(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】抗菌活性の向上を達成するためのコンビネーション・セラピー
(51)【国際特許分類】
A61K 31/785 20060101AFI20240501BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240501BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20240501BHJP
A61K 31/7135 20060101ALI20240501BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
A61K31/785
A61K45/00
A61P31/04
A61K31/7135
A61P43/00 121
(21)【出願番号】P 2022506793
(86)(22)【出願日】2020-07-15
(86)【国際出願番号】 IB2020056644
(87)【国際公開番号】W WO2021024054
(87)【国際公開日】2021-02-11
【審査請求日】2022-12-23
(32)【優先日】2019-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(73)【特許権者】
【識別番号】503231882
【氏名又は名称】エージェンシー フォー サイエンス,テクノロジー アンド リサーチ
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【氏名又は名称】太佐 種一
(72)【発明者】
【氏名】ヘンドリック、ジェームス
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、イー、ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ディング、シン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、チュワン
【審査官】三上 晶子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0338356(US,A1)
【文献】Japanese Journal of Inflammation,1995年,Vol.15, No.3,pp.261-264
【文献】Nature Communications,2018年,Vol.9,pp.1-14
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00- 33/44
A61P 1/00- 43/00
A61K 45/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学組成物であって:
グアニジニウム官能基で機能化されたポリカーボネートポリマー;及び
チオレドキシン・リダクターゼ阻害活性を示す抗リュウマチ薬を含み、前記ポリカーボネートポリマーが前記抗リュウマチ薬の抗菌活性を向上させる、
化学組成物。
【請求項2】
化学組成物であって:
グアニジニウム官能基で機能化されたポリカーボネートポリマー;及び
抗リュウマチ薬を含み、前記抗リュウマチ薬は、2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-1-チオ-β-D-グルコピラノサト-κS
1)(トリエチルホスホラニリデン)ゴールドであ
り、前記ポリカーボネートポリマーが前記抗リュウマチ薬の抗菌活性を向上させる、化学組成物。
【請求項3】
前記抗菌活性は、グラム陰性菌を阻害する、請求項
1または2に記載の化学組成物。
【請求項4】
前記ポリカーボネートポリマーは、細胞膜を通過したトランスロケーション及び標的微生物のサイトゾル・メンバーとの相互作用により前記抗菌活性を向上させる、請求項
1~3のいずれか1項に記載の化学組成物。
【請求項5】
サイトゾル・メンバーは、タンパク、酵素及び遺伝子からなる群から選択される、請求項4に記載の化学組成物。
【請求項6】
前記抗菌活性は、前記抗リュウマチ薬により前記標的微生物内での反応性酸素種の生成を向上させることを含む、請求項4に記載の化学組成物。
【請求項7】
前記ポリカーボネートポリマーが、化学式:
【化1】
で特徴づけられる構造を有し、
“R
1”がビオチン基、糖基、第1のアルキル基及び第1のアリール基又からなる第1の基から選択される第1の官能基に対応し、
“R
2”が水素、第2のアルキル基及び第2のアリール基から選なる第2の基から選択される第2の官能基に対応し、
“X”が第3のアルキル基及び第3のアリール基からなる第3の基から選択されるスペーサ構造に対応し、
“n”が1以上、かつ1000以下の整数に対応する、
請求項
1~6のいずれか1項に記載の化学組成物。
【請求項8】
グアニジニウム官能基で機能化されたポリカーボネートポリマー
と、チオレドキシン・リダクターゼ阻害活性を示す抗リュウマチ薬
とを含む化学組成物を、微生物に接触させることを含む
抗菌活性向上方法
(人間を治療する方法を除く)。
【請求項9】
グアニジニウム官能基で機能化されたポリカーボネートポリマーと、抗リュウマチ薬とを含む化学組成物を、微生物に接触させることを含み、前記抗リュウマチ薬は、2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-1-チオ-β-D-グルコピラノサト-κS
1)(トリエチルホスホラニリデン)ゴールドであ
る、抗菌活性向上方法(人間を治療する方法を除く)。
【請求項10】
前記抗リュウマチ薬の前記抗菌活性を向上させることが、前記ポリカーボネートポリマーを、細胞膜を通過してトランスロケーションさせること及び前記抗菌活性の標的とされる微生物の細胞膜のサイトゾル・メンバーと、前記ポリカーボネートポリマーとを相互作用させることを含み、前記サイトゾル・メンバーがタンパク、酵素及び遺伝子からなるグループから選択される、請求項
8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記抗菌活性が、前記抗リュウマチ薬により前記微生物内での反応性酸素種の生成を向上させることを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記抗菌活性は、グラム陰性菌を阻害する、請求項
8~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記コンビネーション・セラピーは、前記抗リュウマチ薬により標的とされた微生物による前記抗菌活性に対する抵抗性のオンセットを緩和する、請求項8
~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記ポリカーボネートポリマーが、化学式:
【化2】
で特徴づけられる構造を有し、
“R
1”がビオチン基、糖基、第1のアルキル基及び第1のアリール基又からなる第1の基から選択される第1の官能基に対応し、
“R
2”が水素、第2のアルキル基及び第2のアリール基から選なる第2の基から選択される第2の官能基に対応し、
“X”が第3のアルキル基及び第3のアリール基からなる第3の基から選択されるスペーサ構造に対応し、
“n”が、1以上、かつ1000以下の整数に対応する、
請求項8
~13のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
主題の開示は、治療用化合物の抗菌活性を向上させるためのコンビネーション・セラピーの使用に関し、より具体的には、1つ又はそれ以上のポリ(グアニジニウムカーボネート)ポリマー及び抗リュウマチ薬(例えば、オーラノフィン)を含むコンビネーション・セラピーに関する。
【発明の概要】
【0002】
以下に、本発明の1つ又はそれ以上の基本的理解を提供するための要約を提示する。本概要は、鍵となる又は重要な要素を規定することを意図するものではないし、又は特定の実施形態の如何なる範囲又は請求項の如何なる範囲の境界付けを意図するものではない。その唯一の目的は、簡略化された形式において、より後に提示される、より詳細な説明の前章として、本概念を提示することである、本明細書で説明する1つ又はそれ以上の実施形態において、1つ又はそれ以上のポリ(グアニジニウムカーボネート)ポリマー及び抗リュウマチ薬(例えばオーラノフィン)を含む1つ又はそれ以上のコンビネーション・セラピーに関する、化学組成物又は方法又はそれら両方を記載する。
【0003】
実施形態に従い、化学組成物が提供される。化学組成物は、グアニジニウム官能基で機能化したポリカーボネートポリマーを含むことができる。化学組成物は、また、抗リュウマチ薬を含むことができ、かつポリカーボネートポリマーは、抗リュウマチ薬の抗菌活性を向上することができる。
【0004】
本実施形態に従い、方法が提供される。この方法は、コンビネーション・セラピーにより、抗リュウマチ薬の抗菌活性を向上させることを含む。コンビネーション・セラピーは、抗リュウマチ薬及びグアニジニウム官能基で機能化したポリカーボネートポリマーを含むことができる。
【0005】
実施形態に従い、方法が提供される。この方法は、抗リュウマチ薬及びグアニジニウム官能基で機能化したポリカーボネートポリマーを含むコンビネーション・セラピーを介して細菌感染を治療することを含むことができる。さらに、ポリカーボネートポリマーは、抗リュウマチ薬の抗菌活性を向上させることができる。
【0006】
本発明を、以下の図面において示されるように、好ましい実施形態を参照しつつ実施例のみの目的で説明する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本明細書で説明した1つ又はそれ以上の実施例による、1つ又はそれ以上の抗リュウマチ薬(例えばオーラノフィン)と共にコンビネーション・セラピーに含まれることができる、ポリ(グアニジニウムカーボネート)を特徴づける実施例の非限定的な化学式を図示したものである。
【
図2】
図2は、本明細書で説明した1つ又はそれ以上の実施例による、1つ又はそれ以上の抗リュウマチ薬(例えばオーラノフィン)と共にコンビネーション・セラピーに含まれることができる、実施例の非限定的なポリ(グアニジニウムカーボネート)構造を図示したものである。
【
図3】
図3は、本明細書で説明した1つ又はそれ以上の実施形態による、1つ又はそれ以上の抗リュウマチ薬(例えばオーラノフィン)と共にコンビネーション・セラピーに含まれる1つ又はそれ以上のポリ(グアニジニウムカーボネート)ポリマーにより実施されることができる実施例の非限定的なトランスロケーションの機構を図示したものである。
【
図4】
図4は、本明細書で説明した1つ又はそれ以上の実施形態による、1つ又はそれ以上のポリ(グアニジニウムカーボネート)ポリマー及び抗リュウマチ薬(例えば、オーラノフィン)を含むコンビネーション・セラピーの効果を示すことができる実施例の非限定的なバー・グラフを示す。
【
図5A】
図5Aは、本明細書で説明した1つ又はそれ以上の実施形態による、1つ又はそれ以上のポリ(グアニジニウムカーボネート)ポリマー及び抗リュウマチ薬(例えば、オーラノフィン)を含むコンビネーション・セラピーの効果を示すことができる実施例の非限定的なバー・グラフを示す。
【
図5B】
図5Bは、本明細書で説明した1つ又はそれ以上の実施形態による、1つ又はそれ以上のポリ(グアニジニウムカーボネート)ポリマー及び抗リュウマチ薬(例えば、オーラノフィン)を含むコンビネーション・セラピーの効果を示すことができる実施例の非限定的なバー・グラフを示す。
【
図6A】
図6Aは、本明細書で説明した1つ又はそれ以上の実施形態による、1つ又はそれ以上のポリ(グアニジニウムカーボネート)ポリマー及び抗リュウマチ薬(例えば、オーラノフィン)を含むコンビネーション・セラピーの効果を示すことができる実施例の非限定的なバー・グラフを示す。
【
図6B】
図6Bは、本明細書で説明した1つ又はそれ以上の実施形態による、1つ又はそれ以上のポリ(グアニジニウムカーボネート)ポリマー及び抗リュウマチ薬(例えば、オーラノフィン)を含むコンビネーション・セラピーの効果を示すことができる実施例の非限定的なバー・グラフを示す。
【
図7】
図7は、1つ又はそれ以上の実施形態による、1つ又はそれ以上の抗リュウマチ薬(例えばオーラノフィン)の抗菌活性の向上のための実施例の非限定的なフロー図を示す。
【
図8】
図8は、1つ又はそれ以上の実施形態による、1つ又はそれ以上の抗リュウマチ薬(例えばオーラノフィン)の抗菌活性の向上のための実施例の非限定的なフロー図を示す。
【
図9】
図9は、1つ又はそれ以上の実施形態による、1つ又はそれ以上の抗リュウマチ薬(例えばオーラノフィン)の抗菌活性の向上のための実施例の非限定的なフロー図を示す。
【
図10】
図10は、本明細書で説明した1つ又はそれ以上の実施形態による、1つ又はそれ以上のポリ(グアニジニウムカーボネート)ポリマー及び抗リュウマチ薬(例えばオーラノフィン)を含むコンビネーション・セラピーによる、細菌感染の治療についての方法の実施例の非限定的なフロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の詳細な説明は、単に例示であり、実施形態又は用途又はそれら両方の制限又は実施形態の使用の制限を意図するものではない。さらに、上述の背景技術又は要約セクション又は詳細な説明において提示した如何なる明示又は暗示にも、限定する意図はない。
【0009】
1つ又はそれ以上の実施形態を、ここに図面を参照して説明するが、ここで、全体を通して同様の参照符号を、類似の要素を参照するために使用する。以下の説明においては、説明の目的のため、1つ又はそれ以上の実施形態のより完全な理解を提供するために、多数の特定の詳細を説明する。しかしながら、種々の場合において1つ又はそれ以上の実施形態がこれらの特定の詳細なく実施可能であることは、明らかである。
【0010】
新規な治療用化学組成物を商品化することに伴い、多くの課題が存在する。例えば、新規な化学組成物の商品化は、平均的に15.2億ドルのコストを要し、平均的に7から15年を要し、又は90%の失敗率を有し、又はそれらの組み合わせを要する。加えて規制的制限は、新規に導入された治療用化学組成物に対して課せられる場合がある。例えば、新規に導入された抗生物質は、細菌の間で抗生物質耐性の発達を最小化するために、処方薬又は農業用途又はそれら両方としての利用性に鑑みて規制的制限を有する場合がある。
【0011】
本明細書で説明する種々の実施形態は、本明細書で記載する1つ又はそれ以上の実施形態により、1つ又はそれ以上のポリ(グアニジニウムカーボネート)ポリマーを使用するコンビネーション・セラピーを使用する、1つ又はそれ以上の抗リュウマチ薬を抗菌剤(例えば、抗菌活性を有するもの)として再位置づけすることに関することができる。1つ又はそれ以上の実施形態は、グアニジニウム官能基で機能化した1つ又はそれ以上のポリカーボネートポリマー及び1つ又はそれ以上の抗リュウマチ薬(例えばオーラノフィン)を含む化学組成物と考えることができる。1つ又はそれ以上のポリカーボネートポリマーは、1つ又はそれ以上の抗リュウマチ薬の抗菌活性を向上させることができる。例えば、1つ又はそれ以上のポリカーボネートポリマーは、トランスロケーションメカニズム及びサイトゾル・メンバーの析出により、対象とする微生物と相互作用することができる。1つ又はそれ以上のサイトゾル・メンバーの析出は、そうでない場合には阻害されてしまうであろう、1つ又はそれ以上の抗リュウマチ薬による抗菌活性を可能とする。例えば、1つ又はそれ以上のポリカーボネートポリマーは、1つ又はそれ以上の抗リュウマチ薬が微生物内で、活性酸素種(“ROS”)の生成の増加を可能とすることができる。これによって、1つ又はそれ以上のポリカーボネートポリマーは、1つ又はそれ以上の抗リュウマチ薬の抗菌活性を向上させ、又は細菌感染を治療するための広範な範囲の抗菌剤として、1つ又はそれ以上の抗リュウマチ薬の再位置づけを可能とするか、又はそれら両方を可能とする。
【0012】
本明細書で使用するように、用語“コンビネーション・セラピー”は、疾患又は疾病又はそれら両方を治療するために複数の化学組成物を使用することを参照することができる。化学組成物は、抗リュウマチ薬又は抗生物質又はそれら両方といった医薬組成物を含むことができる。追加的に、化学組成物は、抗菌性ポリマー(例えば、機能化ポリカーボネート)といった医薬的組成物以外の組成物を含むことができる。多数の化学組成物を組み合わせて使用し、化学組成物の1つ又はそれ以上の療法的な治療を可能とするか、容易にするか、又はそれら両方を可能とする、1つ又はそれ以上の相乗的効果を達成する。加えて、コンビネーションは、種々のタイプの化学組成物を含むことができる。例えば、1つ又はそれ以上のコンビネーション・セラピーにおいて、1つ又はそれ以上の医薬的組成物は、1つ又はそれ以上の抗菌性ポリマーと組み合わせることができる。さらに、疾病を治療することは、疾病を阻害すること、疾病を根治すること、疾病を遅延すること、疾病を緩和すること、疾病による治療への抵抗性の進展を低下させることなど又はそれらの組み合わせを含むことができる。さらに、疾病(例えば感染)は、1つ又はそれ以上の微生物(例えば、グラム陰性菌といった細菌)により引き起こされることができる。
【0013】
他に言及しない限り、本明細書で説明する実験、表、チャート、図面など又はそれらの組み合わせを容易するにするために使用する材料は、以下の供給源から取得することができる。細菌アシネトバクター・バウマンニ(“A.baumannni”)、エンテロバクター・エアロゲネス(“E.aerogenes”)、エシェリッチア・コリ(“E.coli)”、シュードモナス・エルジノーサ(“P.aeruginosa”)、又はクレブシエラ・ニューモニエ(K.pneumoniae)は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(“ATCC”)から取得することができる。また、抗リュウマチ薬のオーラノフィンは、Sigma-Aldrichから取得することができる。
【0014】
図1は、1つ又はそれ以上の実施形態による、1つ又はそれ以上の細菌(例えば、1つ又はそれ以上の抗生物質耐性細菌又はグラム陰性菌又はそれら両方)に対して指向される、1つ又はそれ以上のコンビネーション・セラピーにおける、1つ又はそれ以上の抗リュウマチ薬との組み合わせで使用することができる、1つ又はそれ以上のポリ(グアニジニウムカーボネート)ポリマーを特徴付けるための実施例で非限定的な化学構造100を示す図である。用いられる同様の要素について、本明細書で説明する他の実施形態における反復記載は、簡略化の目的のため省略する。
【0015】
図1に示す化学構造100は、本明細書で記載する1つ又はそれ以上の実施形態に従い、1つ又はそれ以上の抗リュウマチ薬と組み合わせて使用することができる、1つ又はそれ以上のグアニジウム機能化ポリカーボネートポリマーを特徴づけることができる。
図1に示すように、化学構造100は、1つ又はそれ以上の官能基を含むことができる。例えば、
図1の“R
1”は、第1の官能基を示すことができる。第1の官能基は、例えば、1つ又はそれ以上の:ビオチン基、糖基、アルキル基、又はアリール基又はこれらの組み合わせを含むことができる。例えば1つ又はそれ以上の第1の官能基(例えば“R
1”で表される。)は、これらに限定されることはないが、カルボキシル基、カルボニル基、エステル基、エーテル基、ケトン基、アミン基、ホスフィン基、尿酸基、カーボネート基、アルケニル基、水酸基、又はこれらなどの組み合わせを含むことができる。追加的に、
図1に示す“R
2”は、第2の官能基を示すことができる。第2の官能基は、例えば、1つ又はそれ以上のアルキル基又はアリール基又はそれら両方を含む。例えば、1つ又はそれ以上の第2の官能基(例えば、“R
2”で表される。)は、これらに限定されることはないが、カルボキシル基、カルボニル基、エステル基、エーテル基、ケトン基、アミン基、ホスフィン基、尿酸基、カーボネート基、アルケニル基、水酸基など、又はこれらの組み合わせを含むことができる。さらに、
図1の“X”は、1つ又はそれ以上のスペーサ構造を示すことができる。1つ又はそれ以上のスペーサ構造は、例えば、1つ又はそれ以上のアルキル基又はアリール基又はそれら両方を含むことができる。例えば、1つ又はそれ以上のスペーサ構造(例えば、“X”で表される。)は、これらに限定されることはないが、カルボキシル基、カルボニル基、エステル基、エーテル基、ケトン基、アミン基、ホスフィン基、尿酸基、カーボネート基、アルケニル基、水酸基など、又はこれらの組み合わせを含むことができる、最後に
図1に示す“n”は、1以上の数を示すことができる。例えば“n”は、例えば1以上、かつ1000以下(例えば20)の範囲の数を表すことができる。
図1に示すように、化学構造100で特徴付けられる1つ又はそれ以上のポリカーボネートは、1つ又はそれ上のグアニジニウム基(例えば、1つ又はそれ以上のスペーサ構造“X”を介して結合された1つ又はそれ以上のポリカーボネート)で機能化することができる。1つ又はそれ以上の実施形態において、1つ又はそれ以上のグアニジニウム基は、カチオン性(例えば、グアニジニウム基の第1アミンのプロトン化による)とすることができる。
【0016】
図2は、1つ又はそれ以上の抗リュウマチ薬と組み合わせて用いられることで、本明細書で説明する1つ又はそれ以上の実施形態における1つ又はそれ以上のコンビネーション・セラピーを容易にする非限定的な実施例の図を示す。本明細書で説明する他の実施形態において使用される同様の要素の反復的な説明は、簡略化の目的で省略する。例えば
図2は、第1の実施例のカーボネート200又は第2の実施例ポリカーボネート202又はそれら両方を示す。第1の実施例ポリカーボネート200又は第2の実施例ポリカーボネート202又はそれら両方は、化学構造100により特徴づけられることができる。また、
図2に示すように、示された“n”は、2以上、かつ1000以下の数を表す。
【0017】
図3は、1つ又はそれ以上のコンビネーション・セラピーにより実施することができる、非限定的な実施例のトランスロケーション機構300の図を示しており、ここで、化学構造100により特徴づけられる1つ又はそれ以上のポリマーは、本明細書に記載された1つ又はそれ以上の実施形態による、1つ又はそれ以上の抗リュウマチ薬との組み合わせで使用することができる。本明細書で説明する他の実施形態において使用される同様の要素の反復的な説明は、簡略化の目的で省略する。1つ又はそれ以上の実施形態においては、トランスロケーション機構300は、1つ又はそれ以上の細菌を指向することができる。例示的な細菌は、グラム陰性菌又はグラム陽性菌又はそれらの両方を含むことができる。
【0018】
1つ又はそれ以上の実施形態では、1つ又はそれ以上のポリ(グアニジニウムカーボネート)ポリマー(例えば、化学構造100により特徴づけられる)は、1つ又はそれ以上の細菌でトランスロケーション機構300を行うことができる。トランスロケーション機構300の第1のステージ302では、1つ又はそれ以上のポリ(グアニジニウムカーボネート)ポリマー(例えば、サークル又は化学構造100又はそれら両方で表される。)は、標的微生物(例えば、細菌)の細胞膜304に付着することができる。1つ又はそれ以上の実施形態では、1つ又はそれ以上のポリ(グアニジニウムカーボネート)ポリマーは、細胞膜304に対して静電的に付着することができる。例えば、ポリ(グアニジニウムカーボネート)ポリマーの1つ又はそれ以上のグアニジニウム基は、カチオン性であるか、又は細胞膜304に伴う1つ又はそれ以上の負電荷に静電的に引き付けられるか、又はそれらの両方である。
【0019】
第2のステージ306では、1つ又はそれ以上のポリ(グアニジニウムカーボネート)ポリマーは、対象の微生物の細胞膜を通過して、細菌の内部に侵入することができる。例示的に、細胞膜304(例えば、脂質二重層)は、対象の微生物の内部を対象の微生物を取り囲む環境から分離することができる。種々の実施形態では、1つ又はそれ以上のポリ(グアニジニウムカーボネート)ポリマーの1つ又はそれ以上のグアニジニウム官能基は、1つ又はそれ以上の多座配位の水素結合を、細胞膜304内の1つ又はそれ以上のリン酸基と形成することができる。1つ又はそれ以上の多座配位の水素結合は、細胞膜304の電荷を中和し、したがって、細胞膜304のトランスロケーションを誘発することができる。微生物へと侵入すると、1つ又はそれ以上のポリ(グアニジニウムカーボネート)ポリマーは、細胞膜304の内側の小葉に付着する(例えば
図3に示すように)。
【0020】
第3のステージ308では、1つ又はそれ以上のポリ(グアニジニウムカーボネート)ポリマーは、微生物のサイトプラズマ内に分散された内部の小葉から解放される。ステージ310では、1つ又はそれ以上のポリ(グアニジニウムカーボネート)ポリマーは、1つ又はそれ以上のタンパク、酵素又は遺伝子(例えば微生物の1つ又はそれ以上のDNAセグメント312内に配置された)又はそれらの組み合わせを析出させることができる。例示的に、1つ又はそれ以上のポリ(グアニジニウムカーボネート)ポリマーは、1つ又はそれ以上のサイトゾル・タンパク、酵素、微生物の遺伝子又はそれらの組み合わせと相互作用することができるか、又はサイトゾル・メンバーを析出することができるか、又はこれらの組み合わせることができる。
【0021】
1つ又はそれ以上の実施形態では、1つ又はそれ以上の抗リュウマチ薬は、標的細胞内のチオレドキシン・リダクターゼを阻害することにより、関節リュウマチを治療することができる。チオレドキシン・リダクターゼは、ROSの細胞間レベルを維持することができる。したがって、チオレドキシン・リダクターゼの阻害は、高いレベルのROS及び細胞アポトーシスの結果を生じさせることができる。例示的に抗リュウマチ薬、(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-1-チオ-β-D-グルコピラノサト)-κS1)(トリエチルホスホラニリデン)ゴールド(2,3,4,6-Tetra-O-acetyl-1-thio-β-D-glucopyranosato-κS1)(triethylphosphoranylidene)gold)(“オーラノフィン”)は、標的細胞内のROS生成を増加させることにより機能する。しかしながら、いくつかの微生物(例えばグラム陰性菌)は、抗リュウマチ薬の機能を阻害することができる1つ又はそれ以上のサイトゾル・メンバーを含むことができる(例えば、それによってROS生成の増大及び細胞アポトーシスを回避する)。
【0022】
種々の実施形態において、1つ又はそれ以上の抗リュウマチ薬の機能を阻害することが可能な、1つ又はそれ以上のサイトゾル・メンバー(例えば、タンパク、酵素、又は遺伝子、又はそれらの組み合わせ)は、トランスロケーション機構300の間に、1つ又はそれ以上のポリ(グアニジニウムカーボネート)ポリマーにより結合又は析出又はそれら両方の標的とすることができる。これによって、化学構造100により特徴づけられる、1つ又はそれ以上のポリ(グアニジニウムカーボネート)ポリマーは、標的微生物の1つ以上のサイトゾル・タンパク、酵素、又は遺伝子又はそれらの組み合わせに結合するか又は析出させるか、又はそれら両方によって、1つ又はそれ以上の抗リュウマチ薬(例えばオーラノフィン)の抗菌活性を向上することができる。例えば、グラム陰性菌に対するオーラノフィンの抗菌活性は、化学構造100で特徴づけられる1つ又はそれ以上のポリ(グアニジニウムカーボネート)ポリマーを含むコンビネーション・セラピーにより、向上することができ、ここで、そうでなければオーラノフィンの機能を阻害することになるサイトゾル・メンバーは、トランスロケーション機構300を通して、1つ又はそれ以上のポリ(グアニジニウムカーボネート)ポリマーにより析出させることができる。
【0023】
図4は、本明細書で説明する1つ又はそれ以上の実施形態による、1つ又はそれ以上のポリ(グアニジニウムカーボネート)ポリマーを使用するコンビネーション・セラピーから得られるオーラノフィンの向上した抗菌活性を例示することができる非制限的な実施例のバー・グラフ400の図を示す。本明細書で説明する他の実施形態において使用される同様の要素の反復的な説明は、簡略化の目的で省略する。バー・グラフ400は、A.baumanni細胞内で生成されるROSを測定したものであり、A.baumanni細胞は、オーラノフィン、コリスチン、第1の実施例のポリカーボネート200の最小阻害濃度(“MIC”)又はこれらの組み合わせで処理された、
【0024】
バー・グラフ400を得るために、A.baumanniのミリリットル(mL)当たり107コロニー生成ユニット(“CFU”)を、オーラノフィン、コリスチン、第1の実施例のポリカーボネート200又はこれらの組み合わせで処理した。CellRoxグリーン蛍光プローブを、細胞の酸化ストレスを測定するために使用した。例えば、細胞透過性染料は、ROSによる酸化に際して蛍光を発生することができる。これにより、細胞内でのより高い量のROS生成は、より強い蛍光強度及びより高い細胞アポトーシスを示す。
【0025】
“未処理”のバーは、オーラノフィン、コリスチン、第1の実施例のポリカーボネート200又はこれらの組み合わせで処理しない、A.baumanni細胞内でのROS生成を表すことができる。“オーラノフィン(MIC)”のバーは、15.6マイクログラム・パー・mL(μg/mL)のオーラノフィンで処理したA.baumanni細胞内でのROS生成を表すことができる。“オーラノフィン”のバーは、MICの半分のオーラノフィン(例えば、オーラノフィン、7.8μg/mL)で処理したA.baumanni細胞内でのROS生成を表すことができる。“コリスチン”のバーは、MICの半分のコリスチン(例えば、コリスチン、0.5μg/mL)で処理したA.baumanni細胞内でのROS生成を表すことができる。“pEt_20”のバーは、第1の実施例のポリカーボネート200のMICの半量(例えば第1の実施例のポリカーボネート200、15.6μg/mL)で処理した、A.baumanni細胞内でのROS生成を表すことができる。“第1の組み合わせ”のバーは、7.8μg/mLのオーラノフィン及び7.8μg/mLの第1の実施例のポリカーボネート200で処理したA.baumanni細胞内でのROS生成を表すことができる。“第2の組み合わせ”のバーは、7.8μg/mLのオーラノフィン及び0.5μg/mLのコリスチンで処理したA.baumanni細胞内でのROS生成を表すことができる。
【0026】
図4に示すように、抗リューマチ薬、オーラノフィンの抗菌活性は、化学構造100で特徴づけられる1つ又はそれ以上のポリ(グアニジニウムカーボネート)ポリマー(例えば第1の実施例ポリカーボネート200)を使用する、コンビネーション・セラピーを通して大きく向上することができる。加えて、
図4は、オーラノフィン及び1つ又はそれ以上のポリ(グアニジニウムカーボネート)ポリマーを含むコンビネーション・セラピーは、ポリ(グアニジニウムカーボネート)ポリマー単独使用よりもいっそう高い抗菌活性を有することができることを示す。さらに
図4は、オーラノフィン及び1つ又はそれ以上のポリ(グリニジニウムカーボネート)ポリマーを含むコンビネーション・セラピーは、強力な抗菌剤であるコリスチン(例えば、単独又はコンビネーション・セラピーの両方で)の使用よりも一層高い抗菌活性を有することを示す。
【0027】
図5A-B又は
図6A-B又はそれら両方は、本明細書の記載の1つ又はそれ以上の実施形態による、種々の細菌感染の治療における、1つ又はそれ以上の抗リュウマチ薬及びポリ(グアニジニウムカーボネート)ポリマーを含むコンビネーション・セラピーの有効性をさらに示すことができる、非限定的な実施例のグラフの図を示す。本明細書で説明する他の実施形態において使用される同様の要素の反復的な説明は、簡略化の目的で省略する。
【0028】
図5Aは、オーラノフィン及び第1の実施例ポリカーボネート200を含む例示的なコンビネーション・セラピーを使用する、A.baunanniの治療に関しており、ここで、コンビネーション・セラピーのMICは、0.13μg/mLに等しい。
図5Bは、オーラノフィン及び第1の実施例ポリカーボネート200を含む例示的なコンビネーション・セラピーを使用する、E.aerogenesの治療に関しており、コンビネーション・セラピーのMICは、0.13μg/mLに等しい。
図6Aは、オーラノフィン及び第1の実施例ポリカーボネート200を含む例示的なコンビネーション・セラピーを使用する、E.coliの治療に関しており、コンビネーション・セラピーのMICは、3.90μg/mLに等しい。
図6Bは、オーラノフィン及び第1の実施例ポリカーボネート200を含む例示的なコンビネーション・セラピーを使用する、K.pneumoniaeの治療に関しており、コンビネーション・セラピーのMICは、7.80μg/mLに等しい。
【0029】
図5A-B又は
図6A-B又はそれら両方は、本明細書に記載するコンビネーション・セラピーが細菌(例えば、グラム陰性菌)に対して、そうでなければ抗リュウマチ薬(例えばオーラノフィン)又はポリ(グアニジニウムカーボネート)ポリマー単独により示されるよりも高い抗菌活性を示すことができることを示す。例えば、オーラノフィンは典型的には、グラム陰性菌に対して僅か又は全く抗菌活性を示さないが、本明細書で説明した1つ又はそれ以上のコンビネーション・セラピーは、オーラノフィンの抗菌活性を向上させて、オーラノフィンの抗菌機能(例えば、標的細胞内でのROS生成の増大)を、グラム陰性菌の治療(例えば阻害)において有効にすることができる。例えば、本明細書で説明した1つ又はそれ以上のポリ(グアニジニウムカーボネート)ポリマーにより示されたトランスロケーション機構300は、オーラノフィンが示すチオレドキシン・リダクターゼ阻害と共に相乗的な効果を有することができ、これにより、本明細書で説明した1つ又はそれ以上の種々のポリ(グアニジニウムカーボネート)ポリマーを使用するコンビネーション・セラピーを介したオーラノフィンの抗菌活性が向上される。
【0030】
図7は、本明細書に記載された1つ又はそれ以上の実施形態による、1つ又はそれ以上のポリ(グアニジニウムカーボネート)ポリマー及び抗リューマチ薬を含む1つ又はそれ以上のコンビネーション・セラピーの関する非元的な実施例の方法700のフロー図を示す。本明細書で説明する他の実施形態において使用される同様の要素の反復的な説明は、簡略化の目的で省略する。
【0031】
702で、方法700は、コンビネーション・セラピーによる1つ又はそれ以上の抗リュウマチ薬の抗菌活性を向上させることを含み、ここでコンビネーション・セラピーは、1つ又はそれ以上の抗リュウマチ薬及び1つ又はそれ以上のグアニジニウム官能基で機能化された1つ又はそれ以上のポリカーボネートポリマーを含むことができる。例えば、1つ又はそれ以上の抗菌剤は、オーラノフィンとすることができ、又は1つ又はそれ以上のポリカーボネートポリマーは、化学構造100(例えば第1の実施例のポリカーボネート200又は第2の実施例のポリカーボネート202又はそれらの両方)により特徴づけることができ、又はそれら両方である。種々の実施形態においては、抗菌活性は、グラム陰性菌といった1つ又はそれ以上の細菌感染の治療において有効な抗菌活性である。
【0032】
704で、方法700は、1つ又はそれ以上のポリカーボネートポリマーと、抗菌活性の標的とされる微生物の1つ又はそれ以上のサイトゾル・メンバーとを相互作用させることを含むことができる。例えば、1つ又はそれ以上のポリカーボネートポリマーは、トランスロケーション機構(例えば、トランスロケーション機構300)を実施して、1つ又はそれ以上のサイトゾル・メンバーに結合するか、又は析出させるか、又はその両方を生じさせることができる。実施例のサイトゾル・メンバーは、タンパク、酵素、又は遺伝子、又はそれらの組み合わせを含むことができるが、これらに限定されない。種々の実施形態において、1つ又はそれ以上のポリカーボネートポリマーによる704での相互作用は、1つ又はそれ以上の抗リュウマチ薬の抗菌活性と共に相乗的効果を有することができる。例えば、704での相互作用により標的とされる1つ又はそれ以上のサイトゾル・メンバーは、そうでなければ1つ又はそれ以上の抗リュウマチ薬の1つ又はそれ以上の抗菌機能を阻害することになるサイトゾル・メンバーとすることができ、それによって702での抗菌活性の向上を容易にする。1つ又はそれ以上の実施形態では、1つ又はそれ以上の抗リュウマチ薬は、オーラノフィンであり、コンビネーション・セラピーは、オーラノフィンがグラム陰性菌に対して抗菌活性を示すことを可能とすることができる。
【0033】
図8は、本明細書に記載された1つ又はそれ以上の実施形態による、1つ又はそれ以上のポリ(グアニジニウムカーボネート)ポリマー及び抗リュウマチ薬を含む1つ又はそれ以上のコンビネーション・セラピーに関する非限定的な実施例の方法800のフロー図を示す。本明細書で説明する他の実施形態において使用される同様の要素の反復的な説明は、簡略化の目的で省略する。
【0034】
802で、方法800は、コンビネーション・セラピーによる1つ又はそれ以上の抗リュウマチ薬の抗菌活性を向上させることを含むことができ、ここで、コンビネーション・セラピーは、1つ又はそれ以上の抗リュウマチ薬及び1つ又はそれ以上のグアニジニウム官能基で機能化された1つ又はそれ以上のポリカーボネートポリマーを含むことができる。例えば、1つ又はそれ以上の抗リュウマチ薬は、オーラノフィンとすることができ、又は1つ又はそれ以上のポリカーボネートポリマーは、化学構造100(例えば第1の実施例のポリカーボネート200又は第2の実施例のポリカーボネート202又はそれらの両方)により特徴づけることができか、又はそれらの両方である。種々の実施形態においては、抗菌活性は、グラム陰性菌といった1つ又はそれ以上の細菌感染の治療において有効な抗菌活性である。
【0035】
方法800は、804で、細胞膜304を通過して1つ又はそれ以上のポリカーボネートポリマーをトランスロケーションさせることを含む。例えば、804のトランスロケーションは、本明細書で説明したトランスロケーション機構300に従って遂行することができる。例として、細胞膜304は、1つ又はそれ以上の抗リュウマチ薬の抗菌活性に標的とされる微生物の細胞膜とすることができる。
【0036】
方法800は、806で、1つ又はそれ以上のポリカーボネートポリマーと、抗菌活性による標的とされた微生物の1つ又はそれ以上のサイトゾル・メンバーとを相互作用させることを含む。例えば、トランスロケーション804に続けて、1つ又はそれ以上のポリカーボネートポリマーは、1つ又はそれ以上のサイトゾル・メンバーを結合させるか又は析出させるか又はそれら両方を生じさせる。例示的なサイトゾル・メンバーは、これらに限定されることはなく、タンパク、酵素、又は遺伝子又はこれらの組み合わせを含むことができる。種々の実施形態においては、806での相互作用により標的とされる1つ又はそれ以上のサイトゾル・メンバーは、そうでなければ1つ又はそれ以上の抗リュウマチ薬の1つ又はそれ以上の抗菌機能を阻害することになるサイトゾル・メンバーとすることができる。
【0037】
ステップ808で、方法800は、1つ又はそれ以上の抗リュウマチ薬により微生物内でROS生成を増大することができる。例えば、1つ又はそれ以上の抗リュウマチ薬は、微生物内のチオレドキシン・リダクターゼを阻害することができる。種々の実施形態においては、808でROS生成を増大することは、少なくとも部分において、1つ又はそれ以上のポリカーボネートポリマーにより遂行される804でのトランスロケーション又は806での相互作用又はそれらの両方により可能とすることができる。したがって、1つ又はそれ以上のポリカーボネートポリマーの活性は、1つ又はそれ以上の抗リュウマチ薬の活性と相乗的効果を有し、それにより、抗菌活性を向上させることを容易にすることができる。
【0038】
図9は、本明細書に記載された1つ又はそれ以上の実施形態による、1つ又はそれ以上のポリ(グアニジニウムカーボネート)ポリマー及び抗リュウマチ薬を含むコンビネーション・セラピーに関する非限定的な実施例の方法900を示すフロー図である。本明細書で説明する他の実施形態において使用される同様の要素の反復的な説明は、簡略化の目的で省略する。
【0039】
方法900は、902で、1つ又はそれ以上の抗リュウマチ薬及び1つ又はそれ以上の、1つ又はそれ以上のグアニジウム官能基で機能化されたポリカーボネートポリマーを含むコンビネーション・セラピーを介して細菌感染を治療することを含むことができ、ここで、1つ又はそれ以上のポリカーボネートポリマーは、1つ又はそれ以上の抗リュウマチ薬の抗菌活性を向上することができる。例えば、1つ又はそれ以上の抗菌剤は、オーラノフィンとすることができ、又は1つ又はそれ以上のポリカーボネートポリマーは、化学構造100(例えば第1の実施例のポリカーボネート200又は第2の実施例のポリカーボネート202又はそれらの両方)により特徴づけることができ、又はそれら両方とすることができる。さらに、実施例の細菌は、これらに限定されないが、A.baumanni、E.coli、K.pneumoniaeなど又はこれらの組み合せを含むことができる。
【0040】
方法900は、904で、1つ又はそれ以上の抗リュウマチ薬により、微生物内でROS生成を増大することができる。例えば、1つ又はそれ以上のポリカーボネートポリマーは、1つ又はそれ以上の抗リュウマチ薬による、チオレドキシン・リダクターゼ阻害活性を可能とするか又は促進することができる。それにより、1つ又はそれ以上の抗リュウマチ薬は、向上した抗菌活性を示すことが可能となる。例えば、オーラノフィンは、グラム陰性菌に対して抗菌活性を示すことが可能となる。
【0041】
図10は、本明細書に記載された1つ又はそれ以上の実施形態による、1つ又はそれ以上のポリ(グアニジニウムカーボネート)ポリマー及び抗リュウマチ薬を含む1つ又はそれ以上のコンビネーション・セラピーに関する非限定的な実施例の方法1000のフロー図を示す。本明細書で説明する他の実施形態において使用される同様の要素の反復的な説明は、簡略化の目的で省略する。
【0042】
方法1000は、1002で、1つ又はそれ以上の抗リュウマチ薬及び1つ又はそれ以上の、1つ又はそれ以上のグアニジウム官能基で機能化されたポリカーボネートポリマーを含むコンビネーション・セラピーを介して細菌感染を治療することを含むことができ、ここで、1つ又はそれ以上のポリカーボネートポリマーは、1つ又はそれ以上の抗リュウマチ薬の抗菌活性を向上することができる。例えば、1つ又はそれ以上の抗菌剤は、オーラノフィンとすることができ、又は1つ又はそれ以上のポリカーボネートポリマーは、化学構造100(例えば第1の実施例のポリカーボネート200又は第2の実施例のポリカーボネート202又はそれらの両方)で特徴づけることができるか、又はそれらの両方である。さらに、実施例の細菌は、これらに限定されないが、A.baumanni、E.coli、K.pneumoniaeなど又はこれらの組み合せを含むことができる。
【0043】
1004で、方法1000は、細胞膜304を通過して1つ又はそれ以上のポリカーボネートポリマーをトランスロケーションさせることを含む。例えば、1004のトランスロケーションは、本明細書で説明したトランスロケーション機構300に従って遂行することができる。例として、細胞膜304は、1つ又はそれ以上の抗リュウマチ薬の抗菌活性に標的とされる微生物の細胞膜とすることができる。
【0044】
1006で、方法1000は、1つ又はそれ以上のサイトゾル・メンバーと、1つ又はそれ以上のポリカーボネートポリマーとの間の相互作用を介して、1つ又はそれ以上の微生物のサイトゾル・メンバーを析出させることを含むことができる。例えば、トランスロケーション1004に続けて、1つ又はそれ以上のポリカーボネートポリマーは、1つ又はそれ以上のサイトゾル・メンバーを結合させるか又は析出させるか又はそれら両方を生じさせる。例示的なサイトゾル・メンバーは、これらに限定されることはなく、タンパク、酵素、又は遺伝子又はこれらの組み合わせを含むことができる。種々の実施形態においては、1006での相互作用により標的とされる1つ又はそれ以上のサイトゾル・メンバーは、そうでなければ1つ又はそれ以上の抗リュウマチ薬の1つ又はそれ以上の抗菌機能を阻害することになるサイトゾル・メンバーとすることができる。
【0045】
ステップ1008で、方法1000は、1つ又はそれ以上の抗リュウマチ薬により微生物内でROS生成を増大することを含むことができる。例えば、1つ又はそれ以上の抗リュウマチ薬は、微生物内のチオレドキシン・リダクターゼを阻害することができる。種々の実施形態においては、1008でのROS生成を増大することは、少なくとも部分において1つ又はそれ以上のポリカーボネートポリマーにより遂行される、1004でのトランスロケーション又は1006での相互作用又はそれら両方により可能とすることができる。したがって、1つ又はそれ以上のポリカーボネートポリマーの活性は、1つ又はそれ以上の抗リュウマチ薬の活性と相乗的効果を有し、それにより、抗菌活性を向上させることを容易にすることができる。
【0046】
本開示にわたり、用語“又は”は、排他的な“又は”ではなく、包括的な“又は”を意味することを意図する。すなわち、他の言及がない又は文脈から明らかではない限り、“Xは、A又はBを使用する。”は、如何なる普通の包括的な交換を意味することを意図する。すなわち、XはAを使用し;Xは、Bを使用し;又はXはA及びBを使用する場合、そこから“Xは、A又はBを使用する。”が、上述した例の何れの下でも満たされる。さらに、対象とする明細書及び添付する図面において使用する冠詞“a”及び“an”は、単一形態を指すことについて他の特定がない又は文脈から明らかでない限り、一般に、“1つ又はそれ以上”を意味するものと解釈されるべきである。本明細書で使用するように、用語“実施例”又は“例示的”又はそれらの両方は、実施例、例、又は例示として提供することを意味するために使用される。疑義を避けるべく、本明細書で説明した主題は、そのような実施例により限定されない。加えて、“実施例”又は“例示的”又はそれら両方として本明細書で説明した如何なる特徴又は設計でも、他の特徴又は設計を超える好ましい又は効果的であると解釈される必要はないし、当業者に知られた等価的な例示的構造及び技術を排除することを意味するものではない。
【0047】
当然ながら、本開示を記述する目的として、コンポーネント、製品又は方法のすべての想定できる組み合わせ全部を記述することは不可能であるが、当業者は、本開示の多くのさらなる組み合わせ及び置換が可能であることを認識することができる。さらに詳細な説明、請求項、付録及び図面において使用される、“含む”、“有する”、“所有する”などは、請求項における移記的なものとして用いられる場合に“備える”が解釈されるように、用語“備える”のような仕方で包括的であることを意図する。種々の実施形態の説明は、例示目的で提示されたものであり、開示した実施形態を排他的に又は限定的とすることを意図するものではない。多くの修正及び変更は、開示された実施形態の範囲から逸脱することなく当業者において自明である。本明細書において使用される用語は、実施形態の原理、市場において見出される技術を超えた実際的な用途又は技術的改善を最良に説明するため、又は本明細書において開示された実施形態を当業者が理解することができるようにするため、選択されたものである。