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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】工作機械
(51)【国際特許分類】
   B23Q 3/157 20060101AFI20240501BHJP
【FI】
B23Q3/157 E
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020099802
(22)【出願日】2020-06-09
(65)【公開番号】P2021192943
(43)【公開日】2021-12-23
【審査請求日】2023-04-05
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】石山 尚弥
【審査官】荻野 豪治
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第4312111(US,A)
【文献】特開2004-160595(JP,A)
【文献】米国特許第4699276(US,A)
【文献】実開昭61-131242(JP,U)
【文献】特開平11-77466(JP,A)
【文献】実開平4-51340(JP,U)
【文献】米国特許第6102840(US,A)
【文献】実公昭49-39241(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 3/157
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周回軌道に沿って複数の切削工具を周回させる工具マガジンと、
前記周回軌道の工具交換位置で停止する前記切削工具を前記工具マガジンから取り出して主軸に取り付ける工具交換部と、
を備える工作機械であって、
前記工具マガジンは、
前記周回軌道を形成するガイドと、
工具先端を鉛直下方向に向けて前記切削工具を把持する複数の把持部と、
前記把持部毎に設けられ、前記ガイドの上面に接触することによって前記把持部を懸下した状態で支持しつつ前記周回軌道に沿って移動可能な複数の支持部と、
前記把持部と前記ガイドとの間に、前記把持部が前記ガイドに接触することを防止するストッパと、
を備え、
前記把持部及び前記支持部の全体の重心を通る鉛直線が、前記支持部を鉛直上方向から前記ガイドに対して投影したときに前記ガイドに形成される投影領域を通る、工作機械。
【請求項2】
請求項1に記載の工作機械であって、
前記支持部は、前記ガイドの上面に接触しつつ転動する転動部材を有する、工作機械。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の工作機械であって、
前記工具マガジンは、複数の前記把持部を支持し、前記周回軌道に沿って移動する連結部材を備える、工作機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切削工具を保持する工具マガジンと、切削工具を工具マガジンから取り出して主軸に取り付ける工具交換部と、を備える工作機械に関する。
【背景技術】
【0002】
切削加工を行う工作機械は、主軸に取り付けられる切削工具を交換するATC(自動工具交換装置)を備える。一例として、ATCは、工具マガジン及び工具交換部を備える。工具マガジンは、複数の切削工具を保持する。工具交換部は、これから使用する切削工具を工具マガジンから取り出して主軸に取り付けると共に、使用し終わった切削工具を主軸から取り外して工具マガジンに戻す。
【0003】
特許文献1には、工具先端を鉛直下方向に向けて切削工具を保持する工具マガジンが示される。特許文献1の工具マガジンは、周回軌道を形成するガイド(レール台座)と、切削工具を把持する複数の把持部(円筒部材)と、ガイドに接触することによって把持部を懸下した状態で支持しつつ周回軌道に沿って移動可能な複数のローラ(軸受)と、を備える。ローラは、把持部の上部と側部に設けられ、ガイドに接触して転動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-223663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の工具マガジンにおいて、把持部の側部に設けられるローラとガイドとの接触点には常にモーメント荷重が発生する。更に、切削工具が把持部から取り外される際に、モーメント荷重は大きくなる。また、切削工具が把持部に挿入される際には、逆方向のモーメント荷重が発生する。モーメント荷重が継続して発生すると、ローラ及びガイドは早期に破損する。特許文献1の工具マガジンは、1つの接触点に発生するモーメント荷重を低減するために、把持部の側部に2つのローラを備える。しかし、ローラの数を増やすと、工具マガジンのコストが上昇するだけでなく、工具マガジンの組立てが難しくなる。
【0006】
そこで、本発明は、少ない部品点数で工具マガジンの破損を抑制することができる工作機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様は、周回軌道に沿って複数の切削工具を周回させる工具マガジンと、前記周回軌道の工具交換位置で停止する前記切削工具を前記工具マガジンから取り出して主軸に取り付ける工具交換部と、を備える工作機械であって、前記工具マガジンは、前記周回軌道を形成するガイドと、工具先端を鉛直下方向に向けて前記切削工具を把持する複数の把持部と、前記把持部毎に設けられ、前記ガイドの上面に接触することによって前記把持部を懸下した状態で支持しつつ前記周回軌道に沿って移動可能な複数の支持部と、を備え、前記把持部及び前記支持部の全体の重心を通る鉛直線が、前記支持部を鉛直上方向から前記ガイドに対して投影したときに前記ガイドに形成される投影領域を通る。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、少ない部品点数で工具マガジンの破損を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は工作機械を示す正面図である。
図2図2は工作機械を示す側面図である。
図3図3は第1実施形態による工具マガジンの一部の構造を示す平面図である。
図4図4は第1実施形態による工具マガジンの一部の構造を示す断面図である。
図5図5A図5Eは切削工具の交換手順を示す図である。
図6図6は第2実施形態による工具マガジンの一部の構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明による工作機械について、好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下に詳細に説明する。
【0011】
[1.第1実施形態]
[1.1.工作機械10の構成]
第1実施形態による工作機械10について図面を用いて説明する。図1は、工作機械10を示す正面図である。図2は、工作機械10を示す側面図である。図1及び図2は、立型の工作機械10を示す。
【0012】
工作機械10の主軸12には、切削工具16が着脱可能に取り付けられる。工作機械10は、切削工具16によって不図示の加工対象物(ワーク)を加工する。
【0013】
工作機械10には、主軸12を備える主軸頭14と、主軸頭14を上下方向に移動させるコラム18と、主軸12の下方で加工対象物を支持するテーブル20と、が備えられる。また、工作機械10には、テーブル20をX方向及びY方向に移動させる不図示の移動機構が備えられる。X方向とY方向は互いに直交する。また、X方向及びY方向に直交する方向をZ方向とする。重力が働く方向である鉛直下方向は-Z方向であり、鉛直上方向は+Z方向である。主軸12の回転軸は、Z方向に対して平行である。主軸12のZ方向への移動と、テーブル20のX方向及びY方向への移動とによって、工作機械10は、加工対象物に対して3次元の加工を行うことができる。
【0014】
テーブル20は、サドル22によって支持される。テーブル20には、当該テーブル20をサドル22に対してX方向に移動させる不図示のX軸用移動機構が備えられる。このため、テーブル20は、サドル22に対してX軸方向に移動し得る。サドル22は、ベッド24によって支持される。サドル22には、当該サドル22をベッド24に対してY軸方向に移動させる不図示のY軸用移動機構が備えられる。このため、サドル22は、ベッド24に対してY軸方向に移動し得る。こうして、テーブル20は、ベッド24に対してXY方向に移動し得る。Y軸用移動機構及びX軸用移動機構には、周知のものを用い得る。
【0015】
工作機械10には、主軸12に取り付けられる切削工具16を交換するATC(自動工具交換装置)30が備えられる。ATC30には、工具マガジン32と工具交換部34とが備えられる。工具マガジン32は、主軸12及び主軸頭14の側方(+X方向側)に配置される。工具交換部34は、主軸12及び主軸頭14と工具マガジン32との間に配置される。工具マガジン32は、複数の切削工具16を保持しつつ、周回軌道に沿って複数の切削工具16を周回させる。工具交換部34は、周回軌道の工具交換位置CPで停止する切削工具16を工具マガジン32から取り出して主軸12に取り付ける。以下では、主軸12に取り付けられている切削工具16を装着工具16aと称し、工具マガジン32で保持されている切削工具16を待機工具16wと称する。
【0016】
工具マガジン32について図3及び図4を用いて説明する。図3は、第1実施形態による工具マガジン32の一部の構造を示す平面図である。図4は、第1実施形態による工具マガジン32の一部の構造を示す断面図である。図4に示される断面は、図3のIV-IV断面である。工具マガジン32には、ガイド40と、複数の工具保持部42と、チェーン(連結部材)44と、駆動輪46と、が備えられる。
【0017】
ガイド40は、XY平面に沿って周回する環形状を呈する。ガイド40は、Y方向に対して平行となり且つX方向及びZ方向に対して垂直となる2つの直線部48と、2つの直線部48の+Y方向側の端部同士及び-Y方向側の端部同士を接続する2つの曲線部50と、を有する。ガイド40は、工具保持部42の軌道である周回軌道を形成する。
【0018】
図4に示されるように、工具保持部42は、把持部52と支持部54とを有する。把持部52は、待機工具16wの工具先端16tを鉛直下方向(-Z方向)に向けた状態で待機工具16wを把持する。把持部52には、下方に向けて開口する把持穴56が形成される。把持穴56には、待機工具16wのうち工具先端16tと反対側に位置する被把持部16gが挿入される。把持部52は、把持穴56に挿入された被把持部16gを周知の手法によって把持する。
【0019】
支持部54は、サスペンダー58と軸部材60とローラ62とを有する。サスペンダー58は、把持部52の上部からガイド40を超えて上方に延びる。軸部材60は、サスペンダー58の上端部から工具保持部42の長手方向(図4ではZ方向)と直交する方向(図4では+X方向)に突出する。ローラ62は、軸部材60に取り付けられる。ローラ62は、ガイド40の上面40uに接触して転動可能である。支持部54は、把持部52を懸下した状態で支持する。なお、ガイド40の上面40uに溝が形成され、ローラ62が溝の底面に接触して転動してもよい。
【0020】
工具保持部42の重心68を通る鉛直線70は、ローラ62を鉛直上方向からガイド40に対して投影したときに上面40uに形成される投影領域を通る。また、把持部52が待機工具16wの被把持部16gを把持しているときに、工具保持部42及び待機工具16wの全体の重心68´を通る鉛直線70は、ローラ62を鉛直上方向からガイド40に対して投影したときに上面40uに形成される投影領域を通る。第1実施形態では、重心68、68´を通る鉛直線70は、ガイド40の上面40uとローラ62との接触部分72を通る。なお、狭義の重心68とは、工具保持部42の質量中心点のことをいう。広義の重心68とは、質量中心点を中心とする所定半径の領域のことをいう。
【0021】
把持部52の上面には、ストッパ64が取り付けられる。ストッパ64は、樹脂で形成されており、被把持部16gが下方から把持穴56に挿入されるときに、把持部52とガイド40とが直接接触することを防止する。ストッパ64とガイド40との間には隙間が設けられる。なお、ストッパ64は、ガイド40に取り付けられてもよい。
【0022】
把持部52の側面のうち周回軌道の内側に向けられる側面(図4では+X方向側)には、ブラケット66が取り付けられる。ブラケット66は、把持部52とチェーン44とを接続する。
【0023】
図3に示されるように、チェーン44は、ガイド40に沿って周回する。チェーン44の外側には、複数の把持部52がブラケット66を介して取り付けられる。把持部52同士は等間隔に配置される。一方、チェーン44の内側には、駆動輪46が噛合う。駆動輪46は、不図示の減速装置を介して不図示のチェーン駆動モータの出力軸に連結される。駆動輪46の回転軸は、Z方向に対して平行である。
【0024】
工具交換部34について図1及び図2を用いて説明する。工具交換部34には、チェンジャーアーム80と、ロッド82と、不図示の駆動装置と、が備えられる。チェンジャーアーム80は、ロッド82の下端に取り付けられる。チェンジャーアーム80は、長手方向の両端に切削工具16を把持するアーム端部84a、84bを有する。
【0025】
[1.2.ATC30の動作]
ATC30の動作を説明する。ATC30の動作は、不図示のコントローラによって制御される。
【0026】
コントローラは、工具マガジン32に設けられる不図示のチェーン駆動モータを一方向に回転させる。チェーン駆動モータの回転に伴い、駆動輪46が回転する。すると、駆動輪46に噛合うチェーン44及び複数の工具保持部42は、周回軌道に沿って一方向、例えば図3の矢視H方向に移動する。コントローラは、次に主軸12に取り付ける待機工具16wを保持する工具保持部42が工具交換位置CPまで移動したときに、チェーン駆動モータを停止させる。
【0027】
コントローラは、工具交換部34に設けられる不図示の駆動装置を動作させることによってロッド82及びチェンジャーアーム80を動作させる。図5Aに示されるように、最初に、チェンジャーアーム80は、Y方向(図1等)と平行する。このとき、一方のアーム端部84aは、-Y方向に向けられ、他方のアーム端部84bは、+Y方向に向けられる。
【0028】
コントローラは、図5Aの矢視Aで示されるように、ロッド82及びチェンジャーアーム80をXY平面に沿って略90度回転させる。すると、工作機械10の状態は、図5Aに示される状態から図5Bに示される状態に遷移する。一方のアーム端部84aは、待機工具16wの位置に到達した後に待機工具16wを把持する。他方のアーム端部84bは、装着工具16aの位置に到達した後に装着工具16aを把持する。
【0029】
次に、コントローラは、図5Bの矢視Bで示されるように、ロッド82及びチェンジャーアーム80を下方向に移動させる。すると、工作機械10の状態は、図5Bに示される状態から図5Cに示される状態に遷移する。一方のアーム端部84aは、待機工具16wを工具マガジン32から取り外し、他方のアーム端部84bは、装着工具16aを主軸12から取り外す。
【0030】
次に、コントローラは、図5Cの矢視Cで示されるように、ロッド82及びチェンジャーアーム80をXY平面に沿って略180度回転させる。すると、工作機械10の状態は、図5Cに示される状態から図5Dに示される状態に遷移する。このとき、チェンジャーアーム80の一方のアーム端部84aは、主軸12の下方に位置し、チェンジャーアーム80の他方のアーム端部84bは、工具交換位置CPの下方に位置する。
【0031】
次に、コントローラは、図5Dの矢視Dで示されるように、ロッド82及びチェンジャーアーム80を上方向に移動させる。すると、工作機械10の状態は、図5Dに示される状態から図5Eに示される状態に遷移する。ロッド82及びチェンジャーアーム80の移動後、一方のアーム端部84aは待機工具16wを主軸12に取り付け、他方のアーム端部84bは装着工具16aを工具マガジン32の把持部52に挿入する。
【0032】
次に、コントローラは、図5Eの矢視Eで示されるように、ロッド82及びチェンジャーアーム80をXY平面に沿って略90度回転させる。すると、工作機械10の状態は、図5Eに示される状態から図5Aに示される状態に遷移する。以上で切削工具16の交換は終了する。
【0033】
第1実施形態において、工具保持部42のうちガイド40に対して接触するのは、1つのローラ62のみである。工具保持部42が待機工具16wを保持しているときに、ローラ62とガイド40との接触部分72には、工具保持部42の自重及び待機工具16wの自重が作用する一方で、モーメント荷重は作用しない。また、図5Bに示される工程の際、すなわち、待機工具16wが把持部52から取り外される際に、工具保持部42は下方に引っ張られる。このとき、ローラ62とガイド40との接触部分72には、工具保持部42の自重と、下方に引っ張られるときに発生する荷重と、が作用する一方で、モーメント荷重は作用しない。更に、図5Dに示される工程の際、すなわち、装着工具16aが把持部52に挿入される際に、工具保持部42は上方に押し上げられる。このとき、ローラ62とガイド40との接触部分72には、モーメント荷重は発生しない。つまり、第1実施形態によれば、1つのローラ62を有する支持部54によって工具保持部42を支持することができ、更に、モーメント荷重に起因するローラ62及びガイド40の破損が抑制される。
【0034】
また、図5Dに示される工程の際、すなわち、装着工具16aが把持部52に挿入される際に、ストッパ64が把持部52とガイド40との接触を防止する。従って、第1実施形態によれば、接触に起因する把持部52及びガイド40の破損が抑制される。
【0035】
[2.第2実施形態]
[2.1.工作機械の構成]
第2実施形態による工作機械10について図6を用いて説明する。図6は、第2実施形態による工具マガジン32の一部の構造を示す断面図である。図6に示される断面は、図3のIV-IV断面である。第1実施形態による工作機械10と同一の構成要素には、同一の符号を付して説明を省略又は簡潔にする。
【0036】
第2実施形態では、第1実施形態の軸部材60及びローラ62の代わりにプランジャ90が設けられる。プランジャ90は、筒体92と、バネ94と、スペーサ96と、ボール98と、を有する。筒体92には収納孔100が形成される。収納孔100には、バネ94、スペーサ96、ボール98が収納される。バネ94の一端は収納孔100の底部に当接し、バネ94の他端はスペーサ96に当接する。バネ94は、スペーサ96を介してボール98を収納孔100の外部の方向に向けて押す。ボール98の先端は、収納孔100からガイド40の上面40uに向けて突出する。ボール98は、ガイド40の上面40uに接触して転動可能である。第1実施形態と同様に、プランジャ90を備える支持部54は、把持部52を懸下した状態で支持する。なお、ガイド40の上面40uに溝が形成され、ボール98が溝の底面に接触して転動してもよい。
【0037】
工具保持部42の重心68を通る鉛直線70は、プランジャ90を鉛直上方向からガイド40に対して投影したときに上面40uに形成される投影領域を通る。また、把持部52が待機工具16wの被把持部16gを把持しているときに、工具保持部42及び待機工具16wの全体の重心68´を通る鉛直線70は、プランジャ90を鉛直上方向からガイド40に対して投影したときに上面40uに形成される投影領域を通る。第2実施形態では、重心68、68´を通る鉛直線70は、ガイド40の上面40uとボール98との接触部分72を通る。
【0038】
第2実施形態によれば、1つのプランジャ90を有する支持部54によって工具保持部42を支持することができる。
【0039】
[3.他の実施形態]
工作機械10は、テーブル20がX方向及びY方向に移動するタイプではなく、主軸12(主軸頭14)がX方向及びY方向に移動するタイプであってもよい。
【0040】
[4.実施形態から得られる発明]
上記実施形態から把握しうる発明について、以下に記載する。
【0041】
本発明の態様は、周回軌道に沿って複数の切削工具(16)を周回させる工具マガジン(32)と、前記周回軌道の工具交換位置(CP)で停止する前記切削工具を前記工具マガジンから取り出して主軸(12)に取り付ける工具交換部(34)と、を備える工作機械(10)であって、前記工具マガジンは、前記周回軌道を形成するガイド(40)と、工具先端(16t)を鉛直下方向に向けて前記切削工具を把持する複数の把持部(52)と、前記把持部毎に設けられ、前記ガイドの上面(40u)に接触することによって前記把持部を懸下した状態で支持しつつ前記周回軌道に沿って移動可能な複数の支持部(54)と、を備え、前記把持部及び前記支持部の全体の重心(68)を通る鉛直線(70)が、前記支持部を鉛直上方向から前記ガイドに対して投影したときに前記ガイドに形成される投影領域を通る。
【0042】
本発明の態様において、前記支持部は、前記ガイドの上面に接触しつつ転動する転動部材(62、98)を有していてもよい。
【0043】
本発明の態様において、前記工具マガジンは、前記把持部と前記ガイドとの間に、前記把持部が前記ガイドに接触することを防止するストッパ(64)を備えてもよい。
【0044】
本発明の態様において、前記工具マガジンは、複数の前記把持部を支持し、前記周回軌道に沿って移動する連結部材(44)を備えてもよい。
【0045】
なお、本発明に係る工作機械は、前述の実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0046】
10…工作機械 12…主軸
16…切削工具 16a…装着工具
16t…工具先端 16w…待機工具
32…工具マガジン 34…工具交換部
40…ガイド 40u…上面
44…チェーン(連結部材) 52…把持部
54…支持部 62…ローラ(転動部材)
64…ストッパ 68…重心
70…鉛直線 72…接触部分
98…ボール(転動部材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6