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  • 特許-農業用の工程管理システム 図1
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  • 特許-農業用の工程管理システム 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】農業用の工程管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/02 20240101AFI20240501BHJP
   A01G 7/00 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
G06Q50/02
A01G7/00 603
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2023004632
(22)【出願日】2023-01-16
【審査請求日】2023-01-23
(73)【特許権者】
【識別番号】516260291
【氏名又は名称】株式会社ふるさと未来
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 賢一
【審査官】岩橋 龍太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-009456(JP,A)
【文献】特開2015-047155(JP,A)
【文献】特開2018-173911(JP,A)
【文献】特開2019-020922(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
A01G 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作物の生育の工程の情報を入力する工程入力手段と、
前記工程入力手段により入力された工程の情報に基づき作業計画表を出力する作業計画表出力手段と、
圃場における作物の生育状態の情報を入力する生育状態入力手段と、
前記作業計画表出力手段により出力された作業計画表と前記生育状態入力手段により入力された生育状態の情報とを比較して、作業計画表通りの生育状態であるかどうかを判定する判定手段と、
前記判定手段により作業計画表通りの生育状態であると判定された場合に作業指示書を出力する作業指示書出力手段と、
前記作業指示書出力手段により出力された作業指示書に従って作業した結果を入力する作業入力手段と、
前記判定手段により作業計画表通りの生育状態でないと判定された場合に作業計画変更の情報を入力する作業計画変更入力手段と
を備え
前記工程入力手段により入力される工程の情報には、それぞれの工程の日数が含まれ、
前記作業計画変更入力手段により作業計画変更の情報が入力されると、それぞれの工程に設定されている日数に基づき、作業計画表に記載されたその後の工程の日程が自動的に更新されるように構成されたことを特徴とする農業用の工程管理システム。
【請求項2】
前記工程入力手段により入力される工程の情報には、圃場情報、作物情報、人員情報、機械情報、資材情報が含まれることを特徴とする請求項に記載の農業用の工程管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作物の生産管理をするための農業用の工程管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の農業においては、長年農業に携わってきた農業従事者の経験と勘に基いて、「播種」から「収穫」までのおおよその予定を組み、天候や作物の生育状態に応じて適宜予定を変更して農作業を行ってきた。このため、農業の経験の浅い者が農作業を行う場合は、作物がどのような姿になったら、追肥、防除、間引き、中干し等の農作業を行えばよいのかという判断について、経験者の指導を受ける必要があった。しかし、経験者の指導を受けたとしても、作物の生育は、気温、雨、日照等の自然条件で左右されるため、農作業の予定を組むことは難しかった。また、大規模農園のように複数の圃場で多品種の作物を生産する場合には、人員、機械、資材等を効率よく手配する必要があるが、その管理が煩雑であるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-162347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は、農業の経験の浅い者でも農作業の予定を組むことができ、複数の圃場で多品種の作物を生産する場合において、人員、機械、資材等の管理を簡単に行うことを可能にする、農業用の工程管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の農業用の工程管理システムは、作物の生育の工程の情報を入力する工程入力手段と、前記工程入力手段により入力された工程の情報に基づき作業計画表を出力する作業計画表出力手段と、圃場における作物の生育状態の情報を入力する生育状態入力手段と、前記作業計画表出力手段により出力された作業計画表と前記生育状態入力手段により入力された生育状態の情報とを比較して、作業計画表通りの生育状態であるかどうかを判定する判定手段と、前記判定手段により作業計画表通りの生育状態であると判定された場合に作業指示書を出力する作業指示書出力手段と、前記作業指示書出力手段により出力された作業指示書に従って作業した結果を入力する作業入力手段と、前記判定手段により作業計画表通りの生育状態でないと判定された場合に作業計画変更の情報を入力する作業計画変更入力手段とを備えたことを特徴とする。
【0006】
また、前記工程入力手段により入力される工程の情報には、それぞれの工程の日数が含まれることを特徴とする。
【0007】
また、前記工程入力手段により入力される工程の情報には、圃場情報、作物情報、人員情報、機械情報、資材情報が含まれることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の農業用の工程管理システムによれば、農業の経験の浅い者でも農作業の予定を組むことができ、複数の圃場で多品種の作物を生産する場合において、人員、機械、資材等の管理を簡単に行うことを可能にする、農業用の工程管理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の農業用の工程管理システムの一実施例における処理手順を示すフローチャートである。
図2】同上、工程の情報の入力画面の一例である。
図3】同上、作業計画表の表示画面の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の農業用の工程管理システムについて、添付した図面に基づき説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。
【0011】
処理手順を示す図1において、10は作物の生育の工程の情報であり、工程の情報10は、工程管理システムの使用者によって、工程入力手段(図示せず)によりデータベース20に入力される。なお、工程の情報10には、圃場情報、作物情報、人員情報、機械情報、資材情報、それぞれの工程の日数が含まれる。
【0012】
図2に工程の情報10の入力画面を示す。工程管理システムの使用者は、工程の情報10として、はじめに、作物名、品種名、育成手順名(工程ライン名)、圃場番号を入力し、つぎに、各工程名を入力する。ここで、作業工程だけでなく、発芽、開花など、作業や生育のポイントとなるものは工程としてとらえる。そして、播種から収穫開始日までの作業の基準となるすべての工程の工程名と、それぞれのリードタイム(日数)を設定して入力する。なお、路地の播種は、気温や降水量などの天候の条件によって変わってくるため、平均的なリードタイム(日数)としておく。最後に、作業に使用する肥料、農薬、資材の情報を入力する。
【0013】
工程の情報10の入力が完了すると、データベース20に格納された工程の情報10に基いて、作業計画表出力手段(図示せず)により作業計画表30が出力される。
【0014】
図3に作業計画表出力手段により出力された作業計画表30の表示画面を示す。作業計画表30に表示された作業をクリックすると、その作業に必要な肥料、農薬、資材の情報が表示される。
【0015】
工程管理システムの使用者は、作業計画表30に表示された計画日に従って農作業を行い、圃場における作物の生育状態を確認する。圃場における作物の生育状態の情報は、工程管理システムの使用者によって、生育状態入力手段(図示せず)によりデータベース20に入力される。
【0016】
判定手段(図示せず)は、作業計画表出力手段により出力された作業計画表30と生育状態入力手段により入力された生育状態の情報とを比較して、作業計画表通りの生育状態であるかどうかを判定40する。
【0017】
判定手段により、作物の生育状態が作業計画表30に示された日付通りの生育状態であると判定40された場合には、作業指示書出力手段により作業指示書50が出力される。工程管理システムの使用者は、作業指示書出力手段により出力された作業指示書50に従って作業60する。作業した結果は、工程管理システムの使用者により入力された作業開始の情報と作業終了の情報として、作業入力手段(図示せず)によりデータベース20に入力され、自動的に記録される。
【0018】
一方、判定手段により、作物の生育状態が作業計画表30に示された日付通りの生育状態でないと判定40された場合には、工程管理システムの使用者によって、作業計画変更入力手段により作業計画変更の情報70が入力される。工程管理システムの使用者によって、作業計画変更の情報70が入力されると、データベース20に格納された工程の情報10が更新され、更新された作業計画表30が出力される。このとき、それぞれの工程に対してデータベース20に入力されて設定されているリードタイム(日数)に基づき、作業計画表30に記載されたその後の工程の日程は、自動的に更新される。
【0019】
このほか、天候、山ならし(作業の平準化)等の理由で作業計画の変更が必要な場合は、工程管理システムの使用者によって、作業計画変更の情報70の入力が可能であり、作業計画変更の情報70の入力の都度、更新された作業計画表30が出力される。例えば、発芽までの日数は特に気温や降水量などの気象条件に左右されやすいが、発芽を確認したら、その後の収穫までの工程について、リードタイム(日数)に基いて簡単に作業計画を変更することができる。発芽以外の工程においても、天候や生育状況、作業の都合など必要に応じて、作業計画を変更することができる。
【0020】
また、作業を予定していても、雨などの天候により作業できない可能性もあることから、作業適正日を中日としたリードタイム(日数)を設定し、前後何日かを作物、作業内容により許容できる予備日として変更することができる。これにより、作業日の変更による作物の生育状態に影響を与えるリスクを回避することができる。
【0021】
以上のように、本実施例の工程管理システムによれば、複数の圃場で多品種の作物を生産する場合において、すべての圃場、作物ごとに、農作業の計画を立て、人員、機械、資材等の配置を含めた、全体の工程を管理することができる。したがって、農業の経験の浅い者でも農作業の予定を組むことができ、人員、機械、資材等の管理を簡単に行うことができる。また、本実施例の工程管理システムを用いて農作業を行うことにより、農業の経験の浅い者でも短期間で理論的に農作業の工程を理解し、農作業の計画作成、変更の知識を習得することができる。
【0022】
また、農作業の現場において、スマートフォンなどの携帯情報端末を介して本実施例の工程管理システムを使用することによって、工程管理システムの複数の使用者の間の情報共有を図ることができる。
【0023】
また、農作業のすべての工程のリードタイム(日数)のデータを蓄積して次年度に活用することにより、作業計画の精度を向上させることができる。
【0024】
さらに、農作業のすべての工程のリードタイム(日数)を数値化し、そのデータに気象条件、生育状態の情報を合わせることで、人工知能(AI)の活用も可能となる。
【符号の説明】
【0025】
10 工程の情報
30 作業計画表
40 判定
50 作業指示書
60 作業
70 作業計画変更の情報
【要約】
【課題】農業の経験の浅い者でも農作業の予定を組むことができ、複数の圃場で多品種の作物を生産する場合において、人員、機械、資材等の管理を簡単に行うことを可能にする、農業用の工程管理システムを提供する。
【解決手段】工程入力手段により入力された工程の情報10に基づき作業計画表30を出力する作業計画表出力手段と、作業計画表出力手段により出力された作業計画表20と生育状態入力手段により入力された生育状態の情報とを比較して、作業計画表通りの生育状態であるかどうかを判定40する判定手段と、作業指示書出力手段により出力された作業指示書50に従って作業60した結果を入力する作業入力手段と、作業計画変更の情報70を入力する作業計画変更入力手段とを備えた。
【選択図】図1
図1
図2
図3