(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】繊維製品および皮革製品の改質装置並びに繊維製品および皮革製品の改質方法
(51)【国際特許分類】
D06B 1/02 20060101AFI20240501BHJP
B05B 7/04 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
D06B1/02
B05B7/04
(21)【出願番号】P 2023511748
(86)(22)【出願日】2022-03-31
(86)【国際出願番号】 JP2022016888
(87)【国際公開番号】W WO2022211101
(87)【国際公開日】2022-10-06
【審査請求日】2023-09-19
(31)【優先権主張番号】P 2021060958
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】509046505
【氏名又は名称】hap株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002114
【氏名又は名称】弁理士法人河野国際特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100128624
【氏名又は名称】穂坂 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100138483
【氏名又は名称】村上 晃一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 素
【審査官】印出 亮太
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第210177115(CN,U)
【文献】特開2000-226760(JP,A)
【文献】特開平10-057294(JP,A)
【文献】特開昭63-075167(JP,A)
【文献】特開2018-122250(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06B 1/02
B05B 7/04
B05B 7/26 - 7/32
D06F 1/00 - 95/00
D06M 13/00 - 15/715
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維製品および/または皮革製品を収容する内部空間を有する収納槽と、前記収納槽の前記内部空間にある前記繊維製品および/または前記皮革製品へ向けて気体とともに機能性物質を含む処理液を噴霧する噴霧部と、を有し、前記噴霧部は、複数の二流体ノズルと、前記二流体ノズルに前記気体を供給する気体供給部と、前記二流体ノズルに前記処理液を供給する処理液供給部とを有し、前記気体供給部
及び前記処理液供給部は
それぞれ環状をなし
ており、複数の前記二流体ノズルは、それぞれ前記気体供給部に支持されて隣接する前記二流体ノズルに対し等間隔に配置され
、前記二流体ノズルに前記気体供給部と前記処理液供給部が接続されている、繊維製品および皮革製品の改質装置。
【請求項2】
前記収納槽は、回転可能に構成されている、請求項
1に記載の繊維製品および皮革製品の改質装置。
【請求項3】
前記収納槽の回転軸は、垂直方向に対し傾斜している、または、水平方向に沿っている、請求項
2に記載の繊維製品および皮革製品の改質装置。
【請求項4】
さらに、前記収納槽の前記内部空間を加熱可能な加熱装置を有する、請求項
1に記載の繊維製品および皮革製品の改質装置。
【請求項5】
洗濯機である、請求項
1に記載の繊維製品および皮革製品の改質装置。
【請求項6】
繊維製品および/または皮革製品に対し、二流体ノズルを用いて気体とともに機能性物質を含む処理液を噴霧する噴霧工程を有し、前記処理液の噴霧は、前記二流体ノズルに前記気体を供給する気体供給部であって環状をなす気体供給部に支持される複数の前記二流体ノズルであって、隣接する前記二流体ノズルに対し等間隔に配置されている
複数の前記二流体ノズル
に、前記気体供給部から気体が供給され、及び環状をなす処理液供給部から処理液が供給されることにより行われる繊維製品および皮革製品の改質方法。
【請求項7】
前記噴霧工程において、処理液とともに水が繊維製品に噴射されるものであり、前記処理液と前記水の合計の重量が、前記繊維製品の重量の1倍から2倍であることを特徴とする請求項
6に記載の繊維製品及び皮革製品の改質方法。
【請求項8】
前記噴霧工程に引き続き、脱水工程を経ることなく乾燥工程を経ることを特徴とする請求項
6に記載の繊維製品及び皮革製品の改質方法。
【請求項9】
前記噴霧工程において、前記処理液の噴霧時に前記繊維製品および/または前記皮革製品は攪拌されている、請求項
6に記載の繊維製品および皮革製品の改質方法。
【請求項10】
噴霧工程後に、前記繊維製品および/または前記皮革製品を加熱して、前記機能性物質を前記繊維製品および/または前記皮革製品に定着させる定着工程を有する、請求項
6に記載の繊維製品および皮革製品の改質方法。
【請求項11】
前記噴霧工程前に、前記繊維製品および/または前記皮革製品を、液体に湿潤させる湿潤工程を有する、請求項
6に記載の繊維製品および皮革製品の改質方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維製品および皮革製品の改質装置並びに繊維製品および皮革製品の改質方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、織物、編物、不織布等の繊維製品に難燃性、撥水性、紫外線保護特性、抗菌性、殺菌性、防汚性(セルフクリーニング性)等の機能を付与する試みが行われている。このような繊維製品への機能の付与は、一般には、所望の機能を付与する機能性物質を、繊維を構成する樹脂に練り込むことにより行われる。このような繊維製品への機能付与は、繊維製品を構成する繊維製造時に行われ、完成後に衣類等の繊維製品について改質により機能が付与されるものではない。
【0003】
衣類を中心にした繊維製品において、社会的要請により、次の通り様々な機能を備えることが求められている。COVID-19の蔓延により、抗ウィルス機能、抗菌機能を備えることが求められている。また、人類の高齢化が進んだことにより持続的な健康の維持が重要となり、血行促進、免疫向上、疲労回復などの機能が求められている。また、SDGsやサステナビリティの意識変容、又は深刻化する大量廃棄服問題への対応のために、リサイクル素材の使用や、衣類をそのまま再利用することが求められている。さらに、再利用は品質をより向上させて行われることが求められている。また、リサイクル素材の使用等に関連して、毛玉の発生による衣服の耐久性の低下を解決するために、毛玉防止機能が求められている。また、地球温暖化により、(1)熱中症対策、(2)エアコン使用の削減による電気使用量削減、(3)防蚊、が求められ、このために冷感製品、汗をかいてもべたつきにくい製品、汗で濡れた場合に透けない製品、汗じみを軽減できる製品等が求められている。
【0004】
一方、機能を備えた繊維製品を得る手段として、従来は原料に練りこむものが主流であったところ、原料に練りこむ手段の場合、開発して製品化するまでに数カ月以上の期間を要した。また、製造工程には、溶融や化学的な結合のために高温となる工程を経ることとなる。また、製造工程では大量の水を使う必要があった。また、原料に練りこむ手段による場合、一度に大量に生産する必要があった。従って、例えば最終消費者の手に渡った製品を、最終消費者が個人的使用のために機能付与する、といったことはとうてい考えられなかった。
【0005】
使用済みの衣類を、そのままの形態で(衣類の形態で)機能付与の対象にすることができれば、上記社会的要請に応じることができるところ、原料に練りこむ手段では実現できなかった。
【0006】
ところで、特許文献1には、洗濯物を収容するドラムと、ドラムに向かって水を旋回させながらシャワー状に拡散噴射するシャワーノズルとを有するドラム式洗濯機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、従来の繊維製品への機能付与は、繊維製品を構成する繊維製造時に行われ、完成後に衣類等の繊維製品について改質により機能が付与されるものではない。一方で、繊維製品製造後に機能を付与する、すなわち繊維製品を改質することができれば、繊維製品を購入した購入者が任意の機能を選択し、繊維製品を改質することができる。また、皮革製品についても同様である。本発明者は、このような繊維製品および皮革製品の改質について可能性を検討した。
【0009】
しかしながら、従来、このような繊維製品および皮革製品の改質のための方法や装置は知られていない。例えば、特許文献1に記載されるドラム式洗濯機も、シャワーノズルはたたき洗い、押し洗いやシャワーすすぎのために用いられており、繊維製品および皮革製品の改質のためのものではない。
【0010】
したがって、本発明の目的は、繊維製品および皮革製品の改質に適した繊維製品および皮革製品の改質装置並びに繊維製品および皮革製品の改質方法を提供することにある。
【0011】
また、本発明は、次の事項を解決課題とする。
(1)繊維製品や皮革製品への後加工により機能付与できる手段を得ること、すなわち例えば古着を機能付与の対象とできること。
(2)常温下でそのような機能付与ができる手段を得ること。
(3)短時間でそのような機能付与ができる手段を得ること。
(4)大量の水を使うことなく機能付与ができる手段を得ること。
(5)脱水工程を経ることなく機能付与ができる手段を得ること
(6)耐洗濯性の高い機能付与ができる手段を得ること。
(7)様々な機能付与に対応できる装置を得ること。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、繊維製品および皮革製品に機能性物質を噴霧により付与することにより、一旦製品として製造した繊維製品および皮革製品を改質できる可能性に着目した。しかしながら、本発明者は、従来の洗濯機等に搭載されるノズルは、あくまでも繊維製品の洗浄、すすぎを目的としており、繊維製品および皮革製品の改質に適切でないという問題に直面した。
【0013】
そこで、本発明者が続けて検討した結果、本発明者は、噴霧に用いるノズルとして二流体ノズルを使用することにより、繊維製品および皮革製品の表面に機能性物質を均一に付与することが可能となり、繊維製品および皮革製品を効率よく改質できることを見出した。以上の知見に基づき、本発明者らはさらに検討を行い、本発明に至った。
【0014】
本発明の要旨は、以下の通りである。
(1)繊維製品および/または皮革製品を収容する内部空間を有する収納槽と、前記収納槽の前記内部空間にある前記繊維製品および/または前記皮革製品へ向けて気体とともに機能性物質を含む処理液を噴霧する噴霧部と、を有し、前記噴霧部は、二流体ノズルを含む、繊維製品または皮革製品の改質装置。
(2)前記噴霧部は、複数の前記二流体ノズルと、前記二流体ノズルに前記気体を供給する気体供給部と、前記二流体ノズルに前記処理液を供給する処理液供給部とを有する、(1)に記載の繊維製品および皮革製品の改質装置。
(3)前記気体供給部は、環状をなし、複数の前記二流体ノズルは、それぞれ前記気体供給部に支持されて隣接する前記二流体ノズルに対し等間隔に配置されている、(2)に記載の繊維製品および皮革製品の改質装置。
(4)前記収納槽は、回転可能に構成されている、(1)に記載の繊維製品および皮革製品の改質装置。
(5)前記収納槽の回転軸は、垂直方向に対し傾斜している、または、水平方向に沿っている、(4)に記載の繊維製品および皮革製品の改質装置。
(6)さらに、前記収納槽の前記内部空間を加熱可能な加熱装置を有する、(1)に記載の繊維製品および皮革製品の改質装置。
(7)洗濯機である、(1)に記載の繊維製品および皮革製品の改質装置。
(8)繊維製品および/または皮革製品に対し、二流体ノズルを用いて気体とともに機能性物質を含む処理液を噴霧する噴霧工程を有する、繊維製品および皮革製品の改質方法。
(9)前記噴霧工程において、処理液とともに水が繊維製品に噴射されるものであり、前記処理液と前記水の合計の重量が、前記繊維製品の重量の1倍から2倍であることを特徴とする(8)に記載の繊維製品及び皮革製品の改質方法。
(10)前記噴霧工程に引き続き、脱水工程を経ることなく乾燥工程を経ることを特徴とする(8)に記載の繊維製品及び皮革製品の改質方法。
(11)前記噴霧工程において、前記処理液の噴霧時に前記繊維製品および/または前記皮革製品は攪拌されている、(8)に記載の繊維製品および皮革製品の改質方法。
(12)噴霧工程後に、前記繊維製品および/または前記皮革製品を加熱して、前記機能性物質を前記繊維製品および/または前記皮革製品に定着させる定着工程を有する、(8)に記載の繊維製品および皮革製品の改質方法。
(13)前記噴霧工程前に、前記繊維製品および/または前記皮革製品を、液体に湿潤させる湿潤工程を有する、(8)に記載の繊維製品および皮革製品の改質方法。
【発明の効果】
【0015】
以上の構成により、繊維製品および皮革製品の改質に適した繊維製品および皮革製品の改質装置並びに繊維製品および皮革製品の改質方法を提供することができる。
【0016】
また、以上の構成により、次の手段を得ることができる。
(1)繊維製品や皮革製品への後加工により機能付与できる手段を得ること、すなわち例えば古着を機能付与の対象とできること。
(2)常温下でそのような機能付与ができる手段を得ること。
(3)短時間でそのような機能付与ができる手段を得ること。
(4)大量の水を使うことなく機能付与ができる手段を得ること。
(5)脱水工程を経ることなく機能付与ができる手段を得ること
(6)耐洗濯性の高い機能付与ができる手段を得ること。
(7)様々な機能付与に対応できる装置を得ること。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る改質装置の概要図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す改質装置の機能構成を説明するための概要断面図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す改質装置が備える噴霧部の概要を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、
図3に示す噴霧部が備える二流体ノズル付近の拡大斜視図である。
【
図5】
図5は、
図3に示す噴霧部が備える二流体ノズルの部分拡大断面図である。
【
図6】
図6は、本発明の改質装置が備える噴霧部の他の例を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、本発明の改質装置が備える噴霧部の他の例を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施例1から実施例4の特徴をまとめた表である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る繊維製品および皮革製品の改質装置並びに繊維製品および皮革製品の改質方法の好適な実施形態について詳細に説明する。まず、繊維製品および皮革製品の改質装置について説明し、次いで繊維製品および皮革製品の改質方法について説明する。
【0019】
<1.繊維製品および皮革製品の改質装置>
まず、本実施形態に係る繊維製品および皮革製品の改質装置(以下、単に「改質装置」ともいう)について説明する。
図1は、本実施形態に係る改質装置の概要図であり、
図2は、
図1に示す改質装置の機能構成を説明するための概要断面図であり、
図3は、
図1に示す改質装置が備える噴霧部の概要を示す斜視図であり、
図4は、
図3に示す噴霧部が備える二流体ノズル付近の拡大斜視図であり、
図5は、
図3に示す噴霧部が備える二流体ノズルの部分拡大断面図である。なお、図中、各部材は、説明の容易化のため適宜大きさが強調されており、実際の各部材の比率及び大きさが示されているものではない。
【0020】
図1、2に示す改質装置100は、噴霧部10、気体供給部20および処理液供給部30からなる噴霧システムが取り付けられたドラム式洗濯機であり、噴霧システムにより洗濯機内に配置された対象の繊維製品および/または皮革製品(以下、「対象物」ともいう)に対し機能性物質を付与する。改質装置100は、噴霧部10と、気体供給部20と、処理液供給部30と、筐体部40と、洗濯槽50と、支持部60と、駆動部70と、給水部80と、乾燥装置90とを有している。
【0021】
図1に示す噴霧部10は、気体供給部20および処理液供給部30より、それぞれ気体および処理液の供給を受けて、洗濯槽50内に配置された対象物に処理液を噴霧する。噴霧部10については後に詳述する。
【0022】
気体供給部20は、筐体部40の外部に設けられている。気体供給部20は、コンプレッサ21と、気体供給チューブ23と、圧力調整弁25と、圧力計27とを有する。コンプレッサ21は、気体供給チューブ23に接続されており、周辺に存在する空気を圧縮して気体供給チューブ23を介して噴霧部10に空気を供給する。
【0023】
気体供給チューブ23は、コンプレッサ21と噴霧部10の連結部115とを連結し、コンプレッサ21からの空気を噴霧部10へ搬送する。圧力調整弁25は、気体供給チューブ23の途中に配置され、コンプレッサ21から供給され、気体供給チューブ23を流れる空気の圧力を任意のものに調節する。また、圧力調整弁25により気体の供給を停止することもできる。圧力計27は、圧力調整弁25とともに気体供給チューブ23の途中に配置され、気体供給チューブ23において圧力調整弁25から噴霧部10側へ流れる空気の圧力を測定する。
【0024】
処理液供給部30は、筐体部40の外部に設けられている。処理液供給部30は、処理液貯留部31と、処理液供給チューブ33とを有する。処理液貯留部31には、機能性物質を含む処理液が貯留されている。処理液供給チューブ33は、その一端が処理液貯留部31に貯留された処理液に浸漬されるとともに、他端が噴霧部10の連結部137とを連結し、処理液貯留部31からの処理液を噴霧部10に搬送する。
【0025】
筐体部40は、改質装置100の各部を収納する。筐体部40は、筐体本体41と、パネル部43と、洗剤投入部45と、開閉扉47とを有する。筐体本体41は、略直方体状の外形を有し、収納空間411を有するケーシングであり、当該収納空間411において改質装置100の各部を収納する。また、筐体本体41は、前面中央付近に投入口413を有し、投入口413を塞ぐように開閉扉47が取り付けられている。
【0026】
パネル部43は、筐体本体41の前面上部に配置される、改質装置100の操作のためのパネルである。パネル部43には、改質装置100の操作のための入出力装置、例えばボタン、レバー、ダイヤル、ディスプレイ等が設けられている。パネル部43は、図示せぬ制御装置と通信可能に構成されており、パネル部43において入力装置を介して入力された情報は、制御装置に送信されて改質装置100の制御に用いられる。
【0027】
洗剤投入部45は、洗剤を投入および貯留するための容器である。洗剤投入部45は、筐体本体41の上部付近に設けられ、開閉可能に構成されている。洗剤投入部45には、洗濯のための洗剤や柔軟剤等の処理剤が貯留され、後述する給水部80の洗剤供給管83から供給される水により、処理剤がドラム53に移送される。
【0028】
開閉扉47は、筐体部40の前面中央付近において投入口413を覆うように開閉可能に構成されている。
図2に示すように、開閉扉47は、中央部が筐体部40の収納空間411へ向けて突出し環状の底部473を形成する扉本体471と、底部473の中央に設けられた開口を封し、透明材料、例えば、ガラス材料で構成された窓部475とを有している。そして、
図1、
図2に示すように、底部473には、その環状の形状に沿って環状の噴霧部10が取り付けられる。
【0029】
図2に示す洗濯槽50は、外槽51とドラム53とを有する。外槽51は、投入口413へ向けて開口し、投入口413と反対側が封鎖された有底筒状をなしており、その内部にドラム53を収納する。外槽51の開口部位は、投入口413へ向けて延長されており、筐体部40の収納空間411を外槽51内部と遮断して液体の外槽51外部への漏出が防止されている。また、外槽51の底部には、開閉可能な排出口513が設けられ、必要に応じて洗濯槽50内の液体や気体が排出口513より排出される。
【0030】
ドラム53は、外槽51内において軸方向に回転可能に設けられ、投入口413へ向けて開口し、投入口413と反対側が封鎖された有底筒状をなしている。ドラム53は、内部空間531を有する収納槽であり、対象物を収納する。ドラム53には、その開口側の壁面において周方向に沿って環状のバランサ55が設けられている。また、ドラム53には、その内周面において周方向に等しい間隔で複数のバッフル57が設けられている。また、ドラム53の内周面には多数の脱水孔59が形成されている。
【0031】
また、ドラム53の回転軸は、本実施形態において水平方向に沿っている。すなわち、ドラム53の回転軸は、水平方向から前後10°以内の角をなす。このようにドラム53の回転軸が水平方向に沿うことにより、処理液を噴霧した際にドラム53を回転させて対象物を攪拌することにより対象物により均一に処理液を付与することが可能となる。
【0032】
支持部60は、複数のスプリング61と複数のダンパ63とを有し、これらは筐体部40の内部に配置されるとともに洗濯槽50を弾性的に支持している。 駆動部70は、駆動モータ71と、駆動軸73とを有している。駆動モータ71は、駆動軸73を介してドラム53を軸方向に回転可能なトルクを発生させる。
【0033】
給水部80は、水道等の水源から水の供給を受けて各部に水を供給する。給水部80は、分配部81と、洗剤供給管83と、給水管85と、冷却水供給管87とを有する。分配部81は、水道等の水源に接続されており、備え付けられた複数の開閉弁を介して、洗剤供給管83、給水管85、および冷却水供給管87への水を分配する。洗剤供給管83は、洗剤投入部45を通過して洗剤や柔軟剤等の処理剤を回収し、ノズル831によりドラム53の開口側から処理剤を含む液をドラム53へ投入する。給水管85は、例えばすすぎや洗濯液の希釈等のために、ノズル851により水をドラム53へ供給する。冷却水供給管87は、乾燥装置90の熱交換器99に冷却水を供給する。
【0034】
乾燥装置90は、いわゆるヒータ乾燥式の乾燥機である。乾燥装置90は、送風機91と、送風管93と、ヒータ95と、回収管97と、熱交換器99とを有する。送風機91は、いわゆるファンであり、回収管97を通じて洗濯槽50から空気を吸引し、送風管93を通じて洗濯槽50に再度乾燥した空気を送り込む。送風管93の途中にはヒータ95が取り付けられており、ヒータ95により加熱された空気は、送風管93の先端に設けられた送風ノズル931により洗濯槽50の内部空間531に送り込まれる。このように洗濯槽50に送り込む空気を加熱することにより、洗濯槽50に送り込む空気の湿度を低下させることが可能となるとともに、洗濯槽50の収納空間411内の加熱が可能となる。すなわち、乾燥装置90は、洗濯槽50の収納空間411内の加熱が可能な加熱装置としても機能する。
【0035】
回収管97は、洗濯槽50の排出口513に連結されており、送風機91による負圧により、洗濯槽50の内部空間531より湿った空気を吸引して回収し送風機91に移送する。回収管97の途中には熱交換器99が配置されており、熱交換器99において冷却水供給管87により供給された冷却水により回収管97を通過する空気が冷却されるとともに空気中の水蒸気が凝固して水となる。凝固して生成した水は、回収管97を逆流するとともに排出口513を通じて改質装置100外部に排出される。
【0036】
次に、噴霧部10について説明する。上述したように、
図1に示す噴霧部10は、気体供給部20および処理液供給部30より、それぞれ空気および処理液の供給を受けて、洗濯槽50内に配置された対象物に処理液を噴霧する。
図1、2に示すように、噴霧部10は、円環状の気体分配部11と円環状の処理液分配部13と二流体ノズル200とを有する。そして、噴霧部10は、円環状の気体分配部11と円環状の処理液分配部13とが、開閉扉47の環状の底部473に沿って取り付けられ、二流体ノズル200はそのノズル先端が底部473を貫通して洗濯槽50の収納空間411へ向けられている。以下、噴霧部10の各部について詳細に説明する。
【0037】
図3に示すように、気体分配部11と処理液分配部13とは、ともに円環状をなし、二流体ノズル200にそれぞれ接続されている。気体分配部11は、円環状をなすように配置された5本のチューブ111と、隣接するチューブ111間に配置された4個のジョイント113と、隣接するチューブ111と気体供給チューブ23とを連結する連結部115とを有している。
図4に示すように、各ジョイント113は、分岐管1131を有し、分岐管1131は、二流体ノズル200の基端側に接続されている。以上より、気体供給チューブ23より供給された空気は、連結部115より気体分配部11に導入され、両側のチューブ111より各ジョイント113に移送される。そして、移送された空気は、ジョイント113の分岐管1131を介して二流体ノズル200にその基端側から供給される。
【0038】
図3に示すように処理液分配部13は、円環状をなすように配置された5本のチューブ131と、隣接するチューブ131間に配置された4個のジョイント133と、各ジョイント133と二流体ノズル200とを接続する分岐管135と、隣接するチューブ131と処理液供給チューブ33とを連結する連結部137と、を有している。そして、
図3、4に示すように、分岐管135は、ジョイント133の途中から分岐するとともに延長されて二流体ノズル200の側方に接続されている。以上より、処理液供給チューブ33より供給された処理液は、連結部137より処理液分配部13に導入され、両側のチューブ131より各ジョイント133に移送される。そして、移送された処理液は、ジョイント133から分岐管135を介して二流体ノズル200にその側方から供給される。
【0039】
図3に示すように、二流体ノズル200は、気体分配部11のジョイント113により支持されて、環状の気体分配部11に沿って配置されている。このように、本実施形態においては、処理液を噴霧するためのノズルとして二流体ノズル200を用いる。これにより、ドラム53の内部空間531内に配置された対象物(繊維製品および/または皮革製品)に対し、処理液を均一かつ効率よく付与することができる。
【0040】
詳しく説明すると、従来の洗濯機に使用されてきたシャワーノズルはあくまでもたたき洗い、押し洗いやシャワーすすぎのために用いられており、比較的大きな水圧で対象物を押圧することを目的としてきた。このようなシャワーノズルを用いて処理液を対象物に付与する場合、シャワーノズルからの処理液は対象物に対して局所的に衝突する一方で、対象物全体に対して広がるものではない。また、対象物全体に対して処理液を付与しようとすると、多量の処理液が必要となってしまう。さらには、シャワーノズルからの処理液は対象物に対して局所的に衝突するため、むらなく均一に処理液を対象物に付与するためには、処理液中の機能性物質の濃度を比較的低くする必要がある。また、この場合、対象物から処理液の多量の溶媒を除去するためには、多くのエネルギー、例えば熱エネルギーが必要となってしまう。
【0041】
これに対し、本実施形態においては、ノズルとして二流体ノズル200を用いる。二流体ノズル200は、通常のシャワーノズルや一流体のノズルと比較して液体を微細な粒子の(例えば0.1μm以下)の霧状とし、噴霧することが可能である。このため、本実施形態においてノズルとして二流体ノズル200を用いた場合、微細な処理液の微粒子の霧を広範囲に対象物に均一に付与することができる。このように対象物に処理液を均一に付与することが可能となるため、用いる処理液の量を比較的少なくすることができ、かつ用いる処理液中の機能性物質の濃度を比較的高くすることもできる。また、この場合、対象物から処理液の多量の溶媒を除去するために必要なエネルギー量を比較的少なくすることができる。
【0042】
また、二流体ノズル200を用いた場合、微細の霧状の処理液を対象物に付与することから、処理液は主に対象物の表面に付着する。しかしながら、撥水剤や光触媒をはじめとする機能性物質の多くは、対象物の表面において機能を発揮する。したがって、むしろ処理液を対象物の表面に多く付着させることのできる二流体ノズル200は、却って対象物への機能性の付与に適しており、また、対象物の内部に浸透させる処理液を削減することができるため、効率的である。
【0043】
また、複数の二流体ノズル200により形成する面は、ドラム53の回転軸と略垂直をなしている。これにより、内部空間531の全体に対して均一に処理液を噴霧することが可能となり、少量の処理液であっても、対象物に対しより均一に処理液を付与することが可能となる。
【0044】
さらに、各二流体ノズル200は、隣接する二流体ノズル200に対し等間隔に配置されている。各二流体ノズル200は、より具体的には隣接する二流体ノズル200に対しその各ノズル孔205同士がd1の距離を置いて配置されている。これにより、内部空間531の全体に対して均一に処理液を噴霧することが可能となり、少量の処理液であっても、対象物に対し均一に処理液を付与することが可能となる。
【0045】
図5は、二流体ノズル200の模式的な部分断面図である。なお、図中説明に不要な部品や構造は省略している。本実施形態において二流体ノズル200は、いわゆる内気形の内部混合形ノズルである。すなわち、二流体ノズル200は、気体(本実施形態においては空気)と液体(本実施形態においては処理液)とを二流体ノズル200内部で混合する。また、二流体ノズル200内部で混合するにあたり、気体がノズル中心を通過し、その周囲に液体が存在することにより混合が行われる。
【0046】
図5に記載の二流体ノズル200は、混合空間203を有するノズル本体201を有している。ノズル本体201の基端側には気体注入孔207が設けられており、気体注入孔207にはジョイント113の分岐管1131が接続されている。したがって、ジョイント113の分岐管1131より気体が供給される。一方で、ノズル本体201の側方には、処理液注入孔209が設けられており、処理液注入孔209にはジョイント133から分岐した分岐管135が接続される。したがって、ジョイント133の分岐管1131より処理液が供給される。そして、ノズル本体201の先端側には、ノズル孔205が設けられている。
【0047】
以上の二流体ノズル200において、まずコンプレッサ21により圧縮された空気がノズル本体201の基端側から注入され、混合空間203において生じた圧縮された空気の流れにより処理液が吸い上げられて混合空間203に導入される。そして混合空間203内において空気と処理液とが混合されるとともに、ノズル本体201の先端側のノズル孔205より微細な粒子の霧としての処理液が噴霧される。
【0048】
以上、本実施形態に係る改質装置100は、噴霧部10を備える噴霧システムを有し、噴霧部10が二流体ノズル200を有する。このため、繊維製品および皮革製品の表面に機能性物質を均一に付与することが可能であり、繊維製品および皮革製品を効率よく改質できる。また、繊維製品および皮革製品の表面に機能性物質を均一に付与するに際し、必要な処理液の量を比較的少なくすることができる。このため、繊維製品および皮革製品から処理液の溶媒を除去するのに必要なエネルギーを少なくすることができる。
【0049】
<2.繊維製品および皮革製品の改質方法>
次に、本実施形態に係る繊維製品および皮革製品の改質方法について、上述した本実施形態に係る改質装置100の使用方法も含め、説明する。なお、以下の説明においては改質装置100を使用した例を挙げて本発明に係る繊維製品および皮革製品の改質方法を説明するが、本発明に係る繊維製品および皮革製品の改質方法はこれに限定されず、改質装置100以外の装置を用いて行うことができることは言うまでもない。
【0050】
本実施形態に係る繊維製品および皮革製品の改質方法(以下、単に「改質方法」ともいう)は、繊維製品および/または皮革製品に対し、二流体ノズルを用いて気体とともに機能性物質を含む処理液を噴霧する噴霧工程を有する。
【0051】
また、本実施形態に係る改質方法は、噴霧工程に先立ち、繊維製品および/または皮革製品を準備する準備工程と繊維製品および/または皮革製品を液体に湿潤させる湿潤工程とを有し、また、噴霧工程後に、前記繊維製品および/または前記皮革製品を加熱して、前記機能性物質を前記繊維製品および/または前記皮革製品に定着させる定着工程を有する。以下、各工程について説明する。
【0052】
[2.1.準備工程]
まず、本工程においては、繊維製品および/または皮革製品を準備する。繊維製品および/または皮革製品としては、特に限定されず、衣類、靴、帽子、ストール、鞄等の装飾品、タオル、ハンカチ、布巾等の雑貨、カーテン、壁紙等の建材、シートベルト、車両のシート布等の産業資材、ならびにこれらの原材料としての繊維材料および皮革材料を挙げることができる。特に、衣類、装飾品、雑貨等は、通常、繊維材料の製造時に機能性が付与される。一方で、これらに対して製造後に機能性を付与することは一般に困難である。本実施形態に係る改質方法では、このような従来困難であった繊維製品についても、機能性物質を好適に付与することができる。
【0053】
また、繊維製品を構成する繊維材料の形態は、特に限定されるものではなく繊維製品の用途に応じて任意に選択することができ、例えば、単繊維、撚糸、複合糸、中空糸、短繊維、織物、編物、ネット、不織布、わた等であることができ、これらのうち1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて採用することができる。
【0054】
繊維製品を構成する繊維材料は、天然繊維および/または合成繊維を含む。天然繊維としては、例えば、綿、麻、ケナフ、パルプ(化学パルプ、機械パルプ)、その他植物繊維、特に木質繊維由来の繊維等の天然セルロース繊維、ビスコースレーヨン、キュプラ、アセテート等の再生セルロース繊維等の各種セルロース系繊維、キチンやキトサン等のアミド基やアミノ基を有する多糖類繊維、羊毛、カシミヤ、アンゴラ等の獣毛、絹等が挙げられ、これらのうち1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0055】
合成繊維としては、例えば、アクリル繊維、モダアクリル繊維等のアクリル系繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系繊維、ポリエーテルエステル系繊維、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系繊維、ポリアクリレート系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ナイロン6、ナイロン66等のナイロン繊維、ポリアミド繊維、ポリイミド繊維、アラミド系繊維、ポリエーテルイミド系繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、ポリウレタン繊維、ポリビニルアルコール繊維、エチレンビニルアルコール繊維、ポリアリレート系繊維等が挙げられ、これらのうち1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0056】
なお、繊維製品および/または皮革製品として、上述した例では、繊維製品および皮革製品を別個に説明したが、当然、繊維材料および皮革材料を同時に構成材料として含む製品も、本発明の繊維製品および/または皮革製品に含まれることは言うまでもない。また、繊維製品および/または皮革製品は、必要に応じて、公知の加工・洗浄処理が施されてもよい。
【0057】
[2.2.湿潤工程]
本工程においては、対象物としての繊維製品および/または皮革製品を液体に湿潤させる。このように対象物を液体に湿潤させることにより、対象物の濡れ性を改善し、噴霧工程において処理液の対象物に対する付着効率を向上させることができる。湿潤させる液体としては、特に限定されず、水および/または各種有機溶媒(メタノール、エタノール、等)が挙げられる。
【0058】
湿潤させる液体としては、好ましくは、後述する処理液の溶媒と共通する成分を含む。これにより、対象物の濡れ性がより一層向上する。また、湿潤させる液体は、改質装置100の機能構成を考慮すると、通常水である。
【0059】
例えば、改質装置100のドラム53の内部空間531内に対象物を投入し、給水部80のノズル851により水を内部空間531に噴射する。この間、必要に応じてドラム53を駆動部70により回転させて、水を対象物になじませる。最後に、ドラム53を回転させることにより、脱水を行う。
【0060】
また、例えば、改質装置100において、対象物を洗濯(洗浄)し、すすぎおよび脱水を行って対象物を湿潤させてもよい。具体的には改質装置100のドラム53の内部空間531内に対象物を投入し、さらに、給水部80から洗剤供給管83を介して洗剤投入部45の洗剤を回収しつつ、洗剤を含む水組成物をノズル831よりドラム53の内部空間531に投入する。その後ドラム53を回転させて対象物を洗浄し、脱水を行う。その後、改質装置100のドラム53の内部空間531内に対象物を投入し、給水部80のノズル851により水を内部空間531に噴射する。この間、必要に応じてドラム53を駆動部70により回転させて、洗剤を対象物から除去し、排出口513より不要な水を除去する。最後に、ドラム53を回転させることにより、脱水を行う。このように対象物の洗濯、すすぎおよび脱水を行うことにより、対象物の洗浄ともに湿潤を行うことができる。
【0061】
なお、上記の具体例は、湿潤させる液体を水の場合として説明したが、液体として有機溶媒を用いる場合、例えば、給水部80に接続する水源を有機溶媒を含む液体源に変更してもよい。また、本工程は、場合に応じて省略してもよい。
【0062】
[2.3.処理液付着工程(噴霧工程)]
本工程では、対象物に対し、二流体ノズル200を用いて気体とともに機能性物質を含む処理液を噴霧する。これにより、対象物の表面に機能性物質が均一に付着する。
【0063】
ここで処理液について説明する。処理液は、少なくとも機能性物質を含み、通常機能性物質を溶解または分散する溶媒を含む。
【0064】
機能性物質は、対象物に所期の機能を付与するための物質である。ここで、付与される所期の機能としては、例えば、撥水機能、撥油機能、防汚機能、吸水機能、速乾機能、冷感機能、抗菌機能、消臭機能、制菌機能、抗ウィルス機能、光触媒機能、銀触媒機能、セルフクリーニング機能、遮熱機能、遮光機能(可視光・紫外線遮断)、難燃機能、防虫機能(蚊、蝿等)、遠赤外線発生機能、毛玉防止機能、帯電防止機能、弱酸性、セラミド、防シワ機能、抗アレルギー機能、抗ダニ機能、抗カビ機能、柔軟機能、硬化機能風合い付与等が挙げられる。
【0065】
機能性物質は、対象物へ固定可能であり、所期の機能を発揮できるものであれば、特に限定されない。例えば機能性物質としては、光触媒、風合い付与剤、撥水剤、保湿剤、吸水剤、吸光剤、蛍光剤、吸着剤等が挙げられ、これらのうち1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0066】
光触媒は、光等の電磁波を照射した際に触媒作用を示す物質である。光触媒としては、例えば、金属元素の酸化物、窒化物、水酸化物および複合塩等の金属化合物が挙げられる。このような金属化合物は、その種類によっては、光照射(特に紫外線照射)により励起して、酸化還元能力を発揮し、有機物を分解することができる。これにより、光触媒は、抗菌、殺菌および/またはセルフクリーニング(防汚)機能を発揮する。金属酸化物として、具体的には、二酸化チタン、チタン酸、チタン酸塩類、ニオブ酸、ニオブ酸類、チタノニオブ酸類、酸化亜鉛、酸化銅、酸化銀、酸化鉄、酸化タングステン、酸化ニッケル、モリブデン酸、タンタル酸類等の金属酸化物、タンタル酸窒化物類等の金属酸窒化物、バナジン酸ビスマス塩類等の金属複合塩、水酸化リン酸銅塩類等の金属水酸化物複合塩等が挙げられる。
【0067】
風合い付与剤は、対象物に風合いを付与する。風合い付与剤としては、例えばタンパク質等が挙げられる。
【0068】
また、機能性物質は、糖類を含んでもよい。機能性物質として糖類を用いることにより、綿や再生セルロース繊維に類似した風合い、吸水性、保水性など付与することができる。
【0069】
溶媒としては、特に限定されず、水および各種有機溶媒を用いることができる。しかしながら、環境負荷の観点から、水を溶媒として用いることが好ましい。
【0070】
また、処理液は、架橋剤を含んでもよい。架橋剤は、機能性物質と対象物とを架橋することにより、対象物に機能性物質を固定する。架橋剤としては、特に限定されず、例えば、エポキシ系硬化剤、ヒドラジン系硬化剤、金属塩、メラミン系硬化剤、エチレンイミン系硬化剤、カルボジイミド系硬化剤、イソシアネート系硬化剤等が挙げられ、これらのうち1種を単独でまたは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0071】
また、処理液中の各成分の比率は、用いる機能性物質等の成分の種類や物性等に応じて適宜変更することができる。
【0072】
上述したように処理液の対象物への付与は、二流体ノズル200を用いて行う。具体的には、まず気体供給部20のコンプレッサ21により圧縮された空気を二流体ノズル200のノズル本体201の基端側から注入する。そして、二流体ノズル200の混合空間203において生じた圧縮された空気の流れにより処理液を吸い上げて混合空間203に導入する。そして混合空間203内において空気と処理液とを混合して、ノズル本体201の先端側のノズル孔205より微細な粒子の霧としての処理液をドラム53の内部空間531内にある対象物に対して噴霧する。
【0073】
この場合において、処理液の噴霧時間は、特に限定されないが、例えば1分以上60分以下、好ましくは5分以上40分以下とすることができる。これにより、十分かつ無駄なく機能性物質を対象物に均一に付与することができる。
【0074】
また、処理液の噴霧において、二流体ノズル200からの処理液の噴射角は、特に限定されないが、例えば50°以上120°以下、好ましくは、60°以上100°以下、より好ましくは、70°以上90°以下であることができる。このように比較的大きな噴射角を採用することにより、対象物により均一に機能性物質が付着する。
【0075】
また、処理液の噴霧は、いかなる強度で行ってもよいが、比較的弱めに行うことが好ましい。これにより、機能性物質を対象物により均一に付与することができる。
【0076】
また、処理液の噴霧時において、ドラム53中にある対象物を攪拌することが好ましい。これにより、対象物の向きが様々に変化し、処理液がより一層均一に対象物に付着する。具体的には、駆動部70により、ドラム53を回転させることにより、対象物を攪拌する。ここで、ドラム53の回転軸は、水平方向に沿っている。したがって、対象物は、ドラム53の下方から持ち上げられるとともに、ドラム53の上方付近に到達する際に落下することにより、効率よく攪拌される。
【0077】
また、本工程において、処理液の噴霧後に、ドラム53中にある対象物を攪拌してもよい。これにより、処理液が対象物に浸透し、より確実かつ均一に機能性物質が対象物に付着する。攪拌時間は、特に限定されないが、例えば1分以上60分以下、好ましくは3分以上40分以下、より好ましくは5分以上30分以下である。
【0078】
また、処理液の噴霧時や噴霧後の攪拌時において、状況に応じて、ドラム53の内部空間531への送風や対象物の加熱を行ってもよい。例えば、乾燥装置90を用いて、ドラム53の内部空間531への送風を行うことができる。この際に乾燥装置90のヒータ95により送風する空気を加熱すると、ドラム53の内部空間531へ加熱された空気を移送することができ、対象物の加熱が可能となる。
【0079】
また、処理液を噴霧する際、水を混ぜて噴霧してもよい。水を混ぜるにあたり、処理液と水を合わせた重量が、処理対象の繊維製品と同程度の重量になるようにする。処理液と水を合わせた重量が処理対象の繊維製品と同程度の重量であれば、処理液が繊維製品全体にまんべんなく行き渡る。また、処理液と水を合わせた重量を、処理対象の繊維製品と同じ重量程度とすることにより、全体の水分量が少ないため、噴射工程と乾燥工程の間の繊維製品を脱水する工程を不要とすることができる。脱水工程を経ないことにより、処理液に含まれた機能成分は外部への放出を免れるため、繊維製品への機能性物質の付与割合を向上させることができる。
【0080】
噴射工程に関し、複数種類の処理液を数回に分けて噴射し、噴射工程が複数工程にわたる場合がある。この場合、各噴射工程で、各々の処理液を合わせたものを、処理対象と同程度の重量用いるため、処理液と水の量は多くなる。処理液と水の量が多くなりすぎると、水分量が増えるため、脱水工程が必要になる。実験によると、処理液と水を合わせた重量が、処理対象重量の2倍程度よりも少ない場合には、脱水工程が不要である。
【0081】
[2.4.定着工程]
本工程では、対象物を加熱して、機能性物質を対象物に定着させるこれにより、対象物の表面に機能性物質が定着する。本工程では、例えば、対象物を乾燥させ、加熱することにより行うことができる。具体的には、乾燥装置90を用いて、ヒータ95により送風する空気を加熱しつつ、ドラム53の内部空間531への送風を行うことにより、まず、対象物中の溶媒、特に水分の除去が可能となる。そして、対象物中の溶媒の除去後、対象物の加熱が可能となる。
【0082】
乾燥・加熱時における対象物の温度は特に限定されず、例えば60℃以上180℃以下、好ましくは70℃以上110℃以下、より好ましくは80℃以上100℃以下である。また、加熱・乾燥時間は、特に限定されず、例えば5分以上300分以下、好ましくは10分以上60分以下、より好ましくは20分以上40分以下である。
なお、本工程は、対象物や機能性物質の種類によっては、必要に応じて省略される。
【0083】
以上により、対象物の表面を機能性物質の機能に応じて改質することができる。本実施形態においては、改質装置100の二流体ノズル200を用いて対象物としての繊維製品および/または皮革製品に対し、機能性物質を含む処理液を噴霧し、対象物の改質を行う。このように二流体ノズル200を用いて対象物に処理液を噴霧することにより、対象物に均一に機能性物質を付着させることができ、対象物を効率よく改質することができる。
【0084】
特に、ドラム53を回転させながら対象物に対し処理液を噴霧することにより、対象物により一層均一に機能性物質を付着させることができる。
【0085】
<3.二流体ノズルの配置に関する変形例>
上述した実施形態では、噴霧部10が4つの二流体ノズル200を備える例を用いて説明を行ったが、本発明は、これに限定されず、任意の数の二流体ノズルを用いることができる。
図6、
図7は、本発明の改質装置が備える噴霧部の他の例を示す斜視図である。
【0086】
図6に示す噴霧部10Aにおいては、5つの二流体ノズル200が隣接する二流体ノズル200に対し等間隔に配置されている。各二流体ノズル200は、より具体的には隣接する二流体ノズル200に対しその各ノズル孔205同士がd
2の距離を置いて配置されている。
また、
図7に示す噴霧部10Bにおいては、2つの二流体ノズル200が円環状の噴霧部10Bの対向する位置に配置されている。
なお、図示の態様に限定されず、二流体ノズル200は、隣接する二流体ノズル200と等間隔に配置されていなくてもよい。
【0087】
<4.実施例1から実施例4について>
図8により、実施例1から実施例4を説明する。
【0088】
本願実施形態による繊維製品および皮革製品の改質方法は、前述の通り、「1.準備工程」、「2.湿潤工程」、「3.処理液付着工程」、「4.定着工程」を備えるところ、実施例1から実施例3に関し、準備工程は省略して、湿潤工程、処理液付着工程、定着工程の順に説明する。
【0089】
各々の実施例における改質対象は150gの綿のTシャツ6枚(合計約900g重)である。改質対象がこの程度の量であると、処理液が均一に付与され、好ましい。以下の実施例1から実施例4の説明において、改質対象の「Tシャツ」とはいずれも150gの綿のTシャツ6枚(合計900g)を意味する。また、各処理液の重量は、いずれも150gの綿のTシャツ6枚(合計900g)を改質対象とする場合の重量である。
【0090】
以下の説明は
図8の説明である。機能性物質の付着手段に関し、実施例1と実施例4は、一般的な洗濯と同様な手段によっており、ドラムに、所定量の処理液と水を投入し、次に機能付着対象のTシャツを投入し、ドラムを所定時間回転させる。Tシャツは水中で攪拌され、これにより機能物質がTシャツに付着する。機能性物質付着手段に関し、実施例2と実施例3は、ノズルを用いた手段であり、所定の分量の処理液と水を混ぜたものを、Tシャツに向けてノズルで噴射する。これにより機能物質がTシャツに付着する。
【0091】
付与する機能(改質目的)に関し、実施例1、実施例2及び実施例3は、消臭機能、抗菌機能、及び吸水機能と、吸水した水を拡散する機能を付与する。付与する機能(改質目的)に関し、実施例4は、透け防止機能及び汗シミ発生防止機能を付与する。
【0092】
機能を付与する対象の繊維製品に関し、実施例1、実施例2及び実施例4は使用済みのTシャツ(一枚当たり約150g)を6枚(合計900g)が対象である。実施例3は、他の実施例と量が同じTシャツであるが、使用済みではなく未使用のTシャツが対象である。
【0093】
Tシャツに含まれる脂肪質や汚れを取り除く工程である精錬工程に関し、実施例1、実施例2及び実施例4は、機能付与対象のTシャツが使用済みであるため精錬工程が必要である。実施例3では、Tシャツは未使用であるため、精錬工程が不要である。精錬工程は高温の湯を用いるところ、実施例3では、精錬工程がないことにより、高温の工程を経ない。
【0094】
処理液付与時の水の使用量に関し、実施例1と実施例4では、機能性物質の付与手段が対象物をドラム内で水と攪拌するものであるため、対象物の10倍から20倍の水が必要であり、使用する水は10L~20Lである。実施例2と実施例3では、機能性物質の付与手段がノズルで噴射する手段であるため、水は少量でよい。具体的には処理液が対象物全体に行きわたる程度であれば足り、処理液と水の合計の重量が対象物の重量と同程度が好ましい。
【0095】
処理液付与時の脱水工程に関し、実施例1と実施例4では、Tシャツは大量の水の中で攪拌され充分に水を吸収しているため脱水工程が必要である。実施例2と実施例3では、使用する水が少量のため、脱水工程が不要である。
【0096】
乾燥手段に関し、実施例1と実施例2と実施例4では、一般的な洗濯機が備える乾燥機と同様に、熱風を充てることにより乾燥させた。このうち、実施例2では、機能性物質の付着手段がノズルによる噴射であるため、機能性物質の定着がそれほど重要ではいため、熱風を当てる工程は必須ではないが、乾燥に時間がかからないのは便利であるため、熱風により乾燥させた。乾燥手段に関し、実施例3では、熱風を用いずに、自然乾燥させた。機能性物質の付与手段がノズルで噴射することによる場合、機能性物質の定着がそれほど重要ではないため、自然乾燥によっても機能性物質が充分に付着する。これにより、高温の工程を経る必要がない。
【0097】
機能性物質の付着割合に関し、実施例1、実施例2、実施例3を比較すると、実施例1は、実施例2や実施例3よりも、付着割合が低い。理由は次のとおりである。実施例1~実施例3は付与する機能が同一であり使用する処理液も同量であるところ、使用する水の量の違いにより、実施例1は実施例2及び実施例3よりも処理液が薄い。これに加えて、実施例1は脱水工程を経るところ、機能性物質は脱水工程の際にも取り除かれる。これに対し、実施例2及び実施例3では、機能性物質を薄める水の量は、機能性物質が処理対象にまんべんなく行きわたるに足りる量であり、かつ、機能性物質を含んだ水が脱水されることなく、乾燥工程に入るので、機能性物質は実施例1の場合よりも多く付着する。
【0098】
処理液に関し、実施例1から実施例3は、[加工1]においてカチオン性の処理液Bにより消臭機能を付与し、[加工2]においてアニオン性の処理液C及び処理液Dにより抗菌機能を付与する。実施例4は、[加工1]においてカチオン性の処理液Eによって透け防止機能及び汗シミ防止機能を付与し、[加工2]においてチタンのバインダーとして機能する処理液Fを施す。
【0099】
繊維製品との吸着を向上させる成分に関し、実施例1~実施例3では、高分子のポリカチオン界面活性剤が機能薬剤と繊維製品との結合を向上させている。実施例4では、アクリル酸アルキルエステル.スチレン共重合体がバインダーとして機能し、機能薬剤と繊維製品との結合を向上させている。実施例1から実施例3にあっては、このような繊維製品との吸着を向上させる成分を含むことにより、高温の工程を必須とすることなく、機能薬剤を繊維製品に付着できている。実施例4にあっては、このような繊維製品との吸着を向上させる成分を含むことにより、ノズルを使用することなく、機能薬剤を繊維製品に付着できている。
【0100】
処理液の特徴に関し、実施例4では、処理液がノズルを詰まらせるため、また、処理液の色(白)が汚れのもとになりノズルの洗浄が困難であるため、ノズルの使用は不向きである。すなわち、無色でない処理液に用いた後にノズルを用いると、後の繊維製品にその前に噴霧した処理液の色彩が付着してしまう。このためそのような事態を避けるべく、無色でない処理液を使用した場合、使用後のノズルを念入りに洗浄することが必要になる。このため無色でない処理液は、ノズルの使用には向かない。また、処理液がセラミック系の鉱物等水に溶けない成分を含む場合、ノズルを詰まらせてしまうため、この場合もノズルの使用には向かない。
【0101】
このため、実施例4ではノズルの使用を避け、ノズルを使用しなくても機能性物質が繊維製品に付着するようバインダー剤を用いている。
【0102】
JISL1930の耐洗濯性試験では、実施例1から実施例4のいずれも、10回の洗濯の結果、機能性物質の付着に変化はなく、機能は維持された。
【0103】
改質装置100にあっては、前述の構成により、ノズルを利用して繊維製品に有効に薬剤を付与できる。また、これに加えて、ノズルを利用せずにドラムに直接薬剤を投入し対象の繊維製品を水とともに攪拌することによっても、繊維製品への薬剤の付与ができる。よって、改質のために、繊維製品の表面に、適切な薬剤を、適切な順番に付与するにあたり、改質装置100にあっては、処理液(薬剤)の性質に応じて、ノズルの使用に不向きな処理液にあってはノズルを利用しない、ノズルの使用に向く処理液にあってはノズルを利用する、といった対応が容易にできる。
【実施例1】
【0104】
[湿潤工程]
ドラム53の内部空間531に前記Tシャツを投入し、給水部80から水(常温、以下同じ)を投入する。その後ドラムを10分間回転させ、Tシャツを水流内で攪拌する。その後、排出口513から水を除去する。最後にドラムを回転させ、Tシャツを脱水する。
【0105】
[処理液付着工程]
(1)前処理
処理液Aを用いてTシャツに含まれる脂肪質や汚れを取り除く。処理液Aは精錬剤である。
処理液A:微黄色透明液体、ノニオン性、9g
【0106】
【0107】
ドラムに、70℃~80℃の湯を10L~20L(以下実施例1においてドラムに投入する湯量はほぼこれに同じ)と、処理液Aを9gと、Tシャツを投入し、Tシャツを湯中で10分間攪拌し、その後、湯を排出し脱水する。なお、ドラムに給水する水を湯とするための機構は既存の手段による。次にドラムに水を投入し、Tシャツを水中で4分間攪拌し、その後、水を排出し脱水する。次にドラムに70℃~80℃の湯を投入し、Tシャツを湯中で10分間攪拌し、その後、湯を排出し脱水する。次にドラムに水を投入し、Tシャツを水中で3分間攪拌し、その後、水を排出し脱水する。最後に、再度、ドラムに水を投入し、Tシャツを水中で3分間攪拌し、その後、水を排出し脱水する。
【0108】
(2)加工1
処理液BによりTシャツに消臭機能を付与する。
処理液B:緑白色分散液、カチオン性、40.5g
【0109】
【0110】
ドラムに、約40℃の湯と、処理液Bを40.5gと、Tシャツを投入し、Tシャツを湯中で約15分攪拌し、その後、湯を排出し脱水する。
【0111】
(3)加工2
処理液Cと処理液Dにより、Tシャツに抗菌機能と吸水拡散機能を付与する。
処理液C:乳白色エマルジョン、63g
【0112】
【0113】
処理液D:淡黄白色液体、両性、45g
【0114】
【0115】
ドラムに、約40℃の湯と、処理液Cを63gと、処理液Dを45gと、Tシャツを投入し、Tシャツを湯中で約15分攪拌し、その後、湯を排出し、1分間脱水する。
【0116】
[定着工程]
温風をあててTシャツを乾燥させると当時に、機能性物質を対象物に定着させる。具体的には、乾燥装置90を用いて、約90℃の空気を10分から15分間当てる。
【実施例2】
【0117】
[湿潤工程]
実施例1の湿潤工程と同一のため省略する。
【0118】
[処理液付着工程]
(1)前処理
実施例1の、[処理液付着工程](1)前処理と同一のため省略する。
【0119】
(2)加工1
処理液BによりTシャツに消臭機能を付与する。
処理液B:緑白色分散液、カチオン性、40.5g
【0120】
【0121】
処理液Bを40.5gと水を約859.5g、処理液貯留部31に投入する。処理液Bと水を合わせると、Tシャツと同じ900gとなる。Tシャツをドラムに投入し、処理液Bを二流体ノズル200よりTシャツに噴射する。この際、ドラムを回転させて、Tシャツを攪拌しながら噴射する。
【0122】
(3)加工2
処理液Cと処理液Dにより、Tシャツに抗菌機能と吸水拡散機能を付与する。
処理液C:乳白色エマルジョン、63g
【0123】
【0124】
処理液D:淡黄白色液体、両性、45g
【0125】
【0126】
処理液Cを63gと、処理液Dを45gと、水を792g、処理液貯留部31に投入する。処理液Cと処理液Dと水を合わせると、Tシャツと同じ900gとなる。Tシャツをドラムに投入し、処理液Cと処理液Dと水を、二流体ノズル200よりTシャツに噴射する。この際、ドラムを回転させて、Tシャツを攪拌しながら噴射する。
【0127】
[定着工程]
温風をあててTシャツを乾燥させると当時に、機能性物質の対象物への定着を強固にする。具体的には、乾燥装置90を用いて、約90℃の空気を20分から30分間当てる。
【実施例3】
【0128】
[湿潤工程]
実施例1の湿潤工程と同一のため省略する。
【0129】
[処理液付着工程]
(1)前処理(精錬)は行わない。
【0130】
(2)加工1
実施例2の、[処理液付着工程](2)加工1と同一のため省略する。
【0131】
(3)加工2
実施例2の、[処理液付着工程](3)加工2と同一のため省略する。
【0132】
[定着工程]は行わない。風通しの良い場所に干して自然乾燥させる。
【実施例4】
【0133】
[湿潤工程]
実施例1の湿潤工程と同一のため省略する。
【0134】
[処理液付着工程]
(1)前処理
実施例1の[処理液付着工程](1)前処理と同一のため省略する。
【0135】
(2)加工1
処理液EによりTシャツに透け防止・汗シミ防止機能を付与する。
処理液E:乳白色エマルジョン、カチオン性、72g
【0136】
【0137】
ドラムに、水10L~20Lと、処理液Eを72gと、Tシャツを投入し、Tシャツを水中で約30分攪拌し、その後、水を排出し脱水する。
【0138】
(3)加工2
処理液Fは、処理液Eの、Tシャツへのバインダーである。
処理液F:乳白色エマルジョン、45g
【0139】
【0140】
ドラムに、水10L~20Lと、処理液Fを45gと、Tシャツを投入し、Tシャツを水中で約30分攪拌し、その後、水を排出し、1分間脱水する。
【0141】
[定着工程]
温風をあててTシャツを乾燥させると同時に、機能性物質の対象物への定着を強固にする。具体的には、乾燥装置90を用いて、90℃の空気を10分から15分間当てる。
【符号の説明】
【0142】
10、10A、10B 噴霧部
11 気体分配部
111 チューブ
113 ジョイント
1131 分岐管
115 連結部
13 処理液分配部
131 チューブ
133 ジョイント
135 分岐管
137 連結部
20 気体供給部
21 コンプレッサ
23 気体供給チューブ
25 圧力調整弁
30 処理液供給部
31 処理液貯留部
33 処理液供給チューブ
40 筐体部
41 筐体本体
411 収納空間
413 投入口
43 パネル部
45 洗剤投入部
47 開閉扉
471 扉本体
473 底部
475 窓部
50 洗濯槽
51 外槽
513 排出口
60 支持部
61 スプリング
63 ダンパ
70 駆動部
71 駆動モータ
73 駆動軸
80 給水部
81 分配部
83 洗剤供給管
831、851 ノズル
85 給水管
87 冷却水供給管
90 乾燥装置
91 送風機
93 送風管
931 送風ノズル
95 ヒータ
97 回収管
99 熱交換器
100 改質装置
200 二流体ノズル
201 ノズル本体
203 混合空間
205 ノズル孔
207 気体注入孔
209 処理液注入孔