(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】係止状態検出装置
(51)【国際特許分類】
A62B 35/00 20060101AFI20240501BHJP
E04G 21/32 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
A62B35/00 J
E04G21/32 D
(21)【出願番号】P 2020127899
(22)【出願日】2020-07-29
【審査請求日】2023-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000106287
【氏名又は名称】サンコー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111349
【氏名又は名称】久留 徹
(72)【発明者】
【氏名】小柳 利朗
【審査官】瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-204997(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0231402(US,A1)
【文献】特開2011-104339(JP,A)
【文献】特開2014-018338(JP,A)
【文献】特開2002-021838(JP,A)
【文献】特開2020-043964(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62B 35/00
E04G 21/32
F16B 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手摺やロープなどの被係止部に係止される鉤部と、
当該鉤部を被係止部に係止させるための開口部分を開閉可能に覆い、
当該鉤部が被係止部から抜けないようにするための外れ止め装置と、
を備えてなるフックに取り付けられる係止状態検出装置において、
前記鉤部に着脱可能に取り付けられ、当該鉤部が被係止部に係止されたか否かを検出する発光部および受光部を備えたカバー本体と、
前記鉤部の湾曲した内側縁部を覆うとともに、前記
カバー本体の発光部および受光部の光軸孔を有する内側カバーと、を設け、
当該
内側カバーを
前記カバー本体に取り付けるようにしたことを特徴とする係止状態検出装置。
【請求項2】
前記内側カバーが、
前記カバー本体の表面を覆うように設けられるものである請求項1に記載の係止状態検出装置。
【請求項3】
前記内側カバーに、
前記カバー本体の表面に設けられた係合部に係合させる被係合部を設けるようにした請求項1に記載の係止状態検出装置。
【請求項4】
前記カバー本体もしくは内側カバーの光軸孔に、透明な保護部材を設けるようにした請求項1に記載の係止状態検出装置。
【請求項5】
当該保護部材を、光軸に対して垂直な表裏面を有する部材で構成した請求項4に記載の係止状態検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高所作業を行う際に使用される安全帯のフックに使用される係止状態検出装置に関するものであり、より詳しくは、フックが手摺やロープなどに係止されたか否かを検出できるようにしたものに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、作業者が高所で作業を行う場合、身体に安全帯を取り付けて作業することが義務付けられている。この安全帯は、ロープの両端にフックを取り付けてなるもので、一方のフックを作業者のハーネス側に取り付け、他方のフックを作業場の手摺やロープなどに取り付けて作業者の落下を防止できるようにしたものである。
【0003】
ところで、このような作業者が安全帯を身体に取り付けて使用する場合、作業者によっては、その安全帯のフックを手摺などに掛けずに作業する場合があるため、危険を免れ得ない。
【0004】
そこで、フックを手摺などに係止させたか否かを検知できるようにするために、係止状態検出機能を備えた安全帯のフックが提案されている。
【0005】
例えば、下記の特許文献1には、フックの内側縁部を露出させるようにカバーを取り付けるとともに、そのカバーの内側に湾曲した部分に、手摺などを接触させて回動させるレバーを設け、フックを手摺などに係止させた際に、レバーを回動させて係止状態を検出できるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述のような構造では、次のような問題を有する。
【0008】
すなわち、上記特許文献では、カバーをフックの上縁部から被せるように取り付け、フックの表面をネジで押圧させて固定させるようにしており、しかも、このカバーに設けられたレバーを手摺に当接させるようにしているため、フックを係止させる度にレバーを介してカバーに荷重や衝撃がかかり、カバーが外れやすくなる。特に、安全帯のフックは、作業現場で何度も係止や取り外し作業が繰り返されるため、何度も大きな荷重や衝撃がかかり、フックからカバーが外れ易くなってしまうといった問題がある。
【0009】
また、このようなカバーに光学的なセンサーを取り付けて係止状態を検出できるようにすることを考えた場合、発光部や受光部の光軸孔を長くしておかなければ、外光が入り込んで誤検出を生じてさせてしまう。しかるに、カバーに発光部や受光部を設けるだけでは、どうしても発光部や受光部の光軸孔の長さに限界があり、太陽光などの外光が入り込んで誤検出を生じさせてしまうといった問題を生じさせてしまう。
【0010】
そこで、本発明は上記課題に着目してなされたもので、既存の安全帯のフックに対しても、簡単に手摺などへの係止状態を検出できるようにしたフックの係止状態検出装置において、フックからカバーが外れないようにするとともに、光学センサーの誤検出をも防止できるようにしたフックの係止状態検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
すなわち、本発明は上記課題を解決するために、手摺やロープなどの被係止部に係止される鉤部と、当該鉤部を被係止部に係止させるための開口部分を開閉可能に覆い、当該鉤部が被係止部から抜けないようにするための外れ止め装置とを備えてなるフックに取り付けられる係止状態検出装置において、前記鉤部に着脱可能に取り付けられ、当該鉤部が被係止部に係止されたか否かを検出する発光部および受光部を備えたカバー本体と、前記鉤部の湾曲した内側縁部を覆うとともに、前記カバー本体の発光部および受光部の光軸孔を有する内側カバーと、を設け、当該内側カバーをカバー本体に取り付けるようにしたものである。
【0012】
このように構成すれば、荷重や衝撃などがかかった場合であっても、カバー本体が鉤部から外れてしまうことがなくなるばかりでなく、さらに、その内側カバーに光軸孔を設けるようにしているので、光軸孔を長くして外光の入り込みによる誤検出を防止することができるようになる。
【0013】
また、このような発明において、カバー本体の表面を覆うように内側カバーを設けるようにする。
【0014】
このように構成すれば、フックを係止させた際に、手摺などがカバー本体に接触することがなくなり、カバー本体がフックから外れてしまうことがなくなる。
【0015】
さらには、前記内側カバーに、カバー本体の表面に設けられた係合部に係合させる被係合部を設けるようにする。
【0016】
このように構成すれば、カバー本体と内側カバーとを係合部および被係合部で一体化させることができ、一体化したカバー本体の光軸孔と内側カバーの光軸孔とを一致させることができるようになる。
【0017】
また、カバー本体もしくは内側カバーの光軸孔に、透明な保護部材を設けるようにする。
【0018】
このように構成すれば、光軸孔にゴミなどが入り込むことがなくなり、誤検出などを防止することができるようになる。
【0019】
また、当該保護部材を、光軸に対して垂直な表裏面を有する部材で構成する。
【0020】
このように構成すれば、外部からの光を反射・屈折させて受光部に入り込むことを防止できるとともに、発光部からの光のみを受光部に透過させることができるようになる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、手摺やロープなどの被係止部に係止される鉤部と、当該鉤部を被係止部に係止させるための開口部分を開閉可能に覆い、鉤部が被係止部から抜けないようにするための外れ止め装置とを備えてなるフックに取り付けられる係止状態検出装置において、前記鉤部に着脱可能に取り付けられ、当該鉤部が被係止部に係止されたか否かを検出する発光部および受光部を備えたカバー本体と、前記鉤部の湾曲した内側縁部を覆うとともに、前記カバー本体の発光部および受光部の光軸孔を有する内側カバーと、を設け、当該内側カバーをカバー本体に取り付けるようにしたので、荷重や衝撃などがかかった場合であっても、カバー本体が鉤部から外れてしまうことがなくなるばかりでなく、さらに、その内側カバーに光軸孔を設けるようにしているので、光軸孔を長くして外光の入り込みによる誤検出を防止することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施の形態における係止状態検出装置を取り付けたフックを示す図
【
図2】同形態における内側カバーを取り付ける状態図
【
図6】同形態における係止状態検出装置の分解斜視図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0024】
この実施の形態におけるフック1の係止状態検出装置2は、
図7に示すように、高所で作業を行う作業者に所持させて使用されるものであって、
図1や
図2に示すように、フック1を構成する鉤部11に装着されるカバー本体21と、そのカバー本体21の内部に設けられ、フック1が手摺などの被係止部8(
図7参照)に係止されたか否かを検出する発光部31(
図2参照)や受光部32を有する係止状態検出部3とを備えて構成されるものである。そして、特徴的に、このカバー本体21に、鉤部11の内側縁部12を覆う内側カバー27を取り付け、その内側カバー27をカバー本体21と一体化させてカバー本体を鉤部11から外れないようにするとともに、その内側カバー27に前記発光部31や受光部32からの光軸孔34を設けて、光軸孔33、34を全体として長くできるようにしたものである。なお、実施の形態の説明において、フック1の湾曲した内側開口部分の縁部を「内側縁部12」とし、フック1の外側の湾曲した部分を「外側縁部13」として説明し、
図1における紙面の表側をカバー本体の「表面」側として説明する。
【0025】
この係止状態検出装置2が取り付けられるフック1は、安全帯のランヤードを構成するものであって、
図3などに示すように、鉤状に構成された板状の鉤部11と、その鉤部11の開口部Sを開閉する外れ止め装置14と、その外れ止め装置14を不意に開かせないようにするための安全装置15などを備えて構成される。そして、フック1を手摺などの被係止部8に係止させる場合には、外れ止め装置14と安全装置15を同時に持って外れ止め装置14を鉤部11の内側開口領域に回動させ、被係止部8に鉤部11を係止させるようにするとともに、この鉤部11を被係止部8に係止させた後は、図示しないバネの力によって外れ止め装置14や安全装置15が元の位置に復元させ、外れ止め装置14を安全装置15に当接させて固定することで、外れ止め装置14を不意に開かせないようにしている。
【0026】
このフック1に取り付けられる係止状態検出装置2は、カバー本体21と、内側カバー27と、係止状態検出部3などを備えて構成されるものであって、フック1が被係止部8に係止されたことを示す信号を外部のセンター装置7(
図7)に送信できるように構成される。
【0027】
このカバー本体21は、
図1、
図2、
図5などに示すように、鉤部11の上部近傍の表裏を挟み込むように取り付けられるものであって、鉤部11の形状に沿った湾曲形状に構成されている。このカバー本体21の内側縁部26(
図2、
図5参照)は、フック1への装着時において、鉤部11の内側縁部12からさらに内側に位置するように設けられる。また、このカバー本体21を取り付ける場合、鉤部11の表裏に穴を形成してボルトやナットで固定してもよいが、このような穴を設けると、鉤部11の強度が低下してしまう。そこで、ここでは、鉤部11に貫通した穴を設けることなく、
図5に示すように、カバー本体21の内側にスリット22を設けておき、そのスリット22に鉤部11に挟み込ませるようにして固定できるようにしている。このスリット22の内側底部23は、鉤部11の外側縁部13に当接するようになっており、その内側底部23を鉤部11の外側縁部13を当接させた状態で鉤部11の表面を覆い、その状態で、カバー本体21の表面に設けられたネジ穴24にネジ25を取り付けて、そのネジ25の押圧力で鉤部11の表面を押圧して固定できるようになっている。
【0028】
また、このカバー本体21に設けられる係止状態検出部3は、フック1が被係止部8に係止されたことを検出できるようにしたものであって、ここでは、鉤部11の縦軸方向の中央線を跨ぐような左右位置に発光部31や受光部32を有する光センサーを設けて構成される。そして、その光軸を横切るように被係止部8を位置させることによって「係止状態」であることを検出できるようにしている。なお、このような光センサーを設けた場合、太陽光などの外光が入り込んで誤検出を生じてしまう可能性がある。そこで、
図4に示すように、受光部32を光軸孔33の内側奥部に設けておき、これによって直接外光を入り込ませないようにしている。また、この光軸孔33には、透明な保護部材35が設けられる。この保護部材35は、外部からのゴミの侵入を防止するとともに、光軸に対して垂直な表裏面を有する樹脂などの部材で構成することによって、斜め方向から入射する外光を反射させて、誤検出を防止できるようにしている。
【0029】
一方、このカバー本体21の内側縁部26に設けられた二つの突起26a(
図1、
図2参照)の内側には、内側カバー27が取り付けられる。
【0030】
この内側カバー27は、鉤部11の内側縁部12を覆うとともに、カバー本体21と一体するように取り付けられる。なお、この内側カバー27については、カバー本体21の左右の光軸孔33にかからないように内側中央にのみ設けるようにしてもよいが、このようにすると、内側カバー27が厚くなると、光軸を遮ってしまう可能性がある。そこで、この実施の形態では、カバー本体21の光軸孔33に対応する光軸孔34を設けるようにしておき、これによって、光軸孔33、34を長くして外光の侵入による誤検出を防止できるようにしている。
【0031】
この内側カバー27は、
図1や
図2などに示すように、鉤部11の内側縁部12を覆う内側湾曲部28aと、カバー本体21の表裏面を覆う表裏部28bとを設けて構成されており、これによってカバー本体21を外側から覆えるようにしている。このカバー本体21に内側カバー27を取り付ける際、カバー本体21の表裏面に係合部である突起29aを設けるとともに、内側カバー27に被係合部である凹部29bを設け、それぞれを係合させて一体化させることで、カバー本体21の光軸孔33と、内側カバー27の光軸孔34とを一致させるようにしている。また、このように内側カバー27でカバー本体21を覆うようにすることで、内側カバー27を厚くすることができるため、鉤部11の表面に沿った左右方向(
図1の左右方向)から外光が照射された場合であっても、光軸孔34、33に外光を入りにくくすることができるようになる。そして、このようなカバー本体21や内側カバー27を有するフック1を被係止部8に係止させることによって、光軸を遮らせて、係止状態を検出できるようにしている。
【0032】
ところで、このように係止状態を検出できるようにした場合、フック1をハーネスのリング81(
図7参照)などに係止させて移動する場合があり、このような場合にまで、光が遮光されて「係止状態」であることが検出されてしまう可能性がある。そこで、ハーネスのリング81にフック1が装着されたことを検知する装着検知部6(
図6参照)を設けておき、その装着検知部6によってフック1が身体に装着されたことを検知した際に、係止状態検出部3に検出機能を停止させるようにしている。このような装着検知部6としては、種々の方法が考えられるが、例えば、身体側にマグネット61を取り付けておくとともに、フック1側にそのマグネット61を検知するマグネット検知部で構成された装着検知部6を設けておく。そして、マグネット検知部の検知領域内にマグネット61が近づいた場合に、そのフック1が身体に装着されたとみなして、係止状態検出部3による機能を停止させる。
【0033】
また、このカバー本体21には、
図6に示すように、電源部4が取り付けられており、その電源部4から係止状態検出部3や装着検知部6、送信部5などに電源を供給する。そして、装着検知部6によってフック1が身体から離れた場合(すなわち、係止状態検出部3が作動状態である場合)であって、かつ、係止状態検出部3によって「係止状態」であることが検出された場合、送信部5を介してセンター装置7に無線で「係止状態」である旨の信号を出力する。なお、この「係止状態」をセンター装置7に送信する場合、作業者が所持しているスマートホンなどの無線端末装置71にBlue tooth(登録商標)などを介して信号を出力し、その無線端末装置71からセンター装置7に出力するようにしてもよい。
【0034】
センター装置7では、その係止状態を時系列で記録しておくほか、係止状態のパターンが所定のパターンに含まれるか否かなどを判断することによって、適正にフック1が被係止部8に係止されているか否かを判断し、作業者に注意を促すようにする。
【0035】
次に、このように構成された係止状態検出装置2をフック1に取り付ける際の作業工程や、この係止状態検出装置2を用いて作業を行う場合の操作について説明する。
【0036】
まず、係止状態検出装置2をフック1に取り付ける場合、鉤部11の外側縁部13にカバー本体21のスリット22を位置合わせて上から挿入していく。そして、カバー本体21の内側縁部26と鉤部11の内側縁部12の湾曲部分を一致させた後、表面のネジ穴24にネジ25を取り付けてカバー本体21を固定する。
【0037】
そして、このようにカバー本体21を固定した後、今度は、鉤部11の内側縁部12から内側カバー27を取り付ける。このとき、カバー本体21の内側縁部26に設けられた左右二つの突起26a(
図2参照)の内側に位置決めされるように内側カバー27を取り付け、内側カバー27の表裏部28bでカバー本体21の表裏面を覆うようにする。そして、カバー本体21の表面に設けられた突起29aと内側カバー27の表面に設けられた凹部29bを係合させ、それぞれを一体化させる。このとき、カバー本体21の光軸孔33と内側カバー27の光軸孔34とが一致するようになり、光軸孔の長さを長くすることができるようになる。また、仮に、カバー本体21が外れやすい状態であったとしても、内側カバー27と一体となってカバー本体21が動くため、光軸孔33、34がずれるようなことがなくなる。
【0038】
このようにカバー本体21や内側カバー27を取り付けた後、カバー本体21に電源部4や送信部5、装着検知部6、マグネット61などを取り付ける。
【0039】
次に、このように係止状態検出装置2を取り付けたフック1を使用する際の作用について説明する。
【0040】
まず、作業者が作業現場に向かう途中においては、フック1をハーネスのリング81に装着する。このとき、身体に装着したマグネット61とフック1の装着検知部6が近い状態にあるため、装着検知部6によって、係止状態検出部3が停止状態になり、係止されたか否かの信号が出力されない。
【0041】
そして、作業者が現場に到着して作業を開始する場合、ハーネスのリング81に係止していたフック1を取り外す。これにより、装着検知部6がマグネット61から離れ、係止状態検出部3の検出動作がONの状態になる。そして、このような状況のもと、作業者がフック1を被係止部8に係止させると、そのフック1の自重によって、内側カバー27に接触するように係止される。この係止動作の途中、被係止部8が、係止状態検出部3の光軸を横切るように移動するため、光が遮断されて、「係止状態」であることが検出される。
【0042】
そして、このように「係止状態」が検出されると、送信部5や無線端末装置71を介してセンター装置7に「係止状態」であることを送信する。
【0043】
この信号を受信したセンター装置7では、その係止状態を時系列で記録し、あるいは、係止パターンが所定のパターン条件に含まれるか否かなどを検出し、例えば、所定時間の間に基準値回数以上の係止状態が検出されていなかった場合は、適正に係止を行っていないと判断して、警告を発するようにする。このとき、センター装置7との送受信をスマートホンなどの無線端末装置71を介して行っている場合は、その無線端末装置71に警報音を出させるようにする。
【0044】
このように上記実施の形態によれば、手摺やロープなどの被係止部8に係止される鉤部11と、当該鉤部11を被係止部8に係止させるための開口部分を開閉可能に覆い、鉤部11が被係止部8から抜けないようにするための外れ止め装置14とを備えてなるフック1に取り付けられる係止状態検出装置2において、前記鉤部11に着脱可能に取り付けられ、当該鉤部11が被係止部8に係止されたか否かを検出する発光部31および受光部32を備えたカバー本体21と、前記鉤部11の湾曲した内側縁部12を覆うとともに、前記カバー本体21の発光部31および受光部32の光軸孔34を有する内側カバー27と、を設け、当該内側カバー27をカバー本体21に取り付けるようにしたので、荷重や衝撃などがかかった場合であっても、カバー本体21が鉤部11から外れてしまうことがなくなるばかりでなく、さらに、その内側カバー27に光軸孔34を設けるようにしているので、光軸孔33、34を長くして外光の入り込みによる誤検出を防止することができるようになる。
【0045】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。
【0046】
例えば、上記実施の形態では、内側カバー27を突起29aや凹部29bを用いて係合させるようにしたが、他の方法で係合させてもよく、また、カバー本体21のネジ穴24と同じ位置にネジ穴を設けておき、ネジ25で内側カバー27とカバー本体21を一体的に固定させるようにしてもよい。
【0047】
また、上記実施の形態では、保護部材35をカバー本体21に設けるようにしたが、内側カバー27の光軸孔34に設けるようにしてもよい。
【0048】
さらに、上記実施の形態では、内側カバー27をカバー本体21よりも厚くすることで、光軸孔33、34に沿った方向からの外光の侵入を防止できるようにしたが、カバー本体21や内側カバー27の表面に、光軸孔33、34に沿った方向に外光を侵入させないようにするための厚みをもった突出部分を設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1・・・フック
11・・・鉤部
12・・・内側縁部
2・・・係止状態検出装置
21・・・カバー本体
27・・・内側カバー
29a・・・突起
29b・・・凹部
3・・・係止状態検出部
31・・・発光部
32・・・受光部
33、34・・・光軸孔
35・・・保護部材