(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】処理されるウェブ材料の評価システムを備えた巻取り装置及び方法
(51)【国際特許分類】
B65H 23/188 20060101AFI20240501BHJP
B65H 23/038 20060101ALI20240501BHJP
B65H 43/08 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
B65H23/188
B65H23/038 Z
B65H43/08
(21)【出願番号】P 2021521021
(86)(22)【出願日】2019-10-15
(86)【国際出願番号】 IB2019058762
(87)【国際公開番号】W WO2020079576
(87)【国際公開日】2020-04-23
【審査請求日】2022-10-14
(31)【優先権主張番号】102018000009481
(32)【優先日】2018-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】520117617
【氏名又は名称】イタリア テクノロジー アライアンス ソチエタ レスポンサビリタ リミタータ
【氏名又は名称原語表記】ITALIA TECHNOLOGY ALLIANCE S.R.L.
【住所又は居所原語表記】Via Luigi Carlo Farini, 11, 40124 Bologna, ITALY
(74)【代理人】
【識別番号】100194113
【氏名又は名称】八木田 智
(72)【発明者】
【氏名】アッチャーリ,ジュゼッペ
(72)【発明者】
【氏名】バルサッチ,フェルナンド
(72)【発明者】
【氏名】ジェッリ,フィリッポ
【審査官】大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-276919(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 23/188
B65H 23/038
B65H 43/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェブ材料(N)を複数の二次リール(BS)に巻き取るための装置(1;100)であって、
・互いに同軸で隣接する二次巻芯(T)を受け取るように適合された巻取りステーション(3;101)と、
ウェブ材料(N)の供給方向に関して巻取りステーション(3;101)の上流側に配置され、ウェブ材料を複数のウェブ材料のストリップ(S1~S5)に分割するように適合された、複数のブレード(13;105)を有する切断装置(11;104)と、
ウェブ材料評価システムと、
ウェブ材料評価システムによって収集されたデータを処理するためのプログラム可能なユニット(71)と
を備えて
おり、
前記ウェブ材料評価システムが、前記ウェブ材料の少なくとも一つの長手方向の縁部の位置及び前記ウェブ材料の少なくとも一つのストリップの幅の少なくとも一つを検出するように適合され、
前記プログラム可能なユニット(71)が、ウェブ材料評価システムの検出の関数として、ウェブ材料(N)の少なくとも一つの供給部材の少なくとも一つのパラメータを調節するように構成されている
ことを特徴とする巻取り装置。
【請求項2】
前記プログラム可能なユニット(71)が、前記少なくとも一つのパラメータを調節して、ウェブ材料の張力の調節をするか、又は、ウェブ材料の横方向へのずれを防止するように構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記パラメータが、前記少なくとも一つの供給部材の速度である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記ウェブ材料評価システムが、ウェブ材料(N)の画像を撮影するための画像撮影システム(51、53、61、121、122)を備えている
ことを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記画像撮影システムが、
・ウェブ材料(N)の第一面をフレームに収めるように適合された単一のカメラ(51、53、61、121、122)
・ウェブ材料(N)の第一面をフレームに収めるように適合された第一カメラ(51;53;61;121;122)及びウェブ材料(N)の第二面をフレームに収めるように適合された第二のカメラ(51;53;61;121;122)
・ウェブ材料の第一面をフレームに収めるように適合された複数のカメラ(51;53;61;121;122)及び、ウェブ材料(N)の第二面をフレームに収めるように適合された別のカメラ(51;53;61;121;122)、又は複数のさらなるカメラ(51;53;61;121;122)
の少なくとも一つの組み合わせを有する
ことを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
各カメラ(51、53、61、121、122)に、カメラによってフレームに収められるウェブ材料(N)の部分を照明するための照明装置(55、57、63、123、124)が関連付けられ、
少なくとも一つのカメラ及び各照明装置が、カメラがウェブ材料の透過画像を撮影するように、ウェブ材料(N)の供給経路(P)の対向する側に配置され、及び/又は
少なくとも一つのカメラ及び各照明装置が、カメラがウェブ材料の反射画像を撮影するように、ウェブ材料の供給経路の同じ側に配置されている
ことを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記ウェブ材料評価システムが、切断装置(11;104)と巻取りステーション(3;101)との間、好ましくは、巻取りステーション(3;101)の巻取りローラ(5;103)と巻取りローラの直ぐ上流に配置されたガイドローラ(25;115)との間で構成されるウェブ材料供給経路の領域に配置されている
ことを特徴とする請求項1~6の何れか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記ウェブ材料評価システムが、ウェブ材料(N)中の金属残留物の存在を検出するための検出部材(50;125)を備えている
ことを特徴とする請求項1~7の何れか一項に記載の装置。
【請求項9】
・ウェブ材料(N)を、供給経路(P)に沿って、互いに同軸で隣接する一連の巻芯(T)が挿入された巻取りステーション(3;101)に向けて供給する工程と、
・ウェブ材料(N)を、供給経路に沿って複数のウェブ材料のストリップ(S1~S5)に切断する工程と、
・前記ウェブ材料のストリップを巻き取り、複数の二次リール(BS)を形成する工程と、
・前記供給経路に沿って、ウェブ材料の少なくとも一つの長手方向縁部の位置及びウェブ材料の少なくとも一つのストリップの幅のウェブ材料の少なくとも一つの特徴を検出する工程と、
検出された特徴の関数としてウェブ材料(N)の少なくとも一つの供給部材の少なくとも一つのパラメータを調節する工程と、
を備えていることを特徴とするウェブ材料巻取り方法。
【請求項10】
前記少なくとも一つのパラメータが、前記少なくとも一つの供給部材の速度である
ことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ウェブ材料が、一次リール(BP)から巻解かれる
ことを特徴とする請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
ウェブ材料(N)の少なくとも一つの特徴を検出する工程が、ウェブ材料(N)の少なくとも一つの面、好ましくはウェブ材料の両方の面の画像を取得する工程を含む
ことを特徴とする請求項9~11の何れか一項に記載の方法。
【請求項13】
ウェブ材料の前記特徴が、ウェブ材料(N)をウェブ材料のストリップ(S1~S5)に切断する切断装置(11;104)の下流側、好ましくは巻取りステーション(3;101)の直ぐ上流側の、供給経路の部分で検出される
ことを特徴とする請求項9~12の何れか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも一つの供給部材の少なくとも一つのパラメータを調節する工程が、ウェブ材料の長手方向縁部が横方向にシフトしている場合、ウェブ材料の供給速度を低下させる工程を含む
ことを特徴とする請求項9~13の何れか一項に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも一つの供給部材の少なくとも一つのパラメータを調節する工程が、検出された特徴に応じてウェブ材料(N)の張力を調節する工程を含む
ことを特徴とする請求項9~14の何れか一項に記載の方法。
【請求項16】
張力を調節する工程が、供給経路の少なくとも一点におけるウェブ材料(N)の供給速度を変化させる工程と、
特に、供給経路の二点におけるウェブ材料の供給速度の差を調節する工程と
を含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
・巻取りステーション(3;101;101)に配置された第一の一連の巻芯の各巻芯(T)に、ウェブ材料(N)のストリップ(Sl~S5)によって形成される少なくとも第一の一連の二次リール(BS)を巻き取る工程であって、ウェブ材料のストリップ(S1~S5)を、第一切断位置に配置された複数のブレード(13;105)によって切断することによって形成する工程と、
・第一の一連の二次リール(BS)を巻き取る間に、ウェブ材料のストリップの縁部が取る位置に関する情報を検出し、前記情報に基づいて、第一の一連の二次リール(BS)に巻き取られたストリップ(S1~S5)の実際の幅と、隣接するストリップ間の相互距離とを決定する工程と、
・前記第一の一連の二次リール(BS)を前記巻取りステーション(3)から取り外す工程と、
・ストリップ(Sl-SN)の実際の幅及びストリップ間の相互距離に従って、ウェブ材料(N)のストリップ(S1-S5)の横方向の収縮を考慮して、ブレード(13;105)を第二切断位置に再配置する工程と、
・第二の一連の巻芯(T)を巻取りステーション(3;101)に配置する工程であって、第二の一連の巻芯を、ストリップの実際の幅及びストリップ(S1~S5)間の相互距離に従って、寸法決め及び位置決めする工程と、
・第二の一連の巻芯(T)に、第二の一連の二次リール(BS)を巻き取る工程
とを備えていることを特徴とする請求項9~16の何れか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻取り装置の改良に関し、特に、供給されたウェブ材料を長手方向のストリップに切断し、装置に入るウェブ材料の幅よりも小さい軸方向寸法を有する平行な複数の巻取り材料リールを製造する切断部材を備えた巻取り機又は巻戻し機に関する。特に、本明細書で開示する実施形態は、いわゆるスリッター巻戻し機に関する。特に、本発明は、一次リール又は生産機械から送られてくるウェブ材料を切断し、それを二次リールに巻かれた複数の長手方向のストリップに切断する巻取り機又は巻戻し機の改良に関する。
【0002】
本発明はまた、一次リール又は生産機械から来るウェブ材料を、一次リールからのウェブ材料を切断した各ストリップによって形成される二次リールに巻取り又は巻戻すための方法の改良に関する。
【背景技術】
【0003】
多くの産業分野では、ウェブ材料、即ち薄い材料が製造され、それらは親リール又はマスターロールとも呼ばれる一次リールに巻き取られる。その後の使用を目的としたウェブ材料のパッケージを製造するために、一次リールのウェブ材料は、巻き戻しプロセス及び方法によって、より小さな直径のリール又はロールに巻き戻される。また、場合によっては、巻き戻しの際に、典型的には円盤形状の複数のブレード又はナイフを備えた切断装置を用いて、ウェブ素材は、複数の隣接する長手方向のストリップに切断される。この方法では、巻戻し機は、軸方向の寸法が小さいリールを直接形成する。このため、長手方向の切断装置を備えた巻戻し機は、スリッター巻戻し機又は巻戻しスリッターとも呼ばれている。以下に開示する実施形態は、この種の装置に関する。
【0004】
これらの巻戻し機は、不織布や紙等のプライを加工する工場やラインで使用される。二次リールに巻戻されたこれらの材料は、いわゆるコンバーティングラインでの次の生産サイクルのための半完成品として使用され得る。典型的には、不織布の二次リールは、幼児用おむつ、生理用ナプキン、失禁パッド及び類似製品を製造するコンバーティングマシンに供給される。これらの装置は非常に複雑で、高品質のリールを必要とし、特に製品の最終用途を考慮すると、欠陥のある材料を使用することはできない。
【0005】
不織布の特定の分野だけでなく、同様の分野、例えば紙の分野でも、一次リールは、ウェブ材料形成ラインによって供給される「巻取り機」又は「巻取り装置」と呼ばれる装置によって形成され得る。
【0006】
不織布製造ラインの最後で、巻取り機の前にビジョンシステム及び/又は金属探知機を設けて使用することが公知である。これらのシステムは、形成されたウェブ材料が一次リールに巻き取られる前に、その品質を管理する。
【0007】
具体的には、これらビジョンシステムや金属探知機は、「穴」、「繊維の塊」「ウェブ材料に溶けたプラスチック」「ウェブ材料に挟まった虫」「油汚れ」「汚れ」「しわ」「破れ」「金属の混入」「原料以外の材料」「ウェブ材料の製造品質(厚さの均一性)」等の存在の情報を提供する。
【0008】
ビジョンシステムは、巻取り機に設置された機械方向、即ちウェブ材料の供給方向の測定システムとともに、各欠陥について機械方向(MD)及び交差方向(CD)の座標を示す、一次リールの欠陥マップを生成する。これにより、巻戻し工程中に、巻戻し機を用いて一次リールを巻き解き、かつ、巻き戻す時に、作業者がウェブ材料から欠陥を取り除くことができる。
【0009】
これらの品質管理システムには、欠陥の位置特定、ひいては欠陥除去効率に関して幾つかの限界がある。特に、これらのシステムは、巻戻し工程でウェブ材料が受ける寸法の変化を考慮することができない。そのため、製造される二次リールにおける欠陥の位置特定が正しくないことがある。さらにまた、従来技術のシステムは、一次リール製造後の作業ステップで発生した欠陥を検出(及び破棄)するように適合されていない。
【0010】
さらに、公知のシステムでは、一次リールへの巻取り後に実行される機械的な動作(切断、牽引、巻戻し)に起因するウェブ材料のいくつかの特性を検出することができない。
【0011】
即ち、巻戻し機の特徴の一つは、一定の幅を有し、かつ、端面が可能な限り平坦なストリップで構成される二次リールを巻き取ることにある。この特徴は、次の作業工程(コンバーティング)中に、一定の幅のストリップを持ち、巻解かれるリールの直径が変わってもストリップのエッジが常に同じ位置にあるリールが必要であるため、二次リールのユーザーによって要求される。ストリップの幅は、主にウェブ材料の機械的特徴と、長手方向の切断点及び巻戻し機の巻取り点におけるその張力に依存する。
【0012】
従来技術の巻戻し機では、巻戻し工程中にこれらの特徴を適切に制御することができない。
【0013】
従って、従来技術の装置及び方法の欠点の一つ以上を制限又は克服する、より効率的な巻戻し機及び巻戻し方法を提供することが必要である。
【発明の概要】
【0014】
第一の態様によれば、ウェブ材料を複数の二次リールに巻き取るための巻戻し機(リワインダー)であって、互いに隣接し、かつ、互いに同軸である複数の二次巻芯を受け取るように適合された巻取りクレードルを有する巻取りステーションを備えた巻戻し機が提供される。本明細書及び添付の特許請求の範囲において、「巻戻し機」という用語は、連続したウェブ材料を受け取り、それを複数のリールに巻き取る装置を指す。巻戻し機は、一次リールから連続したウェブ材料を受け取り、それを長手方向の複数のストリップに切断した後、二次リールに巻き戻す装置であり得る。
【0015】
本明細書に開示される実施形態では、巻取り機又は巻戻し機は、複数のブレードを有する切断装置を備え、前記切断装置は、ウェブ材料の供給方向に対して巻取りクレードルの上流側に配置される。切断装置は、装置に入るウェブ材料を複数のウェブ材料のストリップに切断するように適合されており、ストリップの各々がそれぞれの二次リールを形成する。特徴的には、巻取り機又は巻戻し機は、ウェブ材料を評価するための評価システムを備えている。
【0016】
特に、巻戻し機において、評価システムは、一次リールから来て、巻取りクレードルに供給されるウェブ材料の供給経路に沿って配置される。
【0017】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において、「ウェブ材料評価システム」という用語は、ウェブ材料が切断装置によって長手方向のストリップに分割される前、又は好ましくは分割された後に、ウェブ材料の一つ又は複数の質的又は量的な特徴を検出又は取得するように適合された任意のシステムを意味する。
【0018】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において、「ウェブ材料の特徴」という用語は、一般的に、汚れ、破れ、穴、折り目、塊、異物、厚さの変化等のウェブ材料の欠陥を含む、構造的及び材料的な特徴を指すことがある。また、材料の特徴は、ウェブ材料の寸法の特徴、特に、ウェブ材料及び/又はそれが分割されたストリップの横断方向、即ち、供給方向に直交する方向の幅を指すこともある。また、材料の特徴は、位置的な特徴、特に巻取り部材に対するウェブ材料又はそれが分割されたストリップの長手方向の端部の相対的又は絶対的な位置を指すこともある。これらの特徴を知り、必要であれば、巻取り工程中にそれらを修正することは、製造される二次リールの品質を向上させるのに有用であり得る。
【0019】
巻取りクレードルは、周辺巻取り部材を有し得る。周辺巻取り部材とは、ローラ、ベルト、又はそれらの組み合わせ等の電動部材を指し、二次リールの円筒面と巻取り部材との間の表面摩擦の効果により、巻取りクレードル内で形成される二次リールに回転トルクを伝達する。また、巻取りクレードルは、中央巻取り部材、即ち、筒状巻芯及び/又は管状巻芯がロックされる巻取りロッド若しくはシャフトに係合するシャフト、ロッド又は一対のテイルストックを介して巻取り動作を伝達する部材を含み得る。幾つかの実施形態では、巻取りクレードルは、周辺巻取り部材と中央巻取り部材との組み合わせを有し得る。
【0020】
特に有利な実施形態では、巻取クレードルは、それぞれの回転軸が好ましくは水平面上に位置する、互いに隣接した一対の電動巻取ローラを備える。筒状巻芯は、2つの巻取りローラの間に画定されたニップに置かれる。単一の巻芯に巻かれるウェブ材料のストリップは、前記巻取りローラの一方の周りで駆動される。
【0021】
ウェブ材料評価システムは、ウェブ材料の画像をキャプチャするシステム、例えば、移動するウェブ材料の画像を高速シーケンスでキャプチャする一つ又は複数のビデオカメラを備えたビデオシステムを有し得る。画像は、ウェブ材料の様々な種類の欠陥やその他の特徴、例えば、折り目、破れ、穴、異物の存在等の情報を取得するために処理され得る。ビデオカメラは、巻取り機又は巻戻し機の固定構造体に対して固定された位置に配置され得、ウェブ材料の全幅の画像をキャプチャするような数及び範囲のものであり得る。ビデオカメラは、幾つかの実施形態を参照して以下に説明するように、反射方式又は透過方式に基づくものであり得る。
【0022】
ビデオカメラで取得した画像は、以下に説明する目的で、ウェブ材料及び/又はそれが分割されたストリップの幅、又は、ストリップの長手方向の縁部の位置を決定するためにも使用され得る。ストリップの縁部の位置、及び/又はストリップ若しくはストリップに分割される前のウェブ材料の横断方向の寸法は、以下に説明するように、ビデオカメラ以外のシステムによっても取得され得る。
【0023】
幾つかの実施形態では、反射システムに基づくビデオカメラが特に有利であり得る。反射型のビデオカメラの場合、ビデオカメラと、ビデオカメラによってフレームに収められるウェブ材料を照明するためのそれぞれの照明システムとが、ウェブ材料の供給経路の同じ側に配置される。この場合、ビデオカメラは、例えば、ガイドローラ、ガイドプレート、又は巻取りローラ上にあるウェブ材料の領域でウェブ材料の画像を撮影するように配置され得る。この実施形態では、ウェブ材料は空気力学的な影響による振動や波動を受けず、有用な情報を得るための画像の撮影及び/又は処理が困難になることはない。
【0024】
幾つかの実施形態では、ウェブ材料評価システムは、ウェブ材料の少なくとも一部分(例えば、一本のストリップ)の幅を検出するように適合されたシステムを備える。ウェブ材料の少なくとも一部分の幅を検出するように適合されたシステムは、ウェブ材料をその供給経路の一点でフレーミングする、一つ又は複数の(透過及び/又は反射システムに基づく)ビデオカメラを使用し得る。ウェブ材料の幅を検出するためのシステムは、より詳細に後述するように、ビジョンシステム以外の取得装置に基づいていてもよい。
【0025】
ウェブ材料評価システムがビデオカメラを備えている場合、ウェブ材料の供給経路の所定の位置に、ウェブ材料の全幅をフレーミングするカメラが設けられ得る。他の実施形態では、複数のカメラを、その全てが供給経路に対して交差方向に沿って整列された線形マトリックスで設けることができる。さらなる実施形態では、カメラは、例えば、限られた範囲(例えば、ウェブ材料の全幅の1/20)で使用することができ、かつ、カメラは、取得すべき情報の種類に適合する場合には、ウェブ材料の供給方向に対して交差方向の動作を有し得る。例えば,ストリップ状に切断する前及び/又は後のウェブ材料の幅及び/又は長手方向の縁部の交差位置に関する情報を取得する必要があり,この情報が瞬間的である必要はなく,時間の経過に伴うゆっくりとした変化を検出できれば十分である場合,ウェブ材料の全幅の画像を連続的に取得する必要はない。
【0026】
ビデオカメラが横断方向に動くことができる場合には、その絶対的な横断位置、即ち、巻戻し機の固定構造体に対する位置を検出するために、エンコーダ又は他のシステムがそれに関連付けられ得、カメラによって撮影された画像を受信するプログラマブル制御ユニットが、ウェブ材料の幅に関して、各画像を所定の横断位置に関連付けることもできる。
【0027】
さらに別の実施形態では、ウェブ材料の幅又はその一部、例えばウェブ材料を切断した一つ又は複数の長手方向ストリップの幅を検出するために、ウェブ材料の存在を読み取るように適合されたレーザーフォトセルが設けられ得、それは達成位置を検出するシステムを備えた線形作動装置に取り付けられ、前記作動装置は、フォトセルを横断方向に搬送するように適合されている。このフォトセルは、フォトセルが配置されている位置でのウェブ材料の有無に基づいてオンオフ信号を発する。横断方向におけるフォトセルの位置を読み取るシステムの信号と、フォトセルのオン/オフ信号とを結びつけることで、ストリップの幅と、ウェブ材料のストリップに及ぼされる牽引力によって生じる横方向の収縮(いわゆるネックイン、以下でよりよく説明する)による、隣接するストリップの長手方向の縁部間の相互距離を計算することができる。
【0028】
さらなる実施形態では、ウェブ材料の幅を検出するように適合されたシステムは、ウェブ材料の全幅を読み取り、その後、ウェブ材料のストリップの幅及びその間の相互距離に関するデータを出力するレーザースキャナを有し得る。
【0029】
ウェブ材料の幅又はその一部は、ウェブ材料の供給経路の一側に配置された静電気発生装置と、ウェブ材料の供給経路の反対側で静電気発生装置の前に設置された接地システムとによっても決められ得る。
【0030】
特に有利な実施形態では、ウェブ材料評価システムは、切断装置と巻取りクレードルとの間に構成されたウェブ材料供給経路の領域内に配置される。このようにして、長手方向のストリップに切断された後のウェブ材料の一つ又は複数の特徴を評価することが可能になる。また、個々のストリップに関する情報を得ることができ、その結果、巻取り機又は巻戻し機によって形成される個々の二次リールに関する情報を得ることができる。特に、切断によって生じたウェブ材料の欠陥を特定することが可能になる。さらに、ウェブ材料評価システムを切断装置の下流に配置することで、単一の一次リールから来るウェブ材料で製造された複数の二次リールの一方又は他方における、ウェブ材料の特異点、欠陥、又は一般的な特徴の位置をより高い精度で検出することが可能になる。
【0031】
ウェブ材料評価システムを切断装置の下流に配置することにより、個々のストリップの横方向の寸法と、隣接するストリップの長手方向の縁部間の相互の距離を読み取ることが可能になり、従って、以下でより詳細に説明するように、ネックイン現象を評価することが可能になる。
【0032】
ウェブ材料評価システムを、巻取りクレードルの巻取りローラと、巻取りローラの直ぐ上流に位置するガイドローラとの間で構成される供給経路の領域に配置することは、特に有利である。用語「直ぐ上流」とは、ガイドローラと巻取りローラとの間に、長手方向の張力等のウェブ材料の一つ以上の特徴を変化させたり、ウェブ材料に欠陥を生じさせたりする装置的な部材がないことを意味する。このようにして得られた情報は、それぞれの二次リールに巻き取られたウェブ材料の情報と全く同じである。
【0033】
幾つかの実施形態では、ウェブ材料評価システムは、ウェブ材料のポアソン比を測定するための構造を備えている。ポアソン比、即ち、横歪みの比は、長手方向の一方向性応力を受けた材料の横方向の伸縮を測定する温度依存性の係数である。
【0034】
ポアソン比測定手段は、
組み合わせて構成されていてもよい。
・巻取りクレードルに向かうウェブ材料の供給経路に沿った第一位置で、ウェブ材料の第一供給速度を測定するための第一測定装置と、
・供給経路の前記第一測定位置の下流の、巻取りクレードルに向かうウェブ材料の供給経路に沿った第二位置で、ウェブ材料の第二供給速度を測定するための第二測定装置と、
・前記第一位置でウェブ材料の第一幅に関する情報を取得するための第一装置と、
・前記第二位置でウェブ材料の第二幅に関する情報を取得するための第二装置と
の組み合わせを有し得る。
【0035】
ウェブ材料のポアソン比を知ることは、多くの理由で有用である。第一に、この情報は、リールを加工して完成品又は半完成品を製造するためにリールを使用する人に提供するのに有用な情報である。ポアソン比を知ることは、例えば、リールコンバーティングラインの動作パラメータを調整するのに有用であり得る。さらに、場合によっては、上流の生産パラメータを修正、制御、又は管理するために、ウェブ材料のポアソン比を知ることが有用な場合もある。これは、例えば、ポアソン比を所望の値の範囲内に維持することで、生産装置から排出される製品の品質を一定に保つために有用であり得る。実際のポアソン比を測定することで、例えば、ポアソン比の測定値と設定値との間の誤差を低減又は解消するために、一つ又は複数の上流の生産パラメータに影響を与えることが可能である。
【0036】
巻取り機又は巻戻し機は、プログラム可能なユニット、例えばPLC、マイクロコントローラ、コンピュータ、又は処理手段を備え、少なくとも1つのウェブ材料供給部材、特に供給経路に沿って順番に配置された複数のウェブ材料供給部材の一つ又は複数のパラメータを調節するように適合された他の装置を有し得る。前記パラメータは、供給速度と相関され得、例えば、その周囲でウェブ材料が駆動されるローラの回転速度、それによってウェブ材料が巻き取られるローラの回転速度、又は巻取りベルトの速度から成り得る。これらの部材の速度を調整することで、ウェブ材料の張力を調整することができる。
【0037】
ウェブ材料の張力は重要なパラメータであり、第二リールの品質と、巻解き工程及びその後の最終製品への変換中のその挙動に影響を与える。張力、即ち、ウェブ材料の長手方向の牽引(ストリップに切断する前と後の両方)は、ウェブ材料の横方向の収縮を引き起こし、従ってその幅の変化を引き起こす。ウェブ材料評価システムは、ウェブ材料の一つ又は複数のストリップ、及び/又は長手方向に切断される前のウェブ材料の幅を検出するように適合され得る。ウェブ材料評価システムによって検出されたウェブ材料の少なくとも1つの長手方向の縁部の位置に従って、ウェブ材料の収縮を決定することが可能であり、従って、ウェブ材料又はその一部(ストリップ)の張力、ひいては側部の収縮を調節するために、一つ又は複数の供給部材の動作パラメータ、例えば、速度を修正することが可能である。このようにして、以下でより詳細に説明するように、例えば、二次リールの品質を向上させ、平坦なヘッド面を得ることができ、又は、少なくともその平坦性誤差、即ち、完全に平坦な理論的な平面からの実際の平面の偏差を低減することができる。
【0038】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において、供給部材は、一般的に、ウェブ材料に牽引力を適用するように適合された任意の装置的部材であると理解され得る。従って、供給部材は、その周囲でウェブ材料が駆動される電動ローラ、典型的には巻取りクレードルの巻取りローラ、又は、巻取りクレードルの上流の供給経路に沿って設けられた電動ローラ、又はウェブ材料を長手方向のストリップに切断する切断装置のカウンターローラであり得る。
【0039】
供給部材はまた、一次リールの側面に摩擦によって伝達されるトルクを利用して、周辺の巻解きシステムで一次リールを巻解く巻解き機のベルト又はベルトのシステムであり得る。また、供給部材は、例えば、一次リール及び/又は二次リールに軸線方向に係合するテイルストックなどの中央回転部材であってもよい。
【0040】
本明細書に記載の実施形態では、ウェブ材料評価システムは、ウェブ材料中の金属残留物の存在を検出するための検出部材を有し得る。
【0041】
別の実施態様によれば、以下の工程を有するウェブ材料の巻戻し方法が提供される。
・一次リールからウェブ材料を巻解く工程
・前記一次リールから供給経路に沿って、互いに同軸で隣接する一連の二次巻芯が挿入された巻取りクレードルに向けて、前記ウェブ材料を供給する工程
・前記ウェブ材料を、前記供給経路に沿って複数のストリップ状のウェブ材料に切断する工程
・前記ウェブ材料のストリップを二次リールに巻き付ける工程
・前記供給経路に沿ってウェブ材料の少なくとも一つの特徴を検出する工程
【0042】
さらに別の実施態様によれば、以下の工程を有するウェブ材料の巻取り方法が提供される。
・ウェブ材料を、互いに同軸で隣接する一連の二次巻芯が挿入された巻取りクレードルに向けて、供給経路に沿って、巻取り装置、例えば、巻取り機又は巻戻し機に供給する工程
・前記ウェブ材料を、前記供給経路に沿って複数のストリップ状のウェブ材料に切断する工程
・前記ウェブ材料のストリップを二次巻芯に巻き付ける工程
・ウェブ材料がストリップに切断される位置の下流で、供給経路に沿ってウェブ材料の少なくとも一つの特徴を検出する工程
【0043】
例えば、ウェブ材料の少なくとも一つの特徴を検出するステップは、ウェブ材料の少なくとも一方の面、好ましくはウェブ材料の両方の面の画像をキャプチャする工程を有し得る。
【0044】
本明細書に開示された方法の有利な実施形態によれば、ウェブ材料の特徴は、ウェブ材料をストリップ状に切断する切断装置の下流側、好ましくは、巻取りクレードルの直ぐ上流側の供給経路の部分で検出される。
【0045】
本明細書で開示される方法の幾つかの実施形態では、ウェブ材料の特徴は、そのポアソン比を含む。
【0046】
幾つかの実施形態では、本発明に係る方法は、供給経路に沿って前進するウェブ材料の少なくとも一つの長手方向縁部の位置を検出する工程と、検出された位置に応じて、例えばウェブ材料の供給速度などの供給パラメータを制御する工程を有し得る。
【0047】
ウェブ材料の給送パラメータを制御する工程は、ウェブ材料の長手方向の縁部が横方向にシフトしている場合に、供給速度を下げる工程を有し得る。「横方向にシフトする」とは、設定された閾値を超えて横方向にずれることを指し得る。
【0048】
幾つかの実施形態では、本発明に係る方法は、ウェブ材料の幅に相関する少なくとも一つのパラメータを検出する工程と、検出されたパラメータに応じてウェブ材料の張力を調節する工程とを有する。張力を調節する工程は、供給経路の少なくとも一つの点におけるウェブ材料の供給速度を変化させる工程、特に、供給経路の二つの点におけるウェブ材料の供給速度の差を調節する工程を有し得る。
【0049】
さらなる実施態様によれば、本発明に係る方法は、以下の工程を有し得る。
・巻取りクレードルに配置された第一の一連の巻芯のそれぞれの巻芯に、それぞれがウェブ材料のストリップで形成される少なくとも第一の一連の二次リールを巻取る工程であって、ウェブ材料のストリップが、第一切断位置に配置された複数のブレードによって切断されることによって形成される工程
・前記第一の一連の二次リールを巻取る際に、前記ウェブ材料のストリップの端部が取る位置に関する情報を検出し、前記情報に基づいて、前記第一の一連の二次リールに巻き取られるストリップの実際の幅と、隣接するストリップ間の相互の距離を決定する工程
・前記第一の一連の二次リールを前記巻取りクレードルから取り外す工程
・前記ストリップの実際の幅及びストリップ間の相互距離に応じて、ウェブ材料のストリップの横方向の収縮を考慮して、ブレードを第二の切断位置に再配置する工程
・第二の一連の巻芯を巻取りクレードルに配置し、第二の一連の巻芯が、ストリップの実際の幅及びストリップ間の相互距離に応じて寸法決め及び配置されるようにする工程
・前記第二の一連の巻芯に前記第二の一連の二次リールを巻き付ける工程
【0050】
第一の一連のリールの巻取りは、生産を開始する前にブレードを再配置するために、ストリップの有効幅を検出することを唯一の目的とすることができる。最初の一連の二次リールは廃棄物となる可能性があるので、それらは、実際に後続の処理又は販売を目的とした生産のリールよりも短い、又ははるかに短い長さを有するようにされ得る。言い換えれば、最初の一連のリールは、必要なデータを検出するために必要な長さで巻かれ、実際に生産されるリールの特定のバッチの全長ではない。
【0051】
本明細書に開示された巻取り装置、巻取り機、巻戻し機、及び巻取り方法の更なる有利な特徴及び実施形態は、添付図面を参照した非限定的な実施形態の以下の説明に示されており、本明細書の一体部分を形成する添付の特許請求の範囲に記載されている。
本発明は、本発明の非限定的な実施形態を示す添付の図面に従って以下の説明によって、よりよく理解されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1】巻戻し機(スリッター巻戻し機)の一実施形態の模式的な側面図である。
【
図2】巻戻し機(スリッター巻戻し機)の別の実施形態の模式的な側面図である。
【
図3】巻戻し機(スリッター巻戻し機)の別の実施形態の模式的な側面図である。
【
図4】ウェブ材料を長手方向のストリップ状に切断する領域の概略図であるFig. 4 A is an enlargement of the detail indicated by the letter A in Fig. 4;
【
図4A】
図4の符号Aで示された部分の拡大図である。
【
図5】巻取り中の二つの二次リールを示す概略図である。
【
図6】本明細書に開示された実施形態による巻戻し機においてウェブ材料のポアソン比を計算するための構成要素を示す概略図である。
【
図7】ポアソン比を計算するためのパラメータを示す図である。
【
図8】生産装置から直接来るウェブ材料のリールを生産するための巻取り機の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下の説明では、不織布からなるウェブ材料の処理について具体的に言及する。しかし、この種の材料は、非限定的な例として示されているだけであることは理解される。巻取り機又は巻戻し機等の巻取り装置の特徴、及び本明細書に記載の巻取り及び巻戻し方法の特徴は、不織布以外のウェブ材料、例えばプラスチックフィルム、紙、特に薄葉紙等のストリップの巻戻しにも有利に適用することができる。
【0054】
以下の説明では、巻戻し機の特に有利な実施形態、より正確にはスリッター巻戻し機と、一次リールから来たウェブ材料を長手方向のストリップにスリット(切断)した後、複数の二次リールに巻き戻すための関連する方法について具体的に言及する。
【0055】
スリッター巻戻し機及び関連する巻き戻し方法に関して以下に説明する幾つかの特徴及び利点は、生産装置から連続的なウェブ材料を直接受け取り、巻取り領域の上流に、ウェブ材料を個々の長手方向のストリップに切断するための長手方向の切断システムを備え、その各々のストリップを同じウェブ材料から並行して生産される複数のリールのそれぞれのリールに巻き取る巻取り装置にも有利に適用することができる。
【0056】
図1の実施形態を最初に参照すると、全体を符号1で示す巻戻し機は、一次リールBPから巻き解かれたウェブ材料Nが、一つ以上の二次リールBSに巻き取られる巻取りステーション3を備える。符号Pは、一次リールBPから巻取りステーション3に向かう、例えば不織布のようなウェブ材料Nの供給経路を示している。ウェブ材料Nの供給方向は符号Fで示されている。二次リールBSは、巻取りステーション3に配置された筒状の巻芯の周りに形成される。
【0057】
巻戻し機1の全体的な構造は、既知のタイプのものであり得、従って、本発明を理解するのに有用な、その主要部分のみを説明する。
【0058】
より詳細には、巻戻し機1は、所謂、スリッター巻戻し機又は、巻戻し機スリッターであり、無傷のウェブ材料を受け取り、それを複数の長手方向のストリップに切断し、その各々が二次リールBSに巻き取られる。巻取りステーション3では、複数の二次リールBSが、互いに隣接し、実質的に同軸上に配置され、それぞれがウェブ材料の各ストリップを受け取り、巻き取る。
【0059】
幾つかの実施形態では、巻取りステーション3は、巻取りクレードルを備えている。
図1に示す実施形態では、巻取りクレードルは、周囲巻取り部材を備えている。これらの周囲巻取り部材は、巻取りクレードルを一緒に形成する二つの巻取りローラ5及び7を有し得る。各巻取りローラは、例えば電気モータによって制御される軸を中心に回転する。この目的のために、二つの別個のモータ、又は、伝動装置を備えた単一のモータが設けられ得る。
図1には、巻取りローラ5及び7を制御するためのモータ8が模式的に示されている。
【0060】
巻取りローラ5及び7の回転軸線は、互いに平行であり、実質的に水平な平面上に位置しており、そのため二次リールBSは、重力によって巻取りローラ5及び7の上に載り得る。さらに、例えば、二次リールBSの上に配置され、巻取りサイクル中の二次リールBSの成長に追従する移動軸を有する第三の巻取りローラなどの別の巻取り部材を設けることもできる。符号9は、巻取りステーション3から二次リールBSをアンロードするためのアンロードシステムを示している。
【0061】
巻戻し機1はまた、一連の対応する複数のカウンターブレード15又は一つのカウンターローラと共働する一連のディスク形状のナイフ又はブレード13を備えた切断装置11を有する。切断装置11は、既知の方法で構成され得る。切断装置の例は、例えば、欧州特許第EP1245354号及び欧州特許第EP1245519号、国際特許公開第W096/28285号、国際特許公開第W096/28284号、及び米国特許公開US2008/0148914号に記載されている。
【0062】
各ブレード13及び各カウンターブレード15は、適当な幅のウェブ材料の長手方向のストリップを切断するために、横方向に、即ちウェブ材料Nの供給経路Pに対して直交する方向に調整可能である。
図4には、ウェブ材料Nを五つの長手方向ストリップS1、S2、S3、S4、S5と二つの横方向トリミングRl、R2に切断する六つの切断ブレード13が模式的に示されている。長手方向のストリップの数は、純粋に例示的なものである。一般的には、ウェブ材料Nは、複数の「n」個のストリップS1~Snに切断され得る。
【0063】
符号12は、ブレード13の横方向(即ち、図の平面に対して直交する方向)における位置を検出するための装置を示す。例えば、装置12はエンコーダで構成されており、個々のブレードが位置決めされた時の絶対的な変位を検出することができる。ブレードの位置を検出するためのシステムはそれ自体既知であるため、本明細書では詳細に説明しない。以下の説明から明らかになるように、装置12は、ブレード位置を管理するために、ブレード位置を知り、記憶するためだけでなく、ブレード13及びカウンターブレード15によって切断されたウェブ材料のストリップが形成される領域におけるウェブ材料のストリップの幅を決定するためにも有用である。
【0064】
ウェブ材Nの供給経路Pに沿って、切断装置11の上流側にガイドローラ17、19、21が配置され得、切断装置の下流側にガイドローラ23、25が配置され得る。ガイドローラの数及び位置は、単なる例として与えられている。幾つかの実施形態では、切断装置11の上流にあるローラの一つ、例えばローラ17は、しわや折り目を除去するためにウェブ材料Nを横方向に引き伸ばす弓状ローラ、即ち、いわゆるバナナローラとすることができる。
【0065】
巻戻し機1は、一次リールBPを巻解くための部材が設けられた巻解き機31を有し得る。巻解き機31は、巻戻し機1と一体であってもよいし、巻戻し機1と組み合わされた別の装置であってもよい。巻解き機31は、一次リールBPに軸方向に係合する巻解き部材、例えばテイルストックを有する。他の実施形態では、
図1に模式的に示されているように、巻解き機は、プーリ37、39の周りで駆動される一つ又は複数の連続ベルト35を有し得る周囲巻解き部材33を備え、そのうちの一つ(例えばプーリ37)は電動化されている。
図1では、符号38は、電動プーリのモータを模式的に示している。ガイドローラ41、43は、ウェブ材料Nをバナナローラ17に向けて案内するために設けられ得る。他の実施形態では、中央及び周囲巻解き部材が組み合わせて設けられ得る。
【0066】
図1の巻戻し機1には、第一ビデオカメラ51及び第二ビデオカメラ53を備えたウェブ材料評価システムが設けられている。ビデオカメラ51、53は、巻戻し機1の主構造体が立設された床PCの下のピットに収容することができ、ウェブ材Nの供給経路Pからウェブ材Nの全幅をフレームに収めるような距離に配置され得る。
【0067】
ビデオカメラ51、53は、照明装置と組み合わせることができる。図示の実施形態では、第一ビデオカメラ51用の第一照明装置55が設けられ、第二ビデオカメラ53用の第二照明装置57が設けられている。
図1の実施形態では、第一ビデオカメラ51及び第一照明装置55は、供給経路Pの対向する側に配置されている。そのため、第一ビデオカメラ51は、ウェブ材料Nの透過画像を撮影する。逆に、第二ビデオカメラ53及び第二照明装置57は、供給経路Pの同じ側に配置されており、従って第二ビデオカメラ53は反射型の画像を取得する。「透過」又は「透過的に」は、ウェブ材料Nが照明装置とビデオカメラとの間を通過することを意味し、従って、ビデオカメラに対しては逆光となる。逆に、「反射」又は「反射型」とは、ビデオカメラ及び照明装置に対して反対側にコントラストスクリーンが配置され、照明装置によって行われることを意味する。スクリーンは、有利には、その周りをウェブ材料Nが駆動し得るローラで構成される。この場合、ビデオカメラの焦点合わせが容易になる。
【0068】
ビデオカメラがウェブ材料N全体を横方向にフレームに収めることができない場合、ウェブ材料Nの全幅を分析するために、複数のビデオカメラ(通常は2~4台)が互いに整列させて設けられ得る。
【0069】
図1の構成では、それぞれの照明装置55、57を備えたビデオカメラ51、53は、ウェブ材料Nの供給経路Pの最後のセグメント、つまり第一巻取りローラ5の直ぐ上流に配置されている。実際には、ビデオカメラによってフレームに収められる領域と、ウェブ材料のストリップが二次リールBSに巻き取られる点との間には、他の機械的部材は配置されていない。このようにして、ウェブ材料Nが二次リールBSに巻き取られる時に正確にウェブ材料Nの画像を撮影することが可能にあり、欠陥につながる可能性のある、又はウェブ材料のストリップの特徴を変える可能性のある他の操作がウェブ材料Nに対して実行されることはない。
【0070】
他の実施形態では、ビデオカメラは、
図1に例示されているものよりもさらに上流側に配置することができるが、好ましくは切断装置11の下流側に配置される。
【0071】
図1の図において、符号50は金属検出装置を示しており、この金属検出装置は、切断装置又はユニット11の下流側、例えばガイドローラ23及び25間に配置され得る。この位置では、例えばブレード及び/又はカウンターブレードから離脱する可能性のある金属粒子の存在を検出することが可能になる。
【0072】
図2は、本発明による巻戻し機1の第二の実施形態を示す図である。
図1を参照して説明した部材と同等又は対応する部材は同じ符号で示し、これらの部材については改めて説明しない。
図2の実施形態では、二つのビデオカメラ51、53には、各々照明装置55、57が設けられており、
図1に例示したものと同様に、透過及び反射画像を撮影するように適合されている。しかし、この第二の実施形態では、二つのビデオカメラ51、53は、供給経路Pに沿ってわずかに上流側に、より正確には、巻取りローラ5の前に配置された二つのガイドローラ23、25の間に配置されている。これにより、照明装置63を備えた第三ビデオカメラ61を、第一巻取りローラ5の直ぐ上流に配置することができる。本実施形態では、第三ビデオカメラ61は、反射式画像を撮影する。また、前記第三ビデオカメラ61は、巻取りローラ5に接触しているウェブ材Nの部分をフレームに収めるように配置されるか、又は、
図5に示すように、例えば、巻取りローラ5に直接隣接する拡散スクリーンや反射スクリーン65に接触しているウェブ材Nの部分をフレームに収めるように配置され得る。
【0073】
図1及び
図2を参照して説明したビデオカメラの配置及び数は、単なる例として与えられたものである。他の配置も可能である。例えば、
図3は巻戻し機1を示しているが、この巻戻し機1は、主にビデオカメラの配置が異なる点で
図1及び
図2のものとは異なる。この実施例では、
図1のように配置された各照明装置55を備えた第一反射型ビデオカメラ53と、
図2のように配置された各照明装置63を備えた第二ビデオカメラ61とが設けられているが、ビデオカメラ51は設けられていない。
【0074】
図示されていない他の実施形態では、反射式システム、又は、好ましくは透過式システムに基づいて、一つのビデオカメラ(又はビデオカメラのアレイ)のみを提供することができる。
【0075】
ビデオカメラは、概略的に符号71で示される、例えばPLCやコンピュータ等のプログラム可能な制御及び処理ユニットに接続され得る。プログラム可能なユニット71は、巻取り機1に設けられた一つ又は複数のビデオカメラによって撮影された画像を収集し、(実時間又は遅延時間で)処理する。
【0076】
画像は、例えば、ウェブ材料Nの欠陥や臨界を特定するために処理され得る。ビデオカメラは、巻取り点(巻取りローラ5、7)に非常に近い領域でウェブ材料Nのストリップを撮影するように配置されているので、例えば、ストリップに切断されるとき等の最後の処理ステップでウェブ材料に生じた欠陥を特定すること、及び、検出された欠陥がどの二次リールBSにあるかを正確に特定することの両方が可能である。
【0077】
一般的に、本明細書に記載されているビデオカメラシステムの目的は、ウェブ材料の形成処理とウェブ処理の最後にウェブ材料をチェックすることであり、両方の処理(ウェブ材料の形成とその処理、例えば切断及び巻戻し)に起因する欠陥を収集するためのものである。従って、このシステムは、オペレータが巻戻し段階でウェブ材料から欠陥を取り除くことができるように欠陥のマップを作成するために使用されるのではなく、不織布又は他のウェブ材料Nの生産者が製造する二次BSリールの品質を認証するために使用される。
【0078】
この巻戻し機1におけるビデオカメラの新規な配置には、以下のようなメリットがある。
【0079】
例えば、巻取り機(図示せず)の上流に設置された第一ビジョンシステム(及び/又は金属検出装置)で検出されたすべての欠陥を、巻取り機のオペレータが効果的に除去したことを確認することができる。実際には、廃棄されるべき製品が、誤って販売用の二次リールBSに巻き取られてしまうことが起こり得る。例えば、ある種の不織布の生産を開始する際に、技術的な理由からノンカレンダーの不織布が生産され、これは廃棄されるであり、通常は巻き戻し工程から除外されるが、オペレータのミスにより販売用の二次リールに巻き取られてしまうことがある。本発明によるビデオカメラの新規の配置は、このような事態を防ぐことができる。
【0080】
上述のように配置されたビデオカメラは、切断及び巻戻しの際に長手方向のしわが形成されていないことを確認することを可能にする。実際には、ウェブ材料NがストリップS1~Snに切断された後、巻戻し工程中のウェブ材料の速度が、形成工程中のウェブ材料の速度よりも著しく高い(約2~3倍高い)という事実にも起因して、長手方向のしわが形成されることがある。これらのしわは、ウェブ材料が高速で前進するときに作用する空気力学的効果によって形成され、ウェブ材料が低速で前進するときに消失する。従って、通常の巻取り中にはしわが形成されるが、2次リールの外側の巻取り時には消えてしまう。
【0081】
実際、二次リールBSの外周ターンは、巻戻し機が減速ランプ工程にある時、即ち、ウェブ材料の速度が低下した時に巻き取られる。このため、二次リールBSの外側を目視するだけでは、その内側に長手方向のしわがあるかどうかを認識することができない。逆に、本明細書で説明したビデオカメラの配置は、この欠陥が発生した段階とは無関係に、この欠陥を識別することを可能にする。
【0082】
本明細書に記載したビデオカメラの配置は、空気力学的効果によるストリップの横方向の変位を検出することを可能にする。このような動きは、リールヘッドの平坦性を損なう可能性があるため、回避しなければならない。この欠陥は容易に検出することができ、二次リールの品質を損なうことを避けるため、又はリールを廃棄するための措置を取ることができる。これらの現象を制御するために使用可能な方法の詳細については、具体的な実施形態を参照して以下に説明する。
【0083】
上述したビデオカメラの配置により、縁部を切断する円盤状のブレード13の摩耗を監視して、切断された縁部の品質を制御することができる。
【0084】
また、ビデオカメラは、ブレード13が切断を停止したかどうか、ひいては、巻線サイクルで巻かれた全ての一連の二次リールBSの良好な品質が損なわれたかどうかを確認することを可能にする。実際、ブレード13の一つが切断を停止した場合、装置全体のラップアップが容易に発生し、全ての一連のリールの巻き上げが損なわれることになる。
【0085】
また、ビデオカメラは、全てのストリップS1~Snの存在を確認し、それらのストリップが各二次リールBSを形成する所望の方向に移動していることを確認することもできる。何らかの問題(ストリップの破損など)により、ストリップの経路が変わり、ストリップが他の装置部材に巻き付けられ始めると、巻戻し機の部材の誤動作や破損につながり、その結果、ダウンタイムや生産ロスが発生することになる。従って、このような状況を、上述したようにビデオカメラで速やかに知らせることは、時間短縮やメンテナンスコスト及び予備部品の削減などの面で大きな利点になる。
【0086】
ビデオカメラは、ストリップの幅、及び様々なストリップS1~Sn間のいわゆるネックイン、即ちウェブ材料に張力をかけることに続いて生じる、その横方向の収縮による隣接する長手方向ストリップの縁部間の相互距離を測定するシステムを構成することができる。ネックインは、一つのストリップの縁部と隣接するストリップの縁部の間の距離である。この特徴については、幾つかの具体的な操作方法を参照して以下に説明する。
【0087】
ネックインを決定することは、様々な理由で有用である。特に、排他的ではないが、所定のウェブ材料のネックインを決定することにより、異なるレシピで製造されたウェブ材料のネックインを予測することが容易になる。
【0088】
時々、二次リールBSのウェブ材料を使用して製造された紙おむつ又は他の完成品に欠陥が見られる。例えば、紙おむつのプライの中に虫が入っていることがある。この場合、その欠陥が、不織布などのウェブ材料Nの生産者の工場で発生したものなのか、紙おむつなどの最終製品を生産するコンバーティング工場で発生したものなのかを確認するのは常に困難である。巻取り直前に設置されたビジョンシステムによって、このような場合に責任の所在を明らかにすることが容易になる。
【0089】
巻き取ったウェブ材料のストリップの幅は、二次リールBSの品質指標になる。二次リールBSを形成するストリップの幅が一定であればあるほど、リールの品質は高くなる。この条件は、完成品(おむつやその他の製品)を製造するコンバーティングマシンで巻解かれたウェブ材料に、接着剤、輪ゴム又は毛羽等の別の要素を配置する場合に必要である。実際、ウェブ材料が表示よりも狭い場合、そこに配置された要素が、巻解かれたウェブ材料の端から出て、それと結合しない危険性がある。ビジョンシステムは、ウェブ材料のストリップの幅を瞬時に計算することで、各二次リールBS内に巻かれたウェブ材料の幅が許容範囲内であることを証明することができる。許容範囲に応じて、必要であれば、二次リールBSを、様々な品質クラス、例えば、第一選択リールと第二選択リールに分類することが可能である。
【0090】
本明細書に記載のウェブ材料評価システムがなければ、評価すべき二次リールを破壊しなければ、幅を検証することができない。即ち、この品質検査は破壊検査であり、そのため現在はランダムにしか行われていない。本発明に係る新規なウェブ材質評価システムでは、これらの欠点を回避し、破壊試験を行わないため、材料を節約することができ、さらに、一部のサンプルだけをランダムにテストするのではなく、生産された全てのリールをテストすることが可能になる。
【0091】
リールの品質のさらなる指標は、その側面の平坦性である。様々な二次リールBSを形成する様々なストリップS1~Snの縁部の絶対的な位置の測定は、二次リールBSの側面の平坦性の間接的な指標となる。ウェブ材料評価システムは、ウェブ材料のストリップの縁部の位置を制御することによって、二次リールBSのこの特徴も制御下に置くことを可能にする。
【0092】
本明細書に記載されたウェブ材料評価システムは、さらなる利点を有する。
【0093】
実際、内部に欠陥のある二次リールBSは、一次品質のリールとして販売されないように包装機で選別され、物流システムでは別の経路をたどることになる。例えば、二次品質のリールとして販売されたり、原料のリサイクルに利用されたりする。従って、欠陥の有無に基づいた二次リールBSの分類がされる。従来技術によれば、この分類は、巻取り装置の上流に設置されたビジョンシステムの信号と、二次リールにするリールBPの分配マップに基づいて行われる。このマップは、ブレード13の位置と、巻取りサイクルにおいて巻き取られた各一連の二次リールBSに巻き取られたウェブ材料の公称長さに基づいて作成される。しかし、一次リールBPのマップをトレースすることは、以下のような評価が困難なパラメータの影響も受ける。
a.巻取り機での巻取り張力及び巻取り工程での巻取り張力に起因するウェブ材料の伸び
b.巻戻し工程中に廃棄されるウェブ材料の長さ
c.不織布のポアソン比の高さ、(巻取り機での)巻取り張力及び巻取り工程での巻取り張力に起因するウェブ材料の横方向の縮み
この収縮は、ウェブ材料に張力がかけられると、欠陥を中心線に向かって移動させる。従って、マップをトレースする際に、長手方向の切断の位置を正確に確定することが困難であり、その結果、巻取り機の上流で検出された欠陥が発生する二次リールBSを確定することが困難になる。
d.一次リールBPの巻解き工程及び二次リールBSへの巻戻しの工程中に、バナナローラ17がウェブ材料を広げる傾向があり、従って、欠陥を中心線から遠ざける傾向がある。従って、リール分配マップでは、二次リールの「境界」を正確に確立することが困難であり、これにより、欠陥が一つの二次リールに関連するのか、別の二次リールに関連するのかを知ることが困難になり、特に、欠陥が境界領域で発見された場合には、そのような問題が生じる。
本明細書で開示されている新規なシステムでは、欠陥とその位置を直接読み取ることができるため、どのリールに欠陥があるのかを知ることが可能になる。
【0094】
切断装置11のブレード又はナイフ13によってウェブ材料Nを長手方向に切断して長手方向のストリップS1~Snにするためには、ウェブ材料に長手方向の張力を与えなければならない。ウェブ材料Nが長手方向のストリップに切断されると、長手方向の牽引による横方向の収縮のために、各ストリップの幅は、当該ストリップを形成したブレード13の切断縁部間の距離よりも小さくなる。即ち、切断後のストリップは、張力とウェブ材料のポアソン比の高い値のために、収縮する。
【0095】
図4Aでは、この現象を模式的に示している。隣接する二つのストリップの隣接する縁部間の距離は「ネックイン」と呼ばれ、
図4Aでは符号NIで示されている。
図4Aでは、ストリップS2の長手方向の縁部B2と、隣接するストリップS3の長手方向の縁部B3との間にネックインが示されている。
【0096】
本明細書に記載されたタイプの巻取り機1では、ブレード13及びそれぞれのカウンターブレード15の横方向の位置決めは、コンピュータ又はプログラム可能な制御ユニット71によって制御され、この制御ユニットは、製造すべきウェブ材料Nの長手方向ストリップS1~Snの幅に基づいて、ブレードが位置決めされるべき様々な位置を計算する。ブレード13を配置するための計算プログラムでは、オペレータが、得ようとする各ストリップの幅と収縮値(ネックイン値)を含むデータを入力する必要がある。各ブレードは、ネックインの中心線(又は、ブレード13の左側にあるネックインの割合が、当該ブレードの左側にあるストリップS1~Snの幅に比例し、同時に、ブレード13の右側にあるネックインの割合が、当該ブレードの右側にあるストリップの幅に比例するような中間位置)に配置される。他の代替的な比例基準も利用可能である。
【0097】
さらに、市場の要求の一つは、少なくとも二つの理由で、二次リールBSにおいて、筒状巻芯のいかなる部分もリールの平坦な面の外に突出しないことである。
【0098】
まず、2次リールBSを梱包してコンバーティング工場に出荷する際には、輸送中に楕円形にならないようにするために、その回転軸を垂直にして積み重ねる。積み重ねられたリールを安定させるためには、筒状の巻芯がリールから軸方向に突出しないようにする必要がある。
【0099】
第二に、コンバーティング工程において、二次リールBSが最終製品(例えば、おむつ、生理用ナプキン、おしりふき、その他の製品)を製造するために巻解かれる時に、それらはコンバーティング装置の巻解きリール上に配置される。正しい軸方向の位置は、筒状巻芯を巻取りリールに設けられた軸方向基準に対して配置することで確認される。リールの平らな端面から筒状の巻芯がはみ出していると、位置決めに誤差が生じ、最終製品の生産に悪影響を及ぼすことになる。
【0100】
ストリップ幅の値は、生産のゴールを示すものなので、評価しやすいが、ネックインの値は決めることが困難である。ネックインの幅は、ウェブ材料の機械的特性、ネックインに隣接するストリップの幅、巻戻し工程中のウェブ材料の温度、ウェブ材料が受ける張力、バナナローラ17やウェブ材料を広げるための他のシステムの影響等の多くの要因の影響を受ける。
【0101】
ストリップ幅とネックインに関するデータは、二次リールBSの筒状巻芯を切断して巻取りロッド又はシャフトに配置する装置によって使用され、それらは、その後、各筒状巻芯の周りに各二次リールBSを形成するための巻取りステーション3に挿入される。前述のデータに基づいて、筒状巻芯は、より大きな軸方向の長さを有する筒体を切断することによって形成され、巻芯の縁部がリールの平坦な面と整列するように、巻取りロッド又はシャフト上に配置される。これらの予備作業は、例えば米国特許US8096948号及び米国特許US6655629号に開示されている公知の装置を用いて行うことができ、その詳細については、これらの文献を参照することができる。
【0102】
従来技術によれば、ネックインの評価は、作業経験に基づいて、又は連続的な近似値による試験に基づいて行われている。この方法は満足できるものではない。
【0103】
ウェブ材料評価システムを通じて、本明細書に開示されている巻戻し機の幾つかの実施形態は、適切な位置で、好ましくは巻取り点の直前で、長手方向のストリップS1~Snに切断されたウェブ材料Nの縁部の位置を測定することを可能にし、必要なデータを、そこに挿入された筒状巻芯を有する巻取りロッド又はシャフトを準備する装置に送信することを可能にする。
その目的は、以下のような一連の作業をループクローズすることにある。
・ウェブ材料Nを切断するためのブレード13及びカウンターブレード15の位置決め
・筒状巻芯の切断
・巻取ロッド又はシャフトへの筒状巻芯の位置決め
・上述した収縮とその原因を考慮したウェブ材料のストリップの二次リールBSへの巻き付け
【0104】
本質的に、ウェブ材料Nを長手方向のストリップS1~Snに切断して分割した後、本明細書に記載のウェブ材料Nの評価システムは、長手方向の各縁部(例えば、
図4Aにおける縁部B2、B3)の位置を正確に検出することができ、そして、各ストリップの幅と、隣接するストリップの各ペア間のネックインNI(
図4A参照)とを決定又は検証することができる。これらのデータに基づいて、正しい軸方向の長さの筒状巻芯を準備し、各巻取りロッド又はシャフトに正確に配置することが可能になる。このようにして、オペレータがデータの処理や入力に介入する必要なく、筒状巻芯の端部はストリップS1~Snの端部と一致させられる。その結果、各筒状巻芯の端部は、各二次リールBSの平坦面に対して正しい位置に確実に配置されることになる。
【0105】
ストリップS1~Snの長手方向の縁部の位置は、切断装置11の下流で、装置1に設けられた一つ以上のビデオカメラによって検出され得る。
【0106】
上述の説明をより良く理解するために、
図5には、ウェブ材料Nの二つのストリップS1及びS2がそれぞれ巻き付けられる一対の二次リールBS1、BS2が模式的に示されている。符号Bl、B2は、ストリップS1、S2の互いに隣接する長手方向の端部を示す。二次リールBS1、BS2は、巻取りロッド又はシャフトAに挿入され、ロックされている筒状巻芯Tの周りに巻かれる。このシャフトは、公知の方法で、例えば空気圧で拡張可能である。同時に形成される二次リールの数に応じて、可変数の筒状巻芯がシャフトに取り付けられ得る。
【0107】
図5に示すように、リールBS1の部分的な断面では、筒状巻芯Tは、二次リールBS1、BS2のヘッド面、即ち、平坦面BSF1、BSF2の内側にあるか、好ましくは同一平面上にある端部を有する。このようにして、筒状巻芯Tは、二次リールBSの後続の処理及び変換の障害とならない。
【0108】
本明細書に記載の方法によれば、ネックインNI、即ち、隣接する長手方向の縁部B2、B3(
図4A)又はBl、B2(
図5)の間の間隔を検出するために、様々な技術が使用され得る。例えば、
図1、
図2、
図3を参照して説明したように、互いに整列した少なくとも一つのビデオカメラ又は複数のビデオカメラを備えるビジョンシステムを使用することができる。有利には、一つ又は複数のビデオカメラは、例えば、ビデオカメラ51については
図1に、ビデオカメラ61については
図2及び
図3に示されているように、巻取り点のすぐ上流でストリップに切断されたウェブ材料Nをフレームに収めるように配置され得る。このようにして、ストリップS1~Snの幅及びネックインのサイズのデータが正確に決定され、巻取り前の別の処理のために変更されることはない。
【0109】
ストリップS1~Snの幅及びネックインを決定するために、ビデオカメラ及び関連する画像処理ソフトウェアを使用する代わりに、本明細書の前文で述べたように、他の代替システム、例えば、レーザースキャナ、フォトセル、静電システムなどを使用することができる。
【0110】
ネックイン値を確認するためにウェブ材料評価システムによって検出されたデータを使用して、全ての筒状巻芯Tを巻取シャフト又はロッドA上に正しく配置するために、以下の方法を実行することができる。
【0111】
決められた幅のある数のストリップS1~Snに切断されたウェブ材料、例えば不織布の所定のバッチの二次リールBSの製造の開始時に、ウェブ材料Nを巻戻し機に引き込む。
【0112】
適切なインターフェース、例えば制御パネル72(
図1、2、3)を介して、切断装置11のブレード13及びカウンターブレード15の位置が、得ようとする様々なストリップS1~Snの幅に応じて設定されると共に、例えばオペレータの経験に基づいて推定される推定ネックイン値も設定される。すべての装置パラメータ、例えば、ウェブ材料の張力、供給経路Pに沿ったローラ間のウェブ材料の延伸、バナナローラ17(又はウェブ材料Nを広げるための他の拡張システム)の位置等は、所望の生産に応じて設定される。
【0113】
筒状巻芯Tは、得ようとするストリップの幅に対応するサイズに切断され、推定されたネックイン値を考慮して、各ストリップS1~Snの位置に対応する位置で巻取りシャフト又はロッドA上に配置され、筒状巻芯Tを有する巻取りシャフト又はロッドが、巻取りステーション3に配置される。
【0114】
次に、巻取り機1は、短い長さのウェブ材料(リールに巻かれる長さに比べて短い)を処理できるように、減速して始動される。ウェブ材料評価システムは、ストリップS1~Snの有効幅とネックインの実際のサイズを決定するためのデータを取得する。
【0115】
この取得ステップが完了すると、巻取り機1は停止され、巻取り機を通過したばかりの材料は廃棄される。
【0116】
切断装置11のブレード13及びカウンターブレード15は、取得したストリップの有効幅及びネックインのデータに基づいた数学的計算によってその位置を決定して、再び位置決めされる。
【0117】
数学的計算は、例えば、以下のアプローチに基づいて行うことができる。ブレード13及びカウンターブレード15を第一の位置に配置して行う生産と、第二の位置に配置して行う生産とでは、ネックインは変化しないが、ストリップスS1~Snの幅は数学的計算によって変化する。即ち、ブレード13の二つの切断縁部間の距離は、ネックインの誤差に応じて調整され、ストリップの幅に記録された誤差に応じて調整される。この原理のベースは、次の式で表される。
【数1】
式中、
Ti
(2)は、再配置後のiストリップを切断する連続した二つのブレードの切断縁部間の距離であり、従って、それは必要な値である。
Ti
(1)は、動作サイクルの最初の工程、即ち再配置の前の連続する二つのブレードの切断縁部間の距離である。
Si
(2)は、i番目のストリップの幅である。
Si
(1)は、テスト工程中、即ちブレード13を再配置する前に読み取られたストリップの幅である。
【0118】
他の実施形態では、異なるアプローチを用いることができる。ネックイン値は、隣接するストリップの幅に関して、比例原理に追従する。比例は、直接的(線形関係)であってもよいし、独立変数がストリップの設定幅と測定された幅である関数に関しての比例であってもよい。この原理は次の式で表される。
【数2】
式中の記号の意味は式1と同じである。
【0119】
別のアプローチによれば、円盤状のブレード13の切断縁部の位置はネックインの中心ではなく、逆にネックインは切断縁部によって二つの部分に分割され、それぞれが隣接するストリップの幅に比例している。ここで、「比例」は、直接的な比例、又は独立変数が当該ネックインの右側と左側のストリップの幅である関数に関する比例を指し得る。
【0120】
二次リールBSのバッチの実際の生産は、第一の一連の二次リールBSを取り除いて、ブレード13及びカウンターブレード15を再配置した後に開始される。実際の生産を開始する前に、以下の3つの処理が行われ得る。
A.ブレード13及びカウンターブレード15を、数学的計算によって生成された新しい位置に基づいて配置する。ここで、入力データは、ストリップS1~Snの幅及びネックインに関する評価システムによって取得されたデータである。
B.筒状巻芯Tを、評価システムによって検出されたスト簡単に説明すると、ウェブ材料Nの評価システムを介して取得した情報を使用することにより、筒状巻芯Tの寸法を決め、正しく位置決めすることが可能であり、芯がそれぞれの二次リール(BS1、BS2)の平らな頭部又は前面(BSF1、BSF2、
図5)の内側又は同一平面に留まるようにすることができる。リップS1~Snの実際の幅に適合した長さで切断する。
C.筒状巻芯Tを、ストリップに切断されたウェブ材料の端部の読込データに従って、巻取りシャフト又はロッドA上に配置する。
巻芯の端部は、検出された端部B2、B3(
図4A)又はBl、B2(
図5)の位置に配置される。
【0121】
簡単に説明すると、ウェブ材料Nの評価システムを介して取得した情報を使用することにより、筒状巻芯Tを正しく寸法を決め、及び位置決めすることが可能になり、巻芯が、各二次リール(BS1、BS2)のフラットヘッド又は前面(BSF1、BSF2、
図5)の内側又は同一平面に留まるようにすることができる。
【0122】
本明細書に記載されているウェブ材料Nの評価システムを使用したネックインの管理及び巻取りシャフト又はロッドA上の筒状巻芯Tの寸法及び位置決めにより、巻戻し工程中に製造される二次リールBSの品質を改善することが可能になる。
【0123】
この方法は、二次リールBSの正しい巻き取り、ひいては品質に影響を与える可能性のある他の要因を考慮するために、さらに改良することもできる。
【0124】
実際、上述したように、巻戻し機1によって製造された二次リールBSは、例えば、赤ちゃん用又は大人用のおむつ、生理用ナプキン、又は製造が特に複雑な他の完成品を製造するために使用され得、そのためには二次リールBSの幾つかの質的な特徴が重要である。質的なニーズは、特に、二次リールBSのヘッド面(BSF1、BSF2、
図5)の平坦性と、リールの一定の幅である。
【0125】
実際、コンバーティングマシンで巻解かれて二次リールBSから来るウェブ材料のストリップの縁部は、常に同じ位置にはなく、例えば、二次リールBSに巻き取られたストリップの幅が不均一であったり、又は、縁部がジグザグになっていたりするために、供給方向に対して横方向に動く場合、完成品を形成する際に問題が生じる可能性がある。例えば、紙おむつや生理用ナプキンの製造では、製品の様々な層が誤った位置で接着されたり、接着剤が紙おむつや生理用ナプキンの縁から出たり、単一の紙おむつやナプキンの切断型が前もって切断された材料に痕跡を残したりする可能性がある。
【0126】
二次リールBSを巻いている間に、ストリップS1~Snの縁部B2、B3(
図4A)又はBl、B2(
図5)が固定された一定の位置であることは、二次リールBSの側面又は前面(BSF1、BSF2)の良好な平坦性をもたらす。巻解かれる一次リールBPのストリップの幅が一定であること、及び切断装置11から来るストリップS1~Snの縁部B2、B3の位置が一定であることは、製造される二次リールBSの品質を評価するために、かつ、二次リールBSから出発して完成品を製造するために使用されるコンバーティングマシンの動作に問題がないことを保証するために、特に重要な要素である。
【0127】
従来技術によれば、巻き取られる各ストリップS1~Snの幅及び縁部位置は間接的に制御される。言い換えれば、ウェブ材料Nの機械的特性(弾性モジュール、ポアソン比等)は、ウェブ材料Nの長さ全体にわたって一定であると仮定され、巻取り中のストリップS1~Snの可変収縮を避けるために、供給経路Pに沿ってウェブ材料Nの張力を制御下に置くことに特に注意が払われている。
【0128】
従来技術によれば、ウェブ材料の張力は、ロードセルを介在させて取り付けられたローラを介して検出され、その信号は、巻解き機31のモータ38を管理するためのフィードバック信号として使用される。巻解き機31のモータは、モータによって回転駆動される機械的部材を、一次リールBPの外周面に接続する機械的伝達装置及びベルト35によって、一次リールBPに動力を伝達する。従って、巻解き部材33のベルト35を作動させる駆動軸の角速度と、ベルト35の周速度、従って一次リールBPの円筒状外周面の周速度との間には、直接的な比例関係がある(少なくとも理論的なレベルでは)。巻解き機31のモータ38は、巻解きベルト35の周速度が、二次リールBSが形成される巻取りステーション3のローラ5、7の周速度と同じになるように制御される。モータ38は、制御ユニットに接続され、巻解き機31のモータ38を駆動する信号は、PID(比例、積分、微分)調整器を介してロードセルから来る信号によって操作される。巻戻し機の他のローラは、巻取りローラ5、7の速度又は巻解き機31のモータ38の速度に関する速度変動(割合)で制御される。各ローラの速度変動の割合値は、オペレータによって設定される。
【0129】
巻戻し機は、スタート・ストップ・マシンであり、即ち、完全に停止した状態からスタートし、オペレータによって設定された作業速度まで加速し、一定時間又は一定の巻取り長さのまで、この速度を維持し、その後、形成された二次リールBSの排出を可能にするために停止するまで減速する。そのため、そのローラに加速及び減速トルクがかかる装置である。
【0130】
上述の説明から、巻戻し中のウェブ材料Nの特徴の変化、例えばポアソン比の変化が、ストリップS1~Snの幅の望ましくない変化を引き起こすことが明らかである。実際、従来技術による調整は、ウェブ材料の横方向の収縮が一定(ポアソン比が一定)であると仮定して、巻き戻し中にウェブ材料Nの張力を一定に保つことで成り立っている。ウェブ材料の張力を一定に保ったまま、ポアソン比がウェブ材料の延長線上で変化すると、長手方向に切断して得られるストリップS1~Snの幅がそれに応じて変化し、これが二次リールBSの最終品質に悪影響を及ぼす。
【0131】
製造される二次リールBSの品質に悪影響を及ぼすストリップの幅のさらなる変動は、ウェブ材料Nとその牽引を決定する一つ以上のローラとの間の相互のスライド又はシフトから生じることがある。シフトは、特に巻戻し機の加速及び減速の過渡期に発生する可能性がある。
【0132】
幾つかの実施形態によると、これらの欠点は、上述のウェブ材料評価システムを使用することによって、部分的又は完全に排除することができる。
【0133】
特に、一つ又は複数のビデオカメラ51、55、61又は上述の他の装置を介して、切断装置11によってウェブ材料Nを切断してなるストリップS1~Snの縁部の位置を検出することが可能である。この情報は、ウェブ材料の張力を制御する巻戻し機のモータ、特に例えば巻解き機31のモータ38及び巻取りローラ5、7のモータ8を制御するために使用され得る。これらのモータは、一次リールBP及び二次リールBSを回転させる。また、図示されていない他のモータや、上述した同じモータが、供給経路Pに沿って配置された他のローラを回転駆動し、(ストリップS1~Snに切断される前及び/又は後に)その周りでウェブ材料を駆動するようにしてもよい。
【0134】
ウェブ材料の巻取り張力は、一つ以上のウェブ材料供給部材の作動に関与する各モータの動作に起因する。ウェブ材料評価システムを介して取得した情報を使用して、一定の幅でストリップの縁部の位置が一定のストリップS1~Snを得るようにモータを制御することが可能であり、その結果、特に、ウェブ材料が、その長手方向に沿って変化し得る機械的特徴(例えば、ポアソン比)を有している場合であっても、高品質の二次リールBSを形成することが可能である。また、速度変動及び/又は供給部材上でのウェブ材料Nの滑りによる二次リールBSの品質への悪影響を回避することも可能である。
【0135】
ストリップS1~Snの実際の幅及びその縁部の実際の位置(ネックインNIの実際の値)に応じてウェブ材料Nの供給部材を制御することにより、高品質の二次リールBSを得ることができ、従来技術の上述の欠点、特に以下を回避することができる。
・ウェブ材料の機械的特性が材料のすべての点で一定であると仮定する必要があり、そのような仮定が不正確であることに起因する結果的なエラーが発生すること。
・一つ又は複数の供給部材上でウェブ材料が滑る危険性があり、その結果、ウェブ材料に付与される実際の張力が不確かになること。
・ロードセルの典型的なもので、例えばロードセルが取り付けられているローラのバランス誤差及び/又はウェブ材料の運動量の変化などに起因して、ウェブ材料の張力Nの測定誤差が生じること。
・特に高速作動時の空力効果に起因してロードセルの測定誤差が生じること。実際、すべてのローラは回転することで周囲の空気を動かす。ローラの周りの空気速度及び圧力の分布が軸対称であれば、回転するローラに関連するロードセルは空気の影響を受けない。しかし、ローラの近くには、ローラの周りで駆動されるウェブ材料を含む、機械的部材が存在するため、ローラの周りの空気速度、従って空気圧フィールドの分布は軸対称ではない。これにより、ウェブ材料の張力以外の要因によってローラにかかる応力をロードセルで測定するため、ウェブ材の張力の測定に誤差が生じる。
・空気力学的な現象によるウェブの張力の変化は、従来技術の装置では十分に補正されないこと。
【0136】
ストリップの実際の幅及びその縁部の実際の位置に関する情報を使用して、例えば以下のパラメータの一つ以上に作用することによって、ウェブ材料Nの供給部材を作動させる一つ以上のモータを制御することが可能である。
・角速度(モーターが速度制御されている場合)、又は
・角位相(モーターが位置制御で制御されている場合)、又は
・トルク
【0137】
モータへのフィードバックは、各モータの駆動で直接行われ得、また、モータの各種駆動を制御するPLCで行うこともできる。
【0138】
例として、以下のデータの一つ以上を、供給部材を駆動する様々なモータを管理するための信号として使用することができる。
・ウェブ材料Nの左端にあるストリップの左端と、ウェブ材料Nの右端にあるストリップの右端との間の距離:この原理は、全てのストリップの幅及び全てのネックインを制御することを目的としている。
・全てのストリップの幅の平均(又は合計):この原理は、全てのストリップの合計幅を一定に保つことを目的としている。
・広い方のストリップの幅
・最も中心位置にあるストリップの幅
【0139】
特に、ウェブ材料供給部材を作動させる一つ以上のモータの制御は、ストリップの、従って二次リールBSの一つ以上のパラメータ又は特徴を一定に保つようにすることができる。例えば、ストリップS1~Snのネックイン及び実際の幅を検出することにより、巻戻し機の一つ以上のモータが、フィードバックループを用いて制御され得、ネックイン及び/又はストリップの幅の設定値からの逸脱を補正し、これらのパラメータを巻取りサイクル全体で、完全に一定に又は定義された許容範囲内に保つようにされ得る。
【0140】
しかしながら、より一般的には、本明細書に記載された巻戻し方法は、ウェブ材料Nの評価システムによって取得された情報を使用して、製造されるストリップの位置及び/又は幅を制御するという一般的な目的で、供給部材の一つ又は複数のモータを制御することができ、これらのパラメータを必ずしも一定に保つ必要はないが、巻取り戻しサイクル中にその特定の傾向を設定することができる。例えば、二次リールBSに巻かれた材料の量(長さや重量等)又は巻取り時間の関数として、ストリップの幅の変化又は巻取り張力の変化を課すために、上述の制御を使用することも可能である。
【0141】
巻戻し中に、空気力学的な理由、特にウェブ材料Nの高い送り速度に起因した、巻き取られるストリップS1~Snの横方向のずれを確認することが可能である。個々のストリップS1~Snの縁部の位置を識別するように適合された本明細書に記載のウェブ材料評価システムを通じて、横方向のずれ現象の発生を検出し、それを回避するために必要なすべての測定を実施することが可能になる。
【0142】
ずれを低減又は排除するために、例えば、一方又は他方の供給部材の速度を修正することが可能である。幾つかの実施形態では、横方向のずれを検出した後に取られた制御措置がこの異常を排除するのに十分でない場合、必要に応じて、巻戻し機の完全な停止までウェブ材料の供給速度を低下させることができる。
【0143】
巻戻し機1の幾つかの実施形態では、ウェブ材料評価システムは、ポアソン比、即ち、横方向の歪みの比を測定するための配置を含むことができる。
図6は、ポアソン比の検出に有用なウェブ材料Nの評価システムの部材から成る実施可能な構造を有する巻戻し機1の幾つかの部分の簡略図である。
図6において、
図1~
図3を参照して既に説明した部分には同じ符号を付す。ポアソン比の測定に使用される評価システム要素は、供給経路Pの第一位置にあるウェブ材料の第一幅(即ち、供給方向に対する横方向の寸法)に関する情報を取得するための第一装置81を備えることができる。また、供給経路Pの第二の位置にあるウェブ材料の第二幅に関する情報を取得するための第二装置83が設けられ得る。前記装置81及び83は、ビデオカメラ、リニアビデオカメラアレイ、又はウェブ材料Nの幅を検出するように適合された、例えば上述のタイプの他の装置であり得る。また、装置81、83は、
図1~
図3の図を参照して上述した一つ以上のビデオカメラ、例えばビデオカメラ51、53、61を有し得る。
【0144】
図6では、第一装置81が配置されている第一位置は、切断装置11のすぐ下流又はそれに対応している。このようにして、ウェブ材料Nを長手方向に切断して得られた個々のストリップS1~Snの幅、又は一つ又は幾つかのストリップのみの幅を検出することが可能になる。第二装置83は、第一装置の下流側に配置され、
図6の実施例では、巻取りローラ5の前に配置されている。
【0145】
装置81及び83の上述の二つの位置は、単なる例として与えられたものであり、異なる位置に設けることも可能である。一般的に言えば、二つの位置は、ウェブ材料の供給速度が二つの位置で僅かに異なるようにされており、ウェブ材料は、異なる供給速度によって生じる張力によって縦方向の伸びを受け、その結果、横方向の収縮を受けるようになっている。
【0146】
図6では、ウェブ材料の幅が測定される二つの位置は、切断装置11の下流側(又は対応する位置)に配置されているが、図示しない他の実施形態では、幅及び供給速度は切断装置11の上流で検出され、ストリップS1~Snに切断される前のウェブ材料Nのポアソン比を計算するようにされている。例えば、装置81は、巻解き機31の巻解き部材33と関連していてもよい。
【0147】
ストリップの第一幅は、円盤状切断ブレード13の切断縁部の位置を検出することによって測定され得る。この場合、第一測定位置はウェブ材料供給経路に沿った円盤状切断ブレード13の位置と一致し、第一測定装置は、円盤状切断ブレード13の横方向の位置(即ち、ウェブ材料供給方向に直交する方向の位置)を検出する装置とすることができる。
【0148】
また、例えば、切断装置の上流及び下流の両方で、ウェブ材料の幅を検出するために、一対以上の装置が設けられ得る。
【0149】
また、ポアソン比を算出するために、供給経路の第一位置におけるウェブ材Nの第一供給速度を測定する第一測定装置85が設けられ、かつ、供給経路の第二位置におけるウェブ材Nの第二供給速度を測定する第二測定装置87が設けられる。速度測定装置85、87は、例えば、(市場で公知の)レーザシステム、又は、ウェブ材料Nと接触し、その周速度がウェブ材の周速度と等しい回転部材の回転速度を測定する装置等を備え得る。この目的のために、例えば、誘導センサー、ローラ周面に沿って適切に配置された一つ以上の反射面を検出するレーザー、ローラ周面に沿って適切に配置された一つ以上の磁石を検出する磁気センサー等が設けられ得る。
【0150】
符号81及び83で模式的に示された装置は、ウェブ材N又はそれが切断されたストリップS1~Snの縁部の位置を決定するための上述の装置の一つ又は複数であり得る。
【0151】
幾つかの実施形態では、
図6に模式的に示されているように、装置81及び85が配置されている第一位置は、円盤状のブレード13及びカウンターブレード15が長手方向の切断を実行する点と一致し得る。このようにして、ストリップの幅は、ストリップを切断するブレードの切断縁部間の距離と等しくなる。この場合、装置81は、単にブレード13の切断縁部の位置を検出する装置とすることができる。従って、第一位置におけるストリップの幅を知るために、別の検出手段は必要ない。
【0152】
第一位置では、長手方向の速度は、光学的手段で検出され得る。又は、カウンターブレードが、ウェブ材料Nが巻かれたカウンターローラで形成されている場合、ウェブ材料Nとカウンターローラとの間に相対的な滑りがなければ、ウェブ材料Nの速度はカウンターローラの周速と等しくすることができる。カウンターローラの回転速度は、容易に検出することができる。
【0153】
図7は、供給経路の第一位置及び第二位置にあるウェブ材料Nの二つの部分を模式的に示している。より詳細には、第一位置にあるウェブ材料は連続線で表され、第二位置にあるウェブ材料は点線で表されている。ウェブ材料に加わる牽引力のために、例えば二つの位置での異なる送り速度に起因して、
図7に模式的に示されるように、ウェブ材料は長手方向に伸長し、横方向に収縮する。
【0154】
ポアソン比は以下の式で表される。
【数3】
式中、Ll及びL2は、第一位置におけるウェブ材Nの長さ(装置方向MDの寸法)及び幅(横方向CDの寸法)である。
値ALl及びAL2は、二つの位置の間の部分でウェブ材料が受ける牽引による長さ及び幅の変化である。
【0155】
ウェブ材料の速度及び長さを相関させる運動学的式に基づいて、ポアソン比CPを定義する次の式が得られる。
【数4】
式中(
図7も参照)、
L2aは、ウェブ材料の幅に関する情報を取得するために第一装置によって検出されたウェブ材料の幅である。
L2bは、ウェブ材料の幅に関する情報を得るために第二装置によって検出されたウェブ材料の幅である。
V1aは、第一位置でのウェブ材料の供給速度である。
V1bは、第二位置におけるウェブ材料の供給速度である。
【0156】
上記の説明では、巻解き機で巻解かれる一次リールからのウェブ材料を長手方向に切断することによって得られた一連のストリップ状のウェブ材料が供給される巻取りステーションを備えたスリッター巻戻し機について具体的に言及した。上述した特徴の幾つかは、例えば、連続紙製造装置や不織布製造装置などの製造装置から連続したウェブ材料を直接受け取る巻取り機にも使用することができる。
【0157】
図8は、このタイプの巻取り機100の斜視図である。巻取り機100は、例えば、互いに隣接し、かつ同軸である二次巻芯を受け取るように適合された巻取りステーション101を備えている。この実施形態でも、前の場合と同様に、巻芯は、拡張可能な巻取ロッド又はシャフト上に挿入され得る。また、巻取り機100は、複数のブレード105と一つ以上のカウンターブレード107を有する切断装置104を備えている。切断装置104は、供給経路Pに沿ってウェブ材料Nの供給方向に対して巻取りステーションの上流側に配置されており、ウェブ材料Nを複数のストリップS1~Snに切断するように構成されている。
【0158】
巻取りステーション101は、切断装置104から来るウェブ材料のストリップがその周りで駆動される巻取りローラ103を有し得る。ガイドローラ109、111、113、114及び115は、切断装置104の上流側と下流側の両方で、ウェブ材料Nの供給経路Pに沿って配置され得る。
【0159】
幾つかの実施形態では、巻取り機100は、ウェブ材料料評価システムを備えている。評価システムは、例えば、
図1を参照して説明した金属検出装置50と同じ機能を有する金属検出装置125を有し得る。金属検出装置は、供給経路Pのガイドローラ114及び115間の部分に沿って、有利には切断装置104の下流側に設けられ得る。
【0160】
追加的又は代替的に、ウェブ材料評価システムは、
図1から
図3を参照して説明したように、一つ又は複数のビデオカメラを有し得る。
図8では、二つのビデオカメラ121及び122が示されており、上述したものと同じ目的及び理由のために、切断装置104の下流、有利には、巻取りローラ103の可能な限り近くで、ウェブ材料供給経路をフレームに収めるように、配置されている。模式的に符号123及び124で示されたそれぞれの照明装置が、二つのビデオカメラ121、122に関連付けられている。ビデオカメラ121と照明装置123とで構成される光学系は透過式で動作し、ビデオカメラ122と照明装置124とで構成される光学系は反射式で動作する。ビデオカメラの数と配置は、単なる例として与えられている。別の実施形態では、より多くの数のビデオカメラが設けられ得、また、異なる位置で設けられ得る。
【0161】
ビデオカメラは、固定又は移動可能であり得、例えば、ウェブ材料供給経路に対して横方向に、即ち
図8に対して直交する方向に移動可能である。さらに、各ビデオカメラ121、122は、供給経路Pに対して横方向に整列したビデオカメラのグループ、即ち線形マトリクスの一つとすることができる。
【0162】
ビデオカメラは、前の実施形態を参照して説明した機能を実行するために使用することができ、特に、ポアソン比の決定、ウェブ材料のネックインの管理、及び上述の他の機能を実行するためにも使用することができる。ビデオカメラに加えて、巻取り機は、例えば、ポアソン比を計算するために、ウェブ材料の供給速度及び切断ブレードの位置を検出する装置を有し得る。
【0163】
本発明を様々な具体的な実施形態を参照して説明してきたが、特許請求の範囲の保護範囲を逸脱することなく、多くの修正、変更、及び省略が可能であることは、当業者には明らかである。