(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】薬液注入制御方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
A61M 5/172 20060101AFI20240501BHJP
A61M 5/142 20060101ALI20240501BHJP
A61M 5/168 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
A61M5/172 500
A61M5/142 530
A61M5/168 500
(21)【出願番号】P 2022549763
(86)(22)【出願日】2021-03-09
(86)【国際出願番号】 KR2021002893
(87)【国際公開番号】W WO2021194131
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2022-08-18
(31)【優先権主張番号】10-2020-0035074
(32)【優先日】2020-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】522328035
【氏名又は名称】イーオーフロウ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】EOFLOW CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Rm. H2202, 172, Dolma-ro, Bundang-gu, Seongnam-si Gyeonggi-do 13605 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】ビン、インウク
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジファン
【審査官】上石 大
(56)【参考文献】
【文献】特許第6588982(JP,B2)
【文献】特表2019-509085(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0021959(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/172
A61M 5/142
A61M 5/168
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬液注入制御電子装置が、薬液注入ロジックがプログラムされた薬液注入装置によって測定された血糖値を受信するステップと、
前記薬液注入制御電子装置が、前記血糖値に対して経時的血糖値変化パターンを生成するステップと、
前記薬液注入制御電子装置が、前記血糖値変化パターンに応じた血糖値の変化の方向性を考慮して前記薬液注入ロジックを変更する信号を生成するステップ
と、
前記薬液注入制御電子装置が、前記薬液注入ロジックを変更する信号を前記薬液注入装置に送信するステップ
とを含み、
前記薬液注入ロジックを変更する信号を生成するステップは、
前記薬液注入ロジックを変更する第1信号を生成し、前記第1信号を生成した時点以降に前記薬液注入ロジックを変更する第2信号を改めて生成する場合、前記第1信号を生成した時点を基準として所定の待機時間が経過した後に前記第2信号を生成するステップを含み、
前記所定の待機時間は、前記薬液注入ロジックの変更頻度を調整するために予め定められた時間である、薬液注入制御方法。
【請求項2】
前記生成するステップは、
前記薬液注入制御電子装置が、前記血糖値変化パターンに応じた将来の血糖値及び変化の方向性を考慮して薬液注入ロジックを変更する信号を生成する、請求項1に記載の薬液注入制御方法。
【請求項3】
前記薬液注入ロジックを変更する信号は、
薬液注入停止信号または薬液注入減少信号のうち1つである、請求項1に記載の薬液注入制御方法。
【請求項4】
前記薬液注入装置に送信するステップの後、
前記薬液注入制御電子装置が、現在の時点に基づいて現在の血糖値または将来の血糖値を算出し、現在の血糖値または将来の血糖値を考慮して薬液注入ロジックを再開するかどうかを判断するステップをさらに含む、請求項1に記載の薬液注入制御方法。
【請求項5】
前記薬液注入装置に送信するステップの後、
前記薬液注入制御電子
装置が、定められた第1待機時間が満了した場合に、現在の時点に基づいて算出された血糖値変化パターンに応じた血糖値の変化の方向性を考慮して薬液注入ロジックを再開するかどうかを改めて判断し、薬液注入ロジック再開信号または薬液注入ロジック停止信号を前記薬液注入装置に送信するステップをさらに含む、請求項1に記載の薬液注入制御方法。
【請求項6】
前記薬液注入装置に送信するステップの後、
前記薬液注入制御電子
装置が、定められた第2待機時間が満了した場合に、薬液注入ロジック再開信号を自動的に薬液注入装置に送信するステップをさらに含む、請求項1に記載の薬液注入制御方法。
【請求項7】
前記薬液注入装置に送信するステップの後、
前記薬液注入制御電子装置が、薬液注入停止信号が発生した時点から定められた注入停止期間中の測定血糖値を定期的に受信するステップと、
前記薬液注入制御電子装置が、受信した測定血糖値が正常血糖値範囲から外れているかどうかを判断するステップと、
前記測定血糖値が前記正常血糖値範囲から外れている場合、前記薬液注入ロジックを再開する信号を送信するステップとをさらに含む、請求項1に記載の薬液注入制御方法。
【請求項8】
コンピュータを使用して請求項1~5のいずれか一項に記載の方法を実行させるためにコンピュータ読み取り可能記録媒体に記憶されたコンピュータプログラム。
【請求項9】
薬液注入ロジックがプログラムされた薬液注入装置と通信する薬液注入制御電子装置において、
プロセッサ、及び通信部を含み、
前記プロセッサは、注入機能制御部に含まれる命令語を実行させ、
前記注入機能制御部は、
測定された血糖値を受信し、
前記血糖値に対して経時的血糖値変化パターンを生成し、
前記血糖値変化パターンに応じた血糖値の変化の方向性を考慮して前記薬液注入ロジックを変更する信号を生成し、
前記薬液注入ロジックを変更する信号を前記薬液注入装置に送信
し、
前記薬液注入ロジックを変更する信号を生成することは、
前記薬液注入ロジックを変更する第1信号を生成し、前記第1信号を生成した時点以降に前記薬液注入ロジックを変更する第2信号を改めて生成する場合、前記第1信号を生成した時点を基準として所定の待機時間が経過した後に前記第2信号を生成することを含み、
前記所定の待機時間は、前記薬液注入ロジックの変更頻度を調整するために予め定められた時間である、薬液注入制御電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬液注入制御方法、及びコンピュータプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、インスリン注入装置などのインスリン注入装置は、患者の体内に薬液を注入するために使用される。このようなインスリン注入装置は、医師や看護師などの医療従事者によって使用されることもあるが、ほとんどの場合、患者自身や保護者などの一般人によって使用されている。糖尿病患者、特に、小児糖尿病患者の場合、インスリンなどの薬液を定められた時間間隔を置いて人体に注入する必要がある。したがって、一定期間、人体に付着して使用するパッチ形態のインスリン注入装置が開発されている。このようなインスリン注入装置は、患者の腹部または腰などの人体に一定期間パッチ状で付着した状態で使用することができる。
【0003】
インスリン注入装置は、患者の状態を考慮して設計された注入量プログラムの制御に従ってインスリンを注入するように設計されることができる。インスリン注入装置によってプログラムされたインスリンが注入されると、不意の危険が生じる可能性がある。
【0004】
したがって、インスリン注入装置は、患者の血糖値が低い状況などを考慮してインスリンを注入する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が達成しようとする技術的課題は、薬液注入制御方法、コンピュータプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施例による薬液注入制御方法は、薬液注入制御電子装置が、薬液注入ロジックがプログラムされた薬液注入装置によって測定された血糖値を受信するステップと、前記薬液注入制御電子装置が、前記血糖値に対して経時的血糖値変化パターンを生成するステップと、前記薬液注入制御電子装置が、前記血糖値変化パターンに応じた血糖値の変化の方向性を考慮して前記薬液注入ロジックを変更する信号を生成するステップ、及び前記薬液注入制御電子装置が、前記薬液注入ロジックを変更する信号を前記薬液注入装置に送信するステップを含むことができる。
【0008】
前記生成するステップは、前記薬液注入制御電子装置が、前記血糖値変化パターンに応じた将来の血糖値及び変化の方向性を考慮して薬液注入ロジックを変更する信号を生成することができる。
【0009】
前記薬液注入ロジックを変更する信号は、薬液注入停止信号または薬液注入減少信号のうち1つであることができる。
【0010】
前記薬液注入装置に送信するステップの後、前記薬液注入制御電子装置が、現在の時点に基づいて現在の血糖値または将来の血糖値を算出し、現在の血糖値または将来の血糖値を考慮して薬液注入ロジックを再開するかどうかを判断するステップをさらに含むことができる。
【0011】
前記薬液注入装置に送信するステップの後、前記薬液注入制御電子装置において定められた第1待機時間が満了した場合に、現在の時点に基づいて算出された血糖値変化パターンに応じた血糖値の変化の方向性を考慮して薬液注入ロジックを再開するかどうかを改めて判断し、薬液注入ロジック再開信号または薬液注入ロジック停止信号を前記薬液注入装置に送信するステップをさらに含むことができる。
【0012】
前記薬液注入装置に送信するステップの後、前記薬液注入制御電子装置において定められた第2待機時間が満了した場合に、薬液注入ロジック再開信号を自動的に薬液注入装置に送信するステップをさらに含むことができる。
【0013】
前記薬液注入装置に送信するステップの後、前記薬液注入制御電子装置が、薬液注入停止信号が発生した時点から定められた注入停止期間中の測定血糖値を定期的に受信するステップと、前記薬液注入制御電子装置が、受信した測定血糖値が正常血糖値範囲から外れているかどうかを判断するステップと、前記測定血糖値が前記正常血糖値範囲から外れている場合、前記薬液注入ロジックを再開する信号を送信するステップとをさらに含むことができる。
【0014】
本発明の実施例による薬液注入ロジックがプログラムされた薬液注入装置と通信する薬液注入制御電子装置において、プロセッサ、及び通信部を含み、前記プロセッサは、注入機能制御部に含まれる命令語を実行させ、前記注入機能制御部は、測定された血糖値を受信し、前記血糖値に対して経時的血糖値変化パターンを生成し、前記血糖値変化パターンに応じた血糖値の変化の方向性を考慮して前記薬液注入ロジックを変更する信号を生成し、前記薬液注入ロジックを変更する信号を前記薬液注入装置に送信することができる。
【発明の効果】
【0015】
上記のように構成された本発明の一実施例によれば、注入ロジックによってインスリン注入を行う過程で、血糖値の変化の方向性に基づいて薬液注入機能を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施例による注入機能制御部のブロック図である。
【
図2】本発明の実施例による薬液注入制御電子装置のブロック図である。
【
図3】本発明の実施例による薬液注入制御方法のフローチャートである。
【
図4】本発明の実施例による薬液注入制御方法のフローチャートである。
【
図5】本発明の実施例による薬液注入制御方法のフローチャートである。
【
図6】薬液注入の注入時間区間、注入停止時間区間、注入再開時間区間などを説明する図である。
【
図7】本発明の実施例による薬液注入システムを説明する図である。
【
図8】本発明の実施例による薬液注入システムを説明する図である。
【
図9】本発明の実施例による薬液注入システムを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書は、薬液注入制御電子装置が、薬液注入ロジックがプログラムされた薬液注入装置によって測定された血糖値を受信するステップと、前記薬液注入制御電子装置が、前記血糖値に対して経時的血糖値変化パターンを生成するステップと、前記薬液注入制御電子装置が、前記血糖値変化パターンに応じた血糖値の変化の方向性を考慮して前記薬液注入ロジックを変更する信号を生成するステップ、及び前記薬液注入制御電子装置が前記薬液注入ロジックを変更する信号を前記薬液注入装置に送信するステップを含む薬液注入制御方法を開示する。
【0018】
本発明は、様々な変換を加えることができ、様々な実施例を有することができるため、特定の実施例を図面に例示し、詳細に説明しようとする。本発明の効果及び特徴とそれらを達成する方法は、図面と共に詳細に後述する実施例を参照することで明らかになるであろう。しかし、本発明は、以下で開示される実施例に限定されるものではなく、様々な形態で実装されてもよい。
【0019】
本開示の様々な実施例で使用することができる「含む」または「含むことができる」等の表現は、開示された該当機能、動作または構成要素などの存在を指し、追加の1つまたは複数の機能、動作または構成要素などを限定しない。また、本開示の様々な実施例において、「含む」または「有する」などの用語は、本明細書に記載の特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品、またはそれらを組み合わせたものが存在することを指定するものであり、1つまたは複数の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部品、またはそれらを組み合わせたものの存在または追加の可能性を予め排除しないことと理解されるべきである。
【0020】
本開示の様々な実施例において、「または」などの表現は、一緒に列挙された単語の任意、及びすべての組み合わせを含む。例えば、「AまたはB」は、Aを含むことも、Bを含むことも、またはAとBの両方を含むこともできる。
【0021】
本開示の様々な実施例で使用された「第1」、「第2」、「一つ目」、または「二つ目」などの表現は、様々な実施例の様々な構成要素を修飾することができるが、その構成要素を限定するものではない。例えば、前記表現は該当構成要素の順序及び/または重要度などを限定しない。前記表現は、ある構成要素を他の構成要素と区別するために使用することができる。例えば、第1ユーザ機器と第2ユーザ機器は両方ともユーザ機器であり、互いに異なるユーザ機器を表す。例えば、本開示の様々な実施例の権利範囲から逸脱することなく、第1構成要素を第2構成要素と命名することができ、似たように第2構成要素も第1構成要素と命名することができる。
【0022】
ある構成要素が他の構成要素に「つながっている」または「接続されている」と言及されたときには、前記ある構成要素が前記他の構成要素に直接つながっているか、または接続されていてもよいが、前記ある構成要素と前記他の構成要素の間に新しい他の構成要素が存在する可能性もあることを理解する必要があるだろう。一方、ある構成要素が他の構成要素に「直接つながっている」または「直接接続されている」と言及されたときには、前記ある構成要素と前記他の構成要素との間に新しい他の構成要素が存在しないことと理解されることができる。
【0023】
本開示の実施例において、「モジュール」、「ユニット」、「部(part)」などの用語は、少なくとも1つの機能や動作を実行する構成要素を指すための用語であり、そのような構成要素はハードウェアまたはソフトウェアで実装されたり、ハードウェア及びソフトウェアの結合で実装されることができる。また、複数の「モジュール」、「ユニット」、「部(part)」などは、それぞれが個別の特定のハードウェアで実装される必要がある場合を除いては、少なくとも1つのモジュールやチップに一体化され、少なくとも1つのプロセッサで実装されることができる。
【0024】
本開示の様々な実施例で使用される用語は、単に特定の実施例を説明するために使用されたものであり、本開示の様々な実施例を限定することを意図するものではない。単数の表現は、文脈上明らかに別段の意味を持たない限り、複数の表現を含む。
【0025】
他に定義されない限り、技術的または科学的用語を含めて本明細書で使用されるすべての用語は、本開示の様々な実施例が属する技術分野で通常の知識を有する者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。
【0026】
一般的に使われる辞書に定義されているもののような用語は、関連技術の文脈上の意味に一致する意味として解釈されるべきであり、本開示の様々な実施例において明確に定義されない限り、理想的または過度に形式的な意味として解釈されない。
【0027】
以下、添付された図面を用いて本発明の様々な実施例について具体的に説明する。
【0028】
図1は、本発明の実施例による注入機能制御部110のブロック図である。
【0029】
注入機能制御部110は、注入ロジックローディング部111、注入ロジック実行部112、血糖値パターン検出部113、注入ロジック変更部114、注入ロジック再活性化部115を含むことができる。
【0030】
注入ロジックローディング部111は、注入ロジックを実行できるようにローディングすることができる。注入ロジックは、該当ユーザの治療を行った医療機関のサーバから受信するができる。あるいは、注入ロジックは、ユーザによって設定されてもよい。ローディングするというのは、注入ロジックを一時記憶メモリに保存して実行することを意味することができる。
【0031】
注入ロジック実行部112は、ローディングされた注入ロジックを実行させることができる。注入ロジックは、注入時点に注入容量の薬液が注入されるようにするプログラムを意味することができる。
【0032】
血糖値パターン検出部113は、注入ロジックによってインスリン注入を行う過程で血糖値の変化パターンを検出する機能を実行することができる。より具体的に、血糖値パターン検出部113は、薬液注入装置または遠隔の血糖値測定装置から測定された血糖値を受信し、測定された血糖値に基づいて血糖値変化パターンを計算することができる。ここで、血糖値変化パターンは血糖値の時間に対する変化を表すものであり、第1血糖値、第2血糖値が測定された場合、第1血糖値と第2血糖値の時間に対する方向性、血糖値が上昇してから下降する変曲点、血糖値が下降してから上昇する変曲点、基準血糖値との差などを含むことができる。
【0033】
血糖値パターン検出部113は、測定された血糖値に基づいて血糖値が上昇する方向性を有するか、または下降する方向性を有するかを判断することができる。血糖値パターン検出部113は、測定された血糖値に基づいて生成された血糖値変化パターンを通じて血糖値の時間に対して変化する方向性を判断することができる。血糖値パターン検出部113は、血糖値変化パターン及び過去の血糖値変化パターンを用いて、将来の1つまたは複数の血糖値を予測することができる。血糖値パターン検出部113は、第1ユーザの血糖値に基づいて判断された第1血糖値変化パターン及び第1ユーザの過去の第2血糖値変化パターンを用いて第1血糖値変化パターン以降の将来の血糖値を予測することができる。血糖値パターン検出部113は、第1ユーザの血糖値に基づいて判断された第1血糖値変化パターン及び第2ユーザの第3血糖値変化パターンを用いて第1ユーザの第1血糖値変化パターン以降の将来の血糖値を予測することができる。この場合、第2血糖値変化パターンまたは第3血糖値変化パターンは、1つまたは複数の血糖値変化パターンを含むことができる。第2ユーザは1つまたは複数のユーザを含むことができる。
【0034】
血糖値パターン検出部113は、血糖値変化判断アルゴリズムを用いて測定された血糖値に対応する将来の血糖値の方向性及び将来の血糖値を算出することができる。具体的に、第1時点の血糖値、第2時点の血糖値に基づき、各ユーザの累積の過去の血糖値の変化データである血糖値変化パターンを用いて、第1及び第2時点以降の将来の第3時点の血糖値を算出することができる。
【0035】
血糖値パターン検出部113は、第1~第2時点に対応する時点の血糖値のうち、同じ血糖値変化パターンを有する測定データを検索し、検索した測定データに基づいて判断された血糖値変化パターンを用いて、将来の第3時点の血糖値を決定することができる。同じ血糖値変化パターンを有する測定データは、該当ユーザの過去データまたは他のユーザの過去データのうち選択されることができる。
【0036】
このように算出された血糖値パターン検出部113は、将来の血糖値をさらに考慮して、ユーザの血糖値変化パターンを予測することができる。
【0037】
血糖値パターン検出部113は、測定された血糖値が作る血糖値変化パターン以外に薬液注入情報をさらに考慮して対応する血糖値変化パターンを決定することができる。
【0038】
別の実施例において、血糖値パターン検出部113は、測定された血糖値が正常血糖値範囲から外れているかどうかを判断することができる。血糖値パターン検出部113は、予測された将来の血糖値が正常血糖値範囲から外れているかどうかを判断することができる。血糖値パターン検出部113は、将来の時点の血糖値が正常血糖値範囲から外れていると判断された場合、それに応じた薬液注入信号の発生信号を生成することができる。このようにして生成された薬液注入信号の発生信号は、該当将来の時点に先行して発生することができる。
【0039】
血糖値パターン検出部113は、測定された血糖値が予め設定された最小血糖値以下であるか否かを検出したり、測定された血糖値に基づいて取得された血糖値の方向性を検出したり、測定された血糖値に基づいて取得された将来の血糖値が最小血糖値以下であるかどうかを検出することができる。
【0040】
注入ロジック変更部114は、血糖値パターン検出部113が受信した血糖値パターンが一定条件を満たすことと検出された場合、注入ロジックを変更する機能を実行する。これにより、ユーザに対応して保存された注入ロジック以外に、他のロジックで薬液を注入させることができる。例えば、注入ロジック変更部114は、薬液注入を停止させるか、注入量または注入時点を変更することができる。
【0041】
注入ロジック変更部114は、薬液注入を変更する第1信号を生成し、薬液注入を変更する第2信号を改めて生成する場合、第1信号からの所定の第1待機時間が経過した後に、第2信号を生成するようにする。このとき、第1待機時間は、第1時間の種類によって異なるように設定することができる。これにより、薬液注入を変更する信号が頻繁に発生することを防止することができる。注入ロジック変更部114は、血糖値変化パターンを通じて血糖値変化の方向性及び将来の血糖値を考慮して薬液注入停止信号または薬液注入再開信号を生成させることができる。注入ロジック変更部114は、例えば、将来の血糖値が予め設定された最小血糖値以下で、血糖値の変化の方向性が減少である場合、インスリン注入を停止させる信号を薬液注入装置に送信することができる。注入ロジック変更部114は、インスリン注入を停止させる注入停止信号を薬液注入装置に送信することができる。ここで、最小血糖値は、一般的な基準血糖値以上、またはユーザの平均血糖値に関する身体情報であって、例えば、身長、体重、生年月日、血液型に基づいて決定することができる。
【0042】
注入ロジック変更部114は、例えば、将来の血糖値が予め設定された開始血糖値以上で、血糖値の変化の方向性が増加である場合、インスリン注入を再開させる信号を薬液注入装置に送信することができる。注入ロジック変更部114は、インスリン注入を停止させる注入停止信号を薬液注入装置に送信することができる。
【0043】
別の実施例において、注入ロジック変更部114は、薬液注入停止信号を注入コントローラを介して薬液注入装置に送信することもできる。
【0044】
注入ロジック変更部114は、薬液注入停止信号が発生した後に、第2待機時間が経過すると薬液注入再開信号を自動的に生成し、注入ロジック再活性部115を実行することができる。第2待機時間は、第1待機時間より長い時間に設定することができる。これにより、薬液注入が停止され、ユーザに健康上の問題が発生することを防ぐことができる。注入ロジック再活性化部115は、血糖値変化パターンに基づいて予め記憶された注入ロジックを再活性化させる機能を実行することができる。ここで、血糖値変化パターンは、将来の血糖値の方向性、血糖値の変化の方向性などを含むことができる。注入ロジック再活性化部115は、測定された血糖値に基づいて予測された将来の血糖値が基準血糖値以上であると判断された場合、注入ロジックを再活性化させる信号を薬液注入装置に送信することができる。
【0045】
これにより、薬液注入制御電子装置は、インスリンなどの薬液の注入を停止させて再開する動作を実装して、予期せぬ低血糖リスクまたは高血糖リスクの発生を防止することができる。
【0046】
図2は、本発明の実施例による薬液注入制御電子装置100のブロック図である。
【0047】
プロセッサ120は、薬液注入制御電子装置100を全体的に制御するための構成である。具体的に、プロセッサ120は、薬液注入制御電子装置100の注入機能制御部110に記憶された各種プログラムを用いて薬液注入制御電子装置100の全体的な動作を制御する。例えば、プロセッサ120は、CPU、ラム(RAM)、ロム(ROM)、システムバスを含むことができる。ここで、ロムはシステム起動のための命令語セットが記憶される構成であり、CPUはロムに記憶された命令語に従って薬液注入制御電子装置100のメモリに記憶されたオペレーティングシステムをラムにコピーし、O/Sを実行させてシステムを起動させる。起動が完了すると、CPUは、注入機能制御部110に記憶された各種アプリケーションをラムにコピー、実行させて各種動作を行うことができる。以上では、薬液注入制御電子装置100が1つのCPUのみを含むものとして説明したが、実装時には複数のCPU(またはDSP、SoCなど)で実装されることができる。
【0048】
本発明の一実施例により、プロセッサ120は、デジタル信号を処理するデジタルシグナルプロセッサ(digital signal processor(DSP)、マイクロプロセッサ(microprocessor)、TCON(Time controller)として実装されることができる。ただし、これに限定されるものではなく、中央処理装置(central processing unit(CPU))、MCU(Micro Controller Unit)、MPU(micro processing unit)、コントローラ(controller)、アプリケーションプロセッサ(application processor(AP)、またはコミュニケーションプロセッサ(communication processor(CP))、ARMプロセッサのうちの1つまたは複数を含むか、該当用語で定義することができる。また、プロセッサ120は、プロセッシングアルゴリズムが組み込まれたSoC(System on Chip)、LSI(large scale integration)で実装されてもよく、FPGA(Field Programmable gate array)の形態で実装されてもよい。
【0049】
薬液注入制御電子装置100は、プロセッサ120の処理または制御のためのプログラムなど、全体の動作のための様々なデータを記憶した記憶媒体(図示せず)をさらに含むことができる。記憶媒体は、薬液注入制御電子装置100で駆動される複数のアプリケーションプログラム(application program またはアプリケーション(application))、薬液注入制御電子装置100の動作のためのデータ、命令語を記憶することができる。このようなアプリケーションプログラムのうち少なくとも一部は、無線通信を介して外部サーバからダウンロードすることができる。また、このようなアプリケーションプログラムのうち少なくとも一部は、薬液注入制御電子装置100の基本的な機能のために出庫当時から薬液注入制御電子装置100上に存在することができる。アプリケーションプログラムは、記憶媒体に記憶され、プロセッサ120によって薬液注入制御電子装置100の動作(または機能)を実行するように駆動されることができる。
【0050】
通信部130はサーバ、他のユーザ端末などの装置とデータを送受信するための構成である。通信部130は、ブルートゥース通信部、BLE(Bluetooth Low Energy)通信部、近距離無線通信部(Near Field Communication unit)、WLAN(Wi-Fi)通信部、ジグビー(ZigBee)通信部、赤外線(IrDA、infrared Data Association)通信部、WFD( Wi-Fi Direct)通信部、UWB(ultra wideband)通信部、Ant+通信部などの近距離通信部、移動通信網を含むことができる。
【0051】
入力部140は、薬液注入制御電子装置100に様々な情報を入力するためのユーザインターフェースを含むことができる。
【0052】
出力部150は、薬液注入制御電子装置100が注入機能ゲーム制御部110によって生成された薬液注入ロジック、薬液注入状況、血糖値状況、エフェクトなどをディスプレイすることができる。本発明の一実施例によれば、出力部150は、入力部140を介して入力されたユーザ入力に応じたユーザインタフェースをディスプレイすることができる。出力部150は、記憶されたグラフィックデータ、視覚データ、聴覚データ、振動データを注入機能制御部110の制御により出力することができる。
【0053】
出力部150は、様々な形態のディスプレイパネルで実装することができる。例えば、ディスプレイパネルは、LCD(Liquid Crystal Display)、OLED(Organic Light Emitting Diodes)、AM-OLED(Active-Matrix Organic Light-Emitting Diode)、LcoS(Liquid Crystal on Silicon)、またはDLP(Digital Light Processing)などの様々なディスプレイ技術で実装することができる。また、出力部150は、フレキシブルディスプレイ(flexible display)の形態でディスプレイパネルの前面領域、側面領域及び背面領域のうち少なくとも一方に結合されることができる。
【0054】
出力部150は、層構造のタッチスクリーンで実装されることができる。タッチスクリーンは、ディスプレイ機能だけでなくタッチ入力位置、タッチされた面積だけでなくタッチ入力の圧力までも検出する機能を有することができ、また実質的なタッチ(real-touch)だけでなく近接タッチ(proximity touch)も検出する機能を有することができる。
【0055】
薬液注入制御電子装置100は、注入機能制御部110及び通信部130を内部に含むことができる。薬液注入制御電子装置100は、プロセッサ120、入力部140、出力部150のうち少なくとも1つを備えていなくてもよく、遠隔装置内に備えられたプロセッサ120、入力部140、出力部150のうち少なくとも1つと電気的に接続することができる。
【0056】
薬液注入制御電子装置100は、注入機能制御部110及び通信部130とを含む電子機器であってもよい。薬液注入制御電子装置100は、通信部を介して遠隔の薬液注入装置と接続して動作することができる。薬液注入制御電子装置100は、薬液注入装置から測定血糖値を受信したり、別の血糖測定装置をさらに備えて血糖値を測定することができる。薬液注入制御電子装置100は、血糖測定装置と電気的に接続されたり、通信網を介して接続されることができる。
【0057】
図3~
図5は、本発明の実施例による薬液注入制御方法のフローチャートである。
【0058】
図3に示すように、S110では、薬液注入制御電子装置100が薬液注入ロジックを揮発性メモリにローディングする。
【0059】
S120では、薬液注入制御電子装置100が薬液注入ロジックによって薬液注入信号を薬液注入装置に送信することができる。
【0060】
S130では、薬液注入制御電子装置100が薬液注入装置から血糖値を受信することができるが、これに限定されず、血糖値測定装置から血糖値を受信することができる。薬液注入制御電子装置100は、ユーザ入力によって血糖値を入力することができる。
【0061】
S140では、薬液注入制御電子装置100は、測定された血糖値に基づいて血糖値変化パターンを生成することができる。ここで、血糖値変化パターンは血糖値の時間に対する変化を表すものであり、第1血糖値、第2血糖値が測定された場合、第1血糖値と第2血糖値の時間に対する方向性、血糖値が上昇してから下降する変曲点、血糖値が下降してから上昇する変曲点、基準血糖値との差などを含むことができる。
【0062】
薬液注入制御電子装置100は、血糖値変化判断アルゴリズムを用いて測定された血糖値に対応する将来の血糖値の方向性及び将来の血糖値を算出することができる。薬液注入制御電子装置100は、第1~第2時点に対応する時点の血糖値のうち、同じ血糖値変化パターンを有する測定データを検索し、検索した測定データに基づいて判断された血糖値変化パターンを用いて、将来の第3時点の血糖値を決定することができる。同じ血糖値変化パターンを有する測定データは、該当ユーザの過去データまたは他のユーザの過去データのうち選択されることができる。このように算出された薬液注入制御電子装置100は、将来の血糖値をさらに考慮して、ユーザの血糖値変化パターンを予測することができる。薬液注入制御電子装置100は、測定された血糖値が作る血糖値変化パターン以外に薬液注入情報をさらに考慮して対応する血糖値変化パターンを決定することができる。
【0063】
S150では、薬液注入制御電子装置100は、血糖値変化パターンが評価基準を満たすか否かを判断することができる。ここで、評価基準は、血糖値変化パターンが正常か否かを評価する基準であり、現在の血糖値、将来の血糖値、血糖値の変化の方向性などに基づいて設定されることができる。評価基準は、測定された血糖値を用いて各ユーザの平均血糖値によって調整されることができる。
【0064】
他の実施例において、評価基準は、ユーザの平均血糖値を考慮して異なるように設定することができる。評価基準は、ユーザを含むユーザグループの平均血糖値を考慮して設定することができる。ユーザグループは、ユーザに関連する他の情報を考慮して決定され、例えば、身長、体重、生年月日、血液型、性別、年齢、職業のうち、少なくとも1つの指数が類似するユーザを含むことができる。このとき、ユーザグループを決定する指数とは、血糖値変化パターンとの関連性が高い指数をいう。
【0065】
例えば、Aユーザーの身長、体重、生年月日、血液型、性別、年齢、職業群などに基づいてユーザグループを検索し、ユーザグループのユーザの平均血糖値、血糖最低値、血糖最高値などに基づいてAユーザの薬液注入の停止の基準となる最小血糖値を決定することができる。
【0066】
S160では、薬液注入制御電子装置100は、測定された血糖値に基づいて注入ロジックによって注入される間にユーザの血糖値変化パターンが評価基準を満たさないと検出された場合、薬液注入装置に薬液注入停止信号または薬液注入減少信号を送信することで、薬液注入ロジックを変更することができる。ここで、薬液注入停止信号は、薬液注入を定められた時間の間停止させる信号であり、薬液注入減少信号は、薬液注入容量を減少させる信号であってもよい。薬液注入停止信号または薬液注入減少信号は、以前の薬液注入変更信号が送信された後に予め設定された第1待機時間、例えば30分、10分後に送信であってもよい。別の実施例では、薬液注入停止信号または薬液注入減少信号が送信された後に予め設定された第2待機時間が経過すると、薬液注入再開信号を自動的に送信することができる。
【0067】
薬液注入制御電子装置100は、薬液注入に関連する信号を送信する前に待機時間の間測定された血糖値を再び考慮した後続の血糖値変化パターンが評価基準を満たすか否かを判断することができる。
【0068】
薬液注入制御電子装置100は、血糖値変化パターン及び後続の血糖値変化パターンを考慮して薬液注入ロジックを変更する信号を発生させることができる。血糖値変化パターン及び後続の血糖値変化パターンの両方が評価基準を満たしている場合、薬液注入停止信号(または薬液注入減少信号)の送信ができなくなる可能性がある。血糖値変化パターンまたは後続の血糖値変化パターンが待機時間後に評価基準を満たさないと判断された場合、薬液注入停止信号または薬液注入減少信号を送信されてもよい。
【0069】
別の実施例において、血糖値変化パターンが評価基準を満たさないと検出された回数が所定の最小回数値以上である場合、薬液注入制御電子装置100は薬液注入停止信号または薬液注入減少信号を送信することができる。
【0070】
図4に示すように、S210では、薬液注入制御電子装置100は薬液注入ロジックをローディングすることができる。薬液注入制御電子装置100は、要求信号によって受信された薬液注入ロジックを一時記憶メモリにローディングして実行させることができる。要求信号は、薬液注入制御電子装置100に記録された命令語によって発生されてもよい。または、要求信号はユーザ入力によって生成されてもよい。
【0071】
S220では、薬液注入制御電子装置100が薬液注入ロジックによって薬液注入信号を薬液注入装置に送信することができる。
【0072】
S230では、薬液注入制御電子装置100が薬液注入装置から血糖値を受信することができるが、これに限定されず、血糖値測定装置から血糖値を受信することができる。薬液注入制御電子装置100は、入力によって血糖値を入力することができる。薬液注入制御電子装置100は、予め設定された時間周期で血糖値を受信することができる。
【0073】
S240では、薬液注入制御電子装置100は、血糖値を用いて第1血糖値変化パターンを判断し、第1血糖値変化パターンを用いて第1将来の血糖値を予測することができる。
【0074】
S250では、薬液注入制御電子装置100は、第1将来の血糖値が第1最小血糖値以下であり、血糖値の変化の方向性が減少するか否かを判断する。薬液注入減少信号は、薬液注入ロジックに含まれる注入量の一部のみを、例えば50%のみを注入するように実装することができる。S260では、薬液注入制御電子装置100は、薬液注入装置に薬液注入減少信号を送信する。
【0075】
S270では、薬液注入制御電子装置100は、血糖値に基づいて第2血糖値変化パターンを判断し、第2血糖値変化パターンを用いて第2将来の血糖値を予測することができる。S280、S290では、薬液注入制御電子装置100は、第2将来の血糖値が第2最小血糖値以下で、血糖値の変化の方向性が減少である場合、薬液注入装置に薬液注入停止信号を送信することができる。
【0076】
図5に示すように、S160段階の後、S310では、薬液注入制御電子装置100は、薬液注入ロジックが変更された後はユーザの血糖値を受信することができる。薬液注入制御電子装置100は、血糖値を用いて血糖値変化パターンを判断し、血糖値変化パターンを用いて将来の血糖値を予測する。
【0077】
S320では、薬液注入制御電子装置100は、将来の血糖値が最小基準範囲に含まれるか否かを検出することができる。
【0078】
S340では、薬液注入制御電子装置100は、ユーザの将来の血糖値が基準範囲に含まれると検出された場合、薬液注入装置に最小モード注入ロジックに応じた注入開始信号を送信することができる。
【0079】
S310以降、薬液注入制御電子装置100は、将来の血糖値が正常基準範囲に含まれるか否かを検出することができる。
【0080】
S345では、薬液注入制御電子装置100は、将来の血糖値が正常基準範囲に含まれると検出された場合、薬液注入装置に正常な注入ロジックに応じた注入開始信号を送信することができる。薬液注入ロジックが停止または減少されるなどの変更が実行された後、薬液注入が再開されることを2つのルートで処理することができる。2つのルートは、将来の血糖値に基づいて決定することができる。
【0081】
別の実施例において、薬液注入制御電子装置100は、S310、S320、S330、S325、S345の順で薬液注入制御方法を実行することができる。すなわち、薬液注入制御電子装置100は、将来の血糖値が第1最小基準値以上で血糖値の変化の方向性が増加である場合、最小モード注入ロジックで薬液を注入し、所定の待機時間後に予測された将来の血糖値が第2最小基準値以上で血糖値の変化の方向性が増加である場合、正常モード注入ロジックで薬液を注入することができる。
【0082】
これにより、薬液注入制御電子装置100は、インスリン注入ロジックによって注入され、血糖値が過度に低下、または増加する血糖リスクが発生すると判断された場合、プログラミングされた薬液であるインスリン注入を変更することができる。
【0083】
薬液注入制御電子装置100は、ユーザの血糖値、将来の血糖値、血糖の変化の方向性を利用して薬液を注入することができる。別の実施例において、薬液注入制御電子装置100は、薬液の注入する間に測定された血糖値、将来の血糖値、血糖の変化の方向性を考慮して、プログラミングされた薬液注入の機能を変更することができる。
【0084】
図6は、薬液注入の注入時間区間、注入停止時間区間、注入再開時間区間などを説明する図である。
【0085】
薬液注入制御電子装置100は、t11時点で第1注入ロジックによる薬液注入を開始することができる。薬液注入制御電子装置100は、薬液注入が行われている間に測定されたユーザの血糖値を受信して血糖値をモニタリングすることができる。薬液注入制御電子装置100は、血糖値が基準血糖値以下であると判断されると、t12時点以降から薬液注入を停止させる信号を発生させる。薬液注入量及び薬液注入時点を調整した第2注入ロジックを受信し(S1)、t13時点以降に第2注入ロジックによる薬液注入を開始することができる。薬液注入制御電子装置100は、薬液注入ロジックの実行中に突発的に発生する低血糖リスクを防止することができる。
【0086】
薬液注入制御電子装置100は、t21時点で第3注入ロジックによる薬液注入を開始することができる。薬液注入制御電子装置100は、薬液注入後に、測定された血糖値を受信し、血糖値、血糖値の変化パターンが評価基準を満たすか否かを判断し、血糖値及び血糖値の変化パターンが評価基準を満たさない場合(t22)、薬液注入を停止する信号を薬液注入装置に送信することができる。
【0087】
薬液注入制御電子装置100は、薬液注入が停止された後に、血糖値及び血糖値の変化パターンを検出して血糖値の変化パターンが最小基準範囲を維持すると判断された場合、t23時点から最小モード薬液注入を再開することができる。再開信号を薬液注入装置に送信することができる。最小モード薬液注入を行いながらユーザの血糖値を測定し、ユーザの血糖値が最小血糖値以上、及び最高血糖値以下に維持されるか否かを判断することができる。
【0088】
薬液注入制御電子装置100は、判断結果、ユーザの血糖値が最小血糖値以上、及び最高血糖値以下に含まれると判断された場合、第3注入ロジックにより薬液注入を開始する信号をt24時点で薬液注入装置に送信することができる。
【0089】
図7~
図9は、本発明の実施例による薬液注入システムを説明する図である。
【0090】
図7に示すように、薬液注入システムは、薬液注入制御電子装置100及び薬液注入装置200とを含むことができる。
【0091】
薬液注入装置200は、ユーザに注入されるべきインスリン、グルカゴン、麻酔薬、鎮痛剤、ドーパミン、成長ホルモン、禁煙助薬などの薬物を注入することができる。薬液注入装置200は、薬液注入制御電子装置100からの薬液注入ロジックでプログラミングされることができる。薬液注入装置200は、薬液注入制御電子装置100からの薬液注入信号によって薬液を注入することができる。
【0092】
薬液注入装置200は、ユーザの皮膚を貫通してユーザの体内に薬液を注入する装置であって、ユーザに定期的に注入すべき薬液などの物質を保管する手段、定められた注入量を注入するように制御する手段をさらに含めることができる。薬液注入装置200は、物質を保管する手段、注入する手段などを活用して薬液注入制御電子装置100からの注入信号または薬液注入ロジックによって注入されるべき注入量が注入されるように制御することができるが、これに限定されず、薬液注入制御電子装置100によって生成された信号が、別途注入コントローラを介して受信されてもよい。
【0093】
測定された血糖値(注入前の測定された血糖値、注入後の測定された血糖値、予め設定された時間単位で測定された血糖値)及び注入された実際の注入量などの情報は、薬液注入制御電子装置100に送達されることができる。
【0094】
さらに、薬液注入装置200は、装置状態メッセージ、生体情報測定メッセージ、薬液注入メッセージなどを薬液注入制御電子装置100に送達することができる。例えば、薬液注入装置200は、装置の残りの電池容量情報、装置の起動が成功したか否か、注入が成功したか否かなどを含む装置状態メッセージをコントローラに送達することができる。薬液注入制御電子装置100に送達されたメッセージは、注入コントローラを介してユーザ端末に送達されることができる。
【0095】
薬液注入装置200も、所定の手順で承認された薬液注入制御電子装置100とのみ通信できるように実装することができる。さらに、薬液注入装置200は、注入に関連する注入装置を含むことができる。薬液注入装置200は、
図1に示す注入機能制御部110を含めて実装することができる。薬液注入装置200は、注入機能制御部110と電気的に接続することができる。薬液注入装置200は、注入機能制御部110を介して薬液注入及び注入停止、注入再開などの動作を実行することができる。
【0096】
薬液注入システムは、薬液注入制御電子装置100、薬液注入装置200a及び生体情報測定装置200bと通信して実装することができる。
図8に示すように、薬液注入装置200a、生体情報測定装置200bは別々に実装することができる。
【0097】
薬液注入制御電子装置100は、薬液注入装置200aに注入関連信号を送信し、生体情報測定装置200bから生体情報測定信号を送信することができる。
【0098】
薬液注入制御電子装置100は、薬液が注入されている間、または薬液が注入されていない間に生体情報測定信号を受信することができる。薬液注入制御電子装置100は、ユーザの血糖値などの生体情報の変化パターンを検出することができる。
【0099】
図9に示すように、薬液注入制御電子装置100′は、注入コントローラ100a及び注入機能制御部110を含むように実装することができる。
【0100】
注入コントローラ100aは、薬液注入装置200aとデータを送受信する機能を果たし、薬液注入装置200aにインスリンなどの薬物の注入に関連する制御信号を送信し、薬液注入装置200aから血糖値などの生体情報の測定に関連する制御信号を受信することができる。測定された生体情報及び薬物の注入に関連する制御信号は、所定の時間区間の複数回に対するものを含むことができる。
【0101】
注入コントローラ100aは、薬液注入装置200aにユーザの現在の状態を測定するように指示要求を送信し、指示要求の応答として測定装置200bから測定データを受信することができる。
【0102】
以上で説明した装置は、ハードウェア構成要素、ソフトウェア構成要素、及び/またはハードウェア構成要素及びソフトウェア構成要素の組み合わせで実装することができる。例えば、実施例で説明した装置及び構成要素は、例えば、プロセッサ、コントローラ、ALU(arithmetic logic unit)、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor)、マイクロコンピュータ、FPGA(field programmable gate array)、PLU(programmable logic unit)、マイクロプロセッサ、または命令(instruction)を実行して応答できる他の任意の装置のように、1つまたは複数の汎用コンピュータまたは特殊目的コンピュータを使用して実装することができる。処理装置は、オペレーティングシステム(OS)及び前記オペレーティングシステム上で実行される1つまたは複数のソフトウェアアプリケーションを実行することができる。さらに、処理装置は、ソフトウェアの実行に応答し、データにアクセス、記憶、操作、処理及び生成することができる。理解の便宜のために、処理装置は1つが使用されると説明されている場合もあるが、当該技術分野で通常の知識を有する者は、処理装置が複数の処理要素(processing element)及び/または複数タイプの処理要素を含むことができるということが分かる。例えば、処理装置は、複数のプロセッサまたは1つのプロセッサ及び1つのコントローラを含むことができる。さらに、並列プロセッサ(parallel processor)のような、他の処理構成(processing configuration)も可能である。
【0103】
ソフトウェアは、コンピュータプログラム(computer program)、コード(code)、命令(instruction)、またはこれらのうち1つ以上の組み合わせを含むことができ、所望のよう動作するように処理装置を構成するか、独立してまたは組み合わせて(collectively)処理装置を命令することができる。ソフトウェア及び/またはデータは、処理装置によって解釈されるか、処理装置に命令またはデータを提供するために、任意のタイプの機械、構成要素(component)、物理的装置、仮想装置(virtual equipment)、コンピュータ記憶媒体または装置、または送信される信号波(signal wave)に永久的に、または一時的に具体化(embody)されることができる。ソフトウェアはネットワークで接続されたコンピュータシステム上に分散され、分散された方法で記憶または実行されることができる。ソフトウェア及びデータは、1つまたは複数のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されることができる。
【0104】
実施例による方法は、様々なコンピュータ手段を介して実行されることができるプログラム命令の形態で実装され、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されることができる。前記コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、プログラム命令、データファイル、データ構造などを単独でまたは組み合わせて含むことができる。前記媒体に記録されるプログラム命令は、実施例のために特別に設計及び構成されたものであるか、コンピュータソフトウェアの当業者に公知され、利用可能なものである可能性がある。コンピュータ読み取り可能な記録媒体の例には、ハードディスク、フロッピーディスク及び磁気テープなどの磁気媒体(magnetic media)、CD-ROM、DVDなどの光記録媒体(optical media)、フロプティカルディスク(floptical disk)などの光磁気媒体(magneto-optical media)、及びロム(ROM)、ラム(RAM)、フラッシュメモリなどのプログラム命令を記憶及び実行するように特別に構成されたハードウェア装置が含まれる。プログラム命令の例には、コンパイラによって作成されるような機械語コードだけでなく、インタプリタなどを使用し、コンピュータによって実行されることができる高級言語コードを含む。前記のハードウェア装置は、実施例の動作を実行するために1つまたは複数のソフトウェアモジュールとして動作するように構成することができ、その逆も同様である。
【0105】
以上のように実施例が限定された実施例と図面によって説明されているが、当該技術分野で通常の知識を有する者ならば前記の記載から様々な修正及び変形が可能である。例えば、記載された技術が記載された方法と異なる順序で実行されたり、及び/または記載されたシステム、構造、装置、回路などの構成要素が記載された方法とは異なる形態で結合または組み合わされたり、他の構成要素または均等物によって代置または置換されても、適切な結果を達成することができる。
【0106】
したがって、他の実装、他の実施例及び特許請求の範囲と均等なものも、後述する特許請求の範囲の範囲に属する。