(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】換気装置
(51)【国際特許分類】
F24F 7/013 20060101AFI20240501BHJP
【FI】
F24F7/013 101N
F24F7/013 101F
F24F7/013 101E
F24F7/013 101Z
(21)【出願番号】P 2020129111
(22)【出願日】2020-07-30
【審査請求日】2023-07-03
(73)【特許権者】
【識別番号】520279764
【氏名又は名称】佐藤 匠
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【氏名又は名称】安彦 元
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 匠
【審査官】伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-055040(JP,U)
【文献】実開平01-140440(JP,U)
【文献】特開昭58-078031(JP,A)
【文献】特開昭59-007835(JP,A)
【文献】実公昭37-016297(JP,Y1)
【文献】実開昭53-156373(JP,U)
【文献】実開平04-001338(JP,U)
【文献】実開昭54-007553(JP,U)
【文献】実開昭60-116127(JP,U)
【文献】特開平04-015438(JP,A)
【文献】特開2010-196941(JP,A)
【文献】特開2006-029616(JP,A)
【文献】特開平08-327104(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109958642(CN,A)
【文献】中国実用新案第206600280(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F
Japio-GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁に形成される換気口に設置される換気装置であって、
屋内の空気を屋外へ排出するためのファンと、
前記ファンを前記換気口から離間させて保持するための保持機構と、
前記ファンと前記換気口の間に設けられる環状の環状体と
、
前記環状体を前記換気口側に押圧するための押圧部と、を備え、
前記環状体は、前記換気口側の第1開口部と、前記ファン側の第2開口部とを有し、
前記第1開口部における肉厚は、前記第2開口部における肉厚よりも薄いこと
を特徴とする換気装置。
【請求項2】
前記環状体は、押圧して変形可能であること
を特徴とする請求項1記載の換気装置。
【請求項3】
前記ファンは、前記第2開口部の内側に配置されること
を特徴とする請求項1
又は2記載の換気装置。
【請求項4】
前記保持機構は、前記ファンを固定するための第1枠体と、前記第1枠体に嵌合される
とともに前記壁に固定するための第2枠体と、を有すること
を特徴とする請求項1~
3の何れか1項記載の換気装置。
【請求項5】
前記保持機構は、前記第1枠体を前記第2枠体にガイドするためのガイド部を更に有す
ること
を特徴とする請求項
4記載の換気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、換気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
室内の換気を24時間常時行う24時間換気システムが設置された住居が数多く建設されている。24時間換気システムは、壁面に設置された給気口から外気を室内に導入し、室内に導入した空気を屋外に排出するものである。給気口には、室内に導入する空気量を調整するための開閉自在なレジスターが設置されており、レジスターを開いた状態にした上で、浴室等に設置された換気扇を稼働させて、外気を給気口から室内に導入する。居室の扉を閉めていたとしても、居室の扉の下部と床面との隙間(アンダーカット)や扉のがらりが空気の通り道となって、給気口から導入した外気が室内を通り浴室等から屋外に排出されて、換気されることとなる。
【0003】
ところで、インフルエンザウイルスやCOVID-19等に罹患した場合、感染の拡大を防ぐため、一般に患者を隔離する措置が取られる。しかしながら、24時間換気システムが設置された住居等において患者を居室に隔離した場合、24時間換気システムを稼働させることにより、患者のいる居室の空気が廊下や他の居室を通り、換気扇が設置された浴室等にまで到達してしまう。このため、ウイルスが含まれた空気が他の居室等に流出してしまうおそれがある。
【0004】
従来、無人であっても室内を換気することができる技術として、特許文献1が開示されている。特許文献1には、室内に設けられた通気口に着脱可能に取付けられる電動ファンと、前記電動ファンに給電可能に接続されたソーラーパネルと、前記電動ファンの駆動で前記通気口を排気口とする空気の流路を形成して、前記室内を換気しうることを特徴とする、室内換気装置が開示されている。
【0005】
しかしながら、特許文献1の開示技術では、電動ファンが通気口の内部に設置されるため、電動ファンを通気口よりも小さくし、電動ファンと通気口の隙間をパッキンで埋める必要がある。また、通気口にレジスターが設けられる場合には、通気口の内部に電動ファンを設置するために、レジスターをすべて取り外す必要がある。このように、特許文献1の開示技術は、容易に設置することが難しい、という問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は、上記問題に鑑みて為されたもので、その目的は、容易に設置することが可能であり、居室内の空気が他の居室に流出するのを防止することが可能となる換気装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る換気装置は、壁に形成される換気口に設置される換気装置であって、屋内の空気を屋外へ排出するためのファンと、前記ファンを前記換気口から離間させて保持するための保持機構と、前記ファンと前記換気口の間に設けられる環状の環状体と、前記環状体を前記換気口側に押圧するための押圧部と、を備え、前記環状体は、前記換気口側の第1開口部と、前記ファン側の第2開口部とを有し、前記第1開口部における肉厚は、前記第2開口部における肉厚よりも薄いことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、容易に設置することが可能であり、居室内の空気が他の居室に流出するのを防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る換気装置の一例が設置される住居を示す模式平面図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る換気装置の一例を示す分解斜視図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る換気装置の一例を示す側面図である。
【
図4】
図4(a)は、第1枠体の第1例を示す背面図であり、
図4(b)は、第1枠体の第1例を示す側面図である。
【
図5】
図5(a)は、第2枠体の第1例を示す正面図であり、
図5(b)は、第2枠体の第1例を示す側面図である。
【
図6】
図6(a)は、環状体の第1例を示す背面図であり、
図6(b)は、環状体の第1例を示す側面図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態に係る換気装置の設置方法を説明する図であって、
図7(a)は、換気装置を設置前の壁を示す側面図であり、
図7(b)は、壁に第2枠体を固定した状態を示す側面図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態に係る換気装置の設置方法を説明する図であって、
図8(a)は、第1枠体を第2枠体に嵌合する状態を示す側面図であり、
図8(b)は、換気装置を壁に設置した状態を示す側面図である。
【
図9】
図9は、第1実施形態に係る換気装置の一例が設置される住居を示す模式平面図である。
【
図10】
図10(a)は、プッシュ式のレジスターが設置された換気口に設置される第1実施形態に係る換気装置の一例を示す側面図であり、
図10(b)は、カバーを取り外したプッシュ式のレジスターが設置された換気口に設置される第1実施形態に係る換気装置の一例を示す側面図である。
【
図11】
図11は、環状体の第2例が用いられた第1実施形態に係る換気装置の一例を示す側面図である。
【
図12】
図12(a)は、環状体の第3例を示す背面図であり、
図12(b)は、環状体の第3例を示す側面図である。
【
図13】
図13は、環状体の第3例が用いられた第1実施形態に係る換気装置の一例を示す側面図である。
【
図14】
図14(a)は、環状体の第4例を示す背面図であり、
図14(b)は、環状体の第4例を示す側面図である。
【
図15】
図15(a)は、環状体の第5例を示す背面図であり、
図15(b)は、環状体の第5例を示す側面図である。
【
図18】
図18は、第2実施形態に係る換気装置の設置方法を説明する図であって、
図18(a)は、第1枠体を第2枠体に嵌合する状態を示す平面図であり、
図18(b)は、第1枠体を第2枠体に嵌合する状態を示す側面図である。
【
図19】
図19は、第2実施形態に係る換気装置の設置方法を説明する図であって、
図19(a)は、換気装置を壁に設置した状態を示す平面図であり、
図19(b)は、換気装置を壁に設置した状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。また、各図において、共通する部分については、共通する参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0012】
<第1実施形態>
換気装置100は、
図1に示すように、24時間換気システム9が設置される住居Aに設置される。住居Aは、浴室B、トイレW、居室E、F、G、リビングルームL、を主に有する。各々の居室E、F、G、リビングルームLには、換気口8が設けられる。換気口8は、居室の壁89に設置され、屋内と屋外とを連通するものである。24時間換気システム9は、浴室B及びトイレWに設置される換気扇91と、換気口8に設置されるレジスター95と、を備える。
【0013】
換気装置100は、
図2~
図6に示すように、例えば居室Eにおける壁89に形成される換気口8に設けられる。換気装置100は、室内側の壁89に配置される。レジスター95は、屋外から導入する空気量を調整するものであり、開閉可能に構成される。換気装置100は、ファン1と、保持機構2と、環状体3と、を備える。
【0014】
ファン1は、屋内の空気を屋外へ排出するためのものである。ファン1は、図示しない電源から電力が、内蔵されるモーターに供給され回転可能である。ファン1の外側には、ファン1を保護する保護カバー11が設けられる。
【0015】
ファン1には、押圧部4が設けられる。押圧部4は、環状体3を換気口8側に向けて押圧するものである。押圧部4は、板材が用いられ、中央が開口されている。押圧部4は、環状体3に接触され、環状体3とファン1との間に配置される。押圧部4は、ファン1よりも大きく形成される。
【0016】
保持機構2は、ファン1を換気口8から離間させて保持するためのものである。保持機構2は、第1枠体21と、第2枠体22と、ガイド部23と、を有する。
【0017】
第1枠体21は、ファン1を固定するものであり、第2枠体22に嵌合される。第1枠体21は、主板211と、側板212と、嵌合爪213と、を有する。主板211は、矩形状に形成され、ファン1を挟んで環状体3の反対側に配置される。主板211は、ルーバー211aが形成される。主板211は、ルーバー211aに対向して配置されるファン1が図示しないネジやビス等により固定される。側板212は、主板211の外縁部にファン1を囲うように四方に配置される。嵌合爪213は、下側の側板212に形成され、第2枠体22に嵌合される。主板211は、外形が円形状や角形状等に形成されていてもよい。
【0018】
第2枠体22は、換気口8が形成される壁89に固定するためのものである。第2枠体22は、中央が開口された外形が矩形状の枠本体部221と、嵌合爪213に嵌合される嵌合受け部222を有する。嵌合受け部222は、枠本体部221の下部に形成される。第2枠体22は、例えば接着剤、両面テープ、ホッチキス等の固定部材5により壁89に固定される。
【0019】
ガイド部23は、第1枠体21を第2枠体22に嵌合する際に、第1枠体21を第2枠体22にガイドするためのものである。ガイド部23は、壁89に固定された第2枠体22に第1枠体21を引っ掛けた状態で第1枠体21を揺動させて、第1枠体21を第2枠体22にガイドする。
【0020】
ガイド部23は、第1枠体21に形成される第1突出部231と、第2枠体22に形成されるフック232と、を有する。第1突出部231は、棒状部231aを有し、棒状部231aをフック232に引っ掛けることで、第1枠体21が棒状部231aを中心に揺動できる。第1突出部231は、上側の側板212に形成される。フック232は、第2枠体22の上部に形成される。
【0021】
環状体3は、換気口8とファン1との間に設けられ、円環状に形成される。環状体3は、ウレタンフォーム等の樹脂フォームで構成される。環状体3は、押圧部4により押圧されて弾性変形可能である。環状体3は、外形が多角形状であってもよい。
【0022】
環状体3は、換気口8側の第1開口部31と、ファン1側の第2開口部32と、を有する。環状体3は、内面33が一様な角度で傾斜した傾斜面で形成され、第1開口部31の内径d1は、第2開口部32の内径d2よりも大きい。第2開口部32の内径d2は、押圧部4の開口と略同じ大きさである。環状体3は、第1開口部31における肉厚t1が第2開口部32における肉厚t2よりも薄い。
【0023】
次に、第1実施形態に係る換気装置100の設置方法について、換気装置100を居室Eの換気口8に設置する場合を例に説明する。
【0024】
図7(a)に示すように、換気口8には、フィルターが内蔵された丸型のレジスター95が設置されている。レジスター95は、屋内と屋外とが連通されるように、開いた状態にしておく。
【0025】
そして、
図7(b)に示すように、換気口8が形成される壁89に、第2枠体22を両面テープ等の固定部材5により固定する。
【0026】
次に、
図8に示すように、壁89に固定した第2枠体22に、第1枠体21を嵌合する。この第1枠体21には、ファン1が固定され、ファン1には押圧部4と環状体3と、が固定されている。ここで、上側の側板212の先端と下側の側板212の先端を結ぶ基準面M1としたとき、環状体3の第1開口部31側の端面が、基準面M1を挟んでファン1の反対側に突出されている。
【0027】
図8(a)に示すように、第2枠体22に第1枠体21を嵌合する際には、第1突出部231をフック232に引っ掛ける。そして、フック232に第1突出部231を引っ掛けた状態で、第1突出部231を中心に第1枠体21を揺動させる。
【0028】
これにより、
図8(b)に示すように、基準面M1を挟んでファン1の反対側に突出された環状体3が押圧部4により換気口8側に押圧される。このため、環状体3の第1開口部31側が、壁89及びレジスター95の何れか一方又は両方に接触されて押し潰され、内面33が湾曲して第1開口部31側が外側に向けて拡開される。その後、嵌合爪213を嵌合受け部222に嵌合させ、第2枠体22に第1枠体21を嵌合する。
【0029】
以上により、換気装置100の設置が完了する。換気装置100の設置が完了した後、ファン1を回転させる。これにより、居室E内の空気が、図中矢印P方向に向けて環状体3の内側を通り、換気口8から屋外に排気させることができる。ファン1を回転させる際には、24時間換気システム9における換気扇91を停止させておくことが好ましい。
【0030】
これにより、
図9に示すように、換気装置100が設けられていない居室F、G、リビングルームLの各々の換気口8から導入された外気が図中矢印Q方向に向けて流れ、居室E内に導入される。そして、居室E内の空気が換気装置100により屋外に排出される。このため、居室Eの外部に流出するのを防止することができる。したがって、例えば換気装置100が設置された居室Eに患者を隔離しておくことにより、ウイルスが含まれる居室Eの空気が他の居室に流出するのを防止することができる。
【0031】
本実施形態によれば、壁89に形成される換気口8に設けられる換気装置100であって、屋内の空気を屋外へ排出するためのファン1と、ファン1を換気口8から離間させて保持するための保持機構2と、換気口8とファン1との間に設けられる環状に形成される環状体3と、を備える。これにより、ファン1を回転させたとき、居室E内の空気が、環状体3の内側を通り換気口8から屋外に排気することができる。このため、居室内の空気を屋外に排出して他の居室に流出するのを防止することができる。すなわち、簡易的に陰圧室を設置することができる。
【0032】
加えて、本実施形態によれば、24時間換気装置9のレジスター95が設けられる給気口である換気口8に、後付けで設置することができる。これにより、わざわざレジスター95を取り外す必要がなく、大掛かりな工事を必要としない。このため、容易に設置することが可能となる。
【0033】
本実施形態によれば、環状体3を換気口8側に押圧するための押圧部4を更に備え、環状体3は、押圧して変形可能である。これにより、環状体3を確実に壁89に押圧することができる。このため、環状体3の内側を通る空気が環状体3の外部に漏れることなく換気口8から屋外に排気することができる。その結果、居室内の空気を効率良く屋外に排出して他の居室に流出するのを防止することができる。
【0034】
ここで、レジスター95は、壁89の室内側の壁面から突出されて、換気口8に設けられる。特に、本実施形態によれば、環状体3を備えるため、レジスター95が壁89の壁面から突出される場合であっても、レジスター95に沿って環状体3を変形させて、設置することができる。このため、レジスター95が換気口8に設置される場合であっても、容易に設置することが可能となる。
【0035】
本実施形態によれば、環状体3を換気口8側に押圧するための押圧部4を更に備え、環状体3は、第1開口部31の肉厚t1は、第2開口部32の肉厚t2よりも薄い。これにより、環状体3を確実に壁89に押圧した際に、環状体3の第1開口部31側を変形させ易くできる。このため、環状体3の内側を通る空気が環状体3の外部に漏れるのを防止し換気口8から屋外に排気することができる。その結果、居室内の空気を効率良く屋外に排出して他の居室に流出するのを防止することができる。
【0036】
本実施形態によれば、保持機構2は、ファン1を固定するための第1枠体21と、第1枠体21に嵌合されるとともに壁89に固定するための第2枠体22と、を有する。これにより、壁89に固定された第2枠体22に第1枠体21を嵌合するだけでよく、容易に換気装置100を設置することができる。
【0037】
本実施形態によれば、保持機構2は、第1枠体21を第2枠体22にガイドするためのガイド部23を更に有する。これにより、壁89に固定された第2枠体22に第1枠体21を嵌合する作業を行い易くできる。このため、容易に換気装置100を設置することができる。
【0038】
上述した実施形態では、丸型のレジスター95を例にとり説明したが、レジスター95は、角型のレジスターであってもよい。
【0039】
図10(a)に示すように、換気口8に設けられるレジスター95は、プッシュ式のレジスターであってもよい。プッシュ式のレジスター95は、開閉可能なカバー96を有している。このレジスター95は、壁89の壁面に対して凹凸が形成されるものとなる。かかる場合であっても、レジスター95及びカバー96に沿って環状体3を変形させて、換気装置100を設置することができる。このため、レジスター95が換気口8に設置される場合であっても、容易に設置することが可能となる。
【0040】
図10(b)に示すように、プッシュ式のレジスター95では、カバー96を取り外した状態で、換気装置100を設置してもよい。かかる場合であっても、レジスター95に沿って環状体3を変形させて、換気装置100を設置することができる。このため、レジスター95が換気口8に設置される場合であっても、容易に設置することが可能となる。
【0041】
図示は省略するが、レジスター95が設置されていない換気口8に、換気装置100を設置してもよい。かかる場合であっても、換気装置100を容易に設置することができる。
【0042】
図11に示すように、環状体3は、第1開口部31側の端面が壁89及びレジスター95の何れか一方又は両方に接触されていればよい。このとき、環状体3は、変形されていなくてもよい。
【0043】
図12(a)及び
図12(b)に示すように、環状体3は、第1開口部31が円形状に形成され、第2開口部32が角形状に形成されてもよい。このとき、
図13に示すように、第2開口部32は、ファン1が嵌め込まれる形状に形成される。環状体3は、第2開口部32の内側にファン1が配置されて嵌め込まれる。環状体3は、第2開口部32側の端面が主板211に接触される。この主板211は、環状体3を換気口8側に押圧するための押圧部4として機能する。
【0044】
本実施形態によれば、ファン1は、第2開口部32の内側に配置される。これにより、換気装置100を壁89に設置したとき、換気装置100が壁89から突出される長さを小さくすることができる。このため、換気装置100を薄型化することができる。
【0045】
図14に示すように、環状体3は、第1開口部31側の端面に、所定の深さの複数の切れ目34を有していてもよい。これにより、環状体3を壁89に押圧した際に、切れ目34が拡開して環状体3の第1開口部31側を変形させ易くできる。このため、環状体3の内側を通る空気が環状体3の外部に漏れることなく換気口8から屋外に排気することができる。その結果、居室内の空気を効率良く屋外に排出して他の居室に流出するのを防止することができる。
【0046】
図15に示すように、環状体3は、第1開口部31の内径d1は、第2開口部32の内径d2と同じであってもよい。本実施形態によれば、環状体3を備えるため、レジスター95が壁89の壁面から突出される場合であっても、レジスター95に沿って環状体3を変形させて、設置することができる。このため、レジスター95が換気口8に設置される場合であっても、容易に設置することが可能となる。
【0047】
<第2実施形態>
第2実施形態に係る換気装置100では、主に、保持機構2が主に第1実施形態と相違する。
【0048】
図16及び
図17に示すように、保持機構2は、ファン1を換気口8から離間させて保持するためのものである。保持機構2は、第1枠体21と、第2枠体22と、ガイド部23と、を有する。
【0049】
第1枠体21は、ファン1を固定するものであり、第2枠体22に嵌合される。第1枠体21は、主板211と、嵌合受け部214と、を有する。主板211は、環状体3の第2開口部32の端面が接触され、環状体3を換気口8側に押圧するための押圧部4として機能する。嵌合受け部214は、主板211の上部と下部とに形成され、第2枠体22に嵌合される。
【0050】
第2枠体22は、換気口8が形成される壁89に固定するためのものである。第2枠体22は、中央が開口された外形が矩形状の枠本体部221と、嵌合受け部214に嵌合するための嵌合爪223と、複数の孔224と、を有する。嵌合爪223は、枠本体部221の上部と下部とに形成される。第2枠体22は、孔224に当て板225が嵌め込まれる。第2枠体22は、孔224に嵌め込まれた当て板225にホッチキス等の固定部材5を貫通させ、壁89に固定される。
【0051】
ガイド部23は、第1枠体21を第2枠体22に嵌合する際に、第1枠体21を第2枠体22にガイドするためのものである。ガイド部23は、壁89に固定された第2枠体22に第1枠体21を壁89に直交する方向に沿って移動させて、第1枠体21を第2枠体22にガイドする。
【0052】
ガイド部23は、第1枠体21に形成される第1突出部233と、第2枠体22に形成される第2突出部234と、を有する。第1突出部233は、第2枠体22に向けて延びて、断面L字状に形成される。第1突出部233は、矩形状の主板211の四隅に配置され、第2突出部234と平行に延びる。第2突出部234は、棒状に形成され、外形が矩形状の枠本体部221の四隅に配置される。ガイド部23は、第1突出部233の突出方向に沿って、第1突出部233を第2突出部234にスライドさせて、第1枠体21を第2枠体22にガイドする。
【0053】
次に、第2実施形態に係る換気装置100の設置方法について、換気装置100を居室Eの換気口8に設置する場合を例に説明する。
【0054】
図18(a)に示すように、換気口8には、フィルターが内蔵された丸型のレジスター95が設置されている。レジスター95は、屋内と屋外とが連通されるように、開いた状態にしておく。
【0055】
そして、換気口8が形成される壁89に、第2枠体22をホッチキス等の固定部材5により固定する。
【0056】
次に、壁89に固定した第2枠体22に、第1枠体21を嵌合する。この第1枠体21には、ファン1が固定される。環状体3の第2開口部32の内側に、ファン1が配置される。また、環状体3は、押圧部4である主板211に接触されている。ここで、上側の第1突出部233の先端と下側の第1突出部233の先端を結ぶ基準面M2としたとき、環状体3の第1開口部31側の端面が、基準面M2を挟んでファン1の反対側に突出されている。
【0057】
第2枠体22に第1枠体21を嵌合する際には、第1突出部233を第2突出部234に沿って図中矢印X方向にスライドさせる。
【0058】
これにより、
図19(a)及び
図19(b)に示すように、基準面M2を挟んでファン1の反対側に突出された環状体3が押圧部4により押圧される。このため、環状体3の第1開口部31側が、壁89及びレジスター95の何れか一方又は両方に接触されて押し潰され、内面33が湾曲して第1開口部31側が外側に向けて拡開される。その後嵌合爪223を嵌合受け部214に嵌合させ、第2枠体22に第1枠体21を嵌合する。
【0059】
以上により、換気装置100の設置が完了する。換気装置100の設置が完了した後、ファン1を回転させる。これにより、居室E内の空気が、環状体3の内側を通り、換気口8から屋外に排気させることができる。
【0060】
本実施形態によれば、壁89に形成される換気口8に設けられる換気装置100であって、屋内の空気を屋外へ排出するためのファン1と、ファン1を換気口8から離間させて保持するための保持機構2と、換気口8とファン1との間に設けられる環状に形成される環状体3と、を備える。これにより、ファン1を回転させたとき、居室E内の空気が、環状体3の内側を通り換気口8から屋外に排気することができる。このため、居室内の空気を屋外に排出して他の居室に流出するのを防止することができる。
【0061】
加えて、本実施形態によれば、24時間換気装置9のレジスター95が設けられる給気口である換気口8に、後付けで設置することができる。これにより、わざわざレジスター95を取り外す必要がなく、大掛かりな工事を必要としない。このため、容易に設置することが可能となる。
【0062】
加えて、本実施形態によれば、ガイド部23は、第1枠体21に形成される第1突出部233と、第2枠体22に形成される第2突出部234と、第1突出部233は、第2突出部234と平行に延びる。これにより、ガイド部23は、第1突出部233の突出方向に沿って、第1突出部233を第2突出部234にスライドさせて、第1枠体21を第2枠体22にガイドできる。このため、環状体3を一様に壁89に押圧することができる。その結果、環状体3の内側を通る空気が環状体3の外部に漏れることなく換気口8から屋外に排気することができる。
【0063】
以上、この発明の実施形態のいくつかを説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。また、これらの実施形態は、適宜組み合わせて実施することが可能である。さらに、この発明は、上記いくつかの実施形態の他、様々な新規な形態で実施することができる。したがって、上記いくつかの実施形態のそれぞれは、この発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更が可能である。このような新規な形態や変形は、この発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明、及び特許請求の範囲に記載された発明の均等物の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0064】
100 :換気装置
1 :ファン
11 :保護カバー
2 :保持機構
21 :第1枠体
211 :主板
211a :ルーバー
212 :側板
213 :嵌合爪
214 :嵌合受け部
22 :第2枠体
221 :枠本体部
222 :嵌合受け部
223 :嵌合爪
224 :孔
225 :当て板
23 :ガイド部
231 :第1突出部
231a :棒状部
232 :フック
233 :第1突出部
234 :第2突出部
3 :環状体
31 :第1開口部
32 :第2開口部
33 :内面
34 :切れ目
4 :押圧部
5 :固定部材
8 :換気口
89 :壁
91 :換気扇
95 :レジスター
96 :カバー