(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】コイルの電流を調整するための方法、制御装置及びシステム
(51)【国際特許分類】
H01H 47/32 20060101AFI20240501BHJP
H01F 7/18 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
H01H47/32 A
H01F7/18 T
H01F7/18 V
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019129912
(22)【出願日】2019-07-12
【審査請求日】2022-07-11
(31)【優先権主張番号】201810848144.0
(32)【優先日】2018-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515163896
【氏名又は名称】シュナイデル エレクトリック インダストリーズ エスエーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】キウ,ジアン
(72)【発明者】
【氏名】ビ,バオユン
【審査官】関 信之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06317308(US,B1)
【文献】特開平08-240277(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 7/18
H01H 47/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接触器のコイルの電流を調整する方法であって、
第1の時点での前記コイルの前記電流の第1のサンプル値
であって、前記コイルと直列に結合されるスイッチの制御端に印加されるPWM信号のデューティサイクルに関連付けられた第1のサンプル値を取得するこ
と、
第2の時点での前記コイルの前記電流の第2のサンプル値を取得すること、
前記第1のサンプル値と前記第2のサンプル値との間の差分値を決定すること、
前記差分値に基づいて前記PWM信号の前記デューティサイクルを更新して、前記コイルの前記電流を調整すること、
前記コイルの電圧の電圧平均値を決定すること、
前記コイルが閉じられているときの突入電圧値を決定すること、及び
前記電圧平均値と前記突入電圧値とに基づいて前記デューティサイクルの初期値を決定すること
を含む方法。
【請求項2】
前記差分値に基づいて前記PWM信号の前記デューティサイクルを更新することは、前記差分値と実験係数との積に基づいて前記デューティサイクルを更新することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記電圧平均値と前記突入電圧値とに基づいて前記デューティサイクルの前記初期値を決定することは、前記電圧平均値と前記突入電圧値との比に基づいて前記デューティサイクルの前記初期値を決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
接触器のコイルの電流を調整する制御装置であって、
制御ユニットを含み、前記制御ユニットは、
第1の時点での前記コイルの前記電流の第1のサンプル値
であって、前記コイルと直列に結合されるスイッチの制御端に印加されるPWM信号のデューティサイクルに関連付けられた第1のサンプル値を取得するこ
と、
第2の時点での前記コイルの前記電流の第2のサンプル値を取得すること、
前記第1のサンプル値と前記第2のサンプル値との間の差分値を決定すること、
前記差分値に基づいて前記PWM信号の前記デューティサイクルを更新して、前記更新
されたデューティサイクルを得ることによって前記コイルの前記電流を調整すること、
前記コイルの電圧の電圧平均値を決定すること、
前記コイルが閉じられているときの突入電圧値を決定すること、及び
前記電圧平均値と前記突入電圧値とに基づいて前記デューティサイクルの初期値を決定すること
を行うように構成される、制御装置。
【請求項5】
前記差分値に基づいて前記PWM信号の前記デューティサイクルを更新することは、前記差分値と実験係数との積に基づいて前記デューティサイクルを更新することを含む、請求項4に記載の制御装置。
【請求項6】
前記電圧平均値と前記突入電圧値とに基づいて前記デューティサイクルの前記初期値を決定することは、前記電圧平均値と前記突入電圧値との比に基づいて前記デューティサイクルの前記初期値を決定することを含む、請求項5に記載の制御装置。
【請求項7】
PWM発生器、及び
前記PWM発生器に結合されたイネーブルモジュール
をさらに含み、前記PWM発生器は、前記更新されたデューティサイクルと前記イネーブルモジュールのイネーブル信号とに基づいて前記PWM発生器のデューティサイクルを決定するように構成される、請求項4に記載の制御装置。
【請求項8】
前記イネーブルモジュールは、アナログコンパレータであって、前記コイルの実際の電流値と、事前設定された目標電流値とを受信し、且つ前記実際の電流値と前記目標電流値とに基づいて前記イネーブル信号を出力するように構成されたアナログコンパレータをさらに含む、請求項7に記載の制御装置。
【請求項9】
前記PWM発生器は、前記実際の電流値が前記目標電流値よりも大きいことに応答して、前記更新されたデューティサイクルに基づいて前記PWM信号の前記デューティサイクルを決定するように構成される、請求項8に記載の制御装置。
【請求項10】
前記PWM発生器は、前記実際の電流値が前記目標電流値よりも小さいことに応答して、前記PWM信号の前記デューティサイクルを一定に保つように構成される、請求項8に記載の制御装置。
【請求項11】
前記アナログコンパレータに結合されたデジタル-アナログ変換器をさらに含み、前記デジタル-アナログ変換器は、
デジタル目標電流値を受信すること、
前記デジタル目標電流値をアナログ目標電流値に変換すること、及び
前記アナログ目標電流値を前記アナログコンパレータに送信すること
を行うように構成される、請求項8に記載の制御装置。
【請求項12】
前記デジタル-アナログ変換器に結合され、且つ前記デジタル目標電流値を前記デジタル-アナログ変換器に送信するように構成されたダイレクトメモリアクセサをさらに含む、請求項11に記載の制御装置。
【請求項13】
前記デジタル-アナログ変換器に結合され、且つ前記デジタル-アナログ変換器のサンプル周波数を設定するように構成されたサンプル周波数設定モジュールをさらに含む、請求項11に記載の制御装置。
【請求項14】
コイルの電流を調整するシステムであって、請求項4~13のいずれか一項に記載の制御装置を含むシステム。
【請求項15】
演算増幅器、及び
前記コイルの前記電流の大きさに基づいて前記演算増幅器の増幅率を修正するように構成されたさらなるスイッチ
をさらに含む、請求項14に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
[0001] 本開示の実施形態は、コイルの電流を調整するための方法、制御装置及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
[0002] 接触器のコイルは、一般的な電気部品であり、制御信号の電圧は、電流制限抵抗を介してコイルに直接印加される。基本的に、接触器のコイルの動作状態は、突入状態、保持状態及び開放状態に分けることができる。一般に、コイルを閉じている間に発生される突入電流は、コイルを保持するための保持電流よりも少なくとも15倍大きい。接触器は、接触器の全使用サイクル中に数百万回開閉し、そのような高頻度の突入電流は、コイルの寿命を大幅に縮める。したがって、突入電流の大きさを制御することが不可欠である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
要約
[0003] 本開示の実施形態は、コイル設計における上記及び/又は他の潜在的な問題に少なくとも部分的に対処することを意図する、コイルの電流、特にコイルの突入電流を調整するための方法、制御装置及びシステムを提供する。
【0004】
[0004] 第1の態様では、本開示の実施形態は、接触器のコイルの電流を調整する方法に関する。この方法は、第1の時点でのコイルの電流の第1のサンプル値を取得することであって、第1のサンプル値は、スイッチの制御端に印加されるPWM信号のデューティサイクルに関連付けられ、及びスイッチは、コイルと直列に結合される、取得すること、第2の時点でのコイルの電流の第2のサンプル値を取得すること、第1のサンプル値と第2のサンプル値との間の差分値を決定すること、及び差分値に基づいてPWM信号のデューティサイクルを更新して、コイルの電流を調整することを含む。
【0005】
[0005] 本開示の実施形態によれば、接触器を閉じているときに供給電力に対する突入電流の影響が制限され得、これは、コイルが焼き切れるリスクを低減してコイルの寿命を延ばす。さらに、閉鎖電流及び保持電流の閾値は、様々なコイル性能の要件に応じて厳密に定めることができる。
【0006】
[0006] いくつかの実施形態では、この方法は、コイルの電圧の電圧平均値を決定すること、コイルが閉じられているときの突入電圧値を決定すること、及び電圧平均値と突入電圧値とに基づいてデューティサイクルの初期値を決定することをさらに含む。
【0007】
[0007] いくつかの実施形態では、差分値に基づいてPWM信号のデューティサイクルを更新することは、差分値と実験係数との積に基づいてデューティサイクルを更新することを含む。
【0008】
[0008] いくつかの実施形態では、電圧平均値と突入電圧値とに基づいてデューティサイクルの初期値を決定することは、電圧平均値と突入電圧値との比に基づいてデューティサイクルの初期値を決定することを含む。
【0009】
[0009] 第2の態様では、本発明の実施形態は、接触器のコイルの電流を調整するための制御装置であって、制御ユニットを含み、制御ユニットは、第1の時点でのコイルの電流の第1のサンプル値を取得することであって、第1のサンプル値は、スイッチに印加されるPWM信号のデューティサイクルに関連付けられ、及びスイッチは、コイルと直列に結合される、取得すること、第2の時点でのコイルの電流の第2のサンプル値を取得すること、第1のサンプル値と第2のサンプル値との間の差分値を決定すること、及び差分値に基づいてPWM信号のデューティサイクルを更新して、更新されたデューティサイクルを得ることによってコイルの電流を調整することを行うように構成される、制御装置に関する。
【0010】
[0010] いくつかの実施形態では、制御ユニットは、コイルの電圧の電圧平均値を決定すること、コイルが閉じられているときの突入電圧値を決定すること、及び電圧平均値と突入電圧値とに基づいてデューティサイクルの初期値を決定することを行うようにさらに構成される。
【0011】
[0011] いくつかの実施形態では、差分値に基づいてPWM信号のデューティサイクルを更新することは、差分値と実験係数との積に基づいてデューティサイクルを更新することを含む。
【0012】
[0012] いくつかの実施形態では、電圧平均値と突入電圧値とに基づいてデューティサイクルの初期値を決定することは、電圧平均値と突入電圧値との比に基づいてデューティサイクルの初期値を決定することを含む。
【0013】
[0013] いくつかの実施形態では、制御装置は、PWM発生器、及びPWM発生器に結合されたイネーブルモジュールをさらに含み、PWM発生器は、更新されたデューティサイクルとイネーブルモジュールのイネーブル信号とに基づいてPWM発生器のデューティサイクルを決定するように構成される。
【0014】
[0014] いくつかの実施形態では、イネーブルモジュールは、アナログコンパレータであって、コイルの実際の電流値と、事前設定された目標電流値とを受信し、且つ実際の電流値と目標電流値とに基づいてイネーブル信号を出力するように構成されたアナログコンパレータをさらに含む。
【0015】
[0015] いくつかの実施形態では、PWM発生器は、実際の電流値が目標電流値よりも大きいことに応答して、更新されたデューティサイクルに基づいてPWM信号のデューティサイクルを決定するように構成される。
【0016】
[0016] いくつかの実施形態では、PWM発生器は、実際の電流値が目標電流値よりも小さいことに応答して、PWM信号のデューティサイクルを一定に保つように構成される。
【0017】
[0017] いくつかの実施形態では、制御装置は、アナログコンパレータに結合されたデジタル-アナログ変換器をさらに含み、デジタル-アナログ変換器は、デジタル目標電流値を受信すること、デジタル目標電流値をアナログ目標電流値に変換すること、及びアナログ目標電流値をアナログコンパレータに送信することを行うように構成される。
【0018】
[0018] いくつかの実施形態では、制御装置は、デジタル-アナログ変換器に結合され、且つデジタル目標電流値をデジタル-アナログ変換器に送信するように構成されたダイレクトメモリアクセサをさらに含む。
【0019】
[0019] いくつかの実施形態では、制御装置は、デジタル-アナログ変換器に結合され、且つデジタル-アナログ変換器のサンプル周波数を設定するように構成されたサンプル周波数設定モジュールをさらに含む。
【0020】
[0020] 第3の態様では、本開示の実施形態は、コイルの電流を調整するためのシステムであって、第2の態様による制御装置を含むシステムに関する。
【0021】
[0021] いくつかの実施形態では、このシステムは、演算増幅器、及びコイルの電流の大きさに基づいて演算増幅器の増幅率を修正するように構成されたさらなるスイッチをさらに含む。
【0022】
図面の簡単な説明
[0022] 添付図面を参照する以下の詳細な説明により、本開示の実施形態の上記及び他の目的、特徴及び利点がより明らかになるであろう。図面では、本開示の複数の実施形態が例示的及び非限定的に説明されている。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】[0023]本開示による回路システムフレームワークの概略図を示す。
【
図2】[0024]本開示の実施形態によるコイルの電流を調整する方法のフローチャートを示す。
【
図3】[0025]本開示の実施形態による制御装置の構成の概略図を示す。
【
図4】[0026]本開示の実施形態による増幅率選択回路の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
実施形態の詳細な説明
[0027] ここで、図面に示す様々な例示的実施形態を参照して本開示の原理を説明する。それらの実施形態の記載は、当業者が本開示をより良く理解し、さらに実施することを可能にするためのものにすぎず、本明細書において開示する範囲を限定することを決して意図していないことを理解すべきである。可能な場合、同様又は同一の参照符号が図中で使用され得、同様又は同一の参照符号が同様又は同一の機能を表すことに留意すべきである。当業者は、本明細書に記載の本発明の原理から逸脱することなく、本明細書で説明する構造及び方法の代替実施形態が採用され得ることを以下の記載から容易に理解するであろう。
【0025】
[0028] 本開示の実施形態の記載では、「含む」という用語及びその活用変化は、「含むが、限定されない」を意味する非限定の用語として読まれるべきである。「基づく」という用語は、「少なくとも部分的に基づく」として読まれるべきである。「一実施形態」及び「この実施形態」という用語は、「少なくとも1つの実施形態」として読まれるべきである。「第1」、「第2」などの用語は、同一又は異なる対象物を表し得る。以下の本文は、明示的又は暗示的に述べられる他の定義も含むことができる。
【0026】
[0029] 上述したように、基本的に、接触器のコイルの使用サイクルは、突入状態、保持状態及び開放状態に分けられる。コイルを閉じているとき、発生される突入電流は、他の状態で発生される突入電流よりもはるかに高い。したがって、接触器の寿命を延ばすために突入電流の大きさを制御すべきである。
【0027】
[0030] ここで、
図1~
図2を参照して、本開示によるいくつかの例示的実施形態を述べる。
【0028】
[0031]
図1は、本開示による回路システムフレームワークの概略図を示す。
図1において、制御装置は、MOSスイッチ102に関する制御信号を提供して、MOSスイッチ102のオンとオフとを制御し、接触器のコイル101の電流、特に接触器を閉じているときの突入電流をさらに制御する。電流の制御は、主に測定フィードバック制御の原理に基づく。
【0029】
[0032] 図示されるように、
図1のフレームワークは、電圧入力104に結合されたフライバック電源105及び抵抗器106も含む。フライバック電源105は、電力網から誘導される電圧入力104からの電圧を受信し、次いで制御装置103に電力を供給することができる。
【0030】
[0033] 次に、
図2を参照する。
図2は、本開示の実施形態によるコイルの電流を調整する方法のフローチャートを示す。この方法は、マイクロコントローラなどの実行デバイス上で行うことができる。本発明は、マイクロコントローラ自体のリソースを用いて所定の機能を実現する。
【0031】
[0034] ブロック202では、第1の時点でのコイルの電流の第1のサンプル値が取得され、この第1のサンプル値は、コイルに印加されるPWM信号のデューティサイクルに関連付けられる。時系列に従ったコイルの電流のサンプル値を得ることができ、これらのサンプル値のn番目のサンプルの電流の値Inが第1のサンプル値としての役割を果たす。サンプル値が、コイルに印加されるPWM信号のデューティサイクルに関係付けられることで、回路中の電流の大きさを制御することができる。
【0032】
[0035] ブロック204では、第2の時点でのコイルの電流の第2のサンプル値が取得される。n-1番目のサンプル電流での値In-1が、時系列に従った電流のサンプル値から第2のサンプル値として取得される。
【0033】
[0036] ブロック206では、第1のサンプル値と第2のサンプル値との間の差分値が決定される。差分値eは、n番目のサンプルでの電流値Inからn-1番目のサンプルでの電流値In-1を差し引くことによって得られる。
【0034】
[0037] ブロック208では、差分値に基づいてPWM信号のデューティサイクルが更新されて、コイルの電流が調整される。ブロック206で決定された差分値により、更新されたPWM信号のデューティサイクルを得ることができる。例えば、更新されたデューティサイクルをPWM発生器によって受信することができ、このPWM発生器によってコイルの電流が調整される。
【0035】
[0038] 上記のステップによるPWM発生器のデューティサイクルの更新により、コイルに印加される電流を調整することができる。このようにして、突入電流を一定の範囲内で制御して、コイルに対する突入電流の影響を低減し、それによりコイルの寿命を延ばすことができる。
【0036】
[0039] いくつかの実施形態では、この方法は、PWM信号のデューティサイクルの初期値を決定するステップをさらに含み得る。この初期値は、複数の方法を使用して得ることができる。
【0037】
[0040] いくつかの実施形態では、コイルの電圧の電圧平均値Urmsを決定することができる。次いで、接触器を閉じている時点での突入電圧値U突入が取得される。デューティサイクルの初期値は、電圧平均値Urmsと突入電圧値U突入とに基づいて決定することができる。
【0038】
[0041] いくつかの実施形態では、電圧平均値Urmsと突入電圧値U突入とのデータセットは、マイクロコントローラに結合されたADC外部デバイスを用いて得ることができ、これらのデータセットがマイクロコントローラに提供される。
【0039】
[0042] いくつかの実施形態では、デューティサイクルは、第1のサンプル値と第2のサンプル値との間の差分値と、実験係数との積に基づいて決定することができる。例えば、いくつかの実施形態では、A=A’+k(In-In-1)であり、式中、A’は、n-1番目のサンプルでの電流に対応するデューティサイクルを示し、kは、実験係数であり、Aは、n番目のサンプルでの電流に対応する更新されたデューティサイクルを表す。このデューティサイクルは、様々な接触器に応じて異なる計算法で更新し得ることを理解されたい。具体的な計算法は、本開示の実施形態に限定されない。
【0040】
[0043] いくつかの実施形態では、デューティサイクルの初期値Aは、電圧平均値Urmsと、実験係数を掛け合わせた突入電圧値U突入との比に基づいて決定され得る。いくつかの実施形態では、A=Urms/(U突入×0.9)であり、式中、0.9は、実験係数である。実験係数は、異なる接触器に応じて他の値に設定することができる。具体的な値は、本開示の実施形態に限定されない。
【0041】
[0044] いくつかの実施形態では、プログラムの実行時間が所定の時間よりも短いことに応答して、第1のサンプル値及び第2のサンプル値を得るステップが再始動する。所定の時間は、突入電流のタイムアウト期間によって決定され得る。例えば、この所定の時間は、70ミリ秒であり得る。
【0042】
[0045] いくつかの実施形態では、プログラムの実行時間が所定の時間よりも長いことに応答して、プログラムの動作が終了する。
【0043】
[0046] 第2の態様では、本開示の実施形態は、上記方法を実施するための制御装置にさらに関する。
図3を参照して、この制御装置を以下に述べる。
図3は、本開示の実施形態による制御装置103の構成の概略図を示す。
【0044】
[0047] いくつかの実施形態では、制御装置103は、PWM発生器304、及びPWM発生器に結合されたイネーブルモジュール311を含み得る。PWM発生器304は、イネーブルモジュール311のイネーブル信号に基づいて上記方法から得られるデューティサイクルを使用して、PWM発生器のデューティサイクルを決定する。
【0045】
[0048] いくつかの実施形態では、イネーブルモジュール311は、PWM発生器304に結合されたアナログコンパレータ305を含み得る。アナログコンパレータ305は、コイル101の実際の電流値306及び目標電流値307を受信し、且つこれらの2つの電流値に基づいてイネーブル信号を出力することができ、ここで、目標電流値307は、ユーザが想定するコイル101の突入電流の最大値である。
【0046】
[0049] いくつかの実施形態では、
図3に示すように、実際の電流値306が目標電流値307よりも大きいことに応答して、イネーブル信号は、1であり得る。上記方法に従って更新されたデューティサイクルに基づいて、PWM発生器304内のクロックモジュールのデューティサイクルが決定されて、コイルの電流が更新される。一方、更新されたコイル電流は、コイルの電流が所定の想定値で保たれるまで、連続的な自己補正のためにコイル電流信号を再度フィードバックする。そのような機能は、マイクロコントローラの初期化中に設定が行われる限り、CPUリソースを占有することなく完全にハードウェア自体によって完了することができる。
【0047】
[0050] いくつかの実施形態では、
図3に示すように、実際の電流値306が目標電流値307よりも小さいことに応答して、イネーブル信号は、0であり得、PWM発生器304のクロックモジュールのデューティサイクルは、現在の電流値で維持される。
【0048】
[0051] いくつかの実施形態では、制御装置103は、アナログコンパレータ305に結合されたデジタル-アナログ変換器(DAC)308をさらに含み得る。デジタル-アナログ変換器308は、目標電流値307をアナログコンパレータ305に送信するように構成される。
【0049】
[0052] いくつかの実施形態では、制御装置103は、デジタル-アナログ変換器に結合されたダイレクトメモリアクセサ309をさらに含み得る。ダイレクトメモリアクセサ309は、目標電流値307をデジタル-アナログ変換器308に送信するように構成される。
【0050】
[0053] いくつかの実施形態では、制御装置は、サンプル周波数設定モジュール310をさらに含み得、サンプル周波数設定モジュール310は、デジタル-アナログ変換器308に結合され、且つDACサンプル周波数を設定するように構成される。
【0051】
[0054] 第3の態様では、本開示の実施形態は、上記制御装置を含むシステムに関する。
【0052】
[0055] いくつかの実施形態では、このシステムは、制御装置103に結合された増幅率選択回路を含み得る。
【0053】
[0056]
図4を参照して、増幅率選択回路400を以下に述べる。
図4は、本開示の実施形態による増幅率選択回路400の概略図を示す。
【0054】
[0057]
図4に示すように、増幅率選択回路400は、演算増幅器402を含む。制御装置103は、コイル101の電流をリアルタイムでさらに検出することができ、コイル101のリアルタイム電流が所定の電流閾値よりも高いことに応答して、現在の電流が突入電流であると判定するか、又はコイル101の実時間電流が電流閾値よりも低いことに応答して、現在の電流が保持電流であると判定する。制御装置103は、この判定結果に従ってMOSスイッチ401のオンとオフとを制御する。増幅率選択回路400は、それに結合された複数の抵抗器403~406を含む。この回路内の抵抗値は、MOSスイッチ401のオン又はオフに応答して変化して、演算増幅器402に適切な増幅率をさらに選択し、それによりサンプリング前に適切に電流を調節する。
【0055】
[0058] このようにして、突入電流などの大きい電流と、保持電流などの小さい電流との両方を正確に測定して、正確な電流測定値を制御装置に提供することができる。
【0056】
[0059] 本開示の実施形態による、接触器のコイルの電流を調整する方法は、ハードウェア回路の構造を修正せずに突入電流を制御することができ、これは、接触器の長い寿命をさらに確実にする。
【0057】
[0060]本出願の請求項は、特徴の特定の組合せに関して作成されているが、保護を求める任意の請求項において、本開示の範囲は、特徴が同一の解決策に関係するかどうかにかかわらず、明示的又は暗示的に要約した任意の新規の特徴又はそれらの特徴の新規の組合せも含むことを理解されたい。
【符号の説明】
【0058】
101 コイル
102 MOSスイッチ
103 制御装置
104 電圧入力
105 フライバック電源
106 抵抗器
304 PWM発生器
305 アナログコンパレータ
306 実際の電流値
307 目標電流値
308 デジタル-アナログ変換器
309 ダイレクトメモリアクセサ
310 サンプル周波数設定モジュール
311 イネーブルモジュール
401 MOSスイッチ
402 演算増幅器
403 抵抗器
404 抵抗器
405 抵抗器
406 抵抗器