(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】無線通信端末、無線通信方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 36/20 20090101AFI20240501BHJP
H04W 88/06 20090101ALI20240501BHJP
H04W 36/30 20090101ALI20240501BHJP
H04W 36/14 20090101ALI20240501BHJP
H04B 1/3827 20150101ALI20240501BHJP
【FI】
H04W36/20
H04W88/06
H04W36/30
H04W36/14
H04B1/3827
(21)【出願番号】P 2021189925
(22)【出願日】2021-11-24
【審査請求日】2023-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】山本 和希
【審査官】桑江 晃
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-201730(JP,A)
【文献】国際公開第2017/033606(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00 - 99/00
H04B 1/3827
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3GPP(登録商標)に準拠した方式の第1無線部と前記第1無線部とは無線通信規格が異なる
3GPP(登録商標)以外の方式の第2無線部と、を有する無線通信端末であって、
前記無線通信端末が第1基地局の通信可能範囲から第2基地局の通信可能範囲に移動する際に、
前記第1無線部と前記第2基地局との受信品質が一定以上である場合、
前記第2無線部が有効である場合、前記第2無線部と前記第1基地局の帯域との干渉特性データと、前記第2無線部と前記第2基地局の帯域との干渉特性データとの比較結果に応じて、
前記第1基地局及び前記第2基地局のうちから接続する基地局を選択
し、
前記第2無線部が有効でない場合、かつ前記無線通信端末のバッテリ残量が一定以下である場合、前記無線通信端末の送受信にかかる消費電力データに応じて、前記第1基地局及び前記第2基地局のうちから接続する基地局を選択し、
前記第2無線部が有効でない場合、かつ前記無線通信端末のバッテリ残量が一定以下でない場合、前記第1無線部と前記第1基地局との受信品質レベルと、前記第1無線部と前記第2基地局との受信品質レベルとの比較結果に応じて、前記第1基地局及び前記第2基地局のうちから接続する基地局を選択する、
無線通信端末。
【請求項2】
前記第1無線部と前記第2基地局との受信品質および前記干渉特性データは、接続する基地局の選択のために、周波数帯ごとに順位付けされている、請求項1に記載の無線通信端末。
【請求項3】
前記無線通信端末が前記第1基地局の通信可能範囲及び前記第2基地局の通信可能範囲から、前記第1基地局の通信可能範囲、前記第2基地局の通信可能範囲及び第3基地局の通信可能範囲に移動する際に、
前記第1無線部と第3基地局との受信品質がキャリアアグリゲーション(CA)可能なレベルである場合、前記第1基地局、前記第2基地局及び前記第3基地局のうち、前記第2無線部との干渉結果が一番良好であった基地局をPCC(Primary Component Carrier)としてCA通信を行う、請求項1又は2に記載の無線通信端末。
【請求項4】
前記第2無線部は、Wi-fi及びBluetoothのうちの少なくとも1つを含む、
請求項1~3のいずれかに記載の無線通信端末。
【請求項5】
前記送受信にかかる消費電力データは、接続する基地局の選択のために、周波数帯ごとに順位付けされている、請求項4に記載の無線通信端末。
【請求項6】
前記干渉特性データ、CA特性データ、送信特性データ、受信特性データおよび前記無線通信端末の送受信にかかる消費電力データのうち少なくとも1つを記憶する記憶部を備える、請求項1~5のいずれかに記載の無線通信端末。
【請求項7】
前記干渉特性データ、CA特性データ、送信特性データ、受信特性データおよび前記無線通信端末の送受信にかかる消費電力データのうち少なくとも1つは、管理サーバから受信するように構成される、請求項1~5のいずれかに記載の無線通信端末。
【請求項8】
前記無線通信端末が第1記憶部にて管理されている端末の情報を前記管理サーバに送信し、
その後、前記管理サーバからデータを受信し、前記データを第2記憶部に格納する、請求項7に記載の無線通信端末。
【請求項9】
3GPP(登録商標)に準拠した方式の第1無線部と前記第1無線部とは無線通信規格が異なる
3GPP(登録商標)以外の方式の第2無線部と、を有する無線通信端末を用いた無線通信方法であって、
前記無線通信端末が第1基地局の通信可能範囲から第2基地局の通信可能範囲に移動する際に、
前記第1無線部と前記第2基地局との受信品質が一定以上である場合、
前記第2無線部が有効である場合、前記第2無線部と前記第1基地局の帯域との干渉特性データと、前記第2無線部と前記第2基地局の帯域との干渉特性データとの比較結果に応じて、
前記第1基地局及び前記第2基地局のうちから接続する基地局を選択
し、
前記第2無線部が有効でない場合、かつ前記無線通信端末のバッテリ残量が一定以下である場合、前記無線通信端末の送受信にかかる消費電力データに応じて、前記第1基地局及び前記第2基地局のうちから接続する基地局を選択し、
前記第2無線部が有効でない場合、かつ前記無線通信端末のバッテリ残量が一定以下でない場合、前記第1無線部と前記第1基地局との受信品質レベルと、前記第1無線部と前記第2基地局との受信品質レベルとの比較結果に応じて、前記第1基地局及び前記第2基地局のうちから接続する基地局を選択する、
無線通信方法。
【請求項10】
3GPP(登録商標)に準拠した方式である第1無線部と前記第1無線部とは無線通信規格が異なる
3GPP(登録商標)以外の方式の第2無線部と、を有する無線通信端末を用いた無線通信方法をコンピュータにより実行させるプログラムであって、前記無線通信方法は、
前記無線通信端末が第1基地局の通信可能範囲から第2基地局の通信可能範囲に移動する際に、
前記第1無線部と前記第2基地局との受信品質が一定以上である場合、
前記第2無線部が有効である場合、前記第2無線部と前記第1基地局の帯域との干渉特性データと、前記第2無線部と前記第2基地局の帯域との干渉特性データとの比較結果に応じて、
前記第1基地局及び前記第2基地局のうちから接続する基地局を選択
し、
前記第2無線部が有効でない場合、かつ前記無線通信端末のバッテリ残量が一定以下である場合、前記無線通信端末の送受信にかかる消費電力データに応じて、前記第1基地局及び前記第2基地局のうちから接続する基地局を選択し、
前記第2無線部が有効でない場合、かつ前記無線通信端末のバッテリ残量が一定以下でない場合、前記第1無線部と前記第1基地局との受信品質レベルと、前記第1無線部と前記第2基地局との受信品質レベルとの比較結果に応じて、前記第1基地局及び前記第2基地局のうちから接続する基地局を選択する、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無線通信端末、無線通信方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、モバイルルータやスマートフォンなどのWAN通信可能な端末が基地局と接続する際は、まず、当該端末は通信会社が定めた順番に従って基地局をスキャンしていき、接続可能と判断した場合は基地局と接続する。通信会社が優先してスキャンするように定めた基地局では接続が不可能であった場合は、3GPP(Third Generation Partnership Project)に準拠した方法で基地局との接続を確立させる。また、特定の基地局と接続中で他の基地局へと接続を切り替えたい場合(ハンドオーバーと呼ばれる)は、端末はRS(Reference Signal)と呼ばれる信号の強度を測定し、複数のRS信号を比較することにより、受信品質のより高い基地局へとハンドオーバーすることができる。
【0003】
受信品質の優劣以外で基地局との接続を選択する多数の例が存在する(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、受信品質が高いということが端末にとって最善の選択であるとは必ずしも言い切れない。例えば、基地局Aと基地局Bがあったとする。ある瞬間において、基地局Aの受信品質が基地局Bの受信品質より勝っていた場合、基本的には、端末は基地局Aと接続する。しかしながら、仮に端末がWi-fiやBluetoothのような別の無線通信規格と同時に使用すると基地局Aの周波数の受信品質は劣化し、基地局Bの周波数の受信品質は劣化しないということであれば、端末の最善の選択としては基地局Aを選ぶべきではない(すなわち、基地局Bを選ぶべきである)。また、同じように基地局Aと基地局Bがあったとして、受信品質は基地局Aが基地局Bより勝っているとする。この時、仮に端末のバッテリ残量が少なく、端末の消費電力が基地局Aの周波数の方が多いとした場合、この場合でも端末の最善の選択としては基地局Bを選ぶべきである。
【0006】
このように、単純に受信品質の優劣で基地局を選択するだけでは、端末が持つ総合的な製品性能を無視することになり、必ずしも最善の選択とはならないケースが多々発生してしまう。ユーザが快適に端末を使用するためには常に端末それぞれにとって最善の選択によって通信が確保されるべきであると考える。
【0007】
特許文献1では、より無線通信が安定する基地局に接続させる手段として、端末装置が、基地局装置から送信されるビーム毎に無線品質を測定し、各基地局装置に対して所定の無線品質を満たす接続可能ビームの個数を算出し、接続可能ビームの個数の多さの度合いを表す基地局選択指標を基地局装置毎に生成し、基地局選択指標に基づいて複数の基地局装置の中から自端末装置の接続先に選択された基地局装置に対して無線により通信の接続を行っている。しかし、特許文献1においても受信品質に使用する信号の個数を増やしただけで、端末にとって最善の基地局選択であるとは言い難い。
【0008】
本開示は、このような問題点を解決するためになされたものであり、異なる無線通信規格の干渉など装置の状況に応じて基地局選択可能な無線通信端末、無線通信方法、及びプログラム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の第1の態様にかかる無線通信端末は、第1無線部と前記第1無線部とは無線通信規格が異なる第2無線部と、を有する無線通信端末であって、
前記無線通信端末が第1基地局の通信可能範囲から第2基地局の通信可能範囲に移動する際に、
前記第1無線部と前記第2基地局との受信品質が一定以上である場合、
前記第2無線部が有効である場合、前記第2無線部と前記第1基地局の帯域との干渉特性データと、前記第2無線部と前記第2基地局の帯域との干渉特性データとの比較結果に応じて、接続する基地局を選択する。
【0010】
本開示の第2の態様にかかる無線通信方法は、第1無線部と前記第1無線部とは無線通信規格が異なる第2無線部と、を有する無線通信端末を用いた無線通信方法であって、
前記無線通信端末が第1基地局の通信可能範囲から第2基地局の通信可能範囲に移動する際に、
前記第1無線部と前記第2基地局との受信品質が一定以上である場合、
前記第2無線部が有効である場合、前記第2無線部と前記第1基地局の帯域との干渉特性データと、前記第2無線部と前記第2基地局の帯域との干渉特性データとの比較結果に応じて、接続する基地局を選択する。
【0011】
本開示の第3の態様にかかるプログラムは、第1無線部と前記第1無線部とは無線通信規格が異なる第2無線部と、を有する無線通信端末を用いた無線通信方法をコンピュータにより実行させるプログラムであって、前記無線通信方法は、
前記無線通信端末が第1基地局の通信可能範囲から第2基地局の通信可能範囲に移動する際に、
前記第1無線部と前記第2基地局との受信品質が一定以上である場合、
前記第2無線部が有効である場合、前記第2無線部と前記第1基地局の帯域との干渉特性データと、前記第2無線部と前記第2基地局の帯域との干渉特性データとの比較結果に応じて、接続する基地局を選択する。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、異なる無線通信規格の干渉など装置の状況に応じて基地局選択可能な無線通信端末、無線通信方法、及びプログラム等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施の形態1にかかる無線通信端末の構成を示すブロック図である。
【
図2】実施の形態1にかかる無線通信方法を示すフローチャートである。
【
図3】実施の形態2にかかる無線通信方法を示すフローチャートである。
【
図4】実施の形態2にかかる移動無線通信端末の構成を示すブロック図である。
【
図5】実施の形態2にかかる移動無線通信端末が動作する第1の通信環境を示した簡易図である。
【
図6】実施の形態2にかかる移動無線通信端末が動作する第2の通信環境を示した簡易図である。
【
図7】実施の形態3にかかる移動無線通信端末の動作を示すフローチャートである。
【
図8】実施の形態3にかかる移動通信端末の構成を示すブロック図である。
【
図9】実施の形態3にかかる移動通信端末が動作する通信環境を示した簡易図である。
【
図10】実施の形態4にかかる移動無線通信端末の動作を示すフローチャートである。
【
図11】実施の形態4にかかる移動無線通信端末の構成を示すブロック図である。
【
図12】実施の形態4にかかる移動無線通信端末が利用可能なチャネルのリストを示す図である。
【
図13】実施の形態5にかかる移動無線通信端末の動作を示すフローチャートである。
【
図14】実施の形態5にかかる移動無線通信端末の構成を示すブロック図である。
【
図15】実施の形態5にかかる移動無線通信端末が動作する第1の通信環境を示した簡易図である。
【
図16】実施の形態5にかかる移動無線通信端末が動作する第2の通信環境を示した簡易図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を適用した具体的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、本発明が以下の実施形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載および図面は、適宜、簡略化されている。
【0015】
<実施の形態1>
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、実施の形態1にかかる無線通信端末の構成を示すブロック図である。
無線通信端末1は、異なる2つ以上の無線通信規格で通信可能な装置であり得る。無線通信端末1CPU(Central Processing Unit)などの制御部16とメモリなど記憶部13を有するコンピュータにより実現され得る。
図1に示すように無線通信端末1は、第1無線部11、第2無線部12、制御部16、データ比較処理部14、及び記憶部13を有する。記憶部13は、干渉特性データを記憶する。
【0016】
無線通信端末1は、第1無線部11と第1無線部11とは無線通信規格が異なる第2無線部12と、を有する。無線通信端末1は、第1基地局の通信可能範囲から第2基地局の通信可能範囲に移動する際に、第1無線部11と第2基地局との受信品質が一定以上である場合、第2無線部12が有効である場合、第2無線部12と第1基地局の帯域との干渉特性データと、第2無線部12と前記第2基地局の帯域との干渉特性データとの比較結果に応じて、接続する基地局を選択するように構成されている。
【0017】
図2は、実施の形態1にかかる無線通信方法を示すフローチャートである。
無線通信端末1が、第1基地局の通信可能範囲から第2基地局の通信可能範囲に移動する(ステップS101)。無線通信端末1の制御部16は、第1無線部11と第2基地局との受信品質が一定以上であると判定する(ステップS102)。無線通信端末1の制御部16は、第2無線部12が有効であると判定する(ステップS103)。次に、データ比較処理部14は、第2無線部12と第1基地局の帯域との干渉特性データと、第2無線部12と前記第2基地局の帯域との干渉特性データとを比較する(ステップS104)。無線通信端末1の制御部16は、比較結果に応じて、接続する基地局を選択する。
【0018】
以上説明した実施の形態1にかかる無線通信装置及び方法によれば、異なる無線通信規格間の干渉など装置の状況に応じて好適な基地局を選択することができる。
【0019】
<実施の形態2>
本開示に係る通信システムは、1台のWAN通信(WCDMA(登録商標),LTE,5G-NR等)可能な移動無線通信端末(以下、端末と称する)と、当該端末が接続可能な複数の基地局(A、B、Cなど)と、で構成され得る。端末が複数の基地局と通信可能な条件にある場合、端末は端末自身に格納された端末の評価データ(本明細書では、無線特性データとも呼ばれ得る。)を読み込んで、端末にとって一番都合が良い基地局との接続を確立させる。無線特性データは、例えば、無線試験における性能評価データや生産段階において検査される無線データ等であり得る。これにより、通信品質の安定や製品寿命の向上を目的とする。
【0020】
本開示では、端末自身が持つ無線特性データと端末の環境の双方の視点から、無線通信が安定し、かつ最適な基地局を選択する。ここでいう無線特性データとは、一般的な端末に格納されている校正データ(キャリブレーションデータとも呼ばれ得る)ではない。校正データとは、適切なレベルで送信データを出力したり、送信レベルをコントロールしたり、安定的に信号を受信したりするためのデータである。この校正データは無線通信端末として機能するために必要不可欠であるため、どの端末にも必ずデータが格納されている。
【0021】
一方、本発明に使用する無線特性データは、3GPP(Third Generation Partnership Project)規格や電波法規格、他無線との干渉特性や通信時の消費電力値など、本来は端末には格納されておらず、製品の性能テストや出荷前の検査で測定されるデータのことである。これらの無線特性データは端末自身の無線特性の実力を表すので、それを参照することによって端末がどの周波数が安定し、どの周波数が不安定かは瞬時に判定することができる。それに加えて、端末の実使用状況を加味することによって、理論値と実力値の両方から基地局選択をアプローチできるので、より最適な基地局選択が可能となる。
【0022】
ここで、本発明の1つの実施形態である、ある端末が特定の基地局と接続している状態で他の基地局とも接続可能な状態になったとき、端末の状況と端末が持つ無線性能データから、最善な基地局を選択して通信を行う動作を
図3のフローチャートと
図4のブロック図、
図5及び
図6を参照して説明する。
【0023】
図3は、端末1が特定の基地局と接続している状態から、別基地局とも通信可能な範囲に侵入したときに、端末1が持つ無線特性データを活用して、端末1にとって最善な基地局を選択して通信を行う一連の動作を示すフローチャートである。
図4は、移動無線通信端末1の動作を構成する機能を示したブロック図である。
図5及び
図6は、移動無線通信端末1が動作する第1の通信環境31及び第2の通信環境32を示した簡易図である。
【0024】
無線通信端末1は、
図4に示すように、無線部21、他無線部22、記憶部23、データ比較・処理部24、バッテリ残量監視部25、制御部26を有する。記憶部23には、干渉特性データブロック231、消費電力データブロック232、送信特性データブロック233、受信特性データブロック234などが記憶されている。
【0025】
図5の第1の通信環境31のように、端末1が基地局Aの通信可能範囲CR1に存在しているとする(
図3のS301)。端末1が移動し、
図6の第2の通信環境32のように基地局Bの通信可能範囲CR2(すなわち、通信可能範囲CR1と通信可能範囲CR2との重複領域)に侵入した時(S302)、端末1は無線部21(本明細書では第1無線部とも呼ばれ得る)にて、基地局Bとの受信品質を調査する(S303)。制御部26は、無線部21と基地局Bとの受信品質が、通信を行う上で最低限の品質は保たれている(品質閾値以上である)と判断した場合(S303でYES)、制御部26は、端末の状況に応じた仕分け(後述の一連のプロセス)を開始していく。なお、無線部21と基地局との受信の品質レベル(又は閾値)は任意に設定してよい。無線部21と基地局Bとの受信品質が一定のレベル未満の場合は(S303でNO)、端末1は、基地局Aとの接続を継続する(S304)。
【0026】
まず基地局Bの受信品質レベルが一定以上だった場合(S303でYES)、端末1は現在基地局とやり取りをしている無線規格以外の無線規格(例えば、Wi-fi、Bluetooth等)が有効か、それとも無効かを他無線部22(本明細書では第2無線部とも呼ばれ得る)の有効・無効で判断する(S305)。他無線部22が有効であった場合(S305でYES)、端末1のデータ比較・処理部24は、記憶部23に格納された、基地局Aに対応する通信帯域(BandA)と他無線規格との干渉特性データと、基地局Bに対応する通信帯域(BandB)の他無線規格との干渉特性データとを比較する(S316)。これらの干渉特性データは、端末1の記憶部23内の干渉特性データブロック231に格納されている。それらのデータの抽出や比較はデータ比較・処理部24で実施される。データを比較した結果、他無線部22と基地局Aの帯域(BandA)との干渉特性の方が、他無線部22と基地局Bの帯域(BandB)との干渉特性より、良好である(干渉が少ない)と判断された場合(S317でYES)、端末1は基地局Aとの接続を継続する。反対に他無線部22と基地局Bの帯域との干渉特性の方が、他無線部22と基地局Aの帯域との干渉特性より、良好であると判断した場合は(S317でNO)、端末1は、基地局Aから基地局Bへのハンドオーバー処理を実行する(S318)。
【0027】
なお、干渉特性の例示的な測定方法は以下の通りである。まず、正確な干渉特性データを取得するため、評価環境は周囲の電波が完全に遮断される電波暗室と呼ばれる特別な部屋で実施する。その後は、端末1の他無線部22を送信状態にしておいて、Band AやBand Bの受信品質を測定、もしくはその逆としてBand AやBand Bを送信状態にしておいて他無線部の受信品質を測定、という評価を実施する。その後、他無線部22が無効の状態の受信品質と比較して劣化がある否か、及びBand AやBand Bが他無線部22に影響を与えるか否かを決定する。
【0028】
他無線部22が有効でないと判断した場合(S305でNO)、次に、端末1は、バッテリ残量をバッテリ残量監視部25にて確認する(S309)。バッテリ残量が一定以下だった場合(S309でYES)、端末1はまず現状の送信出力がどのレベルになるかを基地局Aと基地局Bの双方について確認する(S310)。次に送信と同じように、受信の電界強度についても基地局Aと基地局Bの双方を確認する(S311)。送受信共に現状の状況が確認できたら、それに応じた送受信の電力値を記憶部23の消費電流データブロック232から抽出する(S312)。その後、データ比較・処理部24は、抽出した結果、すなわち、基地局Aへの送受信にかかる消費電力値と、基地局Bへの送受信にかかる消費電力値を比較する(S313)。比較の結果、基地局Aへの送受信にかかる消費電力値が基地局Bへの送受信にかかる消費電力値より優れている(すなわち、少ない)場合は、端末1は、基地局Aとの通信を継続する。一方、基地局Bへの送受信にかかる消費電流値が、基地局Bへの送受信にかかる消費電力値より優れている(すなわち、少ない)場合は、端末1は、基地局Aから基地局Bへのハンドオーバー処理に移行する。
【0029】
バッテリ残量が一定値を超える場合と判断した場合は(S309でNO)、通常通りに無線部21と基地局Aとの受信品質レベルと、無線部21と基地局Bとの受信品質レベルとを比較し(S314)、無線部21と基地局Aとの受信品質レベルが、無線部21と基地局Bとの受信品質レベルより良好であれば(S317でYES)、端末1は無線部21と基地局Aとの接続を継続する(S304)。一方、無線部21と基地局Bとの受信品質レベルが、無線部21と基地局Aとの受信品質レベルより良好であれば(S317でNO)、端末1は、基地局Aから基地局Bへのハンドオーバー処理に移行する(S318)。
【0030】
無線部の制御や記憶部に格納されているデータの比較制御、バッテリ残量の監視制御などは全て制御部26にて行われる。また、
図3のフローチャートにおけるS305とS309の順序は、装置の状況に応じて逆でも良いし、それ以外に記憶部に格納されているデータで使用可能なデータがあれば、選択肢を追加しても良い。記憶部に格納できる情報は多岐に渡り、端末自体で取得したデータを格納しておき基地局選択に活用できるのはもちろんのこと、端末の型番共通の無線特性として、端末自身ではないが代表して取得したデータを格納して活用しても良い。
【0031】
図3のフローチャートは、実行の具体的な順番を示しているが、実行の順番は描かれている形態と異なっていてもよい。例えば、2つ以上のステップの実行の順番は、示された順番に対して入れ替えられてもよい。また、
図3の中で連続して示された2つ以上のステップは、同時に、または部分的に同時に実行されてもよい。さらに、いくつかの実施形態では、
図3に示された1つまたは複数のステップがスキップまたは省略されてもよい。
【0032】
以上説明した本実施の形態によれば、無線特性データを使用して、最適な基地局を選択でき、より安定した無線通信が可能な基地局を選択することができる。
【0033】
<実施の形態3>
本発明の実施の形態3は、基本的なフローは前述の実施形態と同様であるが、無線特性データの格納場所及び管理方法を管理サーバで行うように工夫している。実施の形態3にかかる動作を
図7のフローチャート、
図8のブロック図、
図9の簡易図を用いて説明する。
図7は、端末が特定の基地局と接続している状態から、別基地局とも通信可能な範囲に侵入したときに、端末が持つ無線特性データを活用して、端末にとって最善な基地局を選択して通信を行う一連の動作を示すフローチャートである。
図8は、本実施形態にかかる、移動無線通信端末1の動作を構成する機能を示したブロック図である。
図9は、本実施形態にかかる、移動無線通信端末1が動作する通信環境を示した簡易図である。
【0034】
無線通信端末1は、
図8に示すように、無線部51、他無線部52、第1記憶部531、第2記憶部532、データ比較・処理部54、バッテリ残量監視部55、及び制御部56を含む。
【0035】
無線通信端末1は、
図9に示すように管理サーバ6と有線又は無線ネットワークを介して接続され得る。
【0036】
端末1が基地局Aの無線通信可能範囲に存在している状態から、基地局Bとも無線通信可能な範囲に移動し(S402)、無線部51と基地局Bの受信品質レベルを確認し、当該受信品質レベルが一定未満であれば(S403でNO)、基地局Aとの接続を継続する(S404)。これらのフローまでは、実施形態2と同様であるので、詳細は省略する。
【0037】
この実施形態3においては、無線部51と基地局Bとの受信品質レベルが一定以上であったとき(S403でYES)、端末1は基地局Bに接続すべきか否かを判断するため、端末1はまず管理サーバ6に問い合わせを行う。この管理サーバ6には端末個々の無線特性データが格納・保存・管理されている。
図9の通信環境61のように、端末1が基地局Aの無線通信接続可能範囲CR1から基地局Bの無線通信接続可能範囲CR2に侵入した時、端末1は第1記憶部531(
図8)にて管理されている端末の情報を、管理サーバ6に送信する(S405)。第1記憶部531に格納されている情報は、例えば、端末を一意に識別する識別番号や、バッテリ残量、他無線部の有効・無効、接続可能な基地局の情報、過去の接続情報等でありうる。端末1から端末情報を受信した管理サーバ6は、端末1が現在置かれている状況を把握し、情報の内容によって必要な情報を端末1に送り返す。例えば、端末1が基地局Aと基地局Bと通信可能であるという情報をサーバに上げた場合は、その各基地局に対応するBandの無線特性データを端末1に返すことができる。管理サーバ6には、端末1の無線検査時のデータ等が保存されている。
【0038】
端末1は管理サーバ6からデータを受信し(S406)、その後、データを第2記憶部532に格納し、データの比較をデータ比較・処理部54にて実施する(S407)。比較の結果、基地局Aのデータの方が、基地局Bのデータより良好だった場合は(S408でYES)、基地局Aとの接続を継続する(S404)。一方、基地局Bのデータの方が基地局Aのデータより良好だった場合は(S408でNO)、端末1は、基地局Aから基地局Bにオーバー処理を実施する(S409)。
【0039】
図7のフローチャートは、実行の具体的な順番を示しているが、実行の順番は描かれている形態と異なっていてもよい。例えば、2つ以上のステップの実行の順番は、示された順番に対して入れ替えられてもよい。また、
図7の中で連続して示された2つ以上のステップは、同時に、または部分的に同時に実行されてもよい。さらに、いくつかの実施形態では、
図7に示された1つまたは複数のステップがスキップまたは省略されてもよい。
【0040】
このようにして、端末1は、管理サーバ6に管理されている端末データを参照して基地局選択を実施する。これにより、端末自身に記憶した無線特性データは管理側ではアプローチを行うことができず、管理が難しい場合があるが、管理サーバにおいて、多数の端末のデータの一括管理・運用が容易になる。また、端末1は管理サーバ6に対して最善な基地局選択を実施するために、定期的にアクセスを試みることになるが、そのアクセス履歴を管理サーバ6に保管しておけば、どの端末1がどういう環境で主に使用されているかを示す分布が分かるので、後継の製品の開発にも役立てることが可能となる。
【0041】
<実施の形態4>
本発明の実施形態4は、基本的なフローは前述の実施形態と同様であるが、無線特性データの比較は周波数の違う基地局Aと基地局Bとの間だけに限ったものではない。基地局Aの同帯域の異なる周波数においても端末にとって最適な周波数選択がなされるべきである。その動作を
図10のフローチャートと
図11のブロック図と
図12を用いて説明する。
図10は、端末が特定の基地局と接続している状態から、別基地局とも通信可能な範囲に侵入したときに、端末が持つ無線特性データを活用して、端末にとって最善な基地局を選択して通信を行う一連の動作を示すフローチャートである。
図11は、本実施形態にかかる、移動無線通信端末の動作を構成する機能を示したブロック図である。
図12は、本実施形態にかかる、移動無線通信端末が利用可能なチャネルのリストを示した図である。
【0042】
図11に示すように、無線通信端末1は、無線部81、他無線部82、記憶部83、データ処理部84、バッテリ残量監視部85、制御部86を含む。記憶部83には、干渉特性データブロック831、消費電力データブロック832、送信特性データブロック833、受信特性データブロック834などが記憶されている。
【0043】
LTE(Long Term Evolution)等のWAN通信の周波数帯はWi-fi等の周波数帯に比べると狭いため、周波数で大きな無線特性差はないと考えられ得る。しかし、装置によっては数MHzのずれで大きな性能差が生じる場合もある。特性の良い周波数が空いているにも関わらず、特性の悪い周波数で通信し続けてしまうということが起こりうる。この問題を解決するため、周波数選択に際しも、前述した無線特性データを使用する。
【0044】
端末1が基地局Aのある周波数(以降、CHと表す)で通信しているとする(S701)。端末1は一定間隔で基地局A内のCHの受信品質レベルを無線部81にて基地局Aから受信する(S702)。他CHの受信品質レベルが一定未満である場合は(S703でNO)、CH1との接続を継続する(S704)。
【0045】
一方、他CHの受信品質レベルが一定以上のCHが存在した場合は(S703でYES)、他CHへ移動するべきかについての検証をする必要がある。まず、端末1は記憶部83に、
図12に示すような端末自身の無線特性データを持っている。
図12は、帯域ごとに利用可能なCHのリストを示す。
図12では、帯域(Band A、B、C)ごとに無線特性データが分かれており、さらに特性の項目(例えば、送信特性及び受信特性)ごとにもデータが分かれている。そのデータはCHごとに評価結果であり、特性が良い順に並べられている。このデータは端末自身のデータであるため不変であり、何らかの影響でデータが修正されたり、順位が入れ替わったりすることはない。ただし、新たな項目の追加や仕分けの変更は可能である。
【0046】
次に端末1は端末自身の他無線部82が有効であるかを確認し(S705)、有効であれば(S705でYES)、記憶部83の干渉データリスト831を参照し(S706)する。干渉データリスト831は、CHごとに評価結果が順位付けされている。次いで、リストの中から空いているCHをデータ処理部84にて抽出する。抽出した中でCH1が順位付けされたリスト内の最上位(すなわち、特性が最も良い)であれば(S707)、CH1との通信を継続し、他CHが順位付けされたリスト内の最上位であれば、他CHに接続切り替えを行う(S708)。
【0047】
他無線部82が無効であった場合は(S705でNO)、バッテリ残量監視部85にてバッテリ残量を確認し(S709)、一定値以下である場合は記憶部83の中にある消費電力リスト832を参照するし(S710)。消費電力リスト832は、CHごとに評価結果が順位付けされている。次いで、リストの中から空いているCHを抽出す。後は干渉データリスト確認時と同様に、CH1が順位付けされたリストの最上位であればCH1との通信を継続し、他CHが順位付けされたリスト内の最上位であれば、他CHと接続切り替えを行う。最後に、バッテリ残量も一定値を超える場合は受信品質レベルを確認し(S711)、CH1が最も品質が良ければCH1との接続を継続する(S704)。一方、他CHの品質が良ければ(S707でNO)、他CHとの接続切り替えを行う(S708)。この一連のシステムは全て制御部86にて制御される。
【0048】
図10のフローチャートは、実行の具体的な順番を示しているが、実行の順番は描かれている形態と異なっていてもよい。例えば、2つ以上のステップの実行の順番は、示された順番に対して入れ替えられてもよい。また、
図10の中で連続して示された2つ以上のステップは、同時に、または部分的に同時に実行されてもよい。さらに、いくつかの実施形態では、
図10に示された1つまたは複数のステップがスキップまたは省略されてもよい。
【0049】
このようにして、別基地局との接続切り替えだけではなく、同基地局内で別CHに切り替える状況においても、端末の無線特性データを参照することは、最善のCH選択を行う上で有用である。
【0050】
<実施の形態5>
本発明の実施形態5は、基本的なフローは前述の実施形態と同様であるが、CA(Carrier Aggregation)時においても、無線特性データを使用して最善のCAの組み合わせを選択することが可能である。その動作を
図13のフローチャートと
図14のブロック図と
図15及び
図16を用いて説明する。
図13は、端末が特定の基地局と接続している状態から、別基地局とも通信可能な範囲に侵入したときに、端末が持つ無線特性データを活用して、端末にとって最善な基地局を選択して通信を行う一連の動作を示すフローチャートである。
図14は、移動無線通信端末の動作を構成する機能を示したブロック図である。
図15及び
図16は、移動無線通信端末が動作する第1の通信環境121及び第2の通信環境122を示した簡易図である。
【0051】
図14に示すように、無線通信端末1は、無線部111、他無線部112、記憶部113、データ比較・処理部114、バッテリ残量監視部115、制御部116を含む。記憶部113には、干渉特性データブロック1131、消費電力データブロック1132、送信特性データブロック1133、受信特性データブロック1134、CA特性データブロック1135が記憶されている。
【0052】
CAとは、複数のLTE Bandを用いて通信を行うことであり、例えば
図15の第1の通信環境121ように、端末1が基地局Aと基地局Bの両方とも通信可能な範囲CR1及びCR2に存在している場合に、どちらか一方の基地局のみと通信を行うのではなく、両方の基地局A、Bと通信を行うことである。また、CAにはULCA(UpLink Carrier Aggregation)とDLCA(DownLink Carrier Aggregation)の2つが存在し、本発明でいうCAとはDLCAのことである。さらに、CAにはPCC(Primary Component Carrier)とSCC(Secondary Component Carrier)というキャリアの違いがあり、一般的にPCCは送受信を行うキャリアであり、SCCは受信のみを行うキャリアでありうる。
【0053】
本発明では一例として、基地局Aと基地局BでCA通信(PCCは基地局A)している状態から、基地局Aと基地局Bだけでなく、基地局Cとも通信可能な範囲に侵入した場合の、CA選択の動作を説明する。
【0054】
図15の第1の通信環境121のように、端末1は、基地局Aと基地局BでCA通信(PCCは基地局A)している状態から(S1001)、
図16の第2の通信環境122のように基地局Aと基地局Bだけでなく、基地局Cとも通信可能な範囲に侵入した時(S1002)、端末1は無線部111にて、基地局CがCA可能な受信品質レベルであるかどうかを確認する(S1003)。基地局Cの受信品質レベルがCA可能なレベルを満たさなかった場合は(S1003でNO)、基地局AとBでのCA通信を継続する(S1004)。一方、基地局Cの受信品質レベルがCA可能なレベルを満たしている場合は(S1003でYES)、端末の特性と現在の状況を加味して、どの基地局をPCCとしてCA通信させるのが最善か検証する。まず端末1はバッテリ残量監視部115からバッテリ残量を確認し(S1005)、他無線部112から他無線の有効・無効を確認する(S1006)。この2つの情報の組み合わせによって端末1が参考にする情報が異なってくる。
【0055】
まず、バッテリ残量が規定値超過で他無線部112が無効であった場合(S1007)、端末1は記憶部113の中にあるCA特性データ1135を参照して、各基地局A,B,CでそれぞれがPCCの場合の特性データをデータ比較・処理部114にて比較する(S1008)。その後、データを比較した中で最も特性の良い組み合わせでCA通信を実施する(S1009)。最も良い特性は基本的に最高通信速度によって決まる。通信速度が同じの場合は、送信特性、受信特性、ノイズ耐性、等を比較して総合的に判断する。それらの判断基準は設計者が任意に設定することができる。
【0056】
次に、バッテリ残量が規定値以下で他無線部112が無効であった場合(S1010)、端末1は前述の実施形態と同様に、各基地局から送信出力値を得て(S1011)、送信出力値から端末の送信電力値を記憶部113の消費電力データ1132にて算出し(S1012)、消費電力値を比較する(S1013)。その中で一番消費電力値の低い基地局をPCCとしてCA通信を行う(S1014)。
【0057】
さらに、バッテリ残量が規定値超過で他無線部112が有効であった場合は(S1015)、他無線部112との干渉データを記憶部の干渉特性データ1141にて確認する(S1016)。その後、基地局Aと基地局Bと基地局Cのうち、他無線部112との干渉結果が一番良好であった基地局をPCCとしてCA通信を行う(S1017)。
【0058】
最後に、バッテリ残量が規定値以下で他無線部も有効であった場合は(S1018)、これまで端末の状況ごとに参照してきたデータを全て参照する。CA特性データの比較(S1019)、消費電力の比較(S1020)、干渉データの比較(S1021)をそれぞれ実施し、順位付けをする。順位は良い順でも悪い順でも良い。良い順位の場合は上から点数を1点、2点、3点と付け、総合的に点数が低かった基地局をPCCとしてCA通信する(S1022)。逆に点数を上から3点、2点、1点とした場合は点数が高かった基地局がPCCということになる。これらの端末の各ブロックの動作は全て制御部116にて制御される。
【0059】
図13のフローチャートは、実行の具体的な順番を示しているが、実行の順番は描かれている形態と異なっていてもよい。例えば、2つ以上のステップの実行の順番は、示された順番に対して入れ替えられてもよい。また、
図13の中で連続して示された2つ以上のステップは、同時に、または部分的に同時に実行されてもよい。さらに、いくつかの実施形態では、
図13に示された1つまたは複数のステップがスキップまたは省略されてもよい。
【0060】
このようにして、無線特性データをCAの組み合わせにも応用することによって、端末の状況に応じて最善なCA組み合わせを選択することが可能となる。本実施例では3つのキャリアを例に取った3CAで説明したが、キャリア数はいくつになっても同じ仕組みで最適な組み合わせを選択することができる。
【0061】
以上説明した各実施形態は、以下に記載するような効果を奏する。
第1の効果は、端末が基地局選択時に端末自身の無線特性データを活用することにある。第2の効果は、端末が基地局選択時において、端末の状況に応じて比較する無線特性データを変更していることにある。第3の効果は、端末の他無線部が有効であれば、無線干渉のデータを比較して、最適な基地局選択をすることにある。第4の効果は、端末のバッテリ残量が一定以下であれば、端末の消費電力データを比較して最適な基地局を選択することにある。第5の効果は、端末の無線特性データをサーバ上に管理しておくことにより、端末のデータ運用がより容易になることにある。第6の効果は、基地局選択時だけでなく、同基地局のCH切り替え時にも無線特性データを活用できることにある。第7の効果は、無線特性データをリスト化し、CHごとに順位付けしておくことで、端末の状況に応じて、常に最良のCHにおいて通信できることが可能なことにある。第8の効果は、基地局選択時だけでなく、CA(Carrier Aggregation)の組み合わせ選択時にも無線特性データを活用できることにある。
【0062】
上述の実施形態では、ハードウェアの構成として説明したが、これに限定されるものではない。本開示は、任意の処理を、プロセッサにコンピュータプログラムを実行させることにより実現することも可能である。
【0063】
上述の例において、プログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、実施形態で説明された1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、random-access memory(RAM)、read-only memory(ROM)、フラッシュメモリ、solid-state drive(SSD)又はその他のメモリ技術、CD-ROM、digital versatile disc(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、またはその他の形式の伝搬信号を含む。
【0064】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。以上で説明した複数の例は、適宜組み合わせて実施されることもできる。
【符号の説明】
【0065】
A、B、C 基地局
1 無線通信端末
6 管理サーバ
11 第1無線部
12 第2無線部
13 記憶部
131 干渉特性データ
14 データ比較・処理部
16 制御部
21 無線部
22 他無線部
23 記憶部
231 干渉特性データブロック
232 消費電力データブロック
233 送信特性データブロック
234 受信特性データブロック
24 データ比較・処理部
25 バッテリ残量監視部
26 制御部
31 第1の通信環境
32 第2の通信環境
51 無線部
52 他無線部
531 第1記憶部
532 第2記憶部
54 データ比較・処理部
55 バッテリ残量監視部
56 制御部
81 無線部
82 他無線部
83 記憶部
831 干渉特性データブロック
832 消費電力データブロック
833 送信特性データブロック
834 受信特性データブロック
84 データ処理部
85 バッテリ残量監視部
86 制御部
111 無線部
112 他無線部
113 記憶部
1131 干渉特性データブロック
1132 消費電力データブロック
1133 送信特性データブロック
1134 受信特性データブロック
1135 CA特性データブロック
114 データ比較・処理部
115 バッテリ残量監視部
116 制御部