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  • 特許-泥水式シールド掘進機 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】泥水式シールド掘進機
(51)【国際特許分類】
   E21D 9/13 20060101AFI20240501BHJP
【FI】
E21D9/13 B
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020181766
(22)【出願日】2020-10-29
(65)【公開番号】P2022072377
(43)【公開日】2022-05-17
【審査請求日】2023-05-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000140292
【氏名又は名称】株式会社奥村組
(74)【代理人】
【識別番号】100101971
【弁理士】
【氏名又は名称】大畑 敏朗
(72)【発明者】
【氏名】木下 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】伊東 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】津村 匡洋
(72)【発明者】
【氏名】吉川 直利
【審査官】彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】特開昭52-070544(JP,A)
【文献】特開2013-083110(JP,A)
【文献】特開2000-204986(JP,A)
【文献】特開2002-180781(JP,A)
【文献】実開昭52-087033(JP,U)
【文献】特開昭52-124732(JP,A)
【文献】特開2009-013702(JP,A)
【文献】実開昭54-075489(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 9/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カッタヘッドと隔壁との間に形成された第1のチャンバと、
前記第1のチャンバ内に泥水を送り込む送泥管と、
前記第1のチャンバ内に溜められた泥水を前記第1のチャンバに取り込まれた掘削土とともに外部に排出する排泥管と、
圧縮空気および泥水が収容されるとともに調圧配管により前記第1のチャンバと連通され、前記調圧配管を介して前記第1のチャンバとの間を泥水が往来して当該第1のチャンバ内の泥水圧の変動を緩和する第2のチャンバと、
空圧配管を介して前記第2のチャンバ内に所定圧の圧縮空気を供給する圧縮空気供給手段と、
単独で前記第2のチャンバ内の空圧を設定値に保持可能な複数台が前記第2のチャンバに設置されて常時作動しており、前記第2のチャンバ内の圧縮空気を協働して排出して当該第2のチャンバ内の空圧を設定値に保持する圧力調整手段と、
前記圧力調整手段が設置されたそれぞれの配管に設置され、当該圧力調整手段の状態または当該配管内を流れる圧縮空気の流量を検知する検知手段と、
を有し、
それぞれの前記検知手段による検知結果を比較して不具合の発生した前記圧力調整手段を発見し得るようにした、
ことを特徴とする泥水式シールド掘進機。
【請求項2】
前記空圧配管は、単独で前記圧縮空気供給手段から前記第2のチャンバ内に所定圧の圧縮空気が流通可能な能力を有する複数本が相互に並列に設けられて管路が常時開かれた状態にある、
ことを特徴とする請求項1記載の泥水式シールド掘進機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カッタチャンバ内の泥水に所定の圧力を加えることで切羽を安定させながら地山を掘削してトンネルを形成する泥水式シールド掘進機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
地盤中にトンネルを構築するシールド工法では、発進立坑内でシールド掘進機を組み立てて発進させ、地中を掘進させる。そして、到達立坑に到達したならば、到達立坑内でシールド掘進機を分解して地上に搬出する。
【0003】
また、シールド工法に用いられるシールド掘進機には、掘削土を泥土化して所定の圧力を与えることにより切羽を安定させながら地山を掘削する泥土圧シールド掘進機や、カッタチャンバ内の泥水に所定の圧力を加えることで切羽を安定させながら地山を掘削する泥水式シールド掘進機などがある。
【0004】
ここで、泥水式シールド掘進機では、泥水が送泥管からカッタチャンバ内に常時供給されており、また、カッタチャンバ内の泥水圧を圧力計で計測して管理している。そして、カッタチャンバ内の泥水圧が切羽前方の圧力(土圧および水圧)をやや上回るようにして当該切羽前方の圧力にカッタチャンバ内の泥水圧で対抗することで切羽を安定させている。そして、掘削時には、カッタチャンバ内に溜められた泥水がカッタチャンバに取り込まれた掘削土とともに排泥管から外部に排出される(掘削モード)。また、セグメント組立時など掘削を休止する際には、送泥管と排泥管とを連通するバイパス配管に設けられたバルブ(バイパス用バルブ)を開放するとともに、送泥管および排泥管のバイパス配管よりもカッタヘッド側に設けられたバルブ(送泥用バルブ・排泥用バルブ)を閉鎖して、カッタチャンバを切り離した状態で泥水を循環させる(バイパスモード)。さらに、セグメントの組み立てが完了して掘削を再開する際には、バイパス用バルブを閉鎖するとともに、送泥用バルブおよび排泥用バルブを開放する。
【0005】
カッタヘッドには、掘削した土砂をカッタチャンバ内に取り込むための隙間があり、カッタチャンバ内の泥水は切羽の地山を押さえる。カッタチャンバ内に供給される泥水には、泥分にベントナイトや高分子添加剤などが混入されており、これによって切羽面に膜(泥膜)を形成して、切羽前方の圧力に対抗している。そして、砂質土で水が抜けやすい地盤などの場合は泥水の流入量が大きくなる(逸泥状態)ので、泥水中の泥分や高分子添加剤を多くするとともに泥水の供給量を増やし、泥水の排出量を増やしてカッタチャンバ内の圧力を安定させる操作を行っている。また、粘質土で水が抜けにくい地盤などの場合は、これとは逆の操作を行っている。
【0006】
ここで、泥水式シールド掘進機での掘削においては、地盤の土質によるカッタチャンバ内の泥水圧の変動に応じて当該カッタチャンバ内に供給する泥水の濃度を調整するとともに、送泥管および排泥管の流量を調節する必要がある。しかしながら、複雑な地盤や高水圧下ではカッタチャンバ内の泥水圧が急激に変動することがあり、このような濃度調整や流量調整が間に合わない場合には、地山への悪影響が生じて崩落の可能性もある。
【0007】
また、バイパスモードから掘削モードに移行する際には、各バルブの閉鎖や開放が瞬時に行なわれるためにカッタチャンバ内の泥水圧が大きく変動し、これに伴って、切羽地山やカッタヘッド、送泥管、排泥管などに悪影響が出る可能性がある。
【0008】
そこで、特許文献1(特開2013-083110号公報)や特許文献2(特開2002-180781号公報)には、カッタチャンバとは別に、圧縮空気の弾力性を利用したチャンバを設け、カッタチャンバ内の泥水の水面の変動に対応することで泥水圧の急激な変動を緩和する技術が提案されている。
【0009】
具体的には、特許文献1に記載の技術は、第1のチャンバであるカッタチャンバの後方に第2のチャンバであるエアチャンバを設けてチャンバ全体を縦割りの2槽にした構造である。後方のエアチャンバは、下方でカッタチャンバと接続されて泥水が供給され、上方はコンプレッサに接続されて圧縮空気が供給されるようになっている。そして、カッタチャンバにかかる圧力が変動した場合、エアチャンバ内の水面が上下するが、それに伴って圧縮空気が供給もしくは排出されてカッタチャンバ内の泥水の圧力変動が緩和される。
【0010】
また、特許文献2に記載の技術は、第1のチャンバであるカッタチャンバとは離れたトンネル内に第2のチャンバである圧力調整タンクを設けた構造である。圧力調整タンクは下方がカッタチャンバと接続されて泥水が供給され、上方が圧縮空気を封入したダンパタンクと接続されて圧縮空気が供給される。そして、カッタチャンバにかかる圧力が変動した場合に圧力調整タンク内の水面が上下するが、それに伴って圧縮空気が供給もしくは排出されてカッタチャンバ内の泥水の圧力変動が緩和される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特開2013-083110号公報
【文献】特開2002-180781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
このように第1のチャンバ(カッタチャンバ)に加えて、圧縮空気と泥水とが収容されて第1のチャンバに連通した第2のチャンバ(エアチャンバ・圧力調整タンク)が設けられた泥水式シールド掘進機では、第2のチャンバ内の空圧が設定値に保持されないと、第1のチャンバ内の泥水圧の急激な変動を緩和することができなくなる。
【0013】
本発明は、上述の技術的背景からなされたものであって、第2のチャンバ内の空圧を安定して設定値に保持することができる泥水式シールド掘進機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明の泥水式シールド掘進機は、カッタヘッドと隔壁との間に形成された第1のチャンバと、前記第1のチャンバ内に泥水を送り込む送泥管と、前記第1のチャンバ内に溜められた泥水を前記第1のチャンバに取り込まれた掘削土とともに外部に排出する排泥管と、圧縮空気および泥水が収容されるとともに調圧配管により前記第1のチャンバと連通され、前記調圧配管を介して前記第1のチャンバとの間を泥水が往来して当該第1のチャンバ内の泥水圧の変動を緩和する第2のチャンバと、空圧配管を介して前記第2のチャンバ内に所定圧の圧縮空気を供給する圧縮空気供給手段と、単独で前記第2のチャンバ内の空圧を設定値に保持可能な複数台が前記第2のチャンバに設置されて常時作動しており、前記第2のチャンバ内の圧縮空気を協働して排出して当該第2のチャンバ内の空圧を設定値に保持する圧力調整手段と、前記圧力調整手段が設置されたそれぞれの配管に設置され、当該圧力調整手段の状態または当該配管内を流れる圧縮空気の流量を検知する検知手段と、を有し、それぞれの前記検知手段による検知結果を比較して不具合の発生した前記圧力調整手段を発見し得るようにした、ことを特徴とする。
【0016】
請求項2に記載の本発明の泥水式シールド掘進機は、上記請求項1記載の発明において、前記空圧配管は、単独で前記圧縮空気供給手段から前記第2のチャンバ内に所定圧の圧縮空気が流通可能な能力を有する複数本が相互に並列に設けられて管路が常時開かれた状態にある、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、圧力調整手段は、それぞれが単独で第2のチャンバ内の空圧を設定値に保持可能な容量のものが複数台設置されており、全てが常時作動している。したがって、何れかの圧力調整手段に不具合が生じても残りの圧力調整手段によって第2のチャンバ内の空圧を安定して設定値に保持することが可能になる。
【0018】
よって、第1のチャンバと第2のチャンバとの間を泥水がスムーズに往来することができ、第2のチャンバによる第1のチャンバ内の泥水圧の変動に対して良好な応答性を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施の形態における泥水式のシールド掘進機の内部を側面から見た概略図である。
図2図1のシールド掘進機における地山掘削時の泥水の流れを示す説明図である。
図3図1のシールド掘進機における地山掘削停止時の泥水の流れを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一例としての実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0021】
図1は本発明の一実施の形態である泥水式シールド掘進機の構成を側面から示す概念図である。
【0022】
図1において、本実施の形態の泥水式シールド掘進機(以下、単に「シールド掘進機」という。)1は、カッタヘッド2を切羽(掘削面)Fに押し当てて回転させることにより地山を掘削する際に、カッタヘッド2の背面のスキンプレート3内に設けられたカッタチャンバ(第1のチャンバ)4に送泥管5を通じて泥水を供給し、カッタチャンバ4内の泥水圧力を切羽Fの土圧および地下水圧に見合う圧力にして切羽Fの安定を図るとともに、カッタチャンバ4内に溜められた泥水をカッタチャンバ4内に取り込まれた掘削土とともに排泥管6によってトンネルの外部に排出しながら地山にトンネルを形成する。なお、カッタチャンバ4に送り込まれる泥水は坑外に設置された泥水プラント7に貯留されており、送泥ポンプ8により圧送される。また、泥水には、泥分にベントナイトや高分子添加剤などが混入されており、これにより切羽Fに膜(泥膜)を形成して前方の地山の隙間に泥水が流れ込むことを防いでいる。
【0023】
泥水式のシールド掘進機1は泥水の浸透による切羽Fの安定効果があるため、水圧の高い地盤での施工に適している。一方、透水性の高い地盤、巨石地盤では、地盤からの泥水の流入量が大きくなる逸泥が発生するおそれがあることから、泥水中の泥分や高分子添加剤を多くするとともに泥水の供給量を増やし、泥膜を補強してカッタチャンバ内の圧力を安定させるようにする。
【0024】
シールド掘進機1を構成するカッタヘッド2は、地山の切羽Fを掘削する正面視円形状の掘削部材であり、スキンプレート3の前面にスキンプレート3の周方向に沿って正逆方向に回転自在の状態で設置されている。
【0025】
本実施の形態において、カッタヘッド2には面板タイプが採用されており、前面(切羽Fに対向する面)には、玉石等の破砕や地山の掘削を行う複数のビットやスクレーパツース(何れも図示せず)が装着されている。また、カッタヘッド2には、当該カッタヘッド2の回転により掘削された土砂等をカッタチャンバ4内に取り込むための土砂取込口(図示せず)が形成されている。
【0026】
カッタヘッド2の後方に位置するスキンプレート3は、例えば径方向の断面が円筒状になった鋼製板により形成されている。このスキンプレート3の前面(カッタヘッド2が設置された位置)から内方に後退した位置には、当該スキンプレート3内を切羽側と機内側とに区画する隔壁9が設置されている。そして、スキンプレート3の切羽側すなわちカッタヘッド2と隔壁9との間に、第1のチャンバであるカッタチャンバ4が形成されている。
【0027】
カッタチャンバ4は、カッタヘッド2の回転により掘削された土砂等を取り込み、送泥管5を通じて供給された泥水と混合する空間(チャンバ)であり、前述のように、カッタチャンバ4内の泥水圧力を切羽Fの土圧および地下水圧に見合う圧力にして切羽Fを押さえて安定化させる。
【0028】
一方、スキンプレート3の機内には、カッタヘッド2を正逆方向に回転させるカッタ駆動部、前後に分割されて屈曲可能となったスキンプレート3(前胴プレート・後胴プレート)を相互に連結するとともにシールド掘進機1の推進方向を修正する中折れジャッキ、スキンプレート3の後方に敷設されたセグメントに反力をとってシールド掘進機1を前進させるシールドジャッキ、スキンプレート3の後端付近において複数のピースを環状に組み立ててトンネルの内周にセグメントを構築するエレクタなどが設置されている。
【0029】
さらに、スキンプレート3の機内から坑外に延びるようにして、前述の送泥管5と排泥管6とが設置されている。
【0030】
送泥管5は、カッタチャンバ4内に泥水を供給する配管であり、例えば、鋼材により形成されている。送泥管5の先端部(放泥口)は、隔壁9の正面内上部を貫通してカッタチャンバ4に達している。これにより、送泥管5を通じて圧送された泥水は、シールド掘進機1の正面内上部からカッタチャンバ4内に供給される。この送泥管5はトンネルの抗口に向かって延び、途中に配置された前述の送泥ポンプ8を介してトンネルの外部の泥水プラント7に接続されている。なお、泥水プラント7は、トンネルの外部の泥水処理装置(図示せず)に接続されている。
【0031】
排泥管6は、カッタチャンバ4内の排泥水(掘削土と泥水との混合泥水)をトンネルの外部に排出する配管であり、例えば、鋼材により形成されている。排泥管6の先端部(吸泥口)は、隔壁9の正面内下部を貫通してカッタチャンバ4に達している。これにより、カッタチャンバ4内の排泥水は、シールド掘進機1の正面内下部から排出される。排泥管6はトンネルの抗口に向かって延び、途中に配置された排泥ポンプ10を介してトンネルの外部の泥水処理装置に接続されている。
【0032】
すなわち、カッタチャンバ4内の排泥水は、排泥管6を通じてトンネルの外部の泥水処理装置に送られ、そこで土砂と泥水とに分離され比重や粘性等が調整された後、泥水プラント7に送られて再び送泥管5を通じてカッタチャンバ4へ送られる。
【0033】
図1に示すように、本実施の形態のシールド掘進機1には、カッタチャンバ4の後方に補助チャンバ(第2のチャンバ)11が設置されている。補助チャンバ11は調圧配管13によりカッタチャンバ4と連通しており、カッタチャンバ4との間を泥水が往来するようになった小型の圧力容器である。
【0034】
補助チャンバ11は調圧配管13でカッタチャンバ4と連結されているために、チャンバ内の下層は泥水層(貯留泥水)となっている。図1に示すように、本実施の形態において、調圧配管13のカッタチャンバ4側の接続位置は、隔壁9におけるカッタチャンバ4の高さ方向の中央よりも上側となっている。これは、補助チャンバ11の役目は圧力の調整であるから、泥水の濃度は機能に影響しないため、チャンバ内の泥水の濃度が薄いことが望ましいからである。すなわち、カッタチャンバ4内の泥水は底部付近が濃く、高さが高くなるにつれて薄くなっているため、調圧配管13をカッタチャンバ4の底部付近に接続すると、カッタチャンバ4内の高濃度の泥水、つまり土砂を多く含んだ泥水が補助チャンバ11に流入しやすくなり、補助チャンバ11の底部に土砂が蓄積しやすくなるので、調圧配管13との接続部が埋まるなどして望ましくない。このため、比較的低濃度の泥水が流入するようにして土砂の取り込みを抑制する必要から、調圧配管13のカッタチャンバ4側の接続位置を前述のようにしたものである。
【0035】
なお、同じく図1に示すように、前述した送泥管5のカッタチャンバ4側の接続位置は、隔壁9における調圧配管9の接続位置よりも上側の、上端に近い位置となっている。これは、カッタチャンバ4内の泥水圧は上方に行くほど低くなることから、送泥管5を泥水圧の低い位置に接続することにより、カッタチャンバ4内へ泥水がスムーズに流入できるようにするためである。
【0036】
また、図1に示すように、本実施の形態では、調圧配管13は補助チャンバ11の底部を含む位置に接続されている。これは、調圧配管13が確実に補助チャンバ11内の泥水層に面するようにするためである。但し、必ずしもこのような接続形態になってなくてもよい。
【0037】
図1に示すように、コンプレッサ16から圧縮空気の供給を受けるレシーバタンク14が設置され、このレシーバタンク14は空圧配管15を介して補助チャンバ11と常時接続されている。よって、補助チャンバ11内の上部は圧縮空気層となっている。なお、本実施の形態では、空圧配管15は圧力の調整機能は有しておらず、レシーバタンク14に貯留された圧縮空気を常時補助チャンバ11へ供給している。さらに、補助チャンバ11の上面には、圧力に応じて弁の開度を調整することでチャンバ内の空圧を設定値に保持する圧力調整バルブ(圧力調整手段)17が設置されている。
【0038】
本実施の形態では、コンプレッサ16で生成される圧縮空気は0.75MPa(MAX)であり、コンプレッサ16とレシーバタンク14との間に設置された図示しない調圧バルブにより0.31~0.35MPa程度に減圧されてレシーバタンク14内に送り込まれる。減圧された圧縮空気はレシーバタンク14から補助チャンバ11内に送り込まれ、補助チャンバ11の内部が0.3MPaになるように圧力調整バルブ17で調整されるようになっている。
【0039】
なお、圧力調整バルブ17は、空気圧によって自動的に開度が変化するものでもよく、サーボモータ等で開度をコントロールするものでもよい。但し、圧力調整バルブ17の開度は、制御のし易さの見地から10%程度にするのが望ましい。
【0040】
また、レシーバタンク14内の圧力が0.31MPaより低くなるとコンプレッサ16が稼働し、0.35MPaより高くなると停止する。そして、レシーバタンク16からは常に補助チャンバ11に圧縮空気が供給されている。その上で、補助チャンバ11の圧力調整バルブ17から常に空気を排出し続けることで、安定した気圧を保つことができる。
【0041】
なお、本実施の形態では、補助チャンバ11の容量5.0mに対し、レシーバタンク14の容量2.26mとなっている。なお、コンプレッサ16は最大出力で使用するものとし、出力の大きいものが望ましい。
【0042】
そして、このようにして補助チャンバ11の内部圧力が一定に保たれているため、カッタチャンバ4の圧力の変動に応じて調圧配管13から泥水が流入して泥水層の水面高さが変化しても、上層の圧縮空気が空気圧ダンパとして切羽圧の変動を吸収することで、カッタヘッド2の切羽Fに対する圧力を一定に保つことができることになる。
【0043】
但し、以上に示した圧力や容量などの数値は一例に過ぎず、本発明がこれらの数値に限定されるものではないことはもちろんである。
【0044】
なお、レシーバタンク14はコンプレッサ16と常時接続されているが、レシーバタンク14内の圧縮空気の圧力が一定値を超えるとコンプレッサ16が停止し、レシーバタンク14内の圧力が所定以上に上昇することが防止されている。
【0045】
また、レシーバタンク14とコンプレッサ16とで構成される圧縮空気供給手段は、シールド掘進機1の前進に追随して前進する後続台車に搭載されている。
【0046】
隔壁9には、高さ方向の中央位置に、カッタチャンバ4内の泥水圧を検知するための圧力計Pが設置されている。
【0047】
圧力計Pは、カッタチャンバ4内の泥水圧を切羽前方の圧力に対抗する圧力に管理するためのものである。切羽Fやカッタチャンバ4内の泥水圧は、水圧と同じように、上方が低く、下方に行くほど高くなる。そして、カッタチャンバ4内の圧力は、隔壁9の高さ方向の中央位置での値である圧力計Pで検知された値を全体の平均値と推定して管理している。したがって、隔壁9の高さ方向の中央は、泥水圧管理高さとなっている。但し、泥水圧管理高さは隔壁9の高さ方向の中央である必要はなく、例えば実際のカッタチャンバ4内の泥水圧分布から得られた平均値を示す高さを泥水圧管理高さとしてもよい。
【0048】
なお、圧力計Pは、隔壁9の高さ方向の中央位置の1箇所である必要はない。つまり、比較的口径が小さいシールド掘進機1の場合には、隔壁9の高さ方向の中央の左右に各1箇所設けることができる。また、比較的口径が大きいシールド掘進機1の場合には、隔壁9の高さ方向の中央の左右と中央よりも上方および下方に設けることができ、泥水圧が下方に行くほど高くなった台形の分布と仮定して高さ方向の中央での値を推定して管理することができる。
【0049】
ここで、本実施の形態において、レシーバタンク14から補助チャンバ11へ圧縮空気を供給する空圧配管15は2本(複数本)並列して設けられている。これら2本の空圧配管15は管路が常時開かれた状態にあり、レシーバタンク14から補助チャンバ11へと常に圧縮空気が流れている。また、空圧配管15は、それぞれが単独でレシーバタンク14から補助チャンバ11内へ所定圧の圧縮空気が流通可能な能力のものが用いられている。したがって、各空圧配管15は、常時においては本来の能力の半分あるいはそれ以下で機能している。
【0050】
また、補助チャンバ11内の圧縮空気の圧力を一定に保つ圧力調整バルブ17は2台(複数台)設置されている。これら2台の圧力調整バルブ17は常時作動しており、協働して補助チャンバ11内の圧縮空気を排出して当該補助チャンバ11内の空圧を設定値に保持している。また、これら圧力調整バルブ17は、それぞれが単独で補助チャンバ11内の空圧を設定値に保持可能な容量のものが用いられている。したがって、各圧力調整バルブ17は、常時においては本来の容量の半分あるいはそれ以下で機能している。
【0051】
このような2本の空圧配管15あるは2台の圧力調整バルブ17により、空圧配管15や圧力調整バルブ17の一方に不具合が生じた場合には他方が自動的に対応する(つまり、他方の空圧配管15が必要量の圧縮空気を供給する、あるいは他方の圧力調整バルブ17が必要量の圧縮空気を排出する)ようになり、その間に掘進を停止させずに修理が可能になっている。また、万が一、設計時の予想を超える空気の流通量があった場合には、2倍あるいはそれ以上まで対応することが可能になっている。さらに、空圧配管15と圧力調整バルブ17とは常時作動していることから、不具合や想定外の流通量に応じて容量が変化するだけなので、予備として休止させておいて必要時に動作させるよりも、アクシデントに対して素早く対応することができる。そして、これらのことから、補助チャンバ11内の空圧を安定して設定値に保持することが可能になる。
【0052】
なお、図1に示すように、それぞれの圧力調整バルブ17には、当該圧力調整バルブ17の開き具合(状態)を検知する開度センサ(検知手段)が設置されている。これにより、作業者は、それぞれの圧力調整バルブ17の開度センサの数値についての差発生の有無や、補助チャンバ11内の圧力が変化した際の開度の変化量を確認するだけで不具合の生じた圧力調整バルブ17を速やかに発見して修理することができる。なお、圧力調整バルブ17が設置された配管を流れる圧縮空気の流量を検知する流量計(検知手段)を設置し、流量計により不具合の発生を検知できるようにしてもよい。
【0053】
さらに、補助チャンバ11には送泥管5から分岐した供給配管12が接続されており、送泥管5を流れる泥水は、補助チャンバ11にも流入可能になっている。また、補助チャンバ11の底面から延びるようにして、排出配管18が排泥管6に接続されている。そして、送泥管5と排泥管6とは、バイパス配管19により直接(つまり、カッタチャンバ4を介することなく)接続されている。
【0054】
ここで、補助チャンバ11から延びる排出配管18を排泥管6に接続したのは、排泥管6内の流水の圧力で補助チャンバ11内に溜まった砂分を排出配管18を介して吸引することができるからである。なお、補助チャンバ11内の土砂を効率的に排出するためには、排出配管18は補助チャンバ11の底面から延びるように接続されているのがよい。
【0055】
また、図示するように、排出配管18の排泥管6との合流接続点Pmは、前述した排泥ポンプ10よりも泥水の流動方向上流側となっている。これは、合流接続点Pmを排泥ポンプ10よりも泥水の流動方向下流側にすると、排泥管6内の圧力が大きい場合に、補助チャンバ11内に対する吸引力が強すぎて補助チャンバ11内の水位が下がりすぎることが考えられるからである。但し、補助チャンバ11内の土砂の沈下量が多い場合は、合流接続点Pmを排泥ポンプ10よりも泥水の流動方向下流側にしてもよく、さらに、合流接続点Pmの上流側および下流側に排泥ポンプ10を接続して、状況に応じて選択的に稼働させるようにしてもよい。
【0056】
なお、本実施の形態において、補助チャンバ11の底面にはドレイン管21を介して排泥タンク20が接続されている。そして、補助チャンバ11内の泥水が土砂を多く含んだ場合には、ドレイン管21に設けられた第7のバルブV7を開いて補助チャンバ11内の土砂を排泥タンク20に排出するようになっている。したがって、補助チャンバ11内の泥水をドレイン管21から排出しても、泥水でトンネル内が汚染されることがない。なお、排泥タンク20内の泥水は、吸引管22を介して図示しないバキューム掃除機で負圧吸引して機外に排出される。
【0057】
このように、本実施の形態のシールド掘進機1では、補助チャンバ11からの泥水の排出経路として、排出配管18から排泥管6に排出する第1の経路、およびドレイン管21から排泥タンク20に排出する第2の経路の2経路が設けられている。これは、補助チャンバ11内の泥水を排出する必要が生じたにもかかわらず、排泥管6内の水圧が高いために第1の経路での排出ができなくなったときを想定したものである。但し、第1の経路による泥水の排出が可能な状態であっても、第2の経路で、あるいは第1の経路と第2の経路とを併用して排出してもよい。さらに、第1の経路および第2の経路の何れか一方の経路だけが設けられていてもよい。
【0058】
また、補助チャンバ11内には、図示しない水位計が設置されている。この水位計は、補助チャンバ11内の水位の増減を計測することにより、補助チャンバ11とカッタチャンバ4との間を往来する泥水の流向(泥水がどちらの方向に流れているか)を検知するためのものである。但し、水位計に代えて、調圧配管13に流向計を設置し、補助チャンバ11とカッタチャンバ4との間を往来する泥水の流向を検知するようにしてもよい。
【0059】
図示するように、送泥管5におけるバイパス配管19との分岐接続点Pb1よりもカッタチャンバ4側には第1のバルブV1が、排泥管6におけるバイパス配管19との分岐接続点Pb2よりもカッタチャンバ4側には第2のバルブV2が取り付けられている。また、バイパス配管19には第3のバルブV3が、供給配管12には第4のバルブV4が、排出配管18には第5のバルブV5が、調圧配管13には第6のバルブV6が取り付けられている。さらに、前述のように、補助チャンバ11と排泥タンク20とを連結するドレイン管21には第7のバルブV7が取り付けられている。
【0060】
これらのバルブV1~V7は何れもそれぞれの管路を開閉するためのものであり、本実施の形態においては、シールド掘進機1の作業状態(地山掘削作業中・地山掘削作業停止中)を示すデータ、カッタチャンバ4内の泥水の圧力計Pおよび濃度計による計測値、補助チャンバ11内の水位計および水量計(後述する)および圧力計Pによる計測値などが収集され、これらに基づいて図示しない制御部に制御されるモータなどのアクチュエータによって自動的に開閉操作されるようになっている。
【0061】
但し、制御部を設けることなく、オペレータがアクチュエータを介してバルブV1~V7を開閉操作するようにしてもよい。
【0062】
なお、排出配管18に取り付けられた第5のバルブV5の排泥管6側には、逆止弁(第8のバルブ)V8が設置されている。これは、排泥管6内の水圧の方が排出配管18内の水圧よりも高くなっている場合に、泥水が排泥管6から排出配管18を通って補助チャンバ11内に逆流する事態を阻止するためである。
【0063】
以上のような構成を有するシールド掘進機1における泥水の流れについて、図2および図3を用いて説明する。図2および図3において、泥水の流れる管路は太い実線で、泥水が流れたり流れなかったりする管路は太い破線で、それぞれ示している。また、図2は、泥水がカッタチャンバ4を通って(つまり、バイパス配管19を通らずに)環流するカッタチャンバ環流モードであり、図3は、泥水がバイパス配管19を通って(つまり、カッタチャンバ4を通らずに)環流するバイパス環流モードを示している。また、管路を開閉して泥水の流れを制御するバルブV1~V7は、前述のように制御部によって制御されている。
【0064】
図2において、地山掘削時には、先ず第6のバルブV6を開放する。続いて、第1のバルブV1および第2のバルブV2を開放して、第3のバルブV3を閉鎖する(カッタチャンバ環流モード)。そして、送泥管5を通じて泥水プラント7に貯留されている泥水を送泥ポンプ8によりカッタチャンバ4内に供給し、カッタチャンバ4内の泥水圧力を切羽Fの土圧および地下水圧に見合う圧力にして切羽Fの安定を図るとともに、カッタチャンバ4内に溜められた泥水をカッタチャンバ4内に取り込まれた掘削土とともに排泥管6によってトンネルの外部の泥水プラント7を介して環流させながら地山にトンネルを形成する。
【0065】
また、カッタチャンバ4内の泥水圧力の変動に応じて、調圧配管13を介してカッタチャンバ4と補助チャンバ11との間で泥水が往来して、カッタチャンバ4内の圧力変動が緩和される。
【0066】
このとき、調圧配管13のカッタチャンバ4側の接続位置が、隔壁9におけるカッタチャンバ4の高さ方向の中央よりも上側となっているので、カッタチャンバ4から補助チャンバ11へは、比較的低濃度の泥水が流入することになって土砂の取り込みが抑制される。
【0067】
なお、このように、第6のバルブが開放位置になって補助チャンバ11はカッタチャンバ4と常時接続されている。しかしながら、何らかの不測の事態が生じて補助チャンバ11内の泥水量が急激且つ極端に多くまたは少なくなったときには、補助チャンバ11によりカッタチャンバ4内の圧力変動を緩和することができなくなる。よって、その場合のみ、第6のバルブV6を閉鎖して両者の接続を解除するようになっている。
【0068】
なお、本実施の形態において、カッタチャンバ4内の逸泥状態での泥水の濃度の調整については次にようにしている。すなわち、逸泥状態かどうかは逸泥量の算定結果から判断しており、補助チャンバ11の水位変動時以外でも行われる。具体的には、1日の逸泥量(=(送泥量+掘削土量)-排泥量)が全体量の10%以上のときを逸泥状態としている。泥水濃度は比重で管理しており、標準が1.2として、逸泥状態の場合は1.25まで上げるようにしている。また、泥水の比重は最大で1.3程度とし、逸泥量が大きくない場合は標準を1.22としている。
【0069】
また、1日の逸泥量が全体量の1%以下になったら逸泥が収まったと判断し、泥水の濃度を1.2まで戻す可能性を検討する。ここで、泥水の濃度を1.2まで戻さない余地を残したのは、泥水の濃度を変更する場合には、地上の振動ふるいやシックナーバックフィルタなどについて変更するなど大掛かりな調整が必要なためであり、泥水の濃度を上げた状態で掘削することに問題がない場合は、そのまま続けることが望ましいからである。
【0070】
また、逸水とは逆に、切羽Fの水圧が高くなり、地下水がカッタチャンバ4に流入して水位が上昇する場合がある。本実施の形態において、このときの許容値はプラスマイナス3%としており、水位の上昇が3%以上の状態が丸1日続いた場合には、カッタチャンバ4の泥土圧を漸増させて切羽Fとのバランスを取る。カッタチャンバ4内の泥土圧は圧力計Pにより管理値(地盤の主働土圧と受働土圧の間)の範囲内で調整し、許容値内に戻ったら泥土圧を戻す。なお、この間は、補助チャンバ11内の空気圧も泥土圧に合わせて標準値よりも高くなるように調整する。
【0071】
前述のように、補助チャンバ11には、カッタチャンバ4への送泥管5から分岐した供給配管12が接続され、さらに、補助チャンバ11の内部の泥水量が多くなりすぎないように、排出配管18が排泥管6に接続されている。また、供給配管12には第4のバルブが、排出配管18には第5のバルブが、それぞれ設置されている。したがって、地山掘削時には、第4のバルブV4および第5のバルブV5を適宜開閉することにより、補助チャンバ11内の水量を計測する水量計(図示せず)の計測値に応じて、補助チャンバ11内の泥水量が調整される。
【0072】
これにより、カッタチャンバ4で逸泥が生じて補助チャンバ11内の泥水が調圧配管13からカッタチャンバ4に流入しても、第4のバルブV4が開いて送泥管5の泥水が供給配管12から補助チャンバ11内に供給されるので、水位が低くなりすぎて掘進が停止したり、さらに水位が低くなって補助チャンバ11の圧縮空気が調圧配管13を通ってカッタチャンバ4内に流入することがなくなる。
【0073】
次に、図3に示すように、セグメントを組み立てる場合のような地山掘削停止時には、カッタヘッド2による掘削が停止されて切羽Fの圧力が変化しないので、カッタチャンバ4内の泥水圧力をその時点の圧力で固定するため、第1のバルブV1および第2のバルブV2を閉鎖して第3のバルブV3を開放する(バイパス環流モード)。これにより、泥水はカッタチャンバ4内には供給されることがなく、送泥管5からバイパス配管19を経由して排泥管6に流れ込み、トンネルの外部で掘削土砂が除去された後、泥水プラント7を介して送泥ポンプ8により環流される。
【0074】
そして、前述のように、空圧配管15は2本並列して設けられて常時開放されており、それぞれが単独でレシーバタンク14から補助チャンバ11内へ所定圧の圧縮空気が流通可能な能力のものが用いられている。また、圧力調整バルブ17は2台設置されて常時作動しており、それぞれが単独で補助チャンバ11内の空圧を設定値に保持可能な容量のものが用いられている。
【0075】
したがって、上述したシールド掘進機1の動作時において空圧配管15や圧力調整バルブ17の一方に不具合が生じた場合には他方が自動的に対応するようになる。したがって、補助チャンバ11内の空圧を安定して設定値に保持することが可能になる。
【0076】
また、設計時の予想を超える空気の流通量があった場合には、2倍あるいはそれ以上まで対応することが可能になっている。このように、不具合や想定外の流通量に応じて容量が変化するだけなので、アクシデントに対して素早く対応することができる。
【0077】
さらに、シールド掘進機1の通常の動作時において2本の空圧配管15や2台の圧力調整バルブ17が作動しているので、補助チャンバ11内の圧力変動に対して良好な応答性を発揮することができる。
【0078】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって、開示された技術に限定されるものではない。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈されるべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲の要旨を逸脱しない限りにおけるすべての変更が含まれる。
【0079】
例えば、本実施の形態では、空圧配管15は2本並列して設けられ、圧力調整バルブ17が2台設置されているが、これらは複数であればよく、2本あるいは2台に限定されるものではない。
【0080】
また、圧力調整バルブ17が2台(複数台)設置されていれば足り、空圧配管15は1本であってもよい。これは、空圧配管15はレシーバタンク14からの圧縮空気が流れるだけなので、圧力調整バルブ17に比べて不具合等が発生しにくいからである。
【0081】
なお、空圧配管15にも圧力調整バルブ等の圧力調整手段を設けてもよい。この場合は、圧力調整手段は、空圧配管15のみに設けてもよく、空圧配管15と圧力調整バルブ17の設置された排気用の配管の双方に設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0082】
以上の説明では、本発明を泥水式のシールド掘進機に適用した場合について説明したが、カッタヘッドの形状や構造等、本発明にかかわらない点については、特に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0083】
1 シールド掘進機
2 カッタヘッド
3 スキンプレート
4 カッタチャンバ(第1のチャンバ)
5 送泥管
6 排泥管
7 泥水プラント
8 送泥ポンプ
9 隔壁
10 排泥ポンプ
11 補助チャンバ(第2のチャンバ)
12 供給配管
13 調圧配管
14 レシーバタンク
15 空圧配管
16 コンプレッサ
17 圧力調整バルブ
18 排出配管
19 バイパス配管
20 排泥タンク
21 ドレイン管
22 吸引管
F 切羽
FM 流量計
P 圧力計
Pb1,Pb2 分岐接続点
Pm 合流接続点
V1~V7 第1のバルブ~第7のバルブ
V8 逆止弁(第8のバルブ)
図1
図2
図3