(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】無人ヘリコプターの飛行重量の測定装置
(51)【国際特許分類】
B64U 30/29 20230101AFI20240501BHJP
B64U 10/10 20230101ALI20240501BHJP
G01G 9/00 20060101ALI20240501BHJP
G01G 19/07 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
B64U30/29
B64U10/10
G01G9/00
G01G19/07
(21)【出願番号】P 2022205417
(22)【出願日】2022-12-22
【審査請求日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】202210543397.3
(32)【優先日】2022-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】505072650
【氏名又は名称】浙江大学
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG UNIVERSITY
(73)【特許権者】
【識別番号】522497799
【氏名又は名称】杭州沛瀾航空科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】何 立文
(72)【発明者】
【氏名】何 勇
(72)【発明者】
【氏名】邵 誠
(72)【発明者】
【氏名】鄭 力源
【審査官】志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-315298(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0068004(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0299428(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64B 1/00 - B64U 101/75
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無人ヘリコプターの飛行重量の測定装置であって、スワッシュプレートの位置を検出するための位置検出装置を含み、前記スワッシュプレートは前記無人ヘリコプターの主軸に摺動可能に設置され、前記位置検出装置は前記スワッシュプレートに対向して設置され、前記位置検出装置と前記スワッシュプレートは前記主軸の軸線方向に沿って順に設置され、
前記位置検出装置はリニアホールセンサ及び磁石を含み、前記リニアホールセンサ及び前記磁石のうちの一方は前記スワッシュプレートに設置され、他方は前記主軸に設置され、
前記リニアホールセンサは前記磁石に対向して設置されることを特徴とする無人ヘリコプターの飛行重量の測定装置。
【請求項2】
接続部品をさらに含み、前記磁石は前記スワッシュプレートに設置され、前記主軸に接続部品が設置され、前記リニアホールセンサは前記接続部品に設置されることを特徴とする請求項
1に記載の無人ヘリコプターの飛行重量の測定装置。
【請求項3】
前記スワッシュプレートに取り付け溝が設置され、前記磁石の一端に取り付けブロックが設置され、前記取り付けブロックは前記取り付け溝内に設置され、前記取り付け溝に固定して接続されることを特徴とする請求項
2に記載の無人ヘリコプターの飛行重量の測定装置。
【請求項4】
前記磁石は円柱構造であり、前記接続部品にガイド溝が設置され、前記ガイド溝の長さ方向は前記主軸の軸線方向と平行であり、前記磁石は前記ガイド溝内に摺動可能に設置され、前記磁石の横断面直径は前記ガイド溝の幅に等しいことを特徴とする請求項
2に記載の無人ヘリコプターの飛行重量の測定装置。
【請求項5】
前記接続部品は互いに垂直な第1接続板及び第2接続板を含み、前記第1接続板は前記主軸に設置され、前記主軸は前記第1接続板に垂直であり、前記第2接続板に前記ガイド溝が設置されることを特徴とする請求項
4に記載の無人ヘリコプターの飛行重量の測定装置。
【請求項6】
前記第1接続板は前記主軸に嵌設され、前記主軸に固定して接続されることを特徴とする請求項
5に記載の無人ヘリコプターの飛行重量の測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人ヘリコプターの分野に関し、特に、無人ヘリコプターの飛行重量の測定方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無人ヘリコプターが飛行する場合、燃料が消費されるため、特に植物保護無人ヘリコプターは薬液の噴霧に伴って重量が大きく変化し、これは飛行制御システムにとってチャレンジである。飛行制御システムは数学モデルで必要な制御量を算出するためにヘリコプターの重量データを取得する必要があり、重量データが正確であるほど、制御率が正確になり、飛行品質も高くなる。
【0003】
現在、無人ヘリコプターの実際の飛行重量を直接監視できないため、飛行制御システムは通常、複数種の様々な飛行制御率データを設定し、無人ヘリコプターの飛行重量に基づいて離陸から着陸までの過程において重い順に制御率を切り替える。該方式の最も主要な欠陥は、客観的な作業環境又は他の原因で重量制御率に設定された重量とヘリコプターが飛行する時の実際の重量との間に一定の偏差が存在する可能性があり、偏差の影響により、無人ヘリコプターの飛行事故が非常に発生しやすいことである。
【0004】
したがって、無人ヘリコプターの実際の飛行重量をどのように直接監視するかは、当業者が現在解決しようとする問題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上の技術的問題を解決するために、本発明は、無人ヘリコプターの実際の飛行重量を直接監視できる無人ヘリコプターの飛行重量の測定方法及び装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は以下の解決手段を提供する。
【0007】
本発明は、無人ヘリコプターの飛行重量の測定方法を提供し、ホバリング状態で、スワッシュプレートの位置を取得するステップと、前記スワッシュプレートの位置に基づいて無人ヘリコプターの回転翼のプロペラ翼角を決定するステップと、前記無人ヘリコプターのプロペラ翼角に基づいて前記無人ヘリコプターの揚力を決定するステップと、前記揚力に基づいて前記無人ヘリコプターの重量を決定するステップとを含む。
【0008】
本発明はまた、無人ヘリコプターの飛行重量の測定装置を提供し、前記スワッシュプレートの位置を検出するための位置検出装置を含み、前記スワッシュプレートは前記無人ヘリコプターの主軸に摺動可能に設置され、前記位置検出装置は前記スワッシュプレートに対向して設置され、前記位置検出装置と前記スワッシュプレートは前記主軸の軸線方向に沿って順に設置される。
【0009】
好ましくは、前記位置検出装置はリニアホールセンサ及び磁石を含み、前記リニアホールセンサ及び前記磁石のうちの一方は前記スワッシュプレートに設置され、他方は前記主軸に設置され、前記リニアホールセンサは前記磁石に対向して設置される。
【0010】
好ましくは、本発明が提供する無人ヘリコプターの飛行重量の測定装置は、接続部品をさらに含み、前記磁石は前記スワッシュプレートに設置され、前記主軸に接続部品が設置され、前記リニアホールセンサは前記接続部品に設置される。
【0011】
好ましくは、前記スワッシュプレートに取り付け溝が設置され、前記磁石の一端に取り付けブロックが設置され、前記取り付けブロックは前記取り付け溝内に設置され、前記取り付け溝に固定して接続される。
【0012】
好ましくは、前記磁石は円柱構造であり、前記接続部品にガイド溝が設置され、前記ガイド溝の長さ方向は前記主軸の軸線方向と平行であり、前記磁石は前記ガイド溝内に摺動可能に設置され、前記磁石の横断面直径は前記ガイド溝の幅に等しい。
【0013】
好ましくは、前記接続部品は互いに垂直な第1接続板及び第2接続板を含み、前記第1接続板は前記主軸に設置され、前記主軸は前記第1接続板に垂直であり、前記第2接続板に前記ガイド溝が設置される。
【0014】
好ましくは、前記第1接続板は前記主軸に嵌設され、前記主軸に固定して接続される。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、従来技術に対して以下の技術的効果を取得する。
【0016】
本発明が提供する無人ヘリコプターの飛行重量の測定方法及び装置は、ホバリング状態でスワッシュプレートの位置を検出することによって無人ヘリコプターの回転翼のプロペラ翼角を決定し、無人ヘリコプターのプロペラ翼角に基づいて無人ヘリコプターの揚力を決定でき、揚力に基づいて無人ヘリコプターの重量を決定でき、このように、本発明が提供する無人ヘリコプターの飛行重量の測定方法及び装置は、スワッシュプレートの位置を検出することによって無人ヘリコプターの実際の飛行重量を直接監視できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明の実施例又は従来技術の技術的解決手段をより明確に説明するために、以下に実施例で使用する必要のある図面を簡単に説明し、以下に説明する図面は本発明の一部の実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的な労力を要することなく、これらの図面に基づいて他の図面に想到し得る。
【0018】
【
図1】本発明の実施例で提供される無人ヘリコプターの飛行重量の測定装置の構造概略図である。
【
図2】本発明の実施例で提供される無人ヘリコプターの飛行重量の測定装置の接続部品の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施例における図面を参照して、本発明の実施例における技術的解決手段を明確かつ完全に説明し、説明した実施例は本発明の一部の実施例に過ぎず、全ての実施例ではない。本発明の実施例に基づいて、当業者が創造的な労力を要さずに想到し得る他の実施例は、いずれも本発明の技術的範囲に属する。
【0020】
本発明は、無人ヘリコプターの実際の飛行重量を直接監視できる無人ヘリコプターの飛行重量の測定方法及び装置を提供することを目的とする。
【0021】
本発明の上記目的、特徴及び利点をより分かりやすくするために、以下、図面及び具体的な実施形態を参照して、本発明をさらに詳しく説明する。
【0022】
図1に示すように、本実施例は無人ヘリコプターの飛行重量の測定方法を提供し、ホバリング状態で、スワッシュプレート1の位置を取得するステップと、スワッシュプレート1の位置に基づいて無人ヘリコプターの回転翼のプロペラ翼角(水平に対する無人ヘリコプターの回転翼の角度)を決定するステップと、無人ヘリコプターのプロペラ翼角に基づいて無人ヘリコプターの揚力を決定するステップと、揚力に基づいて無人ヘリコプターの重量を決定するステップとを含む。本実施例によって提供される無人ヘリコプターの飛行重量の測定方法は、スワッシュプレート1の位置を検出することによって無人ヘリコプターの実際の飛行重量を直接監視でき、このように、制御率に設定された重量とヘリコプターが飛行する時の実際の重量との間に偏差が存在するため、無人ヘリコプターの飛行事故が非常に発生しやすいという状況の発生を効果的に回避する。
【0023】
本実施例はまた、無人ヘリコプターの飛行重量の測定装置を提供し、スワッシュプレート1の位置を検出するための位置検出装置を含み、スワッシュプレート1は無人ヘリコプターの主軸2に摺動可能に設置され、位置検出装置はスワッシュプレート1に対向して設置され、位置検出装置とスワッシュプレート1は主軸2の軸線方向に沿って順に設置される。
【0024】
具体的には、位置検出装置はリニアホールセンサ及び磁石3を含み、リニアホールセンサ及び磁石3のうちの一方はスワッシュプレート1に設置され、他方は主軸2に設置され、リニアホールセンサは磁石3に対向して設置される。リニアホールセンサは磁石3の位置を感知し、磁石3の位置の変化に伴って様々な電気信号を出力し、無人ヘリコプターの制御システムはリニアホールセンサが出力した電気信号を受信し、該電気信号を介して無人ヘリコプターの重量を決定する。なお、無人ヘリコプターの制御システムは従来の構造に属し、本発明が提供する無人ヘリコプターの飛行重量の測定装置の位置検出装置(リニアホールセンサ)を無人ヘリコプターに付属する制御システムに通信接続すればよい。
【0025】
さらに、
図1に示すように、本実施例はまた、無人ヘリコプターの飛行重量の測定装置を提供し、接続部品をさらに含み、磁石3はスワッシュプレート1に設置され、主軸2に接続部品が設置され、リニアホールセンサは接続部品に設置される。
【0026】
さらに、スワッシュプレート1に取り付け溝が設置され、磁石3の一端に取り付けブロック4が設置され、取り付けブロック4は取り付け溝内に設置され、取り付け溝に固定して接続される。
【0027】
さらに、
図1に示すように、磁石3は円柱構造であり、接続部品にガイド溝5が設置され、ガイド溝5の長さ方向は主軸2の軸線方向と平行であり、磁石3はガイド溝5内に摺動可能に設置され、磁石3の横断面直径はガイド溝5の幅に等しい。
図2に示すように、具体的には、接続部品は互いに垂直な第1接続板6及び第2接続板7を含み、第1接続板6は主軸2に設置され、主軸2は第1接続板6に垂直であり、第2接続板7にガイド溝5が設置される。具体的には、第1接続板6は主軸2に嵌設され、主軸2に固定して接続される。
【0028】
本実施例によって提供される無人ヘリコプターの飛行重量の測定装置は、具体的な使用過程において離陸時のホバリング状態で最大ホールデータを校正し、飛行過程においてヘリコプターをホバリングさせることによってスワッシュプレートの下降量を監視でき、飛行制御システムの制御率の変更に根拠を提供する。
【0029】
本実施例によって提供される無人ヘリコプターの飛行重量の測定方法及び装置が、ヘリコプターの実際の飛行重量を測定する原理は以下のとおりである。
【0030】
従来の無人ヘリコプターにはいずれもスワッシュプレート1が設置され、スワッシュプレート1は無人ヘリコプターの揚力を変えるために用いられ、スワッシュプレート1は主軸2に摺動可能に設置され、スワッシュプレート1の摺動に伴って無人ヘリコプターの回転翼のプロペラ翼角の大きさが変化し、プロペラ翼角が大きいほど、発生する揚力が大きくなり、プロペラ翼角が小さくなるとその逆になり、スワッシュプレート1の位置と無人ヘリコプターの揚力の大きさは線形関係である。具体的な飛行過程において、ホバリング状態にある時、無人ヘリコプターの揚力は無人ヘリコプターの重力に等しく、無人ヘリコプターは平衡状態にあり、この時、スワッシュプレート1の位置を監視することによって無人ヘリコプターの実際の飛行重量を監視でき、スワッシュプレート1の位置は無人ヘリコプターの揚力の大きさ及び無人ヘリコプターの実際の飛行重量の大きさに線形的に相関する。
【0031】
本明細書では、具体的な例を用いて本発明の原理及び実施形態を説明したが、以上の実施例の説明は本発明の方法及びその核心思想を理解するのを助けるためのものに過ぎない。また、当業者であれば、本発明の思想に基づいて、具体的な実施形態及び応用範囲のいずれも変化できる。要約すると、本明細書の内容は本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
【符号の説明】
【0032】
1 スワッシュプレート、2 主軸、3 磁石、4 取り付けブロック、5 ガイド溝、6 第1接続板、7 第2接続板。