物から反射する前記第1光路を経る前記レーザ光の干渉光に基づいて、前記正面方向から見た振動状態を表す第1干渉画像を取得するとともに、前記レーザ光が前記測定部に向かう前記第1光路に向かって反射する前記検査対象物の表面と共通の表面に対して、前記第1光路とは異なり、斜め方向に向かって反射する前記第2光路を経て、前記光学系によって導光されることにより前記測定部に向かって導光される前記レーザ光の干渉光に基づいて、前記斜め方向から見た振動状態を表す第2干渉画像を取得するように構成されている、項目3に記載の欠陥検査装置。
【0152】
(項目6)
前記撮像部は、前記測定部が干渉させた前記レーザ光の干渉光を受光する受光領域を有しており、
前記光学系は、前記第1光路以外の位置に設けられ、前記第2光路を経る前記レーザ光を前記測定部に向かって導光するように構成されており、
前記測定部は、前記検査対象物の共通の表面から反射する前記第1光路を経る前記レーザ光および前記第2光路を経る前記レーザ光の各々の干渉光を、前記第1光路を経る前記レーザ光の干渉光および前記第2光路を経る前記レーザ光の干渉光に対応して複数に分割された前記受光領域の複数の領域のそれぞれにおいて受光することにより、前記第1干渉画像および前記第2干渉画像を同時に取得するように構成されている、項目5に記載の欠陥検査装置。
【0153】
(項目7)
前記撮像部は、前記測定部が干渉させた前記レーザ光の干渉光を受光する受光領域を有しており、
前記測定部は、前記撮像部の前記受光領域の共通の領域において受光する前記レーザ光の干渉光を、前記検査対象物の共通の表面から反射する前記第1光路を経る前記レーザ光の干渉光および前記第2光路を経る前記レーザ光の干渉光のそれぞれに切り替えることにより、前記第1干渉画像および前記第2干渉画像のそれぞれを取得するように構成されている、項目5に記載の欠陥検査装置。
【0154】
(項目8)
前記検査対象物の表面と直交する方向に沿って前記測定部に向う前記正面方向から見た振動状態を表す前記第1干渉画像と、前記検査対象物の測定領域における前記検査対象物の表面に対して斜め方向から見た振動状態を表す前記第2干渉画像とを合成処理した合成画像を取得するように構成されている画像処理部をさらに備える、項目5~7のいずれか1項に記載の欠陥検査装置。
【0155】
(項目9)
前記画像処理部は、前記検査対象物の表面と直交する方向に沿って前記測定部に向う前記正面方向から見た振動状態を表す前記第1干渉画像と、前記検査対象物の測定領域における前記検査対象物の表面に対して前記斜め方向から見た振動状態を表す前記第2干渉画像とのうち、少なくとも前記第2干渉画像のひずみを補正するように構成されている、項目8に記載の欠陥検査装置。
【0156】
(項目10)
前記検査対象物は、曲面を有する対象物であり、
前記撮像部は、前記測定部が干渉させた前記レーザ光の干渉光を受光する受光領域を有しており、
前記光学系は、前記第1光路以外の位置に設けられ、前記レーザ光が前記測定部に向かう前記第1光路に向かって反射する前記曲面を有する前記検査対象物の測定領域とは異なる測定領域から反射する前記第2光路を経る前記レーザ光を前記測定部に向かって導光するように構成されており、
前記測定部は、前記検査対象物の互いに異なる測定領域から反射される前記第1光路を経る前記レーザ光および前記第2光路を経る前記レーザ光の各々の干渉光を、前記第1光路を経る前記レーザ光の干渉光および前記第2光路を経る前記レーザ光の干渉光に対応して複数に分割された前記撮像部の前記受光領域の複数の領域のそれぞれにおいて受光することにより、前記曲面を有する前記検査対象物の互いに異なる測定領域の振動状態を表す干渉画像を同時に取得するように構成されている、項目3に記載の欠陥検査装置。
【0157】
(項目11)
前記検査対象物は、曲面を有する対象物であり、
前記撮像部は、前記測定部が干渉させた前記レーザ光の干渉光を受光する受光領域を有しており、
前記光学系は、前記第1光路を経る前記レーザ光が前記測定部に向かって反射する前記曲面を有する前記検査対象物の測定領域とは異なる測定領域から反射する前記第2光路を経る前記レーザ光を前記測定部に向かって導光するように構成されており、
前記測定部は、前記撮像部の前記受光領域の共通の領域において受光する前記レーザ光の干渉光を、前記曲面を有する前記検査対象物の互いに異なる測定領域から反射される、前記第1光路を経る前記レーザ光の干渉光および前記第2光路を経る前記レーザ光の干渉光のそれぞれに切り替えることにより、異なる測定領域の前記曲面を有する前記検査対象物の振動状態を表す干渉画像をそれぞれ取得するように構成されている、項目3に記載の欠陥検査装置。
【0158】
(項目12)
前記検査対象物の前記曲面の曲率に基づいて、取得した前記検査対象物の振動状態を表す干渉画像の少なくとも前記検査対象物の前記曲面に沿った方向における長さを補正するように構成されている画像処理部をさらに備える、項目10または11に記載の欠陥検査装置。
【0159】
(項目13)
前記測定部は、前記検査対象物の複数の測定領域において、振動状態を表す干渉画像を取得するように構成されており、
前記画像処理部は、前記検査対象物の前記曲面に沿った方向において、複数の測定領域における振動状態を表す干渉画像を連続的に連結するように構成されている、項目12に記載の欠陥検査装置。
【0160】
(項目14)
検査対象物に弾性波振動を付与して励起し、
弾性波振動が励起された状態の前記検査対象物にレーザ光を照射し、
前記検査対象物により反射された前記レーザ光の位相を変化させ、位相変化前後の前記レーザ光同士を干渉させるとともに、干渉光を測定する測定部に向かって反射する第1光路を経る前記レーザ光の干渉光に基づいて、前記第1光路に沿った方向から見た前記検査対象物の振動状態を表す干渉画像を取得するとともに、前記検査対象物から前記第1光路とは異なる方向に向かって反射する第2光路を経る前記レーザ光の干渉光に基づいて、前記第2光路に沿った方向から見た前記検査対象物の振動状態を表す干渉画像を取得する、欠陥検査方法。
【符号の説明】
【0161】
1 振動子(励振部)
2 レーザ照明(照射部)
3 測定部
4、204、304、504 光学系
5 制御部(画像処理部)
8、308 検査対象物
21、221、321、421、521 第1光路
22、222、322、422、522 第2光路
30、230、330、430、530 受光領域
30a、30b、330a、330b、430a、430b、430c、430d 領域
36、236、336、436、536 イメージセンサ(撮像部)
70、370、470 干渉画像
71、271 第1干渉画像
72、272 第2干渉画像
73、273 合成画像
80 (検査対象物の)表面
100、200、300、400、500、600 欠陥検査装置
380 (検査対象物の)曲面
371、372、471、472、473、474、571、572 干渉画像