(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】便器装置
(51)【国際特許分類】
E03D 9/08 20060101AFI20240501BHJP
E03D 9/05 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
E03D9/08 B
E03D9/05
(21)【出願番号】P 2020006590
(22)【出願日】2020-01-20
【審査請求日】2022-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】小松 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】辻 賢太郎
(72)【発明者】
【氏名】小池 英也
(72)【発明者】
【氏名】横井 龍一
(72)【発明者】
【氏名】尾田 颯太郎
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-084861(JP,A)
【文献】特開平11-061939(JP,A)
【文献】特開2013-96107(JP,A)
【文献】特開2010-203070(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 9/00-9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器本体の上に設けられる機能部と、
前記便器本体の便鉢の内部から吸い込まれて脱臭された空気を排出する排気口を有する脱臭装置と、を備え、
前記排気口は、前記便器本体の幅より内側かつ前記機能部の底部に形成さ
れ、
前記便器本体の上に固定される固定部をさらに有し、
前記脱臭装置は、前記固定部の上に設けられ、
前記固定部には、前記排気口の下側となる位置に上下方向に開口する固定部開口部が形成され、
前記脱臭装置は、前記排気口の上方に設けられる脱臭ファンを有し、
前記脱臭ファンの少なくとも一部は、前記固定部開口部と上下方向に重なる位置に配置されている便器装置。
【請求項2】
前記排気口は、前記便器本体の便鉢よりも奥側に形成された上方に開口する開口部の上に配置されている請求項1に記載の便器装置。
【請求項3】
前記脱臭装置は、前記固定部に昇降可能に構成され、
前記脱臭ファンの前後方向の長さ寸法は、幅方向の長さ寸法より小さい請求項1または2に記載の便器装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、便器装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、脱臭装置や局部洗浄装置などの各種装置を有する機能部が便器本体の上に設置された便器装置が知られている。脱臭装置は、便器本体の便鉢内の空気を吸い込み、吸い込んだ空気を脱臭カートリッジに通過させて脱臭している(例えば、特許文献1参照)。脱臭装置が脱臭した空気を排出する排気口は、機能部の後部や側部に設けられ、脱臭された空気を便器装置の後方や側方に排出するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、脱臭装置の排気口を機能部の後部や側部に設ける場合、便器装置の後方や側方にキャビネットなどが設けられていると、排気口の位置や大きさが限定されて、脱臭性能が低下することがある。排気口を機能部の後部や側部に設けると、排気口が露出するため、駆動音が排気口から漏れるという問題や、排気口が汚れやすく清掃性が悪いという問題もある。
【0005】
本開示は、脱臭性能を確保でき、駆動音が排気口から漏れることを防止できるとともに清掃性を向上させることができる便器装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示に係る便器装置は、便器本体の上に設けられる機能部と、前記便器本体の便鉢の内部から吸い込まれて脱臭された空気を排出する排気口を有する脱臭装置と、を備え、前記排気口は、前記便器本体の幅より内側かつ前記機能部の底部に形成され、前記便器本体の上に固定される固定部をさらに有し、前記機能部は、前記固定部の上に設けられ、前記固定部には、前記排気口の下側となる位置に上下方向に開口する固定部開口部が形成され、前記脱臭装置は、前記排気口の上方に設けられる脱臭ファンを有し、前記脱臭ファンの少なくとも一部は、前記固定部開口部と上下方向に重なる位置に配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図3】機能部が上昇した状態の便器装置の側面図である。
【
図5】便器本体を省略し機能部および固定部を下方から見た図である。
【
図6】便器本体および固定部を省略し機能部を下方から見た図である。
【
図13】機能部が上昇し脱臭カートリッジ取付部が開姿勢となった断面図である。
【
図14】脱臭カートリッジ取付部が開姿勢となった機能部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1から
図3に示すように、本実施形態による便器装置1は、便器本体2と、固定部3と、機能部4と、便座51と、便蓋52と、を有している。脱臭装置6は、機能部4に設けられ、便器本体2の便鉢211の内部22の空気を脱臭するように構成されている。機能部4は、脱臭装置6の他に、局部洗浄を行う局部洗浄装置(不図示)、温風乾燥を行う温風乾燥装置(不図示)や、これらの装置に電力を供給する電力供給装置(不図示)などが適宜設けられている。
【0009】
本実施形態の便器装置1は、便器本体2の上に固定部3が設置され、固定部3の上に機能部4が設置されている。機能部4は、固定部3に昇降可能に支持されている。
図3に示すように、本実施形態の便器装置1は、清掃やメンテナンス時には、機能部4を上昇させて機能部4と便器本体2との間に空間72を形成するように構成されている。通常時には、機能部4が下降して便器本体2と空間を形成せずに配置されている。固定部3には、機能部4を昇降させる昇降装置(不図示)が設けられている。
【0010】
図4に示すように、便器本体2は、便鉢形成部21と、機能部載置部23と、を有している。便鉢形成部21には、便鉢211が形成されている。機能部載置部23には、上部に固定部3および機能部4が載置される。便器本体2は、床に設置されて給水配管および排水配管(不図示)が接続されている。便器本体2は、便器装置1を使用する使用者から見た手前側に便鉢形成部21が配置され、奥側に機能部載置部23が配置される。便鉢形成部21と、機能部載置部23を結ぶ水平方向を前後方向(図の矢印Aの方向)とする。機能部載置部23に対する便鉢形成部21が配置される側を前側とし、その反対側を後側とする。前後方向に直交する水平方向を幅方向(図の矢印Bの方向)とする。
【0011】
便器本体2は、陶器で製造されている。本実施形態では、便鉢形成部21と機能部載置部23とは、陶器で一体に形成され、間に区画部26が設けられている。便器本体2は、前端部に形成され前方を向く前壁部2aと、後端部に形成され後側を向く後壁部2bと、両側部(幅方向の両端部)それぞれに形成され幅方向を向いて前板部と後板部とを接続する一対の側壁部2c,2cと、を有している。区画部26は、幅方向に延びている。区画部26は、幅方向の両端部が一対の側壁部2c,2cと連続している。区画部26の上面は、略水平となる面に形成されている。区画部26は、便鉢211の後方に位置している。
【0012】
便鉢形成部21には、便鉢211の上縁部の幅方向の両側方それぞれに一対の側壁部2c,2cの上縁部まで延びる側方上面212が形成されている。区画部26の上面と側方上面212とは接続されている。区画部26の上面、側方上面212、および機能部載置部23の上縁部231は、略同じ高さに配置されている。区画部26の上面における幅方向の中間部分(便鉢形成部21の側方上面212と接続していない部分)の前縁部261は、上下方向から見た平面視において、幅方向の中央部分が幅方向の両端部よりも後側に凹むように湾曲している。
【0013】
便鉢形成部21は、前壁部2aと、一対の側壁部2c,2cの前側部分と、区画部26とに囲まれた部分に便鉢211が形成されている。機能部載置部23は、後壁部2bと、一対の側壁部2c,2cの後側部分と、区画部26とに囲まれた部分(機能部載置部23の内部24とする)に空間が形成され、上方に開口する開口部25が形成されている。開口部25は、後壁部2bの上縁部と、一対の側壁部2c,2cの後側部分の上縁部と、区画部26の上面の後側の縁部と、に囲まれている。機能部載置部23の内部24は、開口部25を介して上方に開口している。本実施形態では、機能部載置部23は、後壁部2bと、一対の側壁部2c,2cの後側部分と、区画部26とに囲まれているが、後壁部2bが設けられておらず、平面視で後方に開口するC字形状であってもよい。本実施形態では、便鉢形成部21と機能部載置部23とは、陶器で一体に形成されているが、便鉢形成部21と機能部載置部23とは、別体で隣接して設けられていてもよい。
【0014】
図3および
図5に示すように、固定部3は、前側に位置する固定板部31と、後側に位置する装置設置部32と、を有している。固定板部31は、略平板状に形成され、板面が略水平面となる向きで、便器本体2の上面に沿って配置されている。装置設置部32は、固定板部31よりも高さ寸法が大きく形成され、機能部4の一部の装置が設置される。装置設置部32には、装置を設置するための凹凸などが適宜形成されている。固定板部31は、装置設置部32の下端部から前側に突出し、装置設置部32と一体に設けられている。固定部3は、便器本体2に固定されている。
【0015】
図3に示すように、固定板部31は、機能部載置部23の前側部分および区画部26の上に設置されている。固定板部31の前縁部31aは、区画部26の前後方向の中間部に位置している。固定板部31の後縁部31bは、機能部載置部23の前後方向の中間部、すなわち区画部26の後縁部262と便器本体2の後壁部2bとの間に位置している。固定板部31は、機能部載置部23および区画部26の幅方向の略全体にわたって設けられている。固定板部31における機能部載置部23の上方に位置する部分は、機能部載置部23の開口部25の上に配置されている。
【0016】
装置設置部32は、機能部載置部23の後側部分の上に設置されている。装置設置部32の前縁部32aは、機能部載置部23の前後方向の中間部、すなわち区画部26の後縁部262と便器本体2の後壁部2bとの間に位置し装置設置部32の後縁部32bは、便器本体2の後壁部2bの近傍に位置している。装置設置部32は、機能部載置部23の幅方向の略全体にわたって設けられている。
【0017】
図3および
図6に示すように、機能部4は、上述した脱臭装置6、局部洗浄装置、温風乾燥装置、電力供給装置などの各種装置の他に、底部に位置し各種装置が載置される底板部41(底部)と、各種装置の上方および周囲を覆うカバー部42と、を有している。
図5に示すように、底板部41は、略平板状に形成され、板面が略水平面となる向きで、固定板部31の上に配置される。カバー部42は、底板部41、各種装置の他に、機能部4の装置が設置された固定部3の装置設置部32も機能部4の装置とともに覆っている。
図2および
図3に示すように、機能部4には、便座51および便蓋52が取り付けられている。便座51および便蓋52は、それぞれ幅方向に延びる軸回りに回動可能に構成されている。便座51および便蓋52は、回動して横臥状態となると便鉢形成部21の上に配置される(
図3参照)。
【0018】
図5に示すように、底板部41は、固定板部31よりも前後方向に長く形成されている。底板部41は、前縁部41aが固定板部31の前縁部31aよりも前側に突出し、後縁部41bが固定板部31の後縁部31bの略直上に配置されている。
図5および
図7を参照し、底板部41は、便器本体2(
図7参照)および固定板部31(
図5参照)の上面に沿って配置されている。
図7に示すように、底板部41の前縁部41aは、区画部26の前縁部261よりも前側に突出し便鉢211の上に位置している。底板部41の前縁部41a近傍の下面は、便鉢211の内部22と対向し、露出している。上述しているように、区画部26の上面における幅方向の中間部分の前縁部261は、上下方向から見た平面視において、幅方向の中央部分が幅方向の両端部よりも後側に凹むように湾曲している。このため、底板部41の前縁部41a近傍下面は、幅方向の中央部分のほうが幅方向の両方の端部分よりも広い範囲において便鉢211の内部22と対向し、露出している。
【0019】
図5に示すように、底板部41のうちの固定板部31の前縁部31aよりも前側の部分を底板部前部411とし、固定板部31の前縁部31aよりも後側の部分を底板部後部412とする。底板部41は、底板部後部412と底板部前部411との境界部分に底板部段部413が形成され、底板部前部411が底板部後部412よりも下側に位置している。底板部41は、底板部段部413が固定板部31の前縁部31aに沿うように配置され、底板部前部411が固定板部31と略同じ高さに配置されている。
図7に示すように、底板部前部411は、前端部近傍が区画部26よりも前側に突出して便鉢211(便鉢形成部21)の上に位置し、その後側の部分が区画部26の上に位置している。
【0020】
図5および
図6に示すように、脱臭装置6は、機能部4における前側かつ幅方向の一方側の領域に設置されている。脱臭装置6は、底板部41の上に底板部前部411および底板部後部412にわたるように設置されている。脱臭装置6は、脱臭される空気が通過する脱臭空気流路61と、脱臭空気流路61の中間部に設けられた脱臭カートリッジ62と、脱臭空気流路61に気流を形成する脱臭ファン63(
図11参照)と、を有している。
【0021】
脱臭空気流路61は、吸込み口64と、排気口65と、を有している。吸込み口64は、脱臭空気流路61の一方の端部に設けられ、便鉢211の内部22(
図7参照)の空気を脱臭空気流路61に吸い込むように構成されている。排気口65は、脱臭空気流路61の他方の端部に設けられ、脱臭カートリッジ62を通過して脱臭された空気を脱臭空気流路61から外部に排出するように構成されている。吸込み口64は、排気口65よりも前側に位置している。吸込み口64は、底板部前部411の上側に位置している。排気口65は、底板部後部412の上側に位置している。排気口65は、便器本体2の幅よりも内側(幅方向の両端部の間)に設けられている。
【0022】
図7に示すように、底板部41には、吸込み口64の下に、上下方向に貫通する第1開口部414が形成されている。第1開口部414は、底板部前部411における前側かつ幅方向の一方側の部分に形成されている。第1開口部414は、外形が四角形の孔部に形成されている。第1開口部414の縁部は、外形の四角形の4つの辺に対応して前縁部414a、後縁部414b、第1側縁部414c、第2側縁部414dを有している。前縁部414aは、前側に位置し、略幅方向に延びている。後縁部414bは後側に位置し、略幅方向に延びている。第1側縁部414cは幅方向の一方側に位置し、略前後方向に延びている。第2側縁部414dは、幅方向の他方側に位置し、略前後方向に延びている。
【0023】
第1開口部414は、区画部26と、区画部26の前方の便鉢211の上に跨るように配置されている。第1開口部414は、幅方向の一方側の部分が区画部26の上に重なって配置され、幅方向の他方側の部分が便鉢211の上に重なって配置されている。第1開口部414の後縁部414b、第1側縁部414cおよび前縁部414aの幅方向の一方側の部分は、区画部26の上に位置している。第1開口部414の第2側縁部414dおよび前縁部414aの幅方向の他方側の部分は、便鉢211の上に位置している。本実施形態では、脱臭空気流路61の一方の端部近傍および第1開口部414の近傍で、開口面積が一番小さい箇所が吸込み口64となっている。吸込み口64は、底板部41の下面よりも上方に位置し、本実施形態では底板部41の上面よりも上方に位置している。
【0024】
図8-
図10に示すように、底板部41の上には、第1開口部414の前縁部414aから上側に突出する前リブ431(
図9および
図10参照)と、第1開口部414の後縁部414bから上側に突出する後リブ432と、が設けられている。前リブ431と後リブ432との間には、前後方向に延びて前端部が前リブ431に接続され後端部が後リブ432に接続される複数の第1ルーバー材433が幅方向に間隔をあけて設けられている。複数の第1ルーバー材433は、第1開口部414の上方にルーバーを形成し、第1開口部414の上方の脱臭空気流路61に使用者の指が誤って入り込むことを防止するともに、脱臭空気流路61にほこりや異物が入り込まないように設けられている。
【0025】
複数の第1ルーバー材433は、それぞれ前リブ431および後リブ432の上端部近傍に接続されていて、底板部41の上面よりも上側に位置している。このため、複数の第1ルーバー材433の下端部は、便器本体2の上面よりも上側に位置している。本実施形態では、吸込み口64に第1ルーバー材433が取り付けられている。吸込み口64と便器本体2の上面との間には、空間71が設けられている。吸込み口64の開口面積は、脱臭空気流路61の最小断面積よりも大きく設定されている。
【0026】
図6、
図11および
図12に示すように、底板部41には、排気口65の下に上下方向に貫通する第2開口部415が形成されている。第2開口部415は、外形が四角形の孔部に形成されている。第2開口部415は、底板部後部412に形成されて、固定板部31の上側に位置している。第2開口部415は、外形が四角形の孔部に形成されている。底板部41には、第2開口部415の縁部から下側に突出する四角枠状の第2リブ441が設けられている。底板部41に第2リブ441が設けられていることにより、底板部41における第2開口部415が形成されている領域を所定の強度に維持することができる。第2開口部415および第2リブ441の内側には、幅方向に延びる複数の第2ルーバー材442が前後方向に間隔をあけて設けられている。複数の第2ルーバー材442それぞれの下端面は、底板部41の下面よりも下側に突出し、第2リブ441の下端面と略面一に配置されている。複数の第2ルーバー材442は、第2開口部415にルーバーを形成し、第2開口部415の上方の脱臭空気流路61に使用者の指が誤って入り込むことを防止するともに、脱臭空気流路61にほこりや異物が入り込まないように設けられている。
【0027】
図5、
図11および
図12に示すように、固定板部31には、第2開口部415の下に上下方向に貫通する第3開口部311(固定部開口部)が形成されている。第3開口部311の下側は、便器本体2の機能部載置部23となり、機能部載置部23の内部24が位置している。第3開口部311は、外形が四角形の孔部に形成されている。固定板部31には、第3開口部311の縁部から下側に突出する四角枠状の第3リブ312が設けられている。固定板部31に第3リブ312が設けられていることにより、固定板部31における第3開口部311が形成されている領域を所定の強度に維持することができる。第3開口部311および第3リブ312の内側には、幅方向に延びる複数の第3ルーバー材313が前後方向に間隔をあけて設けられている。複数の第3ルーバー材313それぞれの下端面は固定板部31の下面よりも下側に突出し、第3リブ312の下端面と略面一に配置されている。複数の第3ルーバー材313は、第3開口部311にルーバーを形成し、第3開口部311の上方の脱臭空気流路61に使用者の指が誤って入り込むことを防止するともに、脱臭空気流路61にほこりや異物が入り込まないように設けられている。第3リブ312および第3ルーバー材313の下端部は、機能部載置部23の内部24に配置されている。
【0028】
排気口65から排出された空気は、第2開口部415および第3開口部311を通過して機能部載置部23の内部24に流入するように構成されている。機能部載置部23の内部24に流入した空気は、機能部載置部23と床面との隙間や機能部載置部23に形成された孔部などから便器本体2の外部に流出する。
【0029】
図12に示すように、脱臭カートリッジ62は、脱臭空気流路61の中間部に位置する脱臭カートリッジ設置部66に着脱可能に設置されている。脱臭カートリッジ設置部66は、吸込み口64と排気口65との間に位置している。本実施形態では、脱臭カートリッジ設置部66は、吸込み口64よりも後側で排気口65よりも前側に配置されている。脱臭カートリッジ設置部66は、底板部前部411の上方と底板部後部412の上方とに跨るように設けられている。底板部41には、脱臭カートリッジ設置部66の下に上下方向に貫通する第4開口部416が形成されている。第4開口部416は、脱臭カートリッジ設置部66の脱臭カートリッジ62を交換するための開口部となっている。第4開口部416は、便器本体2の上に配置されている。第4開口部416は、便器本体2の幅方向の中心よりも幅方向の一方側に配置されている(
図6参照)。本実施形態では、脱臭カートリッジ62の交換時には、機能部4を上昇させて、機能部4の底板部41と固定板部31および便器本体2との間に空間72がある状態とする(
図3参照)。
【0030】
底板部41には、脱臭カートリッジ62を着脱可能であるとともに、第4開口部416を開閉可能な脱臭カートリッジ取付部8が取り付けられている。脱臭カートリッジ取付部8は、幅方向に延びる回動軸回りに回動して第4開口部416を開閉するように構成されている。
図12に示すような、脱臭カートリッジ取付部8が脱臭カートリッジ62が取り付けられた状態で第4開口部416を閉塞する姿勢(閉姿勢)となると、脱臭カートリッジ62は脱臭カートリッジ設置部66に配置される。
図13に示すような、脱臭カートリッジ取付部8が第4開口部416を開口する姿勢(開姿勢)となると、脱臭カートリッジ62は底板部41の下側に配置され、底板部41の下側において脱臭カートリッジ62を脱臭カートリッジ取付部8から取り外せて交換できるように構成されている。
【0031】
第4開口部416は、底板部41における底板部前部411と底板部後部412とにわたるように形成されている。第4開口部416における底板部前部411に形成されている部分を第4開口部前部416aとし、底板部後部412に形成されている部分を第4開口部後部416bとする。第4開口部後部416bは、固定板部31の上に配置されている。第4開口部前部416aは、固定板部31よりも前側で便器本体2の区画部26の上に配置されている。第4開口部416は、外形が四角形の孔部に形成されている。底板部41には、第4開口部416の前縁部416cに脱臭カートリッジ取付部8の爪部83を固定可能な爪部係止部417が設けられている。
【0032】
図5および
図6に示すように、爪部係止部417は、第4開口部416の前縁部416cにおける幅方向の中央よりも幅方向の一方側に寄った位置(便器本体2の側方より)に配置されている。底板部41における爪部係止部417の前側の部分には、上方に凹んだ凹部418が形成されている。底板部41に凹部418が形成されていることにより、爪部83が爪部係止部417に固定されると、爪部83の前側に爪部用空部419が形成される。
【0033】
図14および
図15に示すように、脱臭カートリッジ取付部8は、蓋板部81と、軸部82(
図15参照)と、爪部83と、脱臭カートリッジ支持部84と、を有している。蓋板部81は、板状に形成され、板面が略水平面となる姿勢で第4開口部416を閉塞する。軸部82は、底板部41に取り付けられて蓋板部81を回動可能に支持する。爪部83は、蓋板部81の前側に接続され底板部41に固定可能に構成されている。脱臭カートリッジ支持部84は、蓋板部81に接続され蓋板部81とともに脱臭カートリッジ62(
図14参照)を支持する。
【0034】
上述しているように、脱臭カートリッジ取付部8は、幅方向に延びる軸部82の軸線回りに回動して、第4開口部416を開閉するように構成されている。軸部82は、第4開口部416の後縁部近傍に位置している。以下の脱臭カートリッジ取付部8の説明では、脱臭カートリッジ取付部8が閉姿勢であるものとする。脱臭カートリッジ取付部8は、閉姿勢となると、蓋板部81の上側に脱臭カートリッジ支持部84が位置し、蓋板部81の前側に爪部83が位置し、蓋板部81の後端部近傍に軸部82が位置している。
【0035】
蓋板部81は、第4開口部前部416aを塞ぐ前側部分(蓋板部前部811)と、第4開口部後部416bを塞ぐ後側部分(蓋板部後部812)と、を有している。蓋板部後部812と蓋板部前部811との境界部分には蓋板部段部813が形成され、蓋板部後部812よりも蓋板部前部811が下側に配置されている。蓋板部段部813は、底板部段部413と幅方向に連続するように配置されている。蓋板部後部812の下面は、底板部後部412の下面と略面一に配置されている。蓋板部前部811の下面は、底板部前部411の下面と略面一に配置されている。蓋板部後部812は、固定板部31の上側に配置され、蓋板部前部811は、固定板部31よりも前側に位置し便器本体2の上に配置されている。蓋板部81は、上面に脱臭カートリッジ62が取り付けられる。
【0036】
蓋板部81には、前端部近傍における幅方向の中間部で幅方向の中央よりも一方側に寄った位置に、前側に開口する切り欠き部814が形成されている。この切り欠き部814には、蓋板部81に接続されている爪部83が配置されている。爪部83は、前側から押されることで弾性変形可能に構成されている。爪部83は、弾性変形可能で、脱臭カートリッジ取付部8が閉姿勢となると、底板部41に設けられた爪部係止部417に引っ掛かり、この状態で前側から押されると爪部係止部417から離れるように構成されている。爪部83が爪部係止部417に引っ掛かると、脱臭カートリッジ取付部8は閉姿勢に維持される。爪部83が爪部係止部417から離れると、脱臭カートリッジ取付部8は回動可能となり、開姿勢となる。
【0037】
図14に示すように、脱臭カートリッジ取付部8は、開姿勢となると、爪部83が下側に位置し、蓋板部81の上面が前側を向く。これにより、蓋板部81の上面に取り付けられた脱臭カートリッジ62が蓋板部81の前側に位置する。脱臭カートリッジ取付部8が開姿勢となると、脱臭カートリッジ取付部8から脱臭カートリッジ62を外すことができ、脱臭カートリッジ62の交換を行うことができる。
【0038】
上記の実施形態による便器装置1は、脱臭装置6の排気口65が便器本体2の幅よりも内側(幅方向の両端部の間)に設けられ、かつ機能部4の底部に形成されている。従来の脱臭装置6および便器装置1のように、脱臭装置6の排気口65が機能部4の後部や側部に設けられている場合、便器装置1の後方や側方にキャビネットなどが設けられていると、排気口65の位置や大きさが限定されて、脱臭性能が低下することがある。これに対し、本実施形態による脱臭装置6および便器装置1では、排気口65の位置や大きさが限定されることが無く、脱臭性能を確保することができる。本実施形態による便器装置1は、排気口65が便器本体2の上に位置し露出しないため、脱臭装置6の駆動音が漏れにくいとともに、排気口65が汚れにくく清掃性を向上させることができる。排気口65が露出しないため、排気口65から脱臭装置6の内部に異物が入り込むことを防止できるとともに、便器装置1のデザイン性を向上させることができる。
【0039】
上記の実施形態による便器装置1は、脱臭装置6の排気口65は、便器本体2における便鉢211よりも後方(奥側)で、機能部載置部23の内部24を上方に開口させる開口部25の上に配置されている。これにより、排気口65から排出された空気は便器本体2の機能部載置部23の内部24に入り込み、便器本体2の外部に排出されるため、排気口65から排出された空気が便器本体2と機能部4との隙間から勢いよく吹き出すことを防止できる。排気口65およびその上部に設けられる脱臭ファン63等の脱臭装置6の部材を開口部25を介して機能部載置部23の内部24に配置されるように、低い位置に設置することができる。これにより、脱臭装置6の上端部の位置を低くすることができ、機能部4の高さを低くすることができる。
【0040】
上記の実施形態による便器装置1は、機能部4が昇降し、機能部4と便器本体2との間に固定部3が設けられている。固定部3には、排気口65の下側となる位置に上下方向に開口する第3開口部311(固定部開口部)が形成されている。これにより、機能部4が昇降する便器装置1であっても、固定部3が排気口65からの排気を妨げることが無く、脱臭性能を維持することができる。
【0041】
本開示は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、上記の実施形態では、排気口65は、便器本体2における便鉢211よりも後方(奥側)で、機能部載置部23の内部24を上方に開口させる開口部25の上に配置されている。排気口65は、便器本体2における便器本体2の内部を上方に開口させる開口部が形成されていない部分の上に配置されていてもよい。便器本体2には、開口部25が設けられていなくてもよい。
【0042】
上記の実施形態による便器装置1では、機能部4が便器本体2に対して昇降するように構成されているが、機能部4が便器本体2に対して昇降しなくてもよい。便器本体2と機能部4との間に固定部3が設けられているが、設けられていなくてもよい。固定部3における排気口65の下側の部分に第3開口部311が形成されているが、第3開口部311が形成されていなくてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 便器装置、2 便器本体、4 機能部、6 脱臭装置、211 便鉢、25 開口部、41 底板部(底部)、65 排気口、311 第3開口部(固定部開口部)