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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】バルブ装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 7/16 20060101AFI20240501BHJP
   F16K 27/02 20060101ALI20240501BHJP
   F16K 1/46 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
F16K7/16 D
F16K27/02
F16K1/46 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020012217
(22)【出願日】2020-01-29
(65)【公開番号】P2021116907
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2022-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】390033857
【氏名又は名称】株式会社フジキン
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 一誠
(72)【発明者】
【氏名】中田 知宏
(72)【発明者】
【氏名】篠原 努
【審査官】橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-025502(JP,A)
【文献】特開2002-195443(JP,A)
【文献】特開2012-092861(JP,A)
【文献】実開昭62-073166(JP,U)
【文献】特開2016-040477(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 1/00-1/54
7/00-7/20
13/00-13/10
25/00-29/02
31/12-31/165
31/36-31/42
33/00
39/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流路口を有する流路が形成されるとともに、前記流路口の外周側に突出部が設けられる流路ブロックと、
前記突出部の内周側に挿入され前記突出部のみをかしめることによって固定される弁座と、
前記弁座から離間又は前記弁座に押圧されることによって前記流路を開閉するダイヤフラムと、
を備え、
前記弁座は、
一端面が前記ダイヤフラムによって押圧されるとともに他端面が前記流路ブロックと当接する環状部と、
一端面が前記ダイヤフラムと対向するとともに他端面が前記流路ブロックと当接するように前記環状部の外周に設けられる被かしめ部と、を有し、
前記環状部の一端面と前記被かしめ部の一端面とは、前記環状部の外周面によって接続され、
前記被かしめ部のみには、前記突出部がかしめられ、
前記環状部は、かしめによって固定されておらず、その内径は、前記流路の前記流路口の内径と等しい、
バルブ装置。
【請求項2】
前記被かしめ部にかしめられる前の前記突出部は、前記被かしめ部よりも突出する、
請求項1に記載のバルブ装置。
【請求項3】
前記被かしめ部の高さは、前記環状部の高さ1/3以上1/2以下である、
請求項1又は2に記載のバルブ装置。
【請求項4】
前記被かしめ部の厚さは、前記環状部の厚さ以下である、
請求項1から3のいずれか1項に記載のバルブ装置。
【請求項5】
前記被かしめ部に前記突出部がかしめられた後の前記環状部の前記内径は、前記被かしめ部に前記突出部がかしめられる前の前記環状部の前記内径と同じである、
請求項1から4のいずれか1項に記載のバルブ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルブ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、流路及び凹部が設けられる流路ブロックと、流路ブロックの凹部の底面に配置される環状の弁座と、弁座から離間又は弁座に押圧されることによって流路を開閉するダイヤフラムと、を備えるバルブ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-21543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のバルブ装置では、流路ブロックの凹部の底面に環状で相対的に径が小さい内側突出部と環状で相対的に径が大きい外側突出部とが設けられ、弁座が内側突出部と外側突出部との間に挿入されて、両突出部がかしめられるため、両突出部のかしめによる弁座の変形が大きくなってしまうという問題点があった。
【0005】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、かしめによる弁座の変形を抑制することによって弁座のシール性を向上させることができるバルブ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様によれば、流路口を有する流路が形成されるとともに、前記流路口の外周側に突出部が設けられる流路ブロックと、前記突出部の内周側に挿入され前記突出部のみをかしめることによって固定される弁座と、前記弁座から離間又は前記弁座に押圧されることによって前記流路を開閉するダイヤフラムと、を備え、前記弁座は、一端面が前記ダイヤフラムによって押圧されるとともに他端面が前記流路ブロックと当接する環状部と、一端面が前記ダイヤフラムと対向するとともに他端面が前記流路ブロックと当接するように前記環状部の外周に設けられる被かしめ部と、を有し、前記環状部の一端面と前記被かしめ部の一端面とは、前記環状部の外周面によって接続され、前記被かしめ部のみには、前記突出部がかしめられ、前記環状部は、かしめによって固定されておらず、その内径は、前記流路の前記流路口の内径と等しい、バルブ装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の態様によれば、かしめによる弁座の変形を抑制することによって弁座のシール性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係るバルブ装置を示す部分断面図である。
図2図1の部分Aを示す拡大部分断面図である。
図3】突出部及び弁座を含む要部を示す拡大断面図である。
図4】突出部及び弁座を含む要部の一変形例を示す拡大断面図である。
図5】突出部及び弁座を含む要部の他の変形例を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態(以下、本実施形態と称する。)について説明する。本明細書においては、全体を通じて、同一の要素には同一の符号を付する。
【0010】
(バルブ装置の構成)
まず、図1及び図2を参照しながら本実施形態に係るバルブ装置1について説明する。なお、説明の便宜上、図面の上下方向をバルブ装置1の上下方向(軸方向)として説明し、バルブ装置1の軸方向及びバルブ装置1の径方向を単に軸方向及び径方向と称する。
【0011】
図1は、本実施形態に係るバルブ装置1を示す部分断面図である。図2は、図1の部分Aを示す拡大部分断面図である。
【0012】
本実施形態に係るバルブ装置1は、半導体の製造に用いられる流体供給ユニット(図示しない)に設けられる。流体供給ユニットは、ALD(Atomic Layer Deposition/すなわち、原子層堆積)法によって半導体ウェハ等の基板に所定の薄膜を形成する薄膜生成工程に用いられる。
【0013】
図1及び図2に示すように、バルブ装置1は、流路ブロック2、弁体としてのダイヤフラム3、弁体押さえとしてのダイヤフラム押さえ4、駆動部としてのアクチュエータ5及び押さえアダプタ6を備える。バルブ装置1は、駆動流体としての駆動エアをアクチュエータ5に供給することによってダイヤフラム3を開放するノーマル・クローズのエアオペレートバルブである。
【0014】
流路ブロック2は、流路23が形成される流路ブロック本体21と、流路ブロック本体21の一端面から上方(上端側)に突出する筒状(具体的には、円筒状)の周壁22と、を備える。流路23は、流体流入流路231及び流体流出流路232を有する。周壁22の内壁面には、アクチュエータ5の先端(下端)に螺合する雌ねじ221が形成される。
【0015】
流体流入流路231は、一方の流路口としての一端(上端)が流路ブロック本体21の一端側(上端側)で開口するとともに、他方の流路口としての他端(下端)が流路ブロック本体21の他端側(下端側)で開口する。流体流出流路232は、一方の流路口としての一端(上端)が流路ブロック本体21の一端側(上端側)で開口するとともに、他方の流路口としての他端(下端)が流路ブロック本体21の他端側(下端側)で開口する。なお、流体流入流路231及び流体流出流路232は、流体流入流路231の一端と流体流出流路232の一端とが干渉しないとともに流体流入流路231の他端と流体流出流路232の他端とが干渉しないように形成される。
【0016】
なお、本実施形態では、流体流入流路231の他端及び流体流出流路232の他端は、いずれも流路ブロック本体21の他端側で開口しているが、これに限定されるものではなく、例えば、いずれも流路ブロック本体21の側面で開口してもよいし、いずれか一方が流路ブロック本体21の他端側で開口するとともに、いずれか他方が流路ブロック本体21の側面で開口してもよい。
【0017】
流体流入流路231の一端(上端)と流体流出流路232の一端(上端)とは、周壁22によって取り囲まれた収容部24を介して連通する。収容部24の底面には、後述するかしめ用の突出部25によって環状(具体的には、円環状)の弁座26が固定(位置決め)される。また、流体流入流路231の一端は、弁座26を介してダイヤフラム3と対向する。なお、バルブ装置1の弁座26及び弁座26を固定するための突出部25の詳細については後述する。
【0018】
ダイヤフラム3は、弁座26から離間又は弁座26に押圧されて流路23を開閉するための弁体である。ダイヤフラム3は、流路23側とアクチュエータ5側とを隔てる隔膜部材である。また、ダイヤフラム3は、自然状態においてアクチュエータ5側(上側)に向かって隆起する円弧状に形成され、例えば、ニッケル合金薄板等からなる。駆動エアがアクチュエータ5に供給されていないとき、ダイヤフラム3は、ダイヤフラム押さえ4によって弁座26に押さえ付けられる。
【0019】
ダイヤフラム押さえ4は、ダイヤフラム3を弁座26に押さえるための押さえ部材である。ダイヤフラム押さえ4は、ダイヤフラム3に当接する当接部41を有する。
【0020】
アクチュエータ5は、ダイヤフラム押さえ4を介してダイヤフラム3を弁座26に押圧させることによって、流体流入流路231と流体流出流路232とを遮断させる。
【0021】
アクチュエータ5の先端(下端)とダイヤフラム3の外周縁との間には、環状(具体的には、円環状)の押さえアダプタ6が設けられる。ダイヤフラム3の外周縁は、押さえアダプタ6と流路ブロック2の収容部24の底面との間で保持され、アクチュエータ5の先端(下端)を周壁22の雌ねじ221にねじ込むことによって固定される。押さえアダプタ6の内側には、ダイヤフラム3に接触するダイヤフラム押さえ4の当接部41が挿入される。
【0022】
以上の通り、本実施形態では、バルブ装置1は、流路ブロック2、ダイヤフラム3、ダイヤフラム押さえ4、アクチュエータ5及び押さえアダプタ6を備えて構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、流路ブロック2、ダイヤフラム3、ダイヤフラム押さえ4、アクチュエータ5、押さえアダプタ6及びボンネット(図示しない)を備えて構成されてもよい。この場合、流路ブロック2とアクチュエータ5との間には、ボンネットが介装される。
【0023】
(バルブ装置の動作)
次に、バルブ装置1の動作について説明する。
【0024】
図示しない駆動エア供給制御部が駆動エアをバルブ装置1のアクチュエータ5に供給した場合、ダイヤフラム3は、自身の復元力によってダイヤフラム押さえ4とともに上昇することで弁座26から離間する。すなわち、ダイヤフラム3は、アクチュエータ5への駆動エアの供給によって流体流入流路231の一端を開放する。このため、プロセスガス又はパージガス等の流体は、流体流入流路231から弁座26とダイヤフラム3との間に形成される隙間を経由して流体流出流路232に供給される。
【0025】
一方、駆動エア供給制御部が駆動エアをバルブ装置1のアクチュエータ5に供給しない場合、ダイヤフラム3は、ダイヤフラム押さえ4の下降によって流体流入流路231の一端を閉塞する。このため、気化されたプロセスガス又はパージガス等の流体は、流体流入流路231から流体流出流路232に供給されない。
【0026】
このように、駆動エア供給制御部がアクチュエータ5への駆動エアの供給を制御することによって、弁座26に対するダイヤフラム3の開閉を切り替えることができる。したがって、このようなバルブ装置1によれば、流体流入流路231から流体流出流路232への流体供給の制御が可能となる。なお、本実施形態では、バルブ装置1は、ノーマル・クローズのエアオペレートバルブからなっているが、これに限定されるものではなく、例えば、ノーマル・オープンのエアオペレートバルブからなってもよい。
【0027】
(弁座及び突出部の構成)
次に、図2及び図3を参照しながらバルブ装置1の突出部25及び弁座26について詳細に説明する。
【0028】
図3は、突出部25及び弁座26を含む要部を示す拡大断面図である。なお、図3において、突出部25を構成する左側の突出壁251は、弁座26にかしめられる前の状態を示し、突出部25を構成する右側の突出壁251は、弁座26にかしめられた後の状態を示す。
【0029】
図2及び図3に示すように、突出部25は、弁座26を固定するためのかしめ部である。突出部25は、流路ブロック本体21と同様に、金属から構成され、例えば、ステンレス鋼(具体的には、SUS316L)から構成されることが好ましい。突出部25は、同一円周上に全周に亘って設けられる突出壁251から構成される。突出壁251は、ダイヤフラム3側(上側)に突出するように、収容部24の底面であって流体流入流路231の一端(上端)の外周側に設けられる。突出壁251は、突出量t1を有する。
【0030】
また、本実施形態では、突出部25は、突出壁251から構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、複数の突出片から構成されてもよい。この場合、複数の突出片は、同一円周上に所定の等間隔を空けて設けられる。
【0031】
弁座26は、ダイヤフラム3によって押し付けられて、流体流入流路231の一端(上端)と流体流出流路232の一端(上端)とのシール性を確保するためのシール材である。弁座26は、樹脂材から構成され、例えば、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)から構成されることが好ましい。また、弁座26は、突出部25の内周側(突出壁251の内周側)に挿入され突出部25をかしめることによって固定される。
【0032】
さらに、弁座26は、環状部としての円環状の内環状部261と、内環状部261の全外周に設けられる被かしめ部としての外環状部262と、を有する。内環状部261と外環状部262とは、同軸に一体形成される。なお、内環状部261及び外環状部262の角箇所には、バリ取りが行われている。
【0033】
本実施形態では、弁座26に突出部25を構成する突出壁251のみがかしめられ、具体的には、環状(具体的には、円環状)の弁座26の内周に突出壁251がかしめられておらず、弁座26の外周のみに突出壁251がかしめられるので、弁座26の内周及び外周にかしめ部がかしめられる構造に比べ、かしめによる弁座26の変形を抑制することができるとともに、かしめ作業を簡易に行うことができる。この結果、弁座26のシール性及びかしめの作業性を向上させることができる。
【0034】
本実施形態では、被かしめ部は、内環状部261の全外周に亘って設けられる外環状部262から構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、内環状部261の外周に所定の間隔を空けて設けられる複数の肉厚部(図示しない)から構成されてもよい。この場合、各肉厚部は、各突出片の位置に対応して設けられる。
【0035】
内環状部261は、一端面(上端面)がダイヤフラム3によって押圧されるとともに他端面(下端面)が流路ブロック本体21(具体的には、収容部24の底面)と当接する。このため、内環状部261は、実質的にシール材として機能する。一方、外環状部262は、ダイヤフラム3と対向する一端面(図2の上端面)がダイヤフラム3によって押圧されないとともに、他端面(下端面)が流路ブロック本体21(具体的には、収容部24の底面)と当接する。
【0036】
内環状部261の一端面(上端面)及び外環状部262の一端面(上端面)のいずれも、断面視にて径方向に沿って延在するように設けられる。内環状部261の一端面(上端面)と外環状部262の一端面(上端面)とは、内環状部261の上方に位置する外周面261aによって接続される。
【0037】
そして、外環状部262(具体的には、外環状部262の外周)のみには、突出壁251がかしめられる。これにより、突出壁251を内環状部261にかしめていないので、内環状部261にかしめ部が直接かしめられる構造に比べ、突出壁251のかしめによる内環状部261の変形を抑制することができる。この結果、かしめによる弁座26の変形をより抑制することができるので、弁座26のシール性をより向上させることができる。
【0038】
外環状部262にかしめられる前の突出壁251(図3の左側)は、外環状部262よりも突出する。すなわち、突出壁251の突出量t1は、外環状部262の高さh2よりも大きい。そして、突出壁251(図3の右側)がその基端(下端)を支点として所定の角度θ折り曲がるように変形して外環状部262にかしめられている。すると、外環状部262が突出壁251の先端(上端)によって的確に収容部24の底面に押し付けられる。
【0039】
本実施形態では、内環状部261の内周にかしめるかしめ部を設けていないため、内環状部261の内径を流体流入流路231の一端(上端)の径と同じにすることができる。この結果、内環状部261の内周にかしめ部が設けられる構造に比べ、内環状部261の径方向の厚さを当該かしめ部分、厚くすることができるので、内環状部261(すなわち、弁座26)の耐久性を向上させることができる。また、ダイヤフラム3の変形量を抑制することができるので、ダイヤフラム3の耐久性を向上させることができる。
【0040】
外環状部262に突出壁251がかしめられた後の内環状部261の内径は、例えば7.0mmとすると、外環状部262に突出壁251がかしめられる前の内環状部261の内径は、7.0(±約5%)mmと同じである。このように、外環状部262に突出壁251がかしめられる前後の内環状部261の内径が変化しないので、内環状部261の内周側を流れる流体の流れのむらをなくすことができる。
【0041】
外環状部262の軸方向の高さh2と内環状部261の軸方向の高さh1との比(以下、単にh2/h1とする。)は、1/3以上1/2以下である。h2/h1が1/3を下回ると、外環状部262の高さhを確保できなくなり、突出壁251を外環状部262にかしめる際に外環状部262がかしめによって変形して完全につぶれるおそれがある。この結果、弁座26を突出部25によって的確に固定することができなくなる。一方、h2/h1が1/2を上回ると、突出壁251を外環状部262にかしめる際に内環状部261の一端面(上端面)の一部が傾きやすくなり、弁座26のシール性が低下するおそれがある。以上のことから、h2/h1を1/3以上1/2以下にすることによって、弁座26のシール性が低下することなく、弁座26を突出部25によって的確に固定することができる。
【0042】
外環状部262の径方向の厚さd2は、内環状部261の径方向の厚さd1以下である。これにより、外環状部262の径方向の厚さd2が内環状部261の径方向の厚さd1よりも大きい構造に比べ、弁座26の耐久性を確保することできる。
【0043】
また、弁座26の耐久性及びシール性を向上させる観点から、外環状部262の径方向の厚さd2は、sinθと突出壁251の突出量t1との掛け算(以下、単にsinθ×t1と称する。)、すなわち、所定の角度θ折り曲がった突出壁251の径方向における寸法以上内環状部261の径方向の厚さd1以下であることが好ましい。外環状部262の径方向の厚さd2がsinθ×t1を下回ると、突出壁251が所定の角度θ折り曲がった場合、突出壁251の先端が内環状部261の外周面261aにめり込んでしまい、内環状部261が変形してしまう。一方、外環状部262の径方向の厚さd2をsinθ×t1以上にすることによって、突出壁251の先端が内環状部261の外周面261aにめり込むことを回避することができる。
【0044】
次に、本実施形態による作用効果について説明する。
【0045】
本実施形態に係るバルブ装置1は、一端(上端)を有する流体流入流路231が形成されるとともに、流体流入流路231の一端(上端)の外周側に突出部25が設けられる流路ブロック本体21と、突出部25の内周側に挿入され突出部25のみをかしめることによって固定される弁座26と、弁座26から離間又は弁座26に押圧されることによって流路23を開閉するダイヤフラム3と、を備える。
【0046】
この構成によれば、弁座26に突出部25のみがかしめられるので、弁座26の内周及び外周にかしめ部がかしめられる構造に比べ、かしめによる弁座26の変形を抑制することができるとともに、かしめ作業を簡易に行うことができる。この結果、弁座26のシール性及びかしめの作業性を向上させることができる。
【0047】
また、本実施形態では、弁座26は、一端面(上端面)がダイヤフラム3によって押圧されるとともに他端面(下端面)が流路ブロック本体21と当接する内環状部261と、一端面(上端面)がダイヤフラム3と対向するとともに他端面(下端面)が流路ブロック本体21と当接するように内環状部261の外周に設けられる外環状部262と、を有する。そして、内環状部261の一端面(上端面)と外環状部262の一端面(上端面)とは、内環状部261の外周面261aによって接続され、外環状部262のみには、突出部25がかしめられる。
【0048】
この構成によれば、突出部25を内環状部261にかしめていないので、内環状部261にかしめ部が直接かしめられる構造に比べ、突出壁251のかしめによる内環状部261の変形を抑制することができる。この結果、かしめによる弁座26の変形をより抑制することができるので、弁座26のシール性をより向上させることができる。
【0049】
また、本実施形態では、外環状部262にかしめられる前の突出部25は、外環状部262よりも突出する。
【0050】
この構成によれば、外環状部262が突出壁251の先端(上端)によって的確に収容部24の底面に押し付けられる。
【0051】
また、本実施形態では、外環状部262の高さh2と内環状部261の高さh1との比は、1/3以上1/2以下である。
【0052】
この構成によれば、弁座26のシール性が低下することなく、弁座26を突出部25によって的確に固定することができる。
【0053】
また、本実施形態では、外環状部262の径方向の厚さd2は、内環状部261の径方向の厚さd1以下である。
【0054】
この構成によれば、外環状部262の径方向の厚さd2が内環状部261の径方向の厚さd1よりも大きい構造に比べ、弁座26の耐久性を確保することできる。
【0055】
また、本実施形態では、外環状部262に突出壁251がかしめられた後の内環状部261の内径は、外環状部262に突出壁251がかしめられる前の内環状部261の内径との径と同じである。
【0056】
この構成によれば、外環状部262に突出壁251がかしめられる前後の内環状部261の内径が変化しないので、内環状部261の内周側を流れる流体の流れのむらをなくすことができる。
【0057】
以上、本実施形態について説明したが、上述した実施形態は、本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上述した実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0058】
(変形例)
次に、図4を参照しながら突出部25及び弁座26を含む要部の一変形例について説明する。なお、本変形例では、上述した実施形態と同様の点については説明を省略し、主に上述した実施形態と相違する点について説明する。
【0059】
図4は、突出部25及び弁座26を含む要部の一変形例を示す拡大断面図である。
【0060】
上述した実施形態では、内環状部261は、その内径が流体流入流路231の径と同じであるように形成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、その内径が流体流入流路231の径よりも大きくなるように形成されてもよい。この場合、図4に示すように、内環状部261の内周側には、支持部27が設けられる。すなわち、支持部27は、突出部25の内周側に位置するように、収容部24の底面に設けられる。
【0061】
支持部27は、内環状部261にかしめられるものではなく、弁座26が突出部25と支持部27との間に挿入さされた際に、内環状部261の内周面を支持するための壁部である。このような支持部27によれば、バルブ装置1の使用中の振動による弁座26のがたつき、特に弁座26の径方向のがたつきを抑制することができる。なお、支持部27の軸方向の高さは、外環状部262の軸方向の高さh2以上内環状部261の軸方向の高さh1以下であることが好ましい。
【0062】
次に、図5を参照しながら突出部25及び弁座26を含む要部の他の変形例について説明する。なお、本変形例では、上述した実施形態と同様の点については説明を省略し、主に上述した実施形態と相違する点について説明する。
【0063】
図5は、突出部25及び弁座26を含む要部の他の変形例を示す拡大断面図である。
【0064】
上述した実施形態では、内環状部261の内周面には、溝が形成されていないが、これに限定されるものではなく、例えば、図5に示すように軸方向に沿って延在する係合溝28が形成されてもよい。この場合、収容部24の底面には、係合溝28と係合する係合部29が設けられる。
【0065】
係合溝28と係合部29との係合によれば、バルブ装置1の使用中の振動による弁座26のがたつき、特に弁座26の周方向のがたつきを抑制することができる。
【符号の説明】
【0066】
1 バルブ装置
2 流路ブロック
3 ダイヤフラム
4 ダイヤフラム押さえ
5 アクチュエータ
21 流路ブロック本体
23 流路
25 突出部
26 弁座
251 突出壁
261 内環状部
262 外環状部
図1
図2
図3
図4
図5