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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】医療検査用カセット
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/36 20060101AFI20240501BHJP
   G01N 1/28 20060101ALI20240501BHJP
   G01N 33/48 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
G01N1/36
G01N1/28 J
G01N33/48 R
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020136070
(22)【出願日】2020-08-11
(65)【公開番号】P2022032379
(43)【公開日】2022-02-25
【審査請求日】2023-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】591242450
【氏名又は名称】村角工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100182084
【弁理士】
【氏名又は名称】中道 佳博
(74)【代理人】
【識別番号】100076820
【弁理士】
【氏名又は名称】伊丹 健次
(72)【発明者】
【氏名】村角 英彦
(72)【発明者】
【氏名】重実 耕輔
(72)【発明者】
【氏名】北野 正人
(72)【発明者】
【氏名】徳山 官秀
【審査官】山口 剛
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-275152(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03560721(EP,A1)
【文献】特開2020-079759(JP,A)
【文献】実開平01-061660(JP,U)
【文献】特開2003-107077(JP,A)
【文献】特開平09-145565(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0239867(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00 - 1/44
G01N 33/48
B01L 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療検査用カセットであって、上方に開口した枠体を有する方形の容器であり、1つまたはそれ以上の検体収容部を有し、該検体収容部の内部と外部とを連通する多数の細孔を有し、
該枠体が、長手方向側面部および前方底面部のそれぞれに検体情報を印字可能な平面を有し、
該枠体が、さらに前方部の上側に水平方向に延びる該検体情報を印字可能な平面を有し、
該前方底面部が、該前方部の先端に設けられた可動リップの折り返しによって構成されている、カセット。
【請求項2】
医療検査用カセットであって、上方に開口した枠体を有する方形の容器であり、1つまたはそれ以上の検体収容部を有し、該検体収容部の内部と外部とを連通する多数の細孔を有し、
該枠体が、長手方向側面部および前方底面部のそれぞれに検体情報を印字可能な平面を有し、
該枠体が、さらに前方部の上側に傾斜して延びる該検体情報を印字可能な平面を有し、
該前方底面部が、該前方部の先端に設けられた可動リップの折り返しによって構成されている、カセット
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療検査用顕微鏡標本の作製のために使用される医療検査用カセットに関し、より詳細には、検体の性状に関わらず、検体の均一な水洗や薬液処理を可能にする医療検査用カセットに関する。
【背景技術】
【0002】
医療検査の現場では、生体から採取した検体を用いて医療検査用の顕微鏡標本が作製され、種々の診断が行われている。
【0003】
上記採取した検体を用いて顕微鏡標本の作製に至るまでには、医療検査用カセットと呼ばれる容器が使用される(例えば、特許文献1)。医療検査用カセットには、外部と内部とが連通する多数の透孔が設けられている。採取した検体は当該カセットの内部に収納した状態で透孔を通じて上記水洗や薬液処理が行われるため、検査員が検体を直接触れるような機会は低減される。
【0004】
その後、医療検査用カセットを用いて水洗および薬液処理された検体からパラフィンブロックが作製され、当該パラフィンブロックから顕微鏡標本を得ることができる。
【0005】
パラフィンブロックの作製では、まず図11の(a)に示すように、医療検査用カセットで水洗および/または薬液処理された検体980は医療検査用カセット900から、ステンレス製の包埋トレイ910に移し替えされ、包埋トレイ910に医療検査用カセット100を配置して、包埋トレイ910および医療検査用カセット100内が液状パラフィンで充填される。液状パラフィンが固化した後、包埋トレイ910が取り外され、図11の(b)に示すように、水洗および/または薬液処理された検体980が包埋されたパラフィン920が医療検査用カセット100に付着してなるパラフィンブロック930を得ることができる。
【0006】
このようにして得られたパラフィンブロック930をミクロトームによってスライスし、染色、その他の所定の処理を施すことによって所望の顕微鏡標本を得ることができる。
【0007】
ここで、上記医療検査用カセットの側面部には、検体の誤認や取り違えを防ぐために、患者番号、病院名、診療科、担当医師名、収容する検体の種類の情報を記載した文字や記号、バーコードなどが所定のプリンターを用いて印字されている。
【0008】
しかし、これらの情報は、医療検査用カセットの一方向からのみ視認可能である。例えば顕微鏡標本を作製する際は、パラフィンブロックのスライスを行うために、医療検査用カセットが下方になるように裏返して配置される。このため、スライスの際には印字面を視認することが困難であり、この点で検体の誤認や取り違えを引き起こすリスクが内在する。
【0009】
さらに印字が必要な情報に対して医療検査用カセットの印字スペースも限られている点でもさらなる開発が所望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2012-194021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記問題の解決を課題とするものであり、その目的とするところは、パラフィンブロックから顕微鏡検体を作製する際の検体の誤認や取り違えのリスクを低減することができ、かつより多くの情報を印字することのできる医療検査用カセットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、医療検査用カセットであって、上方に開口した枠体を有する方形の容器であり、1つまたはそれ以上の検体収容部を有し、該検体収容部の内部と外部とを連通する多数の細孔を有し、
該枠体が、長手方向側面部および前方底面部のそれぞれに検体情報を印字可能な平面を有する、カセットである。
【0013】
1つの実施形態では、上記枠体は、さらに前方部の上側に水平方向に延びる上記検体情報を印字可能な平面を有する。
【0014】
さらなる実施形態では、上記前方底面部は、上記前方部の先端に設けられた可動リップの折り返しによって構成されている
【0015】
1つの実施形態では、上記枠体は、さらに前方部の上側に傾斜して延びる上記検体情報を印字可能な平面を有する。
【0016】
さらなる実施形態では、上記前方底面部は、上記前方部の先端に設けられた可動リップの折り返しによって構成されている。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、医療検査用カセットを含むパラフィンブロックをスライスして顕微鏡標本を作製する際に、当該カセットの前方底面部に記載された検体情報を容易に視認することができ、検体の誤認や取り違えを引き起こすリスクを低減することができる。本発明はまた、印字可能な面積が拡張したことにより、より多くの検体情報を印字することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の医療検査用カセットの一例を示す図であって、(a)は当該カセットの斜視図であり、(b)は当該カセットの底面図であり、そして(c)は当該カセットの側面図である。
図2】本発明の医療検査用カセットの別の例を示す図であって、(a)は当該カセットの斜視図であり、(b)は当該カセットの底面図であり、そして(c)は当該カセットの側面図である。
図3】本発明の医療検査用カセットの他の例を示す図であって、(a)は当該カセットの斜視図であり、(b)は当該カセットの底面図であり、そして(c)は当該カセットの側面図である。
図4】本発明の医療検査用カセットのさらに別の例を示す図であって、(a)は当該カセットの斜視図であり、(b)は当該カセットの底面図であり、そして(c)は当該カセットの側面図である。
図5】本発明の医療検査用カセットのまたさらに別の例を示す図であって、(a)は可能リップを折り返す前の当該カセットの斜視図であり、そして(b)は可動リップを折り返す前の当該カセットの底面図である。
図6図5に示す本発明の医療検査用カセットの可動リップの折り返しを説明するための図であって、(a)は可動リップを折り返す途中の状態を示す当該カセットの側面図であり、そして(b)は可能リップを折り畳んだ後の当該カセットの底面図である。
図7】本発明の医療検査用カセットのまたさらに別の例を示す図であって、(a)は可能リップを折り返す前の当該カセットの斜視図であり、そして(b)は可動リップを折り返す前の当該カセットの側面図である。
図8図7に示す本発明の医療検査用カセットの可動リップの折り返しを説明するための図であって、(a)は可動リップを折り返す途中の状態を示す当該カセットの側面図であり、そして(b)は可能リップを折り畳んだ後の当該カセットの底面図である。
図9】本発明の医療検査用カセットのまたさらに別の例を示す図であって、(a)は可能リップを折り返す前の当該カセットの斜視図であり、そして(b)は可動リップを折り返す前の当該カセットの底面図である。
図10図9に示す本発明の医療検査用カセットの可動リップの折り返しを説明するための図であって、(a)は可動リップを折り返す途中の状態を示す当該カセットの側面図であり、そして(b)は可能リップを折り畳んだ後の当該カセットの底面図である。
図11】本発明の医療検査用カセットを用いて水洗かつ薬液処理された検体を用いて、顕微鏡検査標本を得るためのパラフィンブロックを作製する一例を模式的に示す図であって、(a)は包埋トレイ内で当該カセットおよび検体を含むパラフィンブロックを作製している状態を説明するための図であり、(b)は包埋トレイから取り出されたパラフィンブロックを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明について詳述する。
【0020】
図1の(a)に示すように、本発明の医療検査用カセット(以下単に「カセット」ということがある)100は、上方に開口した枠体109を有する容器で構成されている。
【0021】
このカセット100は、例えば、耐薬品性の樹脂から構成されている。カセット100を構成する樹脂の1つの例としては、ポリアセタール樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド(ナイロン)樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。また、当該樹脂の他の例としては、ポリ乳酸樹脂、ポリブチレンサクシネート、ポリアミド11、ポリヒドロキシ酪酸等の生分解性プラスチックやバイオマスプラスチックが挙げられる。
【0022】
カセット100はまた、内側底面102と、当該内側底面102の外周から上方に延びる4つの立壁部103,104,105,106を備える枠体109とから構成される、方形の検体収容部110を備える。検体収容部110は図示しない隔壁によって2つまたはそれ以上に分割されていてもよい。
【0023】
検体収容部110における内側底面102には、検体収容部110の内部と外部(すなわち、内側底面102と外側底面124)とを連通する多数の細孔112が設けられている。
【0024】
本発明の医療検査用カセット100において、細孔112は、好ましくは内側底面102の全面にわたって略均等な形状および大きさで設けられている。カセット100に設けられた細孔112は、例えば、円形、楕円形、矩形のいずれの形状を有していてもよい。細孔112の開口面積は特に限定されず、検体収容部110に収容する検体の種類、水洗や薬液の処理条件等に応じて当業者によって任意の大きさが適切に選択され得る。なお、細孔112は、水洗や薬液処理を行う際の水や薬液の通過を効率良く行うために、構成する孔のそれぞれがカセット100の内側底面102と外側底面124との間を略平行に配向するように穿設されていることが好ましい。
【0025】
一方、立壁部103,104,105,106には、例えば、検体収容部110の内部と外部とを連通する構造(例えば、孔)は設けられていない。これにより、カセット100は、立壁部103,104,105,106によって形成される上方の開口と多数の本体細孔112との間でのみ流体(例えば、水洗や薬液処理に使用される、洗浄水、薬液(例えば、アルコール、キシレン)などの液体)を流動させることができる。なお、必要により、立壁部103,104,105,106にも多数の細孔を設け、これら流体の流動を高めることも可能である。
【0026】
本発明において、枠体109の長手方向を構成する立壁部104,106の外側の側面部(長手方向側面部)には、検体情報を印字可能な平面114,116が形成されている。平面114,116は、カセット100の側面からそれらに印字された検体情報の視認をするために有用である。検体情報の例としては、収容する検体の種類や関連情報(例えば、検体番号、採取日時、採取した患者のID番号、ならびにそれら情報を含むバーコード)が挙げられる。また、立壁部105には、本発明の医療検査用カセット100の検体収容部110をカバーする蓋体(図示せず)の係止片を収容し得る、係止片受容部118が設けられていてもよい。
【0027】
本発明の医療検査用カセット100では、枠体109は、さらに前方部の上側に水平方向に延びる上記検体情報を印字可能な平面120を有する。平面120に印字され得る検体情報としては上記と同様のものが挙げられる。平面120は、立壁部103の外側に突出した固定リップ121上に形成されており、カセット100の上側から、それに印字された検体情報の視認をするために有用である。
【0028】
さらに、本発明の医療検査用カセット100では、枠体109は、前方底面部にも検体情報を印字可能な平面122を有する(図1の(b))。具体的には、平面122は、固定リップ121の底面側に設けられた水平方向に延びる面であり、カセット100の外側底面124と面一となるように形成されている(図1の(c))。平面122に印字され得る検体情報としては上記と同様のものが挙げられる。平面122は、カセット100の底面側から、それに印字された検体情報の視認をするために有用である。
【0029】
図2は、本発明の医療検査用カセットの別の例を示す図である。なお、図2において、本発明の医療検査用カセット200を構成する各要素は、上記図1に示すカセット100を構成するものと同一のものには同一符号を付している。
【0030】
カセット200は、内側底面102と、当該内側底面102の外周から上方に延びる4つの立壁部104,105,106,203を備える枠体209とから構成される、方形の検体収容部210を備える。検体収容部210は図示しない隔壁によって2つまたはそれ以上に分割されていてもよい。
【0031】
検体収容部210における内側底面102には、図1のカセット100と同様に、検体収容部210の内部と外部(すなわち、内側底面102と外側底面124)とを連通する多数の細孔112が設けられている。
【0032】
本発明において、枠体209の長手方向を構成する立壁部104,106の外側の側面部(長手方向側面部)には、検体情報を印字可能な平面114,116が形成されている。平面114,116は、カセット200の側面からそれらに印字された検体情報の視認をするために有用である。
【0033】
本発明の医療検査用カセット200では、枠体209は、さらに前方部の上側に傾斜して延びる上記検体情報を印字可能な平面220を有する。平面220に印字され得る検体情報としては上記と同様のものが挙げられる。平面220は、立壁部203から外側に突出した筒状の三角柱部分221の1つの側面を構成しており、カセット200の上側または斜め上側から、それに印字された検体情報の視認をするために有用である。
【0034】
さらに、本発明の医療検査用カセット200では、枠体209は、前方底面部にも検体情報を印字可能な平面222を有する(図2の(b))。具体的には、平面222は、三角柱部分221の底面側に設けられた水平方向に延びる面であり、カセット200の外側底面124と面一となるように形成されている(図2の(c))。平面222に印字され得る検体情報としては上記と同様のものが挙げられる。平面222は、カセット200の底面側から、それに印字された検体情報の視認をするために有用である。
【0035】
図3は、本発明の医療検査用カセットの他の例を示す図である。なお、図3において、本発明の医療検査用カセット300を構成する各要素は、上記図1に示すカセット100を構成するものと同一のものには同一符号を付している。
【0036】
カセット300は、内側底面102と、当該内側底面102の外周から上方に延びる4つの立壁部105,303,304,306を備える枠体309とから構成される、方形の検体収容部310を備える。検体収容部310は図示しない隔壁によって2つまたはそれ以上に分割されていてもよい。
【0037】
検体収容部310における内側底面102には、図1のカセット100と同様に、検体収容部310の内部と外部(すなわち、内側底面102と外側底面124)とを連通する多数の細孔112が設けられている。
【0038】
本発明において、枠体309の長手方向を構成する立壁部304,306の外側の側面部(長手方向側面部)には、検体情報を印字可能な平面314,316が形成されている。平面314,316は、カセット300の側面からそれらに印字された検体情報の視認をするために有用である。
【0039】
本発明の医療検査用カセット300では、枠体309は、さらに前方部の上側に水平方向に延びる上記検体情報を印字可能な平面320を有する。平面320に印字され得る検体情報としては上記と同様のものが挙げられる。ここで、平面320は、枠体309を構成する立壁部303,304,105,306の上端と略同じ高さとなる位置に配置されている。平面320は、立壁部303から外側に突出した筒状の四角柱部分321の1つの側面を構成しており、カセット300の上側から、それに印字された検体情報の視認をするために有用である。
【0040】
また、カセット300の前方部に位置する四角柱部分321の外側には、検体収容部310をカバーする蓋体(図示せず)の係止片を収容し得る、係止片受容部323が設けられていてもよい。
【0041】
さらに、本発明の医療検査用カセット300では、枠体309は、前方底面部にも検体情報を印字可能な平面322を有する(図3の(b))。具体的には、平面322は、四角柱部分321の底面側に設けられた水平方向に延びる面であり、カセット300の外側底面124と面一となるように形成されている(図3の(c))。平面322に印字され得る検体情報としては上記と同様のものが挙げられる。平面322は、カセット300の底面側から、それに印字された検体情報の視認をするために有用である。
【0042】
図4は、本発明の医療検査用カセットのさらに別の例を示す図である。なお、図4において、本発明の医療検査用カセット400を構成する各要素は、上記図1に示すカセット100を構成するものと同一のものには同一符号を付している。
【0043】
カセット400は、内側底面102と、当該内側底面102の外周から上方に延びる4つの立壁部105,403,404,406を備える枠体409とから構成される、方形の検体収容部410を備える。検体収容部410は図示しない隔壁によって2つまたはそれ以上に分割されていてもよい。
【0044】
検体収容部410における内側底面102には、図1のカセット100と同様に、検体収容部410の内部と外部(すなわち、内側底面102と外側底面124)とを連通する多数の細孔112が設けられている。
【0045】
本発明において、枠体409の長手方向を構成する立壁部404,406の外側の側面部(長手方向側面部)には、検体情報を印字可能な平面414,416が形成されている。平面414,416は、カセット400の側面からそれらに印字された検体情報の視認をするために有用である。
【0046】
本発明の医療検査用カセット400では、さらに前方部の上側に水平方向に延びる上記検体情報を印字可能な平面420を有する。平面420に印字され得る検体情報としては上記と同様のものが挙げられる。平面420は、立壁部403の外側に突出した固定リップ421上に形成されており、カセット400の上側から、それに印字された検体情報の視認をするために有用である。
【0047】
また、立壁部403の外側には、検体収容部410をカバーする蓋体(図示せず)の係止片を収容し得る、係止片受容部423が設けられていてもよい。
【0048】
さらに、本発明の医療検査用カセット400では、枠体409は、前方底面部にも検体情報を印字可能な平面422を有する(図4の(b))。具体的には、平面422は、固定リップ421の底面側に設けられた水平方向に延びる面であり、カセット400の外側底面124と面一となるように形成されている(図4の(c))。平面422に印字され得る検体情報としては上記と同様のものが挙げられる。平面422は、カセット400の底面側から、それに印字された検体情報の視認をするために有用である。
【0049】
図5は、本発明の医療検査用カセットのまたさらに別の例を示す図である。なお、図5において、本発明の医療検査用カセット500を構成する各要素は、上記図1に示すカセット100を構成するものと同一のものには同一符号を付している。
【0050】
カセット500は、内側底面102と、当該内側底面102の外周から上方に延びる4つの立壁部104,105,106,503を備える枠体509とから構成される、方形の検体収容部510を備える。検体収容部510は図示しない隔壁によって2つまたはそれ以上に分割されていてもよい。
【0051】
検体収容部510における内側底面102には、図1のカセット100と同様に、検体収容部510の内部と外部(すなわち、内側底面102と外側底面124)とを連通する多数の細孔112が設けられている。
【0052】
本発明において、枠体509の長手方向を構成する立壁部104,106の外側の側面部(長手方向側面部)には、検体情報を印字可能な平面114,116が形成されている。平面114,116は、カセット500の側面からそれらに印字された検体情報の視認をするために有用である。
【0053】
本発明の医療検査用カセット500では、枠体509は、さらに前方部の上側に傾斜して延びる上記検体情報を印字可能な平面520を有する。平面520に印字され得る検体情報としては上記と同様のものが挙げられる。平面520は、立壁部503から外側に突出した三角柱部分521の1つの側面を構成しており、カセット500の上側または斜め上側から、それに印字された検体情報の視認をするために有用である。
【0054】
さらに、本発明の医療検査用カセット500では、三角柱部分521の前方部の先端に、縁部525に沿って折り返し可能な可動リップ526が設けられている。図5の(a)において、可動リップ526の上側には水平方向に延びる平面522が形成されている。一方、可動リップ526の底面側には、図5の(b)に示すように三角柱部分521の底面側に設けられた嵌合用孔528と嵌合可能な凸部527が設けられている。
【0055】
本発明の医療検査用カセット500では、図6の(a)に示すように縁部525で可動リップ526を折り返し、可動リップ526に設けられた凸部527を三角柱部分521の嵌合用孔528に嵌合させることにより、可動リップ526上の平面522をカセット500の前方底面部に配置して(図6の(b))、例えばカセット500の外側底面124と面一にすることができる。このような平面522もまた検体情報を印字可能である。平面522に印字され得る検体情報としては上記と同様のものが挙げられる。平面522は、カセット500の底面側から、それに印字された検体情報の視認をするために有用である。加えて、平面522は可動リップ526を折り返す前は、三角柱部分521に設けられた平面520と略同様の上方を指向するため、平面520,522を、例えば1台の印刷機(インクジェットプリンター等)を用いて一度にまとめて印字することができる。これにより、カセット500への印字時間の短縮が可能となる。
【0056】
図7は、本発明の医療検査用カセットのまたさらに別の例を示す図である。なお、図7において、本発明の医療検査用カセット600を構成する各要素は、上記図1に示すカセット100を構成するものと同一のものには同一符号を付している。
【0057】
カセット600は、内側底面102と、当該内側底面102の外周から上方に延びる4つの立壁部104,105,106,603を備える枠体609とから構成される、方形の検体収容部610を備える。検体収容部610は図示しない隔壁によって2つまたはそれ以上に分割されていてもよい。
【0058】
検体収容部610における内側底面102には、図1のカセット100と同様に、検体収容部610の内部と外部(すなわち、内側底面102と外側底面124)とを連通する多数の細孔112が設けられている。
【0059】
本発明において、枠体609の長手方向を構成する立壁部104,106の外側の側面部(長手方向側面部)には、検体情報を印字可能な平面114,116が形成されている。平面114,116は、カセット600の側面からそれらに印字された検体情報の視認をするために有用である。
【0060】
本発明の医療検査用カセット600では、枠体609は、さらに前方部の上側に水平方向に延びる上記検体情報を印字可能な平面620を有する。平面620に印字され得る検体情報としては上記と同様のものが挙げられる。ここで、平面620は、枠体609を構成する立壁部104,105,106,603の上端と略同じ高さとなる位置に配置されている。平面620は、立壁部603から外側に突出した四角柱部分621の1つの側面を構成しており、カセット600の上側から、それに印字された検体情報の視認をするために有用である。
【0061】
さらに、本発明の医療検査用カセット600では、四角柱部分621の前方部の先端に、縁部625に沿って折り返し可能な可動リップ626が設けられている。図7の(a)において、可動リップ626の上側には水平方向に延びる平面622が形成されている。一方、可動リップ626の底面側には、図7の(b)に示すように四角柱部分621の底面側に設けられた嵌合用孔628と嵌合可能な凸部627が設けられている。
【0062】
本発明の医療検査用カセット600では、図8の(a)に示すように縁部625で可動リップ626を折り返し、可動リップ626に設けられた凸部627を四角柱部分621の嵌合用孔628に嵌合させることにより、可動リップ626上の平面622をカセット600の前方底面部に配置して(図8の(b))、例えばカセット600の外側底面124と面一にすることができる。このような平面622もまた検体情報を印字可能である。平面622に印字され得る検体情報としては上記と同様のものが挙げられる。平面622は、カセット600の底面側から、それに印字された検体情報の視認をするために有用である。加えて、平面622は可動リップ626を折り返す前は、四角柱部分621に設けられた平面620と同様に上方を指向するため、平面620,622を、例えば1台の印刷機(インクジェットプリンター等)を用いて一度にまとめて印字することができる。これにより、カセット600への印字時間の短縮が可能となる。
【0063】
図9は、本発明の医療検査用カセットのまたさらに別の例を示す図である。なお、図9において、本発明の医療検査用カセット700を構成する各要素は、上記図1に示すカセット100を構成するものと同一のものには同一符号を付している。
【0064】
カセット700は、内側底面102と、当該内側底面102の外周から上方に延びる4つの立壁部105,703,704,706を備える枠体709とから構成される、方形の検体収容部710を備える。検体収容部710は図示しない隔壁によって2つまたはそれ以上に分割されていてもよい。
【0065】
検体収容部710における内側底面102には、図1のカセット100と同様に、検体収容部710の内部と外部(すなわち、内側底面102と外側底面124)とを連通する多数の細孔112が設けられている。
【0066】
本発明において、枠体709の長手方向を構成する立壁部704,706の外側の側面部(長手方向側面部)には、検体情報を印字可能な平面714,716が形成されている。平面714,716は、カセット700の側面からそれらに印字された検体情報の視認をするために有用である。
【0067】
本発明の医療検査用カセット700では、枠体709は、さらに前方部の上側に水平方向に延びる上記検体情報を印字可能な平面720を有する。平面720に印字され得る検体情報としては上記と同様のものが挙げられる。ここで、平面720は、枠体709を構成する立壁部105,703,704,706の上端と略同じ高さとなる位置に配置されている。平面720は、立壁部703から外側に突出した四角柱部分721の1つの側面を構成しており、カセット700の上側から、それに印字された検体情報の視認をするために有用である。
【0068】
また、立壁部703の外側には、検体収容部710をカバーする蓋体(図示せず)の係止片を収容し得る、係止片受容部723が設けられていてもよい。
【0069】
さらに、本発明の医療検査用カセット700では、四角柱部分721の前方部の先端に、縁部725に沿って折り返し可能な可動リップ726が設けられている。図9の(a)において、可動リップ726の上側には水平方向に延びる平面722が形成されている。一方、可動リップ726の底面側には、図9の(b)に示すように四角柱部分721の底面側に設けられた嵌合用孔728と嵌合可能な凸部727が設けられている。
【0070】
本発明の医療検査用カセット700では、図10の(a)に示すように縁部725で可動リップ726を折り返し、可動リップ726に設けられた凸部727を四角柱部分721の嵌合用孔728に嵌合させることにより、可動リップ726上の平面722をカセット700の前方底面部に配置して(図10の(b))、例えばカセット700の外側底面124と面一にすることができる。このような平面722もまた検体情報を印字可能である。平面722に印字され得る検体情報としては上記と同様のものが挙げられる。平面722は、カセット700の底面側から、それに印字された検体情報の視認をするために有用である。加えて、平面722は可動リップ726を折り返す前は、四角柱部分721に設けられた平面720と同様に上方を指向するため、平面720,722を、例えば1台の印刷機(インクジェットプリンター等)を用いて一度にまとめて印字することができる。これにより、カセット700への印字時間の短縮が可能となる。
【0071】
このように本発明の医療検査用カセットは、枠体の長手方向側面部に加えて前方底面部にも印字可能な平面が形成されている。これにより、例えばパラフィンブロックから顕微鏡標本を作製する際に、医療検査用カセットが下方になるように裏返したとしても前方底面部から検体情報を把握することが可能となり、検体の誤認や取り違えを引き起こすリスクを低減できる。
【符号の説明】
【0072】
100,200,300,400,500,600,700 医療検査用カセット
102 内側底面
103,104,105,106,203,303,304,306,403,404,406,503,703,704,706 立壁部
109,209,309,409,509,609,709 枠体
110,210,310,410,510,610,710 検体収容部
112 細孔
118,323,423 係止片受容部
120,122,220,222,314,316,320,414,416,420,422,520,522,620,622,714,716,720,722 平面
121,421 固定リップ
124 外側底面
221,521 三角柱部分
321,621,721 四角柱部分
525,625,725 縁部
526,626,726 可動リップ
527,627,727 凸部
528,628,728 嵌合用孔
図1
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