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特許7481157プリンタの色合わせ方法および印刷システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】プリンタの色合わせ方法および印刷システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/60 20060101AFI20240501BHJP
   B41J 2/525 20060101ALI20240501BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
H04N1/60
B41J2/525
G06T1/00 510
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020076813
(22)【出願日】2020-04-23
(65)【公開番号】P2021175070
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-03-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000116057
【氏名又は名称】ローランドディー.ジー.株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100189887
【弁理士】
【氏名又は名称】古市 昭博
(72)【発明者】
【氏名】吉田 世新
(72)【発明者】
【氏名】小倉 慶成
(72)【発明者】
【氏名】藤田 泰仁
【審査官】花田 尚樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-263445(JP,A)
【文献】特表2018-507598(JP,A)
【文献】特開2019-140502(JP,A)
【文献】特開2011-023991(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/46 - 1/62
B41J 2/52 - 2/525
G06T 1/00 - 1/40
3/00 - 5/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データに基づいて第1のプリンタによって印刷される第1画像と、前記画像データに基づいて第2のプリンタによって印刷される第2画像との色合わせをする方法であって、
第1入力ICCプロファイルのA2Bテーブルに前記画像データのインク値を入力し、入力された前記インク値ごとに第1色彩値を取得する第1ステップと、
前記第1のプリンタで使用されている第1出力ICCプロファイルのB2Aテーブルに前記第1色彩値を入力し、入力された前記第1色彩値ごとに前記第1のプリンタにおける第1インク値を取得する第2ステップと、
前記第1インク値に基づいて前記第1のプリンタによって前記第1画像を印刷する第3ステップと、
印刷された前記第1画像を測色して、前記第1のプリンタの複合色彩値を取得する第4ステップと、
前記画像データおよび前記複合色彩値に基づいて、第2入力ICCプロファイルを作成する第5ステップと、
前記第2入力ICCプロファイルのA2Bテーブルに前記画像データの前記インク値を入力し、入力された前記インク値ごとに第2色彩値を取得する第6ステップと、
前記第2のプリンタで使用されている第2出力ICCプロファイルのB2Aテーブルに前記第2色彩値を入力し、入力された前記第2色彩値ごとに前記第2のプリンタにおける第2インク値を取得する第7ステップと、
前記第2インク値に基づいて前記第2のプリンタによって前記第2画像を印刷する第8ステップと、を含む、プリンタの色合わせ方法。
【請求項2】
前記画像データの前記インク値に基づいて前記第2のプリンタによって前記第2画像を印刷する第9ステップと、
前記インク値に基づいて印刷された前記第2画像を測色して、前記第2のプリンタの第3色彩値を取得する第10ステップと、
前記画像データおよび前記第3色彩値に基づいて、前記第2出力ICCプロファイルを作成する第11ステップと、を含む、請求項1に記載のプリンタの色合わせ方法。
【請求項3】
第1のプリンタと、第2のプリンタとを含む印刷システムであって、
前記第1のプリンタは、
第1入力ICCプロファイルのA2Bテーブルに画像データのインク値を入力し、入力された前記インク値ごとに第1色彩値を取得する第1色彩値取得部と、
第1出力ICCプロファイルのB2Aテーブルに前記第1色彩値を入力し、入力された前記第1色彩値ごとに第1インク値を取得する第1インク値取得部と、
前記第1インク値に基づいて第1画像を印刷する第1印刷部と、を含み、
前記第2のプリンタは、
第2入力ICCプロファイルのA2Bテーブルに前記画像データの前記インク値を入力し、入力された前記インク値ごとに第2色彩値を取得する第2色彩値取得部と、
第2出力ICCプロファイルのB2Aテーブルに前記第2色彩値を入力し、入力された前記第2色彩値ごとに第2インク値を取得する第2インク値取得部と、
前記第2インク値に基づいて第2画像を印刷する第2印刷部と、を含み、
前記第2入力ICCプロファイルは、前記画像データと、印刷された前記第1画像を測色して取得された複合色彩値とに基づいて作成されていることを特徴とする、印刷システム。
【請求項4】
前記第2出力ICCプロファイルは、前記画像データと、前記インク値に基づいて前記第2のプリンタによって印刷された前記第2画像を測色して取得された第3色彩値と、に基づいて作成されていることを特徴とする、請求項3に記載の印刷システム。
【請求項5】
前記第2のプリンタは、
前記第1入力ICCプロファイルのA2Bテーブルに前記画像データの前記インク値を入力し、入力された前記インク値ごとに前記第1色彩値を取得する他の第1色彩値取得部と、
前記第1出力ICCプロファイルおよび前記第2出力ICCプロファイルを用いて作成されたシミュレーションICCプロファイルのB2Aテーブルに前記第1色彩値を入力し、入力された前記第1色彩値ごとに第3インク値を取得する第3インク値取得部と、
前記第3インク値に基づいて前記第2画像を印刷する第3印刷部と、
前記第2出力ICCプロファイルおよび前記シミュレーションICCプロファイルのいずれかを選択する選択部と、を含む、請求項3または4に記載の印刷システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタの色合わせ方法および印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数のプリンタ(例えばインクジェットプリンタ)の間で色合わせをする技術が知られている。同一機種のプリンタであっても、印刷された画像の発色は、使用するICC(International Color Consortium)プロファイルや、プリンタの個体差等によって異なる。プリンタ間の色合わせは、例えば、1つのプリンタ(色合わせ元プリンタ)によって印刷された画像の発色をそのまま他のプリンタ(色合わせ先プリンタ)において再現したい場合などに行われる。
【0003】
例えば、特許文献1には、基準となるプリンタ(色合わせ元プリンタ)の発色を他のプリンタ(色合わせ先プリンタ)において出力することが開示されている。この場合、基準となるプリンタのICCプロファイルと、他のプリンタのICCプロファイルとが必要である。さらに、入力された画像の色特性を示す入力ICCプロファイルも使われる。また、特許文献2には、基準となるプリンタ(色合わせ元プリンタ)の出力ICCプロファイルが、他のプリンタ(色合わせ先プリンタ)の印刷時に使われることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2018-507598号公報
【文献】特許3796422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、プリンタにおいて画像を印刷するときには、通常はRIP(Raster Image Processor)ソフトが用いられる。RIPソフトを使って画像を印刷する場合、ICCプロファイルを使って色変換を行う。プリンタ間の色合わせを行う場合には、色合わせ先プリンタにおいて、色合わせ元プリンタの入力ICCプロファイルが用いられることがある。しかし、かかる入力ICCプロファイルは、色合わせ元プリンタの特性を考慮していないため、色合わせ先プリンタにおいて印刷された画像の発色が色合わせ元プリンタにおいて印刷された画像と若干異なるという問題がある。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、プリンタの色合わせを精度よく行う色合わせ方法を提供することである。また、プリンタの色合わせを精度よく行うことができる印刷システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る色合わせ方法は、画像データに基づいて第1のプリンタによって印刷される第1画像と、前記画像データに基づいて第2のプリンタによって印刷される第2画像との色合わせをする方法である。色合わせ方法は、第1入力ICCプロファイルのA2Bテーブルに前記画像データのインク値を入力し、入力された前記インク値ごとに第1色彩値を取得する第1ステップと、前記第1のプリンタで使用されている第1出力ICCプロファイルのB2Aテーブルに前記第1色彩値を入力し、入力された前記第1色彩値ごとに前記第1のプリンタにおける第1インク値を取得する第2ステップと、前記第1インク値に基づいて前記第1のプリンタによって前記第1画像を印刷する第3ステップと、印刷された前記第1画像を測色して、前記第1のプリンタの複合色彩値を取得する第4ステップと、前記画像データおよび前記複合色彩値に基づいて、第2入力ICCプロファイルを作成する第5ステップと、前記第2入力ICCプロファイルのA2Bテーブルに前記画像データの前記インク値を入力し、入力された前記インク値ごとに第2色彩値を取得する第6ステップと、前記第2のプリンタで使用されている第2出力ICCプロファイルのB2Aテーブルに前記第2色彩値を入力し、入力された前記第2色彩値ごとに前記第2のプリンタにおける第2インク値を取得する第7ステップと、前記第2インク値に基づいて前記第2のプリンタによって前記第2画像を印刷する第8ステップと、を含む。
【0008】
本発明の色合わせ方法によると、第2入力ICCプロファイルのA2Bテーブルに画像データのインク値を入力する。ここで、第2入力ICCプロファイルは、第1のプリンタによって第1画像を印刷するときの全ての要素を含めた色特性を表す。このため、第2のプリンタで使用されている第2出力ICCプロファイルのB2Aテーブルに入力される第2色彩値は、第1のプリンタの複合色彩値と同じになる。これにより、第2のプリンタが第2インク値を用いて印刷した第2画像の発色と、第1のプリンタが第1インク値を用いて印刷した第1画像の発色が同じかより近い関係になり得る。即ち、第1のプリンタによって印刷される第1画像と、第2のプリンタによって印刷される第2画像との色合わせを精度よく行うことができる。なお、ここでは第2画像の発色を第1画像の発色に合わせている。
【0009】
また、本発明に係る印刷システムは、第1のプリンタと、第2のプリンタとを含む印刷システムである。印刷システムは、前記第1のプリンタは、第1入力ICCプロファイルのA2Bテーブルに画像データのインク値を入力し、入力された前記インク値ごとに第1色彩値を取得する第1色彩値取得部と、第1出力ICCプロファイルのB2Aテーブルに前記第1色彩値を入力し、入力された前記第1色彩値ごとに第1インク値を取得する第1インク値取得部と、前記第1インク値に基づいて第1画像を印刷する第1印刷部と、を含む。前記第2のプリンタは、第2入力ICCプロファイルのA2Bテーブルに前記画像データの前記インク値を入力し、入力された前記インク値ごとに第2色彩値を取得する第2色彩値取得部と、第2出力ICCプロファイルのB2Aテーブルに前記第2色彩値を入力し、入力された前記第2色彩値ごとに第2インク値を取得する第2インク値取得部と、前記第2インク値に基づいて第2画像を印刷する第2印刷部と、を含む。第2入力ICCプロファイルは、前記画像データと、印刷された前記第1画像を測色して取得された複合色彩値とに基づいて作成されていることを特徴とする。
【0010】
本発明の印刷システムによると、第2インク値取得部は、第2入力ICCプロファイルのA2Bテーブルに画像データのインク値を入力する。ここで、第2入力ICCプロファイルは、画像データと、第1のプリンタによって印刷された第1画像を測色して取得された複合色彩値とに基づいて作成されている。即ち、第2入力ICCプロファイルは、第1のプリンタによって第1画像を印刷するときの全ての要素を含めた色特性を表す。このため、第2出力ICCプロファイルのB2Aテーブルに入力される第2色彩値は、複合色彩値と同じになる。これにより、第2のプリンタが第2インク値を用いて印刷した第2画像の発色と、第1のプリンタが第1インク値を用いて印刷した第1画像の発色が同じかより近い関係になり得る。即ち、第2印刷部は、第1のプリンタの第1印刷部によって印刷される第1画像の発色に合わせた第2画像を印刷することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、プリンタの色合わせを精度よく行う色合わせ方法および印刷システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】一実施形態に係る印刷システムの構成例を示す模式図である。
図2】一実施形態に係る印刷システムのブロック図である。
図3】第2入力ICCプロファイルを作成する手順を示すフローチャートである。
図4】第2のプリンタによって第2画像を印刷する手順を示すフローチャートである。
図5】第2出力ICCプロファイルを作成する手順を示すフローチャートである。
図6】シミュレーションICCプロファイルを作成する手順を示すフローチャートである。
図7】シミュレーションICCプロファイルを用いた第2のプリンタによって第2画像を印刷する手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る印刷システムおよびプリンタの色合わせ方法について説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら本発明を特に限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
【0014】
図1は、本実施形態の印刷システム100の構成例を示す模式図である。図1に示すように、印刷システム100は、第1のプリンタ10と、第2のプリンタ20と、コンピュータ40と、測色器50とを備えている。コンピュータ40には、第1のプリンタ10および第2のプリンタ20の発色を調整するためのソフトウェアがインストールされている。ただし、コンピュータ40の役割は、第1のプリンタ10および第2のプリンタ20の発色を調整するためのハードウェアとソフトウェアとを備えた専用装置によって達成されてもよい。コンピュータ40には、第1のプリンタ10および第2のプリンタ20および測色器50が、それぞれ通信可能に接続されている。詳しくは後述するが、ここでは、第2のプリンタ20が調整対象のプリンタ(即ち色合わせ先プリンタ)であり、第1のプリンタ10を基準のプリンタ(即ち色合わせ元プリンタ)として発色が調整される。なお、以下では、複数のプリンタの間で発色が類似するように行われる印刷のことを適宜、色合わせ印刷と呼ぶ。
【0015】
第1のプリンタ10と第2のプリンタ20とは、同じ機種のプリンタである。ただし、第1のプリンタ10と第2のプリンタ20とは、異なる機種のプリンタであってもよい。第1のプリンタ10および第2のプリンタ20は、ここでは、いずれもインクジェットプリンタである。ただし、第1のプリンタ10および第2のプリンタ20は、例えば、オフセット印刷用プリンタなどであってもよい。第1のプリンタ10および第2のプリンタ20の種類、構成等は、それぞれ特に限定されない。
【0016】
第1のプリンタ10および第2のプリンタ20は、それぞれ、各部の動作を制御する制御装置を備えている。制御装置の構成は特に限定されない。制御装置は、例えばマイクロコンピュータである。マイクロコンピュータのハードウェアの構成は特に限定されないが、例えば、ホストコンピュータなどの外部機器から印刷データなどを受信するインターフェイス(I/F)と、制御プログラムの命令を実行する中央演算処理装置(CPU:central processing unit)と、CPUが実行するプログラムを格納したROM(read only memory)と、プログラムを展開するワーキングエリアとして使用されるRAM(random access memory)と、プログラムや各種データを格納するメモリなどの記憶装置と、を備えている。第1のプリンタ10および第2のプリンタ20の制御装置は、それぞれ、第1のプリンタ10および第2のプリンタ20の本体部の内部に設けられている。ただし、第1のプリンタ10および第2のプリンタ20の制御装置は、第1のプリンタ10および第2のプリンタ20の本体部の内部に設けられていなくてもよい。また、その機能の一部は、例えば、コンピュータ40などによって実現されてもよい。
【0017】
図2は、本実施形態の印刷システム100のブロック図である。図2に示すように、第1のプリンタ10は、画像入力部11と、第1色彩値取得部12と、第1インク値取得部13と、ハーフトーン処理部14と、ラスタライズ処理部15と、第1印刷部16と、を備えている。第2のプリンタ20は、画像入力部21と、第2色彩値取得部22と、第2インク値取得部23と、ハーフトーン処理部24と、ラスタライズ処理部25と、第2印刷部26と、第3色彩値取得部32と、第3インク値取得部33と、第3印刷部36と、選択部38とを備えている。第3色彩値取得部32は、他の第1色彩値取得部の一例である。コンピュータ40は、画像データ作成部41と、プロファイル作成部42とを備えている。第1のプリンタ10および第2のプリンタ20およびコンピュータ40の各部の機能は、プログラムによって実現されている。このプログラムは、例えばCDやDVDなどの記録媒体から読み込まれる。なお、このプログラムは、インターネットを通じてダウンロードされるものであってもよい。また、上記各部の機能は、プロセッサおよび/または回路などによって実現可能なものであってもよい。なお、これら各部の具体的な機能については後述する。
【0018】
次に、画像データに基づいて第1のプリンタ10によって印刷される第1画像と、画像データに基づいて第2のプリンタ20によって印刷される第2画像との色合わせをする方法について説明する。図3は、第1のプリンタ10によって印刷される第1画像に基づいて、第2入力ICCプロファイルを作成する手順を示すフローチャートである。第2入力ICCプロファイルは、第2のプリンタ20において用いられる。
【0019】
まず、ステップS10において、第1のプリンタ10の画像入力部11に画像データが入力される。画像データは、例えば、コンピュータ40の画像データ作成部41やその他の外部コンピュータなどによって作成され、画像入力部11に送信される。
【0020】
ステップS20において、第1色彩値取得部12は、第1入力ICCプロファイルのA2Bテーブルに画像データのインク値(例えばCMYK値)を入力し、入力されたインク値ごとに第1色彩値(例えばL値)を取得する。第1色彩値取得部12は、第1入力ICC(International Color Consortium)プロファイルを使って、デバイス依存の画像データのインク値(ここではCMYK値)をデバイス非依存の色空間の第1色彩値(ここではL値)に変換する。デバイス依存の画像データのインク値をデバイス非依存の色空間の第1色彩値に変換するにあたっては、第1入力ICCプロファイルの中にあるA2Bテーブルと呼ばれる変換テーブル(Look Up table : LUP)が使用される。第1入力ICCプロファイルは、入力された画像データの色特性を表すカラープロファイルである。即ち、第1入力ICCプロファイルは、入力画像用のICCプロファイルである。
【0021】
ステップS30において、第1インク値取得部13は、第1出力ICCプロファイルのB2Aテーブルに第1色彩値(例えばL値)を入力し、入力された第1色彩値ごとに第1インク値(例えばCMYK値)を取得する。第1インク値取得部13は、第1出力ICCプロファイルを使って、デバイス非依存の色空間の第1色彩値(ここではL値)をデバイス依存の印刷データの第1インク値(ここではCMYK値)に変換する。デバイス非依存の色空間の第1色彩値をデバイス依存の印刷データの第1インク値に変換する場合、第1出力ICCプロファイルの中にあるB2Aテーブルと呼ばれる変換テーブルが使用される。第1出力ICCプロファイルは、第1のプリンタ10で使用されるカラープロファイルであり、第1のプリンタ10に予め記憶されている。第1インク値は、第1のプリンタ10におけるインク値である。
【0022】
ステップS40において、ハーフトーン処理部14は、ハーフトーン処理を行う。即ち、ハーフトーン処理部14は、第1インク値をインクのドットデータに変換する。
【0023】
ステップS50において、ラスタライズ処理部15は、ハーフトーン処理部14で作成されたドットデータをパス毎のデータに変換する。第1印刷部16は、ラスタライズ処理部15で作成されたパス毎のドットデータに基づいて第1画像を印刷する。即ち、第1印刷部16は、第1インク値に基づいて第1画像を印刷する。
【0024】
ステップS60において、印刷された第1画像を測色器50によって測色して、第1のプリンタ10の複合色彩値(例えばL値)を取得する。複合色彩値は、第1入力ICCプロファイルの特性、第1出力ICCプロファイルの特性および第1のプリンタ10の特性が反映されている。即ち、複合色彩値は、第1のプリンタ10の現状の色を表す。取得された複合色彩値は、コンピュータ40に送信される。
【0025】
ステップS70において、コンピュータ40のプロファイル作成部42は、ステップS10において入力された画像データおよび複合色彩値に基づいて、第2入力ICCプロファイルを作成する。作成された第2入力ICCプロファイルは、第2のプリンタ20に送信される。なお、第1のプリンタ10において第1画像を印刷する場合は、上記ステップS10~ステップS50を行えばよい。
【0026】
図4は、第2のプリンタ20によって第2画像を印刷する手順を示すフローチャートである。図4に示す例では、第1のプリンタ10において使用された画像データ(ここでは入力された画像データ)と同じ画像データに基づいて第2のプリンタ20において第2画像を印刷する。
【0027】
ステップS80において、第2のプリンタ20の画像入力部21に画像データが入力される。ここで入力される画像データは、第1のプリンタ10の画像入力部11に入力された画像データと同じである。即ち、第1のプリンタ10および第2のプリンタ20において、同じ画像データが入力される。
【0028】
ステップS90において、第2色彩値取得部22は、第2入力ICCプロファイルのA2Bテーブルに画像データのインク値(例えばCMYK値)を入力し、入力されたインク値ごとに第2色彩値(例えばL値)を取得する。第2色彩値取得部22は、第2入力ICCプロファイルを使って、デバイス依存の画像データのインク値(ここではCMYK値)をデバイス非依存の色空間の第2色彩値(ここではL値)に変換する。なお、第2のプリンタ20の画像入力部21には第1のプリンタ10で用いられた画像データが入力されるため、第2色彩値は複合色彩と同じ値になる。
【0029】
ステップS100において、第2インク値取得部23は、第2出力ICCプロファイルのB2Aテーブルに第2色彩値(例えばL値)を入力し、入力された第2色彩値ごとに第2インク値(例えばCMYK値)を取得する。第2インク値取得部23は、後述する第2出力ICCプロファイルを使って、デバイス非依存の色空間の第2色彩値(ここではL値)をデバイス依存の印刷データの第2インク値(ここではCMYK値)に変換する。第2出力ICCプロファイルは、第2のプリンタ20で使用されるカラープロファイルであり、第2のプリンタ20に予め記憶されている。第2インク値は、第2のプリンタ20におけるインク値である。
【0030】
ステップS110において、ハーフトーン処理部24は、ハーフトーン処理を行う。即ち、ハーフトーン処理部24は、第2インク値をインクのドットデータに変換する。
【0031】
ステップS120において、ラスタライズ処理部25は、ハーフトーン処理部24で作成されたドットデータをパス毎のデータに変換する。第2印刷部26は、ラスタライズ処理部25で作成されたパス毎のドットデータに基づいて第2画像を印刷する。即ち、第2印刷部26は、第2インク値に基づいて第2画像を印刷する。このようにして、第2のプリンタ20において色合わせ印刷が行われる。
【0032】
次に、第2出力ICCプロファイルの作成手順について説明する。図5は、第2出力ICCプロファイルを作成する手順を示すフローチャートである。ここでは、第1のプリンタ10において使用された画像データ(ここでは入力された画像データ)と同じ画像データを用いた例を説明する。
【0033】
まず、ステップS210において、第2のプリンタ20の画像入力部21に画像データが入力される。ここで入力される画像データは、第1のプリンタ10の画像入力部11に入力された画像データと同じである。即ち、第1のプリンタ10および第2のプリンタ20において、同じ画像データが入力される。
【0034】
ステップS220において、ハーフトーン処理部24は、ハーフトーン処理を行う。即ち、ハーフトーン処理部24は、画像データのインク値をインクのドットデータに変換する。
【0035】
ステップS230において、ラスタライズ処理部25は、ハーフトーン処理部24で作成されたドットデータをパス毎のデータに変換する。第2印刷部26は、ラスタライズ処理部25で作成されたパス毎のドットデータに基づいて第2画像を印刷する。即ち、第2印刷部26は、インク値に基づいて第2画像を印刷する。なお、ステップS230においてインク値に基づいて印刷された第2画像の発色と、ステップS120において第2インク値に基づいて印刷された第2画像の発色とは異なる。
【0036】
ステップS240において、印刷された第2画像を測色器50によって測色して、第2のプリンタ20の第3色彩値(例えばL値)を取得する。第3色彩値は、第2のプリンタ20の特性が反映されているが、入力ICCプロファイルの特性および出力ICCプロファイルの特性は反映されていない。取得された第3色彩値は、コンピュータ40に送信される。
【0037】
ステップS250において、コンピュータ40のプロファイル作成部42は、ステップS210において入力された画像データおよび第3色彩値に基づいて、第2出力ICCプロファイルを作成する。作成された第2出力ICCプロファイルは、第2のプリンタ20に送信される。このように、第2出力ICCプロファイルを改めて作成することによって、第2のプリンタ20の色ばらつきを除いて、印刷の色再現精度を高めることができる。
【0038】
選択部38は、第2のプリンタ20で使用する入力ICCプロファイルおよび出力ICCプロファイルを選択する。入力ICCプロファイルとしては、例えば、上述した第1入力ICCプロファイルおよび第2入力ICCプロファイルが含まれる。出力ICCプロファイルとしては、例えば、シミュレーションICCプロファイルおよび上述した第2出力ICCプロファイルが含まれる。第2のプリンタ20および第1のプリンタ10間で色合わせを行うときは、選択部38は、例えば、第1入力ICCプロファイルとシミュレーションICCプロファイルとを選択する場合と、第2入力ICCプロファイルと第2出力ICCプロファイルとを選択する場合とがあり得る。ここでは、選択部38は、第2出力ICCプロファイルおよびシミュレーションICCプロファイルのいずれかを選択する。
【0039】
次に、シミュレーションICCプロファイルの作成手順について説明する。図6は、シミュレーションICCプロファイルを作成する手順を示すフローチャートである。
【0040】
まず、ステップS310において、CIEL(CIELAB)色空間の全体に亘ってL値を入力する。
【0041】
ステップS320において、第1のプリンタ10において使用される第1出力ICCプロファイルのB2Aテーブルに上記L値を入力し、入力されたL値ごとに第1のプリンタ10のインク値(例えばCMYK値)を取得する。
【0042】
ステップS330において、第1のプリンタ10において使用される第1出力ICCプロファイルのA2Bテーブルに取得された上記第1のプリンタ10のインク値を入力し、入力されたインク値ごとに第1のプリンタ10のL値を取得する。
【0043】
ステップS340において、第2のプリンタ20において使用される第2出力ICCプロファイルのB2Aテーブルに取得された上記第1のプリンタ10のL値を入力し、入力されたL値ごとに第2のプリンタ20のインク値(例えばCMYK値)を取得する。
【0044】
ステップS350において、コンピュータ40のプロファイル作成部42は、ステップS310において入力されたL値およびステップS340において取得された第2のプリンタ20のインク値に基づいて、シミュレーションICCプロファイルを作成する。作成されたシミュレーションICCプロファイルは、第2のプリンタ20に送信される。
【0045】
図7は、シミュレーションICCプロファイルを用いた第2のプリンタ20によって第2画像を印刷する手順を示すフローチャートである。図7に示す例では、第1のプリンタ10において使用された画像データ(ここでは入力された画像データ)と同じ画像データに基づいて第2のプリンタ20において第2画像を印刷する。このようにして、第2のプリンタ20において色合わせ印刷が行われる。
【0046】
まず、ステップS410において、第2のプリンタ20の画像入力部21に画像データが入力される。ここで入力される画像データは、第1のプリンタ10の画像入力部11に入力された画像データと同じである。
【0047】
ステップS420において、第3色彩値取得部32は、第1入力ICCプロファイルのA2Bテーブルに画像データのインク値(例えばCMYK値)を入力し、入力されたインク値ごとに第1色彩値(例えばL値)を取得する。
【0048】
ステップS430において、第3インク値取得部33は、シミュレーションICCプロファイルのB2Aテーブルに第1色彩値(例えばL値)を入力し、入力された第1色彩値ごとに第3インク値(例えばCMYK値)を取得する。第3インク値取得部33は、シミュレーションICCプロファイルを使って、デバイス非依存の色空間の第1色彩値(ここではL値)をデバイス依存の印刷データの第3インク値(ここではCMYK値)に変換する。
【0049】
ステップS440において、ハーフトーン処理部24は、ハーフトーン処理を行う。即ち、ハーフトーン処理部24は、第3インク値をインクのドットデータに変換する。
【0050】
ステップS450において、ラスタライズ処理部25は、ハーフトーン処理部24で作成されたドットデータをパス毎のデータに変換する。第3印刷部36は、ラスタライズ処理部25で作成されたパス毎のドットデータに基づいて第2画像を印刷する。即ち、第3印刷部36は、第3インク値に基づいて第2画像を印刷する。なお、ステップS450において第3インク値に基づいて印刷された第2画像の発色と、ステップS120において第2インク値に基づいて印刷された第2画像の発色とは近いものとなる。
【0051】
以上のように、本実施形態の色合わせ方法によると、第2入力ICCプロファイルのA2Bテーブルに画像データのインク値を入力する。ここで、第2入力ICCプロファイルは、第1のプリンタによって第1画像を印刷するときの全ての要素を含めた色特性を表す。このため、第2のプリンタ20で使用されている第2出力ICCプロファイルのB2Aテーブルに入力される第2色彩値は、第1のプリンタ10の複合色彩値と同じになる。これにより、第2のプリンタ20が第2インク値を用いて印刷した第2画像の発色と、第1のプリンタ10が第1インク値を用いて印刷した第1画像の発色が同じかより近い関係になり得る。即ち、第1のプリンタ10によって印刷される第1画像と、第2のプリンタ20によって印刷される第2画像との色合わせを精度よく行うことができる。なお、ここでは第2画像の発色を第1画像の発色に合わせている。
【0052】
本実施形態の色合わせ方法は、画像データのインク値に基づいて第2のプリンタ20によって第2画像を印刷することと、インク値に基づいて印刷された第2画像を測色して、第2のプリンタ20の第3色彩値を取得することと、画像データおよび第3色彩値に基づいて、第2出力ICCプロファイルを作成することと、を含む。これにより、第2のプリンタ20の色のばらつきを除き、色合わせ精度を最大限に確保することができる。
【0053】
本実施形態の印刷システム100によると、第2インク値取得部23は、第2入力ICCプロファイルのA2Bテーブルに画像データのインク値を入力する。ここで、第2入力ICCプロファイルは、画像データと、第1のプリンタ10によって印刷された第1画像を測色して取得された複合色彩値とに基づいて作成されている。即ち、第2入力ICCプロファイルは、第1のプリンタ10によって第1画像を印刷するときの全ての要素を含めた色特性を表す。このため、第2出力ICCプロファイルのB2Aテーブルに入力される第2色彩値は、複合色彩値と同じになる。これにより、第2のプリンタ20が第2インク値を用いて印刷した第2画像の発色と、第1のプリンタ10が第1インク値を用いて印刷した第1画像の発色が同じかより近い関係になり得る。即ち、第2印刷部26は、第1のプリンタ10の第1印刷部16によって印刷される第1画像の発色に合わせた第2画像を印刷することができる。
【0054】
本実施形態の印刷システム100によると、第2出力ICCプロファイルは、画像データと、インク値に基づいて第2のプリンタ20によって印刷された第2画像を測色して取得された第3色彩値と、に基づいて作成されていることを特徴とする。これにより、第2のプリンタ20の色ばらつきを除き、色合わせ精度を最大限に確保することができる。
【0055】
本実施形態の印刷システム100によると、第2のプリンタ20は、第2出力ICCプロファイルおよびシミュレーションICCプロファイルのいずれかを選択する選択部38を含む。選択部38によってシミュレーションICCプロファイルが選択されることで、第2画像の発色について、第1のプリンタ10および第2のプリンタ20の色特性を反映させることができる。これにより、色合わせ印刷のワークフローをユーザの都合に合わせて選択することができる。
【0056】
以上、本発明の好適な実施形態について説明した。しかし、上述の各実施形態は例示に過ぎず、本発明は他の種々の形態で実施することができる。
【符号の説明】
【0057】
10 第1のプリンタ
12 第1色彩値取得部
13 第1インク値取得部
16 第1印刷部
20 第2のプリンタ
22 第2色彩値取得部
23 第2インク値取得部
26 第2印刷部
32 第3色彩値取得部(他の第1色彩値取得部)
33 第3インク値取得部
36 第3印刷部
38 選択部
40 コンピュータ
50 測色器
100 印刷システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7