(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】サセプタ
(51)【国際特許分類】
A24C 5/01 20200101AFI20240501BHJP
A24F 40/465 20200101ALI20240501BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20240501BHJP
A24F 40/70 20200101ALI20240501BHJP
【FI】
A24C5/01
A24F40/465
A24F40/20
A24F40/70
(21)【出願番号】P 2022542406
(86)(22)【出願日】2021-01-15
(86)【国際出願番号】 EP2021050812
(87)【国際公開番号】W WO2021144424
(87)【国際公開日】2021-07-22
【審査請求日】2022-09-09
(32)【優先日】2020-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Nicoventures Trading Limited
【住所又は居所原語表記】Globe House, 1 Water Street,WC2R 3LA London,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】モロニ-, パトリック
(72)【発明者】
【氏名】コーラス, アントン
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/224072(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/224073(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/224069(WO,A1)
【文献】特表2019-515659(JP,A)
【文献】特表2021-532748(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0192688(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24C 5/01
A24F 40/465
A24F 40/20
A24F 40/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非燃焼性エアロゾル供給デバイスと共に用いる物体内に少なくとも部分的に埋設するためのサセプタであって、
前記物体がエアロゾル生成材料を備え、
当該サセプタは、第1の方向における前記物体内への当該サセプタの動きに対して、前記第1の方向とは反対の第2の方向における前記物体から出る当該サセプタの動きよりも低い抵抗を与えるように形作られている、サセプタ。
【請求項2】
本体と、前記本体から延在する少なくとも1つの突出部とを備え、
前記少なくとも1つの突出部が、当該サセプタが前記物体内に埋設されたときに、前記物体と係合して前記物体内での当該サセプタの動きに対して抵抗を与えるように構成され、
前記少なくとも1つの突出部が、前記第1の方向における前記物体内への当該サセプタの動きに対して、前記第2の方向における前記物体から出る当該サセプタの動きよりも低い抵抗を与えるように構成されている、請求項1に記載のサセプタ。
【請求項3】
前記突出部又は各突出部が、刺状部を備える、請求項2に記載のサセプタ。
【請求項4】
前記本体が、変動磁場の侵入によって加熱可能である、請求項2又は3に記載のサセプタ。
【請求項5】
前記突出部又は各突出部が、変動磁場の侵入によって加熱可能である、請求項2~4のいずれか一項に記載のサセプタ。
【請求項6】
前記本体が、前記突出部又は各突出部と一体に形成されている、請求項2~5のいずれか一項に記載のサセプタ。
【請求項7】
前記少なくとも1つの突出部が、複数の突出部を備え、前記複数の突出部のうちの少なくとも第1の突出部が、前記本体の第1の側から延在しており、前記複数の突出部のうちの少なくとも第2の突出部が、前記本体の前記第1の側とは反対の前記本体の第2の側から延在している、請求項2~6のいずれか一項に記載のサセプタ。
【請求項8】
非燃焼性エアロゾル供給デバイスと共に用いるための消耗品を製造する方法であって、
物体及び請求項1~7のいずれか一項に記載のサセプタを用意するステップであり、前記物体がエアロゾル生成材料を備える、用意するステップと、
前記サセプタが前記第1の方向において前記物体内に少なくとも部分的に埋設されるように、前記サセプタ及び前記物体を互いに対して移動させるステップと
を含む、方法。
【請求項9】
前記物体が、前記エアロゾル生成材料を備えるロッドと、前記エアロゾル生成材料の周囲に巻き付けられる包装体とを具備する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
移動させる前記ステップが、前記サセプタを前記第1の方向において前記物体内に押し込むことを含む、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
移動させる前記ステップが、前記サセプタが前記第1の方向において前記エアロゾル生成材料内に少なくとも部分的に埋設されるように、前記サセプタ及び前記物体を互いに対して移動させることを含む、請求項8~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
非燃焼性エアロゾル供給デバイスと共に用いるための消耗品であって、エアロゾル生成材料を備える物体と、前記物体内に少なくとも部分的に埋設される請求項1~7のいずれか一項に記載のサセプタとを具備する、消耗品。
【請求項13】
前記サセプタが、前記エアロゾル生成材料内に少なくとも部分的に埋設されている、請求項12に記載の消耗品。
【請求項14】
前記サセプタが、第1の方向における前記物体の前記エアロゾル生成材料内への前記サセプタの動きに対して、前記第1の方向とは反対の第2の方向における前記物体の前記エアロゾル生成材料から出る前記サセプタの動きよりも低い抵抗を与えるように形作られている、請求項13に記載の消耗品。
【請求項15】
非燃焼性エアロゾル供給デバイスと共に用いるための消耗品であって、
エアロゾル生成材料と、
請求項1~7の何れか一項に記載のサセプタであり、前記エアロゾル生成材料の第1の部分が前記サセプタと軸線方向において隣り合うように、前記エアロゾル生成材料内に少なくとも部分的に埋設される、サセプタと
を備え、
前記エアロゾル生成材料の前記第1の部分の密度及び/又は前記サセプタと径方向において隣り合う前記エアロゾル生成材料の第2の部分の密度が、前記エアロゾル生成材料の前記第1の部分と径方向において隣り合う前記エアロゾル生成材料の第3の部分の密度よりも大きい、消耗品。
【請求項16】
前記エアロゾル生成材料の前記第1の部分の前記密度及び前記エアロゾル生成材料の前記第2の部分の前記密度が、前記エアロゾル生成材料の前記第3の部分の前記密度よりも大きい、請求項15に記載の消耗品。
【請求項17】
前記サセプタの軸線方向寸法が、前記エアロゾル生成材料の平行寸法よりも小さい、請求項15又は16に記載の消耗品。
【請求項18】
前記サセプタが、前記エアロゾル生成材料内に完全に埋設されている、請求項12~17のいずれか一項に記載の消耗品。
【請求項19】
前記サセプタが、前記消耗品の中心軸線と実質的に同軸である、請求項12~18のいずれか一項に記載の消耗品。
【請求項20】
非燃焼性エアロゾル供給デバイスと共に用いるための消耗品を製造する方法であって、
エアロゾル生成材料を備える物体を用意するステップであり、
前記エアロゾル生成材料が、エアロゾル生成材料の第1の部分、エアロゾル生成材料の第2の部分、及び、エアロゾル生成材料の第3の部分を備え、
前記エアロゾル生成材料の前記第1の部分の密度及び/又は前記エアロゾル生成材料の前記第2の部分の密度が、前記エアロゾル生成材料の前記第3の部分の密度よりも大きい、
用意するステップと、
前記エアロゾル生成材料の前記第1の部分がサセプタと軸線方向において隣り合い、前記エアロゾル生成材料の前記第2の部分が前記サセプタと径方向において隣り合い、前記エアロゾル生成材料の前記第3の部分が前記エアロゾル生成材料の前記第1の部分と径方向において隣り合うように、前記サセプタを
用意された前記物体の前記エアロゾル生成材料内に少なくとも部分的に埋設するステップと
を含む方法。
【請求項21】
請求項12~19のいずれか一
項に記載の消耗品と、
前記消耗品の前記エアロゾル生成材料を加熱して前記エアロゾル生成材料の少なくとも1つの成分を揮発させるための非燃焼性エアロゾル供給デバイスと
を具備し、
前記デバイスが、前記消耗品を受けるための加熱ゾーンと、前記消耗品が前記加熱ゾーンにあるときに前記サセプタに侵入するための変動磁場を生成することにより前記エアロゾル生成材料の加熱を引き起こすための磁場生成器とを備える、非燃焼性エアロゾル供給システム。
【請求項22】
前記デバイスが、前記消耗品の前記エアロゾル生成材料を加熱して、前記エアロゾル生成材料を燃焼させることなく前記エアロゾル生成材料の少なくとも1つの成分を揮発させるためのものである、請求項
21に記載の非燃焼性エアロゾル供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非燃焼性エアロゾル供給デバイスと共に用いる物体内に埋設するためのサセプタ、非燃焼性エアロゾル供給デバイスと共に用いるための消耗品、非燃焼性エアロゾル供給デバイスと共に用いるための消耗品を製造する方法、及び、非燃焼性エアロゾル提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
紙巻タバコ、葉巻タバコなどの喫煙品は、使用中にタバコを燃焼させてタバコの煙を作り出す。燃焼せずに化合物を放出する製品を作ることによってこれらの物品の代替品を提供する試みがなされてきた。そのような製品の例は、材料を燃焼させず加熱することよって化合物を放出する、いわゆる「非燃焼加熱式」製品又はタバコ加熱デバイス若しくは製品である。材料は、例えば、タバコ又は他の非タバコ製品であってもよく、ニコチンを含んでも含まなくてもよい。
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1の態様によれば、非燃焼性エアロゾル供給システムと共に用いる物体内に少なくとも部分的に埋設するためのサセプタであって、物体がエアロゾル生成材料を備え、サセプタが、第1の方向における物体内へのサセプタの動きに対して、第1の方向とは反対の第2の方向における物体から出るサセプタの動きよりも低い抵抗を与えるように形作られる、サセプタが提供される。
【0004】
任意選択で、サセプタは、本体と、本体から延在する少なくとも1つの突出部とを備え、少なくとも1つの突出部が、サセプタが物体内に埋設されたときに、物体と係合して物体内でのサセプタの動きに対して抵抗を与えるように構成され、少なくとも1つの突出部が、第1の方向における物体内へのサセプタの動きに対して、第2の方向における物体から出るサセプタの動きよりも低い抵抗を与えるように構成される。
【0005】
任意選択で、突出部又は各突出部が、刺状部を備える。
【0006】
任意選択で、本体が、変動磁場の侵入によって加熱可能である。
【0007】
任意選択で、突出部又は各突出部が、変動磁場の侵入によって加熱可能である。
【0008】
任意選択で、本体が、突出部又は各突出部と一体に形成される。
【0009】
任意選択で、少なくとも1つの突出部が、複数の突出部を備え、複数の突出部のうちの少なくとも第1の突出部が、本体の第1の側から延在しており、複数の突出部のうちの少なくとも第2の突出部が、本体の第1の側とは反対の本体の第2の側から延在している。
【0010】
本発明の第2の態様によれば、非燃焼性エアロゾル供給デバイスと共に用いるための消耗品を製造する方法であって、物体及び本発明の第1の態様に係るサセプタを用意するステップであり、物体がエアロゾル生成材料を備える、用意するステップと、サセプタが第1の方向において物体内に少なくとも部分的に埋設されるように、サセプタ及び物体を互いに対して移動させるステップとを含む、方法が提供される。
【0011】
任意選択で、物体が、エアロゾル生成材料を備えるロッドと、エアロゾル生成材料の周囲に巻き付けられる包装体とを具備する。
【0012】
任意選択で、移動させるステップが、サセプタを第1の方向において物体内に押し込むことを含む。
【0013】
任意選択で、移動させるステップが、サセプタが第1の方向においてエアロゾル生成材料内に少なくとも部分的に埋設されるように、サセプタ及び物体を互いに対して移動させることを含む。
【0014】
本発明の第3の態様によれば、非燃焼性エアロゾル供給デバイスと共に用いるための消耗品であって、エアロゾル生成材料を備える物体と、物体内に少なくとも部分的に埋設される本発明の第1の態様に係るサセプタとを具備する、消耗品が提供される。
【0015】
任意選択で、サセプタが、エアロゾル生成材料内に少なくとも部分的に埋設される。
【0016】
任意選択で、サセプタが、第1の方向における物体のエアロゾル生成材料内へのサセプタの動きに対して、第1の方向とは反対の第2の方向における物体のエアロゾル生成材料から出るサセプタの動きよりも低い抵抗を与えるように形作られる。
【0017】
本発明の第4の態様によれば、非燃焼性エアロゾル供給デバイスと共に用いるための消耗品であって、エアロゾル生成材料と、サセプタであり、エアロゾル生成材料の第1の部分がサセプタと軸線方向において隣り合うように、エアロゾル生成材料内に少なくとも部分的に埋設される、サセプタとを備え、エアロゾル生成材料の第1の部分の密度及び/又はサセプタと径方向において隣り合うエアロゾル生成材料の第2の部分の密度が、エアロゾル生成材料の第1の部分と径方向において隣り合うエアロゾル生成材料の第3の部分の密度よりも大きい、消耗品が提供される。
【0018】
任意選択で、エアロゾル生成材料の第1の部分の密度及びエアロゾル生成材料の第2の部分の密度が、エアロゾル生成材料の第3の部分の密度よりも大きい。
【0019】
任意選択で、サセプタの軸線方向寸法が、エアロゾル生成材料の平行寸法よりも小さい。
【0020】
任意選択で、サセプタが、エアロゾル生成材料内に完全に埋設される。
【0021】
任意選択で、サセプタが、消耗品の中心軸線と実質的に同軸である。
【0022】
本発明の第5の態様によれば、非燃焼性エアロゾル供給デバイスと共に用いるための消耗品を製造する方法であって、エアロゾル生成材料を備える物体を用意するステップであり、エアロゾル生成材料が、エアロゾル生成材料の第1の部分、エアロゾル生成材料の第2の部分、及び、エアロゾル生成材料の第3の部分を備え、エアロゾル生成材料の第1の部分の密度及び/又はエアロゾル生成材料の第2の部分の密度が、エアロゾル生成材料の第3の部分の密度よりも大きい、用意するステップと、エアロゾル生成材料の第1の部分がサセプタと軸線方向において隣り合い、エアロゾル生成材料の第2の部分がサセプタと径方向において隣り合い、エアロゾル生成材料の第3の部分がエアロゾル生成材料の第1の部分と径方向において隣り合うように、サセプタをエアロゾル生成材料内に少なくとも部分的に埋設するステップとを含む、方法が提供される。
【0023】
本発明の第6の態様によれば、本発明の第5の態様にしたがって製造される消耗品が提供される。
【0024】
任意選択で、本発明の第4の態様又は本発明の第6の態様の消耗品のサセプタは、本発明の第1の態様に係るサセプタである。
【0025】
本発明の第7の態様によれば、本発明の第3の態様、本発明の第4の態様、又は本発明の第6の態様に係る消耗品と、消耗品のエアロゾル生成材料を加熱してエアロゾル生成材料の少なくとも1つの成分を揮発させるための非燃焼性エアロゾル供給デバイスとを具備し、デバイスが、消耗品を受けるための加熱ゾーンと、消耗品が加熱ゾーンにあるときにサセプタに侵入するための変動磁場を生成することによりエアロゾル生成材料の加熱を引き起こすための磁場生成器とを備える、非燃焼性エアロゾル供給システムが提供される。
【0026】
任意選択で、デバイスが、消耗品のエアロゾル生成材料を加熱して、エアロゾル生成材料を燃焼させることなくエアロゾル生成材料の少なくとも1つの成分を揮発させるためのものである。
【0027】
任意選択で、サセプタが、導電性材料、磁性材料、及び、磁性導電性材料から成るグループから選択される1つ以上の材料を備える。
【0028】
任意選択で、サセプタが、金属又は金属合金を備える。
【0029】
任意選択で、サセプタが、アルミニウム、金、鉄、ニッケル、コバルト、導電性炭素、グラファイト、鋼、普通炭素鋼、軟鋼、ステンレス鋼、フェライト系ステンレス鋼、モリブデン、炭化ケイ素、銅、青銅から成るグループから選択される1つ以上の材料を備える。
【0030】
任意選択で、エアロゾル生成材料が、非液体材料である。
【0031】
任意選択で、エアロゾル生成材料が、タバコを含む。
【0032】
任意選択で、エアロゾル生成材料が、再生タバコなどの再生エアロゾル生成材料を備える。
【0033】
本発明の更なる特徴及び利点は、添付図面を参照して、単なる例として与えられる本発明の好ましい実施形態の以下の説明から明らかになる。
【0034】
次に、添付図面を参照して、本発明の実施形態を単なる例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本発明の一実施形態に係るサセプタの概略図を示す。
【
図2】本発明の一実施形態に係る方法のフローチャートを示す。
【
図3】本発明の一実施形態に係る消耗品の概略図を示す。
【
図4】本発明の一実施形態に係る方法のフローチャートを示す。
【
図5】本発明の一実施形態に係る非燃焼性エアロゾル供給システムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本明細書で使用する場合、「エアロゾル生成材料」は、例えば加熱された、照射された、又は、任意の他の方法でエネルギーを与えられたときにエアロゾルを生成できる材料である。エアロゾル生成材料は、例えば、固体、液体又はゲルの形態を成してもよく、活性物質及び/又は香味料を含んでも含まなくてもよい。幾つかの実施形態において、エアロゾル生成材料は、「非晶質固体」を備えてもよく、代替的に「モノリシック固体」(すなわち、非繊維性)と称されてもよい。幾つかの実施形態では、非晶質固体が乾燥ゲルであってもよい。非晶質固体は、液体などの何らかの流体を内部に保持できる固体材料である。幾つかの実施形態において、エアロゾル生成材料は、例えば、約50重量%、60重量%、又は、70重量%の非晶質固体から、約90重量%、95重量%、又は、100重量%までの非晶質固体を備えてもよい。
【0037】
エアロゾル生成材料は、1つ以上の活性物質及び/又は香料、1つ以上のエアロゾル形成材料、及び、任意選択で1つ以上の他の機能性材料を備えてもよい。
【0038】
幾つかの実施形態において、エアロゾル生成材料は、タバコ材料を含んでもよく、タバコ材料は、タバコ又はその派生物を含む任意の材料である。タバコ材料は、挽きタバコ、タバコ繊維、刻みタバコ、押出タバコ、タバコ茎、再生タバコ、及び/又は、タバコ抽出物のうちの1つ以上を備えてもよい。幾つかの実施形態では、エアロゾル生成材料がタバコ代替品を備えてもよい。
【0039】
本明細書で使用する場合、「消耗品」は、エアロゾル生成材料を備えるか、又はエアロゾル生成材料から成り、その一部又は全部がユーザによって使用中に消費されることを意図した物品である。消耗品は、エアロゾル生成材料貯蔵領域、エアロゾル生成材料移送構成要素、エアロゾル生成領域、ハウジング、包装体、マウスピース、フィルター、及び/又は、エアロゾル改質剤などの1つ以上の他の構成要素を備えてもよい。また、消耗品は、使用時にエアロゾル生成材料にエアロゾルを生成させるために熱を放出する、ヒーターなどのエアロゾル生成器を備えてもよい。
【0040】
本明細書で使用する場合、「サセプタ」は、交番磁場などの変動磁場が侵入することによって加熱可能な材料である。サセプタは、導電性材料であってもよく、それにより、変動磁場がサセプタに侵入することによって加熱材料の誘導加熱が引き起こされる。加熱材料は磁性材料であってもよく、それにより、変動磁場が加熱材料に侵入することにより加熱材料の磁気ヒステリシス加熱が引き起こされる。サセプタは、両方の加熱メカニズムによってサセプタを加熱できるように、導電性と磁性の両方を備えていてもよい。
【0041】
サセプタが消耗品に組み込まれる場合には、熱伝導により外部熱源によってではなく、消耗品自体の内部で熱が発生するため、特に、適切な材料及び外形の選択、並びに、サセプタに対する適切な変動磁場の大きさ及び向きにより、消耗品の急速な温度上昇と、より均一な熱分布とを実現できる。更に、誘導加熱及び磁気ヒステリシス加熱は、変動磁場源とサセプタとの間に物理的な接続を設ける必要がないため、残留物や凝縮物などのサセプタ上の材料堆積物の問題が少なくなり、設計の自由度が高くなり得、加熱プロファイルの制御が優れ得るとともに、コストを低減できる。
【0042】
消耗品内にサセプタを設ける場合、サセプタがその後の使用で位置ずれしたり消耗品から脱落したりする場合があり、これは、消耗品の移動に起因して(例えば、使用前)、又は使用中にサセプタが加熱することで起こり得る。
【0043】
図1は、一実施形態に係るサセプタ1を示す。サセプタ1は、非燃焼性エアロゾル供給デバイスと共に用いる物体2内に埋設するためのものである。物体2は、エアロゾル生成材料3を備える。変動磁場の印加時に、サセプタ1は、加熱して、サセプタ1を取り囲む領域に熱を放射する。サセプタ1が物体2のエアロゾル生成材料3内などの物体2内に埋設されると、エアロゾル生成材料3の揮発を促進するためにサセプタ1から物体2に熱が伝達される。
【0044】
図1の実施形態において、サセプタ1は、第1の方向(矢印Aによって示される)における物体2内へのサセプタ1の動きに対して、第1の方向とは反対の第2の方向における物体2から出るサセプタ1の動きよりも低い抵抗を与えるように形作られる。第2の方向よりも第1の方向における動きに対する抵抗が低いことは、サセプタ1を物体2に挿入できる能力を依然として与えつつ、サセプタ1が物体2から(意図的又は非意図的に)取り外されるのを防止するのに役立つ。
【0045】
図1のような幾つかの実施形態において、サセプタ1は、本体4と、本体4から延在する少なくとも1つの突出部5とを備える。少なくとも1つの突出部5は、本体4から垂直に、又は、本体4に対して0°~180°の任意の角度で、例えば、本体に対して0°よりも大きく180°よりも小さい角度で延在していてもよい。
【0046】
図1に示されるように、少なくとも1つの突出部5は、サセプタ1が物体2内に少なくとも部分的に埋設されたときに、物体2と係合するように構成される。少なくとも1つの突出部5は、物体2内でのサセプタ1の動きに対して抵抗を与える。少なくとも1つの突出部5は、第1の方向Aにおける物体2内へのサセプタ1の動きに対して、第2の方向(すなわち、第1の方向Aと実質的に反対の方向)における物体2から出るサセプタ1の動きよりも低い抵抗を与えるように構成される。
【0047】
図1に示される実施形態では、突出部5のそれぞれが刺状部を備える。刺状部のそれぞれは、物体2に対する第2の方向におけるサセプタ1の動きに対する抵抗を増大させる。
図1の刺状部の先端は尖って示されるが、幾つかの実装形態では、先端が丸みを帯びていたり、平らになっていたり、又は別の形で尖っていなくてもよいことを理解されるべきである。
【0048】
幾つかの実施形態において本体4は、変動磁場が侵入することによって加熱可能である。幾つかの実施形態において、突出部5又は各突出部5が、変動磁場が侵入することによって加熱可能である。
【0049】
図1に示されるように、本体4は、突出部5又は各突出部5と一体に形成される。例えば、本体4及び突出部5は一体品を構成することができる。幾つかの実施形態において、本体4及び少なくとも1つの突出部5は同じ材料を備えてもよい。これにより、製造コストを削減して組み立てを容易にし得る。
【0050】
幾つかの実施形態において、少なくとも1つの突出部5は、本体4とは別個である。少なくとも1つの突出部5は、本体4とは別個に形成されて、その後に本体4に取り付けられてもよい。少なくとも1つの突出部5は、第1の方向Aにおける移動を可能にする又は少なくとも禁止しないが、第2の方向における移動に抵抗するか、又は第2の方向における移動を制限する、任意の形態をとることができる。例えば、少なくとも1つの突出部5は、サセプタ1が第1の方向Aに移動するときには、少なくとも1つの突出部5が延在せず(すなわち、本体4から突出しない)、第2の方向におけるサセプタの動きが試みられたときには、動きに抵抗するべく延在するように付勢されてもよい。幾つかの実装形態において、突出部5は、必要に応じて(例えば、磁気引力などの適切な作動機構を介して)突出部が延在又は非延在を選択され得るように、本体4に蝶着されるか、又は別の形で移動可能に取り付けられてもよい。これにより、特定の状況では、必要な場合に、ユーザが物体2からサセプタ1を取り外すことができるようになる。
【0051】
図1に示されるように、複数の突出部5を設けることができる。例えば、
図1に示される実施形態では、本体4の両側に2つの突出部5が設けられる。幾つかの実施形態では、少なくとも1つの突出部5が3つ以上の突出部を備える。複数の突出部のうちの少なくとも第1の突出部は本体4の第1の側から延在しており、複数の突出部のうちの少なくとも第2の突出部は、本体4の第1の側とは反対側の本体4の第2の側から延在している。幾つかの実施形態では、突出部5がサセプタ1の平面の上方及び/又は下方において(すなわち、
図1のページへと及び/又はページから外へと)延在していてもよいことが理解されるべきである。
【0052】
図2は、一実施形態に係る非燃焼性エアロゾル供給デバイスと共に用いるための消耗品を製造する方法10のフロー図を示す。方法10は、物体2及びサセプタ1を用意するステップ11を含み、この場合、物体2はエアロゾル生成材料3を備える。物体2は、
図1の物体2であってもよく、又は、例えば本明細書で論じられる物体の任意の変形例であってもよい。サセプタ1は、例えば、
図1のサセプタ1であってもよく、又は、本明細書で論じられるサセプタの任意の変形例であってもよい。また、方法10は、サセプタ1が第1の方向Aにおいて物体2内に少なくとも部分的に埋設されるように、サセプタ1と物体2とを互いに対して移動させるステップ12も含む。
【0053】
幾つかの実施形態において、物体2は、エアロゾル生成材料3を備えるロッドと、エアロゾル生成材料3の周囲に巻き付けられる包装体とを備える。幾つかの実施形態では、包装体が紙を備える。物体2自体は、既知のロッド製造機を使用するなど、当該技術分野で既知の任意の適切な方法によって形成することができるので、簡潔にするためにその説明は省略する。
【0054】
物体2は、円筒形又は多角形などの任意の適切な形状を有し得る。物体2の断面形状は、例えば、円形、楕円形、又は多角形であってもよい。同様に、消耗品は、円筒形又は多角形など、非燃焼性エアロゾル供給デバイスと共に用いるのに適した任意の形状を有することができる。消耗品の断面形状は、例えば、円形、楕円形、又は多角形であってもよい。
【0055】
幾つかの実施形態において、移動させるステップ12は、サセプタ1を第1の方向Aにおいて物体2内に押し込むことを含む。或いは、移動させるステップ12は、サセプタ1を第1の方向Aにおいて物体2内に引き込むことを含んでもよい。
【0056】
幾つかの実施形態において、移動させるステップ12は、サセプタ1が第1の方向Aにおいて物体のエアロゾル生成材料3内に少なくとも部分的に埋設されるように、サセプタ1と物体2とを互いに対して移動させることを含む。
【0057】
図3は、一実施形態に係る非燃焼性エアロゾル供給デバイスと共に用いるための消耗品20の概略図を示す。消耗品20は、エアロゾル生成材料21と、エアロゾル生成材料21内に少なくとも部分的に埋設されるサセプタ1とを備える。サセプタ1は、例えば、
図1のサセプタ又は本明細書で論じられるサセプタの任意の変形例であってもよい。
【0058】
幾つかの実施形態では、サセプタ1がエアロゾル生成材料21内に少なくとも部分的に埋設される。例えば、
図3に示されるように、サセプタ1はエアロゾル生成材料21内に完全に埋設される。
【0059】
図3のような幾つかの実施形態において、サセプタ1は、エアロゾル生成材料の第1の部分21aがサセプタ1と軸線方向において隣り合うように、エアロゾル生成材料21内に少なくとも部分的に埋設される。エアロゾル生成材料の第1の部分21aの密度及び/又はサセプタ1と径方向において隣り合うエアロゾル生成材料の第2の部分21bの密度は、エアロゾル生成材料の第1の部分21aと径方向において隣り合うエアロゾル生成材料の第3の部分21cの密度よりも大きい。
【0060】
幾つかの実施形態において、エアロゾル生成材料の第1の部分21aの(平均)密度及びエアロゾル生成材料の第2の部分21bの(平均)密度はそれぞれ、エアロゾル生成材料の第3の部分21cの(平均)密度よりも大きい。したがって、比較的高い平均密度を伴うエアロゾル生成材料の領域がサセプタ1と(直接に)隣り合って見出される。そのため、これらの領域は、エアロゾルを生成するためにサセプタからエアロゾル生成材料への熱の伝達を向上させるのに役立ち得る、より密に詰まったエアロゾル生成材料を有する。幾つかの実装形態において、サセプタ1を含む消耗品20のエアロゾル生成材料21のこれらの密度は、本明細書に記載された様式でのサセプタ1の挿入前に、異なる部分21a、21b、21cにおけるエアロゾル生成材料21の関連する密度の慎重且つ適切な選択によってもたらされ得る。
【0061】
エアロゾル生成材料の第1及び第2の部分21a、21bは、サセプタ1と隣り合っており、したがって、サセプタ1から、エアロゾル生成材料の第3の部分21cよりも高い温度に晒される。これに対し、第3の部分21cからは比較的少量のエアロゾルが生成され得る。したがって、エアロゾル生成材料21の第1及び第2の部分(複数可)21a、21bを比較的高い密度で与えることは、エアロゾル生成材料21からのエアロゾルのより豊富な及び/又は迅速な生成を可能にする一方で、消耗品20に含まれる必要があるエアロゾル生成材料21の全体量を減少させることができる。
【0062】
図4は、非燃焼性エアロゾル供給デバイスと共に用いるための消耗品を製造する方法25のフローチャートを示す。方法25は、エアロゾル生成材料3を備える物体を用意するステップ26を含む。エアロゾル生成材料3は、エアロゾル生成材料の第1の部分21a、エアロゾル生成材料の第2の部分21b、及び、エアロゾル生成材料の第3の部分21cを備える。エアロゾル生成材料の第1の部分21aの密度及び/又はエアロゾル生成材料の第2の部分21bの密度は、エアロゾル生成材料の第3の部分21cの密度よりも大きい。方法25は、エアロゾル生成材料の第1の部分21aがサセプタ1と軸線方向において隣り合い、エアロゾル生成材料の第2の部分21bがサセプタ1と径方向において隣り合い、エアロゾル生成材料の第3の部分21cがエアロゾル生成材料の第1の部分21aと径方向において隣り合うように、エアロゾル生成材料3内にサセプタ27を少なくとも部分的に埋設するステップ27を更に含む。幾つかの実施形態では、
図3の消耗品20が、
図4の方法25にしたがって製造される。
【0063】
幾つかの実施形態において、サセプタ1の軸線方向寸法は、バルクエアロゾル生成材料21(すなわち、エアロゾル生成材料を含む消耗品20の領域)の平行寸法よりも小さい。
図3に例として示されるように、サセプタ1はエアロゾル生成材料21内に完全に埋設されてもよい。サセプタ1をエアロゾル生成材料21内に完全に埋設することは、サセプタ1によって発生される全ての熱がエアロゾル生成材料21内にあるようにするのに役立つ。これは、加熱の効率を高めることができる。更に、この構成は、サセプタ1が熱いときにユーザがサセプタ1と直接接触するのを回避するのに役立つことができる。或いは、サセプタ1は、サセプタ1の一部がエアロゾル生成材料21から突出する又はエアロゾル生成材料21の表面において見えるように、エアロゾル生成材料21内に部分的に埋設されてもよい。
【0064】
幾つかの実施形態では、例として
図3に示されるように、サセプタ1は、消耗品20の中心軸線と同軸である。これにより、熱をサセプタ1から外側に放射でき、周囲のエアロゾル生成材料21を均一に加熱することができる。或いは、サセプタ1は、エアロゾル生成材料21の加熱を可能にする消耗品20の中心軸線に対して任意の他の位置に配置されてもよい。
【0065】
幾つかの実施形態においてサセプタ1は、導電性材料、磁性材料、及び、磁性導電性材料から成るグループから選択される1つ以上の材料を備える。幾つかの実施形態では、サセプタ1が金属又は金属合金を備える。幾つかの実施形態において、サセプタ1は、アルミニウム、金、鉄、ニッケル、コバルト、導電性炭素、グラファイト、鋼、普通炭素鋼、軟鋼、ステンレス鋼、フェライト系ステンレス鋼、モリブデン、炭化ケイ素、銅、青銅から成るグループから選択される1つ以上の材料を備える。
【0066】
幾つかの実施形態では、エアロゾル生成材料3、21が非液体材料である。幾つかの実施形態では、エアロゾル生成材料3、21がタバコを備える。幾つかの実施形態において、エアロゾル生成材料3、21は、再生タバコなどの再生エアロゾル生成材料を備える。
【0067】
幾つかの実施形態では、物体が消耗品であってもよい。例えば、幾つかの実施形態では、消耗品を形成するために物体に対して更なる製造ステップが行なわれるが(フィルターを提供するなど)、他の実施形態では、サセプタが挿入されれば、物体から消耗品を形成するための更なる製造ステップは必要ない。
【0068】
図5は、一実施形態に係る非燃焼性エアロゾル供給システム30の概略図を示す。非燃焼性エアロゾル供給システム30は消耗品20を備える。消耗品20は、例えば、
図3の消耗品20、
図1の物体2、又は、本明細書に開示されるその任意の変形例であってもよい。また、非燃焼性エアロゾル供給システム30は、消耗品20のエアロゾル生成材料21を加熱してエアロゾル生成材料21の少なくとも1つの成分を揮発させるための非燃焼性エアロゾル供給デバイス32も備える。デバイス32は、消耗品20を受けるための加熱ゾーン33と、消耗品20が加熱ゾーン33にあるときにサセプタ1に侵入するための変動磁場を生成することによりエアロゾル生成材料の加熱を引き起こすための磁場生成器34とを備える。
【0069】
幾つかの実施形態では、デバイス32は、消耗品20のエアロゾル生成材料21を加熱して、エアロゾル生成材料21を燃焼させることなくエアロゾル生成材料21の少なくとも1つの成分を揮発させるためのものである。幾つかの実施形態では、デバイス32は、タバコ加熱製品としても知られるタバコ加熱デバイスであってもよい。
【0070】
上記の実施形態は、本発明の例示的な例として理解されるべきである。本発明の更なる実施形態が、想定される。任意の一実施形態に関して説明された任意の特徴は、単独で、又は説明された他の特徴と組み合わせて使用されてもよく、任意の他の実施形態の1つ又は複数の特徴と組み合わせて、又は任意の他の実施形態の任意の組み合わせで使用されてもよいことが理解されるべきである。更に、添付の特許請求の範囲で定義される本発明の範囲から逸脱することなく、上記に記載されていない均等物及び変更も採用され得る。