(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】人力駆動車用のコンポーネント
(51)【国際特許分類】
B62J 23/00 20060101AFI20240501BHJP
B62M 6/55 20100101ALI20240501BHJP
B62M 6/45 20100101ALI20240501BHJP
【FI】
B62J23/00 F
B62M6/55
B62M6/45
(21)【出願番号】P 2019239080
(22)【出願日】2019-12-27
【審査請求日】2022-09-02
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】藤原 岳志
【審査官】宇佐美 琴
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-207361(JP,A)
【文献】実開昭60-055262(JP,U)
【文献】国際公開第2017/163797(WO,A1)
【文献】特開2005-033947(JP,A)
【文献】特開2001-071984(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62M 6/00-6/90
B62J 99/00
H02K 5/00-5/26,7/00-7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人力駆動車用のコンポーネントであって、
音源と、
前記音源が配置される配置空間を有する配置室と、
前記配置室の外周部の少なくとも一部を覆う密閉空間を有する密閉室と、を備え、
前記密閉室は、前記密閉空間を定義する第3壁部を備え、
前記第3壁部は、
第1放射率を有する第1部分と、
前記第3壁部において前記第1部分とは異なり、かつ、前記第3壁部のうちの前記密閉空間側の表面において前記密閉空間の少なくとも一部を定義するように前記第1部分に形成され、かつ、前記第1放射率よりも放射率が高い第2放射率を有する第2部分と、を含む、コンポーネント。
【請求項2】
前記配置室は、筒形状の第1壁部と、前記第1壁部の第1端部を塞ぐように形成される第2壁部と、を備える、請求項1に記載のコンポーネント。
【請求項3】
人力駆動車用のコンポーネントであって、
音源と、
前記音源が配置される配置空間を有する配置室と、
前記配置室の外周部の少なくとも一部を覆う密閉空間を有する密閉室と、を備え、
前記配置室は、筒形状の第1壁部と、前記第1壁部の第1端部を塞ぐように形成される第2壁部と、を備え、
前記密閉室は、前記密閉空間を定義する第3壁部を備え、
前記第3壁部の少なくとも一部は、前記第1壁部の少なくとも一部および前記第2壁部の少なくとも一部の少なくとも1つと、単一部材として一体に形成され、
前記密閉空間は、大気圧よりも減圧されている、コンポーネント。
【請求項4】
前記第3壁部は、
第1放射率を有する第1部分と、
前記第3壁部において前記第1部分とは異なり、かつ、前記第3壁部のうちの前記密閉空間側の表面において前記密閉空間の少なくとも一部を定義するように前記第1部分に形成され、かつ、前記第1放射率よりも放射率が高い第2放射率を有する第2部分と、を含む、請求項3に記載のコンポーネント。
【請求項5】
前記第2部分は、前記密閉空間の全体を定義するように前記第1部分に設けられる、請求項1、2、および4のいずれか一項に記載のコンポーネント。
【請求項6】
前記第2部分の色は、黒である、請求項1、2、4、および5のいずれか一項に記載のコンポーネント。
【請求項7】
前記第2部分は、金属酸化膜、または、塗料によって形成される、請求項1、2、および4から6のいずれか一項に記載のコンポーネント。
【請求項8】
前記密閉室は、前記密閉空間が、前記第1壁部の少なくとも一部を覆うように形成される、請求項2、3、および4のいずれか一項に記載のコンポーネント。
【請求項9】
前記密閉室は、前記密閉空間が、前記第2壁部の少なくとも一部を覆うように形成される、請求項2、3、4、および8のいずれか一項に記載のコンポーネント。
【請求項10】
前記密閉室は、前記密閉空間が、前記第1壁部の少なくとも一部、および、前記第2壁部の少なくとも一部を覆うように形成される、請求項2、3、および4のいずれか一項に記載のコンポーネント。
【請求項11】
前記密閉室は、前記密閉空間が、前記第1壁部の外壁部を全周にわたって覆うように形成される、請求項8または10に記載のコンポーネント。
【請求項12】
前記密閉室は、前記密閉空間が、前記第2壁部の外壁部の全体を覆うように形成される、請求項9または10に記載のコンポーネント。
【請求項13】
前記密閉空間は、大気圧よりも減圧されている、請求項1または2に記載のコンポーネント。
【請求項14】
前記密閉空間の真空度は、10
-4Pa以上である、請求項3、4、および13のいずれか一項に記載のコンポーネント。
【請求項15】
前記第3壁部の少なくとも一部は、前記第1壁部の少なくとも一部と、単一部材として一体に形成される、請求項8、10、および11のいずれか一項に記載のコンポーネント。
【請求項16】
前記第3壁部の少なくとも一部は、前記第2壁部の少なくとも一部と、単一部材として一体に形成される、請求項9、10、および12のいずれか一項に記載のコンポーネント。
【請求項17】
前記第3壁部の少なくとも一部は、前記第1壁部の少なくとも一部および前記第2壁部の少なくとも一部と、単一部材として一体に形成される、請求項2、3、4
、8から
12、15、および16のいずれか一項に記載のコンポーネント。
【請求項18】
前記密閉室は、前記配置室とは別体に形成され、前記密閉空間が前記配置室の少なくとも一部を覆う、請求項1または2に記載のコンポーネント。
【請求項19】
前記密閉室は、前記配置室とは別体に形成され、前記密閉空間が前記配置室の少なくとも一部を覆い、
前記第3壁部は、前記第1壁部および前記第2壁部とは、別部材として形成される、請求項2に記載のコンポーネント。
【請求項20】
前記音源は、モータを含む、請求項1から19のいずれか一項に記載のコンポーネント。
【請求項21】
前記モータは、前記人力駆動車に推進力を付与するように構成される、請求項20に記載のコンポーネント。
【請求項22】
前記配置室を有するハウジングを有し、
前記ハウジングに支持され、人力駆動力が入力される入力軸をさらに含む、請求項1から21のいずれか一項に記載のコンポーネント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人力駆動車用のコンポーネントに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に開示されている人力駆動車用のコンポーネントは、音源を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的の1つは、音源から発生する音の外部への伝達を低減できる人力駆動車用のコンポーネントを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1側面に従うコンポーネントは、人力駆動車用のコンポーネントであって、音源と、前記音源が配置される配置空間を有する配置室と、前記配置室の外周部の少なくとも一部を覆う密閉空間を有する密閉室と、を備える。
第1側面のコンポーネントによれば、音源とコンポーネントの外部空間との間に密閉空間が配置されるので、音源から発生する音の外部への伝達を低減できる。
【0006】
本開示の第1側面に従う第2側面のコンポーネントにおいて、前記密閉空間は、大気圧よりも減圧されている。
第2側面のコンポーネントによれば、音源から発生する音が密閉空間を伝達しにくいため、音源から発生する音の外部への伝達を低減できる。
【0007】
本開示の第2側面に従う第3側面のコンポーネントにおいて、前記密閉空間の真空度は、10-4Pa以上である。
第3側面のコンポーネントによれば、密閉空間の真空度は、10-4Pa以上であるため、音源から発生する音の外部への伝達を好適に低減できる。
【0008】
本開示の第1から第3側面のいずれか1つに従う第4側面のコンポーネントにおいて、前記配置室は、筒形状の第1壁部と、前記第1壁部の第1端部を塞ぐように形成される第2壁部と、を備え、前記密閉室は、前記密閉空間が、前記第1壁部の少なくとも一部を覆うように形成される。
第4側面のコンポーネントによれば、密閉空間が第1壁部の少なくとも一部を覆うように密閉室が形成されるため、第1壁部から外部への音の伝達を低減できる。
【0009】
本開示の第1から第4側面のいずれか1つに従う第5側面のコンポーネントにおいて、前記配置室は、筒形状の第1壁部と、前記第1壁部の第1端部を塞ぐように形成される第2壁部と、を備え、前記密閉室は、前記密閉空間が、前記第2壁部の少なくとも一部を覆うように形成される。
第5側面のコンポーネントによれば、密閉空間が第2壁部の少なくとも一部を覆うように密閉室が形成されるため、第2壁部から外部への音の伝達を低減できる。
【0010】
本開示の第1から第3側面のいずれか1つに従う第6側面のコンポーネントにおいて、前記配置室は、筒形状の第1壁部と、前記第1壁部の第1端部を塞ぐように形成される第2壁部と、を備え、前記密閉室は、前記密閉空間が、前記第1壁部の少なくとも一部、および、前記第2壁部の少なくとも一部を覆うように形成される。
第6側面のコンポーネントによれば、密閉空間が第1壁部の少なくとも一部、および、第2壁部の少なくとも一部を覆うように密閉室が形成されるため、第1壁部および第2壁部から外部への音の伝達を低減できる。
【0011】
本開示の第4または第6側面に従う第7側面のコンポーネントにおいて、前記密閉室は、前記密閉空間が、前記第1壁部の外壁部を全周にわたって覆うように形成される。
第7側面のコンポーネントによれば、密閉空間が第1壁部の全周にわたって覆うように密閉室が形成されるため、第1壁部から外部への音の伝達を低減できる。
【0012】
本開示の第5または第6側面に従う第8側面のコンポーネントにおいて、前記密閉室は、前記密閉空間が、前記第2壁部の外壁部の全体を覆うように形成される。
第8側面のコンポーネントによれば、密閉空間が第2壁部の外壁部の全体を覆うように密閉室が形成されるため、第1壁部から外部への音の伝達を低減できる。
【0013】
本開示の第4、第6、または第7側面に従う第9側面のコンポーネントにおいて、前記密閉室は、前記密閉空間を定義する第3壁部を備え、前記第3壁部の少なくとも一部は、前記第1壁部の少なくとも一部と、単一部材として一体に形成される。
第9側面のコンポーネントによれば、第1壁部の少なくとも一部と第3壁部の少なくとも一部とを一体に形成できるため、部品点数を削減できる。
【0014】
本開示の第5、第6または第8側面に従う第10側面のコンポーネントにおいて、前記密閉室は、前記密閉空間を定義する第3壁部を備え、前記第3壁部の少なくとも一部は、前記第2壁部の少なくとも一部と、単一部材として一体に形成される。
第10側面のコンポーネントによれば、第2壁部の少なくとも一部と第3壁部の少なくとも一部とを一体に形成できるため、部品点数を削減できる。
【0015】
本開示の第4から第10側面のいずれか1つに従う第11側面のコンポーネントにおいて、前記密閉室は、前記密閉空間を定義する第3壁部を備え、前記第3壁部の少なくとも一部は、前記第1壁部の少なくとも一部および前記第2壁部の少なくとも一部と、単一部材として一体に形成される。
第11側面のコンポーネントによれば、第1壁部の少なくとも一部および第2壁部の少なくとも一部と第3壁部の少なくとも一部とを一体に形成できるため、部品点数を削減できる。
【0016】
本開示の第1から第8側面のいずれか1つに従う第12側面のコンポーネントにおいて、前記密閉室は、前記配置室とは別体に形成され、前記密閉空間が前記配置室の少なくとも一部を覆う。
第12側面のコンポーネントによれば、密閉室が配置室とは別体に形成されるため、密閉室を製造しやすい。
【0017】
本開示の第4から第8側面のいずれか1つに従う第13側面のコンポーネントにおいて、前記密閉室は、前記配置室とは別体に形成され、前記密閉空間が前記配置室の少なくとも一部を覆い、前記密閉室は、前記密閉空間を定義する第3壁部を備え、前記第3壁部は、前記第1壁部および前記第2壁部とは、別部材として形成される。
第13側面のコンポーネントによれば、第3壁部が第1壁部および第2壁部とは、別部材として形成されるため、密閉室を好適に形成できる。
【0018】
本開示の第9から第11、および、第13側面のいずれか1つに従う第14側面のコンポーネントにおいて、前記第3壁部は、第1放射率を有する第1部分と、前記密閉空間の少なくとも一部を定義するように前記第1部分に設けられ、前記第1放射率よりも放射率が高い第2放射率を有する第2部分と、を含む。
第14側面のコンポーネントによれば、第2部分の第2放射率が第1部分の第1放射率よりも高いため、放熱の効率の低下を抑制できる。
【0019】
本開示の第14側面に従う第15側面のコンポーネントにおいて、前記第2部分は、前記密閉空間の全体を定義するように前記第1部分に設けられる。
第15側面のコンポーネントによれば、放熱の効率の低下をさらに抑制できる。
【0020】
本開示の第14または第15側面に従う第16側面のコンポーネントにおいて、前記第2部分の色は、実質的に黒である。
第16側面のコンポーネントによれば、第2部分の第2放射率を色によって実現できる。
【0021】
本開示の第14から第16側面のいずれか1つに従う第17側面のコンポーネントにおいて、前記第2部分は、金属酸化膜、または、塗料によって形成される。
第17側面のコンポーネントによれば、第2部分を金属酸化膜または塗料によって好適に形成できる。
【0022】
本開示の第1から第17側面のいずれか1つに従う第18側面のコンポーネントにおいて、前記音源は、モータを含む。
第18側面のコンポーネントによれば、モータから発生する音の外部への伝達を低減できる。
【0023】
本開示の第18側面に従う第19側面のコンポーネントにおいて、前記モータは、前記人力駆動車に推進力を付与するように構成される。
第19側面のコンポーネントによれば、人力駆動車に推進力を付与するように構成されるモータから発生する音の外部への伝達を低減できる。
【0024】
本開示の第1から第19側面のいずれか1つに従う第20側面のコンポーネントにおいて、前記配置室を有するハウジングを有し、前記ハウジングに支持され、人力駆動力が入力される入力軸をさらに含む。
第20側面のコンポーネントによれば、入力軸を含むコンポーネントにおいて、音源から発生する音の外部への伝達を低減できる。
【発明の効果】
【0025】
本開示の人力駆動車用のコンポーネントは、音源から発生する音の外部への伝達を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】第1実施形態の人力駆動車用のコンポーネントを含む人力駆動車の側面図。
【
図2】
図1の人力駆動車用のコンポーネントの斜視図。
【
図3】
図2のD3-D3線に沿う断面図。D3-D3線は、モータの回転軸心、減速機に含まれる回転軸の回転軸心、および、入力軸の回転軸心を通る。
【
図6】第2実施形態の人力駆動車用のコンポーネントの斜視図。
【
図7】
図6のモータの回転軸心、減速機に含まれる回転軸の回転軸心、および、入力軸の回転軸心を通る断面図。
【
図9】
図7のモータのロータおよび出力軸と、軸受と、ファンとの斜視図。
【
図13】変形例の人力駆動車用のコンポーネントの部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
<実施形態>
図1から
図5を参照して、第1実施形態の人力駆動車用のコンポーネント40について説明する。人力駆動車10は、少なくとも1つの車輪を有し、少なくとも人力駆動力によって駆動できる乗り物である。人力駆動車10は、例えばマウンテンバイク、ロードバイク、シティバイク、カーゴバイク、および、ハンドバイク、リカンベントなど種々の種類の自転車を含む。人力駆動車10が有する車輪の数は限定されない。人力駆動車10は、例えば1輪車および3輪以上の車輪を有する乗り物も含む。人力駆動車10は、人力駆動力のみによって駆動できる乗り物に限定されない。人力駆動車10は、人力駆動力だけではなく、電気モータの駆動力を推進に利用するイーバイク(E-bike)を含む。イーバイクは、電気モータによって推進が補助される電動アシスト自転車を含む。以下、実施形態において、人力駆動車10を、電動アシスト自転車として説明する。
【0028】
人力駆動車10は、人力駆動力が入力されるクランク12を備える。人力駆動車10は、車輪14と、車体16と、を、さらに備える。車輪14は、後輪14Aと、前輪14Bと、を含む。車体16は、フレーム18を含む。クランク12は、フレーム18に対して回転可能な入力軸12Aと、入力軸12Aの軸方向の端部にそれぞれ設けられる一対のクランクアーム12Bとを含む。本実施形態において、入力軸12Aは、クランク軸である。各クランクアーム12Bには、一対のペダル20がそれぞれ連結される。後輪14Aは、クランク12が回転することによって駆動される。後輪14Aは、フレーム18に支持される。クランク12と後輪14Aとは、駆動機構22によって連結される。駆動機構22は、入力軸12Aに連結される第1回転体24を含む。入力軸12Aと第1回転体24とは、一体回転するように連結されてもよく、第1ワンウェイクラッチ40Xを介して連結されていてもよい。第1ワンウェイクラッチ40Xは、クランク12が前転した場合に、第1回転体24を前転させ、クランク12が後転した場合に、クランク12と第1回転体24との相対回転を許容するように構成される。第1回転体24は、スプロケット、プーリ、または、ベベルギアを含む。駆動機構22は、第2回転体26と、連結部材28とをさらに含む。連結部材28は、第1回転体24の回転力を第2回転体26に伝達する。連結部材28は、例えば、チェーン、ベルト、または、シャフトを含む。
【0029】
第2回転体26は、後輪14Aに連結される。第2回転体26は、スプロケット、プーリ、または、ベベルギアを含む。第2回転体26と後輪14Aとの間には、好ましくは、第2ワンウェイクラッチが設けられる。第2ワンウェイクラッチは、第2回転体26が前転した場合に、後輪14Aを前転させ、第2回転体26が後転した場合に、第2回転体26と後輪14Aとの相対回転を許容するように構成される。本実施形態では、第1回転体24は、スプロケットを1枚のみ含み、第2回転体26は、複数のスプロケットを含むが、第1回転体24は複数のスプロケットを含んでいてもよく、第2回転体26は、スプロケットを1枚のみ含んでいてもよい。第1回転体24および第2回転体26の少なくとも1つが複数のスプロケットを含む場合、人力駆動車10は、複数のスプロケット間においてチェーンを移動させるディレイラをさらに含む。本実施形態では、フレーム18にリアディレイラ27が設けられる。
【0030】
フレーム18には、フロントフォーク30を介して前輪14Bが取り付けられる。フロントフォーク30には、ハンドルバー34がステム32を介して連結される。本実施形態では、後輪14Aが駆動機構22によってクランク12に連結されるが、後輪14Aおよび前輪14Bの少なくとも1つが、駆動機構22によってクランク12に連結されてもよい。
【0031】
コンポーネント40は、音源42と、音源42が配置される配置空間44Aを有する配置室44と、密閉室46と、を備える。好ましくは、音源42は、モータ48を含む。
【0032】
好ましくは、モータ48は、人力駆動車10に推進力を付与するように構成される。モータ48は、1または複数の電気モータを含む。電気モータは、例えば、ブラシレスモータである。モータ48は、第1回転体24、連結部材28および後輪14Aの少なくとも1つに回転力を伝達するように構成される。本実施形態では、モータ48は、第1回転体24に回転力を伝達するように構成される。
【0033】
好ましくは、コンポーネント40は、ハウジング50を有する。好ましくは、コンポーネント40は、ハウジング50に支持され、人力駆動力が入力される入力軸12Aをさらに含む。好ましくは、コンポーネント40は、取付部52を含む。取付部52は、ハウジング50に設けられ、ファスナによって人力駆動車10の支持部10Aに取り付けるように構成される。支持部10Aは、例えば、フレーム18に設けられる。支持部10Aは、単一部材としてフレーム18と一体に形成されていてもよく、フレーム18と別体に形成されてフレーム18に取り付けられていてもよい。支持部10Aは、フレーム18の一部であってもよい。支持部10Aは、例えば、フレーム18のダウンチューブおよびシートチューブが接続される部分に設けられる。
【0034】
ハウジング50は、例えば支持部10Aに着脱可能に取り付けられる。モータ48は、ハウジング50に設けられる。モータ48は、全体がハウジング50に収容されてもよい。本実施形態では、コンポーネント40は、人力駆動車用のドライブユニットである。モータ48およびハウジング50を含んで、人力駆動車用のドライブユニットが構成される。モータ48と入力軸12Aとの間の動力伝達経路には、好ましくは、入力軸12Aを人力駆動車10が前進する方向に回転させた場合に入力軸12Aの回転力のモータ48への伝達を抑制するように第3ワンウェイクラッチ40Yが設けられる。第1、第2および第3ワンウェイクラッチは、ローラクラッチ、爪ラチェット式クラッチ、および、スプラグ式クラッチのいずれか1つを含む。
【0035】
入力軸12Aは、ハウジング50に回転可能に支持される。入力軸12Aは、ハウジング50にベアリングを介して回転可能に支持される。入力軸12Aの軸方向の両端部は、ハウジング50に形成される第1孔50Aおよび第2孔50Bからそれぞれハウジング50の外部に突出する。コンポーネント40は、第1回転体24と接続される出力部54をさらに含む。第1回転体24は、例えば、出力部54に着脱可能に取り付けられる。本実施形態では、入力軸12Aは、第1ワンウェイクラッチ40Xを介して出力部54と接続される。入力軸12Aは、入力軸12Aの回転軸心まわりの両方向において、出力部54と一体回転するように接続されてもよい。出力部54は、例えば、実質的に円筒形状を有し、入力軸12Aと同軸に配置される。出力部54は、ハウジング50に回転可能に支持される。出力部54の外周部は、例えば、第1ベアリング51Aを介してハウジング50に支持される。入力軸12Aの軸方向の第1端部12Cは、第2ベアリング51Bを介してハウジング50に支持される。入力軸12Aの軸方向の第2端部12Dは、出力部54を介してハウジング50に間接的に支持される。好ましくは、入力軸12Aの第2端部12Dの外周部と、出力部54の内周部との間には第3ベアリング51Cが設けられる。好ましくは、入力軸12Aの軸方向において、出力部54の一端部は、ハウジング50に形成される第1孔50Aからハウジング50の外部に突出する。出力部54は、入力軸12Aとは、例えば、平行に配置されるが、同軸に配置されなくてもよい。出力部54は、外周面に第1回転体24に接続される接続部54Aを含む。接続部54Aは、1または複数のスプラインを含む。好ましくは、コンポーネント40は、モータ48の出力軸48Bに連結され、回転速度を減少させて出力する減速機56をさらに含む。減速機56は、ハウジング50に設けられる。好ましくは、減速機56は、ハウジング50に収容される。モータ48の回転力は、減速機56に伝達される。本実施形態では、減速機56の回転力は、出力部54に伝達される。減速機56の回転力は、第1回転体24を介さず、例えば、スプロケット、プーリ、または、ギアを介して、連結部材28に伝達されてもよい。減速機56の回転力は、第1回転体24および連結部材28を介さず、例えば、ローラを介して、後輪14Aに伝達されてもよい。減速機56の種類は特に限定されない。減速機56は、例えば、相互に噛み合う一対の歯車と、遊星歯車機構と、一対のスプロケットおよびチェーンと、一対のプーリおよびベルトと、の少なくとも1つを含む。減速機56は、省略されてもよい。
【0036】
ハウジング50は、第1ハウジング部58、および、第1ハウジング部58と共に収容空間SAを形成する第2ハウジング部60を含む。取付部52は、ハウジング50の外周部に設けられる。取付部52は、第1ハウジング部58および第2ハウジング部60の少なくとも1つに設けられる。本実施形態では、取付部52は、第1ハウジング部58に設けられる。取付部52は、好ましくは複数の孔52Aを含む。複数の孔52Aには、雌ねじ部が設けられていてもよく、貫通孔であってもよい。複数の孔52Aは、例えば、入力軸12Aの回転軸心C1のまわりに間隔を開けて配置される。
【0037】
第1ハウジング部58は、ハウジング50のうちの入力軸12Aの回転軸心C1と平行な方向における第1側面58Aを含む。第2ハウジング部60は、ハウジング50のうちの入力軸12Aの回転軸心と平行な方向における第2側面60Aを含む。第1ハウジング部58と第2ハウジング部60とは、例えば、結合部材によって相互に結合される。結合部材は、例えば、ボルトまたはリベットである。第1ハウジング部58および第2ハウジング部60の一方には、例えば、ボルトの軸部が挿入される貫通孔が設けられ、第1ハウジング部58および第2ハウジング部60の他方には、例えば、ボルトと係合する雌ねじ部が設けられる。第1ハウジング部58と第2ハウジング部60とは、例えば、接着剤によって相互に連結されてもよい。
【0038】
第1ハウジング部58は、第1配置部62と、第2配置部64と、を含む。第1配置部62は、入力軸12Aを支持する。第2配置部64は、モータ48を収容する。第2配置部64は、第1配置部62と別体に構成されて、第1配置部62に取り付けられる。
【0039】
好ましくは、ハウジング50は、配置室44を有する。好ましくは、配置室44の少なくとも一部は、第2配置部64によって定義される。好ましくは、配置室44は、筒形状の第1壁部66と、第1壁部66の第1端部66Aを塞ぐように形成される第2壁部68と、を備える。本実施形態では、第2配置部64は、第1壁部66と、第2壁部68と、を備える。第1壁部66は、単一部材として第2壁部68と一体に形成される。第1壁部66の内周部66Bには、モータ48の少なくとも一部が設けられる。モータ48は、ステータ48A、ロータ48D、出力軸48Bを含む。第1壁部66によって囲まれる領域には、ステータ48Aと、出力軸48Bの一部と、ロータ48Dと、が配置される。第1壁部66の内周部66Bには、ステータ48Aの外周部が固定される。ステータ48Aの径方向内側に、出力軸48Bとロータ48Dとが配置される。ロータ48Dは出力軸48Bと一体回転するように、出力軸48Bに固定される。第2壁部68には、モータ48の出力軸48Bをハウジング50に対して回転可能に支持する軸受48Cが設けられる。第2壁部68は、モータ48の出力軸48Bの軸方向に凹み、軸受48Cの外周部を支持する凹部68Aを有する。軸受48Cは、例えばボールベアリングを含む。
【0040】
密閉室46は、配置室44の外周部の少なくとも一部を覆う密閉空間46Aを有する。配置室44の外周部は、第1壁部66および第2壁部68に含まれる。好ましくは、密閉室46は、密閉空間46Aが、第1壁部66の少なくとも一部を覆うように形成される。好ましくは、密閉室46は、密閉空間46Aが、第1壁部66の外壁部66Cを全周にわたって覆うように形成される。好ましくは、密閉室46は、密閉空間46Aが、第2壁部68の少なくとも一部を覆うように形成される。好ましくは、密閉室46は、密閉空間46Aが、第2壁部68の外壁部68Bの全体を覆うように形成される。好ましくは、密閉室46は、配置室44の外壁部44Bに沿って、配置される。
【0041】
図4に示す密閉室46は、密閉空間46Aを定義する第3壁部70を備える。好ましくは、第3壁部70の少なくとも一部は、第1壁部66の少なくとも一部と、単一部材として一体に形成される。好ましくは、第3壁部70の少なくとも一部は、第2壁部68の少なくとも一部と、単一部材として一体に形成される。好ましくは、第3壁部70の少なくとも1部は、第1壁部66および第2壁部68と、単一部材として一体に形成される。
図4に示す第3壁部70は、第5部分70Aと、第6部分70Bとを含む。第5部分70Aは、第6部分70Bとは、別体に形成される。第5部分70Aは、第1壁部66および第2壁部68と、単一部材として一体に形成される。第6部分70Bは、第1壁部66および第2壁部68と、別体に形成される。第6部分70Bは、第5部分70Aの外表面との間に隙間ができるように第5部分70Aを覆う。第6部分70Bは、第5部分70Aとの間に密閉空間46Aを形成する。第6部分70Bは、好ましくは、第1壁部66の少なくとも一部を覆うように形成される。第6部分70Bは、好ましくは、第1壁部66の外壁部66Cを全周にわたって覆うように形成される。第6部分70Bは、好ましくは、第2壁部68の少なくとも一部を覆うように形成される。第6部分70Bは、好ましくは、第2壁部68の外壁部68Bの全体を覆うように形成される。第6部分70Bは、有底筒状に形成される。第6部分70Bのモータ48の出力軸48Bの軸方向における一端部70Cの一部は、第1ハウジング部58に固定される。第6部分70Bのモータの出力軸48Bの軸方向の一端部70Cの一部は、本実施形態では、第1配置部62に固定される。本実施形態では、第6部分70Bのモータ48の出力軸48Bの軸方向の一端部70Cの一部は、第1壁部66または第5部分70Aに固定される。本実施形態において、第6部分70Bのモータ48の出力軸48Bの軸方向の一端部70Cは、第1壁部66または第5部分70Aと対向する部分が、第1壁部66または第5部分70Aに固定されて、密閉空間46Aを形成する。第6部分70Bのモータ48の出力軸48Bの軸方向の一端部70Cは、第1壁部66または第5部分70Aと対向する部分は、接着剤または溶接によって、第1壁部66または第5部分70Aに固定されていてもよい。第6部分70Bのモータ48の出力軸48Bの軸方向の一端部70Cは、第1壁部66または第5部分70Aと対向する部分が、第1壁部66または第5部分70Aをシール部材を介して固定されていてもよい。シール部材は、例えば、オーリングを含む。
【0042】
好ましくは、第3壁部70は、第1部分72と、第2部分74と、を含む。第2部分74は、密閉空間46Aの少なくとも一部を定義するように第1部分72に設けられる。好ましくは、第1部分72は、第3壁部70のうち外表面よりも内部の部分を含む。好ましくは、第1部分72は、第5部分70Aのうち外表面よりも内部の部分と、第6部分70Bのうち外表面よりも内部の部分と、を含む。好ましくは、第2部分74は、密閉空間46Aの全体を定義するように第1部分72に設けられる。好ましくは、第2部分74は、第5部分70Aの外表面70Dと、第6部分70Bの内表面70Eと、を含む。第2部分74は、第2配置部64の外面を含んでいてもよい。この場合、第2部分74は、第6部分70Bの外表面70Fを含む。好ましくは、第1部分72は、第1放射率を有する。第2部分74は、第1放射率よりも放射率が高い第2放射率を有する。好ましくは、第2部分74の色は、実質的に黒である。好ましくは、第2部分74は、金属酸化膜、または、塗料によって形成される。第1部分72は、例えば、アルミニウム合金によって形成される。金属酸化膜は、例えば、アルマイトを含む。第1部分72の第1放射率と、第2部分74の第2放射率とは等しくてもよい。第1部分72の第1放射率と、第2部分74の第2放射率とが等しい場合、例えば、第1部分72および第2部分74は同色の材料を含む。第1部分72の第1放射率と、第2部分74の第2放射率とが等しい場合、好ましくは、第1部分72および第2部分74の色は実質的に黒である。
【0043】
好ましくは、密閉空間46Aは、大気圧よりも減圧されている。好ましくは、密閉空間46Aの真空度は、10-4Pa以上である。例えば、密閉空間46Aは、減圧処理を行って大気圧よりも減圧されてもよく、減圧室で製造されることによって大気圧よりも減圧されてもよい。密閉空間46Aは、実質的に大気圧であってもよい。
【0044】
密閉室46は、
図4に示す構成に代えて、
図5に示す構成としてもよい。
図5に示す密閉室46は、配置室44とは別体に形成され、密閉空間46Aが配置室44の少なくとも一部を覆う。好ましくは、密閉室46は、密閉空間46Bを定義する第3壁部76を備える。第3壁部76は、第1壁部66および第2壁部68とは、別部材として形成される。
図5では、第2配置部64は、第1壁部66および第2壁部68と、第3壁部76とが別体に形成される。第3壁部76は、第1壁部66および第2壁部68の外表面との間に隙間ができるように第1壁部66および第2壁部68を覆う。第3壁部76は、第1壁部66および第2壁部68の外表面の少なくとも一部と接触するように第1壁部66および第2壁部68を覆ってもよい。第3壁部76は、中空形状を有し、内部に密閉空間46Bを有する。第3壁部76は、好ましくは、第1壁部66の少なくとも一部を覆うように形成される。第3壁部76は、好ましくは、第1壁部66の外壁部66Cを全周にわたって覆うように形成される。第3壁部76は、好ましくは、第2壁部68の少なくとも一部を覆うように形成される。第3壁部76は、好ましくは、第2壁部68の外壁部68Bの全体を覆うように形成される。第3壁部76は、有底筒状に形成される。第3壁部76のモータ48の出力軸48Bの軸方向における一端部76Dの一部は、第1ハウジング部58に固定される。第3壁部76のモータ48の出力軸48Bの軸方向の一端部76Dの一部は、本実施形態では、第1配置部62に固定される。第3壁部76のモータ48の出力軸48Bの軸方向の一端部76Dの一部は、第1壁部66に固定されてもよく、第1壁部66の外表面および第2壁部68の外表面を覆うように第3壁部76に固定されてもよい。第3壁部76は、内壁部76Bと、外壁部76Cとを含む。内壁部76Bと、外壁部76Cとは、それぞれ有底筒状に形成される。外壁部76Cは、内壁部76Bとの間に隙間を開けて配置され、内壁部76Bを覆う。モータ48の出力軸48Bの軸方向における内壁部76Bの一端部76Eは、モータ48の出力軸48Bの軸方向における外壁部76Cの一端部76Fと接続される。内壁部76Bと、外壁部76Cとの間に、密閉空間46Bが形成される。
【0045】
好ましくは、第3壁部76は、第1部分82と、第2部分84と、を含む。第2部分84は、密閉空間46Aの少なくとも一部を定義するように第1部分82に設けられる。好ましくは、第1部分82は、第3壁部76の密閉空間46Aを定義する内表面76Aを除く部分を含む。好ましくは、第2部分84は、密閉空間46Aの全体を定義するように第1部分82に設けられる。好ましくは、第2部分84は、第2配置部64の外表面を含む。この場合、第2部分84は、第3壁部76の外表面を含む。好ましくは、第1部分82は、第1放射率を有する。第2部分84は、第1放射率よりも放射率が高い第2放射率を有する。好ましくは、第2部分84の色は、実質的に黒である。好ましくは、第2部分84は、金属酸化膜、または、塗料によって形成される。第1部分82は、例えば、アルミニウム合金によって形成される。金属酸化膜は、例えば、アルマイトを含む。第1部分82の第1放射率と、第2部分84の第2放射率とは等しくてもよい。第1部分82の第1放射率と、第2部分84の第2放射率とが等しい場合、例えば、第1部分82および第2部分84は同色の材料を含む。第1部分82の第1放射率と、第2部分84の第2放射率とが等しい場合、好ましくは、第1部分82および第2部分84の色は実質的に黒である。
【0046】
好ましくは、第1壁部66および第2壁部68の表面は、金属酸化膜、または、塗料によって形成される。好ましくは、第1壁部66および第2壁部68の表面の色は実質的に黒である。好ましくは、第2配置部64の表面の色は実質的に黒である。
【0047】
好ましくは、密閉空間46Bは、大気圧よりも減圧されている。好ましくは、密閉空間46Bの真空度は、10-4Pa以上である。例えば、密閉空間46Aは、減圧処理を行って大気圧よりも減圧されてもよく、減圧室で製造されることによって大気圧よりも減圧されてもよい。密閉空間46Bは、実質的に大気圧であってもよい。
【0048】
図5の構成において、第3壁部76と、第1壁部66および第2壁部68の外表面との間に、
図4と同様の密閉空間46Aが形成されてもよい。この場合、第3壁部76の一部は、第1壁部66および第2壁部68と一体に形成されてもよく、第3壁部76のモータ48の出力軸48Bの軸方向の一端部76Dの内周部が全周にわたって第1壁部66に固定されてもよい。
【0049】
図5の構成において、第3壁部76は、第1壁部66および第2壁部68の外表面に密着するように構成されていてもよい。この場合、第3壁部76は、例えば、第1壁部66および第2壁部68に接着材によって固定される。
【0050】
<第2実施形態>
図6から
図12を参照して、第2実施形態のコンポーネント40について説明する。第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0051】
第2実施形態のコンポーネント40は、第1配置部62と第2配置部64とが、単一部材として一体に形成される。第2実施形態のコンポーネント40は、第1配置部62と、第1壁部66、第2壁部68および第3壁部70と、が単一部材として一体に形成される。第2実施形態のコンポーネント40は、第1実施形態と同様に、第1配置部62と第2配置部64とが別体に形成されてもよい。
【0052】
好ましくは、ハウジング50は、モータ48の出力軸48Bの軸方向において、ステータ48Aおよびロータ48Dを挟んで、第2壁部68とは反対側において、配置室44を区画する第4壁部86をさらに備える。本実施形態では、第4壁部86は、第1ハウジング部58と別体に形成されて、第1ハウジング部58にボルト等によって取り付けられる。第4壁部86は、単一部材として第1ハウジング部58と一体に形成されてもよい。第4壁部86は、実質的に円盤形状に形成される。第4壁部86は、出力軸48Bが挿入される孔86Aを含む。孔86Aを定義する第4壁部86の内周部と出力軸48Bとの間には、出力軸48Bを回転可能に支持する軸受88が設けられる。第4壁部86は、外周部86Bが第2配置部64に設けられる段差部64Aと対向するように第1ハウジング部58に取り付けられる。第4壁部86のモータ48の出力軸48Bまわりの外周部86Bには、段差部64Aに向かって突出するフランジ部86Cが設けられる。フランジ部86Cによって、第4壁部86の剛性が向上する。フランジ部86Cは、モータ48の出力軸48Bまわりの全周に連続していてもよく、断続的に配置されていてもよい。
【0053】
好ましくは、コンポーネント40は、ファン90を備える。好ましくは、ファン90は、コンポーネント40に含まれる回転体に取り付けられる。例えば、ファン90は、モータ48の出力軸48Bに取り付けられる。例えば、ファン90は、モータ48の出力軸48Bに一体回転するように出力軸48Bに固定される。好ましくは、ファン90は、円環形状のベース部90Aと、ベース部90Aの外周に形成される複数の羽根部90Bとを有する。ベース部90Aは、出力軸48Bの外周部に嵌め込まれる。好ましくは、ファン90は、出力軸48Bのうちの、第4壁部86と隣り合う位置に設けられる。ファン90と、ロータ48Dとの間に、第4壁部86が配置される。ファン90は、好ましくは、モータ48が人力駆動車10に推進力を付与するように駆動されると、ロータ48Dとは反対の方向に風を送るように構成される。コンポーネント40は、モータ48を制御するように構成される制御部98を含む。制御部98は、回路基板100に設けられる。回路基板100は、プリント配線基板を含む。回路基板100は、ハウジング50内に設けられる。回路基板100は、モータ48の出力軸48Bに実質的に垂直な方向に延びるように配置される。好ましくは、回路基板100の少なくとも一部は、ファン90に対向する一に配置される。ファン90は、出力軸48Bに代えてまたは加えて、入力軸12A、出力部54、および、減速機56に含まれる回転体の少なくとも1つに設けられてもよい。
【0054】
好ましくは、モータ48のステータ48Aは、ステータコア49Aと、ステータコア49Aに巻き掛けられるコイル49Bとを含む。ステータコア49Aとコイル49Bとは、絶縁性の樹脂によってモールドされてもよい。ステータコア49Aは、第1ステータコア部92と第2ステータコア部94と、を含む。第1ステータコア部92は、実質的に円筒形状を有する。第1ステータコア部92は、例えば、円環状の複数の電磁鋼板を、電磁鋼板をステータコア49Aの軸方向に積層して形成される。第2ステータコア部94は、第1ステータコア部92の内周部に配置される。第2ステータコア部94は、ステータコア49Aの中心軸心に平行な方向から見て、半径方向の外側に向かって延び、第1ステータコア部92の内周部に接続される複数の第1部分94Aと、複数の第1部分94Aを接続する少なくとも1つの第2部分94Bと、を備える。複数の第1部分94Aは、それぞれティースを形成する。各ティースには、コイル49Bが巻き掛けられる。第1部分94Aは、例えば、複数の電磁鋼板を、電磁鋼板をステータコア49Aの軸方向に積層して形成される。第1ステータコア部92の内周部には、ステータコア49Aの軸方向に延びる複数の凹部92Cが形成される。複数の凹部92Cは、ステータコア49Aの周方向に予め定める間隔をあけて配置される。各凹部92Cには、第1部分94Aがそれぞれ連結される。
【0055】
ステータコア49Aの軸方向において、第1部分94Aの長さは、第1ステータコア部92の長さと実質的に一致する。少なくとも1つの第2部分94Bの1つは、例えば、1枚の電磁鋼板によって構成される。少なくとも1つの第2部分94Bは、複数の第1部分94Aを接続する。少なくとも1つの第2部分94Bは、円環形状を有する。好ましくは、少なくとも1つの第2部分94Bは、複数の第2部分94Bを含む。本実施形態では、少なくとも1つの第2部分94Bは、3つの第2部分94Bを含む。3つの第2部分94Bは、ステータ48Aの軸方向において、複数の第1部分94Aの第1端部94Dと、第2端部94Eと、第1端部94Dおよび第2端部94Eの間の中間部分94Fとにおいて、ステータ48Aの軸まわりに隣接する複数の第1部分94Aを接続する。少なくとも1つの第2部分94Bは、複数の第1部分94Aのそれぞれの一部と、単一部材として一体に形成されてもよい。
【0056】
好ましくは、第1ステータコア部92の外周部には、位置決め部材96を配置するための少なくとも1つの溝92Aが形成される。少なくとも1つの溝92Aは、省略されてもよい。位置決め部材96は、ステータ48Aを配置室44に配置する場合に、ステータ48Aの配置室44の第1壁部66の周方向に対する位置決めに用いられる。位置決め部材96は、溝92Aと、第1壁部66に形成される溝66Xとの間に配置される。好ましくは、少なくとも1つの溝92Aは、ステータ48Aの軸方向における第1ステータコア部92の長さよりも短い。少なくとも1つの溝92Aは、ステータ48Aの軸方向における全体にわたって形成されないため、ステータ48Aの剛性の低下を抑制できる。少なくとも1つの溝92Aは、例えば、2つの溝92Aを含む。各溝92Aは、ステータ48Aの軸方向における第1ステータコア部92の両端部のそれぞれに設けられる。好ましくは、ステータ48Aの軸方向における第1ステータコア部92の両端部のそれぞれに設けられる2つの溝92Aは、ステータ48Aの周方向において、同じ位置に配置される。好ましくは、少なくとも1つの溝92Aは、ステータ48Aの周方向において、1か所にのみ設けられる。ステータ48Aの軸方向において、溝92Aの長さは、ステータ48長さの半分以下、好ましくは、1/3以下、さらに好ましくは、1/4以下である。溝92Aは、第1部分94Aと第1ステータコア部92が接続される部分に配置される。ステータコア49Aの中心軸心に平行な方向から見て、溝92Aは、第1ステータコア部92のうちの第1部分94Aと第1ステータコア部92が接続される部分の径方向外側に設けられる。ステータコア49Aの中心軸心に平行な方向から見て、溝92Aは、第1ステータコア部92のうちの凹部92Cの径方向外側に設けられる。
【0057】
好ましくは、第1ステータコア部92の外周部には、少なくとも1つの規制部92Bが設けられる。少なくとも1つの規制部92Bは、省略されてもよい。少なくとも1つの規制部92Bは、例えば、凹部を含む。少なくとも1つの規制部92Bは、ステータ48Aが配置室44に設けられる状態において、ステータ48Aの配置室44の第1壁部66の周方向に対する回転を規制する。好ましくは、配置室44の内周部と少なくとも1つの規制部92Bとの間には、ステータコアおよびコイルをモールドする樹脂の一部が設けられる。少なくとも1つの規制部92Bは、ステータ48Aの軸方向における両端部を除く中間部に設けられる。好ましくは、少なくとも1つの規制部92Bは、複数の規制部92Bを含む。複数の規制部92Bは、第1ステータコア部92の外周部において、予め定める間隔を空けて配置される。少なくとも1つの規制部92Bは、第1部分94Aと第1ステータコア部92が接続される部分に配置される。ステータコア49Aの中心軸心に平行な方向から見て、少なくとも1つの規制部92Bは、第1部分94Aと第1ステータコア部92が接続される部分の径方向外側に設けられる。
【0058】
<変形例>
実施形態に関する説明は、本開示に従う人力駆動車用のコンポーネントが取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本開示に従う人力駆動車用のコンポーネントは、例えば以下に示される実施形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。以下の変形例において、実施形態の形態と共通する部分については、実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0059】
・密閉室46は、密閉空間46A,46Bが、第2壁部68の一部を覆うように形成されてもよい。例えば、
図13の密閉室46は、第1壁部66の全体を覆い、モータ48の出力軸48Bの径方向において第2壁部68の外周寄りの部分を覆い、モータ48の出力軸48Bの径方向において第2壁部68の中央部を覆わないように形成される。要するに、密閉室46が配置室44の外周部の少なくとも一部を覆う密閉空間46A,46Bを有するように形成されれば、密閉室46の配置および形状は適宜変更できる。コンポーネント40は、複数の密閉室46を備えていてもよい。
【0060】
・第1実施形態の構成と第2実施形態の構成を組合せてもよい。例えば、第1実施形態および第1実施形態の変形例において、コンポーネント40は、
図9に示されるようなファン90を備えていてもよい。例えば、第1実施形態および第1実施形態の変形例において、ステータ48Aを、
図10から
図11に示されるようなステータ48Aに変更してもよい。
【0061】
・コンポーネント40は、ドライブユニットに限らず、音源42を有していれば、構成は限定されない。音源42は、モータ48に限らず、例えば、減速機、変速機、または、ワンウェイクラッチなどを含んでいてもよい。コンポーネント40は、例えば、人力駆動車用の変速装置であってもよい。コンポーネント40が、人力駆動車用の変速装置である場合、例えば、音源42は変速機を含み、ハウジング50の配置室44に変速機が収容される。
【0062】
本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、所望の選択肢の「1つ以上」を意味する。一例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が2つであれば「1つの選択肢のみ」または「2つの選択肢の双方」を意味する。他の例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が3つ以上であれば「1つの選択肢のみ」または「2つ以上の任意の選択肢の組み合わせ」を意味する。
【符号の説明】
【0063】
10…人力駆動車、12A…入力軸、40…コンポーネント、42…音源、48…モータ、44…配置室、44A…配置空間、50…ハウジング、66…第1壁部、68…第2壁部、46…密閉室、46A,46B…密閉空間、70…第3壁部、72,82…第1部分、74,84…第2部分、76…第3壁部。