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特許7481189捕獲監視システム、捕獲対象の監視方法およびセンサ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】捕獲監視システム、捕獲対象の監視方法およびセンサ装置
(51)【国際特許分類】
   A01M 23/00 20060101AFI20240501BHJP
   H04W 24/10 20090101ALI20240501BHJP
   H04W 4/38 20180101ALI20240501BHJP
   H04W 52/02 20090101ALI20240501BHJP
【FI】
A01M23/00 Z
H04W24/10
H04W4/38
H04W52/02 110
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020126924
(22)【出願日】2020-07-28
(65)【公開番号】P2022024378
(43)【公開日】2022-02-09
【審査請求日】2023-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】500103199
【氏名又は名称】マクセルフロンティア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高野 響
(72)【発明者】
【氏名】渡部 隆博
(72)【発明者】
【氏名】中島 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】青木 智美
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 貴司
【審査官】星野 浩一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-088030(JP,A)
【文献】特開2011-250723(JP,A)
【文献】特開2020-103285(JP,A)
【文献】特開2019-128747(JP,A)
【文献】特開平02-161600(JP,A)
【文献】特開2006-311290(JP,A)
【文献】特開2018-153106(JP,A)
【文献】特開平07-274799(JP,A)
【文献】特開2013-118677(JP,A)
【文献】特開2013-085154(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 23/00
H04W 24/10
H04W 4/38
H04W 52/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
罠に搭載されるセンサ装置と、
サーバ装置と、
前記センサ装置と前記サーバ装置との間の通信を中継する基地局と、
を有する捕獲監視システムであって、
前記センサ装置は、
前記センサ装置に電力を供給する電源と、
捕獲対象が前記罠に捕獲されたことを検出し、検出した時点で捕獲検出信号をアサートする捕獲センサと、
前記センサ装置全体を制御するコントローラと、
予め定めたタイマ期間毎にタイムアウト信号をアサートするタイマと、
前記基地局を介して前記サーバ装置と無線通信を行う無線通信機と、
オンに制御された際に、前記電源からの電力を前記無線通信機に供給する第1の電源スイッチと、
を有し、
前記コントローラは、前記捕獲検出信号と前記タイムアウト信号とを監視し、前記捕獲検出信号または前記タイムアウト信号のいずれか一方がアサートされた時点となる条件成立時に、オフの前記第1の電源スイッチを一時的にオンに制御し、
前記無線通信機は、前記第1の電源スイッチのオンの期間で、所定の送信データを送信する、
捕獲監視システム。
【請求項2】
請求項1記載の捕獲監視システムにおいて、
前記コントローラは、前記コントローラの電力モードを、通常電力モード、または、前記通常電力モードよりも消費電力が小さい低消費電力モードに定める電力モード制御部を備え、前記条件成立時に、前記低消費電力モードから一時的に前記通常電力モードへ遷移する、
捕獲監視システム。
【請求項3】
請求項1記載の捕獲監視システムにおいて、
前記センサ装置は、さらに、
前記センサ装置の位置を測位し、測位結果となる位置データを出力する衛星測位受信機と、
オンに制御された際に、前記電源からの電力を前記衛星測位受信機に供給する第2の電源スイッチと、
を有し、
前記コントローラは、前記第2の電源スイッチを一時的にオンに制御することで前記衛星測位受信機から前記位置データを取得する、
捕獲監視システム。
【請求項4】
請求項3記載の捕獲監視システムにおいて、
前記コントローラは、
前記第2の電源スイッチを一時的にオンに制御することで前記衛星測位受信機からの前記位置データを取得し、前記位置データをメモリに格納する初期動作部と、
前記第2の電源スイッチをオフに維持した状態で前記捕獲検出信号と前記タイムアウト信号とを監視し、前記条件成立時に、オフの前記第1の電源スイッチを一時的にオンに制御する通常動作部と、
を有し、
前記コントローラは、前記センサ装置に前記電源が投入された際に、前記初期動作部を動作させたのち前記通常動作部を動作させるようにシーケンスを制御する、
捕獲監視システム。
【請求項5】
請求項3記載の捕獲監視システムにおいて、
前記無線通信機は、前記条件成立時の一つである前記捕獲検出信号がアサートされた場合、前記衛星測位受信機から取得した前記位置データを含む捕獲通知データを前記第1の電源スイッチのオンの期間で前記サーバ装置へ送信し、
前記サーバ装置は、前記捕獲通知データを前記基地局を介して受信した際に、予め登録されたユーザへ捕獲通知メールを送信する、
捕獲監視システム。
【請求項6】
請求項1記載の捕獲監視システムにおいて、
前記センサ装置は、さらに、前記電源の電圧値を計測する電圧センサを有し、
前記無線通信機は、前記第1の電源スイッチのオンの期間で、前記電圧センサの計測結果に基づいて得られる電源電圧データを前記サーバ装置へ送信する、
捕獲監視システム。
【請求項7】
請求項6記載の捕獲監視システムにおいて、
前記サーバ装置は、前記基地局を介して受信した前記電源電圧データに基づき、前記電源の電圧値が予め定めた低電圧閾値よりも低い場合、予め登録されたユーザへ低電圧警告メールを送信する、
捕獲監視システム。
【請求項8】
請求項1記載の捕獲監視システムにおいて、
前記無線通信機は、前記第1の電源スイッチのオンの期間で、電波強度を計測し、計測結果から得られる電波強度データを前記サーバ装置へ送信する、
捕獲監視システム。
【請求項9】
罠に搭載されるセンサ装置と、サーバ装置と、前記センサ装置と前記サーバ装置との間の無線通信を中継する基地局とを有する捕獲監視システムを用いた捕獲対象の監視方法であって、
前記センサ装置は、前記センサ装置に電力を供給する電源と、前記基地局を介して前記サーバ装置と無線通信を行う無線通信機と、を有し、
前記監視方法は、
前記センサ装置が、捕獲対象が前記罠に捕獲されたことを検出し、検出した時点で捕獲検出信号をアサートする第1のステップと、
前記センサ装置が、予め定めたタイマ期間毎にタイムアウト信号をアサートする第2のステップと、
前記センサ装置が、前記捕獲検出信号または前記タイムアウト信号のいずれか一方がアサートされた時点となる条件成立時に、前記電源からの電力を一時的に前記無線通信機に供給するように制御する第3のステップと、
前記無線通信機が、前記第3のステップによる電力の供給期間で、所定の送信データを送信する第4のステップと、
を有する、
捕獲対象の監視方法。
【請求項10】
請求項9記載の捕獲対象の監視方法において、
前記センサ装置は、通常電力モード、または、前記通常電力モードよりも消費電力が小さい低消費電力モードで動作し、
前記第3のステップでは、前記センサ装置は、前記条件成立時に前記低消費電力モードから一時的に前記通常電力モードへ遷移する、
捕獲対象の監視方法。
【請求項11】
請求項9記載の捕獲対象の監視方法において、
前記センサ装置は、さらに、前記センサ装置の位置を測位し、測位結果となる位置データを出力する衛星測位受信機を有し、
前記監視方法は、さらに、前記センサ装置が、前記電源からの電力を一時的に前記衛星測位受信機に供給するように制御する第5のステップを有し、
前記第5のステップは、前記センサ装置に前記電源が投入された際に実行され、
前記第1のステップ、前記第2のステップ、前記第3のステップおよび前記第4のステップは、前記第5のステップののちに実行される、
捕獲対象の監視方法。
【請求項12】
請求項9記載の捕獲対象の監視方法において、
さらに、前記センサ装置が、前記電源の電圧値を計測し、計測結果に基づいて電源電圧データを生成する第6のステップを有し、
前記第4のステップでは、前記無線通信機は、前記電源電圧データを前記サーバ装置へ送信する、
捕獲対象の監視方法。
【請求項13】
請求項12記載の捕獲対象の監視方法において、
さらに、前記基地局を介して前記電源電圧データを受信した前記サーバ装置が、前記電源の電圧値が予め定めた低電圧閾値よりも低い場合に、予め登録されたユーザへ低電圧警告メールを送信する第7のステップを有する、
捕獲対象の監視方法。
【請求項14】
請求項11記載の捕獲対象の監視方法において、
前記第3のステップで前記条件成立時の一つである前記捕獲検出信号がアサートされた場合、前記第4のステップにおいて、前記無線通信機は、前記衛星測位受信機から取得した前記位置データを含む捕獲通知データを前記サーバ装置へ送信し、
前記監視方法は、さらに、前記捕獲通知データを前記基地局を介して受信した前記サーバ装置が、予め登録されたユーザへ捕獲通知メールを送信する第8のステップを有する、
捕獲対象の監視方法。
【請求項15】
罠に搭載されるセンサ装置であって、
前記センサ装置に電力を供給する電源と、
捕獲対象が前記罠に捕獲されたことを検出し、検出した時点で捕獲検出信号をアサートする捕獲センサと、
前記センサ装置全体を制御するコントローラと、
予め定めたタイマ期間毎にタイムアウト信号をアサートするタイマと、
外部との無線通信を行う無線通信機と、
オンに制御された際に、前記電源からの電力を前記無線通信機に供給する第1の電源スイッチと、
を有し、
前記コントローラは、前記捕獲検出信号と前記タイムアウト信号とを監視し、前記捕獲検出信号または前記タイムアウト信号のいずれか一方がアサートされた時点となる条件成立時に、オフの前記第1の電源スイッチを一時的にオンに制御し、
前記無線通信機は、前記第1の電源スイッチのオンの期間で、所定の送信データを送信する、
センサ装置。
【請求項16】
請求項15記載のセンサ装置において、
前記コントローラは、前記コントローラの電力モードを、通常電力モード、または、前記通常電力モードよりも消費電力が小さい低消費電力モードに定める電力モード制御部を備え、前記条件成立時に、前記低消費電力モードから一時的に前記通常電力モードへ遷移する、
センサ装置。
【請求項17】
請求項15記載のセンサ装置において、さらに、
前記センサ装置の位置を測位し、測位結果となる位置データを出力する衛星測位受信機と、
オンに制御された際に、前記電源からの電力を前記衛星測位受信機に供給する第2の電源スイッチと、
を有し、
前記コントローラは、前記第2の電源スイッチを一時的にオンに制御することで前記衛星測位受信機から前記位置データを取得する、
センサ装置。
【請求項18】
請求項17記載のセンサ装置において、
前記コントローラは、
前記第2の電源スイッチを一時的にオンに制御することで前記衛星測位受信機からの前記位置データを取得し、前記位置データをメモリに格納する初期動作部と、
前記第2の電源スイッチをオフに維持した状態で前記捕獲検出信号と前記タイムアウト信号とを監視し、前記条件成立時に、オフ状態の前記第1の電源スイッチを一時的にオンに制御する通常動作部と、
を有し、
前記コントローラは、前記センサ装置に前記電源が投入された際に、前記初期動作部を動作させたのち前記通常動作部を動作させるようにシーケンスを制御する、
センサ装置。
【請求項19】
請求項17記載のセンサ装置において、
前記無線通信機は、前記条件成立時の一つである前記捕獲検出信号がアサートされた場合に、前記衛星測位受信機からの前記位置データを含む捕獲通知データを前記第1の電源スイッチのオンの期間で外部へ送信する、
センサ装置。
【請求項20】
請求項15記載のセンサ装置において、
さらに、前記電源の電圧値を計測する電圧センサを有し、
前記無線通信機は、前記第1の電源スイッチのオンの期間で、前記電圧センサの計測結果に基づいて得られる電源電圧データを外部へ送信する、
センサ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、害獣等の捕獲対象に対する捕獲監視システム、捕獲対象の監視方法およびセンサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、センサおよび無線通信機能部等を含み、バッテリで動作する箱罠と、箱罠と無線通信を行う中継局とを備えたシステムにおいて、鳥獣を捕獲したことを検出した後のバッテリ消費を抑える方式が示される。具体的には、中継局は、鳥獣が捕獲される前は、第1スケジュール情報を基に起動および停止を繰り返すことで箱罠との無線通信を実行する。一方、中継局は、鳥獣が捕獲された後は、捕獲時刻から停止時刻までの時間間隔と、停止してから起動するまでの時間間隔とを定義した第2スケジュール情報を生成し、箱罠にスケジュール情報の更新を行わせる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-153106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
イノシシ等の害獣による農作物被害を効率的に防止するため、IoT(Internet of Things)の活用が進んでいる。その一つとして、特許文献1に示されるように、センサ、無線通信機能部、および電池等を搭載した箱罠を用いる方式が知られている。このような箱罠は、中山間地域に仕掛けられる場合が多く、また、近年では、狩猟者の高齢化が進んでいる。このため、狩猟者にとって、箱罠の電池交換を行うことは、大きな負担となり得る。
【0005】
そこで、例えば、特許文献1のように、無線通信機能部の起動および停止を繰り返すことで、箱罠の省電力化を図ることが考えられる。しかし、このような方式を用いた場合であっても、省電力化が不十分となる恐れがある。例えば、特許文献1の方式では、箱罠は、害獣が捕獲される前の期間で、中継局からのデータ要求に応答する形で中継局との間で定期的なデータ通信を行っている。この場合、中継局からのデータ要求を確実に受信するため、無線通信機能部のオン期間をある程度長めに確保する必要がある。
【0006】
本発明は、このようなことに鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、消費電力を低減可能な捕獲監視システム、捕獲対象の監視方法およびセンサ装置を提供することにある。
【0007】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴については、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施の態様では、センサ装置に、センサ装置に電力を供給する電源と、捕獲対象が罠に捕獲されたことを検出し、検出した時点で捕獲検出信号をアサートする捕獲センサと、センサ装置全体を制御するコントローラと、予め定めたタイマ期間毎にタイムアウト信号をアサートするタイマと、外部との無線通信を行う無線通信機と、オンに制御された際に、電源からの電力を無線通信機に供給する第1の電源スイッチと、を設け、コントローラは、捕獲検出信号とタイムアウト信号とを監視し、捕獲検出信号またはタイムアウト信号のいずれか一方がアサートされた時点となる条件成立時に、オフの第1の電源スイッチを一時的にオンに制御し、無線通信機は、第1の電源スイッチのオンの期間で、所定の送信データを送信する、ように構成されればよい。
【発明の効果】
【0009】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、センサ装置の消費電力を低減することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施の形態による捕獲監視システムの構成例を示す概略図である。
図2A図1における罠の構成例および動作例を示す概略図である。
図2B図2Aとは異なる罠の構成例および動作例を示す概略図である。
図3図1におけるセンサ装置の構成例を示すブロック図である。
図4A図3における主コントローラ内の初期動作部の処理内容の一例を示すフロー図である。
図4B図3における主コントローラ内の通常動作部の処理内容の一例を示すフロー図である。
図5図1におけるサーバ装置の主要部の処理内容の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0012】
《捕獲監視システムの概略》
図1は、本発明の一実施の形態による捕獲監視システムの構成例を示す概略図である。図1に示す捕獲監視システム10は、管理者端末15と、ユーザ端末16と、通信網17と、サーバ装置18と、基地局19と、複数の中継器20[1],20[2],20[3]と、複数のセンサ装置22[1],22[2],22[3]とを備える。複数のセンサ装置22[1],22[2],22[3]]は、複数の罠21[1],21[2],21[3]にそれぞれ設置される。
【0013】
詳細は後述するが、複数のセンサ装置22[1],22[2],22[3]は、それぞれ、罠21[1],21[2],21[3]に捕獲対象(害獣、鳥獣)23が捕獲されたことを検出し、その旨を表す無線信号を外部へ送信する。明細書では、複数の罠21[1],21[2],21[3]を総称して罠21と呼び、複数のセンサ装置22[1],22[2],22[3]を総称してセンサ装置22と呼ぶ。また、複数の中継器20[1],20[2],20[3]を総称して中継器20と呼ぶ。
【0014】
サーバ装置18は、通信サーバやWebサーバ等である。サーバ装置18は、インターネット等の通信網17を介して管理者端末15やユーザ端末16と通信を行う。例えば、管理者端末15は、PC(Personal Computer)等であり、ユーザ端末16は、スマートフォン等のタブレット端末である。管理者端末15は、例えば、所定の捕獲組織等に設置される。ユーザ端末16は、狩猟者等によって使用される。詳細は後述するが、管理者端末15やユーザ端末16は、例えば、罠21に捕獲対象23が捕獲された際に、その旨を表すメール等を受信することが可能となっている。
【0015】
ここで、罠21は、例えば、携帯電話用の電波等が届かない中山間地域に仕掛けられる場合が多い。この場合、罠21からの無線信号をサーバ装置18へ届けることが困難となる。そこで、サーバ装置(通信サーバ)18、基地局19、中継器20、およびセンサ装置22によって、新たな無線通信網が形成される。基地局19は、センサ装置22とサーバ装置18との間の通信を中継する。この際に、中継器20は、センサ装置22と基地局19との間の通信を中継する。サーバ装置18は、当該無線通信網の管理等を行う。
【0016】
このような無線通信網の通信規格として、例えば、LPWAN(Low Power Wide Area Network)の規格の一つであるZETA規格が挙げられる。ZETA規格では、複数の中継器20によるマルチホップによって、無線通信網のエリアを拡大することが可能となっている。また、複数の中継器20によるメッシュネットワークによって、ある中継器20に故障が生じた場合に冗長経路を確保することが可能となっている。なお、センサ装置22は、例えば、基地局19との距離が近いような場合には、中継器20を介さずに基地局19と直接的に通信することも可能である。
【0017】
図2Aは、図1における罠の構成例および動作例を示す概略図であり、図2Bは、図2Aとは異なる罠の構成例および動作例を示す概略図である。図2Aには、例えば、木の周りに仕掛けられたくくり罠21aが示される。センサ装置22は、くくり罠21aとワイヤ33で接続され、例えば、木に結束ベルト等で固定される。センサ装置22は、本体部30と、センサ機構31と、無線通信用のアンテナ32とを備える。
【0018】
本体部30は、狩猟者による持ち運びや罠への設置等が容易なように、例えば、80×130×30(mm)程度の筐体で構成される。センサ機構31は、例えば、マグネットフックで構成され、初期状態では本体部30に吸着されている。ここで、くくり罠21aに捕獲された捕獲対象23が暴れると、ワイヤ33が引っ張られ、本体部30からセンサ機構31が外れる。これにより、センサ装置22は、捕獲対象23が捕獲されたことを検出する。
【0019】
図2Bには、箱罠21bが示される。センサ装置22は、箱罠21bの扉にワイヤ33で接続され、例えば、箱罠21bに結束ベルト等で固定される。ここで、箱罠21bに捕獲対象23が捕獲されることで扉が閉まると、ワイヤ33が引っ張られ、本体部30からセンサ機構31(例えばマグネットフック)が外れる。これにより、センサ装置22は、捕獲対象23が捕獲されたことを検出する。
【0020】
《センサ装置の構成》
図3は、図1におけるセンサ装置の構成例を示すブロック図である。図3に示すセンサ装置22は、電源40と、主コントローラ41と、捕獲センサ42と、無線通信機43と、衛星測位受信機44と、電源スイッチ45a,45bとを備える。電源40は、電池等であり、センサ装置22の各部に電源ライン46を介して電力を供給する。捕獲センサ42は、捕獲対象23が罠21に捕獲されたことを検出し、検出した時点で捕獲検出信号CPをネゲートレベルからアサートレベルにアサートする(言い換えれば、捕獲検出信号CPを出力する)。具体的には、捕獲センサ42は、例えば、接触センサや磁気センサ等であり、図2A等に示したように、センサ機構31が本体部30から外れたことを検出する。
【0021】
無線通信機43は、例えば、ZETA規格等に基づいて、外部と無線通信を行う。具体的には、無線通信機43は、基地局19、または中継器20および基地局19を介してサーバ装置18と無線通信を行う。衛星測位受信機44は、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機であり、センサ装置22の位置を測位し、測位結果となる位置データDTbを出力する。電源スイッチ45aは、オンに制御された際に、電源40から電源ライン46を介して伝送された電力を無線通信機43に供給する。同様に、電源スイッチ45bは、オンに制御された際に、電源40から電源ライン46を介して伝送された電力を衛星測位受信機44に供給する。なお、主コントローラ41および捕獲センサ42には、電源40からの電力が常時供給される。
【0022】
主コントローラ41は、代表的には、マイクロコントローラ(マイコン)であり、センサ装置22全体を制御する。ただし、主コントローラ41は、マイコンに限らず、例えば、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、またはこれらの組み合わせで構成されてもよい。図3における電源40を除く各部は、例えば、一つの配線基板上に実装され、図2A等に示した本体部30を構成する筐体内に収容される。
【0023】
主コントローラ41は、シーケンス制御部50と、タイマ51と、電圧センサ52と、メモリ53と、電力モード制御部54とを備える。タイマは、予め定めたタイマ期間毎にタイムアウト信号TOをアサートする(言い換えれば出力する)。タイマ期間は、例えば、数日間または1週間等である。電圧センサ52は、例えば、ADC(Analog to Digital Converter)または所定の電源監視回路等によって構成され、電源40の電圧値VDDを計測する。メモリ53は、例えば、不揮発性メモリおよび揮発性メモリの組み合わせで構成され、所定の制御プログラムや各種データ等を記憶する。
【0024】
シーケンス制御部50は、主に、メモリ53内の制御プログラムをCPU(Central Processing Unit)が実行することで構成され、センサ装置22全体の動作シーケンスを制御する。シーケンス制御部50は、初期動作部56と、通常動作部57とを備える。詳細は後述するが、初期動作部56は、スイッチ信号SWbを用いて電源スイッチ45bを一時的にオンに制御することで、衛星測位受信機44からの位置データDTbを取得する。そして、初期動作部56は、取得した位置データDTbをメモリ53に格納する。
【0025】
また、通常動作部57は、電源スイッチ45bをオフに維持した状態で、割り込みコントローラ58を用いて捕獲センサ42からの捕獲検出信号CPと、タイマ51からのタイムアウト信号TOとを監視する。そして、通常動作部57は、捕獲検出信号CPまたはタイムアウト信号TOのいずれか一方がアサートされた時点となる条件成立時に、オフの電源スイッチ45aを一時的にオンに制御する。無線通信機43は、このオンの期間で、シーケンス制御部50から入力された所定の送信データDTaを、特許文献1の方式のような要求に対して応答する形ではなく、自発的に送信する。
【0026】
電力モード制御部54は、主コントローラ41の電力モードを、通常電力モード、または、通常電力モードよりも消費電力が小さい低消費電力モードに定める。特に、マイコンは、このような機能を予め備える場合が多い。低消費電力モードの実現方法は、クロック信号の周波数を下げる方式や、不要な内部回路ブロックに対する電力供給を遮断する方式等を代表に、様々な方式が知られている。一例として、図3の場合には、少なくとも、タイマ51および割り込みコントローラ58に対して電力供給を行うことで割り込み機能を有効化すると共に、その他の回路ブロックへの電力供給を適宜遮断するような低消費電力モードが用いられる。
【0027】
《センサ装置の動作》
図4Aは、図3における主コントローラ内の初期動作部の処理内容の一例を示すフロー図である。図4Aにおいて、センサ装置22に電源が投入されると、主コントローラ41(ここではマイコン)が起動する(ステップS101)。主コントローラ41(シーケンス制御部50)は、センサ装置22に電源が投入された際に、まず、初期動作部56を動作させる。
【0028】
これに応じて、初期動作部56は、メモリ53又はレジスタ等に保持される獲得フラグをリセットレベル(“0”レベル)に初期化する(ステップS102)。続いて、初期動作部56は、電圧センサ52を用いて電源40の電圧値VDDを計測する(ステップS103)。そして、初期動作部56は、計測された電圧値VDDが予め定めた下限電圧値Vminよりも低いか否かを判別する(ステップS104)。電圧値VDDが下限電圧値Vminよりも低い場合、初期動作部56は、主コントローラ41の動作を停止する(ステップS112)。
【0029】
一方、ステップS104で電圧値VDDが下限電圧値Vminよりも高い場合、初期動作部56は、スイッチ信号SWbを介して電源スイッチ45bをオンに制御することで、衛星測位(GNSS)受信機44に電力を供給する(ステップS105)。これに応じて、衛星測位受信機44は、位置を測位し、測位が完了した時点で測位結果となる位置データDTbを出力する。また、初期動作部56は、スイッチ信号SWaを介して電源スイッチ45aをオンに制御することで、無線通信機43に電力を供給する(ステップS106)。
【0030】
次いで、初期動作部56は、衛星測位受信機44から位置データDTbを取得し、それをメモリ53に格納する(ステップS107)。また、初期動作部56は、無線通信機43に電波強度を計測させる(ステップS108)。その後、初期動作部56は、スイッチ信号SWbを介して電源スイッチ45bをオフに制御することで、衛星測位受信機44への電力供給を遮断する(ステップS109)。
【0031】
続いて、初期動作部56は、無線通信機43に、所定の送信データDTaを外部へ(すなわち、基地局19、または中継器20および基地局19を介してサーバ装置18へ)送信させる(ステップS110)。所定の送信データDTaの中には、例えば、ステップS102での捕獲フラグの値、ステップS103,S107,S108でそれぞれ得られた電源電圧データ、位置データDTb、電波強度データの中の少なくとも一つが含まれる。その後、初期動作部56は、スイッチ信号SWaを介して電源スイッチ45aをオフに制御することで、無線通信機43への電力供給を遮断する(ステップS111)。
【0032】
図4Bは、図3における主コントローラ内の通常動作部の処理内容の一例を示すフロー図である。図4Bの処理は、図4Aの処理に続いて行われる。すなわち、主コントローラ41(シーケンス制御部50)は、初期動作部56に図4Aの動作を行わせたのち、通常動作部57に図4Bの動作を行わせるようにシーケンスを制御する。図4Bにおいて、通常動作部57は、まず、タイマ51を起動する(ステップS201)。タイマ51は、予め定めたタイマ期間(例えば数日間または1週間等)を経過するとタイムアウト信号TOをアサートする。
【0033】
続いて、通常動作部57は、電力モード制御部54を用いて主コントローラ41(ここではマイコン)を低消費電力モードに遷移させる(ステップS202)。なお、低消費電力モードであっても、少なくとも、タイマ51および割り込みコントローラ58に対しては電力供給が行われる。次いで、通常動作部57は、割り込みコントローラ58を用いて割り込みの発生有無を監視し、割り込みが発生するまで待つ(ステップS203)。ここで、捕獲センサ42からの捕獲検出信号CPがアサートされるか、または、タイマ51からのタイムアウト信号TOがアサートされると割り込みが発生する。
【0034】
ステップS203で割り込みが発生すると、通常動作部57は、電力モード制御部54を用いて主コントローラ41を通常電力モードに遷移させる(ステップS204)。次いで、通常動作部57は、割り込み要因を判別する(ステップS205)。通常動作部57は、割り込み要因が捕獲検出信号CPである場合には、前述したステップS102での捕獲フラグをセットレベル(“1”レベル)に変更した上でステップS207へ移行する(ステップS206)。一方、通常動作部57は、割り込み要因がタイムアウト信号TOである場合には、そのままステップS207へ移行する。
【0035】
ステップS207において、通常動作部57は、電圧センサ52を用いて電源40の電圧値VDDを計測する。そして、通常動作部57は、計測された電圧値VDDが予め定めた低電圧閾値Vthlよりも低いか否かを判別する(ステップS208)。通常動作部57は、電圧値VDDが低電圧閾値Vthlよりも低い場合には、低電圧フラグをセットレベル(“1”レベル)に定めた上でステップS209へ移行し(ステップS214)、電圧値VDDが低電圧閾値Vthlよりも高い場合には、そのままステップS209へ移行する。低電圧閾値Vthlは、図4AのステップS104における下限電圧値Vminよりも高く、通常の電圧値よりも低い値であり、ある程度早期に電源40(電池)の交換が必要とされる値である。
【0036】
ステップS209において、通常動作部57は、スイッチ信号SWaを介して電源スイッチ45aをオンに制御することで、無線通信機43に電力を供給する。次いで、通常動作部57は、無線通信機43に電波強度を計測させる(ステップS210)。続いて、通常動作部57は、無線通信機43に、所定の送信データDTaを外部へ(すなわち、基地局19、または中継器20および基地局19を介してサーバ装置18へ)送信させる(ステップS211)。所定の送信データDTaの中には、前述したステップS110の場合と同様に、捕獲フラグの値、電源電圧データ、位置データDTb、電波強度データの中の少なくとも一つ、望ましくは全てが含まれる。
【0037】
ただし、最低条件として、ステップS206で捕獲フラグがセットレベルに変更された場合(すなわち、捕獲検出信号CPがアサートされた場合)、無線通信機43は、ステップS211において、その旨を表す捕獲通知データを送信データDTaとして送信する必要がある。この際に、当該捕獲通知データは、捕獲フラグの値に加えて、少なくとも、図4AのステップS107でメモリ53に格納された位置データを含むことが望ましい。
【0038】
また、電源電圧データは、ステップS207での計測結果に基づいて得られるデータであり、例えば、計測された電圧値VDDの生データ、または、ステップS214に伴う低電圧フラグの値等に該当する。図4Bの例では、電源電圧データは、低電圧フラグの値であってよい。この場合、ステップS214で低電圧フラグがセットレベルとなった際に、無線通信機43は、ステップS211において、その旨を含んだ送信データDTaを送信する必要がある。ただし、ステップS208,S214の処理は、主コントローラ41に限らず、例えば、上位のサーバ装置18等で行われてもよい。この場合、無線通信機43は、ステップS211において、電圧値VDDの生データを送信すればよい。
【0039】
電波強度データは、ステップS210での計測結果に基づいて得られるデータである。電波強度データは、例えば、計測値の生データ、または、強/中/弱といった強度レベルを表すデータ、あるいは、計測値が所定の閾値よりも低いことを表すフラグ値等であってよい。
【0040】
ステップS211で送信データDTaの送信が終了すると、通常動作部57は、スイッチ信号SWaを介して電源スイッチ45aをオフに制御することで、無線通信機43への電力供給を遮断する(ステップS212)。その後、通常動作部57は、割り込み要因を判別する(ステップS213)。そして、通常動作部57は、割り込み要因が捕獲検出信号CPである場合、主コントローラ41の処理を終了する。その後は、ユーザ(狩猟者)による所定の作業を経て(ステップS220)、図4AのステップS102に戻ることになる。
【0041】
一方、ステップS213で割り込み要因がタイムアウト信号TOである場合、通常動作部57は、ステップS201に戻る。この場合、タイマ51が再起動され、再び低消費電力モードに遷移した状態で割り込みの発生を待つような処理が、捕獲検出信号CPがアサートされない限り、繰り返し実行される。
【0042】
なお、このようなループ処理に伴い、ステップS211において、無線通信機43は、前述した各データを、毎回送信してもよく、場合によっては、複数回に1回といったように間引いて送信することも可能である。ただし、後者の場合であっても、例えば、低電圧フラグがセットされた場合、無線通信機43は、その旨を早期に送信することが望ましい。また、センサ装置22が正常に動作していることをサーバ装置18に定期的に認識させるような管理上の観点からは、無線通信機43は、前述した各データの全てを毎回送信することが望ましい。
【0043】
ここで、ユーザ(狩猟者)によるセンサ装置22の実使用形態の一例について説明する。まず、ユーザは、罠21を所定の位置に仕掛け、罠21に設置されたセンサ装置22の電源を投入する。これに応じて、センサ装置22は、図4Aの処理を行い、続けて、図4Bのループ処理を行う。ここで、罠21に捕獲対象23が捕獲される前の期間では、電源電圧データや電波強度データ等がタイマ期間で定期的に送信されることになる(ステップS211)。
【0044】
これにより、ユーザは、電源電圧データに基づいて、早期に電源40(電池)の交換が必要であることを認識することができる。また、ユーザは、電波強度データに基づいて、罠21または中継器20の配置箇所の良否を判別することができる。その結果、ユーザの利便性を向上させることが可能になる。
【0045】
一方、罠21に捕獲対象23が捕獲されると、その旨を表す捕獲フラグの値とセンサ装置22の位置データとが、捕獲通知データとして送信される。ユーザは、この捕獲通知データに基づいて、捕獲対象23が捕獲されたことと、その捕獲された位置とを認識することができる。これに応じて、ユーザは、図4BのステップS220において、例えば、ユーザ端末16上の地図アプリケーション等で捕獲された位置を確認しながら、捕獲対象23の回収に出向くことができる。その結果、ユーザの利便性を向上させることが可能になる。
【0046】
また、ユーザは、ステップS220において、捕獲対象23を回収したのち、例えば、罠21を別の位置に仕掛け直し、センサ装置22の電源の再投入または主コントローラ41(マイコン)のリセット等を行う。これに応じて、センサ装置22は、再び図4Aの処理を行うことで、変更された位置を測位する(ステップS105,S107)。一方、その後の図4Bのループ処理では、衛星測位受信機44への電力供給は行われない。これにより、センサ装置22の消費電力を低減することが可能になる。
【0047】
《サーバ装置の動作》
図5は、図1におけるサーバ装置の主要部の処理内容の一例を示すフロー図である。図5において、サーバ装置18は、センサ装置22からの送信データ(すなわち、図4BのステップS211等における位置データ、電源電圧データ、捕獲フラグ、電波強度データ)を、基地局19、または中継器20および基地局19を介して受信するのを待つ(ステップS301)。センサ装置22からの送信データを受信すると、サーバ装置18は、捕獲フラグがセットレベル(“1”レベル)であるか否か(すなわち送信データが捕獲通知データであるか否か)を判別する(ステップS302)。
【0048】
ステップS302にて捕獲フラグがセットレベルである場合、サーバ装置18は、予めメールアドレスが登録されたユーザへ、通信網17を介して捕獲通知メールを送信する(ステップS306)。一方、捕獲フラグがリセットレベルである場合、サーバ装置18は、電源電圧データに基づいて、低電圧フラグがセットレベルであるか否か(すなわち、電源40の電圧値VDDが予め定めた低電圧閾値Vthlよりも低いか否か)を判定する(ステップS303)。低電圧フラグがセットレベルである場合、サーバ装置18は、予めメールアドレスが登録されたユーザへ、通信網17を介して低電圧警告メールを送信する(ステップS305)。
【0049】
一方、ステップS303にて低電圧フラグがリセットレベルである場合、サーバ装置18は、ステップS304において、ステップS301で受信したセンサ装置22からの送信データを受信時刻と共に所定の記憶部(例えば、ハードディスクドライブ等)に保存する。その後、サーバ装置18は、ステップS301に戻り、同様の処理を繰り返す。また、サーバ装置18は、ステップS305,S306で各種メールを送信した場合も、ステップS304を経て、ステップS301に戻る。
【0050】
このような処理を用いることで、ユーザ(例えば狩猟者)は、罠21に捕獲対象23が捕獲されたことや、電源40(電池)の交換が必要なことを、例えば、ユーザ端末16で受信したメールで知ることができる。その結果、ユーザの利便性を向上させることが可能になる。
【0051】
《実施の形態の主要な効果》
以上、実施の形態の方式では、タイムアウト信号TOまたは捕獲検出信号CPがアサートされた場合に、無線通信機43に一時的に電力が供給され、その他の場合には、無線通信機43への電力供給は遮断される。また、無線通信機43は、電力供給期間内で、特許文献1の方式のような要求に応答する形ではなく、自発的に所定の送信データを送信する。これにより、無線通信機43に対する電力供給頻度を下げることができ、さらに、1回当たりの電力供給期間も短くすることができる。その結果、代表的には、センサ装置22の消費電力を低減することが可能になり、ひいては、電池交換に伴うユーザの負担を軽減することが可能になる。
【0052】
また、タイムアウト信号TOまたは捕獲検出信号CPのアサートを待つ期間では、低消費電力モードが適用される。さらに、図4Aの初期動作において、衛星測位受信機44に一時的に電力が供給され、その後の図4Bの通常動作では、衛星測位受信機44への電力供給は遮断される。これにより、センサ装置22の消費電力をより効率的に低減することが可能になる。
【0053】
なお、例えば、ZETA規格に基づく無線通信機43では、例えば、1日に数回といった頻度でハートビートと呼ばれる定期通信を行う機能が搭載される場合がある。実施の形態の方式では、このハートビート機能は無効化される。その代わりに、無線通信機43に、タイマ期間毎(例えば、数日毎または1週間毎等)に所定の送信データを送信させることで、消費電力を低減する。
【0054】
なお、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施の形態の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施の形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0055】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0056】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0057】
10:捕獲監視システム、15:管理者端末、16:ユーザ端末、17:通信網、18:サーバ装置、19:基地局、20:中継器、21:罠、22:センサ装置、23:捕獲対象、30:本体部、31:センサ機構、32:アンテナ、33:ワイヤ、40:電源、41:主コントローラ、42:捕獲センサ、43:無線通信機、44:衛星測位受信機、45a,45b:電源スイッチ、46:電源ライン、50:シーケンス制御部、51:タイマ、52:電圧センサ、53:メモリ、54:電力モード制御部、56:初期動作部、57:通常動作部、58:割り込みコントローラ、CP:捕獲検出信号、DTa:送信データ、DTb:位置データ、SWa,SWb:スイッチ信号、TO:タイムアウト信号
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5