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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B60G 1/04 20060101AFI20240501BHJP
【FI】
B60G1/04
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020141196
(22)【出願日】2020-08-24
(65)【公開番号】P2022036812
(43)【公開日】2022-03-08
【審査請求日】2023-06-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000211695
【氏名又は名称】中西金属工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100177264
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 嘉秀
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【識別番号】100163577
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 正人
(72)【発明者】
【氏名】山口 晴行
(72)【発明者】
【氏名】北口 亮一
【審査官】浅野 麻木
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-156289(JP,A)
【文献】特開2011-046336(JP,A)
【文献】特開2010-052490(JP,A)
【文献】国際公開第2017/094717(WO,A1)
【文献】特開昭59-140111(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0289250(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第102616097(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60G 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、駆動輪を備える本体部と、荷を保持する荷保持部とからなる搬送装置であって、
前記本体部は、
前記駆動輪を前記本体部の基体に懸架する懸架部と、
走行面に対する付勢力を、前記懸架部を介して前記駆動輪に与える付勢部材と、
前記付勢部材を押圧することで、前記付勢力を調整する付勢力調整部と、
を備え、
前記荷保持部が前記荷を保持している保持状態と、前記荷保持部が前記荷を保持していない非保持状態とに前記荷保持部を変位動作させる変位動作部を備え、
前記付勢力調整部は、
一端部及び他端部を有する動作伝達部材を備え、
前記動作伝達部材は、
前記一端部及び前記他端部を除く所定の位置で支持され、前記本体部の基体に対してシーソー状に揺動し、
前記一端部が前記荷保持部の前記変位動作に連動し、それにより前記動作伝達部材が揺動して前記他端部が前記付勢力を調整する、
搬送装置。
【請求項2】
前記荷保持部は、
前記荷を下方より支持することで前記保持状態とし、
前記荷の下方へ離間することで前記非保持状態とする、
請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記荷保持部が変位することで前記荷保持部が前記荷を保持して、前記荷保持部に所定の荷重が掛かってから、前記付勢力調整部が前記付勢部材を押圧する、
請求項1又は2に記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷を保持して搬送する搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
荷を保持して搬送する搬送装置として、荷の有無を検知して、駆動輪の路面に対する圧力を調整するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の搬送装置は、車体2に対して、2個の駆動輪3をバネ10により支持し、遊輪1を固定しており、車体2の上面から飛び出たピストンロッド12aを有する検出用シリンダ12を車体2に設けている。そして、検出用シリンダ12により、荷台11上の荷の有無を検出するとともに、荷を載せた際に下降するピストンロッド12aにより流体に作用する圧力で動作用シリンダ7を駆動する。
【0004】
すなわち、荷の重量によりピストンロッド12aが下がると、その圧力が検出用シリンダ12内及び配管13内の流体を介して動作用シリンダ7に伝達され、動作用シリンダ7のピストン8が下降する。ピストン8が下降することでバネ10を縮め、それにより駆動輪3の路面に対する圧力を高めている。
【0005】
荷台11から荷が無くなると、検出用シリンダ12のピストンロッド12aが元の位置まで上昇し、動作用シリンダ7への圧力の伝達が無くなることから、バネ10はその復元力で元に長さに戻るので、駆動輪3へ加えられる圧力は、荷台11に荷を載せる前の状態まで小さくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開昭59-140111号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
荷を保持して搬送する搬送装置において、安定して走行するためには、走行重量(搬送装置の自重+荷の重量)に見合った駆動力と、駆動輪と地面の間の摩擦力が必要である。
搬送装置が荷を保持したときに駆動輪において十分な摩擦力が得られないと、駆動輪がスリップしてしまう。
【0008】
特許文献1の搬送装置の前記構成によれば、荷台11に荷が無い状態から荷を載せると、前記のとおり、荷台11に荷が無い状態よりも駆動輪3の路面に対する圧力が高くなるので、走行重量(搬送装置の自重+荷の重量)に見合った駆動力を伝える摩擦力を得ることができる。そして、荷台11から荷が無くなると、前記のとおり、駆動輪3へ加えられる圧力は、荷台11に荷を載せる前の状態まで小さくなる。
【0009】
しかしながら、荷の有無を検出するために、車体2の上面から飛び出たピストンロッド12aを有する検出用シリンダ12を車体2に設けており、検出用シリンダ12は、上下方向に移動するピストンロッド12a、及び流体を収容する。このような検出用シリンダ12を設けると、製造コストが増大するとともに、搬送装置の小形化及び低床化が困難になる。その上、検出用シリンダ12と駆動用シリンダ7とを配管13で接続し、ピストンロッド12aとピストン8との間を流体で満たして密封する必要があるので、保守コストが増大する。
【0010】
本発明は、荷を保持して搬送する、荷の有無に応じて駆動輪の路面に対する圧力を調整できる搬送装置において、製造コスト及び保守コストの増大を抑制するとともに、小形化及び低床化に適した構造にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る搬送装置は、前記課題解決のために、
少なくとも、駆動輪を備える本体部と、荷を保持する荷保持部とからなる搬送装置であって、
前記本体部は、
前記駆動輪を前記本体部の基体に懸架する懸架部と、
走行面に対する付勢力を、前記懸架部を介して前記駆動輪に与える付勢部材と、
前記付勢部材を押圧することで、前記付勢力を調整する付勢力調整部と、
を備え、
前記荷保持部が前記荷を保持している保持状態と、前記荷保持部が前記荷を保持していない非保持状態とに前記荷保持部を変位動作させる変位動作部を備え、
前記付勢力調整部は、
一端部及び他端部を有する動作伝達部材を備え、
前記動作伝達部材は、
前記一端部及び前記他端部を除く所定の位置で支持され、前記本体部の基体に対してシーソー状に揺動し、
前記一端部が前記荷保持部の前記変位動作に連動し、それにより前記動作伝達部材が揺動して前記他端部が前記付勢力を調整する。
【0012】
このような搬送装置の構成によれば、荷保持部の変位動作に連動して付勢力調整部が走行面に対する付勢力を調整することから、搬送装置が荷を保持したときに駆動輪において十分な摩擦力が得られるので、走行重量に見合った摩擦力が得られずに駆動輪がスリップしてしまうという不都合が生じない。
【0013】
その上、荷保持部の変位動作に連動して付勢力調整部が走行面に対する付勢力を調整するので、上下方向に移動するピストンロッド、及び流体を収容する、特許文献1の検出用シリンダのような荷の存在を検知する部材を設ける必要が無い。それにより、製造コスト及び保守コストの増大を抑制できるとともに、搬送装置を小形化及び低床化しやすくなる。
その上さらに、本体部の基体に対してシーソー状に揺動する動作伝達部材を用い、動作伝達部材の一端部が荷保持部の変位動作に連動し、動作伝達部材の他端部が付勢力を調整する。シーソー状に揺動するシンプルな構造の動作伝達部材により、荷保持部の変位動作に連動する付勢力調整部の動作の確実性及び信頼性を向上できる。
【0014】
ここで、前記荷保持部は、
前記荷を下方より支持することで前記保持状態とし、
前記荷の下方へ離間することで前記非保持状態とするのが好ましい実施態様である。
【0015】
このような搬送装置の構成によれば、荷保持部が荷の下に潜り込んで荷を下方から支持することで荷を保持している保持状態となるので、前記のとおり小形化及び低床化しやすい搬送装置の荷保持部が荷の下に潜り込むことにより、荷の収容効率を高めることができる。
【0018】
さらに、前記荷保持部が変位することで前記荷保持部が前記荷を保持して、前記荷保持部に所定の荷重が掛かってから、前記付勢力調整部が前記付勢部材を押圧するのがより一層好ましい実施態様である。
【0019】
このような搬送装置の構成によれば、荷保持部に所定の荷重が掛かってから、付勢力調整部が付勢部材を押圧する。したがって、荷保持部に荷重が掛かってない状態では、付勢力調整部が付勢部材を押圧しないので、付勢力調整部により増加する付勢力はない。それにより、荷保持部に荷重が掛かってない状態で付勢力調整部により付勢力が増加してしまうことによる片側の自在車輪の浮き上がりを防止できるので、荷保持部が荷と不意に接触したり、センサが誤作動するなどの不具合が生じることがない。
【発明の効果】
【0020】
以上のとおり、本発明に係る搬送装置によれば、荷を保持して搬送する、荷の有無に応じて駆動輪の路面に対する圧力を調整できる搬送装置において、荷保持部の変位動作に連動して付勢力調整部が走行面に対する付勢力を調整することから、荷の存在を検知する部材を設ける必要が無いので、製造コスト及び保守コストの増大を抑制できるとともに、搬送装置を小形化及び低床化しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施の形態に係る搬送装置の斜視図であり、荷保持部である昇降テーブルが下降した状態を示している。
図2】前記搬送装置の斜視図であり、荷保持部である昇降テーブルが上昇した状態を示している。
図3】駆動輪及び自在車輪まわりを示す正面図であり、荷保持部である昇降テーブルが下降した状態を示している。
図4】駆動輪及び自在車輪まわりを示す正面図であり、荷保持部である昇降テーブルが上昇した状態を示している。
図5】駆動輪及び従動輪まわりを示す平面図である。
図6】駆動輪まわりを示す要部拡大正面図であり、荷保持部である昇降テーブルが下降した状態を示している。
図7】駆動輪まわりを示す要部拡大正面図であり、荷保持部である昇降テーブルが上昇して荷を載置した瞬間の状態を示している。
図8】駆動輪まわりを示す要部拡大正面図であり、荷を載置した荷保持部である昇降テーブルが最も上昇した状態を示している。
図9】懸架部、付勢部材、付勢力調整部、及び荷保持部を示す、前方から見た要部拡大縦断面図であり、荷保持部である昇降テーブルが下降した状態を示している。
図10】付勢力調整部の連結を解除する機構の説明図であり、図10(a)は前記機構により付勢力調整部の連結を解除していない状態を示す斜視図、図10(b)は前記機構により付勢力調整部の連結を解除した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
以下の実施形態において、搬送装置の前進方向(図中矢印H)を前とし、前方に向かって左右を定義し、左方から見た図を正面図とする。
【0024】
<搬送装置>
図1及び図2の斜視図、図3及び図4の正面図、並びに図5の平面図に示す本発明の実施の形態に係る搬送装置1は、本体部2及び荷保持部3からなる。本体部2は、左右の駆動輪4、前後左右の自在車輪5、駆動輪4を駆動するギヤドモータM等を備える。荷保持部3は、荷W(図4)を保持するものであり、例えば昇降テーブルLである。本体部2の基体2A内には、ギヤドモータMの駆動制御装置、及び、後述する変位動作部9の駆動制御装置等を備える。
【0025】
荷保持部3は、昇降テーブルLに限定されるものではなく、フォークリフトのようにフォークで掬った状態で荷Wを保持するものや、把持又は挟持した状態で荷Wを保持するもの等であってもよい。
【0026】
本体部2は、駆動輪4を本体部2の基体2Aに懸架する懸架部6と、走行面Gに対する付勢力を、懸架部6を介して駆動輪4に与える付勢部材7と、付勢部材7を押圧することで、前記付勢力を調整する付勢力調整部8とを備える。
【0027】
本体部2は、荷保持部3が荷Wを保持している保持状態A(図4)と、荷保持部3が荷Wを保持していない非保持状態B(図3)とに荷保持部3を変位動作させる変位動作部9を備える。変位動作部9は、例えば、図3及び図4に示すような、昇降用ギヤドモータ12、及び昇降用ギヤドモータ12の出力軸12Aに固定された偏心カム13により構成され、偏心カム13により荷保持部3である昇降テーブルLを昇降させる。
【0028】
<搬送装置による荷の搬出>
図3のように昇降テーブルLを下降させた状態の空荷の搬送装置1は、棚設備内の所定搬出箇所まで所定経路を自走する。所定搬出箇所に到達した搬送装置1は、図4のように昇降テーブルLを上昇させることにより所定搬出箇所の荷Wを昇降テーブルL上に載せる。荷Wを載せた搬送装置1は、所定経路を自走して荷を搬出する。
【0029】
<搬送装置による荷の搬入>
図4のように荷Wを載せた搬送装置1は、棚設備内の所定搬入箇所まで所定経路を自走する。所定搬入箇所に到達した搬送装置1は、昇降テーブルLを下降させることにより所定搬入箇所に荷Wを載置する。空荷になった搬送装置1は、所定経路を自走する。
【0030】
以上のとおり、本実施の形態における荷保持部3である昇降テーブルLは、荷Wを下方より支持することで荷Wを保持している保持状態A(図4図7図8)になり、荷Wの下方へ離間することで荷Wを保持していない非保持状態B(図3図6)になる。
【0031】
<付勢力調整部による付勢力の調整>
図6図7、及び図8の要部拡大正面図、並びに図9の前方から見た要部拡大縦断面図を主に参照する。
【0032】
走行車輪4は、本体部2の基体2Aに対して左右方向の支軸6Aまわりに上下方向に揺動する懸架部6に支持されているので、基体2Aに対して上下動可能である。懸架部6の受け板6Bの上面には、付勢部材7である上下方向の圧縮コイルばねSの下端面が当接する。
【0033】
変位動作部9は、前記のとおり、荷保持部3が荷Wを保持している保持状態A(図4)と、荷保持部3が荷Wを保持していない非保持状態B(図3)とに荷保持部3である昇降テーブルLを変位動作させる。図3図9に示す固定部材C及び受け部材Dは、昇降テーブルLと一体のものであり、昇降テーブルLとともに昇降動作する。
【0034】
付勢力調整部8を構成する、リンク状の動作伝達部材10の一端部10AにはローラR1が、他端部10BにはローラR2が設けられる。一端部10A及び他端部10Bを除く所定の位置に設けた支軸10Cにより、動作伝達部材10は、支持部材11を介して基体2Aに支持される。したがって、動作伝達部材10は、基体2Aに対してシーソー状に揺動する。
【0035】
荷保持部3である昇降テーブルLと一体となって昇降する受け部材Dの上面には、動作伝達部材10の一端部10Aに設けたローラR1が載る。圧縮コイルばねSの上面には受け部材Eが当接する。
【0036】
図6のように昇降テーブルLが下降した状態(非保持状態B)から、図7及び図8のように昇降テーブルLが上昇すると、昇降テーブルLとともに固定部材C及び受け部材Dが上昇する。それにより、受け部材Dによってローラ10Aが上昇するので、動作伝達部材10が揺動する。したがって、支軸10Cに対してローラR1と反対側の位置にあるローラR2は下降する。
【0037】
付勢力調整部8を構成する動作伝達部材10の他端部10BのローラR2が下降すると、図8のように、ローラR2が受け部材Eを押し下げる。それにより、圧縮コイルばねSが圧縮されるので、走行面Gに対して、付勢力調整部8により増加する付勢力Fが作用する。固定部材C及び受け部材Dの上方への変位が大きくなるほど、圧縮コイルばねSが圧縮される量が大きくなるので、前記付勢力Fが大きくなる。
【0038】
図8の状態から、図7の状態へ、さらに図6の状態へ昇降テーブルLが下降すると、昇降テーブルLとともに固定部材C及び受け部材Dが下降する。それにより、ローラR2が受け部材Eを押し下げて圧縮コイルばねSを圧縮し、付勢力調整部8により増加する付勢力Fが作用している状態(例えば図8)から、ローラR2が受け部材Eを押し下げずに圧縮コイルばねSを圧縮しない、付勢力調整部8により増加する付勢力Fが作用していない状態(例えば図6)になる。
【0039】
以上のとおり、付勢力調整部8は、荷保持部3の変位動作に連動して、付勢力調整部8により増加する付勢力Fを増減させることで、走行面Gに対する付勢力を調整する。
【0040】
このような構成によれば、変位動作部9により荷保持部3が変位動作し、荷保持部3の変位動作に連動して付勢力調整部8が走行面Gに対する付勢力を調整することから、搬送装置1が荷Wを保持したときに駆動輪4において十分な摩擦力が得られるので、走行重量(搬送装置1の自重+荷Wの重量)に見合った摩擦力が得られずに駆動輪がスリップしてしまうという不都合が生じない。
【0041】
その上、荷保持部3の変位動作に連動して付勢力調整部8が走行面Gに対する付勢力を調整するので、上下方向に移動するピストンロッド、及び流体を収容する、特許文献1の検出用シリンダのような荷の存在を検知する部材を設ける必要が無い。それにより、製造コスト及び保守コストの増大を抑制できるとともに、搬送装置1を小形化及び低床化しやすくなる。
【0042】
その上さらに、荷保持部3が荷Wの下に潜り込んで荷Wを下方から支持することで荷Wを保持している保持状態Aとなるので、前記のとおり小形化及び低床化しやすい搬送装置1の荷保持部3が荷Wの下に潜り込むことにより、荷Wの収容効率を高めることができる。
【0043】
その上、本体部2の基体2Aに対してシーソー状に揺動する動作伝達部材10を用い、動作伝達部材10の一端部10Aが荷保持部3の変位動作に連動し、動作伝達部材10の他端部10Bが付勢力を調整する。シーソー状に揺動するシンプルな構造の動作伝達部材10により、荷保持部3の変位動作に連動する付勢力調整部8の動作の確実性及び信頼性を向上できる。
【0044】
図7は、荷保持部3である昇降テーブルLが上昇して荷Wを載置した瞬間の状態を示しており、この状態では、昇降テーブルLが荷Wを保持している保持状態Aであるが、付勢力調整部8を構成する動作伝達部材10により圧縮コイルばねSは圧縮されていないので、付勢力調整部8により増加する付勢力Fは作用しない。図7の状態から昇降テーブルLが上昇し、昇降テーブルLとともに固定部材C及び受け部材Dが図8までの範囲で上昇すると、動作伝達部材10が揺動してローラR2が受け部材Eを押し下げ、圧縮コイルばねSが圧縮されるので、前記付勢力Fが作用する。
【0045】
すなわち、変位動作部9により荷保持部3である昇降テーブルLが変位することで昇降テーブルLが荷Wを保持し、昇降テーブルLに所定の荷重が掛かってから、付勢力調整部8を構成する動作伝達部材10が圧縮コイルばねSを押圧し、付勢力調整部8により増加する付勢力Fを作用させる。
【0046】
したがって、昇降テーブルLに荷重が掛かってない状態では、付勢力調整部8が圧縮コイルばねSを押圧しないので、付勢力調整部8により増加する付勢力Fはない。それにより、昇降テーブルLに荷重が掛かってない状態で付勢力調整部8により付勢力が増加してしまうことによる片側の自在車輪5の浮き上がりを防止できるので、昇降テーブルLが荷Wと不意に接触したり、センサが誤作動するなどの不具合が生じることがない。その上、片側の自在車輪5の浮き上がりを防止できるので、搬送装置1が傾いて、走行面G上の座標読取式のバーコード等の読み取りによる停止精度が維持できず、荷Wを保持する位置がずれたり、接触式充電器の使用が困難となる等の問題が生じない。
【0047】
以上のとおり本発明の実施の形態に係る搬送装置1は、荷保持部3である昇降テーブルLの変位動作に連動して付勢力調整部8が走行面Gに対する付勢力を調整する。ただし、試運転や点検の際には、昇降テーブルLが荷Wを保持せずに昇降動作をする場合があるので、付勢力調整部8の連結を解除する機構を備えるのが好ましい実施態様である。
【0048】
図10(a)及び図10(b)の斜視図は、付勢力調整部8の連結を解除する機構の一例を示す説明図である。軸体Iは受け部材Dと一体となって鉛直軸まわりに回動し、軸体Iの上端部には、例えばマイナスねじである工具係合部Jが設けられる。そして、図9の縦断面図に示すように、軸体Iの上面は、昇降テーブルLの上面側に露出する。
【0049】
図10(a)の状態で、例えばマイナスドライバーを工具係合部Jに係合させて、矢印K1のように回動すると、図10(b)のように受け部材Dが、付勢力調整部8である動作伝達部材10のローラR1から外れるので、付勢力調整部8の連結を解除できる。同様に、図10(b)の状態で、例えばマイナスドライバーを工具係合部Jに係合させて、矢印K2のように回動すると、図10(a)の状態になり、付勢力調整部8が連結した状態に復帰する。
【0050】
図10(b)の状態にすることにより、付勢力調整部8の連結が解除されるので、試運転や点検の際に、昇降テーブルLが荷Wを保持せずに昇降動作をしても、付勢力調整部8により付勢力が増加してしまうことによる片側の自在車輪5の浮き上がりを防止できる。したがって、試運転や点検の際に、搬送装置1の走行制御を正常に行うことができる。
【0051】
以上の実施の形態の記載はすべて例示であり、これに制限されるものではない。本発明の範囲から逸脱することなく種々の改良及び変更を施すことができる。
【符号の説明】
【0052】
1 搬送装置
2 本体部
2A 基体
3 荷保持部
4 駆動輪
5 自在車輪
6 懸架部
6A 支軸
6B 受け板
7 付勢部材
8 付勢力調整部
9 変位動作部
10 動作伝達部材
10A 一端部
10B 他端部
10C 支軸
11 支持部材
12 昇降用キヤドモータ
12A 出力軸
13 偏心カム
A 保持状態
B 非保持状態
C 固定部材
D,E 受け部材
F 付勢力調整部により増加する付勢力
G 走行面
H 前方
I 軸体
J 工具係合部
K1,K2 回動方向
L 昇降テーブル
M ギヤドモータ
R1,R2 ローラ
S 圧縮コイルばね
W 荷
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10