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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】画像投影システムおよびスクリーン
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/14 20060101AFI20240501BHJP
   G03B 21/62 20140101ALI20240501BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
G03B21/14 Z
G03B21/62
H04N5/74 C
H04N5/74 A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020165105
(22)【出願日】2020-09-30
(65)【公開番号】P2022057043
(43)【公開日】2022-04-11
【審査請求日】2023-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121980
【弁理士】
【氏名又は名称】沖山 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100128107
【弁理士】
【氏名又は名称】深石 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】興梠 紗和
(72)【発明者】
【氏名】山田 渉
【審査官】中村 直行
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-506199(JP,A)
【文献】特表2007-524115(JP,A)
【文献】特開2008-064898(JP,A)
【文献】特開2004-198931(JP,A)
【文献】特開2001-255586(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0118397(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 21/00 ー 21/64
H04N 5/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
偏光層、不透明層、偏光板および1/4波長板から成る円偏光層、並びに、半透明な投影層、の4つの層で構成されたスクリーンであって、前記4つの層は、投影される光の受光面側から厚み方向に沿って、前記偏光層、前記不透明層、前記円偏光層、前記投影層の順に配置され、前記偏光層および前記不透明層のみには厚み方向に沿って対応する位置に貫通孔が設けられている、当該スクリーンと、
前記偏光層による偏光と同じ向きの偏光をした光および異なる向きの偏光をした光の少なくとも一方を、前記スクリーンへ向けて前記スクリーンの片側から投影する1台以上の投影装置と、
を備える画像投影システム。
【請求項2】
前記投影装置は、
画像投影のための光を射出するプロジェクタと、
前記プロジェクタの射出面側に配置された、縦偏光板又は横偏光板から成るプロジェクタ側偏光層と、
を含む1台の投影装置、により構成される、
請求項1に記載の画像投影システム。
【請求項3】
前記投影装置は、
画像投影のための光を射出するプロジェクタと、
前記プロジェクタの射出面側に配置されたプロジェクタ側偏光層であって、前記スクリーンの前記偏光層による偏光と同じ向きの偏光をする偏光板から成るプロジェクタ側偏光層と、
前記プロジェクタ側偏光層に対し光の進行方向下流側に配置された、オンオフ制御可能な液晶板と、
前記プロジェクタの動作制御および前記液晶板のオンオフ制御を行う制御部と、
を含む1台の投影装置、により構成され、
前記制御部は、
前面用画像を投影する場合、前記液晶板をオフして前記前面用画像の光を前記プロジェクタから射出させ、
背面用画像を投影する場合、前記液晶板をオンして前記背面用画像の光を前記プロジェクタから射出させる、
請求項1に記載の画像投影システム。
【請求項4】
前記投影装置は、
画像投影のための光を射出するプロジェクタと、
前記プロジェクタの射出面側に配置されたプロジェクタ側偏光層であって、前記スクリーンの前記偏光層による偏光と同じ向きの偏光をする偏光板から成るプロジェクタ側偏光層と、
前記プロジェクタ側偏光層に対し光の進行方向下流側に配置された、グリッドにオンオフ制御可能な液晶板と、
前記プロジェクタの動作制御を行うとともに、前記液晶板についてグリッドにオンオフ制御を行う制御部と、
を含む1台の投影装置、により構成される、
請求項1に記載の画像投影システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記スクリーンの両面投影を行う場合、
前記液晶板についてグリッドにオンオフ制御を行うとともに、前記液晶板に合せてグリッドにした前面用画像および背面用画像の光を前記プロジェクタから射出させる、
請求項4に記載の画像投影システム。
【請求項6】
前記投影装置は、
画像投影のための光を射出する第1のプロジェクタと、
前記第1のプロジェクタの射出面側に配置された、縦偏光板又は横偏光板から成る第1の偏光層と、
を含む第1の投影部と、
画像投影のための光を射出する第2のプロジェクタと、
前記第2のプロジェクタの射出面側に配置された、縦偏光板と横偏光板のうち前記第1の偏光層とは異なる偏光特性を有する偏光板から成る第2の偏光層と、
を含む第2の投影部と、
により構成される、
請求項1に記載の画像投影システム。
【請求項7】
前記投影装置は、
画像投影のための光を射出するプロジェクタと、
前記プロジェクタの射出面側に配置されたプロジェクタ側偏光層であって、前記スクリーンの前記偏光層による偏光と同じ向きの偏光をする偏光板から成るプロジェクタ側偏光層と、
前記プロジェクタ側偏光層に対し光の進行方向下流側に配置された、オンオフ制御可能な液晶板と、
前記プロジェクタの動作制御および前記液晶板のオンオフ制御を行う制御部と、
を含む1台の投影装置、により構成され、
前記制御部は、
前記液晶板をオフして前面用画像の光を前記プロジェクタから射出させる制御と、前記液晶板をオンして背面用画像の光を前記プロジェクタから射出させる制御と、を切り替えることで、両面投影を行う、
請求項1に記載の画像投影システム。
【請求項8】
前記制御部は、前記スクリーンの両面に同じ画像を投影する場合、前記前面用画像の鏡像を、前記背面用画像とする、
請求項5又は7に記載の画像投影システム。
【請求項9】
投影される光による画像を映すスクリーンであって、
偏光層、不透明層、偏光板および1/4波長板から成る円偏光層、並びに、半透明な投影層、の4つの層で構成され、
前記4つの層は、投影される光の受光面側から厚み方向に沿って、前記偏光層、前記不透明層、前記円偏光層、前記投影層の順に配置され、
前記偏光層および前記不透明層のみには厚み方向に沿って対応する位置に貫通孔が設けられている、
スクリーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像を投影する画像投影システム、および、投影される光による画像を映すスクリーンに関する。なお、以下の本開示にて投影対象となる「画像」には、動画像と静止画像の両方が含まれる。
【背景技術】
【0002】
近年、画像を映すスクリーンとして、窓ガラス、壁、パーティション、ブラインドなどの空間を隔てる構成物を活用することが広がっている。例えば、非特許文献1には、動的に窓の一部の透明度を変える窓システムが提案され、非特許文献2には、ディスプレイの透明度を変え、向こう側とのコミュニケーションを可能にするシステムが提案され、非特許文献3には、ガラス製透明スクリーンの製品が紹介されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】文献「Squama: a programmable window and wall for future physical architectures」、暦本純一著、インターネットアドレスhttps://dl.acm.org/doi/abs/10.1145/2370216.2370358
【文献】文献「Tracs: transparency-control for see-through displays」、David Lindlbauerほか著、インターネットアドレスhttps://dl.acm.org/doi/10.1145/2642918.2647350
【文献】製品情報「ガラス製透明スクリーン Glascene(登録商標)」、AGC株式会社、インターネットアドレスhttps://www.agc.com/products/new_markets/detail/transparent_glass_screen.html
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、例えば窓ガラスなどの透明なものに画像を投影した場合、意図せずに投影面とは反対側から画像が見えてしまうといった懸念がある。
【0005】
また、上記に関連して、スクリーンの片面のみでなく、両面に画像を映す技術も知られており、画像投影時にスクリーンの投影面を切り替える技術は、例えばスクリーンの両側にプロジェクタを設置する構成、スクリーンの両面にディスプレイを設置する構成等によって実現できるものの、より簡易で、より安価な構成が待望されている。
【0006】
そこで、本開示は、上記の事情を考慮し、投影したい面の反対側に画像が透けることを回避しつつ、より簡易で、より安価な構成によって、スクリーンの投影面を切り替え可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る画像投影システムは、偏光層、不透明層、偏光板および1/4波長板から成る円偏光層、並びに、半透明な投影層、の4つの層で構成されたスクリーンであって、前記4つの層は、投影される光の受光面側から厚み方向に沿って、前記偏光層、前記不透明層、前記円偏光層、前記投影層の順に配置され、前記偏光層および前記不透明層には厚み方向に沿って対応する位置に貫通孔が設けられている、当該スクリーンと、前記偏光層による偏光と同じ向きの偏光をした光および異なる向きの偏光をした光の少なくとも一方を、前記スクリーンへ向けて前記スクリーンの片側から投影する1台以上の投影装置と、を備える。
【0008】
詳細な原理は図面を用いて後述するが、上記のような構成とされた画像投影システムでは、以下のようにスクリーンの投影面を切り替え可能とすることができる。即ち、スクリーンの偏光層による偏光と同じ向きの偏光をした光および異なる向きの偏光をした光のうち少なくとも一方が、スクリーンの片側から投影されるが、このうち、スクリーンの偏光層による偏光と同じ向きの偏光をした光は、スクリーンに設けられた貫通孔でなく、スクリーンの偏光層に到達した場合、偏光層を透過して不透明層で反射されるため、上記光による画像はスクリーンの前面(投影装置が設けられた側の面)に映る。一方、上記光(同じ向きの偏光をした光)は、貫通孔を通る場合、偏光板および1/4波長板から成る円偏光層に到達し、円偏光層により吸収される。そのため、前面投影が実現するとともに、背面に画像が透けることを回避できる。
【0009】
また、スクリーンの偏光層による偏光と異なる向きの偏光をした光は、スクリーンに設けられた貫通孔でなく、スクリーンの偏光層に到達した場合、偏光層により吸収される。一方、上記光(同じ向きの偏光をした光)は、貫通孔を通る場合、偏光板および1/4波長板から成る円偏光層に到達し、円偏光層を透過して半透明な投影層で上記光の一部が反射され、上記光の残りは透過するため、透過した光による画像はスクリーンの背面(投影装置が設けられた側と反対側の面)に映り、半透明な投影層で反射した光は、反射に伴う回転により円偏光層により吸収される。そのため、背面投影が実現するとともに、前面に画像が透けることを回避できる。
【0010】
また、上記の画像投影システムは、スクリーンの両側にプロジェクタを設置する構成ではなく、スクリーンの両面にディスプレイを設置する構成でもなく、スクリーンの片側にプロジェクタを設置した比較的簡易な構成である。
【0011】
以上のように、本開示に係る画像投影システムによれば、スクリーンにおける偏光層および円偏光層によって光の通行を制御することで、投影したい面の反対側に画像が透けることを回避しつつ、より簡易で、より安価な構成によって、スクリーンの投影面を切り替え可能とすることができる。
【0012】
なお、画像投影システムにおける投影装置の構成をさまざま工夫することで、上記の前面投影、背面投影以外でも、同じ画像の両面投影、異なる画像の両面投影といった切り替えのバリエーションを広げることが可能であり、これらについては、発明の実施形態において詳述する。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、投影したい面の反対側に画像が透けることを回避しつつ、より簡易で、より安価な構成によって、スクリーンの投影面を切り替え可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1実施形態における画像投影システムの構成および動作を説明するための図である。
図2】第1実施形態における制御部の動作を示すフロー図である。
図3】第2実施形態における画像投影システムの構成および動作を説明するための図であり、(a)は偏光板方式で前面投影する場合を説明するための図を示し、(b)は偏光板方式で背面投影する場合を説明するための図を示す。
図4】第2実施形態における制御部の動作を示すフロー図である。
図5】第3実施形態における画像投影システムの構成および動作を説明するための図であり、(a)は液晶板方式で前面投影する場合を説明するための図を示し、(b)は液晶板方式で背面投影する場合を説明するための図を示す。
図6】第3実施形態における制御部の動作を示すフロー図である。
図7】第4実施形態における画像投影システムの構成および動作を説明するための図であり、(a)は前面投影する場合を説明するための図を示し、(b)は背面投影する場合を説明するための図を示し、(c)は両面投影する場合を説明するための図を示す。
図8】第4実施形態における制御部の動作を示すフロー図である。
図9】第5実施形態における画像投影システムの構成および動作を説明するための図である。
図10】第5実施形態における制御部の動作を示すフロー図である。
図11】制御部のハードウェア構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本開示に係る画像投影システムおよびスクリーンのさまざまな実施形態を説明する。以下では、5つの実施形態を説明するが、まず、それらの概要を述べる。
【0016】
第1実施形態は、投影装置が、前面投影用の偏光光を投影する第1の投影部と背面投影用の偏光光を投影する第2の投影部の計2種類の投影部を備え、前面投影、背面投影、同じ画像の両面投影、異なる画像の両面投影を切り替える実施形態である。第2実施形態は、縦偏光板を備えた投影装置、横偏光板を備えた投影装置のうちどちらか1台を使用して、前面投影と背面投影を切り替える実施形態である。第3実施形態は、縦偏光板又は横偏光板とオンオフ制御可能な液晶板とを備えた1台の投影装置を使用して、前面投影と背面投影を切り替える実施形態である。第4実施形態は、縦偏光板又は横偏光板とグリッドにオンオフ制御可能な液晶板とを備えた1台の投影装置を使用して、前面投影、背面投影、同じ画像の両面投影、異なる画像の両面投影を切り替える実施形態である。そして、第5実施形態は、縦偏光板又は横偏光板とオンオフ制御可能な液晶板とを備えた1台の投影装置を使用して、液晶板のオンオフを高速に切り替えることで両面投影を実現する実施形態である。
【0017】
[第1実施形態]
図1に示すように、第1実施形態における画像投影システム1は、投影された画像を映すためのスクリーン10と、スクリーン10の片側に設けられた投影装置20と、を備える。
【0018】
スクリーン10は、偏光層11、不透明層12、偏光板および1/4波長板から成る円偏光層13、並びに、半透明な投影層14、の4つの層で構成され、上記4つの層は、投影される光の受光面側(図1における左側)から厚み方向(図1における左右方向)に沿って、偏光層11、不透明層12、円偏光層13、投影層14の順に配置されている。さらに、偏光層11および不透明層12には、厚み方向に沿って対応する位置に貫通孔15が設けられており、貫通孔15を通る光は円偏光層13に到達する。
【0019】
投影装置20は、スクリーン10の偏光層11による偏光と同じ向きの偏光をした光、および、異なる向きの偏光をした光、の少なくとも一方を、スクリーン10へ向けてスクリーン10の片側から投影する1台以上の投影装置により構成され、特に、第1実施形態における投影装置20は、第1の投影部20Aと第2の投影部20Bの計2種類の投影部を含むことを特徴とする。第1の投影部20A、第2の投影部20Bはそれぞれ1台の投影部から構成されることに限定されるものではなく、それぞれ複数台の投影部から構成されてもよい。これらのうち、第1の投影部20Aは、画像投影のための光を射出する第1のプロジェクタ21Aと、第1のプロジェクタ21Aの射出面側に配置された、縦偏光板又は横偏光板から成る第1のプロジェクタ側偏光層22と、を含み、第2の投影部20Bは、画像投影のための光を射出する第2のプロジェクタ21Bと、第2のプロジェクタ21Bの射出面側に配置された、縦偏光板と横偏光板のうち第1のプロジェクタ側偏光層22とは異なる偏光特性を有する偏光板から成る第2のプロジェクタ側偏光層23と、を含む。また、投影装置20は、投影する画像の画像データを記憶した画像DB29を内蔵し、第1のプロジェクタ21Aおよび第2のプロジェクタ21Bに画像データを供給する制御部28を含む。なお、制御部28は、実行すべき画像投影処理に関する情報(前面投影、背面投影、同じ画像の両面投影、異なる画像の両面投影の何れかを示す情報)を予め保持しているものとし、かかる情報に基づき、実行すべき画像投影処理を判断する。また、前述した第1の投影部20A、第2の投影部20Bにおいて、プロジェクタと偏光層とは必ずしも接触した状態でなくてもよく、所定の距離を置いて離隔した状態であってもよい。上述した制御部28、投影部20A、20Bの構成は、第2実施形態以降も同様である。
【0020】
上記のスクリーン10の偏光層11と円偏光層13、および、投影装置20の第1のプロジェクタ側偏光層22と第2のプロジェクタ側偏光層23は、偏光特性に関し、以下の2パターンの関係性がある。即ち、第1のパターンとして、偏光層11と第1のプロジェクタ側偏光層22が縦偏光板の場合、第2のプロジェクタ側偏光層23は横偏光板により構成され、円偏光層13は左回転させるために横偏光板および1/4波長板により構成される。一方、第2のパターンとして、偏光層11と第1のプロジェクタ側偏光層22が横偏光板の場合、第2のプロジェクタ側偏光層23は縦偏光板により構成され、円偏光層13は右回転させるために縦偏光板および1/4波長板により構成される。ただし、上記2パターンは何れが採用されてもよい。
【0021】
次に、図1図2を参照して、第1実施形態における画像投影システム1の動作を概説する。まず、制御部28は、実行すべき画像投影処理が「前面投影」、「背面投影」、「同じ画像の両面投影」、「異なる画像の両面投影」の何れであるかを判断し、判断結果に応じた画像データの供給を行う。例えば、制御部28は、図2に示すステップS1で実行すべき画像投影処理が片面投影(前面投影又は背面投影)か否かを判断し、YESであれば、ステップS2で同処理が片面投影のうち前面投影か否(背面投影)かを判断する。一方、ステップS1でNO(両面投影)であれば、ステップS3で同処理が同じ画像を投影するものか否(異なる画像を投影するもの)かを判断する。
【0022】
実行すべき画像投影処理が前面投影の場合、上記のステップS1、S2でYESとなり、ステップS4へ進み、制御部28は、前面投影する画像データを第1のプロジェクタ21Aへ供給する。これにより、図1に実線で示す前面投影する画像の光が第1のプロジェクタ21Aから射出され、第1のプロジェクタ側偏光層22により偏光された光がスクリーン10へ到達する。このとき、偏光された光が偏光層11に到達した場合、偏光層11は第1のプロジェクタ側偏光層22と同じ偏光特性を有するため、偏光された光は、偏光層11を透過して不透明層12で反射される。そのため、上記光による画像(前面投影する画像)がスクリーン10の前面(投影装置20が設けられた側の面)に映る。一方、上記偏光された光が貫通孔15を通って円偏光層13に到達した場合、円偏光層13は第1のプロジェクタ側偏光層22と異なる偏光特性を有するため、偏光された光は、円偏光層13により吸収される。そのため、上記光による画像(前面投影する画像)がスクリーン10の背面に透けることを回避できる。以上により、前面投影が実現するとともに、背面に画像が透けることを回避できる。
【0023】
実行すべき画像投影処理が背面投影の場合、上記のステップS1でYES、ステップS2でNOとなり、ステップS5へ進み、制御部28は、背面投影する画像データを第2のプロジェクタ21Bへ供給する。これにより、図1に破線で示す背面投影する画像の光が第2のプロジェクタ21Bから射出され、第2のプロジェクタ側偏光層23により偏光された光がスクリーン10へ到達する。このとき、偏光された光が偏光層11に到達した場合、偏光層11は第2のプロジェクタ側偏光層23と異なる偏光特性を有するため、偏光された光は、偏光層11により吸収される。一方、上記偏光された光が貫通孔15を通って円偏光層13に到達した場合、円偏光層13は第2のプロジェクタ側偏光層23と同じ偏光特性の偏光板および1/4波長板から成るため、偏光された光は、円偏光層13を透過して半透明な投影層14で上記光の一部が反射され、上記光の残りは透過する。ここで、透過した光による画像はスクリーン10の背面(投影装置20が設けられた側と反対側の面)に映るため、背面投影が実現する。また、半透明な投影層14で反射した光は、反射に伴う回転によって偏光特性が変わるため、円偏光層13により吸収される。このように、前述した偏光層11に到達した光が偏光層11により吸収され、さらに、投影層14で反射した光が円偏光層13により吸収されるため、上記光による画像(背面投影する画像)がスクリーン10の前面に画像が透けることを回避できる。以上により、背面投影が実現するとともに、前面に画像が透けることを回避できる。
【0024】
実行すべき画像投影処理が異なる画像の両面投影の場合、上記のステップS1、S3でNOとなり、ステップS7へ進み、制御部28は、前面投影する画像データを第1のプロジェクタ21Aへ、背面投影する画像データを第2のプロジェクタ21Bへ、それぞれ供給する。これにより、前面投影する画像の光が第1のプロジェクタ21Aから射出され、第1のプロジェクタ側偏光層22により偏光された光がスクリーン10へ到達する。また、同時に、背面投影する画像の光が第2のプロジェクタ21Bから射出され、第2のプロジェクタ側偏光層23により偏光された光がスクリーン10へ到達する。以後は、前述したステップS4に係る動作と、ステップS5に係る動作の両方が同時に実行され、その結果、前面投影と背面投影の両方(即ち、両面投影)が実現するとともに、前面投影の画像が背面に透けることおよび背面投影の画像が前面に透けることを回避できる。
【0025】
実行すべき画像投影処理が同じ画像の両面投影の場合、上記のステップS1でNO、ステップS3でYESとなり、ステップS6へ進み、制御部28は、前面投影する画像データを第1のプロジェクタ21Aへ、前面投影する画像の鏡像の画像データを第2のプロジェクタ21Bへ、それぞれ供給する。これにより、前面投影する画像の光が第1のプロジェクタ21Aから射出され、第1のプロジェクタ側偏光層22により偏光された光がスクリーン10へ到達する。また、同時に、前面投影する画像の鏡像の光が第2のプロジェクタ21Bから射出され、第2のプロジェクタ側偏光層23により偏光された光がスクリーン10へ到達する。以後は、前述したステップS4に係る動作と、ステップS5に係る動作の両方が同時に実行され、その結果、前面投影と背面投影の両方(即ち、両面投影)が実現するとともに、前面投影の画像が背面に透けることおよび背面投影の画像が前面に透けることを回避できる。さらに、このとき、前面投影する画像の鏡像が背面投影されることとなり、背面から見た画像は、前面投影する画像と同じになるため、同じ画像の両面投影が実現する。
【0026】
以上説明した第1実施形態によれば、スクリーンの片側のみに投影装置を設置するという簡易で安価な構成によって、投影したい面の反対側に画像が透けることを回避しつつ、「前面投影」、「背面投影」、「同じ画像の両面投影」、「異なる画像の両面投影」の間で投影処理の切り替えを可能とすることができる。
【0027】
[第2実施形態]
第2実施形態では、縦偏光板を備えた投影装置、横偏光板を備えた投影装置のうちどちらか1台を使用して、前面投影と背面投影を切り替える実施形態を説明する。
【0028】
図3(a)、(b)には、第2実施形態における画像投影システム1の構成図を示し、画像投影システム1は、投影された画像を映すためのスクリーン10と、スクリーン10の片側に設けられた1台の投影装置20と、を備える。
【0029】
図3(a)は前面投影する場合の構成を示し、スクリーン10の構成は第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。投影装置20は、画像投影のための光を射出するプロジェクタ21と、プロジェクタ21の射出面側に配置された、縦偏光板又は横偏光板から成るプロジェクタ側偏光層22と、投影する画像の画像データを記憶した画像DB29を内蔵し、プロジェクタ21に画像データを供給する制御部28と、を含み、プロジェクタ側偏光層22はスクリーン10の偏光層11と同じ偏光特性を有する。また、スクリーン10の偏光層11、円偏光層13、および、プロジェクタ側偏光層22は、偏光特性に関し、以下の2パターンの関係性がある。即ち、第1のパターンとして、偏光層11とプロジェクタ側偏光層22が縦偏光板の場合、円偏光層13は左回転させるために横偏光板および1/4波長板により構成される。一方、第2のパターンとして、偏光層11とプロジェクタ側偏光層22が横偏光板の場合、円偏光層13は右回転させるために縦偏光板および1/4波長板により構成される。ただし、上記2パターンは何れが採用されてもよい。
【0030】
図3(b)は背面投影する場合の構成を示し、投影装置20は、画像投影のための光を射出するプロジェクタ21と、プロジェクタ21の射出面側に配置された、縦偏光板又は横偏光板から成るプロジェクタ側偏光層23と、投影する画像の画像データを記憶した画像DB29を内蔵し、プロジェクタ21に画像データを供給する制御部28と、を含み、プロジェクタ側偏光層23はスクリーン10の偏光層11とは異なる偏光特性を有する。また、スクリーン10の偏光層11、円偏光層13、および、プロジェクタ側偏光層23は、偏光特性に関し、以下の2パターンの関係性がある。即ち、第1のパターンとして、偏光層11が縦偏光板の場合、プロジェクタ側偏光層23は横偏光板により構成され、円偏光層13は左回転させるために横偏光板および1/4波長板により構成される。一方、第2のパターンとして、偏光層11が横偏光板の場合、プロジェクタ側偏光層23は縦偏光板により構成され、円偏光層13は右回転させるために縦偏光板および1/4波長板により構成される。ただし、上記2パターンは何れが採用されてもよい。
【0031】
図4には、制御部28の動作を示しており、制御部28は、実行すべき画像投影処理が「前面投影」の場合(ステップS11でYES)、前面投影する画像データをプロジェクタ21へ供給し(ステップS12)、一方、実行すべき画像投影処理が「背面投影」の場合(ステップS11でNO)、背面投影する画像データをプロジェクタ21へ供給する(ステップS13)。
【0032】
これにより、前面投影する場合の構成(図3(a))において、図3(a)に実線で示す前面投影する画像の光がプロジェクタ21から射出され、プロジェクタ側偏光層22により偏光された光がスクリーン10へ到達する。このとき、偏光された光が偏光層11に到達した場合、偏光層11はプロジェクタ側偏光層22と同じ偏光特性を有するため、偏光された光は、偏光層11を透過して不透明層12で反射される。そのため、上記光による画像(前面投影する画像)がスクリーン10の前面(投影装置20が設けられた側の面)に映る。一方、上記偏光された光が貫通孔15を通って円偏光層13に到達した場合、円偏光層13はプロジェクタ側偏光層22と異なる偏光特性を有するため、偏光された光は、円偏光層13により吸収される。そのため、上記光による画像(前面投影する画像)がスクリーン10の背面に透けることを回避できる。以上により、前面投影が実現するとともに、背面に画像が透けることを回避できる。
【0033】
また、背面投影する場合の構成(図3(b))において、図3(b)に破線で示す背面投影する画像の光がプロジェクタ21から射出され、プロジェクタ側偏光層23により偏光された光がスクリーン10へ到達する。このとき、偏光された光が偏光層11に到達した場合、偏光層11はプロジェクタ側偏光層23と異なる偏光特性を有するため、偏光された光は、偏光層11により吸収される。一方、上記偏光された光が貫通孔15を通って円偏光層13に到達した場合、円偏光層13はプロジェクタ側偏光層23と同じ偏光特性の偏光板および1/4波長板から成るため、偏光された光は、円偏光層13を透過して半透明な投影層14で上記光の一部が反射され、上記光の残りは透過する。ここで、透過した光による画像はスクリーン10の背面(投影装置20が設けられた側と反対側の面)に映るため、背面投影が実現する。また、半透明な投影層14で反射した光は、反射に伴う回転によって偏光特性が変わるため、円偏光層13により吸収される。このように、前述した偏光層11に到達した光が偏光層11により吸収され、さらに、投影層14で反射した光が円偏光層13により吸収されるため、上記光による画像(背面投影する画像)がスクリーン10の前面に画像が透けることを回避できる。以上により、背面投影が実現するとともに、前面に画像が透けることを回避できる。
【0034】
以上説明した第2実施形態によれば、スクリーンの片側に1台の投影装置を設置するという簡易で安価な構成によって、投影したい面の反対側に画像が透けることを回避しつつ、プロジェクタ側偏光層22、23の偏光板(縦偏光板又は横偏光板)を切り替えることで、「前面投影」と「背面投影」の間で投影処理の切り替えを可能とすることができる。
【0035】
[第3実施形態]
第3実施形態では、縦偏光板又は横偏光板とオンオフ制御可能な液晶板とを備えた1台の投影装置を使用して、前面投影と背面投影を切り替える実施形態を説明する。
【0036】
図5(a)、(b)には、第3実施形態における画像投影システム1の構成図を示し、画像投影システム1は、投影された画像を映すためのスクリーン10と、スクリーン10の片側に設けられた1台の投影装置20と、を備える。このうちスクリーン10の構成は第1~第2実施形態と同様であるため、説明を省略する。投影装置20は、画像投影のための光を射出するプロジェクタ21と、プロジェクタ21の射出面側に配置された、縦偏光板又は横偏光板から成るプロジェクタ側偏光層22と、プロジェクタ側偏光層22の射出面側(即ち、光の進行方向下流側)に配置されたオンオフ制御可能な液晶板24と、投影する画像の画像データを記憶した画像DB29を内蔵しプロジェクタ21に画像データを供給するとともに液晶板24のオンオフを制御する制御部28と、を含み、プロジェクタ側偏光層22はスクリーン10の偏光層11と同じ偏光特性を有する。また、スクリーン10の偏光層11、円偏光層13、および、プロジェクタ側偏光層22は、偏光特性に関し、以下の2パターンの関係性がある。即ち、第1のパターンとして、偏光層11とプロジェクタ側偏光層22が縦偏光板の場合、円偏光層13は左回転させるために横偏光板および1/4波長板により構成される。一方、第2のパターンとして、偏光層11とプロジェクタ側偏光層22が横偏光板の場合、円偏光層13は右回転させるために縦偏光板および1/4波長板により構成される。ただし、上記2パターンは何れが採用されてもよい。
【0037】
図6には、制御部28の動作を示しており、制御部28は、実行すべき画像投影処理が「前面投影」の場合(ステップS21でYES)、液晶板24をオフし、前面投影する画像データをプロジェクタ21へ供給し(ステップS22)、一方、実行すべき画像投影処理が「背面投影」の場合(ステップS21でNO)、液晶板24をオンし、背面投影する画像データをプロジェクタ21へ供給する(ステップS23)。
【0038】
これにより、前面投影する場合、図5(a)に示すように、液晶板24がオフの状態で、図5(a)に実線で示す前面投影する画像の光がプロジェクタ21から射出され、プロジェクタ側偏光層22により偏光された光が、液晶板24によりさらに偏光されることなく液晶板24を透過し、スクリーン10へ到達する。このとき、プロジェクタ側偏光層22により偏光された光が偏光層11に到達した場合、偏光層11はプロジェクタ側偏光層22と同じ偏光特性を有するため、当該光は、偏光層11を透過して不透明層12で反射される。そのため、上記光による画像(前面投影する画像)がスクリーン10の前面(投影装置20が設けられた側の面)に映る。一方、プロジェクタ側偏光層22により偏光された光が貫通孔15を通って円偏光層13に到達した場合、円偏光層13はプロジェクタ側偏光層22と異なる偏光特性を有するため、当該光は、円偏光層13により吸収される。そのため、上記光による画像(前面投影する画像)がスクリーン10の背面に透けることを回避できる。以上により、前面投影が実現するとともに、背面に画像が透けることを回避できる。
【0039】
また、背面投影する場合、図5(b)に示すように、液晶板24がオンの状態で、図5(b)に実線で示す背面投影する画像の光がプロジェクタ21から射出され、プロジェクタ側偏光層22により偏光された光が、液晶板24によりさらに偏光され、プロジェクタ側偏光層22および液晶板24による偏光後の光(図5(b)に破線で示す光)が、スクリーン10へ到達する。このとき、プロジェクタ側偏光層22および液晶板24による偏光後の光が偏光層11に到達した場合、偏光層11はプロジェクタ側偏光層22と同じ偏光特性を有するものの、プロジェクタ側偏光層22により偏光された光は液晶板24によりさらに偏光されているため、偏光層11に到達した光は、偏光層11により吸収される。一方、プロジェクタ側偏光層22および液晶板24による偏光後の光が貫通孔15を通って円偏光層13に到達した場合、円偏光層13はプロジェクタ側偏光層22と異なる偏光特性の偏光板および1/4波長板から成るものの、プロジェクタ側偏光層22により偏光された光は液晶板24によりさらに偏光されているため、円偏光層13に到達した光は、円偏光層13を透過して半透明な投影層14で上記光の一部が反射され、上記光の残りは透過する。ここで、透過した光による画像はスクリーン10の背面(投影装置20が設けられた側と反対側の面)に映るため、背面投影が実現する。また、半透明な投影層14で反射した光は、反射に伴う回転によって偏光特性が変わるため、円偏光層13により吸収される。このように、前述した偏光層11に到達した光が偏光層11により吸収され、さらに、投影層14で反射した光が円偏光層13により吸収されるため、上記光による画像(背面投影する画像)がスクリーン10の前面に画像が透けることを回避できる。以上により、背面投影が実現するとともに、前面に画像が透けることを回避できる。
【0040】
以上説明した第3実施形態によれば、スクリーンの片側に1台の投影装置を設置するという簡易で安価な構成によって、投影したい面の反対側に画像が透けることを回避しつつ、液晶板24のオンオフを切り替えることで、「前面投影」と「背面投影」の間で投影処理の切り替えを可能とすることができる。
【0041】
[第4実施形態]
第4実施形態では、縦偏光板又は横偏光板とグリッドにオンオフ制御可能な液晶板とを備えた1台の投影装置を使用して、前面投影、背面投影、同じ画像の両面投影、異なる画像の両面投影を切り替える実施形態を説明する。ここで「グリッドにオンオフ制御可能」とは、液晶板の面を細かいグリッド状に分割した場合の個々の分割単位(例えば画素)ごとにオンオフ制御可能であることを意味する。
【0042】
図7(a)、(b)、(c)には、第4実施形態における画像投影システム1の構成図を示し、画像投影システム1は、投影された画像を映すためのスクリーン10と、スクリーン10の片側に設けられた1台の投影装置20と、を備える。このうちスクリーン10の構成は第1~第3実施形態と同様であるため、説明を省略する。投影装置20は、画像投影のための光を射出するプロジェクタ21と、プロジェクタ21の射出面側に配置された、縦偏光板又は横偏光板から成るプロジェクタ側偏光層22と、プロジェクタ側偏光層22の射出面側(即ち、光の進行方向下流側)に配置されたグリッドにオンオフ制御可能な液晶板25と、投影する画像の画像データを記憶した画像DB29を内蔵しプロジェクタ21に画像データを供給するとともに液晶板25のオンオフを制御する制御部28と、を含み、プロジェクタ側偏光層22はスクリーン10の偏光層11と同じ偏光特性を有する。また、スクリーン10の偏光層11、円偏光層13、および、プロジェクタ側偏光層22は、偏光特性に関し、以下の2パターンの関係性がある。即ち、第1のパターンとして、偏光層11とプロジェクタ側偏光層22が縦偏光板の場合、円偏光層13は左回転させるために横偏光板および1/4波長板により構成される。一方、第2のパターンとして、偏光層11とプロジェクタ側偏光層22が横偏光板の場合、円偏光層13は右回転させるために縦偏光板および1/4波長板により構成される。ただし、上記2パターンは何れが採用されてもよい。
【0043】
図8には、制御部28の動作を示しており、制御部28は、実行すべき画像投影処理が「前面投影」の場合(ステップS31、S32でYES)、液晶板25の全面をオフし、前面投影する画像データをプロジェクタ21へ供給する(ステップS34)。制御部28は、実行すべき画像投影処理が「背面投影」の場合(ステップS31でYES、ステップS32でNO)、液晶板25の全面をオンし、背面投影する画像データをプロジェクタ21へ供給する(ステップS35)。
【0044】
また、制御部28は、実行すべき画像投影処理が「異なる画像の両面投影」の場合(ステップS31、S33でNO)、液晶板25のオンオフをグリッドに制御し、液晶板25に合せてグリッドにした前面用画像および背面用画像の画像データをプロジェクタ21へ供給する(ステップS37)。さらに、制御部28は、実行すべき画像投影処理が「同じ画像の両面投影」の場合(ステップS31でNO、ステップS33でYES)、液晶板25のオンオフをグリッドに制御し、液晶板25に合せてグリッドにした前面用画像および背面用画像(前面用画像の鏡像)の画像データをプロジェクタ21へ供給する(ステップS36)。
【0045】
上記により、前面投影する場合、図7(a)に示すように、液晶板25の全面がオフの状態で、図7(a)に実線で示す前面投影する画像の光がプロジェクタ21から射出され、プロジェクタ側偏光層22により偏光された光が、液晶板25によりさらに偏光されることなく液晶板25を透過し、スクリーン10へ到達する。このとき、プロジェクタ側偏光層22により偏光された光が偏光層11に到達した場合、偏光層11はプロジェクタ側偏光層22と同じ偏光特性を有するため、当該光は、偏光層11を透過して不透明層12で反射される。そのため、上記光による画像(前面投影する画像)がスクリーン10の前面(投影装置20が設けられた側の面)に映る。一方、プロジェクタ側偏光層22により偏光された光が貫通孔15を通って円偏光層13に到達した場合、円偏光層13はプロジェクタ側偏光層22と異なる偏光特性を有するため、当該光は、円偏光層13により吸収される。そのため、上記光による画像(前面投影する画像)がスクリーン10の背面に透けることを回避できる。以上により、前面投影が実現するとともに、背面に画像が透けることを回避できる。
【0046】
また、背面投影する場合、図7(b)に示すように、液晶板25の全面がオンの状態で、図7(b)に実線で示す背面投影する画像の光がプロジェクタ21から射出され、プロジェクタ側偏光層22により偏光された光が、液晶板25によりさらに偏光され、プロジェクタ側偏光層22および液晶板25による偏光後の光(図7(b)に破線で示す光)が、スクリーン10へ到達する。このとき、プロジェクタ側偏光層22および液晶板25による偏光後の光が偏光層11に到達した場合、偏光層11はプロジェクタ側偏光層22と同じ偏光特性を有するものの、プロジェクタ側偏光層22により偏光された光は液晶板25によりさらに偏光されているため、偏光層11に到達した光は、偏光層11により吸収される。一方、プロジェクタ側偏光層22および液晶板25による偏光後の光が貫通孔15を通って円偏光層13に到達した場合、円偏光層13はプロジェクタ側偏光層22と異なる偏光特性の偏光板および1/4波長板から成るものの、プロジェクタ側偏光層22により偏光された光は液晶板25によりさらに偏光されているため、円偏光層13に到達した光は、円偏光層13を透過して半透明な投影層14で上記光の一部が反射され、上記光の残りは透過する。ここで、透過した光による画像はスクリーン10の背面(投影装置20が設けられた側と反対側の面)に映るため、背面投影が実現する。また、半透明な投影層14で反射した光は、反射に伴う回転によって偏光特性が変わるため、円偏光層13により吸収される。このように、前述した偏光層11に到達した光が偏光層11により吸収され、さらに、投影層14で反射した光が円偏光層13により吸収されるため、上記光による画像(背面投影する画像)がスクリーン10の前面に画像が透けることを回避できる。以上により、背面投影が実現するとともに、前面に画像が透けることを回避できる。
【0047】
また、異なる画像の両面投影を行う場合、図7(c)に示すように、液晶板25のオンオフがグリッドに制御され、液晶板25に合せてグリッドにした前面用画像および背面用画像の光(図7(c)に実線で示す光)がプロジェクタ21から射出され、プロジェクタ側偏光層22により偏光された光が、オンオフがグリッドに制御された液晶板25によりさらに偏光される。このとき、グリッドに制御された液晶板25のオンオフと、グリッドにした前面用画像および背面用画像の光とが連携しているため、前面用画像の光は液晶板25におけるオフ制御されたグリッドを、偏光されることなく透過し、スクリーン10へ到達する。一方、背面用画像の光は液晶板25におけるオン制御されたグリッドによって偏光され、偏光後の光(図7(c)に破線で示す光)がスクリーン10へ到達する。
【0048】
このとき、プロジェクタ側偏光層22のみで偏光された光が偏光層11に到達した場合、偏光層11はプロジェクタ側偏光層22と同じ偏光特性を有するため、当該光は、偏光層11を透過して不透明層12で反射される。そのため、上記光による画像(前面投影する画像)がスクリーン10の前面(投影装置20が設けられた側の面)に映る。一方、プロジェクタ側偏光層22のみで偏光された光が貫通孔15を通って円偏光層13に到達した場合、円偏光層13はプロジェクタ側偏光層22と異なる偏光特性を有するため、当該光は、円偏光層13により吸収される。そのため、上記光による画像(前面投影する画像)がスクリーン10の背面に透けることを回避できる。以上により、前面投影が実現するとともに、背面に画像が透けることを回避できる。
【0049】
また、プロジェクタ側偏光層22および液晶板25により偏光された光が偏光層11に到達した場合、偏光層11はプロジェクタ側偏光層22と同じ偏光特性を有するものの、プロジェクタ側偏光層22により偏光された光は液晶板25によりさらに偏光されているため、偏光層11に到達した光は、偏光層11により吸収される。一方、プロジェクタ側偏光層22および液晶板25による偏光後の光が貫通孔15を通って円偏光層13に到達した場合、円偏光層13はプロジェクタ側偏光層22と異なる偏光特性の偏光板および1/4波長板から成るものの、プロジェクタ側偏光層22により偏光された光は液晶板25によりさらに偏光されているため、円偏光層13に到達した光は、円偏光層13を透過して半透明な投影層14で上記光の一部が反射され、上記光の残りは透過する。ここで、透過した光による画像はスクリーン10の背面(投影装置20が設けられた側と反対側の面)に映るため、背面投影が実現する。また、半透明な投影層14で反射した光は、反射に伴う回転によって偏光特性が変わるため、円偏光層13により吸収される。このように、前述した偏光層11に到達した光が偏光層11により吸収され、さらに、投影層14で反射した光が円偏光層13により吸収されるため、上記光による画像(背面投影する画像)がスクリーン10の前面に画像が透けることを回避できる。以上により、背面投影が実現するとともに、前面に画像が透けることを回避できる。
【0050】
以上のように、図7(c)に示す構成で、投影したい面の反対側に画像が透けることを回避しつつ、異なる画像の両面投影(前面投影および背面投影)を行うことができる。
【0051】
さらに、同じ画像の両面投影を行う場合については、ステップS36で、液晶板25のオンオフをグリッドに制御し、液晶板25に合せてグリッドにした前面用画像および背面用画像(前面用画像の鏡像)の画像データをプロジェクタ21へ供給するため、異なる画像の両面投影の場合と同様の動作で、前面用画像の鏡像が背面用画像とされ、結果的に、背面側からは、前面用画像と同じ画像が視認される。よって、図7(c)に示す構成で、投影したい面の反対側に画像が透けることを回避しつつ、背面用画像として前面用画像の鏡像を用いることで、同じ画像の両面投影を行うことができる。
【0052】
以上説明した第4実施形態によれば、スクリーンの片側に1台の投影装置を設置するという簡易で安価な構成によって、投影したい面の反対側に画像が透けることを回避しつつ、液晶板25のオンオフをグリッドに制御することで、「前面投影」、「背面投影」、「異なる画像の両面投影」、「同じ画像の両面投影」の間で投影処理の切り替えを可能とすることができる。
【0053】
[第5実施形態]
第5実施形態では、縦偏光板又は横偏光板とオンオフ制御可能な液晶板とを備えた1台の投影装置を使用して、液晶板のオンオフを高速に切り替えることで両面投影を実現する実施形態を説明する。
【0054】
図9には、第5実施形態における画像投影システム1の構成図を示し、画像投影システム1は、投影された画像を映すためのスクリーン10と、スクリーン10の片側に設けられた1台の投影装置20と、を備える。このうちスクリーン10の構成は第1~第4実施形態と同様であり、投影装置20の構成は図5(a)、(b)の第3実施形態と同様であるため、重複した説明は省略する。第5実施形態では、第3実施形態と同様の構成の画像投影システム1において、図9の上段に示す液晶板24オフの状態と、図9の下段に示す液晶板24オンの状態とを、高速に切り替えることで、前面投影(図9の上段)と背面投影(図9の下段)とが高速に切り替わるようにし、両面投影を実現する。
【0055】
図10には、制御部28の動作を示しており、制御部28は、実行すべき両面投影が両面に異なる画像を投影するものである場合(ステップS41でNO)、「液晶板24をオフし、前面投影する画像データをプロジェクタ21へ供給する処理(ステップS45)」と、「液晶板24をオンし、背面投影する画像データをプロジェクタ21へ供給する処理(ステップS46)」とを、投影が終了する(ステップS47でYESとなる)まで、高速に切り替えて実行する。詳細な動作は、図5(a)、(b)に基づき第3実施形態で説明したので省略するが、上記の処理により、逆側に画像が透けることを回避しつつ、前面投影する画像の前面投影と、上記画像とは異なる画像(背面投影する画像)の背面投影、の両方が実行され、結果として、異なる画像の両面投影を実現することができる。
【0056】
一方、制御部28は、実行すべき両面投影が両面に同じ画像を投影するものである場合(ステップS41でYES)、「液晶板24をオフし、前面投影する画像データをプロジェクタ21へ供給する処理(ステップS42)」と、「液晶板24をオンし、前面投影する画像の鏡像の画像データをプロジェクタ21へ供給する処理(ステップS43)」とを、投影が終了する(ステップS44でYESとなる)まで、高速に切り替えて実行する。詳細な動作は、図5(a)、(b)に基づき第3実施形態で説明したので省略するが、上記の処理により、逆側に画像が透けることを回避しつつ、前面投影する画像の前面投影と、前面投影する画像の鏡像の背面投影、の両方が実行され、後者の背面投影では、前面投影する画像と同じ画像が背面から視認されるため、結果として、同じ画像の両面投影を実現することができる。
【0057】
以上説明した第5実施形態によれば、スクリーンの片側に1台の投影装置を設置するという簡易で安価な構成によって、投影したい面の反対側に画像が透けることを回避しつつ、液晶板24のオンオフを高速に切り替えることで、同じ画像又は異なる画像の両面投影を実現することができる。
【0058】
[用語、変形態様などについて]
なお、上記実施形態の説明に用いたブロック図は、機能単位のブロックを示している。これらの機能ブロック(構成部)は、ハードウェア及びソフトウェアの少なくとも一方の任意の組み合わせによって実現される。また、各機能ブロックの実現方法は特に限定されない。すなわち、各機能ブロックは、物理的又は論理的に結合した1つの装置を用いて実現されてもよいし、物理的又は論理的に分離した2つ以上の装置を直接的又は間接的に(例えば、有線、無線などを用いて)接続し、これら複数の装置を用いて実現されてもよい。機能ブロックは、上記1つの装置又は上記複数の装置にソフトウェアを組み合わせて実現されてもよい。
【0059】
例えば、制御部28は、上記実施形態における処理を行うコンピュータとして機能してもよい。図11は、制御部28のハードウェア構成例を示す図である。上述の制御部28は、物理的には、プロセッサ1001、メモリ1002、ストレージ1003、通信装置1004、入力装置1005、出力装置1006、バス1007などを含むコンピュータ装置として構成されてもよい。
【0060】
なお、以下の説明では、「装置」という文言は、回路、デバイス、ユニットなどに読み替えることができる。制御部28のハードウェア構成は、図に示した各装置を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。
【0061】
制御部28における各機能は、プロセッサ1001、メモリ1002などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることによって、プロセッサ1001が演算を行い、通信装置1004による通信を制御したり、メモリ1002及びストレージ1003におけるデータの読み出し及び書き込みの少なくとも一方を制御したりすることによって実現される。
【0062】
以上、本開示について詳細に説明したが、当業者にとっては、本開示が本開示中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本開示は、請求の範囲の記載により定まる本開示の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本開示の記載は、例示説明を目的とするものであり、本開示に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【0063】
本開示において説明した各態様/実施形態の処理手順、シーケンス、フローチャートなどは、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。例えば、本開示において説明した方法については、例示的な順序を用いて様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。
【0064】
入出力された情報等は特定の場所(例えば、メモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルを用いて管理してもよい。入出力される情報等は、上書き、更新、又は追記され得る。出力された情報等は削除されてもよい。入力された情報等は他の装置へ送信されてもよい。
【0065】
本開示において使用する「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
【0066】
本開示において、「含む(include)」、「含んでいる(including)」及びそれらの変形が使用されている場合、これらの用語は、用語「備える(comprising)」と同様に、包括的であることが意図される。さらに、本開示において使用されている用語「又は(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
【0067】
本開示において、例えば、英語でのa, an及びtheのように、翻訳により冠詞が追加された場合、本開示は、これらの冠詞の後に続く名詞が複数形であることを含んでもよい。
【0068】
本開示において、「AとBが異なる」という用語は、「AとBが互いに異なる」ことを意味してもよい。なお、当該用語は、「AとBがそれぞれCと異なる」ことを意味してもよい。「離れる」、「結合される」などの用語も、「異なる」と同様に解釈されてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1…画像投影システム、10…スクリーン、11…偏光層、12…不透明層、13…円偏光層、14…投影層、15…貫通孔、20…投影装置、20A、20B…投影部、21、21A、21B…プロジェクタ、22、23…プロジェクタ側偏光層、24、25…液晶板、28…制御部、29…画像DB、1001…プロセッサ、1002…メモリ、1003…ストレージ、1004…通信装置、1005…入力装置、1006…出力装置、1007…バス。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11