(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】プラスチックボトル
(51)【国際特許分類】
B65D 1/02 20060101AFI20240501BHJP
【FI】
B65D1/02 221
(21)【出願番号】P 2019236493
(22)【出願日】2019-12-26
【審査請求日】2022-10-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000253503
【氏名又は名称】キリンホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132207
【氏名又は名称】太田 昌孝
(72)【発明者】
【氏名】山口 陽平
(72)【発明者】
【氏名】浅倉 貴史
(72)【発明者】
【氏名】永谷 明子
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-153383(JP,A)
【文献】特開2018-108829(JP,A)
【文献】特開2011-116427(JP,A)
【文献】特開2009-214895(JP,A)
【文献】特開2011-105323(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
口部、前記口部に連続する肩部、前記肩部に連続する胴部、及び前記胴部に連続する底部を備えるプラスチックボトルであって、
前記胴部の周方向に沿った断面形状が、角を丸めた四角形状であり、
前記胴部の最大周長L
MAXと、前記プラスチックボトルの質量Mと、前記プラスチックボトルの満注容量C
MAXとが、下記式(1)及び下記式(2)に示す関係を有し、
前記胴部の前記断面形状における前記角の曲率半径が30mm以上であり、
前記胴部の長手方向の最大径が103~106mmであり、前記胴部の短手方向の最大径が89~91mmであ
り、
前記プラスチックボトルの前記満注容量C
MAX
が、2040~2070mLであることを特徴とするプラスチックボトル。
L
MAX/C
MAX≦0.162(mm/mL) ・・・(1)
C
MAX/M≧52(mL/g) ・・・(2)
【請求項2】
口部、前記口部に連続する肩部、前記肩部に連続する胴部、及び前記胴部に連続する底部を備えるプラスチックボトルであって、
前記胴部の周方向に沿った断面形状が、角を丸めた四角形状であり、
前記胴部の最大周長L
MAX
と、前記プラスチックボトルの質量Mと、前記プラスチックボトルの満注容量C
MAX
とが、下記式(1)及び下記式(2)に示す関係を有し、
前記胴部の前記断面形状における前記角の曲率半径が30mm以上であり、
前記胴部の長手方向の最大径が103~106mmであり、前記胴部の短手方向の最大径が89~91mmであり、
前記プラスチックボトルの前記質量Mが、40g以下であることを特徴とするプラスチックボトル。
L
MAX
/C
MAX
≦0.162(mm/mL) ・・・(1)
C
MAX
/M≧52(mL/g) ・・・(2)
【請求項3】
前記胴部の前記断面形状における前記角の曲率半径が30~36.5mmであることを特徴とする請求項1
又は2に記載のプラスチックボトル。
【請求項4】
前記胴部には、複数のリブが設けられていることを特徴とする請求項1~
3のいずれかに記載のプラスチックボトル。
【請求項5】
前記胴部は、前記肩部に連続する上胴部と、前記底部に連続する下胴部と、前記上胴部及び前記下胴部の間に位置し、前記上胴部及び前記下胴部よりも胴径の小さいくびれ部とを含み、
前記上胴部及び前記下胴部のそれぞれに、前記複数のリブが設けられており、
前記上胴部に設けられている前記複数のリブの形状と、前記下胴部に設けられている前記複数のリブの形状とが、互いに異なることを特徴とする請求項
4に記載のプラスチックボトル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料等の包装容器等として用いられるプラスチックボトルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コスト低減、省資源化等を目的として、飲料等の包装容器等として用いられるプラスチックボトルの軽量化が求められている。プラスチックボトルを軽量化するために、プラスチックボトルの肉厚、特に胴部の肉厚を薄くする方向での開発が進められているが、プラスチックボトルの肉厚を薄くすると剛性、強度が低下してしまう。
【0003】
一般に、このようなプラスチックボトルは、飲料が充填された後、段ボール製等の包装箱に梱包されて輸送されるが、保管時や輸送時に当該包装箱は複数段に積み重ねられる。このとき、包装箱内のプラスチックボトルには、その積重方向(プラスチックボトルの鉛直方向)の荷重が加わるが、プラスチックボトルの肉厚が薄く、剛性が低いことで、積重方向の荷重によりプラスチックボトルが座屈してしまうという問題がある。特に、プラスチックボトルの胴部にくびれ部が設けられることがあるが、くびれ部を有することで座屈強度がより低下してしまうため、積重方向の荷重により座屈してしまうという問題が顕著に現われる。
【0004】
このような問題を解決すべく、従来、プラスチックボトルの胴部などに複数のリブを設けた合成樹脂製ブローボトル(プラスチックボトル)が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1のように、合成樹脂製ブローボトル(プラスチックボトル)の胴部などに複数のリブを設けることで、当該ボトルの座屈強度を向上させている。このように複数のリブを工夫して設けることで、プラスチックボトルの座屈強度を向上させ、かつプラスチックボトルの軽量化を図ることができるものの、さらなる軽量化及び座屈強度の向上が求められている。
【0007】
一方で、内容量を2Lとするプラスチックボトルにおいては、冷蔵庫の扉の内側に設けられている収納棚(ドアポケット)に収納可能なサイズであることが求められる。そのため、プラスチックボトルの座屈強度を維持又は向上させつつ、さらなる軽量化に向けて開発をする中で、プラスチックボトルの高さや、胴部の径及び周長などのボトル寸法に制約がある。すなわち、プラスチックボトルのボトル寸法を大きく変更することができない。
【0008】
上記課題に鑑みて、本発明は、内容量を2Lとするプラスチックボトルであって、ボトル寸法を大きく変更することなく軽量化を図ることができ、かつ十分な強度を有するプラスチックボトルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、口部、前記口部に連続する肩部、前記肩部に連続する胴部、及び前記胴部に連続する底部を備えるプラスチックボトルであって、前記胴部の周方向に沿った断面形状が、角を丸めた四角形状であり、前記胴部の最大周長LMAXと、前記プラスチックボトルの質量Mと、前記プラスチックボトルの満注容量CMAXとが、下記式(1)及び下記式(2)に示す関係を有し、前記胴部の前記断面形状における前記角の曲率半径が30mm以上であり、前記胴部の長手方向の最大径が103~106mmであり、前記胴部の短手方向の最大径が89~91mmであり、前記プラスチックボトルの前記満注容量C
MAX
が、2040~2070mLであることを特徴とするプラスチックボトルを提供する。
LMAX/CMAX≦0.162(mm/mL) ・・・(1)
CMAX/M≧52(mL/g) ・・・(2)
前記胴部の前記断面形状における前記角の曲率半径が30~36.5mmであればよい。
【0010】
本発明は、口部、前記口部に連続する肩部、前記肩部に連続する胴部、及び前記胴部に連続する底部を備えるプラスチックボトルであって、前記胴部の周方向に沿った断面形状が、角を丸めた四角形状であり、前記胴部の最大周長L
MAX
と、前記プラスチックボトルの質量Mと、前記プラスチックボトルの満注容量C
MAX
とが、下記式(1)及び下記式(2)に示す関係を有し、前記胴部の前記断面形状における前記角の曲率半径が30mm以上であり、前記胴部の長手方向の最大径が103~106mmであり、前記胴部の短手方向の最大径が89~91mmであり、前記プラスチックボトルの前記質量Mが、40g以下であることを特徴とするプラスチックボトルを提供する。
L
MAX
/C
MAX
≦0.162(mm/mL) ・・・(1)
C
MAX
/M≧52(mL/g) ・・・(2)
【0011】
前記胴部には、複数のリブが設けられているのが好ましい。前記胴部は、前記肩部に連続する上胴部と、前記底部に連続する下胴部と、前記上胴部及び前記下胴部の間に位置し、前記上胴部及び前記下胴部よりも胴径の小さいくびれ部とを含み、前記上胴部及び前記下胴部のそれぞれに、前記複数のリブが設けられており、前記上胴部に設けられている前記複数のリブの形状と、前記下胴部に設けられている前記複数のリブの形状とが、互いに異なるのが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、内容量を2Lとするプラスチックボトルであって、ボトル寸法を大きく変更することなく軽量化を図ることができ、かつ十分な強度を有するプラスチックボトルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係るプラスチックボトルの概略構成を示す正面図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態に係るプラスチックボトルの胴部の概略構成を示す、
図1におけるA-A線切断端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係るプラスチックボトルの概略構成を示す正面図であり、
図2は、本実施形態に係るプラスチックボトルの胴部の概略構成を示す、
図1におけるA-A線切断端面図である。
【0015】
本実施形態に係るプラスチックボトル1は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリトリメチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリレート樹脂等の樹脂材料を用い、ブロー成形によって製造され得るものである。プラスチックボトル1は、ミネラルウォーター、緑茶、紅茶等の無炭酸飲料を内容物とする包装容器であって、その内容量Cは、例えば2000mLであり、満注容量CMAXは、例えば2040~2070mLの範囲内である。
【0016】
プラスチックボトル1は、内容物である無炭酸飲料の注ぎ口及び/又は飲み口として機能する口部2と、口部2に連続する肩部3と、肩部3の下端に連続する胴部4と、胴部4の下端に連続する底部5とを備える。
【0017】
口部2は、略円筒状であり、口部2の開口端側の側面には、キャップ(図示せず)を取り付けるためのねじ山21が形成されている。これにより、プラスチックボトル1に飲料を充填した後に、口部2にキャップを取り付けることで、プラスチックボトル1を密封することができる。
【0018】
胴部4は、肩部3の下端に連続する上胴部41と、上胴部41の下端に連続し、上胴部41よりも縮径されているくびれ部42と、くびれ部42に連続し、くびれ部42よりも拡径されている下胴部43とを含む。
【0019】
上胴部41、くびれ部42及び下胴部43の肉厚は、例えば0.19~0.35mmの範囲内である。上胴部41、くびれ部42及び下胴部43の肉厚が上記範囲内であったとしても、後述する条件を満たすことで、プラスチックボトル1の軽量化を図ることができるとともに、所望とする座屈強度を示すことができる。
【0020】
上胴部41、くびれ部42及び下胴部43の水平方向(底部5を水平面に設置させた状態における水平方向)に沿った断面形状は、角を丸めた四角形状であり、好ましくは、角を丸めた長方形状である。胴部4(上胴部41、くびれ部42及び下胴部43)の上記断面形状が、角を丸めた長方形状である場合において、胴部4の上記水平方向における長手方向の最大径LL4は、103~106mmの範囲内であればよく、胴部4の上記水平方向における短手方向の最大径LS4は、89~91mmの範囲内であればよい。これらの最大径LL4,LS4が上記範囲内であれば、冷蔵庫の扉の内側に設けられている収納棚(ドアポケット)に収納可能であり、後述する条件を満たすことで、プラスチックボトル1の軽量化を図ることができるとともに、所望とする座屈強度を示すことができる。
【0021】
胴部4の上記断面形状における丸められた角の曲率半径Rは、30~36.5mmの範囲内であるのが好ましく、30~33mmの範囲内であるのが特に好ましい。上記曲率半径Rを上記範囲内とすることで、プラスチックボトル1の軽量化を図り、かつ所望とする座屈強度を示すために必要な後述の条件を満たすことができる。
【0022】
上胴部41及び下胴部43は、それぞれ、プラスチックボトル1の鉛直方向VL(プラスチックボトル1の底部5を水平面に接地させたときにおける当該水平面に対する垂直方向(プラスチックボトル1の軸線方向))に亘り略同径である。
【0023】
くびれ部42は、上胴部41の下端41eと下胴部43の上端43eとの間に位置する最小径部421と、上胴部41の下端41eから最小径部421に向かうに従い漸次縮径する縮径部422と、最小径部421から下胴部の上端43eに向かうに従い漸次拡径する拡径部423とを含む。くびれ部42は、上胴部41及び下胴部43の間に位置し、それらよりも径の小さい部分として定義される。最小径部421は、胴部4の中で最小径を有する部分である。
【0024】
本実施形態において、プラスチックボトル1の軽量化を図り、かつ所望とする座屈強度を示すために、胴部4の最大周長LMAX(mm)とプラスチックボトル1の満注容量CMAX(mL)とが、下記式(1)に示す関係を有し、かつプラスチックボトル1の満注容量CMAX(mL)とプラスチックボトル1の質量M(g)とが、下記式(2)に示す関係を有する。
LMAX/CMAX≦0.162(mm/mL) ・・・(1)
CMAX/M≧52(mL/g) ・・・(2)
上記式(1)及び式(2)に示される条件を満たすことで、後述する試験例からも明らかなように、プラスチックボトル1の軽量化を図ることができ、かつ所望とする座屈強度を示すことができる。
【0025】
好ましくは、胴部4の最大周長LMAX(mm)とプラスチックボトル1の満注容量CMAX(mL)とが、下記式(3)に示す関係を有し、かつプラスチックボトル1の満注容量CMAX(mL)とプラスチックボトル1の質量M(g)とが、下記式(4)に示す関係を有する。
LMAX/CMAX≦0.160(mm/mL) ・・・(3)
CMAX/M≧60(mL/g) ・・・(4)
【0026】
プラスチックボトル1の質量Mは、特に限定されるものではないが、例えば、40g以下であるのが好ましく、28~38gの範囲であるのがより好ましい。プラスチックボトル1の質量Mが40gを超えると、従来公知のプラスチックボトルの質量と変わらず、プラスチックボトル1の軽量化によるメリット(例えば、プラスチックボトル1の作製に必要な樹脂量の低減、輸送コストの低減等)を享受することができなくなるおそれがある。なお、本実施形態に係るプラスチックボトル1の胴部4の最大周長LMAXは、例えば、325~335mm程度であればよい。
【0027】
後述する実施例からも明らかなように、本実施形態に係るプラスチックボトル1のように、胴部4の最大周長LMAX、満注容量CMAX及び質量Mが上記式(1)及び式(2)に示す関係を有することで、鉛直方向に荷重を加えたときの当該プラスチックボトル1の高さの鉛直方向における変位量(mm)に対する反力(N)の比(傾き,N/mm)は、上記式(1)及び式(2)に示す関係を有しないプラスチックボトルにおける当該比(傾き)の1.3~2.2倍程度である。したがって、本実施形態に係るプラスチックボトル1によれば、複数のプラスチックボトル1を収納した段ボール製の包装箱を複数段に積み重ねた際にも、プラスチックボトル1が積重方向の荷重により座屈してしまうのを効果的に抑制することができるということができる。
【0028】
本実施形態における上胴部41及びくびれ部42には、それぞれ、上胴部41及びくびれ部42の周方向(水平方向)に伸びる(プラスチックボトル1の鉛直方向VLに対して直交する)、複数の略線状の溝状のリブ6が設けられている。一方、下胴部43には、下胴部43の周方向(水平方向)に対して傾斜する(プラスチックボトル1の鉛直方向VLに対して傾斜する、複数の溝状のリブ7が設けられている。リブ7は、底部5に向かって凸状に湾曲する形状を有する。すなわち、上胴部41に設けられているリブ6と、下胴部43に設けられているリブ7とは、互いに異なる形状を有する。このように、上胴部41に設けられているリブ6と下胴部43に設けられているリブ7とが互いに異なる形状を有することで、上述した式(1)及び式(2)に示す条件を満たすこととの相乗効果として、プラスチックボトル1の強度(座屈強度)をより向上させることができる。
【0029】
本実施形態において、胴部4に設けられる各リブ6,7の深さや長さ等は特に限定されるものではなく、プラスチックボトル1の座屈強度等を考慮して適宜設定され得る。また、リブ6,7の溝角度についても同様である。なお、リブ6,7は、径方向内側に向かう凹形状であってもよいし、径方向外側に向かう凸形状であってもよい。
【0030】
上述した構成を有する本実施形態に係るプラスチックボトル1においては、上記式(1)及び式(2)に示される条件を満たすことで、プラスチックボトル1の軽量化を図ることができ、かつ所望とする強度(座屈強度)を示すことができる。よって、本実施形態によれば、プラスチックボトル1を収容した包装箱を複数段に積み重ねても、プラスチックボトル1が座屈変形してしまうのを防止することができるという効果が奏される。
【0031】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0032】
上記実施形態において、上胴部41、くびれ部42及び下胴部43のそれぞれにリブ6,7が設けられているが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、例えば、上胴部41、くびれ部42及び下胴部43の少なくとも一つにリブが設けられていなくてもよい。
【実施例】
【0033】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、下記の実施例等に何ら限定されるものではない。
【0034】
[試験例1]座屈強度評価試験
ポリエチレンテレフタレート製のプラスチックボトルを準備し(Sample 1~7)、各ボトルについて、鉛直方向に加える荷重を増大させながら鉛直方向における各ボトルの高さを変位させ、鉛直方向に荷重を加えたときの反力(N)と鉛直方向における各ボトルの高さの変位量(mm)とを、座屈・容量測定器(製品名:COMBI Tester C506-Combi,AGR Top Wave社製)を用いて測定し、反力(N)に対する変位量(mm)の比(傾き,N/mm)を算出した。結果を表1に示す。なお、Sample 1~7のプラスチックボトルの内容量C(mL)、胴部の長手方向の最大径LL4(mm)、胴部の短手方向の最大径LS4(mm)、満注容量CMAX(mL)、ボトル質量M(g)及び胴部最大周長LMAX(mm)は、表1に示す通りであった。
【0035】
【0036】
表1に示すように、ボトル質量M(g)に対する満注容量CMAX(mL)の比(CMAX/M)が52mL/g以上であって、満注容量CMAX(mL)に対する最大周長LMAX(mm)の比(LMAX/CMAX)が0.162mm/mL以下であるSample 1~4のプラスチックボトルによれば、ボトル質量Mを40g以下にしつつも、変位量に対する反力を向上させることができ、プラスチックボトルの軽量化と強度の向上とを達成可能であることが確認された。
【0037】
特に、ボトル質量M(g)に対する満注容量CMAX(mL)の比(CMAX/M)が60mL/g以上であって、満注容量CMAX(mL)に対する最大周長LMAX(mm)の比(LMAX/CMAX)が0.160mm/mL以下であるSample 1のプラスチックボトルにおいては、ボトル質量MがSample 2よりも軽いにもかかわらず、変位量に対する反力が同等であり、ボトル質量Mが同等のSample 3~4、Sample 6~7よりも高い強度を示すことが確認された。
【0038】
この結果から、プラスチックボトルのボトル質量M(g)、満注容量CMAX(mL)及び最大周長LMAX(mm)が下記式(1)及び式(2)に示す関係を有することで、ボトル寸法を大きく変更することなく軽量化を図ることができ、かつ十分な強度を示すと考えられる。
LMAX/CMAX≦0.162(mm/mL) ・・・(1)
CMAX/M≧52(mL/g) ・・・(2)
【符号の説明】
【0039】
1…プラスチックボトル
2…口部
3…肩部
4…胴部
41…上胴部
42…くびれ部
43…下胴部
5…底部