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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】撮像モジュールおよび可視化プローブ
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/04 20060101AFI20240501BHJP
   G02B 23/26 20060101ALI20240501BHJP
   G02B 23/24 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
A61B1/04 530
G02B23/26 D
G02B23/24 B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019167407
(22)【出願日】2019-09-13
(65)【公開番号】P2021041076
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-09-12
(73)【特許権者】
【識別番号】320008672
【氏名又は名称】i-PRO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】河野 治彦
【審査官】永田 浩司
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-040892(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0174032(US,A1)
【文献】特開2005-117122(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00
G02B 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学系の光軸に直交するセンサ前面を有し、外形が四角形である撮像センサと、
穴部を有し、前記光軸に直交する第1端面と、前記第1端面と平行であり、かつ前記第1端面よりも前記撮像センサの近くに配置されている第2端面と、前記穴部から前記第2端面まで貫通している空間部と、前記第2端面に直交し、かつ前記第2端面から前記第1端面まで延びる外周部と、を含み、前記光軸に平行な方向に関して前記撮像センサの投影面内に配置され、かつ前記第2端面において前記撮像センサと対向するセンサ保持部材と、
前記光学系を保持し、前記空間部に配置されている鏡筒と、を備え、
前記センサ前面は、4つの角部を有し、
前記センサ保持部材は、前記光軸と平行であって前記第1端面から前記第2端面に向かう目視方向に視て四角形よりも頂点が多い形状であり、
前記4つの角部のうち1つ以上の角部は、前記センサ保持部材から露出しており、
前記外周部は、前記1つ以上の角部と隣接する面取部を有し、
前記1つ以上の角部から前記面取部に渡って第1接着剤が設けられる、
撮像モジュール。
【請求項2】
前記第2端面は、
第2接着剤を介して前記センサ前面に固定される、
請求項1に記載の撮像モジュール。
【請求項3】
前記第1接着剤と前記第2接着剤とは、連続しており、前記センサ保持部材と前記撮像センサとの間隙の外周を密閉する、
請求項2に記載の撮像モジュール。
【請求項4】
前記鏡筒は、円筒である、
請求項1~3のうちいずれか一項に記載の撮像モジュール。
【請求項5】
前記第1端面及び前記第2端面は、
前記目視方向に視て、八角形であり、
前記4つの角部は、前記センサ保持部材から露出している、
請求項1~4のうちいずれか一項に記載の撮像モジュール。
【請求項6】
可視化プローブであって、
光学系の光軸に直交するセンサ前面を有し、外形が四角形である撮像センサと、
穴部を有し、前記光軸に直交する第1端面と、前記第1端面と平行であり、かつ前記第1端面よりも前記撮像センサの近くに配置されている第2端面と、前記穴部から前記第2端面まで貫通している空間部と、前記第2端面に直交し、かつ前記第2端面から前記第1端面まで延びる外周部と、を含み、前記光軸に平行な方向に関して前記撮像センサの投影面内に配置され、かつ前記第2端面において前記撮像センサと対向するセンサ保持部材と、
前記光学系を保持し、前記空間部に配置されている鏡筒と、
前記光学系に光を入射するための撮像窓が形成された先端面を有し、前記鏡筒と、前記撮像センサと、前記センサ保持部材とを覆い、前記可視化プローブの先端に配置されている円柱状の先端部と、
前記先端部に挿通され、光出射先端が前記先端面に配置されているライトガイドと、
前記光軸に平行な方向に関して前記撮像センサの投影面内に配置され、前記撮像センサに電気的に接続されている可撓基板と、
前記先端部に挿通され、前記可撓基板に電気的に接続されているケーブルと、を備え、
前記センサ前面は、4つの角部を有し、
前記センサ保持部材は、前記光軸と平行であって前記第1端面から前記第2端面に向かう目視方向に視て四角形よりも頂点が多い形状であり、
前記4つの角部のうち1つ以上の角部は、前記センサ保持部材から露出しており、
前記外周部は、前記1つ以上の角部と隣接する面取部を有し、
前記1つ以上の角部から前記面取部に渡って第1接着剤が設けられる、
可視化プローブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、撮像モジュールおよび可視化プローブに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば可視化プローブの先端に収容される撮像モジュールは、細径化とともに小型化が求められる。例えば特許文献1に開示されるウエハレベルパッケージング(WLP)型の撮像モジュールは、複数の撮像素子を含む撮像ウエハとガラスウエハとが接着された接合ウエハが切断されて個片化されることで作製される。このため、撮像素子の受光部が形成された受光面の全面がカバーガラスで覆われる。
【0003】
このカバーガラスで覆われた撮像素子に、光学系を収容した鏡筒を一体化させて、撮像モジュールを作る場合、双方の部材を連結するためのセンサ保持部材を使用することが有効となる。以下、撮像素子を「撮像センサ」と称する場合がある。この場合においても、撮像モジュールは、小型化の要請により、センサ保持部材の光軸方向の投影面内に撮像センサが収まることが望ましい。即ち、撮像モジュールは、センサ保持部材と撮像センサとが、ほぼ同一の外形サイズであることが小径化に適する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-160763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、撮像モジュールは、センサ保持部材と撮像センサの外形とがほぼ同一サイズの四角形であると、組付け時の位置合わせ作業において対物側から見た場合に撮像センサがセンサ保持部材に隠れてしまい、正規の位置か判りにくいという課題がある。また、センサ保持部材と撮像センサとの間を接着する際、光軸に沿う方向からでも光軸に直交する側方からでも接着剤が塗布できるのが望ましい。更に、未硬化接着剤をセンサ保持部材と撮像センサの間に介在させずに(即ち、光学有効面に接着剤が侵入するのを防いで)位置決め調整作業を行いたい要請もある。
【0006】
本開示は、上述した従来の事情に鑑みて案出され、センサ保持部材と撮像センサとの組付けにおいて、センサ保持部材と撮像センサとを精度よく位置決めすることが可能な撮像モジュールおよび可視化プローブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、光学系の光軸に直交するセンサ前面を有し、外形が四角形である撮像センサと、穴部を有し、前記光軸に直交する第1端面と、前記第1端面と平行であり、かつ前記第1端面よりも前記撮像センサの近くに配置されている第2端面と、前記穴部から前記第2端面まで貫通している空間部と、前記第2端面に直交し、かつ前記第2端面から前記第1端面まで延びる外周部と、を含み、前記光軸に平行な方向に関して前記撮像センサの投影面内に配置され、かつ前記第2端面において前記撮像センサと対向するセンサ保持部材と、前記光学系を保持し、前記空間部に配置されている鏡筒と、を備え、前記センサ前面は、4つの角部を有し、前記センサ保持部材は、前記光軸と平行であって前記第1端面から前記第2端面に向かう目視方向に視て四角形よりも頂点が多い形状であり、前記4つの角部のうち1つ以上の角部は、前記センサ保持部材から露出しており、前記外周部は、前記1つ以上の角部と隣接する面取部を有し、前記1つ以上の角部から前記面取部に渡って第1接着剤が設けられる、撮像モジュールを提供する。
【0008】
また、本開示は、可視化プローブであって、光学系の光軸に直交するセンサ前面を有し、外形が四角形である撮像センサと、穴部を有し、前記光軸に直交する第1端面と、前記第1端面と平行であり、かつ前記第1端面よりも前記撮像センサの近くに配置されている第2端面と、前記穴部から前記第2端面まで貫通している空間部と、前記第2端面に直交し、かつ前記第2端面から前記第1端面まで延びる外周部と、を含み、前記光軸に平行な方向に関して前記撮像センサの投影面内に配置され、かつ前記第2端面において前記撮像センサと対向するセンサ保持部材と、前記光学系を保持し、前記空間部に配置されている鏡筒と、前記光学系に光を入射するための撮像窓が形成された先端面を有し、前記鏡筒と、前記撮像センサと、前記センサ保持部材とを覆い、前記可視化プローブの先端に配置されている円柱状の先端部と、前記先端部に挿通され、光出射先端が前記先端面に配置されているライトガイドと、前記光軸に平行な方向に関して前記撮像センサの投影面内に配置され、前記撮像センサに電気的に接続されている可撓基板と、前記先端部に挿通され、前記可撓基板に電気的に接続されているケーブルと、を備え、前記センサ前面は、4つの角部を有し、前記センサ保持部材は、前記光軸と平行であって前記第1端面から前記第2端面に向かう目視方向に視て四角形よりも頂点が多い形状であり、前記4つの角部のうち1つ以上の角部は、前記センサ保持部材から露出しており、前記外周部は、前記1つ以上の角部と隣接する面取部を有し、前記1つ以上の角部から前記面取部に渡って第1接着剤が設けられる、可視化プローブを提供する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、撮像モジュールあるいは可視化プローブにおいて、センサ保持部材と撮像センサとの組付けにおいて、センサ保持部材と撮像センサとを精度よく位置決めすることが可能な撮像モジュールおよび可視化プローブを提供することができる
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1に係る可視化プローブの先端側の外観を表す要部斜視図
図2図1に示した可視化プローブの先端部を透視した斜視図
図3図2に示した撮像モジュールの斜視図
図4図2に示した撮像モジュールの側面図
図5図4に示した撮像モジュールを可撓基板側から見た背面図
図6】撮像センサおよび可撓基板の一部分を切り欠いた斜視図
図7】比較例に係る撮像モジュールの正面図
図8】実施の形態1に係る撮像モジュールの正面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、適宜図面を参照しながら、本開示に係る撮像モジュールおよび可視化プローブの構成および作用を具体的に開示した実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になることを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるものであり、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0012】
図1は、実施の形態1に係る可視化プローブ11の先端側の外観を表す要部斜視図である。実施の形態1に係る撮像モジュールは、可視化プローブ11に好適に用いられる。可視化プローブ11は、例えば医療用の内視鏡、あるいは工業用の内視鏡として用いることができる。可視化プローブ11は、観察対象の内部に挿入されるスコープ13と、スコープ13の後端部が接続されるプラグ部(図示略)と、を備える構成である。スコープ13は、比較的長い可撓性を有する軟性部15と、軟性部15の先端に設けられた剛性を有する円柱状の先端部17と、を含んで構成される。
【0013】
可視化プローブ11は、先端部17における撮像窓19の背部に撮像モジュール21(図2参照)を備える。先端部17の先端面23には、照明光を照射する複数(図1例のでは3つ)の照射窓25が撮像窓19の周囲に配置される。それぞれの照射窓25には、先端部17に挿通されたライトガイド27の光出射先端が接続される。ライトガイド27には、例えば複数本の光ファイバ素線を束ねたバンドルファイバが用いられる。
【0014】
可視化プローブ11は、上述したプラグ部(図示略)が、ビデオプロセッサ(図示略)のソケット部に挿入され、可視化プローブ11とビデオプロセッサとが接続されることで、可視化プローブ11とビデオプロセッサとの間で電力および各種信号(例えば映像信号、制御信号)の送受信が可能となる。これらの電力および各種信号は、スコープ13の内部に挿通された伝送ケーブル29(図2参照)を介して、プラグ部から軟性部側に伝送される。また、先端部17の内側に設けられた撮像センサ31(図2参照)から出力される画像信号は、伝送ケーブル29およびプラグ部を介してビデオプロセッサに伝送される。
【0015】
ビデオプロセッサは、伝送ケーブル29を介して伝送された画像信号に対し、画像処理を施し、画像処理後の画像データを表示信号に変換して、モニタ(図示略)に出力する。
【0016】
図2は、図1に示した可視化プローブ11の先端部17を透視した斜視図である。可視化プローブ11の先端部17には、実施の形態1に係る撮像モジュール21と、ライトガイド27と、可撓基板33と、伝送ケーブル29とが収容されている。
【0017】
撮像モジュール21は、鏡筒35と、撮像センサ31と、センサ保持部材37とを主要な構成として有する。
【0018】
鏡筒35は、内方に光学系39を保持する。光学系39は、例えば、対物カバーガラス、レンズ、絞り、スペーサ、バンドパスフィルタ等から構成される。
【0019】
実施の形態1において、鏡筒35は、金属(例えばSUS)からなり、円筒で形成される。鏡筒35の外径は、例えば2.4mm程度の細径で製作される。
【0020】
図3は、図2に示した撮像モジュール21の斜視図である。撮像センサ31は、光学系39の光軸41にセンサ前面43(図6参照)が垂直に配置される。撮像センサ31は、外形が四角形に形成される。撮像センサ31は、撮像素子45の光入射面側にセンサカバーガラス47が貼着されて構成される。撮像素子45には、例えば、CCD(Charge Coupled Device)あるいはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等が用いられる。
【0021】
図4は、図2に示した撮像モジュール21の側面図である。センサ保持部材37は、光軸41に直交する平行な一対の端面(端面42A、端面42B)が、撮像センサ31の外形とほぼ同一サイズであり(図8参照)、端面42Bから端面42Aまで延びる外周部42Cを有する。端面42Aは、本実施形態の第1端面の一例であり、端面42Bは、本実施形態の第2端面の一例である。センサ保持部材37には、一対の端面を貫通する保持穴49が穿設される。端面42Aに配置されている保持穴49の開口は本実施形態の穴部の一例であり、保持穴49は、本実施形態の空間部の一例である。保持穴49には、鏡筒35が嵌入される。また、センサ保持部材37の他方の端面は、センサ前面43に当接するセンサ当接面51となる。
【0022】
センサ保持部材37は、端面42Bに垂直な稜線部53(図7参照)のうち、少なくとも1箇所が除去された面取部55(図8参照)を有している。この面取部55は、センサ前面43の4つの角部57(図8参照)のうち、1つ以上を露出させる。図8では、4つの角部57を露出させている形状の端面42Aを備えるセンサ保持部材37を有する撮像モジュール21を示している。面取部55により露出したセンサ前面43の角部57は、鏡筒35より前方において光軸41に沿う方向から視て視認が可能となる。つまり、光軸41と平行であって端面42Aから端面42Bに向かう方向(目視方向)に視て、センサ保持部材37は、センサ前面43の4つの角部57のうち1つ以上をセンサ保持部材37から露出させ、かつ四角形よりも頂点が多い形状である(図8参照)。より具体的に、センサ保持部材37は、目視方向に視て八角形である。また、センサ前面43の4つの角部57は、センサ保持部材37から露出している。また、目視方向におけるセンサ保持部材37の形状は、光軸41と平行な方向に視たときの端面42A及び端面42B(図4参照)の形状である。したがって、光軸41と平行な方向に視たときの端面42A及び端面42Bは、四角形よりも頂点が多い形状であり(図8参照)、センサ前面43の4つの角部57のうち1つ以上の角部57は、センサ保持部材37から露出している。
【0023】
実施の形態1において、面取部55は、センサ当接面51に垂直な4つの稜線部53の全てを除去することにより、4箇所に形成されている(図8参照)。
【0024】
撮像モジュール21は、センサ前面43の角部57と、センサ保持部材37の面取部55とに渡って設けられた第1の接着剤59により、センサ保持部材37と撮像センサ31が固定される。
【0025】
また、撮像モジュール21は、センサ当接面51の各辺部と、撮像センサ31とが第2の接着剤61により、固定される。つまり、撮像モジュール21は、第1の接着剤59と第2の接着剤61とにより、撮像センサ31とセンサ保持部材37とが固定されている(図4参照)。また、端面42Bは、第1の接着剤59によってセンサ前面43に固定されている(図4参照)。
【0026】
撮像モジュール21は、センサ保持部材37の光軸41に平行な一対の側面63に、光軸41に直交する把持溝65が形成されている。つまり、センサ保持部材37の外周部42Cは、光軸41に直交する把持溝65を有する(図4参照)。
【0027】
また、実施の形態1に係る可視化プローブ11は、撮像センサ31の光軸方向の投影面内に収められ、撮像センサ31に電気的に接続される可撓基板33(図2参照)と、可撓基板33に電気的に接続される伝送ケーブル29(図2参照)と、を備える。
【0028】
図5は、図4に示した撮像モジュール21を可撓基板側から見た背面図である。可撓基板33は、電線67の先端直線部と同方向の軸線を有する筒体69に曲げられる。筒体69は、例えば四角筒とすることができる。四角筒は、軸線に直交する断面の外形状が四角形であれは、可撓基板33の一部分が内方へ折り曲げられていてもよい。
【0029】
可撓基板33は、基板本体部71と、撮像素子実装半島部73と、電子部品実装半島部75とに大別されて一体で成形される。基板本体部71は、更に、第1面77、第2面79、第3面81、第4面83、第5面85、第6面87で区割りされる。筒体69は、第1面77が、内方に折り込まれて、第2面79、第3面81、第4面83、第5面85、第6面87により四角形の外周面が構成される。可撓基板33は、この筒体69が、撮像素子45の投影面積範囲内に配置される。撮像素子実装半島部73は、図5の背面側に設けられる複数の端子が、撮像素子45のバンプ89(図4参照)に接続される。
【0030】
図6は、撮像センサ31および可撓基板33の一部分を切り欠いた斜視図である。電子部品実装半島部75は、四角形に形成され、可撓基板33の第2面79から括れ部を介して延出し、撮像素子実装半島部73を挟んで撮像素子45と反対側に曲げられる。これにより、電子部品実装半島部75は、撮像素子45の投影面積範囲内に配置される。電子部品実装半島部75の撮像素子実装半島部73に対向する面には、回路に導通した複数の電子部品91が実装される。電子部品実装半島部75は、筒体69の内周に接触しない大きさで形成される。電子部品実装半島部75は、筒体69の内方に確実に挿入されるように、90度以上の折り曲げ角で折り曲げられる。これにより、撮像素子実装半島部73との干渉が回避されている。
【0031】
なお、電子部品実装半島部75は、実施の形態1と反対側の面に、電子部品91が実装されてもよい。また、電子部品実装半島部75は、複数が形成されてもよい。この場合、複数の電子部品実装半島部75は、撮像素子実装半島部73の背面側で重ねられ積層状となって対面配置される。
【0032】
筒体69の内面には、それぞれの電線67が、回路に導通接続される。電線67は、全てが筒体69の内面に接続され、筒体69の外面には接続されない。
【0033】
次に、実施の形態1に係る撮像モジュール21の作用を説明する。
【0034】
実施の形態1に係る撮像モジュール21は、光学系39を保持する鏡筒35と、光学系39の光軸41にセンサ前面43が垂直に配置され、四角形状の外形を有する撮像センサ31と、を備える。撮像モジュール21は、光軸41に直交する平行な一対の端面が撮像センサ31の外形とほぼ同一サイズの四角形となる略直方体で形成され一対の端面を貫通する保持穴49が穿設されて一方の端面の保持穴49に鏡筒35が嵌入されるとともに、他方の端面がセンサ前面43に当接するセンサ当接面51となり、このセンサ当接面51に垂直な稜線部53のうち少なくとも1箇所が除去された面取部55を有し、この面取部55がセンサ前面43の角部57を露出させるセンサ保持部材37を備える。
【0035】
実施の形態1に係る撮像モジュール21では、センサ保持部材37が、略直方体で形成される。センサ保持部材37は、光軸41に直交する平行な一対の端面が、撮像センサ31の外形とほぼ同一サイズの四角形となる。センサ保持部材37には、一対の端面を貫通する保持穴49が穿設される。一対の端面の一方には、光学系39を保持した鏡筒35が嵌入される。
【0036】
センサ保持部材37は、他方の端面が、センサ前面43に当接するセンサ当接面51となる。従って、四角形のセンサ当接面51は、内側に保持穴49が開口する。センサ当接面51は、センサ当接面51の外形とセンサ当接面51に開口する保持穴49とに挟まれる環状枠面(図8参照)となる。センサ前面43は、この環状枠面に開口する保持穴49と対向する領域が光学有効面となる。
【0037】
このように、センサ保持部材37は、略直方体で形成され、他方の端面がセンサ前面43に当接するセンサ当接面51となっている。ここで、センサ保持部材37は、センサ当接面51に垂直な稜線部53のうち少なくとも1箇所が除去される面取部55を有している。この他、センサ保持部材37は、2箇所、3箇所、4箇所のいずれの稜線部53が除去されてもよい。センサ保持部材37は、例えば4箇所の稜線部53が除去された面取部55を有する場合、センサ前面43の四隅がそれぞれの面取部55で露出することになる。
【0038】
図7は、比較例に係る撮像モジュール93の正面図である。撮像モジュールは、撮像センサ31の切り出し時の寸法公差により、標準の外形よりも小さい外形で撮像センサ31が形成される場合がある。この場合、面取部55を有していない撮像モジュール93のセンサ保持部材95では、撮像センサ31の図7に破線で示す外形は、センサ保持部材37の背部に隠れて視認不能となる。
【0039】
これに対し、撮像モジュール21では、センサ保持部材37の稜線部53が除去された面取部55を有するので、センサ前面43の角部57を、鏡筒35の前方より光軸41に沿う方向から目視できる。これにより、撮像モジュール21は、撮像センサ31が同一サイズのセンサ保持部材37に隠れる場合であっても、視認される角部57の形状や大きさにより、センサ保持部材37と撮像センサ31との相対位置を把握することができるようになる。
【0040】
面取部55は、数が多いほど、センサ保持部材37と撮像センサ31との位置合わせが容易となり、かつ位置決め精度を高めることができる。
【0041】
また、センサ前面43の角部57が、光軸41に沿う方向で露出するので、接着剤を同方向から角部57に設けることができるようになる。撮像モジュール21は、接着剤が角部57に設けられることにより、角部57と面取部55との双方に渡って接着剤を付着させることができる。つまり、接着剤を光軸41に沿う方向からでも光軸41に直交する側方からでも塗布できる。
【0042】
更に、角部57に設ける接着剤は、主に角部57と面取部55とに付着させればよいので、比較的高粘度のものを使用できる。これにより、接着剤が角部57からセンサ前面43とセンサ当接面51との間に深く侵入し、光学有効面に到達することを抑制することができる。
【0043】
従って、本実施の形態1に係る撮像モジュール21によれば、センサ保持部材37と撮像センサ31とが位置合わせしやすく、容易に接着を行うことができ、しかも、光学有効面への接着剤の侵入を抑制できる。
【0044】
また、撮像モジュール21では、角部57とセンサ保持部材37とに渡って設けられた第1の接着剤59によりセンサ保持部材37と撮像センサ31が固定される。
【0045】
この撮像モジュール21では、センサ前面43の角部57に、第1の接着剤59が設けられる。角部57に設けられた第1の接着剤59は、角部57と面取部55との双方に付着が容易に可能となる。これにより、撮像モジュール21は、センサ保持部材37と撮像センサ31とが角部57の第1の接着剤59により固定される。
【0046】
例えば予め鏡筒35を固定したセンサ保持部材37は、撮像センサ31のセンサ前面43に対し、光軸41に直交する図3に示すXY方向に移動されて、相対位置が調整される。この際、第1の接着剤59は、角部57には塗布されていない。センサ保持部材37と撮像センサ31とは、相対位置が位置決めされたなら、角部57に第1の接着剤59が設けられる(滴下若しくは塗布される)。角部57に設けられた第1の接着剤59が固化することにより、センサ保持部材37と撮像センサ31とは、位置決め完了の直後に速やかに固定、若しくは仮固定が可能となる。
【0047】
また、撮像モジュール21では、センサ当接面51の各辺部と撮像センサ31とが第2の接着剤61で固定される。
【0048】
この撮像モジュール21では、例えば角部57に設けられた第1の接着剤59が、センサ保持部材37と撮像センサ31との仮固定用に用いられた場合、第2の接着剤61によりセンサ保持部材37と撮像センサ31とが本固定される。第2の接着剤61は、ほぼ密接状態となっているセンサ保持部材37のセンサ当接面51と、撮像センサ31のセンサ前面43との微小な間隙に、毛管現象を利用して充填・塗布される。従って、第2の接着剤61は、第1の接着剤59よりも低粘度であることが好ましい。
【0049】
センサ保持部材37と撮像センサ31とは、第1の接着剤59により角部57が仮固定されることに加え、第2の接着剤61により各辺部が本固定されることにより、高い接合強度を得ることができる。
【0050】
また、第2の接着剤61は、センサ保持部材37におけるセンサ当接面51の各辺部に塗布される。これにより、センサ保持部材37と撮像センサ31とにおける間隙の外周は、第1の接着剤59と第2の接着剤61とにより全周囲が密閉される。撮像モジュール21は、センサ保持部材37と撮像センサ31とにおける間隙の外周が密閉されることにより、例えば可視化プローブ11の先端部17を形成する際、周囲を覆う充填樹脂材が光学有効面へ侵入することを抑制できる。
【0051】
また、撮像モジュール21では、センサ保持部材37の光軸41に平行な一対の側面63に、光軸41に直交する把持溝65が形成される。
【0052】
この撮像モジュール21では、センサ保持部材37の光軸41に平行な一対の側面63に、光軸41に直交する把持溝65が形成される。センサ保持部材37と撮像センサ31とは、例えば撮像センサ31が固定され、センサ保持部材37が把持具により把持されて、撮像センサ31に対してセンサ保持部材37が位置決めされる。この際、センサ保持部材37は、把持具により挟持される。把持具は、一対の把持溝65に嵌る例えば一対の指杆部を有する。センサ保持部材37は、一対の把持溝65が指杆部により挟持されることにより、センサ前面43と平行なXY平面に移動が可能となって調整される。この際、把持具は、指杆部が把持溝65に嵌っているので、XY平面に垂直な図3に示すZ方向(即ち、光軸41に沿う方向)へ適当な押圧力を付与しながら、センサ保持部材37を滑らずに保持することができる。これにより、センサ保持部材37は、センサ前面43に密着した状態でより高精度な位置合わせが可能となる。
【0053】
また、撮像モジュール21では、鏡筒35が、円筒である。
【0054】
この撮像モジュール21では、鏡筒35が、円筒で形成される。鏡筒35が円筒で形成されることにより、鏡筒35が嵌る保持穴49も円形の穴でセンサ保持部材37を貫通する。センサ保持部材37のセンサ当接面51は、四角形の内側に保持穴49が開口することにより、外形と保持穴49とに挟まれる環状枠面となる。センサ当接面51は、この環状枠面をセンサ前面43に当接する。環状枠面は、ほぼ直交する4方の放射方向で、保持穴49からの距離が遠い点を頂点とした略三角形状の隅部三角面97(図8)が形成される。この隅部三角面97は、底辺が保持穴49の円弧となる。センサ保持部材37は、センサ当接面51に、この四つの隅部三角面97が形成されることにより、面取部55の除去が容易に行えるようになっている。
【0055】
また、撮像モジュール21では、面取部55が4つの稜線部53を除去した4箇所に形成される。
【0056】
図8は、実施の形態1に係る撮像モジュール21の正面図である。この撮像モジュール21では、略直方体に形成されるセンサ保持部材37において、端面42Bに垂直な4つの稜線部53が除去されることにより、4つの面取部55が形成される。センサ保持部材37の外周部42C(図4参照)は、センサ保持部材37において端面42Bから42Aまで延び、かつ面取部55が形成されている部分に相当する。これにより、端面42A、および端面42Bは、実質的には角形となる。センサ保持部材37は、4つの面取部55により、センサ前面43における4箇所の角部57が視認できるようになるので、XY平面における面内方向の位置決めがより高精度に行えるようになる。
【0057】
また、実施の形態1に係る可視化プローブ11は、光学系39を保持する鏡筒35と、光学系39の光軸41にセンサ前面43が垂直に配置され、外形が四角形に形成される撮像センサ31と、を備える。可視化プローブ11は、光軸41に直交する平行な一対の端面が撮像センサ31の外形とほぼ同一サイズの四角形となる略直方体で形成され、一対の端面を貫通する保持穴49が穿設されて一方の端面の保持穴49に鏡筒35が嵌入されるとともに、他方の端面がセンサ前面43に当接するセンサ当接面51となり、このセンサ当接面51に垂直な稜線部53のうち少なくとも1箇所が除去される面取部55を有し、この面取部55がセンサ前面43の角部57を露出させるセンサ保持部材37を備える。可視化プローブ11は、撮像光を光学系39に入射させる撮像窓19を先端面23に有し、鏡筒35、撮像センサ31およびセンサ保持部材37を覆う円柱状の先端部17と、先端部17に挿通され先端面23に光出射先端を配置するライトガイド27と、撮像センサ31の光軸方向の投影面内に収められ、撮像センサ31に電気的に接続される可撓基板33と、先端部17に挿通され可撓基板33に電気的に接続されるケーブルと、を備える。
【0058】
実施の形態1に係る可視化プローブ11では、撮像モジュール21を備えることにより、撮像センサ31が同一サイズのセンサ保持部材37に隠れる場合であっても、上記した作用により、視認される角部57の形状や大きさによって、センサ保持部材37と撮像センサ31との相対位置を容易に把握することができる。
【0059】
また、センサ前面43の角部57が、光軸41に沿う方向で露出するので、接着剤を同方向から角部57に設けることができるようになる。つまり、接着剤を光軸41に沿う方向からでも光軸41に直交する側方からでも塗布できる。
【0060】
更に、角部57に設ける接着剤は、主に角部57と面取部55とに付着させればよいので、比較的高粘度のものを使用できる。これとは別に、低粘度の接着剤を角部57からセンサ前面43とセンサ当接面51との間に浸潤させることで撮像センサ31と光学系39との間の空間を外部から完全に隔絶し湿気あるいはゴミの侵入による映像の画質劣化を防ぐことができる。なお、上述した低粘度の接着剤はセンサ前面43とセンサ当接面51との微小な隙間に圧送することなくあくまでも浸透させることで深く侵入させ、その状態で硬化させることで、光学有効面に到達することを抑制することができる。
【0061】
これに加え、可視化プローブ11は、鏡筒35、撮像センサ31およびセンサ保持部材37が円柱状の先端部17により覆われる。先端部17は、硬質の円筒により外殻が形成されてもよいし、可視化プローブ11の挿入部から延在する可撓性を有したシースの内方に充填樹脂材を固化させて形成してもよい。
【0062】
これにより、可視化プローブ11は、少ない部品点数で小径化を可能にしながら、撮像モジュール21を気密、水密に封止することができる。
【0063】
また、可視化プローブ11は、撮像モジュール21の半径方向外側にライトガイド27が配置されるので、暗部においても他の照明手段を必要とせずに、単独で被写体の観察を可能にすることができる。
【0064】
更に、可視化プローブ11は、撮像センサ31の光軸方向の投影面内に可撓基板33が収まるので、小径化を阻害することがない。これにより、可視化プローブ11は、多数の電線67を束ねた伝送ケーブル29を接続する必要がある高画質用の撮像センサ31を使用することができるようになる。
【0065】
実施の形態1に係る可視化プローブ11によれば、センサ保持部材37と撮像センサ31とが位置合わせしやすく、容易に接着を行うことができ、しかも、光学有効面への接着剤の侵入を抑制でき、先端部17を小径化できる。
【0066】
以上、図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した各種の実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本開示は、センサ保持部材と撮像センサとが位置合わせしやすく、容易に接着を行うことができ、光学有効面への接着剤の侵入を抑制する撮像モジュール、ならびに、センサ保持部材と撮像センサとが位置合わせしやすく、容易に接着を行うことができ、しかも、光学有効面への接着剤の侵入を抑制でき、先端部を小径化する可視化プローブとして有用である。
【符号の説明】
【0068】
11 可視化プローブ
17 先端部
19 撮像窓
21 撮像モジュール
23 先端面
27 ライトガイド
29 伝送ケーブル
31 撮像センサ
33 可撓基板
35 鏡筒
37 センサ保持部材
39 光学系
41 光軸
43 センサ前面
49 保持穴
51 センサ当接面
53 稜線部
55 面取部
57 角部
59 第1の接着剤
61 第2の接着剤
63 側面
65 把持溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8