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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】チューブ保持部材およびチューブポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04B 43/12 20060101AFI20240501BHJP
   F04C 5/00 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
F04B43/12 N
F04C5/00 341D
F04C5/00 341Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020091402
(22)【出願日】2020-05-26
(65)【公開番号】P2021188523
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2022-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】591257111
【氏名又は名称】サーパス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】今井 弘
【審査官】松浦 久夫
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2007/038364(WO,A2)
【文献】特開2003-021050(JP,A)
【文献】特開2013-240135(JP,A)
【文献】特開2008-002388(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 43/12
F04C 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸回りに円弧状に形成されるとともに可撓性を有するチューブが配置される内周面を有する収容部と、前記収容部に収容されるとともに前記チューブを閉塞した状態で前記回転軸回りに回転する複数のローラ部と、を有するチューブポンプに前記チューブを保持するチューブ保持部材であって、
軸線方向に沿って延びるとともに前記軸線方向に直交する幅方向に第1幅を有する挿入溝に挿入され、前記チューブを前記軸線方向に沿って前記挿入溝に保持
前記チューブを前記軸線方向に沿って配置した状態で該チューブを保持するとともに前記収容部に形成される前記挿入溝に挿入される挿入部と、
前記軸線方向に沿って延びるとともに前記挿入部が前記挿入溝の底部まで挿入された状態で前記挿入溝から突出する一対の腕部と、を備え、
前記挿入部は、
前記軸線方向に沿って延びるとともに一対の前記腕部に連結され、前記チューブを挟んだ状態で保持するように前記幅方向に間隔を空けて配置される一対の壁部と、
前記軸線方向に沿って延びるとともに一対の前記壁部を連結し、前記挿入溝の前記底部に対向して配置される連結部と、を有し、
前記連結部は、前記幅方向に沿って弾性変形可能であり、
一対の前記壁部は、前記挿入部が前記挿入溝に挿入されない状態で前記幅方向に沿って一対の前記壁部の一方の端部から一対の前記壁部の他方の端部まで前記第1幅よりも長い第2幅を有し、前記挿入部が前記挿入溝に挿入された状態で前記幅方向に沿って一対の前記壁部の一方の端部から一対の前記壁部の他方の端部まで前記第1幅を有するように前記挿入溝に接触して配置され、
前記挿入部は、一対の前記壁部が前記挿入溝に接触する状態で前記幅方向の長さを縮めるように弾性変形した前記連結部の弾性力により前記挿入溝に保持されるチューブ保持部材。
【請求項2】
前記挿入部および前記一対の腕部は、樹脂材料により一体に成形されている請求項1に記載のチューブ保持部材。
【請求項3】
一対の前記壁部の前記チューブと接触する面には、前記チューブに向けて突出するとともに前記軸線方向に直交する方向に延びる突起部が形成されている請求項1または請求項2に記載のチューブ保持部材。
【請求項4】
前記腕部の先端部には、一対の前記壁部により保持される前記チューブを識別するための識別情報を表示する表示部が設けられている請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のチューブ保持部材。
【請求項5】
一対の前記腕部の先端部は、前記幅方向の外側に向けて突出する形状に形成されている請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のチューブ保持部材。
【請求項6】
回転軸回りに円弧状に形成されるとともに可撓性を有するチューブが配置される内周面を有し、前記回転軸に沿った一端側に向けて開口する収容部と、
前記収容部に収容されるとともに前記チューブを閉塞した状態で前記回転軸回りに回転する複数のローラ部と、
複数の前記ローラ部を前記回転軸回りに回転させる駆動部と、を備え、
前記収容部には、軸線方向に沿って延びるとともに前記軸線方向に直交する幅方向に第1幅を有する挿入溝が形成されており、
前記チューブを前記軸線方向に沿って前記挿入溝に保持するチューブ保持部材を有し、
前記チューブ保持部材は、
前記チューブを前記軸線方向に沿って配置した状態で該チューブを保持するとともに前記収容部に形成される前記挿入溝に挿入される挿入部と、
前記軸線方向に沿って延びるとともに前記挿入部が前記挿入溝の底部まで挿入された状態で前記挿入溝から突出する一対の腕部と、を備え、
前記挿入部は、
前記軸線方向に沿って延びるとともに一対の前記腕部に連結され、前記チューブを挟んだ状態で保持するように前記幅方向に間隔を空けて配置される一対の壁部と、
前記軸線方向に沿って延びるとともに一対の前記壁部を連結し、前記挿入溝の前記底部に対向して配置される連結部と、を有し、
前記連結部は、前記幅方向に沿って弾性変形可能であり、
一対の前記壁部は、前記挿入部が前記挿入溝に挿入されない状態で前記幅方向に沿って一対の前記壁部の一方の端部から一対の前記壁部の他方の端部まで前記第1幅よりも長い第2幅を有し、前記挿入部が前記挿入溝に挿入された状態で前記幅方向に沿って一対の前記壁部の一方の端部から一対の前記壁部の他方の端部まで前記第1幅を有するように前記挿入溝に接触して配置され、
前記挿入部は、一対の前記壁部が前記挿入溝に接触する状態で前記幅方向の長さを縮めるように弾性変形した前記連結部の弾性力により前記挿入溝に保持されるチューブポンプ。
【請求項7】
前記収容部は、複数の前記ローラ部を収容する凹所を有し、
前記凹所の全領域を覆う閉状態と前記凹所から離間した開状態とを切り替え可能な蓋部と、を備え、
前記チューブ保持部材には、前記腕部の先端部に、一対の前記壁部により保持される前記チューブを識別するための識別情報を表示する表示部が設けられており、
前記蓋部には、前記閉状態で一対の前記腕部を収容する一対の貫通穴が形成されている請求項6に記載のチューブポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チューブ保持部材およびチューブポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、可撓性を有するチューブを複数のローラによって間欠的に押し潰すことによってチューブ内の液体を圧送するチューブポンプが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示されるチューブポンプは、可撓性のチューブを押し潰した状態で軸線回りにローラ部を回転させることにより、チューブ内の液体を流出側へ吐出させる。
【0003】
特許文献1では、ローラ部との接触による外力が働いた場合でもチューブの位置を保持するために、チューブに一対のチューブ押さえリングが取り付けられている。特許文献1では、一対のチューブ押さえリングをチューブケースに形成される一対の固定穴に収容することにより、チューブケースに対してチューブの位置を固定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-131946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されるチューブポンプは、チューブを保持する保持機構がローラ部を駆動する駆動機構に装着された装着状態と、保持機構が駆動機構から離間した離間状態とを、取付機構により切り替えるものである。保持機構が駆動機構から離間した離間状態においては、チューブ押さえリングがチューブケースの固定穴から外れてしまう可能性がある。また、チューブ押さえリングを固定穴と略同サイズの形状とし、チューブ押さえリングがチューブケースの固定穴から外れないように圧入してしまうと、チューブ押さえリングを固定穴から取り外すのが困難となってしまう。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、チューブを挿入溝に保持した状態を確実に維持するとともにチューブを挿入溝から取り外す作業を容易にすることが可能なチューブ保持部材およびそれを備えたチューブポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するため、下記の手段を採用した。
本発明の一態様にかかるチューブ保持部材は、回転軸回りに円弧状に形成されるとともに可撓性を有するチューブが配置される内周面を有する収容部と、前記収容部に収容されるとともに前記チューブを閉塞した状態で前記回転軸回りに回転する複数のローラ部と、を有するチューブポンプに前記チューブを保持するチューブ保持部材であって、軸線方向に沿って延びるとともに前記軸線方向に直交する幅方向に第1幅を有する挿入溝に挿入され、前記チューブを前記軸線方向に沿って前記挿入溝に保持、前記チューブを前記軸線方向に沿って配置した状態で該チューブを保持するとともに前記収容部に形成される前記挿入溝に挿入される挿入部と、前記軸線方向に沿って延びるとともに前記挿入部が前記挿入溝の底部まで挿入された状態で前記挿入溝から突出する一対の腕部と、を備え、前記挿入部は、記軸線方向に沿って延びるとともに一対の前記腕部に連結され、前記チューブを挟んだ状態で保持するように前記幅方向に間隔を空けて配置される一対の壁部と、前記軸線方向に沿って延びるとともに一対の前記壁部を連結し、前記挿入溝の前記底部に対向して配置される連結部と、を有し、前記連結部は、前記幅方向に沿って弾性変形可能であり、一対の前記壁部は、前記挿入部が前記挿入溝に挿入されない状態で前記幅方向に沿って一対の前記壁部の一方の端部から一対の前記壁部の他方の端部まで前記第1幅よりも長い第2幅を有し、前記挿入部が前記挿入溝に挿入された状態で前記幅方向に沿って一対の前記壁部の一方の端部から一対の前記壁部の他方の端部まで前記第1幅を有するように前記挿入溝に接触して配置され、前記挿入部は、一対の前記壁部が前記挿入溝に接触する状態で前記幅方向の長さを縮めるように弾性変形した前記連結部の弾性力により前記挿入溝に保持される。
【0008】
本発明の一態様にかかるチューブ保持部材によれば、挿入部が有する一対の壁部は、挿入部が挿入溝に挿入されない状態で幅方向に挿入溝の第1幅よりも長い第2幅を有する。操作者は、チューブを挟んだ状態で保持する一対の壁部に連結される一対の腕部を指先でつまみ、一対の壁部の幅方向の間隔を狭める方向の外力を与える。そうすると、連結部が弾性変形して一対の壁部の幅方向の長さが挿入溝の第1幅よりも短くなる。操作者は、一対の壁部の幅方向の長さが第1幅よりも短い状態を維持することで、挿入部を挿入溝の底部まで挿入することができる。
【0009】
操作者が一対の腕部を指先でつまむ状態を解除すると、連結部の弾性変形の一部が解除され、一対の壁部の幅方向の長さが挿入溝の第1幅まで広がり、一対の壁部がそれぞれ挿入溝に接触する。連結部の弾性変形の一部は解除されないまま保持されているため、連結部の弾性力により挿入部が挿入溝に保持される。したがって、チューブ保持部材により、チューブを挿入溝に保持した状態を確実に維持することができる。
【0010】
また、操作者は、チューブを挿入溝から取り外す際には、挿入溝に保持されたチューブ保持部材の挿入部の一対の腕部を指先でつまむ。操作者が一対の壁部の幅方向の間隔を狭める方向の外力を与えると、連結部が弾性変形して一対の壁部の幅方向の長さが挿入溝の第1幅よりも短くなる。操作者は、一対の壁部の幅方向の長さが第1幅よりも短い状態を維持することで、挿入部を挿入溝から容易に引き抜くことができる。したがって、チューブ保持部材により、チューブを挿入溝から取り外す作業を容易に行うことができる。
【0011】
本発明の一態様にかかるチューブ保持部材において、前記挿入部および前記一対の腕部は、樹脂材料により一体に成形されている構成が好ましい。
挿入部および一対の腕部を樹脂材料により一体に成形することで、連結部を含むチューブ保持部材の全体を操作者から与えられる外力により適切に弾性変形させ、挿入部を挿入溝に保持することができる。
【0012】
本発明の一態様にかかるチューブ保持部材において、一対の前記壁部の前記チューブと接触する面には、前記チューブに向けて突出するとともに前記軸線方向に直交する方向に延びる突起部が形成されている構成が好ましい。
本構成のチューブ保持部材によれば、一対の壁部のチューブと接触する面に軸線方向に直交する方向に延びる突起部が形成されている。突起部がチューブの外周面に強く突き当てられるため、一対の壁部に挟んだ状態で保持されるチューブを軸線方向に移動しないように保持することができる。
【0013】
本発明の一態様にかかるチューブ保持部材において、前記腕部の先端部には、一対の前記壁部により保持される前記チューブを識別するための識別情報を表示する表示部が設けられている構成が好ましい。
本構成のチューブ保持部材によれば、挿入溝から突出する腕部の先端部にチューブを識別するための識別情報を表示する表示部が設けられるため、操作者が挿入溝に保持されるチューブを容易に識別することができる。
【0014】
本発明の一態様にかかるチューブ保持部材において、一対の前記腕部の先端部は、前記幅方向の外側に向けて突出する形状に形成されている構成が好ましい。
本構成のチューブ保持部材によれば、一対の腕部の先端が幅方向の外側に向けて突出しているため、操作者は、一対の腕部を指先でつまみ、一対の壁部の幅方向の間隔を狭める方向の外力を与える動作を容易に行うことができる。
【0015】
本発明の一態様にかかるチューブポンプは、回転軸回りに円弧状に形成されるとともに可撓性を有するチューブが配置される内周面を有し、前記回転軸に沿った一端側に向けて開口する収容部と、前記収容部に収容されるとともに前記チューブを閉塞した状態で前記回転軸回りに回転する複数のローラ部と、複数の前記ローラ部を前記回転軸回りに回転させる駆動部と、を備え、前記収容部には、軸線方向に沿って延びるとともに前記軸線方向に直交する幅方向に第1幅を有する挿入溝が形成されており、前記チューブを前記軸線方向に沿って前記挿入溝に保持するチューブ保持部材を有し、前記チューブ保持部材は、前記チューブを前記軸線方向に沿って配置した状態で該チューブを保持するとともに前記収容部に形成される前記挿入溝に挿入される挿入部と、前記軸線方向に沿って延びるとともに前記挿入部が前記挿入溝の底部まで挿入された状態で前記挿入溝から突出する一対の腕部と、を備え、前記挿入部は、記軸線方向に沿って延びるとともに一対の前記腕部に連結され、前記チューブを挟んだ状態で保持するように前記幅方向に間隔を空けて配置される一対の壁部と、前記軸線方向に沿って延びるとともに一対の前記壁部を連結し、前記挿入溝の前記底部に対向して配置される連結部と、を有し、前記連結部は、前記幅方向に沿って弾性変形可能であり、一対の前記壁部は、前記挿入部が前記挿入溝に挿入されない状態で前記幅方向に沿って一対の前記壁部の一方の端部から一対の前記壁部の他方の端部まで前記第1幅よりも長い第2幅を有し、前記挿入部が前記挿入溝に挿入された状態で前記幅方向に沿って一対の前記壁部の一方の端部から一対の前記壁部の他方の端部まで前記第1幅を有するように前記挿入溝に接触して配置され、前記挿入部は、一対の前記壁部が前記挿入溝に接触する状態で前記幅方向の長さを縮めるように弾性変形した前記連結部の弾性力により前記挿入溝に保持される。
【0016】
本発明の一態様に係るチューブポンプによれば、チューブ保持部材により、チューブを挿入溝に保持した状態を確実に維持するとともにチューブを挿入溝から取り外す作業を容易にすることができる。
【0017】
本発明の一態様にかかるチューブポンプにおいて、前記収容部は、複数の前記ローラ部を収容する凹所を有し、前記凹所の全領域を覆う閉状態と前記凹所から離間した開状態とを切り替え可能な蓋部と、を備え、前記チューブ保持部材には、前記腕部の先端部に、一対の前記壁部により保持される前記チューブを識別するための識別情報を表示する表示部が設けられており、前記蓋部には、前記閉状態で一対の前記腕部を収容する一対の貫通穴が形成されている構成が好ましい。
【0018】
本構成のチューブポンプによれば、蓋部には、閉状態において、一対のチューブ保持部材の腕部および腕部を収容する一対の貫通穴が形成されている。そのため、操作者は、閉状態において、腕部の先端部に設けられた表示部に表示されるチューブを識別するための識別情報を容易に認識することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、チューブを挿入溝に保持した状態を確実に維持するとともにチューブを挿入溝から取り外す作業を容易にすることが可能なチューブ保持部材およびそれを備えたチューブポンプを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】チューブポンプの一実施形態を示す平面図である。
図2図1に示すチューブポンプのA-A矢視縦断面図である。
図3】蓋部を開状態としたチューブポンプの一実施形態を示す平面図である。
図4図3に示すB部分の部分拡大図であり、チューブおよびチューブ保持部材が収容部に取付けられていない状態を示す図である。
図5図3に示すB部分の部分拡大図であり、チューブおよびチューブ保持部材が収容部に取付けられている状態を示す図である。
図6図4のC-C矢視断面図である。
図7図5のD-D矢視断面図である。
図8図6のE-E矢視断面図である。
図9】蓋部を閉状態としたチューブポンプの一実施形態を示す平面図である。
図10図9のF-F矢視断面図である。
図11】チューブポンプの挿入溝の近傍の部分拡大図である。
図12】連結部により連結された一対のチューブ保持部材を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態のチューブポンプ100について図面を参照して説明する。図1は、チューブポンプ100の一実施形態を示す平面図である。図2は、図1に示すチューブポンプ100のA-A矢視縦断面図である。
【0022】
図1に示す本実施形態のチューブポンプ100は、軸線X1(回転軸)回りに第1ローラ部10と第2ローラ部20とを同一方向(図1に矢印で示す方向)に回転させることにより、流入側200aから流入するチューブ200内の液体を流出側200bへ吐出させる装置である。
【0023】
図1の平面図に示すように、チューブポンプ100には、第1ローラ部10および第2ローラ部20を収容する収容部82の内周面82aに沿って、軸線X1回りに円弧状にチューブ200が配置される。内周面82aは、軸線X1回りに円弧状に形成されるとともにチューブ200が配置される面である。収容部82は、軸線X1に沿った一端側に向けて開口するとともに第1ローラ部10および第2ローラ部20を収容する凹所82bを有する。
【0024】
図1に示すように、収容部82に収容される第1ローラ部10および第2ローラ部20は、チューブ200に接触しながら反時計回りの回転方向(図1中に矢印で示す方向)に沿って軸線X1回りに回転する。
【0025】
図2に示すように、本実施形態のチューブポンプ100は、チューブ200を閉塞した状態で軸線X1回りに回転する第1ローラ部10および第2ローラ部20と、軸線X1上に配置されるとともに第1ローラ部10に連結される駆動軸30と、第2ローラ部20に連結される駆動筒40と、駆動軸30に駆動力を伝達する第1駆動部50と、第2駆動部60と、第2駆動部60の駆動力を駆動筒40に伝達する伝達機構70と、を備える。
【0026】
第1ローラ部10は、チューブ200と接触しながら軸線X1と平行な軸線回りに回転する第1ローラ11と、軸線X1回りに一体に回転するように駆動軸30に連結された第1ローラ支持部材12と、両端部が第1ローラ支持部材12に支持されるとともに第1ローラ11を回転可能に取り付ける第1ローラシャフト13とを有する。
【0027】
第1駆動部50は、第1ローラ部10を軸線X1回りに反時計回りの回転方向に回転させる。第1ローラ支持部材12は、第1駆動部50に連結されるとともに第1ローラ11を支持しながら軸線回りに反時計回りに回転する。
【0028】
第2ローラ部20は、チューブ200と接触しながら軸線X1と平行な軸線回りに回転する第2ローラ21と、軸線X1回りに一体に回転するように駆動筒40に連結された第2ローラ支持部材22と、両端部が第2ローラ支持部材22に支持されるとともに第2ローラ21を回転可能に取り付ける第2ローラシャフト23とを有する。
【0029】
第2駆動部60は、第2ローラ部20を軸線X1回りに反時計回りの回転方向に回転させる。第2ローラ支持部材22は、第2駆動部60に連結されるとともに第2ローラ21を支持しながら軸線回りに反時計回りに回転する。
【0030】
図2に示すように、第1駆動部50および第2駆動部60は、ケーシング80(収容部材)の内部に収容されている。ケーシング80の内部には、伝達機構70を収容するためのギヤ収容部81と、第1駆動部50および第2駆動部60を支持する支持部材90が取り付けられている。また、ケーシング80の上部には、第1ローラ部10と第2ローラ部20とを収容するための収容部82が取り付けられている。
【0031】
支持部材90には、軸線X1に沿って延びる第1貫通穴91と軸線X2に沿って延びる第2貫通穴92が形成されている。第1駆動部50は、支持部材90に形成された第1貫通穴91に第1駆動軸51を挿入した状態で支持部材90に締結ボルト(図示略)により取り付けられている。同様に、第2駆動部60は、支持部材90に形成された第2貫通穴92に第2駆動軸61を挿入した状態で支持部材90に締結ボルト(図示略)により取り付けられている。このように、第1駆動部50および第2駆動部60のそれぞれは、一体に形成された部材である支持部材90に取り付けられている。
【0032】
第1駆動部50は、第1駆動軸51と、第1電動モータ52と、第1電動モータ52が回転させる回転軸(図示略)の回転を減速して第1駆動軸51に伝達する第1減速機53とを有する。第1駆動部50は、第1電動モータ52の駆動力を第1駆動軸51に伝達することにより、第1駆動軸51を軸線X1回りに回転させる。
【0033】
駆動軸30は、その下端が第1駆動軸51に連結される。駆動軸30は、外周面に沿って挿入された円筒状の第1軸受部材31と、第1軸受部材31とは独立に形成された円筒状の第2軸受部材32により、駆動筒40の内周側に軸線X1回りに回転可能に支持されている。このように、駆動軸30は、下端側の外周面が第1軸受部材31により支持され、中央部の外周面が第2軸受部材32により支持されている。そのため、駆動軸30は、中心軸を軸線X1上に保持した状態で軸線X1回りに円滑に回転する。
【0034】
駆動軸30の先端側には、第1ローラ部10の第1ローラ支持部材12が軸線X1回りに一体に回転するように連結されている。以上のように、第1駆動部50が第1駆動軸51を軸線X1回りに回転させる駆動力は、第1駆動軸51から駆動軸30を介して第1ローラ部10に伝達される。
【0035】
伝達機構70は、軸線X1と平行な軸線X2(第2軸線)回りに回転する第1ギヤ部71と、第1ギヤ部71から第2駆動軸61の駆動力が伝達される第2ギヤ部72とを有する。伝達機構70は、第2駆動軸61の軸線X2回りの駆動力を駆動筒40の外周面に伝達して駆動筒40を軸線X1回りに回転させる。
【0036】
第2駆動部60は、軸線X2上に配置される第2駆動軸61と、第2電動モータ62と、第2電動モータ62が回転させる回転軸(図示略)の回転を減速して第2駆動軸61に伝達する第2減速機63とを有する。第2駆動部60は、第2電動モータ62の駆動力を第2駆動軸61に伝達することにより、第2駆動軸61を軸線X2回りに回転させる。
【0037】
駆動筒40は、軸線X1回りに円筒状に形成される第2ギヤ部72の中心部に形成された挿入穴に挿入されている。挿入穴は、駆動筒40の外周面に連結される内周面を有する穴である。第2ギヤ部72は、駆動筒40が挿入された状態で固定ネジ(図示略)を締結して固定ネジの先端を駆動筒40に突き当てることにより、駆動筒40に固定される。このようにして、第2ギヤ部72は、駆動筒40に連結されて駆動筒40とともに軸線X1回りに回転する。
【0038】
駆動筒40は、駆動軸30の外周側に第1軸受部材31および第2軸受部材32を挟んだ状態で配置されている。そのため、駆動筒40は、駆動軸30と独立して軸線X1回りに回転可能となっている。駆動軸30は第1駆動部50による駆動力により軸線X1回りに回転し、駆動筒40は駆動軸30とは独立した状態で、第2駆動部60による駆動力により軸線X1回りに回転する。
【0039】
駆動筒40の先端側には、第2ローラ部20の第2ローラ支持部材22が軸線X1回りに一体に回転するように連結されている。以上のように、第2駆動部60が第2駆動軸61を軸線X2回りに回転させる駆動力は、伝達機構70によって駆動筒40の外周面に伝達され、駆動筒40から第2ローラ部20に伝達される。
【0040】
次に、本実施形態のチューブポンプ100が備えるチューブ保持部材300について、図面を参照して説明する。図3は、蓋部85を開状態としたチューブポンプ100の一実施形態を示す平面図である。
【0041】
図4は、図3に示すB部分の部分拡大図であり、チューブ200およびチューブ保持部材300が収容部82に取付けられていない状態を示す図である。図5は、図3に示すB部分の部分拡大図であり、チューブ200およびチューブ保持部材300が収容部に取付けられている状態を示す図である。図6は、図4のC-C矢視断面図である。図7は、図5のD-D矢視断面図である。図8は、図6のE-E矢視断面図である。
【0042】
図3に示すように、本実施形態のチューブポンプ100は、チューブ保持部材300と、開閉状態を切り替え可能な蓋部85と、を備える。図3に示すチューブポンプ100は、第1ローラ部10および第2ローラ部20の軸線X1回りの回転角度を固定し、第1ローラ部10および第2ローラ部20の双方がチューブ200に接触しない退避状態を示している。
【0043】
チューブ保持部材300は、収容部82に形成される挿入溝82eに挿入され、チューブ200を軸線方向ADに沿って挿入溝82eに保持する部材である。図4および図6に示すように、挿入溝82eは、軸線Zが延びる方向である軸線方向ADに沿って延びる溝である。挿入溝82eは、軸線方向ADに第1長さL1を有し、軸線方向ADに直交する幅方向WDに第1幅W1を有する。図6に示すように、挿入溝82eの第1幅W1は、チューブ保持部材300が挿入溝82eに挿入される深さ方向DDの各位置で同一の幅となっている。
【0044】
図6および図7に示すように、チューブ保持部材300は、挿入部310と、腕部321と、腕部322と、を備える。挿入部310、腕部321および腕部322は、弾性変形可能な可撓性を有する樹脂材料(例えば、ポリカーボネート)により一体に成形されている。
【0045】
挿入部310は、チューブ200を軸線方向ADに沿って配置した状態で挿入溝82eに挿入される。腕部321および腕部322は、軸線方向ADに沿って延びるとともに挿入部310が挿入溝82eの底部82fまで挿入された状態で挿入溝82eから突出する部分である。
【0046】
挿入部310は、壁部311と、壁部312と、連結部313とを有する。壁部311は、軸線方向ADに沿って延びるとともに腕部321に連結される部材である。壁部312は、軸線方向ADに沿って延びるとともに腕部322に連結される部材である。壁部311および壁部312は、チューブ200を挟んだ状態で保持するように幅方向WDに間隔を空けて配置される。
【0047】
連結部313は、軸線方向ADに沿って延びるとともに壁部311および壁部312を連結する部材である。図7に示すように、連結部313は、挿入部310が挿入溝82eに挿入された状態で、挿入溝82eの底部82fに対向して配置される。連結部313は、樹脂材料により形成されているため、操作者が腕部321および腕部322を指先でつまんでこれらの幅方向WDの間隔を狭めることにより幅方向WDに沿って縮むように弾性変形可能な部材である。
【0048】
図6に示すように、壁部311および壁部312は、挿入部310が挿入溝82eに挿入されない状態で幅方向WDに第1幅W1よりも長い第2幅W2を有する。図7に示すように、壁部311および壁部312は、挿入部310が挿入溝82eに挿入された状態で幅方向WDに第1幅W1を有するように挿入溝82eに接触して配置される。操作者は、腕部321および腕部322を指先でつまみ、壁部311および壁部312を幅方向WDに第1幅W1よりも短い間隔に狭め、チューブ保持部材300を挿入溝82eへ挿入する。
【0049】
図6および図7に示すように、壁部311のチューブ200と接触する面には、チューブ200に向けて突出するとともに軸線方向ADに直交する深さ方向DDに沿って延びる突起部314が形成されている。壁部312のチューブ200と接触する面には、チューブ200に向けて突出するとともに軸線方向ADに直交する方向に延びる突起部315が形成されている。
【0050】
図8に示すように、突起部314は、壁部311に軸線方向ADに直交する深さ方向DDに沿って延びるように形成され、かつ軸線方向ADに沿って間隔を空けて2箇所に配置されている。図示を省略するが、突起部315も、壁部312に軸線方向ADに直交する深さ方向DDに沿って延びるように形成され、かつ軸線方向ADに沿って間隔を空けて2箇所に配置されている。
【0051】
図8に示すように、突起部314は、腕部321から壁部311の下方へ向けてチューブ200の外径Do以上の長さを有する。図示を省略するが、突起部315も、腕部322から壁部312の下方へ向けてチューブ200の外径Do以上の長さを有する。
【0052】
そのため、操作者がチューブ200を腕部321および腕部322の上方から壁部311および壁部312の間に挿入する際に、チューブ200の外周面に突起部314および突起部315が突き当てられる。そのため、チューブ200がチューブ保持部材300に対して軸線方向ADに沿って移動することが防止される。
【0053】
また、突起部314および突起部315は、チューブ200がチューブ保持部材300に取り付けられた状態においても、チューブ200の外周面に対して強く突き当てられる。そのため、壁部311および壁部312に挟んだ状態で保持されるチューブ200を軸線方向ADに沿って移動しないように保持することができる。
【0054】
腕部321および腕部322は、チューブ保持部材300を挿入溝82eへ挿入する際に、操作者が指先でつまむ部分である。腕部321の先端部321aは、幅方向WDの外側(チューブ200から遠ざかる側)に向けて突出する形状に形成されている。腕部322の先端部322aは、幅方向WDの外側に向けて突出する形状に形成されている。操作者は、先端部321aおよび先端部322aを2本の指でつまむことにより、チューブ保持部材300を容易に操作することができる。
【0055】
図7に示すように、先端部321aの端部から先端部322aの端部までの幅方向WDに沿った長さは、第3幅W3となっている。第3幅W3は、チューブ200およびチューブ保持部材300が収容部に取付けられている状態で、幅方向WDに沿った長さが、挿入溝82eの第1幅W1よりも長いのが好ましい。
【0056】
第3幅W3を第1幅W1よりも長くすることで、操作者が先端部321aおよび先端部322aを2本の指でつまんでも、先端部321aの端部から先端部322aの端部までの幅方向WDに沿った長さが挿入溝82eの第1幅W1よりも長くなる。そのため、操作者の誤操作により、挿入部310ではなく、先端部321aおよび先端部322aが挿入溝82eに挿入されてしまうことを防止することができる。
【0057】
図8に示すように、壁部311の軸線方向ADの長さは、第2長さL2となっている。同様に、壁部312の軸線方向ADの長さも、第2長さL2となっている。第2長さL2は、第1長さL1よりもわずかに短い。そのため、壁部311および壁部312は、挿入溝82eへ挿入可能な軸線方向ADの長さを有する。
【0058】
図8に示すように、腕部321の軸線方向ADの長さは、第3長さL3となっている。同様に、腕部322の軸線方向ADの長さも、第3長さL3となっている。第3長さL3は、第2長さL2よりも短い。そのため、軸線方向ADにおいて、腕部321および腕部322が、壁部311および壁部312よりも小さくし、チューブ保持部材300を小型化することができる。
【0059】
なお、図8において破線で示すように、腕部321の軸線方向ADの長さを、挿入溝82eの第1長さL1よりも長い第4長さL4としてもよい。この場合、腕部322の軸線方向ADの長さも、第4長さL4とする。腕部321および腕部322の軸線方向ADの第4長さが、挿入溝82eの軸線方向ADの第1長さL1よりも長い。そのため、操作者の誤操作により、挿入部310ではなく、腕部321および腕部322が挿入溝82eに挿入されてしまうことを防止することができる。
【0060】
図5に示すように、腕部321の先端部321aには、壁部311および壁部312により保持されるチューブ200を識別するための識別情報を表示する表示部321bが設けられている。図5に示す表示部321bは、チューブ200の内径Di(図8参照)が0.80mmであることを示す「80」との識別情報が表示されている。
【0061】
表示部321bは、例えば、他の部分とは異なる塗料等により識別情報を表示する。また、表示部321bは、識別情報を示す形状に成形されたものであってもよい。また、表示部321bは、識別情報が印刷されたシール等を貼り付けたものであってもよい。また、表示部321bが表示する識別情報は、チューブ200の内径Diを示す情報とは異なる他の情報であってもよい。
【0062】
例えば、チューブ200の内径Diと対応付けられた文字コード、チューブ200の外径Doを示す情報、チューブ200の外径Doと対応付けられた文字コード、チューブ200の材質を示す情報、一対のチューブ保持部材300の一方と他方を識別するための情報、あるいはこれらの情報を組み合わせた情報でもよい。また、表示部321bを設けるのに替えて、チューブ保持部材300を形成する樹脂材料を、チューブ200に対応する所望の色に着色してもよい。
【0063】
ここで、図6に示すチューブ200およびチューブ保持部材300が収容部82に取付けられていない状態から、図7に示すチューブ200およびチューブ保持部材300が収容部82に取付けられている状態にする際に、操作者が行う動作について説明する。
【0064】
操作者は、チューブ200が取付けられていないチューブ保持部材300を把持し、チューブ200を腕部321および腕部322の上方から壁部311および壁部312の間に挿入する。操作者は、チューブ200が連結部313の内周面と接触する位置までチューブ200を挿入する。
【0065】
次に、操作者は、チューブ200が取付けられていない別のチューブ保持部材300を把持し、チューブ200を腕部321および腕部322の上方から壁部311および壁部312の間に挿入する。操作者は、チューブ200が連結部313の内周面と接触する位置までチューブ200を挿入する。操作者は、別の(2つ目の)チューブ保持部材300をチューブ200に取り付ける際に、一対のチューブ保持部材300の配置間隔がチューブポンプ100に適した予め定められた間隔となるように調整する。
【0066】
次に、操作者は、図6に示す状態において、一方のチューブ保持部材300の先端部321aおよび先端部322aを指先でつまみ、壁部311および壁部312の幅方向の間隔を狭める方向の外力を与える。そうすると、連結部313が幅方向WDの長さを縮めるように弾性変形して壁部311および壁部312の幅方向WDの長さが挿入溝82eの第1幅W1よりも短くなる。
【0067】
次に、操作者は、壁部311および壁部312の幅方向WDの長さが挿入溝82eの第1幅W1よりも短い状態を維持したまま、挿入部310を挿入溝82eの底部82fまで挿入する。その後、操作者は、一方のチューブ保持部材300の先端部321aおよび先端部322aを指先でつまんだ状態を解除する。
【0068】
操作者が先端部321aおよび先端部322aを指先でつまむ状態を解除すると、連結部313の弾性変形の一部が解除され、壁部311および壁部312の幅方向WDの長さが挿入溝82eの第1幅W1まで広がり、壁部311および壁部312がそれぞれ挿入溝82eに接触する。連結部313の弾性変形の一部は解除されないまま保持されているため、連結部313の弾性力により挿入部310が挿入溝82eに保持される。したがって、チューブ保持部材300により、チューブ200を挿入溝82eに保持した状態を確実に維持することができる。
【0069】
また、操作者は、一方のチューブ保持部材300に対して行った操作と同様の操作を、他方のチューブ保持部材300に対しても同様に行う。これにより、収容部82に形成される一対の挿入溝82eのそれぞれにチューブ保持部材300が取付けられる。
【0070】
次に、本実施形態のチューブポンプ100が備える蓋部85、開閉検知センサ86およびロック機構87について、図面を参照して説明する。図9は、蓋部85を閉状態としたチューブポンプ100の一実施形態を示す平面図である。図10は、図9のF-F矢視断面図である。
【0071】
蓋部85は、収容部82の凹所82bの全領域を覆う閉状態と、凹所82bから離間した開状態を切り替え可能な部材である。蓋部85は、収容部82に連結される連結部85aを備える。図9に示すように、蓋部85は、一対の連結部85aにより収容部82に連結されている。蓋部85は、一対の連結部85aが配置される軸線Y1回りに揺動可能となっている。操作者は、閉状態において、ロック機構87のつまみ部87bを把持して上方に持ち上げることにより、蓋部85を軸線Y1回りに揺動させて開状態に切り替える。
【0072】
図9および図10に示すように、蓋部85には、閉状態において、一対のチューブ保持部材300の腕部321および腕部322を収容する一対の貫通穴85bが形成されている。そのため、操作者は、閉状態において、腕部321の先端部321aに設けられた表示部321bに表示されるチューブ200を識別するための識別情報を認識することができる。
【0073】
図10に示すように、蓋部85が収容部82に近接する閉状態において、チューブ保持部材300の先端部321aおよび先端部322aが一対の貫通穴85bに収容された状態となる。そのため、閉状態においては、操作者がチューブ保持部材300の先端部321aおよび先端部322aをつまむことができない。よって、閉状態においては、チューブ保持部材300が収容部82から取り外される誤操作を操作者が行うことが防止される。
【0074】
図10に示すように、本実施形態のチューブポンプ100は、蓋部85の開閉状態を検知する開閉検知センサ(検知部)86と、蓋部85に取り付けられるロック機構87とを備える。
【0075】
ロック機構87は、収容部82に対して蓋部85を閉状態が維持されるように固定する機構である。ロック機構87は、軸線X2に沿って延びる軸部87aと、軸部87aの一端に取り付けられるつまみ部87bと、つまみ部87bが軸部87aに対して軸線X2回りに回転しないように固定する回り止めピン87cと、を備える。
【0076】
軸部87aの蓋部85側の端部は、蓋部85に形成される貫通穴85fに挿入されている。軸部87aの蓋部85側の端部には、雄ねじ部87dが形成されている。雄ねじ部87dは、操作者がつまみ部87bを軸線X2回りに回転させることにより、軸線X2回りに回転する。
【0077】
図10に示すように、収容部82には、開閉検知センサ86が設けられており、開閉検知センサ86から収容部82の表面に向けて貫通穴82cが形成されている。貫通穴82cの内周面には、雌ねじ部82dが形成されている。
【0078】
操作者は、図3に示す蓋部85を把持して下方へ引き下げることにより、蓋部85を軸線Y1回りに揺動させ、蓋部85が収容部82に近接した図10に示す閉状態とすることができる。操作者は、閉状態において、つまみ部87bを軸線X2回りに回転させることにより、軸部87aを軸線X2回りに回転させ、雄ねじ部87dを雌ねじ部82dに係合させる。雄ねじ部87dが雌ねじ部82dに係合することにより、閉状態を維持するように収容部82に対して蓋部85が固定される。
【0079】
操作者は、収容部82に対して蓋部85が固定された状態で、更につまみ部87bを軸線X2回りに回転させることにより、軸部87aの先端を開閉検知センサ86に接触させる。開閉検知センサ86は、軸部87aの先端が接触するとON状態となって蓋部85が閉状態であることを検知する。開閉検知センサ86は、軸部87aの先端が接触しない場合はOFF状態となって蓋部85が開状態であることを検知する。
【0080】
本実施形態のチューブポンプ100は、制御部(図示略)が第1駆動部50および第2駆動部60を制御することにより、第1ローラ部10および第2ローラ部20によるチューブ200内の流体の吐出を行うよう第1ローラ部10および第2ローラ部20を同一方向に回転させる吐出制御モード(第1制御モード)を実行可能である。
【0081】
吐出制御モードを実行する場合、操作者は、入力部(図示略)を介してチューブポンプ100が流出側200bへ吐出させる液体の単位時間当たりの流量を設定する。制御部(図示略)は、設定された流量が流出側200bへ吐出されるように、第1駆動部50および第2駆動部60を制御する。
【0082】
また、本実施形態のチューブポンプ100は、制御部(図示略)が第1駆動部50および第2駆動部60を制御することにより、第1ローラ部10および第2ローラ部20がチューブ200と接触しないように第1ローラ部10および第2ローラ部20それぞれの回転角度を固定するチューブ交換モード(第2制御モード)を実行可能である。
【0083】
チューブ交換モードを実行する場合、操作者は、入力部(図示略)を介してチューブ交換モードの実行を指示する。制御部(図示略)は、図3に示すように、第1ローラ部10および第2ローラ部20がチューブ200と接触しないように第1ローラ部10および第2ローラ部20それぞれの回転角度を固定する。
【0084】
以上説明した本実施形態が奏する作用および効果について説明する。
本実施形態にかかるチューブ保持部材300によれば、挿入部310が有する一対の壁部311,312は、挿入部310が挿入溝82eに挿入されない状態で幅方向WDに挿入溝82eの第1幅W1よりも長い第2幅W2を有する。操作者は、チューブ200を挟んだ状態で保持する一対の壁部311,312に連結される一対の腕部321,322を指先でつまみ、一対の壁部311,312の幅方向WDの間隔を狭める方向の外力を与える。そうすると、連結部313が弾性変形して一対の壁部311,312の幅方向WDの長さが挿入溝82eの第1幅W1よりも短くなる。操作者は、一対の壁部311,312の幅方向WDの長さが第1幅W1よりも短い状態を維持することで、挿入部310を挿入溝82eの底部82fまで挿入することができる。
【0085】
操作者が一対の腕部321,322を指先でつまむ状態を解除すると、連結部313の弾性変形の一部が解除され、一対の壁部311,312の幅方向WDの長さが挿入溝82eの第1幅W1まで広がり、一対の壁部311,312がそれぞれ挿入溝82eに接触する。連結部313の弾性変形の一部は解除されないまま保持されているため、連結部313の弾性力により挿入部310が挿入溝82eに保持される。したがって、チューブ保持部材300により、チューブ200を挿入溝82eに保持した状態を確実に維持することができる。
【0086】
また、操作者は、チューブ200を挿入溝82eから取り外す際には、挿入溝82eに保持されたチューブ保持部材300の挿入部310の一対の腕部321,322を指先でつまむ。操作者が一対の壁部311,312の幅方向WDの間隔を狭める方向の外力を与えると、連結部313が弾性変形して一対の壁部311,312の幅方向WDの長さが挿入溝82eの第1幅W1よりも短くなる。操作者は、一対の壁部311,312の幅方向WDの長さが第1幅W1よりも短い状態を維持することで、挿入部310を挿入溝82eから容易に引き抜くことができる。したがって、チューブ保持部材300により、チューブ200を挿入溝82eから取り外す作業を容易に行うことができる。
【0087】
本実施形態のチューブ保持部材300によれば、一対の壁部311,312のチューブ200と接触する面に軸線方向ADに直交する方向に延びる突起部314,315が形成されている。突起部314,315がチューブ200の外周面に強く突き当てられるため、一対の壁部311,312に挟んだ状態で保持されるチューブ200を軸線方向ADに移動しないように保持することができる。
【0088】
本実施形態のチューブ保持部材300によれば、挿入溝82eから突出する腕部321の先端部321aにチューブ200を識別するための識別情報を表示する表示部321bが設けられるため、操作者が挿入溝82eに保持されるチューブ200を容易に識別することができる。
【0089】
本実施形態のチューブ保持部材300によれば、一対の腕部321,322の先端が幅方向WDの外側に向けて突出しているため、操作者は、一対の腕部321,322を指先でつまみ、一対の壁部311,312の幅方向WDの間隔を狭める方向の外力を与える動作を容易に行うことができる。
【0090】
本実施形態のチューブポンプ100によれば、蓋部85には、閉状態において、一対のチューブ保持部材300の腕部321,322および腕部321,322を収容する一対の貫通穴85bが形成されている。そのため、操作者は、閉状態において、腕部321の先端部321aに設けられた表示部321bに表示されるチューブ200を識別するための識別情報を容易に認識することができる。
【0091】
〔他の実施形態〕
以上の説明において、チューブポンプ100は、チューブ200の流入側200aを保持するとともに挿入溝82eに挿入されるチューブ保持部材300と、チューブ200の流出側200bを保持するとともに挿入溝82eに挿入されるチューブ保持部材300を有するものであった。そして、一対のチューブ保持部材300は、互い連結されていないものであったが、他の態様であってもよい。
【0092】
例えば、一対のチューブ保持部材300を、連結部330を介して連結してもよい。図11は、チューブポンプ100の挿入溝82eの近傍の部分拡大図である。図12は、連結部330により連結された一対のチューブ保持部材を示す図である。
【0093】
図11に示すように、チューブ200の流入側200aを保持するとともに挿入溝82eに挿入されるチューブ保持部材300と、チューブ200の流出側200bを保持するとともに挿入溝82eに挿入されるチューブ保持部材300とは、連結部330により連結されている。図12に示すように、連結部330は、一方のチューブ保持部材300の壁部312と、他方のチューブ保持部材300の壁部312とを連結する。
【0094】
ケーシング80の収容部82には、一対のチューブ保持部材300を一対の挿入溝82eに挿入した際に連結部330が収容される収容溝82gが形成されている。連結部330が収容溝82gに収容されるため、連結部330が収容部82の上面から突出することがない。
【0095】
連結部330は、一方のチューブ保持部材300が一方の挿入溝82eに挿入され、他方のチューブ保持部材300が他方の挿入溝82eに挿入されるように、予め長さが調整されている。したがって、操作者は、一対のチューブ保持部材300のいずれか一方を挿入溝82eへ位置決めすることにより、一対のチューブ保持部材300のいずれか他方も挿入溝82eへ位置決めすることができる。これにより、操作者が一対のチューブ保持部材300を一対の挿入溝82eへ挿入する作業を容易に行うことができる。
【0096】
また、連結部330を収容溝82gに収容することによりチューブ保持部材300が収容部82に取り付けられる。そのため、一対のチューブ保持部材300の一方が挿入される挿入溝82eと、一対のチューブ保持部材300の一方が挿入される挿入溝82eとを、一意に定めることができる。よって、一対のチューブ保持部材300の一方をそれと対応しない挿入溝82eに取り付けてしまう誤接続を防止することができる。また、連結部330によって、一対のチューブ保持部材300の相対位置が固定されるため、相対位置が固定されずにチューブ200が捻じれた状態となることを防止することができる。
【符号の説明】
【0097】
10 第1ローラ部
20 第2ローラ部
50 第1駆動部
60 第2駆動部
80 ケーシング
82 収容部
82a 内周面
82b 凹所
82c 貫通穴
82d 雌ねじ部
82e 挿入溝
82f 底部
85 蓋部
85a 連結部
85b 貫通穴
85f 貫通穴
86 開閉検知センサ
87 ロック機構
100 チューブポンプ
200 チューブ
300 チューブ保持部材
310 挿入部
311,312 壁部
313 連結部
314,315 突起部
321,322 腕部
321a,322a 先端部
321b 表示部
AD 軸線方向
DD 深さ方向
WD 幅方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12