(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】外構構造物
(51)【国際特許分類】
E06B 11/00 20060101AFI20240501BHJP
E04H 17/14 20060101ALI20240501BHJP
E04H 1/02 20060101ALI20240501BHJP
E06B 11/02 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
E06B11/00 A
E04H17/14
E04H1/02
E06B11/02 Q
(21)【出願番号】P 2020121794
(22)【出願日】2020-07-16
【審査請求日】2023-06-13
(73)【特許権者】
【識別番号】519228050
【氏名又は名称】株式会社エクスクローザー
(74)【代理人】
【識別番号】100155181
【氏名又は名称】中 大介
(72)【発明者】
【氏名】小木戸 道生
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-153070(JP,A)
【文献】特開2019-060226(JP,A)
【文献】実開昭51-117439(JP,U)
【文献】特開平07-102868(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 11/00- 11/08
E04H 17/00- 17/26
E04H 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に立設されて敷地内を囲むために用いられる外構構造物であって、
地面に沿う方向に延在して地中に埋設され、上面の一部に延在方向に沿ったガイド溝が形成されたケース体と、
前記ケース体に収容され、該ケース体の延在方向に沿ってスライド可能な可動部材と、
前記可動部材の上部から上方に向けて立設され、前記ケース体の前記ガイド溝から突出して設けられる支柱と、
地面より上方に配置されるとともに上下方向に立設され、前記支柱が下端部より挿入固定されることにより、該支柱により支持される壁状の本体部とを備え、
前記本体部が前記可動部材とともに変位可能とされ
、
前記可動部材は、上面に複数の転動部材が設けられており、
前記可動部材の上面に設けられた複数の転動部材が前記ケース体の内周上面に接して転動可能とされていることを特徴とする外構構造物。
【請求項2】
回動軸と該回動軸を軸受する軸受孔とを備え、
前記回動軸及び前記軸受孔の一方が地中から突出して設けられ、他方が前記本体部の底部の一端側に設けられ、
前記ケース体は、前記回動軸を軸心とした円弧形状をなしており、
前記可動部材から突設された前記支柱が前記本体部の底部の他端側より挿入固定されることにより、該本体部が該支柱に支持され、
前記可動部材が前記ケース体の形状に沿ってスライドすることにより、前記本体部が前記回動軸を支軸として回動することを特徴とする請求項1に記載の外構構造物。
【請求項3】
上下方向に立設されて敷地内を囲むために用いられる外構構造物であって、
地面に沿う方向に延在して地中に埋設され、上面の一部に延在方向に沿ったガイド溝が形成されたケース体と、
前記ケース体に収容され、該ケース体の延在方向に沿ってスライド可能な可動部材と、
前記可動部材の上部から上方に向けて立設され、前記ケース体の前記ガイド溝から突出して設けられる支柱と、
地面より上方に配置されるとともに上下方向に立設され、前記支柱が下端部より挿入固定されることにより、該支柱により支持される壁状の本体部とを備え、
前記本体部が前記可動部材とともに変位可能とされ、
回動軸と該回動軸を軸受する軸受孔とを備え、
前記回動軸及び前記軸受孔の一方が地中から突出して設けられ、他方が前記本体部の底部の一端側に設けられ、
前記ケース体は、前記回動軸を軸心とした円弧形状をなしており、
前記可動部材から突設された前記支柱が前記本体部の底部の他端側より挿入固定されることにより、該本体部が該支柱に支持され、
前記可動部材が前記ケース体の形状に沿ってスライドすることにより、前記本体部が前記回動軸を支軸として回動することを特徴とする外構構造物。
【請求項4】
前記ケース体は、前記本体部の壁面に沿う方向に延在されてなり、
前記可動部材が前記ケース体の延在方向にスライドすることにより、前記本体部が壁面に沿う方向にスライド移動することを特徴とする請求項1に記載の外構構造物。
【請求項5】
前記可動部材は、前記本体部の壁面に対して交差する方向に延在されてなり、
前記支柱は、前記可動部材の延在方向の中央上部から上方に向けて立設されていることを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか一項に記載の外構構造物。
【請求項6】
前記可動部材は、底面に複数の転動部材が設けられており、
前記可動部材の底面に設けられた複数の転動部材が前記ケース体の内周底面に接して転動することにより前記可動部材が該ケース体の延在方向に沿ってスライド可能とされていることを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか一項に記載の外構構造物。
【請求項7】
前記本体部は、門柱又は塀である請求項1乃至6のうちいずれか一項に記載の外構構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外構構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅の敷地を囲むために用いられる塀や門柱の構成として、コンクリートブロックやレンガを積層して構築されたものや、パネルをフレームに取り付けた後に、タイルを貼付する等の適宜の装飾を施して構築されたものが知られている(例えば、特許文献1,2参照)。また、近年では、外構構成の多様化が顕著であり、例えば、塀を一部設けないように構成して開放されたデザイン性を持たせたオープン外構や、塀や門柱で敷地内を明確に区分して閉鎖されたデザイン性を持たせたクローズ外構が知られている。さらに、このクローズ外構にあっては、防犯意識の高まっている近年においては、塀や門柱の高さを高くして敷地外から敷地内を視認困難に構成するようにデザインされたものが増えてきている。
【0003】
一方で、敷地内にはカーポートやガレージといった駐車スペースが設けられることが多く、この駐車スペースに対応して跳ね上げ式や引戸式のカーゲートが設けられる場合もある(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-67656号公報
【文献】特開2020-12338号公報
【文献】特開2016-84618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年では、一家に1台以上の自動車を所有する傾向にあり、敷地における駐車スペース確保のニーズが高い。一方で、自らは自動車を所有しないが、もっぱら来客用として使用するために駐車スペースを確保したり、自家用に1台分の駐車スペースを確保するほか、来客用のリザーブのために2台目の駐車スペースも設置したいといったニーズもある。
【0006】
ところが、上述したような普段使いをしない駐車スペースについてまでカーゲートを設けることはデザイン性等の観点から敬遠したいといった要望があるところ、このような要望に応えられる方策が提案されていないという現状がある。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、外観のデザイン性を高めることができる外構構造物を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を解決するため、請求項1に記載の発明は、上下方向に立設されて敷地内を囲むために用いられる外構構造物であって、
地面に沿う方向に延在して地中に埋設され、上面の一部に延在方向に沿ったガイド溝が形成されたケース体と、
前記ケース体に収容され、該ケース体の延在方向に沿ってスライド可能な可動部材と、
前記可動部材の上部から上方に向けて立設され、前記ケース体の前記ガイド溝から突出して設けられる支柱と、
地面より上方に配置されるとともに上下方向に立設され、前記支柱が下端部より挿入固定されることにより、該支柱により支持される壁状の本体部とを備え、
前記本体部が前記可動部材とともに変位可能とされ、
前記可動部材は、上面に複数の転動部材が設けられており、
前記可動部材の上面に設けられた複数の転動部材が前記ケース体の内周上面に接して転動可能とされていることを特徴とする外構構造物。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の外構構造物において、
回動軸と該回動軸を軸受する軸受孔とを備え、
前記回動軸及び前記軸受孔の一方が地中から突出して設けられ、他方が前記本体部の底部の一端側に設けられ、
前記ケース体は、前記回動軸を軸心とした円弧形状をなしており、
前記可動部材から突設された前記支柱が前記本体部の底部の他端側より挿入固定されることにより、該本体部が該支柱に支持され、
前記可動部材が前記ケース体の形状に沿ってスライドすることにより、前記本体部が前記回動軸を支軸として回動することを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、上下方向に立設されて敷地内を囲むために用いられる外構構造物であって、
地面に沿う方向に延在して地中に埋設され、上面の一部に延在方向に沿ったガイド溝が形成されたケース体と、
前記ケース体に収容され、該ケース体の延在方向に沿ってスライド可能な可動部材と、
前記可動部材の上部から上方に向けて立設され、前記ケース体の前記ガイド溝から突出して設けられる支柱と、
地面より上方に配置されるとともに上下方向に立設され、前記支柱が下端部より挿入固定されることにより、該支柱により支持される壁状の本体部とを備え、
前記本体部が前記可動部材とともに変位可能とされ、
回動軸と該回動軸を軸受する軸受孔とを備え、
前記回動軸及び前記軸受孔の一方が地中から突出して設けられ、他方が前記本体部の底部の一端側に設けられ、
前記ケース体は、前記回動軸を軸心とした円弧形状をなしており、
前記可動部材から突設された前記支柱が前記本体部の底部の他端側より挿入固定されることにより、該本体部が該支柱に支持され、
前記可動部材が前記ケース体の形状に沿ってスライドすることにより、前記本体部が前記回動軸を支軸として回動することを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の外構構造物において、
前記ケース体は、前記本体部の壁面に沿う方向に延在されてなり、
前記可動部材が前記ケース体の延在方向にスライドすることにより、前記本体部が壁面に沿う方向にスライド移動することを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のうちいずれか一項に記載の外構構造物において、
前記可動部材は、前記本体部の壁面に対して交差する方向に延在されてなり、
前記支柱は、前記可動部材の延在方向の中央上部から上方に向けて立設されていることを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のうちいずれか一項に記載の外構構造物において、
前記可動部材は、底面に複数の転動部材が設けられており、
前記可動部材の底面に設けられた複数の転動部材が前記ケース体の内周底面に接して転動することにより前記可動部材が該ケース体の延在方向に沿ってスライド可能とされていることを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6のうちいずれか一項に記載の外構構造物において、
前記本体部は、門柱又は塀であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、外観のデザイン性を高めることができる外構構造物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本実施形態に係る住宅の構成の一例について説明する図である。
【
図2】門柱可動ユニットを可動させた状態を示す図である。
【
図3】自動車をリザーブ駐車スペースに入庫する手順について説明する図である。
【
図4】(A)は、門柱可動ユニットの構成について説明する斜視図であり、(B)は、(A)におけるA-A断面図である。
【
図5】本実施形態における可動ユニットを塀に適用した例を示す図である。
【
図6】門柱可動ユニットの別の形態について説明する図である。
【
図7】(A)は、
図6に示す門柱可動ユニットの構成について説明する斜視図であり、(B)は、(A)におけるB-B断面図である。
【
図9】従来の住宅の構成の一例について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態に係る外構構造物としての門柱可動ユニット及び塀可動ユニットについて、図面を参照しながら説明する。ただし、発明の範囲は図示例に限定されない。なお、以下の説明において、同一の機能及び構成を有するものについては、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0018】
まず、本実施形態に係る外構構造物について説明する前に、従来の住宅の構成の一例について、
図9を参照しながら説明する。なお、
図9において、敷地内の説明の便宜のために、塀を一部破断して表している。
【0019】
図9に示すように、敷地Pは、左右側方及び後方に塀101が立設されるとともに、門扉103あるいはカーゲート104が設けられる門柱1002a~1002cが道路R1に面した前方に立設された構成とされ、クローズ外構によって敷地Pの内外を区分している。なお、塀101や門柱1002a~1002cには各種の材料が採用され、例えば、コンクリートブロックやレンガの他、支柱にパネルを取り付け、その表面にタイルを貼るなど各種の装飾を施したものが挙げられる。また、必要に応じて控え壁が設けられる場合がある。
【0020】
敷地P内には、家屋Hが建てられており、その前方には、図示しない庭やアプローチ等の他、カーゲート104の背面側に自動車C1を駐車可能なカーポート108が形成されている。カーポート108には、雨除けのための屋根が設置される場合もある。
【0021】
門扉103は、左右一対の扉体(103L,103R)を備えている。左側扉体103Lは、人の出入りの際に主に使用される扉体であり、
図9に示す形態では、略中央に配置された門柱1002aの背面右端部とヒンジにより接続され、矢印Aで示すように、敷地内に向けて開閉可能とされている。一方、右側扉体103Rは、主に門扉103を拡大して開放したい場合に使用される扉体であり、敷地の右端部に配置された門柱1002bの背面左端部とヒンジにより接続されている。また、右側扉体103Rは、通常時は、ストッパーにより地面に係止されており、このストッパーの係止を解除することで、矢印Bで示すように、敷地内に向けて開閉可能とされている。このように構成された門扉103は、左側扉体103Lに設けられたラッチボルトが右側扉体103Rに設けられた係止孔に係止されることで仮締めされ、左側扉体103Lのハンドルを回動操作することで係止が解除され、左側扉体103Lを開扉することができる。
【0022】
カーゲート104は、例えば、底部にローラ等の転動部材が設けられ、門柱1002aの左側端部に設けられた支持部材によって支持されながら、矢印Sに示すように、左右方向にスライド可能に構成されている。カーゲート104をスライドさせて開扉することにより、カーポート108への自動車C1の出入庫が可能である。なお、カーゲートは様々な形態が採用されており、
図9に示すような引戸式以外にも、例えば、アコーディオン式や、跳ね上げ式等の種々のカーゲートが知られている。
【0023】
また、門柱1002aの右端部近傍、すなわち、門扉103の左側扉体103Lの近傍に、郵便受け105、表札106及びインターホン107が設けられている。
【0024】
このように構成された従来の住宅では、例えば、訪問者が自動車で来訪した場合、カーポート108に自家用の自動車C1が駐車している状況においては、来訪者の自動車を敷地内に駐車させることは困難であり、したがって、例えば、近隣の有料駐車場に駐車せざるを得ない状況となり、不便である。このような場合のために、来訪者のためのリザーブの駐車スペースを設けるといったニーズが高まっているが、使用頻度がそれほど高くないために、例えば、カーゲートを設けるといった設計とすると、デザイン性が低下し、防犯の観点で劣るといったような場合がある。本実施形態では、以下に説明するように、このような課題を解決することができる外構構成を提供するものである。
【0025】
図1は、本実施形態に係る住宅の構成の一例について説明する図である。なお、
図1~
図3においても、敷地内の説明の便宜のために、塀を一部破断して表している。
【0026】
図1に示すように、敷地Pは、左右側方及び後方に塀101が立設されるとともに、門扉103あるいはカーゲート104が設けられる門柱102a~102d(なお、門柱102aは、可動門柱102aと称する場合がある。)が道路R1に面した前方に立設された構成とされ、クローズ外構によって敷地Pの内外を区分している。
【0027】
敷地P内には、家屋Hが建てられており、その前方には、図示しない庭やアプローチ等の他、カーゲート104の背面側に自動車C1を駐車可能なカーポート108が形成されている。なお、
図9に示す敷地Pに形成された各種構造物と同様のものについては、符号を同じくし、詳しい説明を省略する。
【0028】
本実施形態では、可動門柱102aを有する門柱可動ユニット200を備えている。可動門柱102aは、門扉103の左側扉体103Lとヒンジにより接続され、左側扉体103Lを敷地内に向けて開閉可能とされているとともに、門柱可動ユニット200を可動させることにより可動門柱102aを、矢印Rに示すように、左右方向にスライド移動させることができるようになっている。また、可動門柱102aには、郵便受け105、表札106及びインターホン107が設けられている。なお、例えば、宅配ポスト等、他の構成物が配置されてもよい。また、郵便受け105、表札106及びインターホン107の全てが配置される必要はなく、そのうちの一部又は全部が配置されない形態であってもよい。可動門柱102a及びこれを移動させるための構成については、後述する。
【0029】
門柱102b及び門柱102cは、それぞれ
図9に示す形態における門柱1002b及び門柱1002cと同様であるので、詳しい説明を省略する。
【0030】
門柱102dは、カーゲート104を支持する支持部材が備えられており、カーゲート104をスライド移動可能に支持している。
【0031】
本実施形態では、可動門柱102aが門柱102dよりも背面側に所定距離空けて配置されており、可動門柱102aがスライド移動した際に、郵便受け105、表札106、インターホン107が門柱102dに接触するのを防ぐとともに、カーゲート104との接触を回避するようにしている。ここで、可動門柱102aが門柱102dと奥行き方向に一部が重なるように配置されると、敷地内をより視認し難くすることができる。また、可動門柱102aが閉鎖位置及び開放位置である場合に、不用意に移動するのを防止するためにストッパ手段を設けるようにしてもよい。
【0032】
以上のような外構構成とされた本実施形態に係る敷地Pでは、例えば、玄関から門扉103の間のアプローチ部分の左側に自動車が1台駐車可能なスペース(以下、「リザーブ駐車スペース」という場合がある。)が形成されており、例えば、来訪者の自動車C2(
図3参照)を一時的に駐車させることができるようになっている。以下、
図1~
図3を参照しながら、リザーブ駐車スペースへ自動車を入庫するための手順について説明する。
【0033】
先ず、
図1に示すように、左側門扉103L及び右側門扉103Rを矢印A及び矢印Bに示すようにそれぞれ開扉した後、門柱可動ユニット200を可動させて可動門柱102aを矢印Rに示すように、左方向にスライド移動させると、
図2に示すように、自動車が1台通過できるスペースが形成される。
【0034】
その後、例えば、来訪者の自動車C2を上述した要領で形成されたスペースを通って敷地P内のリザーブ駐車スペースまで移動させる。
【0035】
来訪者の自動車C2をリザーブ駐車スペースに駐車させた後は、上述した手順とは逆の手順で閉扉作業を行う。すなわち、門柱可動ユニット200を可動させて可動門柱102aを右方向にスライド移動させた後、左側門扉103L及び右側門扉103Rをそれぞれ閉扉することにより、閉扉作業が完了する。
【0036】
次に、
図4を参照しながら門柱可動ユニット200の構成について説明する。
【0037】
門柱可動ユニット200は、地中に埋設される左右方向に延在する方形状のケース体201と、ケース体201に収容され、ケース体201の延在方向に沿って摺動可能な可動部材202とを備えている。ここで、ケース体201の上面中央には、延在方向に沿ってガイド溝201aが開設されており、可動部材202の上面中央には、円柱状の2つの支柱203,203が上方に向けて立設するとともに、ケース体201のガイド溝201aを貫通している。また、
図4(B)に示すように、地面には、ケース体201のガイド溝201aに沿って形成されるとともに、ガイド溝201aと地表とを連通する連通溝Gが設けられており、可動部材202から立設された支柱203,203が挿通される。なお、本実施形態では、可動部材202に2つの支柱203,203を設けるようにしたが、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。また、支柱の形状も適宜の形状を採用することができ、例えば、角柱状であってもよいし、スライド方向に延在する方形状であってもよい。
【0038】
可動門柱102aは、底面より支柱203,203が挿入されて固着されている。このとき、可動門柱102aがスライド移動可能とするために、地表との間にクリアランスが形成されている。なお、可動門柱102aの底面に、地表と接するローラ等の転動部材が設けられ、可動門柱102aを支持するとともに、可動門柱102aのスライド移動を補助するようにしてもよい。
【0039】
また、可動部材202には、正面視で底面、上面、前面及び後面にそれぞれ転動体としてのボールトランスファー202aがマトリクス状に適宜数配置されており、可動部材202の左右方向への摺動を容易にしている。また、可動門柱102aにかかる負荷が支柱203,203を介して可動部材202にかかり、つまり、可動部材202は、可動門柱102aを支持しているということができる。本実施形態では、可動部材202が可動門柱102aの壁面とは交差する方向に延在しており、例えば、可動門柱102aにおける耐風圧性及び耐震性が高められている。なお、本実施形態では、転動体としてボールトランスファーを採用したが、他の種類の転動体を採用してもよく、例えば、ローラ等、可動部材202が摺動可能にするものであれば、いずれのものも採用することができる。
【0040】
ここで、敷地P内における、道路から所定距離までの範囲では、敷地P内における水捌けのために道路側に向けて所定角度θ(例えば、2%)傾斜させている。そのため、可動門柱102aの底面が地面の傾斜に沿う形状とされており、可動門柱102aを移動させた際に地面と干渉しないようにしている。
【0041】
また、ケース体201の下部の適宜位置には、連通溝Gから進入した雨水等を排出するための排水溝201bが設けられ、排水管201cを介して、例えば、下水管に排出されるようになっている。
【0042】
また、連通溝Gの開口の正面視前後近傍には、連通溝Gの延在方向に沿ってゴミ除けの突部204f,204rが突設されており、さらに、連通溝Gの内周における開口の近傍には、ブラシユニット205f,205rが設けられており、連通溝G内にゴミ等の異物が進入するのを防止している。
【0043】
本実施形態における門柱可動ユニット200は、上述した構成とされており、例えば、手動で可動門柱102aを移動可能に構成するようにしているが、例えば、可動部材202をモータ等のアクチュエータにより摺動可能に構成し、スイッチ等の操作により、自動で可動門柱102aが移動するように構成されてもよい。また、図示しないが、可動門柱102aの閉状態となる位置及び開状態となる位置にそれぞれストッパを設け、開状態及び閉状態において容易に可動門柱102aが移動しないように構成されてもよい。
【0044】
また、本実施形態では、門柱可動ユニット200を左右配置された門柱のうちの一方の門柱に適用する例について説明したが、左右配置された門柱の両方にそれぞれ門柱可動ユニット200を適用するようにしてもよい。
【0045】
次に、上述した門柱可動ユニット200を塀に適用した例について、
図5を参照しながら説明する。なお、
図9に示す敷地Pに形成された各種構造物と同様のものについては、符号を同じくし、詳しい説明を省略する。
【0046】
図5に示す実施形態では、右側方の門柱1002bの右端部背面に隣接して塀101aが配置され、その後方に自動車1台が十分に通過可能な間隔を空けて塀101cが配置され、その間隔を塞ぐ位置に壁面に沿う方向にスライド可能な塀可動ユニット300を構成する可動塀101bが配置されるようにそれぞれ設けられている。ここで、右側方の塀101a~101cは、道路R2に面している。なお、可動塀101bの両側端部がそれぞれ塀101a及び塀101cの後方に重なるように配置されてもよく、このように構成することで敷地P内をより視認し難くすることができる。また、敷地Pの後方に配置される塀101d及び左側方に配置される塀101eは、
図9に示す塀101と同様であるので、説明を省略する。
【0047】
図5に示す実施形態における可動塀ユニット300の構成は、
図4に示す門柱可動ユニット200の可動門柱102aが可動塀101bに置換される以外は門柱可動ユニット200と同様となっているので詳細な説明については省略する。
【0048】
図5に示すようにして可動塀ユニット300を構成してもリザーブ駐車スペースに自動車の出入庫を行わせることができるので、上述した実施形態と同様の効果を奏する。
【0049】
次に、
図6~
図8を参照して、本発明にかかる別の実施形態について説明する図である。なお、
図6においても、敷地内の説明の便宜のために、塀を一部破断して表している。また、上述した実施形態と同様の構成については、符号を同じくし、説明を省略する。
【0050】
図6に示す実施形態では、
図1に示す門柱可動ユニット200に換えて、門柱可動ユニット400が設けられている。具体的には、門柱可動ユニット400は、上述した郵便受け105、表札106及びインターホン107とが設けられた可動門柱4102aを備えている。可動門柱4102aは、左側端部近傍に上下方向を回動軸として、矢印Tで示すように、敷地P内に向けて回動可能とされている。
【0051】
本実施形態では、上述した実施形態と同様に、可動門柱4102aが門柱102dよりも背面側に所定距離空けて配置されており、可動門柱4102aが回動した際に、可動門柱4102aと門柱102dとが干渉しないようにしている。ここでも、可動門柱4102aが門柱102dと奥行き方向に一部が重なるように配置されると、敷地内を視認し難くすることができる。
【0052】
以上のような外構構成とされた本実施形態に係る敷地Pによれば、リザーブ駐車スペースに、例えば、来訪者の自動車を駐車させる場合には、まず、左側門扉103L及び右側門扉103Rを上述した要領でそれぞれ開扉した後、門柱可動ユニット400を可動させて可動門柱4102aを矢印Tに示すように、敷地P内に向けて回動させると、自動車が1台通過できるスペースが形成される。
【0053】
その後、自動車をリザーブ駐車スペースに駐車させた後は、上述した手順とは逆の天順で閉扉作業を行う。すなわち、門柱可動ユニット400を可動させて可動門柱4102aを手前側に回動させた後、左側門扉103L及び右側門扉103Rをそれぞれ閉扉することにより、閉扉作業が完了する。
【0054】
次に、
図7及び
図8を参照しながら門柱可動ユニット400の構成について説明する。
【0055】
本実施形態の門柱可動ユニット400は、正面視左側に方形状の支持部材406が可動門柱4102aの壁面に対して略垂直方向(奥行き方向)に延在して地中に埋設されており、支持部材406の上面の略中心から上方に向けて円柱状の回動軸407が立設されている。回動軸407は、地表より突出されて設けられており、可動門柱4102aの左側端部近傍の底面に開設された軸受孔408に挿入される。
【0056】
また、門柱可動ユニット400は、回動軸407を軸心とした円弧状のケース体401がこの回動軸407から偏心した位置の地中に埋設されており、また、このケース体401の内周形状に沿った形状の可動部材402がケース体401に収容されている。また、ケース体401の形状に沿った上面中央にはガイド溝401aが開設されている一方で、可動部材402の上面中央には円柱状の支柱403が上方に向けて立設されており、支柱403がケース体401のガイド溝401aを貫通するように設けられている。
【0057】
また、可動部材402には、正面視で底面、上面、前面及び後面に上述したボールトランスファー402aが適宜数配置されており、可動部材402の摺動を容易にしている。なお、ボールトランスファー402aに換えて他の転動部材を適用してもよいことは上述した通りである。
【0058】
また、上述した実施形態と同様に、ケース体401には、排水溝401bと排水管401cが設けられている。
【0059】
また、地面には、ガイド溝401aに沿う形状の連通溝C´がガイド溝401aと地表とを連通するようにして開設されており、可動部材402の支柱403の上部が連通溝G´を挿通して地表よりも上方に現れるようになっている。地表から現れた支柱の403の上部は、可動門柱4102aの正面視右側の底面から挿入して固定され、したがって、可動部材402がケース体401に沿って摺動すると、支持部材406の回動軸407を支軸として回動するようになっている。なお、
図4(B)に示して上述した実施形態と同様、可動門柱4102aの底面は、手前側から奥側に向けて上り傾斜をなすように形成されており、可動門柱4102aの底面と地表との間にクリアランスが形成されている。
【0060】
また、本実施形態では、敷地P内における水捌けのために道路側に向けて傾斜しているため、可動門柱4102aの壁面に対して奥行き方向に回動すると、可動門柱4012aの移動中にその底面と地表とが干渉することとなる。そこで、本実施形態では、ケース体401を地表の傾斜に沿うようにわずかに上り傾斜をなすように配置されるとともに、支持部材406の回動軸407と可動門柱4102aの軸受孔408との間にクリアランスを持たせるようにするとともに、
図7に示すように、可動門柱4102aの底面に、軸受孔408に隣接してガイドローラ409が設けられており、可動門柱4102aが奥行き方向に回動するにしたがって、可動門柱4102aが地表に沿って持ち上がり、可動門柱4102aと地表との間隔が維持されて干渉を回避するようにしている。
【0061】
なお、本実施形態では、ガイドローラ409の案内により可動門柱4102aを持ち上げる構成としたが、これに限定されず、同様の機能を奏するあらゆる構成が適用可能であることはいうまでもなく、例えば、回動軸407の外周にらせん状のガイド溝が形成されるとともに、軸受孔408にガイド溝に沿う係合部を設け、可動門柱4102aが移動すると、ガイド溝と係合部との作用により、可動門柱4102aが地表の傾斜に沿って上下動するようにしてもよい。あるいは、油圧モータ等のアクチュエータを設けるとともに、エンコーダ等の検出手段により可動門柱4102aの位置検出を行い、検出結果に応じた高さとなるようにアクチュエータを作動させて可動門柱4102aを上下動させ、可動門柱4102aと地表とのクリアランスを維持するように構成されてもよい。
【0062】
本実施形態では、可動門柱4102aを回動させることで、自動車の出入庫を可能に構成する例について説明したが、塀に適用することもできることはいうまでもない。また、門柱と塀のいずれか一方のみ可動させるものに限らず、門柱と塀の両方を可動させる形態とすることもできるし、複数の門柱を可動させる形態としてもよいし、複数の塀を可動させる形態としてもよいし、一又は複数の門柱と一又は複数の塀を可動させる形態としてもよい。さらに、門柱あるいは塀を可動させる形態としては、スライドするもののみを設ける構成としてもよいし、回動するもののみを設ける構成としてもよいし、スライドするものと回動するものの両方を設ける構成としてもよい。また、上述した実施形態は、カーポート108が設けられており、リザーブ駐車スペースにさらにもう1台自動車を駐車させる例を説明したが、カーポート108を設けておらず、リザーブ駐車スペースのみが設けられた敷地に適用することもできるし、カーポート108に対してカーゲート104を設ける形態と採用せず、カーポート108に対応して上述した門柱可動ユニットを設ける形態を採用することもできる。
【0063】
また、本実施形態では、左右の門柱のうちの一方の門柱について可動門柱ユニット400を適用する例について説明したが、左右の門柱の両方についてそれぞれ可動門柱ユニット400を適用するようにしてもよい。また、左右の門柱のうちの一方の門柱を左右方向にスライドする可動門柱ユニット200(
図1参照)を適用し、他方の門柱を回動する可動門柱ユニット400を適用するようにしてもよい。
【0064】
以上説明したように、ケース体201(401)は、地面に沿う方向に延在して地中に埋設され、上面の一部に延在方向に沿ったガイド溝201a(401a)が形成されている。可動部材202(402)は、ケース体201(401)に収容され、ケース体201(401)の延在方向に沿ってスライド可能である。支柱203(403)は、可動部材202(402)の上部から上方に向けて立設され、ケース体201(401)のガイド溝201a(401a)から突出して設けられている。可動門柱102a(4102a)は、地面より上方に配置されるとともに上下方向に立設され、支柱203(403)が下端部より挿入固定されることにより、支柱203(403)により支持される壁状をなしている。可動門柱102a(4102a)が可動部材202(402)とともに変位可能とされている。その結果、外観のデザイン性を高めることができる外構構造物を提供することができる。また、普段使いしない駐車スペースを通常時では壁状の本体部により敷地内を被覆することができるようになるので防犯性を高めることができるようになる。
【0065】
また、可動部材202(402)は、可動門柱102a(4102a)の壁面に対して交差する方向(奥行き方向)に延在されている。支柱203(403)は、可動部材202(402)の延在方向の中央上部から上方に向けて立設されている。その結果、耐風圧や耐震性を向上させることができるようになる。
【0066】
なお、可動部材は、本体部の壁面に対して必ずしも交差する方向に延在されている必要はなく、耐風性及び耐震性に対して別途の対応可能な手段を講じることができれば好ましい。また、支柱は、必ずしも可動部材の延在方向の中央上部から上方に向けて立設されていなくてもよく、可動部材の延在方向の中央上部よりずれた位置に立設されていてもよい。
【0067】
また、可動部材202(402)は、底面に複数のボールトランスファー202a(402a)が設けられている。可動部材202(402)の底面に設けられた複数のボールトランスファー202a(402a)がケース体201(401)の内周底面に接して転動することにより可動部材202(402)の延在方向に沿ってスライド可能とされているの。そのため、本体部の移動をよりスムーズに行わせることができるようになる。
【0068】
なお、可動部材をケース体の内周底面に対してスライド可能な構成であれば、転動部材以外のものを採用してもよく、例えば、磁力や圧搾空気によりケース体と可動部材との間に間隙を生じさせ、ケース体と可動部材との摩擦抵抗を減少させるようにして、可動部材をスライド可能に構成してもよい。また、転動部材を設けない構成としてもよい。
【0069】
また、可動部材202(402)は、上面に複数のボールトランスファー202a(402a)が設けられている。可動部材202(402)の上面に設けられた複数のボールトランスファー202a(402a)がケース体201(401)の内周上面に接して転動可能とされている。そのため、本体部の移動をよりスムーズに行わせることができるようになる。
【0070】
なお、可動部材の上面に必ずしも転動部材を配置しなくてもよい。
【0071】
また、ケース体201は、可動門柱102aの壁面に沿う方向に延在されている。可動部材202がケース体201の延在方向にスライドすることにより、可動門柱102aが壁面に沿う方向にスライド移動する。そのため、省スペース化を図ることができるようになる。また、本体部を移動させる作業が容易となる。
【0072】
また、回動軸407と回動軸407を軸受する軸受孔408とを備え、回動軸407及び軸受孔408の一方が地中から突出して設けられ、他方が可動門柱4102aの底部の一端側に設けられている。ケース体401は、回動軸407を軸心とした円弧形状をなしている。可動部材402から突設された支柱403が可動門柱4102aの底部の他端側より挿入固定されることにより、可動門柱4102aが支柱403に支持される。可動部材402がケース体401の形状に沿ってスライドすることにより、可動門柱4102aが回動軸407を支軸として回動する。そのため、本体部を移動させる作業が容易となる。
【0073】
なお、本発明の実施の形態に記載された作用および効果は、本発明から生じる最も好適な作用および効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用および効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0074】
P 敷地
H 家屋
101 塀
200 門柱可動ユニット(外構構造物)
102a 可動門柱(本体部)
201 ケース体
201a ガイド溝
202 可動部材
202a ボールトランスファー(転動部材)
203 支柱
400 門柱可動ユニット(外構構造物)
4102a 可動門柱(本体部)
401 ケース体
402 可動部材
403 支柱
407 回動軸
408 軸受孔