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特許7480970緊急洪水放流に適した損傷率低減の緩衝魚道及び緩衝方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】緊急洪水放流に適した損傷率低減の緩衝魚道及び緩衝方法
(51)【国際特許分類】
   E02B 8/08 20060101AFI20240501BHJP
【FI】
E02B8/08
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023521072
(86)(22)【出願日】2022-03-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-19
(86)【国際出願番号】 CN2022079315
(87)【国際公開番号】W WO2022206284
(87)【国際公開日】2022-10-06
【審査請求日】2023-04-05
(31)【優先権主張番号】202110332278.9
(32)【優先日】2021-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520414480
【氏名又は名称】中国長江三峡集団有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】521110633
【氏名又は名称】三峡大学
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】戴 会超
(72)【発明者】
【氏名】譚 均軍
(72)【発明者】
【氏名】蒋 定国
(72)【発明者】
【氏名】石 小涛
(72)【発明者】
【氏名】劉 振彪
(72)【発明者】
【氏名】王 宇
【審査官】石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-182507(JP,A)
【文献】実開平02-120523(JP,U)
【文献】実開昭62-094115(JP,U)
【文献】特開2002-115243(JP,A)
【文献】中国実用新案第210917258(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02B 8/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
魚道本体(1)を備え、前記魚道本体(1)の内部には回遊通路(3)が設けられた緊急洪水放流に適した損傷率低減の緩衝魚道であって、前記魚道本体(1)は、一端が固定台(2)に回転可能に接続され、その他端がカウンタウェイト浮きドック(4)に回転可能に接続され、前記回遊通路(3)の内部には複数の揺動可能な緩衝板(5)がヒンジで接続されている、
ことを特徴とする緊急洪水放流に適した損傷率低減の緩衝魚道。
【請求項2】
前記緩衝板(5)は、前記回遊通路(3)の内部に長手方向に沿って等距離かつ平行に配置され、各緩衝板(5)の間には伝動接続棒(6)を設け、前記伝動接続棒(6)は前記緩衝板(5)の側面に回転可能に接続される、
ことを特徴とする請求項1に記載の緊急洪水放流に適した損傷率低減の緩衝魚道。
【請求項3】
前記回遊通路(3)の内部にクランクロッカー機構(8)を更に配置し、複数の緩衝板(5)のうちの一つの入力端は前記クランクロッカー機構(8)の出力端と接続する、
ことを特徴とする請求項2に記載の緊急洪水放流に適した損傷率低減の緩衝魚道。
【請求項4】
前記クランクロッカー機構(8)の入力端はタービン減速装置(9)の出力端と接続し、前記タービン減速装置(9)の入力端は洪水放流タービン(7)の出力端と接続し、前記洪水放流タービン(7)と前記タービン減速装置(9)は全て前記魚道本体(1)の外側に取り付けられる、
ことを特徴とする請求項3に記載の緊急洪水放流に適した損傷率低減の緩衝魚道。
【請求項5】
配置される前記洪水放流タービン(7)は、複数であり、その両側の軸が取付枠(16)の軸受の内側に支えられ、各洪水放流タービン(7)の片側には鎖歯車(18)が取り付けられ、複数の鎖歯車(18)は駆動チェーン(19)を介してお互いに接続される、
ことを特徴とする請求項4に記載の緊急洪水放流に適した損傷率低減の緩衝魚道。
【請求項6】
前記クランクロッカー機構(8)は、駆動クランク(11)を備え、前記駆動クランク(11)は、その一端が前記タービン減速装置(9)の出力端に回転可能に接続され、その他端がクランク連接棒(13)の一端に回転可能に接続され、前記クランク連接棒(13)の他端は、ロッカーアーム(12)の一端に回転可能に接続され、前記ロッカーアーム(12)の他端は、回転軸を介して第1歯車(20)の中心に接続され、複数の緩衝板(5)のうちの一つのピン軸は第2歯車(21)の中心に接続され、前記第1歯車(20)は前記第2歯車(21)と噛み合い、前記ロッカーアーム(12)の回転軸と前記緩衝板(5)のピン軸はそれぞれ軸受を介して前記魚道本体(1)の側面に支えられる、
ことを特徴とする請求項4に記載の緊急洪水放流に適した損傷率低減の緩衝魚道。
【請求項7】
前記タービン減速装置(9)は、筐体(10)を備え、前記筐体(10)の内側には、第2小歯車(140)と第2大歯車(150)がヒンジで接続され、前記第2小歯車(140)は第1大歯車(15)と同軸に固定され、前記第1大歯車(15)は第1小歯車(14)と噛み合い、前記第1小歯車(14)は前記洪水放流タービン(7)と同軸に固定され、前記第2小歯車(140)は前記第2大歯車(150)と噛み合い、前記第2大歯車(150)は前記駆動クランク(11)と同軸に固定された従動歯車(17)と噛み合う、
ことを特徴とする請求項6に記載の緊急洪水放流に適した損傷率低減の緩衝魚道。
【請求項8】
前記カウンタウェイト浮きドック(4)は、浮箱(22)と排水ポンプ(23)とを備え、前記浮箱(22)は前記魚道本体(1)の下端に回転可能に接続され、前記排水ポンプ(23)は前記浮箱(22)に固定に取り付けられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の緊急洪水放流に適した損傷率低減の緩衝魚道。
【請求項9】
排水ポンプ(23)が始動後に浮箱(22)から水を定量的に汲み出し、浮箱(22)内の水量を制御することで魚道本体(1)の傾斜角度を調整して、様々な洪水放流状況に対応できるようにするステップ1と、
洪水を放流すると、洪水が洪水放流タービン(7)を回転させ、次いでクランクロッカー機構(9)を介してクランクロッカー機構(8)を作動させるステップ2と、
クランクロッカー機構(8)が複数の緩衝板(5)のうちの一つを回遊通路(3)の内部で揺れさせ、従って複数の緩衝板(5)を回遊通路(3)の内部で揺れさせるステップ3と、
緩衝板(5)が上向きに揺れる時に下向きに流れる水流を上向きに押して緩衝効果を果たすステップ4と、を含む、
ことを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の緩衝魚道の緩衝方法。
【請求項10】
ステップ1においては、洪水放流が多い場合、排水ポンプ(23)が浮箱(22)から水を定量的に汲み出し、浮箱(22)が一定の距離に浮き上がって魚道本体(1)が上向きに一定の角度で傾斜すると、洪水がより多い洪水放流タービン(7)を通って流れ、緩衝効果を高めるようになり、洪水放流が少ない場合、浮箱(22)の注水バルブを一定時間開き続け、浮箱(22)が浸水後に少し離れて沈んで魚路本体(1)が下向きに一定の角度で傾斜すると、洪水がより少ない洪水放流タービン(7)を通って流れ、緩衝効果を弱めるようになる、
ことを特徴とする請求項9に記載の緩衝魚道の緩衝方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚道設計の技術分野に関し、特に緊急洪水放流に適した損傷率低減の緩衝魚道及び緩衝方法に関する。
【背景技術】
【0002】
魚道の設計は、主に魚類の上流方向へ泳ぐ習性を考慮することである。堰の下流で、魚類はしばしば水流によって吸入されて魚道に入る。魚類は魚道において自身で流速を克服し、上流方向へ泳ぐ。魚道は、入口と槽体と出口と誘魚給水システムで構成される。入口は、主に安定した水流と一定の水深を有する川岸、又は発電所又は越流ダムの出口の付近に位置する。標準の槽体は、断面が長方形にされ、水槽の上流と下流の水位が仕切り板でいくつかの小さな落差に分割され、仕切り板に魚道孔を設け、水クッション、途中の摩擦及び水流を利用して余分なエネルギーを弱め、拡散、排除する。槽体は、魚道孔の異なる形状に応じて、堰型、浸水孔口型、垂直隙間型及び複合型に分けられる。堰には、洪水放流の場合、魚道内の魚は洪水によって激しい衝撃を受け、損傷を受け易くなる。その上、従来技術の魚道は、通常比較的簡単な構造や緩衝装置無しの設計であるため、魚類の保護効果が低くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上記欠点を克服するために、緊急洪水放流に適した損傷率低減の緩衝魚道及び緩衝方法を提供して、背景技術に記載の技術的問題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記技術的問題を解決するために、本発明で採用される技術手段は、魚道本体を備え、前記魚道本体の内部には回遊通路が設けられた緊急洪水放流に適した損傷率低減の緩衝魚道であって、前記魚道本体は、一端が固定台に回転可能に接続され、その他端がカウンタウェイト浮きドックに回転可能に接続され、前記回遊通路の内部には複数の揺動可能な緩衝板がヒンジで接続されている緊急洪水放流に適した損傷率低減の緩衝魚道。
【0005】
好ましくは、前記緩衝板は、前記回遊通路の内部に長手方向に沿って等距離かつ平行に配置され、各緩衝板の間には伝動接続棒を設け、前記伝動接続棒は前記緩衝板の側面に回転可能に接続される。
【0006】
好ましくは、前記回遊通路の内部にクランクロッカー機構を更に配置し、複数の緩衝板のうちの一つの入力端は前記クランクロッカー機構の出力端と接続する。
【0007】
好ましくは、前記クランクロッカー機構の入力端はタービン減速装置の出力端と接続し、前記タービン減速装置の入力端は洪水放流タービンの出力端と接続し、前記洪水放流タービンと前記タービン減速装置は全て前記魚道本体の外側に取り付けられる。
【0008】
好ましくは、配置される前記洪水放流タービンは、複数であり、その両側の軸が取付枠の軸受の内側に支えられ、各洪水放流タービンの片側には鎖歯車が取り付けられ、複数の鎖歯車は駆動チェーンを介してお互いに接続される。
【0009】
好ましくは、前記クランクロッカー機構は、駆動クランクを備え、前記駆動クランクは、その一端が前記タービン減速装置の出力端に回転可能に接続され、その他端がクランク連接棒の一端に回転可能に接続され、前記クランク連接棒の他端は、ロッカーアームの一端に回転可能に接続され、前記ロッカーアームの他端は、回転軸を介して第1歯車の中心に接続され、複数の緩衝板のうちの一つのピン軸は第2歯車の中心に接続され、前記第1歯車は前記第2歯車と噛み合い、前記ロッカーアームの回転軸と前記緩衝板のピン軸はそれぞれ軸受を介して前記魚道本体の側面に支えられる。
【0010】
好ましくは、前記タービン減速装置は、筐体を備え、前記筐体の内側には、第2小歯車と第2大歯車がヒンジで接続され、前記第2小歯車は第1大歯車と同軸に固定され、前記第1大歯車は第1小歯車と噛み合い、前記第1小歯車は前記洪水放流タービンと同軸に固定され、前記第2小歯車は前記第2大歯車と噛み合い、前記第2大歯車は前記駆動クランクと同軸に固定された従動歯車と噛み合う。
【0011】
好ましくは、前記カウンタウェイト浮きドックは、浮箱と排水ポンプとを備え、前記浮箱は前記魚道本体の下端に回転可能に接続され、前記排水ポンプは前記浮箱に固定に取り付けられる。
【0012】
その上、本発明は前記緩衝魚道の緩衝方法を開示していて、当該方法は次のステップを含む。
ステップ1):排水ポンプが始動後に浮箱から水を定量的に汲み出し、浮箱内の水量を制御することで魚道本体の傾斜角度を調整して、様々な洪水放流状況に対応できるようにする。
ステップ2):洪水を放流すると、洪水が洪水放流タービンを回転させ、次いでクランクロッカー機構を介してクランクロッカー機構を作動させる。
ステップ3):クランクロッカー機構が複数の緩衝板のうちの一つを回遊通路の内部で揺れさせ、従って複数の緩衝板を回遊通路の内部で揺れさせる。
ステップ4):緩衝板5が上向きに揺れる時に下向きに流れる水流を上向きに押して緩衝効果を果たすようにする。
【0013】
好ましくは、ステップ1においては、洪水放流が多い場合、排水ポンプが浮箱から水を定量的に汲み出し、浮箱が一定の距離に浮き上がって魚道本体が上向きに一定の角度で傾斜すると、洪水がより多い洪水放流タービンを通って流れ、緩衝効果を高めるようになり、洪水放流が少ない場合、浮箱の注水バルブを一定時間開き続け、浮箱が浸水後に少し離れて沈んで魚路本体が下向きに一定の角度で傾斜すると、洪水がより少ない洪水放流タービンを通って流れ、緩衝効果を弱めるようになる。
【0014】
本発明の有益な効果は次の通りである。
【0015】
1、洪水は、放流されると、その流動が洪水放流タービンを回転させ、洪水放流タービンがクランクロッカー機構を介して緩衝板を回遊通路内で揺れさせる。緩衝板は、揺れている時上向きの推力を与えて緩衝の役割を果たし、下向きにも揺れると洪水急流を適切に緩衝できるうえに、作業を続ける必要がある緩衝板の揺動及び洪水放流タービンの回転は、洪水の位置エネルギーを有効的に低減し、魚類への衝撃力を弱める。これは、洪水放流の場合、魚道内の魚が洪水によって激しい衝撃を受けて損傷を受け易くなることを有効的に免れ、魚類に対する高い保護効果を備える。
【0016】
2、駆動クランクは、円運動中にクランク連接棒を介してロッカーアームを揺れさせる。ロッカーアームは、揺れるとそれに接続された緩衝板を揺れさせる。それに接続された緩衝板は、揺れると残りの緩衝板を駆動して一緒に揺れる。本発明は、ロッカーアームが回転時に急速復帰運動の特性を備えるため、ロッカーアームによって駆動されている緩衝板が上向きに揺れる時に下向きに流れる水流を速やかに上向きに押して緩衝の役割を果たすようになる。
【0017】
3、本発明は、タービン減速装置の多段減速作用下でロッカーアームの旋回速度を有効的に緩め、緩衝板が急激過ぎる旋回に起因して魚類を傷つけることを回避する。
【0018】
4、本発明、排水ポンプが始動後に浮箱から水を定量的に汲み出し、浮箱内の水量を制御することで魚道本体1の傾斜角度を調整でき、様々な洪水放流状況に対応できるようになる。たとえば、洪水放流が多い場合、排水ポンプが浮箱から水を定量的に汲み出し、浮箱が一定の距離に浮き上がって魚道本体が上向きに一定の角度で傾斜すると、洪水がより多い洪水放流タービンを通って流れ、緩衝効果を高めるようになり、洪水放流が少ない場合、浮箱の注水バルブを一定時間開き続け、浮箱が浸水後に少し離れて沈んで魚路本体が下向きに一定の角度で傾斜すると、洪水がより少ない洪水放流タービンを通って流れ、緩衝効果を弱めるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】緊急洪水放流に適した損傷率低減の緩衝魚道の立体構造図を示す。
図2図1中のA区域の拡大図を示す。
図3】緊急洪水放流に適した損傷率低減の緩衝魚道の別の視点から見える立体構造図を示す。
図4図3中のB区域の拡大図を示す。
図5】洪水放流タービンがタービン減速装置と組み合わさった概略図を示す。
図6】緊急洪水放流に適した損傷率低減の緩衝魚道が上向きに揺れる時の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、次に図面及び実施例と相まって詳細に説明される。
【0021】
図1~6に示されたように、緊急洪水放流に適した損傷率低減の緩衝魚道は、魚道本体1を備え、魚道本体1の内部には回遊通路3が設けられ、魚道本体1は、一端が固定台2に回転可能に接続され、その他端がカウンタウェイト浮きドック4に回転可能に接続され、回遊通路3の内部には複数の揺動可能な緩衝板5がヒンジで接続されている。
【0022】
好ましくは、緩衝板5は、回遊通路3の内部に長手方向に沿って等距離かつ平行に配置され、各緩衝板5の間には伝動接続棒6を設け、伝動接続棒6は緩衝板5の側面に回転可能に接続される。この様な設計により、1枚の緩衝板5が揺れると、複数の緩衝板5が連動できて一緒に揺れるようになる。
【0023】
好ましくは、前記回遊通路3の内部にクランクロッカー機構8を更に配置し、複数の緩衝板5のうちの一つの入力端は前記クランクロッカー機構8の出力端と接続する。
【0024】
好ましくは、前記クランクロッカー機構8の入力端はタービン減速装置9の出力端と接続し、前記タービン減速装置9の入力端は洪水放流タービン7の出力端と接続し、前記洪水放流タービン7と前記タービン減速装置9は全て前記魚道本体1の外側に取り付けられる。
【0025】
好ましくは、配置される洪水放流タービン7は、複数であり、その両側の軸が取付枠16の軸受の内側に支えられる。各洪水放流タービン7の片側には鎖歯車18が取り付けられ、複数の鎖歯車18が駆動チェーン19を介してお互いに接続される。本実施例には、複数の洪水放流タービン7を設置し、且つ鎖歯車18と駆動チェーン19を介してそれらを組み合わせることで、複数の洪水放流タービン7が連携して動作し、洪水の位置エネルギーを有効的に低減し、緩衝効率を高めることもできる。
【0026】
好ましくは、前記クランクロッカー機構8は、駆動クランク11を備える。駆動クランク11は、その一端がタービン減速装置9の出力端に回転可能に接続され、その他端がクランク連接棒13の一端に回転可能に接続される。クランク連接棒13の他端はロッカーアーム12の一端に回転可能に接続され、ロッカーアーム12の他端は回転軸を介して第1歯車20の中心に接続される。複数の緩衝板5のうちの一つのピン軸は第2歯車21の中心に接続され、第1歯車20は第2歯車21と噛み合う。ロッカーアーム12の回転軸と緩衝板5のピン軸はそれぞれ軸受を介して魚道本体1の側面に支えられる。図4に示すように、駆動クランク11は、回転すると、クランク連接棒13を揺れさせ、従ってロッカーアーム12が周期的に上下に揺れられるようになる。駆動クランク11の長さがロッカーアーム12の長さよりも著しく短くなるため、駆動クランク11が円運動をする時、ロッカーアーム12は周期的に上下にしか揺れない。
【0027】
好ましくは、タービン減速装置9は、筐体10を備える。筐体10の内側には、第2小歯車140と第2大歯車150がヒンジで接続されている。第2小歯車140は第1大歯車15と同軸に固定され、第1大歯車15は第1小歯車14と噛み合う。第1小歯車14は洪水放流タービン7と同軸に固定され、第2小歯車140は第2大歯車150と噛み合う。第2大歯車150は駆動クランク11と同軸に固定された従動歯車17と噛み合う。洪水放流タービン7は、回転すると、第1小歯車14が連動して回転し、次に第1大歯車15と第2小歯車140が連動して回転し、次いで第2大歯車150が連動して回転し、最後に従動歯車17が連動して回転し、駆動クランク11を回転させる。第1小歯車14の直径は第1大歯車15の直径よりも小さいため、第1小歯車14及び第1大歯車15は、第1段減速の役割を果たすように配置されるようになる。第2小歯車140と第1大歯車15は同じ速度を有するため、第2小歯車140と第2大歯車150は、第2段減速の役割を果たすように配置されるようになる。上記設計は、駆動クランク11の回転速度を有効的に低減し、次いでロッカーアーム12の旋回速度を緩めると、緩衝板が急激過ぎる旋回に起因して魚類を傷つけることを回避するようになる。
【0028】
好ましくは、カウンタウェイト浮きドック4は浮箱22と排水ポンプ23とを備える。浮箱22は魚道本体1の下端に回転可能に接続され、排水ポンプ23は浮箱22に固定に取り付けられる。上記設計は、排水ポンプ23が始動後に浮箱22から水を定量的に汲み出し、浮箱22内の水量を制御することで魚道本体1の傾斜角度を調整でき、様々な洪水放流状況に対応できるようになる。
【0029】
その上、本発明は前記緩衝魚道の緩衝方法を開示していて、当該方法は次のステップを含む。
【0030】
ステップ1):排水ポンプ23が始動後に浮箱22から水を定量的に汲み出し、浮箱22内の水量を制御することで魚道本体1の傾斜角度を調整して、様々な洪水放流状況に対応できるようにする。
【0031】
ステップ2):洪水を放流すると、洪水が洪水放流タービン7を回転させ、次いでクランクロッカー機構9を介してクランクロッカー機構8を作動させる。具体的には、洪水放流タービン7が回転すると、第1小歯車14が連動して回転し、次に第1大歯車15と第2小歯車140が連動して回転し、次いで第2大歯車150が連動して回転し、最後に従動歯車17が連動して回転し、駆動クランク11を回転させる。駆動クランク11が回転すると、クランク連接棒13を揺れさせ、従ってロッカーアーム12が周期的に上下に揺れるようになる。ロッカーアーム12の他端が回転軸を介して第1歯車20の中心に接続され、且つ複数の緩衝板5のうちの一つのピン軸が第2歯車21の中心に接続されているため、第1歯車20が第2歯車21を回転させ、従って当該緩衝板5を周期的に揺れさせ、次いで伝動接続棒6を介して他の緩衝板5を一緒に揺動させる。緩衝板5が揺れている時上向きの推力を与えて緩衝の役割を果たし、緩衝板5も下向きに揺れると洪水急流を適切に緩衝できるうえに、作業を続ける必要がある緩衝板5の揺動及び洪水放流タービン7の回転が洪水の位置エネルギーを有効的に低減し、魚類への衝撃力を大幅に弱める。その上、ロッカーアーム12が回転時に急速復帰運動の特性を備えるため、ロッカーアーム12によって駆動されている緩衝板5が上向きに揺れる時に下向きに流れる水流を速やかに上向きに押して緩衝の役割を果たすようになる。
【0032】
ステップ3):クランクロッカー機構8が複数の緩衝板5のうちの一つを回遊通路3の内部で揺れさせ、従って複数の緩衝板5を回遊通路3の内部で揺れさせる。
【0033】
ステップ4):緩衝板5が上向きに揺れる時に下向きに流れる水流を上向きに押して緩衝効果を果たすようにする。
【0034】
好ましくは、ステップ1においては、洪水放流が多い場合、排水ポンプ23が浮箱22から水を定量的に汲み出し、浮箱22が一定の距離に浮き上がって魚道本体1が上向きに一定の角度で傾斜すると、洪水がより多い洪水放流タービン7を通って流れ、緩衝効果を高めるようになり、洪水放流が少ない場合、浮箱22の注水バルブを一定時間開き続け、浮箱22が浸水後に少し離れて沈んで魚路本体1が下向きに一定の角度で傾斜すると、洪水がより少ない洪水放流タービン7を通って流れ、緩衝効果を弱めるようになる。
【0035】
上記実施例はただ本発明の好ましい技術手段であり、本発明を限定するものと見なしてならなく、本願における実施例及び実施例における特徴は矛盾しない限り、互いに任意に組み合わせることが可能である。本発明の保護範囲は、特許請求の範囲に記載の技術手段に加えて、特許請求の範囲に記載の技術手段における技術特徴の同等な取替手段をも保護範囲とすべきである。即ち、この範囲で行われる同等な取替改良も本発明の保護範囲に含まれるものである。
【0036】
(付記)
(付記1)
魚道本体(1)を備え、前記魚道本体(1)の内部には回遊通路(3)が設けられた緊急洪水放流に適した損傷率低減の緩衝魚道であって、前記魚道本体(1)は、一端が固定台(2)に回転可能に接続され、その他端がカウンタウェイト浮きドック(4)に回転可能に接続され、前記回遊通路(3)の内部には複数の揺動可能な緩衝板(5)がヒンジで接続されている、
ことを特徴とする緊急洪水放流に適した損傷率低減の緩衝魚道。
【0037】
(付記2)
前記緩衝板(5)は、前記回遊通路(3)の内部に長手方向に沿って等距離かつ平行に配置され、各緩衝板(5)の間には伝動接続棒(6)を設け、前記伝動接続棒(6)は前記緩衝板(5)の側面に回転可能に接続される、
ことを特徴とする付記1に記載の緊急洪水放流に適した損傷率低減の緩衝魚道。
【0038】
(付記3)
前記回遊通路(3)の内部にクランクロッカー機構(8)を更に配置し、複数の緩衝板(5)のうちの一つの入力端は前記クランクロッカー機構(8)の出力端と接続する、
ことを特徴とする付記2に記載の緊急洪水放流に適した損傷率低減の緩衝魚道。
【0039】
(付記4)
前記クランクロッカー機構(8)の入力端はタービン減速装置(9)の出力端と接続し、前記タービン減速装置(9)の入力端は洪水放流タービン(7)の出力端と接続し、前記洪水放流タービン(7)と前記タービン減速装置(9)は全て前記魚道本体(1)の外側に取り付けられる、
ことを特徴とする付記3に記載の緊急洪水放流に適した損傷率低減の緩衝魚道。
【0040】
(付記5)
配置される前記洪水放流タービン(7)は、複数であり、その両側の軸が取付枠(16)の軸受の内側に支えられ、各洪水放流タービン(7)の片側には鎖歯車(18)が取り付けられ、複数の鎖歯車(18)は駆動チェーン(19)を介してお互いに接続される、
ことを特徴とする付記4に記載の緊急洪水放流に適した損傷率低減の緩衝魚道。
【0041】
(付記6)
前記クランクロッカー機構(8)は、駆動クランク(11)を備え、前記駆動クランク(11)は、その一端が前記タービン減速装置(9)の出力端に回転可能に接続され、その他端がクランク連接棒(13)の一端に回転可能に接続され、前記クランク連接棒(13)の他端は、ロッカーアーム(12)の一端に回転可能に接続され、前記ロッカーアーム(12)の他端は、回転軸を介して第1歯車(20)の中心に接続され、複数の緩衝板(5)のうちの一つのピン軸は第2歯車(21)の中心に接続され、前記第1歯車(20)は前記第2歯車(21)と噛み合い、前記ロッカーアーム(12)の回転軸と前記緩衝板(5)のピン軸はそれぞれ軸受を介して前記魚道本体(1)の側面に支えられる、
ことを特徴とする付記4に記載の緊急洪水放流に適した損傷率低減の緩衝魚道。
【0042】
(付記7)
前記タービン減速装置(9)は、筐体(10)を備え、前記筐体(10)の内側には、第2小歯車(140)と第2大歯車(150)がヒンジで接続され、前記第2小歯車(140)は第1大歯車(15)と同軸に固定され、前記第1大歯車(15)は第1小歯車(14)と噛み合い、前記第1小歯車(14)は前記洪水放流タービン(7)と同軸に固定され、前記第2小歯車(140)は前記第2大歯車(150)と噛み合い、前記第2大歯車(150)は前記駆動クランク(11)と同軸に固定された従動歯車(17)と噛み合う、
ことを特徴とする付記6に記載の緊急洪水放流に適した損傷率低減の緩衝魚道。
【0043】
(付記8)
前記カウンタウェイト浮きドック(4)は、浮箱(22)と排水ポンプ(23)とを備え、前記浮箱(22)は前記魚道本体(1)の下端に回転可能に接続され、前記排水ポンプ(23)は前記浮箱(22)に固定に取り付けられる、
ことを特徴とする付記1に記載の緊急洪水放流に適した損傷率低減の緩衝魚道。
【0044】
(付記9)
排水ポンプ(23)が始動後に浮箱(22)から水を定量的に汲み出し、浮箱(22)内の水量を制御することで魚道本体(1)の傾斜角度を調整して、様々な洪水放流状況に対応できるようにするステップ1と、
洪水を放流すると、洪水が洪水放流タービン(7)を回転させ、次いでクランクロッカー機構(9)を介してクランクロッカー機構(8)を作動させるステップ2と、
クランクロッカー機構(8)が複数の緩衝板(5)のうちの一つを回遊通路(3)の内部で揺れさせ、従って複数の緩衝板(5)を回遊通路(3)の内部で揺れさせるステップ3と、
緩衝板(5)が上向きに揺れる時に下向きに流れる水流を上向きに押して緩衝効果を果たすステップ4と、を含む、
ことを特徴とする付記1~8のいずれか1つに記載の緩衝魚道の緩衝方法。
【0045】
(付記10)
ステップ1においては、洪水放流が多い場合、排水ポンプ(23)が浮箱(22)から水を定量的に汲み出し、浮箱(22)が一定の距離に浮き上がって魚道本体(1)が上向きに一定の角度で傾斜すると、洪水がより多い洪水放流タービン(7)を通って流れ、緩衝効果を高めるようになり、洪水放流が少ない場合、浮箱(22)の注水バルブを一定時間開き続け、浮箱(22)が浸水後に少し離れて沈んで魚路本体(1)が下向きに一定の角度で傾斜すると、洪水がより少ない洪水放流タービン(7)を通って流れ、緩衝効果を弱めるようになる、
ことを特徴とする付記9に記載の緩衝魚道の緩衝方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6